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沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 : 八 重瀬町自治会調査をもとにして

著者 山本 素世

雑誌名 評論・社会科学

号 133

ページ 111‑136

発行年 2020‑05‑31

権利 同志社大学社会学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2020.0000000193

(2)

要約:筆者は,沖縄県島尻郡八重瀬町にて自治会の調査をする機会を得た。

伝統的な祭祀が営まれている自治会では,十五夜や旧盆の祭祀や行事は地域にとって重 要な行事とされている。一方,新しくできた団地では,祭祀行事は行われていないが親睦 を深める行事や情報交流を意識した行事が行われていた。

調査の結果,伝統的な祭祀や芸能は,その「地域の人」であるという意識を高めていき,

住民にとって誇らしく感じられており,住民は地域への愛着を醸成していっていることが わかった。また,この伝統芸能や祭祀は,住民にとって自分の地域を意識させるものとな っている。そして,伝統芸能や行事の継承は,地域の持続可能性と深くかかわっているこ とが見い出せた。

キーワード:沖縄,自治会,伝統祭祀,地域への愛着

目次 1.はじめに

2.沖縄県の地域自治組織 3.事例地の概要

3-1.八重瀬町の概要

3-2.八重瀬町の区・自治会の概要

3-3.自治会長ヒアリング調査にみる自治会の概要 3-3-(a).代表者の選出,任期

3-2-(b).組織構成

3-2-(c).区および自治会の財源

4.区および自治会で行われている活動や祭祀,行事 4-1.区・自治会で行われている行事や活動 4-2.伝統祭祀,行事

4-3.伝統芸能 4-4.小括 5.考察 6.おわりに

────────────

同志社大学社会学部嘱託講師

2020318日受付,2020323日掲載決定

論文

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察

──八重瀬町自治会調査をもとにして──

山本素世

111

(3)

1.はじめに

沖縄県には,本土と異なる独自の文化があり,伝統的な祭祀や行事,芸能がある。そ れらは,現在の生活においても自治会活動や青年会,婦人会の活動,保存会の活動など 様々に継承されている。

筆者は,かつて沖縄県の八重山地域の波照間島にて,島の伝統的な祭祀,行事,芸能 と子どもたちへの継承について調査した(山本

2012)。波照間島では,ムシャーマをは

じめとする伝統的な祭祀は集落をもとにしておこなわれており,島の地域自治組織であ る自治公民館は直接的な主催者ではないが,協力者であり無関係ではなかった。また,

伝統的な祭祀や行事,芸能を通じて子どもたちに「島のこども」であることを意識さ せ,それらの芸能を継承していきたいという活動が行われていた。それらの活動によ り,子どもたちには地域への愛着を形成すること,大人たちは,伝統祭祀や芸能を通じ て地域への誇りやアイデンティティを形成していることがわかった。筆者はこれらの知 見から,これらの活動や大人たちの思いは地域の持続可能性につながると考察した。

地域自治組織と伝統祭祀,行事との関係について小林は,竹富島の種子取祭の事例を 取り上げ,集落にとって伝統祭祀や行事は最も重要な共同事業であり,地域自治組織と は切っても切り離せない関係にあるとしている(小林

2008)。また,青年と伝統芸能に

ついては,山崎は沖縄の青年会の活動を調査し,青年たちが伝統芸能であるエイサーに 参加することを通じて地域との繋がりを感じ,地域への所属意識を感じるようになった と述べている(山崎

2007)。秋山は,子ども時代に竹富島の種子取祭に参加した経験を

大人になってどうとらえているかという調査を行い,「種子取祭は,竹富人としてのア イデンティティ保持に必要な「島人であることを確認する場」である」とのべている

(秋山

1997)。

伝統祭祀や行事は,それぞれの集落にとって住民がみんなで力を合わせて行う共同事 業である。祭祀や行事は,各集落が独自のやり方をしており,担い手である住民にとっ て他の集落との違いを意識しやすい。同じ獅子舞といっても,獅子の姿や演舞,地謡,

楽器が異なっている。集落のみんなが協力して実施されるため,各住民には何らかの役 割ができ地域のメンバーであるという共属感情が醸成される。その結果,共同体の結束 は強まる。つまり,伝統祭祀や行事で運営や演者として参加することを通じて,地域へ の所属意識が生まれ,自分の住む地域への愛着が醸成されると考えられるのである。地 域への愛着や所属意識は,その地域を維持していきたい,住み続けたいという思いの原 動力になっていると考えられよう。すなわち,地域の持続可能性に関わってくるのであ る。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 112

(4)

筆者は,沖縄県島尻郡八重瀬町にて,自治会の調査をする機会を得た(1)。八重瀬町の 自治会では,伝統祭祀や行事,伝統芸能が,多く実施されている。調査は,自治会活動 に関するヒアリングを中心に行った。また各自治会で行われている祭祀や行事,芸能に ついても伺った。さらに,旧盆の行事,十五夜の祭祀,などを見学する機会を得た。ま た追加調査として,ある地区の十五夜の祭祀については,準備段階から当日まで何度か に分けてヒアリングする機会も得た。

このような八重瀬町の伝統祭祀や行事,芸能に関する多くの調査結果をまとめていく にあたり,まず本稿で,地域の住民活動の全体像をとらえたい。そこで,最初に行った 自治会調査から伝統祭祀,行事,芸能を中心に町内の自治会の自治会活動を整理してお きたい。

本稿はこのような考えに基づき伝統祭祀や行事,芸能と自治会活動について考察を試 みるものである。

2.沖縄県の地域自治組織

本稿では,沖縄県島尻郡八重瀬町を事例地とする。沖縄県には,本土とはやや異なる 住民自治組織がある。そこで本稿の事例地の概要を述べるに先立ちこの住民自治組織に ついて述べておきたい。

沖縄県には,字公民館や区と呼ばれる組織があり,字公民館は社会教育法で行政が設 置した公民館とは異なり,いわゆる自治公民館と呼ばれるものである。地域では,単に

「公民館」と呼ばれていることが多く,「○○公民館」「字○○公民館」などの看板が掲 げられているのをしばしば見かける。

また,区は自治体にとっては行政区でもあるが,地域自治組織として自治会のように 運用されている地域がある。そして,字を中心に地域自治組織が形成されている地域が あり,字の単位で自治会や区が形成されている地域が見られる。

本土の地域自治組織では,明治時代に周辺の集落を「行政村」として統合した。統合 された旧村は,自治体の行政区となり区長がおかれた。基本的に行政が主体となり新し い行政区を区割りし,この区を自治の単位としてきた。しかし,沖縄では琉球王国時代 における村が,そのまま自治組織の単位となっておりほとんどが今日まで引き継がれて いる。この村(そん)は後に字と改称されている。村は,近隣の他の村との間に集団的 な境界が設定され,凝集性を維持してきた。そのことは,村の内部に価値規範を発展さ せてきた。この村が,地域自治組織の単位となっている。戦後に「行政区」として名称 を区にかえられても,この村は住民の自治組織であった。そして,村の本質,価値規範 は継続されてきたのであった。つまり,字を区と改称された範域に住む人は,今日もそ

