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消費者金融業界発展の可能性 : 業界コンプライア ンス確立のために

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消費者金融業界発展の可能性 : 業界コンプライア ンス確立のために

著者 伊東 眞一

雑誌名 同志社商学

巻 53

号 5‑6

ページ 26‑39

発行年 2002‑03‑15

権利 同志社大学商学会

ドウシシャ ダイガク ショウガッカイ

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000007225

(2)

消 費 者 金 融 業 界 発 展 の 可 能 性

──業界コンプライアンス確立のため

1

に──

伊 東 眞 一

Ⅰ はじめに

Ⅱ 消費者金融業界の現状

Ⅲ 業界パラダイムの点検

Ⅳ 業界パラダイムが創造したもの

Ⅴ 消費者金融業界コンプライアンス確立のために

はじめに

本論文は,これからの日本の金融制度の中で消費者金融業界がさらに発展をしていく ために確立しなければならないコンプライアンスのための原則について考察する。その ため本論文では,まず「消費者金融業界の現状」を取り上げていく。現在消費者金融業 界は数少ない成長産業として注目を浴びているが,今後の業界の発展を考えるに当たっ ては,業界の現状を確認しておく必要がある。そこで,業界に対する評価や,新規参入

・M & Aの動き,技術革新と言った積極的に評価できる部分と,成長の鈍化や

2

極分 化,金利引き下げ問題や自己破産急増等の問題として残されている部分を概観する。

そして次に,「業界パラダイムの点検」を行う。前述のような積極的に評価できるも の及び問題群には多様な要因が考えられるが,そこには消費者金融業界がもつものの考 え方や業界に対するものの考え方が,重要な要因として存在していると考えることがで きる。そこでここでは,業界のもつものの考え方や時代がもたらした業界に対する評価 を考えていく。

そして次に「業界パラダイムが創造したもの」,特に業界が直接・間接に関わること によって,また業界自身が変わることによって,消費者金融市場にもたらしたものを考 察した後,最後に新たなコンセプト,すなわち金融業・金融サービス業ではなく,真の 意味での消費者金融サービス業を確立し,そのコンセプトに基づいた業界コンプライア ンスを創造し,新たな消費者金融業として再生することが何よりも必要であることを提

────────────

1 本論文は,2001年12月に同志社大学にて開催された消費者金融サービス研究学会にて筆者が報告した ものを,加筆修正した論文である。学会開催に当たってご協力を賜った関係者の皆様に,この場をおか りして,お礼を申し上げる次第である。

26(300

(3)

示する。

消費者金融業界の現状

消費者金融業界の現状の最も積極的に評価できる部分としては,「不況下における数 少ない成長産業」という評価であると考えられる。第

1

表は『週刊東洋経済』第

5719

号に掲載されている「40業種

300

社徹底検証 急落する企業業績」からとりあげたも のであ

2

る。これは,日本を代表する

40

業種

300

社の今期収益が,期初時点(多くの

3

月決算企業の場合は

5

月末)の予想から,9月時点でどの程度減額・増額されているか の集計結果をまとめたものである。「計画線・増額組」は収益が増加あるいは計画通り の増益となっているもの,「1ケタ減額組」および「2ケタ減額組」は文字通り,収益が 予想より

1

ケタあるいは

2

ケタ減額となってしまった業種をあげている。

さて,この分類の中で消費者金融業界は,「計画線・増額組」としてあげられてい る。このグループでは,規制の恩恵を受けている,あるいはヒット商品によってその収 益が支えてらえているグループとして評価されており,消費者金融も高い評価のグルー プに属していることになる。一方,花形産業として高い評価を得ていた「ITサービス」

や「半導体・エレクトロニクス」などは「減額組」にいれられており,期待を裏切った 業界という評価がなされている。消費者金融業界は世間の期待通り,確実に成長をして いるという評価を受けているといって良いであろう。

上記のことは,2000年法人申告所得ランキングでもはっきりと見てとることができ る。第

2

表は,2000年中の法人申告所得額

4000

万円以上の

87,632

社を対象としたラ ンキングであるが,消費者金融専業者は,武富士が

11

位,アコムが

20

位とベスト

20

2

社がランキングされている。99年に武富士が

9

位,アコムが

19

位だったのに比べ

────────────

2 詳細については「40業種300社徹底検証 急落する企業業績」『週刊東洋経済』第5719号を参照。

第1表 40業種300社最近業績予想

「計画線・増額組」

通信,テレビ,航空,消費者金融,コンビニエンスストア,化粧品・トイレタリー,マン ション・不動産,旅行,電力,百貨店,医薬品,エンターテイメント

「1ケタ減額組」

海運,ビール,食品,飲料,ゲーム・玩具,陸運,カメラ・精密機器,石油,ゼネコン,

専門店,外食,スーパー,銀行,ITサービス,ガス,ホテル

「2ケタ減額組」

半導体・エレクトロニクス,証券,電子部品,パソコン・家電,鉄鋼,工作機械,家電量 販店,科学,繊維,紙・パルプ

資料:「40業種300社徹底検証 急落する企業業績」『週刊東洋経済』第5719号,38−54ペ ージより作成。

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (301)27

(4)

