第二部
各大学商学部もしくは経営学部の英語教育への取り組み
関 真彦
大学のグローバル化ということが求められ始めてからもうずいぶん経つ。
神奈川大学経営学部も、さまざまなグローバル化に対しての取り組みを行っ ているが、そうした取り組みの効果を評価するためにも、他大学がどのよう な取り組みを行っているのかを知る必要がある。
第二部では、おもに首都圏にある、神奈川大学とレベルの近い、あるいは 少し高い有名大学の商学部、経営学部の英語教育に対する取り組みを調べた。
慶応大学、早稲田大学などのレベルの高い大学を除外しているのは、あまり に事情が違いすぎて参考にならない可能性が高いからである。そのため、神 奈川大学がそれらとの違いをアピールしたい、あるいは追いつくことが非現 実的ではない大学に調査を絞っている。また、名城大学、立命館大学、立命 館太平洋アジア大学は首都圏ではないが、国際経営学科をもち、レベルも神 奈川大学と甚だしく離れていないため調査対象とした。
調査項目はふたつで、ひとつは必修英語、もうひとつは商学部もしくは経 営学部独自の英語科目である。必修英語は学部単位ではなく、センターのよ うなところが授業を提供していることが多いので項目をふたつに分けた。ま た、簡単に各大学が提供している留学プログラムについても調べている。調 査は主として各大学のホームページの情報を調べることによっている。
最後に、調査の結果を受けて、神奈川大学経営学部の英語カリキュラムに ついての短い考察を付した。
*特に但し書きがない場合、科目の単位数は半期分の単位を指す。
中央大学商学部
○必修英語
英語と第二外国語が必修(16単位)。英語は8単位。1、2年にかけて週二 回のクラス。それぞれ半期1単位。
一二年次に受ける必修英語は英語A(リーディング・ライティング)、英 語B(リスニング・スピーキング)の二つがあり、それぞれレギュラー、基 礎、アドヴァンスト、留学の4レベルに分かれる。その他に選択外国語があ り、英語では英語C(プレゼンテーション、英語小説の講読、2単位)、英語 D(TOEIC対策、ライティング、1単位)がある。
必修英語の内容は各講師にまかされている。シラバスは神大と同じくおお まかなことが書いてあるだけで、各講師のやる内容を反映していない。
また、サンディエゴ州立大学、オークランド大学、ハワイ大学、シェフィー ルド大学、モナッシュ大学、スインバン大学、カリフォルニア大学への短期 留学プログラム(1か月)があり、希望する学生はそれに向けた準備をする授 業をとる必要がある。
○商学部独自の英語科目
◦外国書講読(3年生向け、2単位)…経営学に関係のある英語の書籍を読む。
◦ビジネス英語Ⅱ(ビジネス・コミュニケーション)(2年生向け、2単位)…
英語でのグループ発表の練習
◦ビジネス英語Ⅲ(貿易英語上級)(2年生向け、4単位)…貿易通信文のリー ディングとライティングを学ぶ。1学期に30回ある。
◦プログラム講義Ⅲ(国際ビジネス交渉)(3,4年生向け、4単位)…英語で のnegotiationを学ぶ。1学期30回。
◦プログラム講義Ⅳ(ビジネス英語・プレゼンテーション)
◦オーラルコミュニケーションⅠⅡⅢⅣ(1~4年生向け、1単位)
◦英文会計論・国際会計論…(3,4年生向け、2単位)
○備考
必修英語は他大学とあまり変わりはない。しかし、商学部独自の英語科目 は充実している。
法政大学経営学部
○必修英語
基礎科目44単位が0~5群に分かれ(それぞれ政治学や文学、社会学から レポートの書き方など多様な科目を含む)、必修英語はその中の4群に属し、
英語以外と合わせて14単位以上履修することを求められている。英語(1単 位)は必ずしも必修ではない。しかし必修英語なのに非常に用意されている クラスが多様。
English12(1年次)にはそれぞれElementaryとIntermediateの二つのレ ベルが用意され、それらの単位をとった者は2年次になるとEnglish34の Intermediateを履修する。スポーツ推薦で入った学生のためにIntroductory English for AthletesⅠⅡ、英語のできない学生のためにEnglish for Novice LearnersⅠⅡ、英語のできる学生のためにEnglish for Advanced Learners
ⅠⅡ、そのほかには、Current Issues in EnglishⅠⅡ、Reading WorkshopⅠⅡ、
Oral CommunicationⅠ Ⅱ(elementaryとintermediateが あ る )、English for Certifying ExamsⅠ Ⅱ、Effective WritingⅠ Ⅱ が あ る。Introductory English for Athletes以降はすべて1~4年次向け。日本語での授業。
経営学部はネバダ大学、モナシュ大学へのSAプログラムを持ち、それぞ れ期間は11週と長い。そのため、選考もTOEFL400点以上など求める基準が 高い。
○経営学部独自の英語科目
◦入門外国語経営学ⅠⅡ(1~4年生向け、2単位)…経営学に関する英語の 書籍を読んで議論する。日本人講師が担当している。
◦ビジネス英語ⅠⅡ(2~4年生向け、2単位)…ネイティブの講師によって
行われる。英語による経営学の授業というよりは、経営学のマテリアルを 使った四技能の育成を狙った授業。初級と中級がある。
◦外国語経営学ⅠⅡ(3~4年生向け、2単位)…経営学に関する英語のテキ ストを使った日本人による授業。市場経営、経営、経営戦略の3つに分か れている。
○備考