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 113

(5)

のまま自治組織である部落会,自治会や区の構成員となっている(青木

2017 : 7-9)。し

たがって,字の範域が区の範域と一致している地域が多くみられている。

区には,区長とよばれる代表者がいる。区長は,行政職員ではなく行政からの出向者 や嘱託を受けた行政連絡員でもない。区の住民で区長をやろうという人が立候補あるい は推薦され,選挙で当選した人が区長となる。区長は,一住民でありこの点では自治会 長と同様である。区には,区長,副区長,会計,書記などの役員がおかれる。これに加 え,評議員とよばれる役員がおかれることがある。この区長や副区長,会計書記と評議 員で役員会が形成され,役員会で物事が決められていく。役員は,住民から選挙,推 薦,区長の指名,などの方法で選ばれる。また,区では区費をあつめて運営のための収 入としており,自治会が自治会費を集めるのと同様である。また,自治体からの助成 金,財産保存会などの地域に存する組織からの助成金を得ている場合もある。区が杣山 や駐車場,軍用地などを保有する場合は,そこから発生する資産収入を得ている。これ らの資産や公民館などを区で所有する為に地縁による団体の認可を受けている区も存し ており,この点も同じ理由で認可をうける自治会があるのと同様と言える。

区では,さまざまな行事や事業が行われている。この年間行事や事業は,区の役員会 が案をだし,総会で住民が承認して決定される。そのため区の主催する年間行事や事業 は,住民の自治活動として行われている。

一方,自治会とよばれる地域住民組織も存している。自治会は,那覇市など都市部に 多くみられ,新しく開発された地域,再開発によってできた住宅地域などに散見され る。都市部でみられる自治会は,自治会の範域がいわゆる○丁目というところや世帯数 が数十件程度のところも存しており本土の自治会の世帯数や規模と類似している。自治 会長をはじめとする役員が住民から選ばれ,総会で行事を承認して実施しており,伝統 的な祭祀行事を行っている自治会もある。とはいえ,先述の区が,組織の名称として自 治会と称している地域もみられているため,組織としての違いが明確であるとは言い難 い。

また区で行われている行事の活動実態と自治会で行われている行事の活動実態は,共 通しているものも多くみられおり,明確に特徴を区別できるものばかりではない。これ らを鑑み,本稿では,区も自治会も同様の地域住民組織としてとらえる。

本稿の事例地である八重瀬町には,区と自治会と呼ばれる地域自治組織がある。

3.事例地の概要

3-1.八重瀬町の概要

八重瀬町は,沖縄本島の南部の島尻郡に位置しており,島尻郡旧東風平町と旧具志頭

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 114

(6)

村が

2006

1

1

日に合併して誕生した自治体である。

八重瀬町は,那覇市から直線距離で約

10

キロに位置しており,北は豊見城市と南風 原町,東は南城市,西は糸満市に接しており,南は太平洋に面している。人口

31,554

人,世帯数

12,333

世帯(令和

2

1

月末日 八重瀬町役場住民登録人口による)で,

面積は

26.96 km

2である。

人口は,平成

2

年の

20,718

人から平成

27

29,660

人と増加傾向にあった(八重瀬 町

HP

掲載の国勢調査による)。さらに令和

2

1

月末日には,人口

31,554

人となって おり,依然増加傾向は続いている。なお,国勢調査によると平成

2

年から平成

7

年にか けての増加率は

11.2% と特に高くなっており,この期間に県営外間高層団地や県営大

頓団地,県営長毛団地などの団地が建設されたことが影響しているようである。また,

近年に県営伊覇団地も建設されたほか,土地区画整理事業が終了した地域にも住宅が建 設されてきたことも人口増加に影響しているとみられる。

世帯数は,国勢調査によると平成

2

年には

5,167

世帯であったのが,平成

7

年には

6,070

世帯,平成

12

年には

6,825

世帯となっており,それぞれ

12.7%,17.5% の高い伸

び率を示している。また,平成

22

年から平成

27

年には

18.3% の伸び率となり人口増

加よりも世帯数の増加率が高くなっている。

東風平地域(旧東風平町)と具志頭地域(旧具志頭村)では,東風平地域が平成

2

4,150

人から平成

27

20,547

人,令和

2

1

月末日では

22,506

人となっている。具志

1 八重瀬町位置図(八重瀬町HPより引用)

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 115

(7)

頭地域が平成

2

6,568

人から平成

27

8,519

人,令和

2

1

月末日では,

9,048

人とな っており,東風平地域の方でより増加している(全て八重瀬町

HP

の国勢調査による)。

産業としては,サトウキビやピーマン,オクラなどの野菜を栽培している兼業農家が 多くみられている。具志頭地域は,サトウキビだけでなく野菜の栽培が多く行われてお り,ピーマンは特産品であり,畜産農家も存している。なお,港川は糸満からの移住者 がもとになった集落であり,漁業従事者が多い。

交通の便では,琉球バス,沖縄バスの路線があり,東風平を経由して糸満バスターミ ナル方面,具志頭を経由して百名方面,糸満バスターミナル方面へのバスが通ってい る。東風平地域の中心部は,バスの本数も多く利便性の高い地域である。一方,東風平 地域の西側や具志頭地域はややバスの本数が少ない。

通勤・通学先では,那覇や南風原,糸満方面への通学・通勤が多い。特に八重瀬町内 の外間,宜次,友寄では,車でもバスでも那覇方面への利便性が高く通勤している人が 多いとのことであった。八重瀬町の西側にあたる小城や当銘,志多伯,高良などでは,

糸満市や豊見城市が近いため通勤者もみられるとのことであった。こうしたことから東 風平地域は,那覇への通勤通学圏であることや交通の便が良いため,今後も人口世帯数 の増加傾向はつづくと推測される。

商業施設は,東風平地域にマックスバリューやサンエー,かねひでなどの大型商業施 設が道路沿いに集中しており,具志頭地域には道の駅が存している。病院は南部徳洲会 病院ほか,民間医療施設が散在している。食料品など日常的な買い物は,東風平地域の 大型スーパーがよく利用されている。買回り品は,南風原や那覇方面に出かけることが 多く,映画などの娯楽も同様とのことであった。全体として,都市に近接した利便性の 高い地域と言えるだろう。

3-2.八重瀬町の区・自治会の概要

八重瀬町には,区および自治会が計

34

存している(2020年

1

月末日現在)。本調査 は,2017年

3

月,2017年

7

月,9月の

3

(2)に分けて,33の区と自治会を対象として 実施した。県営伊覇団地は,調査時点では自治会が未設立であったため調査対象として いない。

八重瀬町には,23の字については区と称する地域自治組織が存している。これらは,

かつて字が村であったころの部落会などの地域自治組織が引き継がれてきたものであ り,戦前からの字の境界を引き継いでいる。一方,戦後に建設されてきた県営住宅や民 間の開発による戸建団地は,住居表示としては

