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昭和59年度修士論文要旨

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昭和59年度修士論文要旨

その他のタイトル Summaries of Master Theses, 1984

著者 大塚 岳史

雑誌名 教育科学セミナリー

巻 17

ページ 25‑25

発行年 1985‑12‑07

URL http://hdl.handle.net/10112/00019518

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昭和59年度修士論文要旨

イバン・イリイチの Schooling

なによりもまず、 私達は危機の時代を生き ている との認識が現代を生きる私の出発点で ある。核戦争•生態系の破壊・環境、健康の悪 化・抑圧、管理社会、飢餓等、私達は地球、人 類の破減か、全面的飼いならしか、新たな社会 変革かの岐路に立たされている。

教育についての省察も、現代の危機との関連 において行われなければならない。本稿におい て、イバン・イリイチのSchooling(学校化)論 を取り上げた理由もここにある。「学校教育の 危機は近代産業社会のより深い危機の徴候であ る」と語るイリイチが、教育の領域における産 業化・産業社会の危機を分析したものが、その Schooling論に他ならないのである。

下村哲夫氏、山本哲士氏の研究をとりあげ、

両氏と私、三者がいかなる視点からイリイチに 接近しているか、その内容を理解しているか、

その視点の異なりを明らかにする。私の視点を 一言で言えば、関係性という言葉に尽きる。イ リイチの言う Schoolingの過程のうちに人と人 との関係性の移りかわりを、 Schooling批判の うちに関係性の歪み、共に生きる関係の喪失を 見てとり、この視点からイリイチの Schooling 論を論じ、なにごとかを学ばんとするのが本稿 である。

すなわち、 Schooling(学校化)とは、共に生 活するなか、様々な他者との出会いのなかで互 いに教え、学び、学び合う関係性を破壊するこ と、自らをとりまく多様な環境との相互作用を 通じて学び、人々と知識・技能を伝え合い、歓 び、苦しみを分かち合う機会を奪うこと、学校 での教師一生徒の関係性を押しつけ、ついには

大 塚 岳 史

(教育学)

学校に依存し、教師一生徒の関係をとることな しには学べない社会をつくること、こうした一 連の過程に他ならない。さらに、 Schooling よっては決して人々の間に平等を実現すること はできず、 Schoolingの進行によって拡大する 教師一生徒の関係性の枠のなかで、共に生きる 関係を結ぶことは極めてむずかしいと考えられ

日本のように学校化されつくしてしまったか の観がある社会にあっては、教師一生徒の関係 性を前提として、この関係をどうするか、教師 として何ができるかなどの議論が大半を占めて しまうなか、教師一生徒の関係として教育が語 られること自体のうちに重大な問題があるとす るイリイチのSchooling論は、従来の教育学の 盲点をつき、人間の解放に向けてその転換を迫

るものとなろう。

共に生きる関係とは何か、その内実は本稿に おいて必ずしも明確にされてはいない。むしろ、

共に生きる を問題の核心として発見するこ とこそが本稿全体にわたる作業であったと言え る。ここで展開されるイリイチの Schooling の考察は、私にとって自らの進むべき方向を明 示してくれるものとなった。

様々な形をとって噴出している現代の危機の 根底に、産業社会による共に生きる関係の破壊 を見てとり、共に生きる関係の創出、共生社会 をめざしての変革のうちに危機の克服産業社会 を超える道を探ってゆきたい。祭りによせて、

祭りのイメージのうちに希望を見い出すことを 結とする次第である。

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