必修英語の充実ぶりは他大学を圧する。こちらから「やらせる」のではな く学生が「選ぶ」という要素が非常に強い教養科目群の構成になっている。
しかし、経営学部独自の英語科目は、かなり難易度が低いであろう授業がい くつか提供されているだけで、あまり国際化を意識しているとは言えない。
明治大学商学部
○必修英語
8単位が必修。そのほか第二外国語8単位も必修。口語英語・英語購読(1 単位)をとるのが基本。これらについては神大と同じく、専任が書いたおお まかなシラバスしかない。公募やスポーツ推薦で入った学生は、代わりに基 礎英語をとることができる。TOEIC550以上の学生は、ネイティブによる上 級英語をとることができ、3、4年生向けの上級英語というべき発展英語
(TOEIC650以上)もある。また、商学部の20名ほどを選抜して、英語を集中 的に学ばせるSOCECプログラムというものがあり、このプログラムの学生 は集中上級英語を受講することになる。そのほか、選択英語として、ネイティ ブ講師による、English communication、Intercultural communication、資 格英語という授業がある。口語英語・英語購読以外のシラバスは各講師によっ てバラバラ。みんなが好きなことをやっているという印象。
留学は、カナダ、ヨーク大学のプレMBAプログラムに約1ヶ月参加する というものを商学部が提供している。全学向けとして1学期未満の短期語学 研修と1年の協定留学がある。
○商学部独自の英語科目
◦経営学総論(英語)AB(1~2年生向け、2単位)
◦Essentials of commerce AB (2~4年生向け、2単位)…以上二つの科目 は同じ日本人教員によるもの。
◦Advanced study of social and economic(1~4年生向け、2単位)…アメ リカからの留学生との合同授業。
◦Luxury brand management(1~4年生向け、2単位)…ネイティブによ る授業。
◦外国語専門書購読(3年生向け、2単位)…明治大学商学部はいくつかの コースに分かれるが、コースごとにある。
◦バーバル・ビジネス英語AB(3、4年生向け、2単位)…グローバル・ビ ジネスコースで提供されている。
◦異文化コミュニケーション論(英語)(3、4年生向け、2単位)…クリエイ ティブ・ビジネスコースで提供されている。
○備考
英語カリキュラムはかなりスタンダードな構成。そこまで留学プログラム に力を入れているわけではなく、商学部独自の英語科目も数は少ない。国際 化という観点からするとあまり進んでいるとは言えないだろう。
青山学院大学経営学部
○必修英語
8単位が必修。英語集中ABCD(1単位。週2回を二年間)と英語総合A BCD(1単位)の二つ。英語集中は各講師でやっていることがバラバラ。い わゆる総合英語。英語総合はオンラインで課題をやる授業で、学校に行く必 要すらない。ほかに英語Ⅲ(アドヴァンスト・イングリッシュ)(2単位、内 容は講師によってバラバラ)、企業英語特講ⅠⅡ(TOEIC対策、2単位)など
の選択英語がある。
経営学部独自の留学制度はなく、国際交流センターが1ヶ月ほどの短期留 学プログラムをいくつか提供している。
○経営学部独自の英語科目
◦メディア・イングリッシュ(2単位)
◦コミュニケーション特論ⅠⅡ(2単位)…ネイティブ講師による授業。
◦Globalization and emerging countries ABⅠⅡ(2単位)…日本人による 英語の講義。
○備考
オンラインで課題をやるだけで単位をもらえるという英語総合が目を引く が、全体的に同レベル帯の他大学に比べて英語科目に関する充実度は低い。
おまけにホームページはよく言えばシンプル、悪く言えば不親切で、情報も あまり整理されていない。他大学はどういう英語科目をいつとるべきかを図 で示すのが普通だが、ここではそれもなく、また留学などの情報も経営学部 のサイトには示されていない。いわゆるMARCHの中では最もグローバル 化に対して無頓着であろう。
立教大学経営学部国際経営学科
○必修英語
参考資料①-立教大学必修英語-参照のこと。1年次には英語ディスカッ ション、英語プレゼンテーション、英語eラーニングorライティング(それぞ れ1単位)をとる。それぞれ少人数授業。2年次以降はさまざまな英語科目 の中から選択してとっていくことができる。
○経営学部独自の英語科目
国際経営学科のシステムについては参考資料②-立教大学国際経営学科シ
ステム-参照のこと。参考資料にあるとおり、2年次以降のほぼすべての専 門科目が英語で行われるため、いちいちここに列挙はしない。
○備考
グローバル化に向けた大学の取り組みの現時点での究極形だろう。1年次 には、少人数制授業でコミュニケーションに重点を置いた英語教育をして、
2年次以降はさまざまなジャンルの英語授業を選択させることで、4年間英 語学習を続けることを強力に促している。そして英語で行われる授業は、学 生の英語学習に加えて、留学生を呼び込む助けにもなっている。あらゆる面 でよく考えられているプログラム。
しかし、神大では学生のレベルを考えると同じようなプログラムを走らせ るのは無理であり、また同じことをやっても立地や規模の面でかなわないだ ろう。だが、同じプログラムを行えないということはマイナスでもありプラ スでもある。なぜなら、立教には合格できないレベルの学生の需要はあるわ けで、神大レベルの学生に対応したグローバル・プログラムを用意するとい うことが重要だろう。
学習院大学経済学部経営学科
○必修英語