23

のいずれかの字内に存している。し かし,字の地域自治組織である区とは別に自治会が設立されている。このため,地域自 治組織としての区の管轄する範域は,県営住宅や民間開発の戸建団地を除いた字の範域

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 116

(8)

となっている。

民間開発による戸建団地で自治会が別途設立された理由としては,共同の浄化槽が設 けられておりその管理のために管理組合が必要であったこと,団地の区域に街灯を設置 するためには,街灯の管理をするための自治会が必要であったことなどがあげられる。

また,県営住宅では,街灯などの維持管理のために自治会が設けられ入居者は必ず入会 する必要があるという規約がある。これらの理由から,区とは別に自治会が設立されて きた。

したがって,八重瀬町における地域自治組織としては,字を範域とする区と新しく建 設された県営住宅や戸建団地を範域とする自治会が併存している。区の代表者は区長と 呼ばれ,自治会の代表者は自治会長と呼ばれている。なお,これらの区と自治会の範域 は,八重瀬町の行政の区分と重なっており,八重瀬町では県営伊覇団地を含むと

34

の 行政区分があることになる。

また,区長・自治会長事務連絡会として,毎月第一木曜,第三木曜の月

2

回,町役場 にて会合がある。区長・自治会長事務連絡会では町からの諸連絡や配布物を受けとり,

協議事項について話し合われる。事務連絡会では,東風平地域から会長がでれば,具志 頭地域は副会長としており,翌年は具志頭地域が会長,東風平地域が副会長となり,会 長と副会長の任期は

1

年である。

八重瀬町の区と自治会は,以下のようになっている。

東風平地域(旧東風平町)22

13(東風平,伊覇,上田原,屋宜原,富盛,世名城,高良,志多伯,当銘,小城,

宣次,外間,友寄)

自治会

9(県営外間団地,県営外間高層団地,県営屋宜原団地,友寄第一団地,白川

ハイツ,大倉ハイツ,友寄東ハイツ,屋宜原団地,県営伊覇団地)

なお,県営伊覇団地は,2017年

9

月より入居が開始された。

具志頭地域(旧具志頭村)12

10(具志頭,新城,後原,大頓,玻名城,安里,与座,仲座,港川,長毛)

自治会

2(県営大頓団地,県営長毛団地)

なお,字宜次には,白川ハイツ,県営外間団地,字友寄には友寄東ハイツ,友寄第一 団地,大倉ハイツ,字外間には,県営外間高層団地,字屋宜原には屋宜原団地,県営屋 宜原団地,字伊覇には県営伊覇団地がそれぞれ存している。同様に字長毛に県営長毛団

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 117

(9)

地,字大頓に県営大頓団地が存している。

また,白川ハイツ,友寄東ハイツ,友寄第一団地,大倉ハイツ,屋宜原団地は,民間 開発による戸建団地である。一方,県営外間団地,県営外間高層団地,県営屋宜原団 地,県営伊覇団地,県営長毛団地,県営大頓団地は,県営であり集合住宅である。これ 以外の区では,中心部は戸建て住宅が中心となっているところが多いが,東風平や伊 覇,友寄など集合住宅が増えている地域もみられている。

自治会の加入率については,調査時点(3)では加入率が高い区や自治会もあるが,低い 区や自治会もあるなど,区と自治会の違いは明確ではなく平均して

69.5% となってい

る。全ての県営団地では,入居の条件となっているため加入率はほぼ

100% となる。戸

建団地は,大倉ハイツが

66.4% であるが,他の戸建団地は 8

割から

9

割となっており,

街灯の維持管理,浄化槽の維持管理があるためと考えられる。また,区では,志多伯や 世名城,与座が

8

割強となっているが,他の区は

6

割前後から

7

割である。八重瀬町 は,人口が増加傾向にあるためアパートなどの集合住宅が増加している。この集合住宅 の住民では自治会に加入しない傾向があるとのことであった。このため,集合住宅の建 設がおおい区では,区への加入率が低くなる傾向がある。また,屋宜原など区画整理で 住民が移住してしまい,まだもとの住民がもどっていない区も加入率は低い。ヒアリン

2 八重瀬町町域図(八重瀬町HPより引用)

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 118

(10)

グでは,集合住宅以外の世帯,集落の中心部に居住している住民世帯は,ほぼ

100% が

区に加入しているとの意見が多くみられた。

なお,区に入る(区民になる)および自治会に入る条件としては,その区や自治会の 範域に住んでいる住民であること,区民(会員)として活動する意思があり区(自治 会)に申し出ること,区費(自治会費)をおさめることとなっているところがほとんど であった。

3-3.自治会長ヒアリング調査にみる自治会の概要

調査においては,1)地域の概要,2)自治会の概要,3)自治会の活動内容,4)地域 の課題や合併評価について質問した。ヒアリング調査では,調査時点で自治会が設立さ れていなかった県営伊覇団地をのぞくすべての区・自治会にヒアリングを実施できた。

本項では,これらの質問項目のうち自治会の活動内容に焦点を当てたい。しかしなが ら,これらの区・自治会がどのような組織であるかを整理しておくことは,活動を考察 していく前提として重要である。そこで,まずは八重瀬町の区・自治会の概要を整理し ておきたい。

3-3-(a).代表者の選出,任期

区長および自治会長の任期は,2年というところが多かった。玻名城,仲座,県営住 宅や団地では

1

年のところもあった。このほかに東風平,富盛,志多伯など副区長が区 長になるという規約を設けている区は,副区長

1

年,区長

1

年やり合計

2

年という考え 方である。この場合は,副区長が自動的に次の区長になるため,副区長が選挙で選ばれ る。東風平地域では,このように副区長をやってから区長という方法が見られた。一 方,具志頭地域では,任期

1

年の区や自治会がいくつか見られた。

選出方法は,どこの区も自治会も原則選挙であった。立候補を募るが立候補者がいな い場合は,推薦で候補者を選び選挙としているところがみられた。これは,選挙をする ことにより選ばれたという意識が当事者に持てるからとのことである。また,推薦の際 には,推薦人が

5

名必要,保証人が必要などの規約がある区も見られた。

自治会長に関しては,県営外間高層団地など輪番制で任期

1

年としている自治会もあ った。なお,団地の自治会では高齢化が進み引き受け手がいないため,交代しにくいと いう談話があった。

沖縄県ではしばしばみられるケースであるが,区から給与を得ているいわゆる専従者 がいる区は

10

ある。主に区長,副区長,書記が公民館に専従者として常駐している区 と区長および副区長は常駐していない非常勤であるが,書記が公民館に一定時間常駐し ている専従者である区がみられる。自治会は,集会所があっても常駐している専従者は 見られない。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 119