るとやや順位を下げているものの,それでも日本の優良企業として評価されている。ま た

20

位以内には入っていないものの,プロミスが

34

位,アイフルが

43

位と

100

位ま でに

4

社,1000位までに

12

社と健闘していると評価することができるであろう。但し

99

年には

100

位までに

6

社ランキングされていたことを考えると,後に言うとおりに 成長は鈍化しているといえよう。

しかし,その収益は高い水準を保っている。第

3

表で「予想

1

株当り利益ランキン グ」をみると,武富士

3

位,アコム

4

位,プロミス

5

位,アイフル

6

位とベスト

10

4

社もランキングされており,1位のファーストリティリング等のように,高い収益を 誇っていても,業界では単独というのとは異なり,業界全体で高い収益を保っているこ とを示している。

またスタンダード&プアーズの基準によって指数化された

1

株益,1株配当の加重平 均と同じく指数化された売上高を用いて,一定の算式から算出される株式投資指標であ る,S&Pクオリティ・ランキングでも消費者金融専業者は高い評価を受けている(第

4

表)。このランクは,A+,A, A−,

B+,B, B−, C, D

8

段階で評価されている が,消費者金融専業者

6

社はすべて上位

3

段階の

A+,A, A−とされている。全体で A+が 17

社,Aが

37

社,A−が

76

社しかないことを考えると,如何に高い評価である かが解る。

第2表 2000年法人申告所得

順位 企 業 名 順位 企 業 名

1位 トヨタ自動車 34位 プロミス 2位 東京三菱銀行 43位 アイフル 3位 日本生命保険 115位 アイク

4位 東京電力 129位 三洋信販

5位 NTTドコモ 140位 GEコンシューマー・クレジット 6位 第一生命保険 496位 ユニマットライフ

7位 本田技研工業 527位 千代田トラスト

8位 三和銀行 529位 ニッシン

9位 関西電力 763位 エイワ

10位 NTTコミュニケーション 995位 クレディア 11位 武富士 1203位 日本プラム 12位 全国共済農業 1240位 日立信販 13位 武田薬品工業 1283位 シンコウ 14位 住友生命保険 1462位 レタスカード

15位 キャノン 1687位 マルフク

16位 東日本旅客鉄道 1719位 キャスコ 17位 日本IBM 2109位 関西クレジット 18位 東北電力 2299位 サンライフ

19位 農林中央金庫 2348位 富士キャッシュサービス 20位 アコム 2696位 オリエント信販

注:(1)2000年中の法人申告所得4000万円以上の8,7632社を対象としたランキング。

資料:『週刊東洋経済 臨時増刊/DATABANK 2001年版法人所得番付日本の会社79,000』

5701号,2001年,より作成。

同志社商学 第53巻 第5・6号(2002年3月)

28(302

(5)

さて,このように高い評価を得ている業界であるから,近年,新規参入も活発になっ ている。もちろん,不適切な業者の参入も相次いではいるが,ここでは良い意味での市 場参入,すなわち他業界からの新規参入について概観してみたい。

5

表にもあるように,新規参入は

99

年のアコム

51%,ソフトバンクファイナンス

第3表 予想1株当たり利益

順位 企 業 名 1株当たり利益 備 考

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位

ファーストリテイリング ベルシステム24 武富士

アコム プロミス アイフル オービック サミー 任天堂 商工ファンド

1150円 1062円 979円 659円 646円 634円 612円 600円 551円 510円

郊外型カジュアル衣料店ユニクロ テレマーケティング

消費者金融専業者1位 消費者金融専業者2位 消費者金融専業者3位 消費者金融専業者4位 独立系SI

パチスロ大手

ゲーム機ハード・ソフト総合首位 事業者貸付業者

注:(1)連結実施会社は連結,他は単独ベース。

(2)予想の決算期変更は除く。

(3)株式額面が50円以外の場合は50円に換算。

資料:『会社四季報』2001年4集 第324号より作成。

第4表 S & Pクオリティ・ランキング(A+,A, A−)

【A+】

伊藤園,住友化学工業,花王,武田薬品工業,コナミスポーツ,住友ゴム工業,三井金属,

エフピコ,イオンクレジットサービス,アコム,プロミス,ヤマト運輸,日本郵船,日立ソ フトウェアエンジニアリング,住商情報システム,ミスミ,サンドラッグ

【A】

ホクト産業,大東建託,コカコーラ・ウエストジャパン,キューピー,レンゴー,イビデ ン,信越化学工業,エア・ウォーター,鐘淵化学工業,田辺製薬,久光製薬,サニックス,