英語ベーシック、英語コミュニケーション(中級/ 上級)、英語リーディン グ(中級/ 上級)が基本科目で、それぞれ通年2単位。これを1年次と2年次 に週2回とる。2年次には、1年次より上のレベルのクラスをとることになっ ている。このほかに英語コミュニケーション(上級特)、英語リーディング(上 級特)というインテンシブ・クラス(通年2単位)や英語セミナー(通年4単 位)、ネイティブによる英語コミュニケーションや英語リーディングという ワークショップ(通年2単位)もある。
長期留学には20名ほどに50万、10名ほどに10万、短期留学には100名ほど に10万の奨学金が出る。
○経済学部独自の英語科目
◦英語で学ぶ経済学…ネイティブによる授業。
◦英語で学ぶビジネス事情…なぜか日本人による日本語の授業。
◦外国書購読…さまざまなテーマについての授業がある。すべて日本語によ る授業。すべて半期2単位。
○備考
学部全体としてあまり英語教育に力を入れているとは言えない。ネイティ ブの教員ですら、日本語での授業も行っている。しかし、必修英語は段階的 にレベルを上げて英語学習を続けていく仕組みが用意されており、あまり国 際化ということに力を入れていないこういった大学ですらそういう仕組みを 採用していることに、神大としては危機感を持つべきだろう。
明治学院大学経済学部国際経営学科
○必修英語
英語コミュニケーション1ABを1年次に、英語コミュニケーション2A Bを2年次に履修する。前者はネイティブによる授業だが、なぜか後者は日 本人による日本語の授業。
2015年度より、国際経営学科は全員が2年秋に留学する。
○国際経営学科独自の英語科目
◦ビジネス外国語…ネイティブによる授業。
◦Business in Japan…日本人による英語のテキストを使った授業。
◦English for business communicationA1~C4…ネイティブによる授業で、
一年次から三年次まで2~4コマとる。
◦外国書講読
○備考
外国人講師のほとんどはブリティッシュ・カウンシル英会話スクールから 派遣されている講師。かれらに英語授業を丸投げし、日本人教員は日本語で 授業をしている。1年から3年まで必ずネイティブの授業を受けねばなら ず、しかも全員が留学を課されることになる。神大よりも国際化は徹底して いるが、日本人は相変わらず日本語で授業しているなど、立教よりはかなり 遅れている。ホームページも青山学院ほどではないが、情報量が少ない。
まだビジネスのための外国語を教えるという段階で、英語で経営学を学ぶ というところまではいっていない。神大がもし「英語で経営学を学ぶ」とい うことを強く打ち出せたら、大きな強みになるだろう。
また、立教、明治学院ともに、あまり英語ができない学生が国際経営学科 に入ってくるということを想定していない。英語ができないのに国際経営学 科に入ってくる学生がいる、というのが神大の特殊事情であって、これをど うするかが問われているだろう。
日本大学商学部
○必修英語
英語1(文法とライティング)2(スピーキングとリスニング)を1年次に、
3(リーディング)4(TOEFL対策)を2年次に履修する。ほかにTOEFL対策 の中級英語、ネイティブによる上級英語がある。シラバスは神大と同じく、
専任教員が1種類だけ書いている。
留学は2週間や1ヶ月の語学研修と1年間の交換留学。
○商学部独自の英語科目
◦英会話ABC…選択科目。ネイティブによる授業。
◦ビジネス英語ⅠⅡ…日本人教員による英語のテキストを使った授業。
◦外国書購読
◦Marketing, Trade&Economy, Finance, Management, Venture&IT…それ
ぞれネイティブによる授業。
◦英語で学ぶ世界の企業…ネイティブによる授業。
○備考
必修英語は他大学と比べて充実しているとは言い難いが、商学部は英語で 学ぶ系の授業が多くある。ただ全体として国際化ということはあまり意識し ていない様子。英語に関するシラバスはおざなり。
東洋大学経営学部
○必修英語
1年次に英語ⅠAB、2年次に英語ⅡAB(それぞれ通年2単位)を履修す る。TOEIC Bridgeの結果で、20の習熟度別クラスに分けられている。シラ バスは専任教員が書いた一種類のものしかない。留学する学生相手に、週4 回SCATというネイティブによる英語の授業があり、数も多い。
留学は国際交流センターが提供する4~6週間、または3ヶ月程度の語学 留学と1年の交換留学。
○経営学部独自の英語科目(すべて半期2単位)
◦ビジネスコミュニケーションA1~B3…日本語での授業から英文メール の書き方、英語を使っての実践授業などさまざまなレベルがある。
◦ビジネスプレゼンテーションA1~B3…以上二つは1~2年次向け。
◦ビジネスライティングAB…ネイティブによる授業。
◦ビジネスニュース英語AB…日本人による英語の授業。以上二つは3~4 年次向け。
◦GBCセミナーⅠ1~Ⅵ5(2~4年生向け)…外国書講読の発展形のよう なもの。さまざまなテーマのセミナーがあり、英語のマテリアルを読んだ り、英語プレゼンテーションスキルを磨いたりなど、多様な授業が提供さ れている。
◦英語で学ぶグローバルビジネスAB(1~2年生向け)…英語のマテリアル を使った日本語の授業。
○備考
英語教育の仕組み自体にそれほどの新鮮味はないものの、ネイティブ教員 による授業も多く、また経営学部の英語科目は種類が多い。法政大学ほどで はないにしても、学生がやりたいことを選べるということを相当意識してい るだろう。2年次以降の英語教育としては、質量ともに優れている。特にい ろいろなテーマをもとに、さまざまな英語スキルを伸ばすことを目的とする GBCセミナーは、すぐにでも真似すべき授業形式かもしれない。
駒澤大学経営学部