(11)

3-2-(b).組織構成

区および自治会の組織構成においては,役員として区長および自治会長,副区長およ び副会長,書記会計,監査と班で構成されている点は,共通している。班には,班長が 決められておりほとんどの区・自治会では

1

年の任期である。

区では,評議員を数名から十数名定めているところが多く見られた。評議員は,区の 役員であり区の事業や予算を協議する。任期は

2

年というところがほとんどであるが,

1

年のところもみられる。また,事業に際しては実行委員として携わることも多いよう である。

評議員の決め方は,班から

1

名か

2

名推挙する,班にこだわらず全体から必要人数を 出す,選挙できめるなどであり総会の承認をもって決定されている。また,青年会や老 人会などの各種団体の長が評議員となり,他の区の評議員には該当するのは運営委員と なっている区もある。他に前区長や年長者が顧問として,1年任期の相談役となる区も みられた。

自治会では,自治会長,書記会計,班長で役員会を構成しているところがほとんどで あった。班長は

1

年の任期であり,広報紙の配布や自治会費(区費)を集めるだけでな く,行事の際には運営委員としても活動する。

区および自治会では,安全部会,環境部会などのいわゆる部会制を採用しているとこ ろはほとんどみられなかった。評議員が部会に相当する担当者となっている場合がある ようだが,今回入手した総会資料や組織図では,部会は見当たらなかった。町からの連 絡事項は,区長・自治会長事務連絡協議会にて区長・自治会長が持ち帰る。内容に応じ て評議員や班長が集まって,合議し行事や案件ごとに分担して運営するやり方と考えら れる。

関係する諸団体として,老人会はほぼすべての区や自治会に存していた。婦人会ある いは女性会も存しているが,担い手がいなくなったということで活動を休止している区 や自治会もあった。子ども会は,子どもが少なくなったため休止した区や自治会もある ものの比較的多く存する。青年会については,人口の多い区に存しており活動も活発の 様であるが,人口の少ない区では青年会はあるものの人数が少なくあまり活動できてい ないという話もきかれた。

ここでは,区および自治会の行事については,評議員や班長が担い手の中心となって 活動していることを確認しておきたい。また,青年会が活発に活動している区が見られ ること,婦人会・女性会という組織が存していることをおさえておきたい。

3-2-(c).区および自治会の財源

区・自治会の活動を行う上で財源が必要である。その財源の一つが区費,自治会費で ある。八重瀬町の区・自治会でも区費・自治会費を徴収している。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 120

(12)

区費(字費とも呼ばれる)・自治会費については,班長が毎月集める区や自治会もあ れば,1年あるいは半年とまとめて公民館および集会所に持参する区や自治会もある。

区費については,計算方法が区ごとに定められている。区費は,戸数割+人数割+稼 働割,世帯割+稼働割,資産割(土地割)+人員割+稼働割などの計算方法で世帯ごと に算出される。稼働者は,概ね

20

歳から

64

歳までの勤労者とするところが多く,学生 は除外されている。また,稼働者の年代や性別により金額を変えている区もみられた。

人数割については,0歳児から数えられ上限を

6

名などと設けている区もある。なお,

先述とは逆に全体予算を算出し,そこから戸主割,稼働割などを算出して各世帯の区費 を割り出している区もみられた。このようにして計算されるため区費は,区によって異 なるが世帯当たり毎月

1,000

円前後から

5,000

円程度となっていた。

自治会では,世帯当たり月額

1,500

円から

3,800

円など定額で決められていた。県営 団地は,県の定める共用費がもとになり計算されている。浄化槽がある場合は,その維 持管理の為にやや高くなるそうである。地域内の街灯費は,自治会から支払われるため 一か月あたりの電気代がかかるということであった。

なお,独居高齢世帯,単身親世帯,生活保護世帯に対しては,減免するなどの対応を している区や自治会もみられた。アパートなど賃貸の住民に対して,街灯代の負担をし てもらいたいということで毎月

500

円をお願いしているところもあった。

これらの区費,自治会費以外の財源として,駐車場やアパート,自衛隊用地などを持 っている区があり,そこからの賃料が収入となる。また,区の入会地などの資産管理団 体の寄付や地域出身者からの寄付などもあるそうである。八重瀬町は,宝くじの助成金 の申請支援などを行っており,毎年いくつかの区や自治会が申請して助成を受けている とのことであった。

4.区および自治会で行われている活動や祭祀,行事

ここでは,区および自治会が実施している活動として,自治会活動と伝統祭祀行事お よび芸能についてとりあげたい。ヒアリング調査では,年間行事表を見せてもらうこと ができ,区や自治会の年間行事として認識されているものを確認できた。

年間行事には,「村拝み」と呼ばれる祭祀,それに伴って行われている旧盆や十五夜 などの伝統行事があった。また,伝統行事に付随するように伝統芸能も実施されてい た。伝統行事と伝統芸能は,一体的に行われていると考えられる。それとは別に,いわ ゆる親睦のためのイベント,環境維持活動などがあった。そこで,これらの伝統的な祭 祀,行事と本土の自治会でも行われているような親睦交流,環境維持などのいわゆる自 治会活動をわけて考えたい。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 121

(13)

4-1.区・自治会で行われている行事や活動

親睦交流や環境維持,情報伝達などをはじめとするいわゆる自治会活動は,八重瀬町 の区・自治会でも様々に行われている。今回のヒアリング調査で得た情報をもとに,整 理したのが,表

1

である。ここでは,伝統祭祀行事と区別する為に自治会活動とし た(4)

1 八重瀬町の区・自治会の活動(筆者作成)

地区名 主な自治会行事(調査時点) 関係組織,芸能保存会

東風平

班対抗グランドゴルフ大会,草刈り作業,藁購入,綱つくり,

さとうきびくじ引き,年末大掃除,新春マラソン,新春グラウ ンドゴルフ大会

長寿会,婦人会,青年会,子ども

2,棒術保存会,エイサー保存

会,青少協 伊覇 区民スポーツ大会,敬老祝賀会,字内清掃活動,忘年会,新春

グランドゴルフ大会 老人クラブ,婦人会,子ども会

上田原 大掃除,区民交流会,グランドゴルフ・バーベキュー,新春マ ラソン・親睦ゲートボール,新年会

老人会,子ども会,青年会(休止 中)