パーク24,リゾートトラスト,ユニオンツール,ダイキン工業,日東電工,トヨタ自動

車,富士重工業,菱食,ワタミフードサービス,トッパン・フォームズ,アデランス,コメ リ,クレディセゾン,アイフル,武富士,三洋電機クレジット,ニッシン,ベルシステム 24,日立情報システム,メイテック,TIS,日システムデベロプメンイ,マツモトキヨシ,

プレナス,ドトールコーヒー

【A−】

NECシステム建設,明治製菓,明治乳業,森永乳業,日本ハム,アサヒビール,不二製 油,アリアケジャパン,東洋水産,日清食品,ホギメディカル,日産化学工業,電気化学工 業,三井化学,住友ベークライト,日本化薬,三洋化成工業,第一製薬,藤沢薬品,万有製 薬,中外製薬,エーザイ,小野薬品工業,テルモ,フジテレビジョン,富士フィルム,日石 三菱,ブリヂストン,東海ゴム工業,古河電気工業,豊田自動織機,SMC,マブチモータ ー,アルプス電気,キーエンス,メガチップス,ファナック,フタバ産業,ダイハツ工業,

豊田合成,良品計画,HOYA,キャノン,リコー,シチズン時計,凸版印刷,ファミリーマ ート,日製産業,ユニ・チャーム,東陽テクニカ,すかいらーく,セブンイレブン・ジャパ ン,しまむら,伊勢丹,イオン,ユニー,三洋信販,オリックス,三菱地所,小田急電鉄,

東日本旅客鉄道,TBS,日本テレビ放送網,東京電力,中国電力,東京ガス,大阪ガス,東 邦ガス,NTTデータ,日本空港ビルデング,トランス・コスモス,セコム,富士ソフトエ ービーシー,ベネッセコーポレーション,ヤマダ電機,吉野家ディー・アンド・シー 資料:『会社四季報』2001年4集第324号より作成。

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (303)29

(6)

49% の出資による金融事業会社『イー・ネットカード』を皮切りとして,2000

年には

三和銀行

50%,プロミス 40%,アプラス 10% 出資の個人向け無担保ローン会社『モビ

ット』,さくら銀行

60%,三洋信販,エーエムピーエム,住友銀行,日本生命がそれぞ

10% 出資した個人向け無担保ローン会社『さくらローンパートナー』,クレディア 66

%,伊藤忠ファイナンス

33% 出資の個人向けネットローン会社『プリーバ』と続き, 2001

年に入ってからも,アイフル

60%,住友信託銀行 40% のスモールビジネス向けローン

会社『ビジネクスト』,アコムと東京三菱銀行がそれぞれ

35% 出資した個人向け無担保

ローン会社『東京三菱キャッシュワン』が設立されている。これらの会社は消費者金融 専業者よりは低い金利でローンを提供するという,いわば銀行と消費者金融専業者の金 利の狭間にあった隙間に登場した会社であり,新たなニッチ戦略による市場参入という ことができる。

さて,消費者金融業界もこのような流れの中で,新規参入者と競争を行うために,M

& A

を活発に行っている(第

6

表)。この

M & A

は,当初は外資参入という形で

GE

第5表 消費者金融産業への新規参入状況

年 月 企 業 名 出資企業名

1999年10月 イー・ネットカード アコム,ソフトバンクファイナンス 2000年5月 モビット プロミス,三和銀行,アプラス

2000年6月 サクラローンパートナー 三洋信販,サクラ銀行,エーエム・ピーエム,

住友銀行,日本生命

2000年11月 プリーバ クレディア,伊藤忠ファイナンス 2001年1月 ビジネクスト アイフル,住友信託銀行

2001年8月 東京三菱キャシュワン アコム,東京三菱銀行,三菱信託銀行,DCカ ード,ジャックス

第6表 消費者金融業界のM & A 1998年1月 GEキャピタルがコーエークレジットを100% 子会社化 1998年4月 アソシエイツがディックファイナンスを100% 子会社化 1998年11月 GEキャピタルがレイクを100% 子会社化

1998年11月 アイクが日専を100% 子会社化

1999年7月 アイフルが日本ベネフィットより営業債権及び営業資産を譲受 2000年3月 アイフルがハッピークレジット,スカイより営業財産譲受 2000年4月 プロミスがシンコウを100% 子会社化

2000年4月 プロミスが東和商事に25.7% 出資,01年1月100% 子会社化 2000年5月 プロミスがリッチを100% 子会社化

2000年6月 アイフルが信和を100% 子会社化

2000年9月 シティーグループがアソシエイツを100% 子会社化 2000年9月 アソシエイツがユニマットライフの筆頭株主(51% 取得)

2001年3月 アイフルがライフを100% 子会社化

2001年4月 三洋信販がマイカルカードの筆頭株主(51% 取得)

2001年6月 アイフルが山陽信販を100% 子会社化

同志社商学 第53巻 第5・6号(2002年3月)

30(304

(7)