○必修英語
英語Ⅰa、Ⅰb、Ⅱa、Ⅱb(1単位)が必修。やっていることは教員それぞ れでバラバラ。選択英語は、ネイティブによる実用英会話、英語プレゼンテー ション、英語ディスカッション、日本人による実用英語資格試験、ビジネス 英語、学術英語資格試験、英語アカデミックライティング、総合英語資格試験、
英語多読・多聴、英語クリエイティブライティング、パフォーマンス・イン グリッシュ、英語で学ぶ教養(英語のテキストを使っているだけ)がある。
留学は国際センターが提供する1ヶ月の語学留学と1年の交換留学。
○経営学部独自の英語科目
◦外書購読ⅠⅡAB
◦ビジネス英語
○備考
経営学部独自の英語科目はないに等しいが、全学部共通科目としての英語 科目が非常にバリエーション豊か。多読から、英語の歌を歌うパフォーマン
ス・イングリッシュまで多彩。しかし、ホームページはシンプルを通り越し てほぼ何も情報がない。
専修大学商学部
○必修英語
1年次に英語読解ab、英語表現ab(1単位)を履修。2年次に英語読解・
表現abと英語読解abを履修。やっていることはバラバラ。選択科目には、
ネイティブによるEnglish speaking、英語会話、日本人によるスクリーン・
イングリッシュ、総合英語がある。
留学は国際センターによる1年程度の長期交換留学プログラム(実際に向 こうの大学の授業を英語で受けるがTOEFL500~530以上が必要)、1学期間 の留学のセメスター交換留学(TOEFL530~550以上必要)、4~5ヶ月の中 期留学プログラム(TOEFL460以上必要)、1ヶ月くらいの春季留学プログラ ム、2~3週間の夏季留学プログラム、4ヶ月間留学生寮に住む寮内留学プ ログラムがある。
○商学部独自の英語科目
◦外国書購読
◦ビジネス英語…どちらも日本人講師による。2単位。
○備考
必修英語にはネイティブの授業が多いが、あとはあまり目を引くところは ない。映画を使うスクリーン・イングリッシュがあるくらいか。
大東文化大学経営学部
○必修英語
英語は必修ではない。中国語など第二外国語との選択必修。経営学科は1 年次に英語AB(1単位)がある。自由科目として英語会話講座AB(英語で の授業)がある。企業システム学科は1年次に英語リスニングAB、英語ス ピーキングAB(1単位)が選択必修。英語、中国語やドイツ語などの中から 4単位とる。スピーキングはネイティブによる授業。二年次には自由科目と して英語コミュニケーション講座(ネイティブによる授業)がある。また三年 次配当の科目として英語特別講座ABもあるが、おもにリスニングの授業。
留学は全学部対象の1年の交換留学と1ヶ月の語学研修。
○経営学部独自の英語科目
◦外国書講読
◦商業英語AB…以上二つは経営学科の授業。2単位。
○備考
英語が必修ではない時点で、国際化という観点はあまりない様子。英語の 授業も多くなく、外国書講読も1クラスしかない。
亜細亜大学経営学部
○必修英語
1年次に英語FEⅠⅡ(Freshman English、2単位)、選択英語ⅠⅡⅢⅣ(1 単位)、2年次に選択英語ⅤⅥⅦⅧ(1単位)を履修。選択英語は第二外国語 との選択であって自由に好きなものを選択できるわけではない。やっている ことは各教員でまちまち。自由に選択できる科目としてネイティブによる American Issues、Global Studies 、放送英語ⅠⅡ(2年次より、2単位、放 送英語は1単位、すべて同じネイティブの教員による)、Internet English (日
本人による科目)、英語コミュニケーションⅠ~Ⅳ(1~4年次)、英語の文 と語法ⅠⅡ、実用英語Ⅰ~Ⅳ(TOEIC対策)。Internet English以降はすべて 1単位。
留学は5ヶ月間のアメリカプログラム、3~5週間のグローバルプログラ ム、1年の交換留学がある。全学対象。
○経営学部独自の英語
◦英語で学ぶホスピタリティ・ビジネスⅠⅡ…英語で学ぶというより、ホテ ルなどでの勤務に必要な英語を日本人講師が教える授業。
◦英書講読Ⅰ・Ⅱ
◦ビジネス・イシュウズⅠⅡ…ビジネス英語の学習を通して4技能を高める。
おそらく英語での授業。
◦ビジネス・コミュニケーションⅠⅡ…英語でのコミュニケーションに重点 を置いた授業。これもおそらく英語での授業。ここまですべて2単位。
○備考
経営学部はホテル勤務のための就職予備校的な授業が散見され、そのせい か、英語科目もそういったことに関連付けられているのが印象的。
帝京大学経済学部経営学科
○必修英語
1、2年次に現代英語ⅠⅡ、実用英語ⅠⅡ(各1単位)を履修。シラバスは すべて一緒。
留学は全学対象6ヶ月の短期留学(20人)、2~3週間のホリデー留学、4ヶ 月の交換留学がある。
○経済学部独自の英語
◦英語経営文献ⅠⅡ
◦ECCP(実務英語)ⅠⅡ…リーディング重視とコミュニケーション重視の ふたつのクラスがある。簡単な英字新聞が読めるように、など求めるレベ ルは高くない。すべて2単位。
○備考
経済学部のホームページには「国際化」の文字が躍るが、英語科目は驚く ほど少ない。今回調べた大学の中ではおそらく最も国際化に力を入れていな い。
国士舘大学経営学部
○必修英語
1年次に英語1、2、2年次に英語3、4を履修する。シラバスは1種類 しかないが、総合英語だろう。選択必修としてはTOEIC英語1234、マ ルチメディア英語ABCD(コンピューターを使いながら英語を学ぶ。A→
Dの順に難易度が高くなっていく)、英語ワークショップABCD(A、Bは アメリカやイギリスなどの文化を英語を通して学ぶ、C、DはTOEIC対 策や時事英語を学ぶ)があり、あわせて8単位を取得する。