屋宜原 屋宜原祭り(2年に1回) 老人会,子ども会,オヤジの会 富盛

道路愛護デー,区慰霊祭,旧盆盆踊りの夕べ,ソフトボール大 会,マラソン,ゲートボール大会,グランドゴルフ大会,公民 館祭り

青年会,子ども会,婦人会,老人 会,伝統芸能保存会

世名城 草刈り,区民運動会,綱なおし 女性会,老人会,子ども会,棒術 保存会,ウスデーク保存会 高良 多目的広場草刈り,グランドゴルフ大会,黒糖づくり交流会,

拝所清掃,綱修理,新春餅つき大会,敬老会(十五夜祭と同時)老人会,青年会,子ども会 志多伯 草刈り,字グラウンドゴルフ大会,敬老会,新春スカットボー

ル大会,サトウキビくじ引き

老人会,婦人会,青年会,子ども 会,伝統文化保存会,獅子舞棒術 保存会

当銘 敬老会,区民グランドゴルフ大会,西河バス停花植え 老人会,女性会,青年会,子ども 会,保存会(棒術,三線)

小城 区民運動会,区民作業[道路整備),区民駅伝,クロスカント リー

老人会,婦人会,青年会,子ども 会,棒術保存会

宜次

区民清掃,敬老会,体協慰労会,新春マラソン大会(餅つき 会,評議員新年会を同日開催),夏祭り,こども綱引き,字誌 編纂

スバル 老 人 会,女 性 会(2017 より休止),子ども会(青少協),

棒術保存会 外間

三世代グラウンドゴルフ大会,共同清掃作業,夏休みラジオ体 操,シーサー作り,子どもエイサー,敬老会,新春グラウンド ゴルフ大会

老人会,女性会,子ども会,青少

友寄 草刈り,グランドゴルフ大会(1月,6月),敬老会,児童オリ ンピック,ミニデイサービス,広報紙発行

青年会,子ども会,棒術・獅子舞 保存会

友寄第一 団地

ピクニック,リサイクル活動,ミニデイサービス,清掃作業,

敬老会,納涼祭,新年餅つき大会,グラウンドゴルフ大会

結の会,婦人部,子ども会,二世 会,一茶会

白川 ハイツ

白川ハイツ便り発行(月2回),パークゴルフ,草取り作業,

パークゴルフ場整備,ミニデイサービス,パークゴルフ大会,

夏休み巡回パトロール,夏祭り,敬老会,美化活動(花の植栽)

老人会,子ども会 大倉

ハイツ

ミニデイサービス,清掃,夏祭り,敬老会,グランドゴルフ大

会,夏休み夜間パトロール 老人会,子ども会

屋宜原 団地

ミニデイサービス,大掃除,夏祭り,敬老会,グランドゴルフ 大会,集会所公園の整備作業

子ども会,その他集会所利用サー クル有

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 122

(14)

県営外間

団地 定期清掃(ゴミ拾い,草刈り,月1回か2カ月に1回) 子ども会,青少協 友寄東

ハイツ

友寄東ハイツ便り発行,ミニデイサービス,定期清掃(草刈り 2カ月に1回,花植え),夏祭り(7月),新年会

子 ど も 会,青 少 協,ふ く ふ く 会

(65歳以上のサークル)

県営外間

高層団地 定期清掃(毎月1回),ミニデイサービス 結の会(老人会)

県営屋宜 原団地

定期清掃(毎月),ミニデイサービス,防災訓練,夏祭り(毎

年ではない) 子ども会

具志頭 製糖終了祝い,部落内清掃,区民パークゴルフ大会,部落内年 末大掃除,字誌作成

老人会,青年会,子ども会,体育 部,汗水節保存会

新城 道路環境整備,ハロウィンin新城,区内一斉清掃,春のパー クゴルフ大会

老人会,青年会,子ども会,シー ヤーマー保存会

後原 区民運動会,製糖終了祝い,さとうきび花祭り,環境美化作 業,新春マラソン

老人クラブ,婦人会,子ども会,

青年会

大頓 3世代パークゴルフ大会,敬老会,全体清掃 老人会,子ども会 玻名城 道路デー(整備清掃),製糖終了祝い,敬老会,新春パークゴ

ルフ大会

老人会,婦人会,子ども会,獅子 舞保存会,青少協

安里 製糖終了祝い,清掃,十五夜慰労会,部落レク大会 老人会,婦人会,子ども会,青年 会,保存会(棒術,ウフデーク)

与座 区民パークゴルフ大会,特別道路清掃作業,忘年会 老人会

仲座 世持ち川清掃,道路清掃,各種団体集い(4月),きびくじ割 老人会,婦人会,青年会,子ども

港川

こいのぼりあしび,ハーレー前大掃除,雄樋川クリーンアップ 作戦,役員と子ども会交流会,老人会と子ども会交流会,敬老 会,老人会ピクニック,区の慰霊祭(海難者),新年祝賀会,

年末掃除および忘年会

老人会,子ども会,漁協,悪臭対 策委員会,角力保存会

長毛 草刈り作業,夏祭り,区民レク(パークゴルフ,グランドゴル

フ),新年会(村拝願と同日) 老人会,子ども会

県営長毛

団地 全体清掃(敬老会は老人会主催) 老人会,子ども会(2017より休止 中)

県営大頓

団地 全体清掃(月1回)

区・自治会を問わず多く行われていたのは,敬老会である。敬老会は,十五夜の行事 と連続した日程や同日に実施する区もあった。また,自治会の主催行事ではなく老人会 が主催し,区や自治会は共催や協力としているところもあった。敬老会では,婦人会や 子ども会,青年会による歌謡や踊り,エイサーなどの披露があるという区も多くみら れ,何らかの芸能の出演があるようであった。また,それぞれの年齢に応じた生年祝い も行われており,該当者がいる場合はカジマヤーが行われる年もあるそうだ。

親睦と交流を目的としたスポーツ活動も多く行われていた。グランドゴルフ大会,ソ フトボール大会,マラソン大会,区の運動会,区民スポーツ大会,レクレーション大会 などである。このうち世名城では,区民運動会が

51

回目(2016年)となっており沖縄 県下でも長く続いている地域だそうである。全ての区で,何らかのスポーツ活動が行わ れていた。この区民運動会やスポーツ大会は,区の住民を対象として区主催で行われて おり,八重瀬町全体での町民を対象とした運動会や陸上大会とは別のものである。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 123

(15)

一方,自治会では戸建団地である友寄東ハイツ,友寄第一団地,大倉ハイツ,白川ハ イツ,屋宜原団地で,グランドゴルフ大会などのスポーツ活動が行われているが,県営 団地ではこのよう活動は見られなかった。

夏祭りでは,後原の旧

7

11

日の盆踊り,新城の旧盆の土日にエイサー盆踊りの夕 べのように旧盆の時期の行事として行われている区もみられる。また,富盛では旧盆盆 踊りの夕べ,宜次では夏祭りとしているように旧盆の行事とは別にしている区がある。

なお,旧盆の行事そのものが夏の祭祀行事でもあるため,別途夏祭りは実施していない 区もみられる。これらの夏祭りでは,区・自治会の予算のほかに区民・会員,地域の民 間企業などからの寄付(5)を受け付ており,寄付は予算の一部として見込まれていた。