キャピタルやアソシエイツ(アイク)によって進められたが,その後アイフルやプロミ ス等大手専業者が積極的に

M & A

を進めている。

さらに,業界発展を裏付ける技術の開発も活発に行われている。1993年に登場した 自動契約受付機は,「誰にも会わずにキャッシング」というコピーや「ラララむじんく ん」というキャッチフレーズであっという間に世間に認知され普及した。この自動契約 受付機は実質的には対面式となっているが,これは通信技術の発達,特に

ISDN

を利用 し,スキャナで情報を読みとるなど,当時のハイテク技術の集約ともいえる画期的技術 革新であったといえる。今や大半の業者が導入しており,大手では

1

社当たり

600

台弱 も設置されている。

また「クレジットスコアリング」の導入も非常に大きな役割を果たしたといえる。消 費者金融業界の与信活動はそれまでは対面式による担当者の「勘」に頼った与信であっ たが,クレジットスコアリングの導入により,データを基にした与信へと変わったので ある。またクレジットスコアリングは契約時のみならず,顧客の状態の変化に合わせて 与信供与枠を変化させることを可能とし,リスクマネジメントにも大きな変化を与えた のである。

またこの他にも,信用情報機関の充実や情報速度・精度のグレードアップなど,消費 者金融業界における技術革新には目を見張るものがある。

しかし,このように成長と,新規参入による競争の激化,また技術革新といった消費 者金融業界の発展に寄与する出来事とは逆に,新たな問題群も顕在化してきている。消 費者金融業界の中で最も議論されているものは,「成長鈍化と

2

極分化」「金利引き下げ 問題」「自己破産者の急増」である。

成長鈍化については,第

7

表でみるように経常利益の伸び率だけをみるとはっきりし たものではない。しかし,99年

3

月期には各社高い伸び率を上げていたが,01年

3

月 期には

00

年よりは回復傾向にはあるものの,99年

3

月期の伸び率を上回ったのはプロ ミスだけとなっており,経常利益の伸びの鈍化傾向がやや見受けられるようになってき ている。また,無人契受付機の普及により,新規顧客層開拓も一服し,現在では「はじ めてコール」等といった電話相談による新規顧客開拓へと移行している。さらに消費者

第7表 大手消費者専業者の経常利益の伸び率

会計年度 99. 3 00. 3 01. 3

武 富 士 ア コ ム プ ロ ミ ス ア イ フ ル 三 洋 信 販

22.99%

24.30%

18.00%

23.17%

11.71%

13.45%

12.00%

17.83%

23.48%

−19.50%

18.00%

11.91%

20.81%

21.60%

6.70%

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (305)31

(8)

金融業界の

2

極分化も業界の意思決定に当たってのハードルとなりつつある。第

8

表で みられるように,貸付残高規模は業界全体では

10% の増加を示しており,まだまだ拡

大傾向にあるものの,企業規模別に見ると大手の一人勝ちとなっており,中規模で微 増,小規模業者ではマイナスとなり,優勝劣敗が明確化してきている。

また,商工ローン問題をきっかけとした「金利引き下げ問題」も業界にとっては大き な問題となっている。1983年以降に行われた金利引き下げは,業界の中でも支持され てきた法改正の下での

40.004% までの引き下げであったが,2000

6

月の引き下げ は,商工ローン,すなわち事業者向け貸付の,しかも保証制度や回収活動の問題であっ たものが金利問題へとすり替えられたということもあり,業界内では納得がいかないと いう,やや被害者的な感情が支配的になっており,適切な議論へと辿りついていないの が現状である。しかも法改正は単に

40.004% から 29.2% への引き下げで終わったわけ

ではなく,3年後,すなわち

2003

年に見直すことになっており,見直すといってもこ れは「引き下げ」が前提にあり,業界にとっては脅威となっている。また,金利引き下 げ問題はそれだけでなく,市場から追い出された信用力の低い顧客が,闇金融へと流れ るようになり,新たな問題を引き起こしている。

さらに,急増する自己破産申立件数の問題がある。自己破産申立件数は

90

年代に入 って増加し,92年には

4

万件を突破,その後横這いで推移していたが,90年代後半に 入ると急増し,96年には

30% 増加し 56,494

件と

5

万件を突破,97年も

26% 増加の 71,209

件,98年には

45.6% も増加し,10

万件を突破し

103,803

件,99年には

12

万件 突破,2000年には

139,281

件となり,さらに

2001

年も

10

月までですでに

127,221

件と

前年比

14.0% 増で推移しており,このペースだと 15

万件を大幅に越えると考えられ

る。上述のように金利引き下げは,当初は商工ローン問題であったが,自己破産急増対 策の一環として行われた側面が強い。しかし金利引き下げが行われて

1

年半経過した現 在でも申立件数は減少に転じておらず,その効果は全くなかったといっても過言ではな い。また安易な自己破産を回避するため民事再生法の改正が行われたが,これとても効

第8表 消費者金融専業者の企業規模別にみた貸付残高(1社平均)