留学は国際交流センターによる1ヶ月の短期留学と1年の交換留学。
○経営学部独自の英語
◦ビジネス英語ⅠⅡ
○備考
ホームページにはグローバルということが強調されているが、特に英語に 力を入れている感じはない。グローバル・ビジネスについての授業などがあ るくらいで、英語で教える、英語で学ぶという科目はない。
東海大学政治経済学部経営学科
○必修英語
英語コミュニケーション科目(8単位)として、英語リスニング&スピーキ ング12、英語リーディング&ライティング12を履修する。シラバスは漠 然としたものが一つしかない。選択科目として時事英語演習AB(2年次以 降、英文ニュースなどを読む授業)、英語の学び方、基礎英語、基礎英語演習、
基礎英文法、基礎英文法演習、ボキャブラリー・ビルディング入門、ボキャ ブラリー・ビルディング、英語リーディング、英語リーディング演習、英語 リスニング演習、メディア・イングリッシュ、仕事で使う英文ライティング、
英語レポート・ライティング、英語発音演習、英語会話入門、英語会話初級、
英語会話中級、英語でディスカッション入門、英語でディスカッション、英 語プレゼンテーション入門、英語パブリック・スピーキング&ディベート、
英語ゼミナール、英語通訳基礎、英語通訳中級、英語検定2級、英語検定準 1級、TOEFL入門、初級、中級、TOEIC入門、入門演習、初級、初 級演習、中級(「演習」がついていると週2回)、総合英語力検定1、2、3 級セミナー12(東海大学が独自に行っている総合英語力検定のためのセミ ナー)、英語で学ぶ国際問題、英語圏文化理解、仕事で役立つ英語入門、仕 事で役立つ英語、理系のための英語、映画で学ぶ英語、スポーツとレジャー のための英語、ビジネス英語があり、これらは自己形成科目(42単位)の中に 入っている。
留学は湘南キャンパスで提供されている1ヶ月の短期留学、半年の中期留 学と1年の長期留学、ほかに1ヶ月と4ヶ月の海外インターンシップがある。
○経営学科独自の英語科目
◦経営英語12…英語のマテリアルを使った少人数授業。
○備考
法政大学並みの選択英語科目の充実ぶり。しかし、経営英語の説明などを 読むと、英語のできる学生を想定していないようであり、おそらく上記の豊
富な英語科目は同じ湘南キャンパスにある文学部の学生を想定したもの。法 政大学と同じく、大勢の学生がいるキャンパスだからこそこの英語科目の種 類の多さを実現できるのであり、神大経営学部には真似できないが、しかし
「英語の学び方」「基礎英語」など英語のできない学生に対するフォローが行 き届いており、これがこのあたりの偏差値の大学のとるべき道のひとつであ ると思う。
成城大学経済学部経営学科
○必修英語
1年次に英語1(通年2単位、授業が二つあり、一つはネイティブによ る)、2年次に英語2と英語2(TOEIC)か英語2(英会話、ネイティブ のクラス)のどちらかをとる。合計8単位。そのほかに、全学部共通科目とし て、英語リスニング&スピーキング(初級、中級、上級)、英会話選択、ビ ジネス英語、英文多読、academic communication(すべて通年2単位)があ る。また、短期留学をする学生を対象としたacademic skillsⅠAB、ILETS とTOEFL対策のacademic skillsⅡAB、ライティングを学ぶacademic skills
ⅢAB、プレゼンテーションを学ぶacademic skillsⅣAB、ディスカッショ ンを学ぶacademic skillsⅤAB、留学に向けたacademic skillsⅥAB(すべ てネイティブによる授業で半期1単位)、英語で各地域文化について学ぶ European StudiesA B、North American StudiesA B、Ocean StudiesB、
Asian StudiesAB(半期2単位)、留学生向けだが日本人学生もとれるJapan Studies、Special Topics(半期2単位、後者はやっていることはネイティブ の講師まかせ)がある。
留学は全学対象の1ヶ月の語学研修と9ヶ月~1年の交換留学。
○経営学科独自の英語科目
◦英経営書講読(通年4単位)
○備考
選択科目である英語リスニング&スピーキング初級の目指すTOEICス コアが最低600点であったり、いきなり全員ネイティブのクラスが必修であっ たり、そもそも英語のできる学生を相手にしているカリキュラム構成。しか し、豊富な英語での授業は、おそらく同一キャンパスにある文芸学部向けの ものだろう。経営学科独自の英語科目がひとつしかないことからわかるよう に、経営学科自体が英語に力を入れているというわけではない。
関東学院大学経済学部経営学科
○必修英語
1年次に英会話ⅠⅡ(初級、中級、上級、1単位)、フレッシャーズ・イン グリッシュⅠⅡ(初級、中級、上級、1単位、四技能を伸ばす総合英語)を履修。
ただし英語は必修ではなく、ほかの共通科目から40単位をとればよい。2年 次以降の選択英語科目として、マスメディアの英語(初級、中級)ⅠⅡ、国際 関係と地域研究の英語ⅠⅡ、上級英語ⅠⅡⅢⅣ(ほとんどネイティブによる 授業)、テーマ英語ⅠⅡ(英語で書いてみよう、英語と文化、言語学から学ぶ 英語、経済経営の英語、映像に見る英語社会、英語によるコミュニケーション)
実用英語リスニング(初級、中級)ⅠⅡ(ネイティブのクラス)、実用英語文法・
読解(初級、中級)ⅠⅡ、言語と文学の英語(初級、中級)ⅠⅡ、オーラル・イ ングリッシュ(初級、中級)ⅠⅡ(中級はネイティブによるクラス)がある。す べて半期2単位。
また、2015年度からグローバル人材育成プログラムが始まる予定。詳細は 記されていないもののホームページにあった図を次に引用する。