自治会では,友寄東ハイツは

7

月最終土曜に夏祭り,大倉ハイツは夏休み中の土曜に 夏祭り,友寄第一団地は敬老会の同日に納涼祭を実施している。県営団地や上記以外の 戸建団地では,一時期は夏祭りを行っていたが,近年,担い手の問題や費用の問題から 行われなくなっているそうである。

地域の環境整備として草刈りや道路清掃,清掃活動がある。これらは,区でも自治会 でも年に数回行われている。県営団地では,この清掃活動を定期的に行っているところ が多く,住民が顔を合わせる貴重な機会となっているそうである。終了後にお茶やお菓 子を配布してちょっとした交流の場とされていた。

また,高齢者に対するミニデイサービスを自治会の行事に挙げている自治会も多く見 られた。ミニデイサービスは,自治会主催だけでなく社会福祉協議会や婦人会,老人 会,地域の有志の会などの団体との共催,委託などの形で行われているとのことであっ た。

伊覇は,区民視察として隔年にあちこちに視察に出かけている。また,新城では,子 ども会とハロウィンの行事を行っていた。

八重瀬町内では,サトウキビ栽培が多く行われているため,サトウキビを納める順番 のくじ引き,製糖終了祝いも毎年の区の行事として挙げられていた。

この他には,バーベキュー,忘年会,新年会,広報誌の発行なども行われている。な お,綱引きの綱をなう,綱の修理は伝統行事の綱引きの準備のための活動であるが,ヒ アリングでは区民みんなで行うので,祭祀行事というよりは区の活動であるという意見 が聞かれた。

4-2.伝統祭祀,行事

次に,伝統祭祀と行事をとりあげる。伝統祭祀と行事については,ヒアリングの際に 祭祀,伝統行事に該当するものをそれぞれの区に確認した。それらをまとめたのが,表

2

(6)である。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 124

(16)

2 伝統祭祀,行事(筆者作成)

地区名 伝統祭祀,行事(調査時点) 地域の芸能

(民俗芸能,伝統芸能)

関係組織,

芸能保存会

東風平

清明祭,あぶしばれー,旧5月ウマチー,6月ウマチ ー,うはち,しーしまい,旧盆綱引き,旧8月十五夜め ーしんさ,めーしくみ,豊年祭,旧盆エイサー(道ズネ ー),かままーい,ガンゴー祭,はちうくしー

棒術,エイサー,獅 子舞

長寿会,婦人会,青 年 会,子 ど も 会2,

棒術保存会,エイサ ー保存会,青少協 伊覇 5月ウマチー,アブシバレー,6月ウマチー,カママー

イ,初興し

老 人 ク ラ ブ,婦 人 会,子ども会 上田原 アブシバレー,旧1224日師走御願,旧13日初御

老人会,子ど も 会,

青年会(休止中)

屋宜原 アブシバレー,1月ハチウクシー 老人会,子ど も 会,

オヤジの会

富盛

前拝み,5月ウマチー,6月ウマチー旧盆ウンケー,旧 盆中日,旧盆エイサー(道ズネー),伝統保存会初興し,

十五夜,タントイ棒,総御願,カマの御願,龕の祝い拝 み,旧正月拝み新年祈願,初興し祈願

十五夜の唐人行列,

大 和 行 列,ヨ ン シ ー,組踊,旗頭。綱 引き。棒術,旧盆の 道ズネー,エイサー

青年会,子ど も 会,

婦人会,老人会,伝 統芸能保存会

世名城

清明祭,三月御祭・三月御初,三日御タカビ,五月御 祭,六月御初・六月御祭,七夕御願,ウンケー御願,ウ ークイ綱引き,ウスデーク御願,コーヌ御願,メーシク ミ御願,八重瀬の御願,カママーイ,師走の御願,初起 こし,二月御祭

十 五 夜 の ウ ス デ ー ク,棒術

女性会,老人会,子 ど も 会,棒 術 保 存 会,ウスデーク保存

高良

ウハチ拝み,5月ウマチー,ミイチャタカビ,夕盆,カ ー拝み,6月ウマチー,夕盆,カー拝み,夏ヌウハチ,

七夕綱引き,ウンケー綱引き,8月十五夜拝み(奉納舞 踏),十五夜祭,白露の拝み,カママーイ,ウガンブト チ,旧正月拝み,ハチウクシー,カー拝み

花笠踊り,ヌグイク ライタカヒラマンザ イ(踊り)

老人会,青年会,子 ども会

志多伯

清明祭,アブシバレー,5月ウマチー,6月ウマチー,

綱引き,6月ウガ ン,7月 ウ ガ ン,7月 綱 引 き,彼 岸,

十五夜ウガン,石獅子ウガン,菊酒,水のウガン,シー シウガン,初起し,獅子加那志(十五夜豊年祭,年忌)

獅子舞,棒術,組踊

老人会,婦人会,青 年会,子ども会,伝 統文化保存会,獅子 舞棒術保存会

当銘

3月ウガン,清明,アブシバレー,5月ウマチー,綱う ち,6月ウマチー6月ウガン,6月つなひき,7月綱引 きウークイ,カママーイ,安里毛ウガン,初ウクシー,

龕甲祭(年忌)

棒 術,龕 甲 祭(組 踊,旗 頭,芝 居 な ど)

老人会,女性会,青 年会,子ども会,保 存会(棒術,三線)

小城

初判断,アブシバレー,ヤハタ収集,床ウマチー,5 ウマチー,6月ウマチー子ども綱引き,6月御願,七夕,

綱引き,エイサー,菊酒,シマクサラシ御願,年末御 願,初御興し,龕甲祭(年忌)

棒術,龕甲祭(組踊,

旗頭,芝居など)

老人会,婦人会,青 年会,子ども会,棒 術保存会

宜次

豊見蔵シーミー,ヤマアキ―,5月ウマチー,6月ウマ チー,人頭拝み,ソーロー拝み,旧盆大綱引き(3年に 一回),ヨーカビー,今帰仁廻り,旧99日島腐らし,

ヨーカビー,ガンゴー,年頭拝み,ウガンブトゥチ,カ ーウビー,20日正月,2月ウマチー

棒術

スバル老人会,女性 会(2017年 よ り 休 止),子 ど も 会(青 少協),棒術保存会

外間

清明祭,5月ウマチー,6月ウマチー,チヂヌウガン,

ウークイ,旧816日サチヒジャー拝み,旧99 クングァチクニチー,1月初ウクシー

旧 盆 子 ど も エ イ サ ー,子 ど も 獅 子 舞

(道ズネーをする)

老人会,女性会,子 ども会,青少協 沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 125

(17)

友寄

初ウビー,旧十六日祭,アブシバレー,5月ウマチー,

清明祭,神シーミー,カシチー祈願,十五夜祭(道ズネ ー),ウンケー,ウークイ,シーシーうがん,カシチー うがみ,トゥンジー,チムジュリー祈願,ムーチー,旧 1224日ウガンブトゥチ,旧13日ハチウビー