企業規模 平均貸付残高 伸び率

全 体 669.99億円 +10.1%

10億円未満

10−50億円未満 50−100億円未満 100−500億円未満 500億円以上

3.82億円 25.63億円 68.24億円 262.40億円 4955.68億円

−1.0%

−0.4%

+0.6%

+5.7%

+11.4%

資料:消費者金融白書委員会『消費者金融白書 平成12(2000)年度版−新金利時代にお ける専業界の動向と実態分析−』,3001年,より作成。

同志社商学 第53巻 第5・6号(2002年3月)

32(306

(9)

果がなかったと断言できる増加水準といってよい。業界でも消費者金融連絡会が

96

年 に結成され,クレジットカウンセリングの導入,広報活動の強化など様々な取り組みを 行っているが,現在とられている対策では限界があるかのごとくである。

業界パラダイムの点検

さて,これまで消費者金融業界の現状について概観してきた。そこで,今度は消費者 金融業界自体が持っているパラダイムを点検していきたい。消費者金融業界にあるパラ ダイムとしては,大きく「業界内にある考え方」と「時代がもたらした業界に対する評 価」がある。ここでは,業界内の過去から続いているパラダイムと,90年代にあらわ れてきた業界に対するパラダイムについて取り上げてみる。

業界内に存在するパラダイム,すなわち業界自体が持っている消費者金融業に対する 考え方を考えてみよう。まず業界内にある考え方としては,「銀行ではない金融機関」

という考え方であろう。これは「ノンバンク」としての捉え方であると考えることがで きるが,ここでいう銀行ではない金融機関とは「銀行ではないが消費者にお金を貸す業 者」という捉え方,すなわち決して「銀行ではない」ということから生じる,格差,差 別,あるいは区別から生じるものの考え方である。わが国の金融制度は銀行を中心とし て形成されており,そのため銀行でないものは,特に「普通銀行」でない金融機関はや や評価が劣るというのが現実であろう。そして普通銀行を一般的に捉えるとするなら ば,それは預金受入機関であり,またその貸付は商工貸付を行うもの,さらに言うなら ば大企業や地場産業に積極的に融資を行っているもの,というイメージがある。すなわ ち,銀行とは消費者との関係では預金受入機関であるとする考え方である。

このことは何も業界内だけに止まる考え方ではない。しかし消費者金融業界では,こ とさらにこの考え方が強い。証券業界や生命保険会社は銀行ではない金融機関である が,証券業務や保険業務という決して銀行が扱って来なかった独自の分野を持ってい た。それが証券業界や生保をして,積極的に業務を推進する力にもなったといえる。し かし,消費者金融業界では,銀行の下,庶民金融ではなく末端の金融機関というイメー ジがあり,市場も整備されずに放置されてきたといえる。それはそのまま業界をして,

健全な市場育成の必要性を痛感させることとなり,83年の「貸金業の規制等に関する 法律」の施行の推進力となっていったといえ

3

る。

また次の業界内にある考え方としては,「「サラ金」「マチ金」と揶揄されることに対 する良い意味での反発」を上げることができる。ドラマや漫画で出てくる消費者金融業

────────────

3 詳細については,日本消費者金融協会編集『20年のあゆみ 消費者金融協会創立20周年記念史』,1989 年,を参照。

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (307)33

(10)

者の姿は,サングラスをかけ,パンチパーマをあて,ダブルのスーツを着ており,必ず 胡散臭い表情をして,乱暴な言葉遣いをして,消費者を恐怖のどん底に落としてしまう というものである。確かにこのような業者がいまだに残っているのも事実である。しか し,今やかつてサラ金地獄と呼ばれていた時代とは異なる。今では貸金業の規制等に関 する法律が施行され,法的環境も整備され,強硬取立,誇大広告等は違法であることは 健全な業者であれば当然理解していることであり,またそうでなくてもこの事業を行う ものであれば知っていなければならないルールである。にもかかわらず,マンガやドラ マでは上述のような業者しか出てこない。そのため消費者金融業界は,貸金業規制法が 成立して以降は,業界イメージの向上,顧客サービスの向上に注力してきたのであ

4

る。

一方,時代がもたらした業界に対する評価はどうであろうか。消費者金融業界に対す る評価は

90

年代に入ると,それまでの「サラ金」「マチ金」というイメージは影がやや 薄くなってくるとともに,長引く不況下にあっての数少ない成長産業として脚光を浴び 続けているといってよい。またその成功の要因としては,決して銀行が取り扱ってこな かった「消費者」を対象とした「小口」の「無担保貸付」であったということがクロー ズアップされ,ニッチ戦略の成功例として紹介され,ベンチャービジネスの代表例的な 扱いをも受けているというのが現状であろう。