ESPは、テーマ英語のこと。現在は経済学部独自の英語科目がないが、
2015年度からは上にあるように英語科目を増やす様子。
留学は4~9ヶ月の交換留学、7ヶ月の派遣留学、4ヶ月の語学派遣留学、
1ヶ月の語学研修。
○備考
経済学部独自の英語科目は現時点ではない。しかし、来年度からグローバ ル人材育成プログラムという留学をからめたプログラムが始まる。しかしそ れにしては、経済学部のホームページにそういったことについての宣伝がま るでない。
國學院大学経済学部経営学科
○必修英語
1st year English12(半期1単位)が必修。英語は必修ではなく教養総 合科目という科目群の中に入っていて、あわせて36単位とればよい。Ad English(上級英語、外国の文学、検定英語[TOEIC]、コミュニケーション、
資格英語[TOEIC SW])、Ba English (英語リテラシー12)、English 1
(L&W、R&W)、English 2 (Business12[海外旅行に必要な英語など]、時
事英語12、神道英語12(ここまですべて半期1単位)、英語演習、英語コ ミュニケーション、英文法(ここまで通年2単位)がある。
留学は全学向けに1~2学期の協定留学、1学期間のセメスター留学、1ヶ 月の語学研修。
○経済学部独自の英語科目
◦経済英語…英文資料を読む。
◦ビジネス英語12…以上半期2単位。
○備考
経済学部のホームページに英語科目に関する具体的な記述が皆無。英語教 育には学部としてはまったくといっていいほど力を入れていない。経済学部 の独自科目も非常に要求水準の低いもので、大学の性格を考えるとうなずけ る話だが、国際化という観点はあまりない。
玉川大学経営学部国際経営学科
○必修英語
プレースメントテストによってELF101, 102, 201, 202, 301, 302, 401, 402
(通年4単位)の8つのクラスに分かれ、ここから16単位以上を取得する。こ れらのクラスは段階的に学習するようになっており、たとえばELF201の単 位をとらなければELF202は履修できない。ひとつ200分となっていて、2年 次までに16単位とることになっているので、おそらくは週4回英語がある状 態。
留学は4ヶ月~1年の長期のものと3~5週間の短期のものがある。
○国際経営学科独自の英語科目
◦グローバルイングリッシュⅠⅡ(通年2単位)…国際経営学科生は必修。下 のグローバルビジネスイングリッシュとともに、3年次からの英語での経
営学の授業への準備として2年次に受講する。
◦グローバルビジネスイングリッシュⅠⅡ(半期2単位)
◦グローバルビジネス論(半期2単位)…3年次以降に受講する英語による授 業。必修ではない。
◦TOEIC strategies AB (通年2単位)
○備考
2015年度から3コース制となる。それに伴い英語での授業を増やすよう で、English for social scienceやBusiness English、Strategic Management、
Global Business Studies、Global Case Studiesといった科目が2015年度から の講義要覧に書かれている。(前者2つはおそらく日本語での授業だろうが)
玉川大学国際経営学科の英語教育において特徴的なのは、学生に段階的に 学ばせようとする姿勢である。もっとレベルの高い大学はいきなりネイティ ブの授業を1年生に課すようなこともあるが、ここでは少しずつ上のレベル の授業をとるようにして、しかも16単位以上を要求するなど、とにかく段階 的に、かなりの量の英語の授業を課している。さらに、3年次以降の英語で の授業に向けて、2年次にそれに向けた英語科目をとらせるなど、自大学の 学生のレベルをよく考えたプログラムになっている。
学生の習熟度をTOEICで測っているのも特徴で、それを学生の学習のモ チベーションにつなげようとしている節もある。
神大経営学部においても、国際経営学科を名乗るならば、ある程度のレベ ルの学生は留学させるとして、そうではない学生たちには2年次以降も、こ のくらいの量の英語学習を行うようなカリキュラムを用意するべきだろう。
名城大学経営学部国際経営学科
○必修英語
基礎、初級、中級、上級(上級のみ2年次)に分かれており、それぞれリー ディングとコミュニケーションのクラスがある。1単位。リーディングとコ
ミュニケーションの組み合わせを2年次までとる。
留学は国際化推進センターが統括していて、交換留学と2~5週間の短期 留学があり、100名に20万円、全員に5万円の奨学金が出る。
○国際経営学科独自の英語科目
◦外国書講読(半期2単位)
◦ビジネスコミュニケーション123(半期2単位、週2回)…TOEIC500点と 600~700点以上を目指すクラスに分かれる。
◦英文会計(半期2単位)…以上すべて日本人による日本語の授業。
○備考
英文会計という授業があるのがユニークなくらいで、あとは国際経営学科 なのに英語教育への比重が非常に小さい。普通の経営学科と変わりがない。
立命館大学経営学部国際経営学科
○必修英語
英語R12(RはReading)、L12(LはListening)、CALL12、W 12(WはWriting)、S12(SはSpeaking)、留学英語演習12(TOEFL対 策)が1,2年次向け1単位。資格英語演習12、Business English A1~B2、
Step-up English12 (文法メインの授業)が2年次向け1単位。英語経営学入 門12が2年次向け2単位。すべて半期。
