研究集会
‘4次元のトポロジー’
レジュメ はめ込まれた曲面の二重化の持ち上げ可能性(2003/1/21, 16:00–16:45)
市原 一裕
AND
佐藤 進ユークリッド平面
R 2上に平面曲線が与えられたとき,それは必ずR 3内の適当な結び目の影となり得ま
す. この現象を1次元上げたところで考えると,状況は変わってきます. つまり, R 3内に自己交差をもつ曲
面が与えられたとき,それが常にR 4内の曲面結び目の影となるとは限りません(ここで曲面とは正確には
連結な閉曲面のことです). R 3内の曲面がR 4内の埋め込みに持ち上がるための必要十分条件も, すでに
知られています[2, 3, 4, 5].
R 3内に自己交差をもつ曲
面が与えられたとき,それが常にR 4内の曲面結び目の影となるとは限りません(ここで曲面とは正確には
連結な閉曲面のことです). R 3内の曲面がR 4内の埋め込みに持ち上がるための必要十分条件も, すでに
知られています[2, 3, 4, 5].
R 3内の曲面がR 4内の埋め込みに持ち上がるための必要十分条件も, すでに
知られています[2, 3, 4, 5].
[2, 3, 4, 5].
持ち上げ不可能な曲面の典型的な例として, ボーイの曲面
[1](射影平面の R 3へのはめ込み)が挙げら
れます. これは,R 4に埋め込まれた射影平面をR 3へ射影すると,その影は必ずブランチ点(ホイットニー
の傘)をもたなければならず,R 3内のはめ込みにはなり得ないからです. 同じ理由で,オイラー標数が奇数
である向き付け不可能な曲面のR 3へのはめ込みも,常に持ち上げ不可能であることが分かります.
R 3へ射影すると,その影は必ずブランチ点(ホイットニー
の傘)をもたなければならず,R 3内のはめ込みにはなり得ないからです. 同じ理由で,オイラー標数が奇数
である向き付け不可能な曲面のR 3へのはめ込みも,常に持ち上げ不可能であることが分かります.
R 3へのはめ込みも,常に持ち上げ不可能であることが分かります.
それでは向き付け可能な曲面,例えば2次元球面で持ち上げ不可能な例は存在するのでしょうか. これに 関してギラー
[4]
は,ボーイの曲面を二重化することにより,持ち上げ不可能な2次元球面のはめ込みの例を 与えました.ボーイの曲面自体も持ち上げ不可能でしたから,ギラーの構成法から次のような疑問が自然に生じます.
すなわち,
R 3へのはめ込みが持ち上げ不可能ならば,その二重化も「常に」持ち上げ不可能となるのでしょ
うか. 注意したいのは, このような二重化はR 3へのはめ込み(ブランチ点を持たない場合)に対して定義
されることと, もとの曲面が向き付け可能ならばそれ自身と二重化の持ち上げ可能性は一致することです.
したがって,もとのはめ込まれた曲面が向き付け不可能なときが本質的な問題となります.
以下では,向き付け不可能な曲面