業界パラダイムが創造したもの

さて,このような業界がもつパラダイムは,何を創造してきたのであろうか。前述の ように,業界内にあったものの考え方の「銀行ではない金融機関」というパラダイム は,健全な市場育成の必要性を産み,そのために消費者金融業に関する独自の法律制定 を望むことになり,サラ金地獄騒動というタイミングとも一致して,貸金業の規制等に 関する法律の制定を生むことになった。この法の制定により法的基盤が整備され,さら に業界としては第二のパラダイム,すなわち「「サラ金」「マチ金」と揶揄されることに 対する良い意味での反発」から,業界イメージの向上,顧客サービスの向上への取り組 みへと進むことになった。また業界では,顧客イメージの向上だけでなく,業界に対す る社会のイメージ向上にも積極的に取り組んで来た。そして,1993年のアコム,プロ ミス,三洋信販の株式上場に始まり,94年にはニッシン,95年にはシンキ,クレディ ア,96年には武富士,97年にはアイフル,アースと次々に株式上場を果たし,業界認 知を進めることになったのである。またクレジットカウンセリングへの取り組みも,地 道ではあるが業界認知に大いに貢献しているのである。

────────────

4 詳細については,日本消費者金融協会『日本消費者金融協会創立30周年記念史 JCFA 30年とその未 来像』,1999年,を参照。

同志社商学 第53巻 第5・6号(2002年3月)

34(308

(11)

さて,一方,時代がもたらした業界に対する評価は,業界にどのようなことをもたら したのであろうか。「不況下にあっての数少ない成長産業としての評価」は,前述の通 り,不況下での公開・上場会社を次々と輩出することになり,業界の認知を高めること に貢献した。しかし,時代が業界に求めたことはそれだけではなかった。銀行や証券会 社が次々と不安定な状態に陥っていく中にあって,唯一安定した金融業者である消費者 金融専業者に対する評価は非常に高く,高株価を招くことになる。武富士,アコム,プ ロミス,アイフルの株価が次々と

1

万円を超えるようになり,しかも高株価であるにも 拘わらず先述の通り高い評価を保っている。それはそのまま業界に対して高い成長率の 維持を求めることになり,そのためにはさらなる増益を上げなければならないという宿 命を業界にもたらしたのである。そのため業界では貸付残高の増加に自ずと注目せざる を得なくなり,ややもすると高額な与信限度額が付与されるようにもなっている。これ は,金融業の特性からもそのようなことに陥りやすくなる傾向を示している。金融業は 他の業界とは異なり,規模の経済性が極端に高い分野である。そのため,貸付残高の積 み増しは,そのまま収益の増加に繋がるのである。高い成長性の維持の期待はそのまま 規模拡大へと繋がらざるを得ないのである。そのため,さらなる新規顧客開拓や貸付限 度額の引き上げを行わざるを得なくなる。

また,ニッチ戦略の成功例という評価は,そのまま高い収益性とも相まって,相次ぐ 新規参入を呼ぶことになる。前述の通り,銀行,信託銀行,信販会社等,金融機関が相 次いで出資という形ではあるが新規参入を果たしており,それはそのまま競争激化を意 味することになった。また他業界からの進出だけではなく,決して良いとはいえない業 者,すなわち闇業者や悪徳業者の市場参入も相次いでいる。彼らの市場参入は,市場の 質を低下させ,良質の顧客の市場徹底という新たな問題をも引き起こしている。

消費者金融業界コンプライアンス確立のために

さて,以上みてきたとおり,業界のパラダイムはそのまま業界の現状を生み出してき たといえる。そして,時代が要請するパラダイムのために,消費者金融業界は高い成長 性を維持し続けなければならないという宿命を背負わされ,そのため規模の経済性の追 求をせねばならなくなり,今や利益の拡大,貸付残高の拡大のみが業界の目的となって いるかのごとく印象を与えている。

しかし,規模拡大のみの追求は「繁栄即滅亡」を引き起こしてしまう。1980年代後 半わが国経済はバブル経済に放り込まれることになり,誰もが日本の将来を高く評価 し,高らかに繁栄を謳っていたといっても良い。この時期,銀行は上昇する土地を担保 として次々と貸付を拡大し,収益を拡大させ,さらに拡大を続けていった。また株価は

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (309)35

(12)

希にみる上昇を記録し続け,日経平均は

82

年の

5000

円台から

89

年末には

38,915

87

銭にまで

7

倍も上昇し,TOPIXも

2881.37

ポイントをつけるなど,拡大を続けていた 時代であった。

しかし,その後バブルがはじけ,景気は急速に冷え込んでしまい,金融機関を取り巻 く環境は一変してしまうのである。第

9

表にもあるようにアメリカン・バンカー紙の世 界大銀行調査では,1990年にはベスト

10

7

行,ベスト

20

13

行も邦銀はランキン グされており,1位から

6

位まで邦銀が占めていたが,96年の調査では

1

位こそ東京三 菱銀行が合併により保ったものの,2位

3

位はドイツ,フランスの銀行がランクされ,

順位を下げているのみならず,ベスト

20

位まででもその数は

8

行に減ってしまってい る。

証券市場もバブルの頃とは様相は一変してしまう。第

10

表は,主要証券取引所の株 式売買代金を比較したものであるが,これによると株式売買代金は

90

年では株価バブ ル崩壊の翌年であるにもかかわらずニューヨークに迫る勢いであったに対して,99年

には

NASDAQ,さらにはロンドンにも抜かれて第 4

位に転落している。かつて東京は

ロンドンの

2.2

倍の売買があったが,99年には逆にロンドンが東京の

2.1

倍となってし まっている。しかも東京の売買代金規模はドイツにも抜かれかねない状況になってきて

第9表 アメリカン・バンカー紙の世界大銀行調査

順位 1990年末 1996年末

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位 13位 14位 15位 16位 17位 18位 19位 20位