獅子舞,棒術,エイ サー

青年会,子ど も 会,

棒術・獅子舞保存会

具志頭

清明祭,ハマガー掲示,3月の御願,アブシバレー,十 五夜の御願,ゴーの御願,師走の御願,彼岸掲示,綱引 き(3年に1回)

旧盆エイサー,汗水 節,組踊

老人会,青年会,子 ども会,体育部,汗 水節保存会 新城

清明祭,アブシバレー祝い,6月ウマチー,エイサー盆 踊りの夕べ,菊酒拝み,龕屋拝み,新正月拝み,旧正月 拝み

シーヤーマー,エイ サー

老人会,青年会,子 ども会,シーヤーマ ー保存会

後原

アブシバレー,旧711日盆踊り,旧99日(菊酒)

拝み,旧1224日拝み,旧13日(初ウクシー)拝

老 人 ク ラ ブ,婦 人 会,子ども会,青年

大頓 清明祭,アブシバレー,旧99日クングヮチク二チー

の拝み,初拝み,初興し 老人会,子ども会

玻名城

清明祭,アブシバレー,ウンケー,旧盆,シーサーウー クイ,彼岸,旧十五夜(道ズネー),旧99日,青年 エイサー祭り,浜下り

獅子舞,棒術,エイ サー

老人会,婦人会,子 ども会,獅子舞保存 会,青少協

安里

3月御願,地の御願,アブシバレー,5月ウマチー,6 月御願,ウフデーク,十五夜綱引き,9月御願,ヤフシ ギの御願,新年ウビー御願,ギーザウビー御安

棒術,ウフデ ー ク,

エイサー

老人会,婦人会,子 ども会,青年会,保 存会(棒術,ウフデ ーク)

与座

浜下り,清明祭,アブシバレー,与座の殿清掃,世持井 清掃,七夕御願,根屋ウークイ,十五夜御願,9月御 願,ムーチー御願,16日祭

老人会

仲座 清明祭,アブシバレー,十五夜御願,角力大会,ムーチ ー御願

老人会,婦人会,青 年会,子ども会 港川

ハーレー祭,角力大会,旧1010日火・水の御願,汗 水節フェスタ,シワーシの御願,旧正月(ソーグァチ御 願),初興し,3月立ち御願

老人会,子ど も 会,

漁協,悪臭対策委員 会,角力保存会

長毛 村拝願 老人会,子ども会

「村拝み」と呼ばれる拝所に行き,供物を祀り拝みを行う祭祀は,多くの区で行われ ていた。自治会は,新しくできた住宅地であり拝所や御嶽をもたないため,このような 祭祀は行われていなかった。

祭祀としては,初ウクシー,清明,6月ウマチー,ウンケー,三月御願,七夕御願,

シーシマーイ,豊年祭,カママーイ,などをあげている区が多かった。区によって表記 や呼び方が多少ことなるようである。

これらの祭祀は,旧暦にしたがって行われる。このため該当する日が平日になること もしばしばあるため,いわゆる「勤め人」は,参加しにくい。実施しているどの区で も,区長や副区長,役員が中心になって拝所に赴き拝みをされるとのことであった(7)。 なお,拝所や御嶽は,共有地として区が管理していた。

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 126

(18)

また,東風平や玻名城,具志頭などをはじめとして,アブシバレーをしている区が

15

あった。同様に,春に海岸にでかける浜おりをしている区も具志頭地域に多くみら れている。東風平地域は,海に面していないため,浜おりは行われていなかった。アブ シバレーは製糖の終了祝いを兼ねて行っている区もあり,具志頭地域に多くみられた。

旧盆では,綱引きを行う区がある。東風平,富盛,友寄,世名城,宜次,志多伯,当 銘,小城,高良,具志頭,安里,玻名城では,綱引きが行われている。綱は,材料であ る藁を買い入れて,区で綯われており住民総出で行われる。富盛では

3

年に

1

回であ り,区民が一堂に会して綯われるため,重要な行事であるとのことであった。なお,農 業が米作からサトウキビに転換されたため綱の材料の藁が地元で賄えなくなり,金武町 など北部から買い入れいているそうである。綱は,3年に

1

度綯いそれ以外の年は修理 をおこなう区が多いようであった。藁の入手が困難になり,買うと費用も多額になる。

こうしたことから,新城のように綱引きをしなくなった区もみられている。

豊年祭は,旧

8

15

日の十五夜の行事として行われている。毎年行われている区も あるが,志多伯のように年忌(1年

3

7

13

25

33

年)ごとに行われる区もあ る。当銘と小城は,年忌ごとに共同で豊年祭である龕合祭を行っている。この龕合祭で は,午前に共通の龕にそれぞれの区長が一緒に参拝し,拝みをおこなう。その際に,そ れぞれの区から旗頭がでてきて競り合いがおこなわれる。その後,それぞれの区にもど り舞台で,棒術や歌謡,踊り,組踊,演劇などが披露されていた。他にも十五夜の行事 では,富盛の唐人行列や大和人行列,玻名城の弥勒など区ごとの特色もみられている。

十五夜の行事は,区では一年の中で重要な行事とされており,午前中に祭祀である拝 みが行われ,夕方から夜半にかけて舞台で歌謡,踊り,演劇,棒術,獅子舞をはじめと した様々なプログラムが

4

時間から

6

時間近くかけて実施されている。終了はしばしば

写真1 豊年祭の拝所での拝み(筆者撮影)

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 127

(19)

23

時頃になる区もあり,区によっては,2日間かけて行われるなど盛大である。これら の豊年祭は,多くの人手が必要である。勤め人の割合が多くなると平日の実施が難しい という理由で,十五夜当日は拝みを行うが,舞台や道ズネー,綱引きはその直後の土日 に行うようになった区も出てきている。

こうした祭祀は,農業にかかわるものであるため農業集落であった区で行われてい る。一方,港川は糸満と関係が深く漁業を生業とする人がおおい集落である。このた め,上記のような祭祀とは異なっており,旧歴

5

4

日に港川ハーレーが行われてい る。

ここでは,これらの祭祀行事について,区長や区の役員が拝所に行き「拝み」を行う のをはじめとして区が主催して行っていることを確認しておきたい。

4-3.伝統芸能

八重瀬町内で行われている伝統芸能には,獅子舞,棒術,ウフデーク,組踊などがあ る。実施されている区では,伝統芸能の保存会が設立されている。先述のように旧盆や 十五夜(旧暦

8

15

日)は,重要な祭祀行事として区で盛大に行われ,それにともな ってこれらの伝統芸能も披露される。

棒術は,東風平,富盛,世名城,志多伯,友寄,宜次,当銘,小城,安里,玻名城で 行われている。それぞれの区で,衣装も異なり演舞も異なっており,独自性がある。

獅子舞は,友寄,東風平,志多伯,玻名城で行われている。獅子舞は,十五夜の舞台 などでおこなわれている,玻名城では,旧盆にも獅子舞の道ズネーが行われており,沿 道では多くの住民が見学していたり,獅子に赤ちゃんや幼児をかじってもらうと健やか に育つという縁起をかついだ行動も多くみられた。