選 択 英 語 と し て、Presentation12、Discussion & Debate12、Media English 12、 New English 12、Academic Writing 12、Academic Reading、
Business Correspondence、Intercultural Communication、Comparative Culture、English Workshop12がある。すべて半期2単位。2年次向け。こ のうち半数以上がネイティブによる英語の授業。
ここから30単位以上とることを要求されている。プレースメントテストに はTOEICやTOEFLが使われている。
また、教養科目というあわせて24単位以上とることを要求されている科 目の中に、Introduction to Law、Modern World History、Introduction to Politics、Japan and the West、Introduction to Economics、Kyoto and the Japanese Arts、Introduction to Sociology、Introduction to Geography、
Introduction to Linguistics、Introduction to Anthropology、Introduction to Natural Science、Peace Museum Seminar、Special Lectureがあり、す べて英語での授業。半期2単位。1~3年次向け。またPeace Studies Seminarという夏季集中2単位の授業もある。
BSAと呼ばれる留学プログラムは4種類に分かれる。BSAⅠは、1年次 の夏季休暇中に1ヶ月ウェスタンミシガン大などに短期留学する。BSAⅡ では、2年次以降に1~6ヶ月留学する。BSAⅢは、2,3年次の夏季また は春季休暇に実施する海外企業での1ヶ月ほどのインターンシップ。BSA
Ⅳでは、2年次以降に1~1年半留学し、経営学を英語で学ぶ。
○国際経営学科独自の英語科目
◦英文簿記ⅠⅡ…半期2単位。2年次以降。
◦経営学特殊講義、コース特殊講義…ネイティブが担当している授業が二つ ある。
◦International Management、Cross Culture Management Research…ネイ ティブによる英語の授業。
◦国際経営事情、英語基礎経済学、英語で学ぶ日本経済事情、国際ビジネス コミュニケーション、英語基礎経営学…英語による授業。
◦英語ワークショップⅠⅡⅢⅣ、英文会計入門、国際経済事情、英文経済・
経営記事ⅠⅡ…日本語による授業。ここまですべて半期2単位。3年次以 降。
○備考
ネイティブだけでなく日本人教員も英語での授業を担当し、英語での授業 の数、留学制度の充実ぶりは立教に迫る勢い。このレベルの大学になると、
英語で授業のできる専任教員や経営学を教えられるネイティブの教員をかな
り用意している。国際経営学科の理想形ではあるが、これとは違うやり方を するのが現実的だろう。
立命館太平洋アジア大学国際経営学部
○必修英語
TOEFLによるクラス分けが行われる。1年次前期には英語初級AB、英語 上級1AB、後期には英語準中級AB、英語上級2AB、2年次前期には英語中 級AB、ビジネス英語12、後期には英語準上級AB、英語多読、3年次前期に は英語プロジェクト12、英語ディスカッションとディベート、後期には英語 ビジネス・プレゼンテーション、英語ビジネス・ライティングが開講される。
初級であっても受け持つのはネイティブ。そのほか教養科目もほぼすべての 授業が英語で行われる。
留学は4~6週間のものと1年以上の交換留学がメイン。
○国際経営学部独自の英語科目
日本人教員含め、ほぼすべての授業が英語で行われる。そのためいちいち ここに列記はしない。カリキュラムはコア科目と呼ばれる基本科目以外は自 分でそれぞれの目的に向かって科目をとっていく形をとっている。一応、必 修やとることが強く推薦される科目などが示されていて、コース制とキャリ アショップシステムの中間のような形態。
○備考
大学の構想自体が従来の日本の大学とまったく違う。外国からの留学生を 相手にすることを考えた仕組みになっていて、強制的に留学させないのも、
実質、留学先と同じ環境になっているからだろう。英語教育というよりも、
外国もマーケットのひとつであるため、英語で授業することが必須になって いる。アメリカの大学と同じ発想であり、しかし、そのままではアメリカの 経営学部にはかなわないために、アジア太平洋を相手に商売をする、という
形になっているのだろう。
1.各大学商学部もしくは経営学部の英語教育への取り組み
大学によって英語教育への取り組みには大きな差がある。大学自体がグ ローバル化に対応している立命館アジア太平洋大学のような大学から、ほぼ 特別なことは何もしていないと言える帝京大学まで、グローバル化に対する 態度にはかなり大きな違いが見えた。これは大学のレベルによって取り組み の熱心さが違うという単純な話ではなく、大学としてのアピールにどれだけ 熱心かということだと思われる。全体として、立教大学や東洋大学など、こ こ最近評判がよく、偏差値の上がっている大学は、やはりグローバル化への 取り組みも積極的であった。逆に、ある程度のレベル帯にありながら、あま り目立った動きを見せていない青山学院大学や駒澤大学は、ホームページも 見づらく、大学アピールにあまり力を入れていない様子がうかがえる。