第一勧業銀行 太陽神戸三井銀行 住友銀行 三菱銀行 三和銀行 富士銀行

Banque Nationale de Paris Deutsche Bank

Credit Lyonnais 日本興業銀行 Credit Agricole Mutuel 三菱信託銀行 Barclyas Bank Plc

National west minster Bank Plc 住友信託銀行

農林中央金庫 東海銀行 三井信託銀行 Dresdner Bank 日本長期信用銀行

東京三菱銀行 Deutsche Bank, AG Credit Agricole Mutuel 第一勧業銀行 富士銀行 三和銀行 住友銀行 さくら銀行 HSBC Holdings, plc.

農林中央金庫 Dresdner Bank

Banque Nationale de Paris 日本興業銀行

ABN−AMRO Bank, N. V.

Societe Generale Chase mannhattan Corp.

Union Bank of Swizerland NatWest Group

Credit Lyonnais Barclyas Bank Plc

注:(1)1990年末のランキングは預金量,1996年のランキングは総資産額をベースにして いる。

資料:「世界大銀行の預金順位表1990年末」『週刊金融財政事情』第42巻第33号及び「世 界大銀行の資産順位表1996年末」『週刊金融財政事情』第48巻第32号より作成。

同志社商学 第53巻 第5・6号(2002年3月)

36(310

(13)

いる。

さらに,「ザ・セイホ」とまで言われ,世界屈指の機関投資家として君臨していた生 命保険会社も苦戦を強いられている。大手生保

7

社の

01

9

月中間報告によると(第

11

表),新規契約高,保有契約高,実質純資産はマイナスとなり,新規契約高で朝日が

30% の伸びを示しているものの,解約失効では逆に 19.9% の増加となっており,実質

的な増加とはなっていない。また生命保険会社の健全性を示すソルベンシーマージン比 率も,各社軒並み比率を大幅に低下させている。

このように,時代の要請に合わせて,いや引きずられる形で拡大志向を続けるなら ば,消費者金融業界も同様の轍を踏んでしまうおそれがある。この「繁栄即滅亡」のシ ナリオから抜け出すためには,消費者金融業界も拡大志向ではなく,別のパラダイム,

コンセプトを持つ必要性がある。

そのひとつのヒントとなるのが「コンプライアンス」という概念だといえる。コンプ

第10表 主要証券取引所の株式売買代金比較(単位:10億ドル)

取引所 売買代金 取引所 売買代金

1位 2位 3位 4位 5位

ニューヨーク 東京 台湾 ロンドン NASDAQ

1325 1303 707 587 419

1位 2位 3位 4位 5位

NASDAQ ニューヨーク ロンドン 東京 ドイツ

10319 8945 3373 1630 1536 資料:「証券市場の国際比較統計」『証券』第43巻513号,1991年,及び「主要取引所市場

の国際比較統計」『証券』第52巻第615号,2000年,より作成。

第11表 大手生命保険7社の01年9月中間報告 新規契約高 保有契約高 解約・失効高 ソルベンシー

マージン比率 実質純資産 日本

第一 住友 明治 朝日 安田 三井

110,124

(▲11.4)

89,650

(▲8.8)

103,806

(5.8)

66,449

(▲2.8)

46,819

(30.0)

41,240

(0.0)

23,118

(▲14.8)

3,105,819

(▲3.3)

2,235,303

(▲2.6)

2,039,021

(▲4.3)

1,246,487

(▲2.3)

828,364

(▲3.8)

728,153

(▲3.1)

639,534

(▲7.0)

122,182

(▲3.6)

97,169

(▲4.4)

107,216

(6.7)

64,589

(2.6)

40,869

(19.9)

39,418

(9.3)

38,783

(22.9)

636.7

(▲141.4)

554.0

(▲128.3)

452.3

(▲99.0)

504.0

(▲163.2)

445.0

(▲98.4)

576.0

(▲26.6)

427.2

(▲65.5)

53,392

(▲18,721)

21.702

(▲9,803)

9,900

(▲5,300)

13,587

(▲5,781)

2,315

(▲3,395)

5,941

(▲2,611)

2,071

(▲1,720)

注:(1)単位:億円。ソルベンシーマージン比率は%。

(2)新規,保有,解約・失効高は個人保険と個人年金保険の合計額で,カッコ内は前年 同期比伸び率%。

(3)ソルベンシーマージン比率と実質純資産のカッコ内は01年3月末比の増減。

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (311)37

(14)