写真2 獅子舞の道ズネー(筆者撮影)

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 128

(20)

エイサーは青年会が行っており,旧盆や夏祭り,敬老会などの祝い事で披露されてい る。エイサーは,もともと八重瀬町内で伝統的に行われてきた芸能ではなく,青年会の 活動の一環として

10

年ほど前に導入されたものである。当時の青年会のメンバーが宜 野湾市や沖縄市,うるま市の青年会に師事して,それぞれの区の独自のエイサーを作り 上げてきたそうである。このエイサーも始めてから

10

年を経たそうで,地域にとって は伝統の一つとなりつつあるようであった(8)。エイサーは,旧盆や十五夜の道ズネー,

舞台での演舞などで披露される。近年は,子どもエイサーとして,子どもたちがエイサ ーをする機会ができており芸能への入り口となっているようである。

この他に,女性によって行われる世名城のウスデーク,安里のウフデークがある。新 城のシーヤーマーも女性によって行われている。安里のウフデークは,女性によって行 われるため,当日は男性が接待役として来賓やお客さんの接待をしていた。他に具志頭 の汗水節も不定期であるが行われている。なお汗水節は,八重瀬町の町立公民館で行わ れる「公民館祭り」の際に区長・自治会長の出し物として,舞台で披露されている。

こうした棒術や獅子舞,太鼓については,保存会が設立され次世代への継承にとりく まれている。

新しく開発された戸建団地では,このような伝統祭祀や芸能は行われていない。しか し,団地の住民で町内の出身者の場合は,出身地の区の祭祀や芸能に参加している,出 身地の行事には寄付をもって見に行くというコメントも聞かれた。また,実際に筆者が ヒアリングした芸能の演者であるインフォーマントには,区の出身であるが現住所は区 外であるという人もいた。

なお,屋取集落がもとになっている区でもこのような伝統祭祀や芸能は行われていな い。

4-4.小括

以上のように区・自治会活動と伝統祭祀,行事,芸能についてみてきた。

親睦交流を目的とする活動については,区と自治会について大きな違いがあるとはい えない。区では,夏祭りやスポーツ大会などの行事が多く行われており,戸建団地も,

なんらかのスポーツ大会や夏祭り,地域清掃などがおこなわれ,広報誌を発行するなど の活動が行われている。

これらの活動は,自治会や区の役員,班長が中心になって運営されている。八重瀬町 内の自治会と区は,こうした親睦交流活動に熱心だと言えるかもしれない。県営団地で は,担い手の問題などからかつては行われていたが,現在は最小限になっているようで ある。しかし,定期清掃では親睦交流が意識されている。また,ミニデイサービスなど も地域のアソシエーションや社会福祉協議会などと協力して行われていた。運営には,

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 129

(21)

区や自治会の役員だけでなく婦人会(女性会)や老人会が協力していた。八重瀬町内の 区・自治会では,こうした老人会,婦人会,青年会などの団体が多く存しており,これ らの活動の担い手となっていることが伺える。しかし,高齢化に伴い婦人会が休止され たり,少子化や他出にともない青年会が休会になるなど,担い手の減少がみられる区や 自治会もある。一方,人口が増加していても,婦人会や青年会のメンバーになったり,

活動に参加する人が増えるわけではないそうであり,担い手については今後の課題とな っている。

なお,八重瀬町では,街灯は設置されている地域で維持管理することになっている。

ヒアリングでは,この維持費の負担が課題であるとの声を聞いた。近年は,電気代が少 なくて済む

LED

に切り替えていくことで,対処しているそうである。

5.考 察

伝統祭祀,行事,芸能は,区で多く実施されており重要な行事とされている。これら の行事は,区費を中心にした財源で賄われている。しかし,豊年祭や龕合祭などの重要 とされる行事は,地域の企業や個人の寄付も経費の多くの割合を占めている。運営につ いては,区長が主催者代表であり,役員がなんらかの役割を分担して実施されている。

これらの祭祀は区が主催しているため政教分離という視点からは未分化であるといえる だろう。

また,芸能に関しては各区ごとに特色がある。獅子舞でも獅子の姿は区によって異な る。そして,獅子舞の演舞も区ごとに特徴があり,地謡も同じ流派のものであっても使 われている楽器が異なる。筆者は,東風平と志多伯の獅子舞を見学したが,同じ地謡で あったが使われている楽器だけでなく,テンポが異なっていることに気付いた。子ども の時から,この地謡を聞きながら獅子舞を見ていると,その地謡のテンポが自然と身に ついていくのではないだろうか。他の区で聞く機会があった際に,自分の区との違い が,より体感的に意識され自分の地域はこうである,自分の地域とは違うと意識するき っかけになる。それは,どこが自分の地域であるかという意識と地域への所属意識を醸 成していくことにつながるのではないだろうか。

また,子どもの中には獅子舞や棒術はかっこいいものと感じている子もいるだろう。

いずれは,自分が演者となって獅子舞や棒術を披露するという夢をもつ子もいるであろ う。彼らにとっては,豊年祭の場で演舞を披露する人たちは,地域のあこがれの大人と なる。筆者が見学した行事でも,子どもたちが舞台の下で演舞や踊りをまねている姿を 見ている。

青年にとっては,獅子舞の獅子をできるようになることは,地域での大切な役割を任

沖縄県の自治会と行事・祭祀に関する一考察 130

表 2 伝統祭祀,行事(筆者作成) 地区名 伝統祭祀,行事(調査時点) 地域の芸能 (民俗芸能,伝統芸能) 関係組織,芸能保存会 東風平 清明祭,あぶしばれー,旧 5 月ウマチー,6 月ウマチー,うはち,しーしまい,旧盆綱引き,旧8 月十五夜め ーしんさ,めーしくみ,豊年祭,旧盆エイサー(道ズネ ー),かままーい,ガンゴー祭,はちうくしー 棒術,エイサー,獅子舞 長寿会,婦人会,青年 会,子 ど も 会 2,棒術保存会,エイサー保存会,青少協 伊覇 5 月ウマチー,アブシバレー,6 月ウマチー,カママー イ
表 3 八重瀬町平成 28 年度行政区別統計資料 地区名 住民登録人口 住民登録世帯数 加入世帯数 加入率% 東風平 5,553 2,046 2,078 101.6 伊覇 2,638 902 298 33.0 上田原 355 126 82 65.1 屋宜原 1,775 618 150 24.3 富盛 1,590 600 419 69.8 世名城 1,119 416 343 82.5 高良 266 116 80 69.0 志多伯 978 373 304 81.5 当銘 683 282 174 61.7 小城

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