ライアンス,特に「金融コンプライアンス」は度重なる不祥事や問題に対応し,会社経 営のリスクマネジメント手法として

90

年代半ばに紹介された新たな概念である。コン プライアンスは,単純には「遵法」と訳され,法律違反をしないようにマネジメントを 行うことのように理解されている。しかし,欧米企業におけるコンプライアンスには,

法律違反をしないようにするということも,もちろん含まれてはいるが,しかし,法律 を守ることは当たり前のことであり,重点はむしろその上にある。すなわち,業務上の さまざまな業務マニュアル,守秘義務,その他の社内ルール,さらにはコミュニティと の関係のような行動指針などを広く遵守するというのが,コンプライアンス・プログラ ムの重要な部分を構成しているのであ

5

る。すなわち,単に法律を守ればよいというもの ではなく,合法的行動のみならず,リスクマネジメント的行動,模範的行動,を通して 理想的行動を追求するというものである。

しかしそうは言っても抽象的過ぎて解りづらいというのが事実であろう。それは,コ ンプライアンスを確立するのが目標になっているか,あるいはコンプライアンスを確立 する目的が明確になっていないからではないだろうか。そのため,消費者金融業におけ るコンプライアンスとはいったい何であるかという問い,あるいは何のためにコンプラ イアンスを構築する必要性があるのかという問いをする必要性がある。すなわち,コン プライアンスとは,単に法律を守れば良いという意味ではないとするならば,消費者金 融業におけるコンプライアンスを確立するための原理,原則を確認しておく必要性があ るといえる。

そのコンプライアンスのための原理原則を打ち立てるためには,消費者金融サービス 業とはいったい何であるのかを問い直すことが大切であろう。では,消費者金融サービ ス業とは一体何であるのか。それは,「金融業」「金融サービス業」と「消費者金融サー ビス業」を比べてみれば解りやすい。

まず「金融業」であるが,これはお金の貸借を業務とすることをさしているといえ る。すなわち,顧客と直接接する時の業務であるといえる。そして,預金業務,ブロー カー業務などがこれに当てはまる。消費者金融業では,貸付と回収がこれに相当する。

すなわち貸金業の規制等に関する法律で詳細に規制されている部分である。そのため

「コンプライアンスといえば,貸金業の規制等に関する法律を守ることだ」と捉えるこ とも可能である。これは最も狭い意味でのコンプライアンスであるといえる。

次に「金融サービス業」であるが,これは金融業にサービスが付いた概念であるとい える。すなわち金融業以上のサービスを行う業務であるということができる。故に「貸 付から回収までの期間に行われる業務」であるということができる。この場合は,金銭 消費貸借契約が締結されてからそれが完了するまでの間に行われる業務を含むこととな

────────────

5 浜辺陽一郎『図解 コンプライアンス経営』東洋経済新報社,1999年,9ページ。

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38(312

(15)

り,法律関係が生じている間のコンプライアンスを確立するのに必要な概念であるとい うことができる。顧客に対して適切な融資が行われているか,クレジットスコアリング による顧客管理,返済が確実に行われているか等々,完済までの間の顧客管理に繋がる 業務を充実させる必要性が高まる。

一方,「消費者金融サービス業」とは一体何であろうか。これは「消費者に対して行 われる金融サービス業」あるいは「消費者金融によって行われるサービス業」であると 解釈することもできよう。すなわち,消費者金融サービス業のどこかに・(中黒)をお くことによっていろいろな解釈をすることが可能だと言える。しかし「消費者金融サー ビス業は消費者金融サービスを行う業務である」と捉えた方がより明確になると考えら れる。すなわち,「消費者の金融に関わる事象全てに渡ってサポートを行っていく業務 である」と捉え,消費者の人生の同伴者として関わり,金融業や金融サービス業のよう な法的な関係を基盤とした関係ではなく,それ以上の付き合いを行っていく業務と捉え ることができるのである。これはファイナンシャルプランナー業務やクレジットカウン セリング業務をも含み,より親密に顧客と接していく業務であるということができる。

消費者金融サービス業を行っていくということは,並大抵の努力では不可能である。

それは金融業としての顧客とはなりえない消費者でも,顧客として接していくことが望 まれるからである。収益拡大主義では決してあり得ない概念だと言えよう。ましてや,

融資業務,回収業務以外にもファイナンシャルプランナーやカウンセラーの資格を必要 とする。しかし,日本版ビッグバンの時代となり,消費者にリスク管理と自己責任制を 求める時代では,単に消費者にのみその責任を押しつけるわけには行かない。新たな時 代に合わせた形での消費者金融サービス業を構築し,それを基盤としたコンプライアン スを確立し,総合的なリスクマネジメントを行っていくことが,何よりも求められてい るのである。

消費者金融業界発展の可能性(伊東) (313)39

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