しかし、これからの国際化に向けた流れは明瞭で、来年度からすべての国 際経営学科生を留学させる明治学院大学や、グローバル人材育成プログラム を発足させる関東学院大学など、多くの大学がより英語教育に力を入れるこ とになるであろうと考えられる。そうした中で神奈川大学経営学部が何を売 りにしてアピールしていくべきか、現時点での経営学部の英語教育カリキュ ラムを他大学と比較し、その利点、劣っている点を指摘しながら、どうカリ キュラムを改善していくべきかを以下で述べたい。
2.神奈川大学経営学部国際経営学科の英語教育カリキュラム と他大学を比べて
①必修英語について
神奈川大学経営学部の英語カリキュラムと他大学のそれらを比べたとき に、最も目につくのは、その選択肢の少なさである。必修英語というか教養
英語の選択肢が非常に幅広い法政大学や東海大学といったところと比べる と、神大経営学部においては、週4回5限に行われるTOEFLプログラムや グローバル人材育成プログラム、2年次の中級選択英語や上級選択英語など が選択肢としてあるだけで、必修英語以外にいろいろ履修するということが 不可能である。また、玉川大学と比べても、英語を学ぶ時間が少ない。
これは、2年次に履修できる英語科目の豊富さを比べたときに特に明らか で、神大経営学部生が、1年次に英語で学んだことを2年次以降に忘れてし まう大きな原因となっている。
もともとは2年次に学生を留学させるということからできたシステムであ るとはいえ、現実的には留学できる学生は全体の1割程度であることを考え ると、このシステムを見直す時期が来ていると言えるだろう。
しかし、法政大学や東海大学を真似するというのは現実的ではない。なぜ なら、そうした大学が豊富な選択必修英語科目を提供できるのは、多くの学 部が集まっているキャンパスに経営学部があるからで(実際に1キャンパス に1学部しかない日本大学商学部の英語必修科目の種類は乏しい)、二学部 しかない湘南ひらつかキャンパスにある神大経営学部が同じことをやろうと すると、必修英語をなくし、すべてを選択必修にする道しかない。あくまで もレベル別に分けた必修英語にこだわるならば、二年次以降の英語科目の選 択肢を増やすというのが最も現実的な方法だろう。
また、必修英語において留意しなければならないことは、段階的に英語を 学習させる仕組みである。学習院大学や玉川大学など、階段状にレベル別英 語科目を学ばせていく仕組みを取り入れている大学は多い。特に玉川大学の、
3年次の英語での授業に向けた準備を2年間でやっていくというシステムは 合理的だろう。
神大経営学部においても、たとえば初級英語を1年次に履修した学生が2 年次に中級英語を履修するといった形で段階的に英語を学ぶシステムは整え られている。しかし、これは現時点で機能しているとは言えない。理由とし ては、そもそもそのシステム自体の周知が徹底されていないことや、総合英 語を2年間続けてとりたいと思う学生が少ないだろうこと、そして何より、
1年生のクラスに入って2年生が学ぶことへの抵抗感があるだろう。やはり、
1年次に総合英語を学んだ学生が、次に自分のどういったスキルを磨きたい か考えて2年次以上向けの科目を選択する仕組みを整えなければ、なかなか 学生のモチベーションをかきたてることはできないだろう。もしくは2年次 にも英語を必修にする仕組みがあればよいかもしれない。
②経営学部独自の英語科目について
現在は神大経営学部においても、日本人教員による英語での経営学などの 授業や、BSAPから帰ってきた学生へのフォロー、そして来年度から開始 されるマレーシアの大学から招いた教員による英語での経営学の授業など、
英語での授業は充実しつつある。しかし、まだ他の大学を考えたときに十分 な対応であるとは言えない。
むろん、神大のレベルを考えたときに、立教大学や立命館大学、立命館太 平洋アジア大学といった大学のように、ほとんどの授業を英語で行うという のはまったく現実的ではない。しかし国際経営学科を名乗っている以上、英 語で学ぶ経営学ショップの学生だけが英語を学べばいい、ということにはな らないだろう。
そこで参考になると考えられるのが、東洋大学のGBCセミナーである。
これはほとんどの大学にある外国書講読の発展系であり、少人数で外国書講 読から英語プレゼンテーションの練習までさまざまな英語に関するセミナー が提供され、学生はそれらの中から選択することができる。学生のレベルに 合わせた、こうしたやり方ならば、3~4年次の英語教育も無理なく行えるの ではないだろうか。そして、これならば英語のあまり得意でない教員も参加 することができる。英語が得意ではないが、英語を使った授業に参加できる、
という体制を整えておくことが神大レベルの大学には必要であると思う。
③国際経営学科としてのポジション
各大学の国際経営学科を比べてみると明瞭だが、立教大学、立命館大学、
立命館太平洋アジア大学、明治学院大学は、英語のできない学生が入ってく るということを想定していない。しかし、神大、玉川大学、名城大学は英語 のできない学生が入ってくるので、英語を徹底的に学ばせるが英語での授業
の履修は必修ではない(玉川大学)、特に国際経営学科らしいことを何もしな い(名城大学)などの対応をせざるをえないことになる。また、レベルによっ て、3年次以降の英語科目の多さが変わるのも特徴である。立教、立命館、
立命館太平洋アジアではほぼ英語での授業で、明治学院ではネイティブの授 業があるが、ほとんどは日本人による授業、玉川、名城ではネイティブの授 業もある、といった感じである。
神大経営学部は英語がほとんどできない学生が約半数入ってくるので、そ れに応じた戦略を立てざるをえない。しかし、逆に言うと、そうしたレベル 帯にある国際経営学科としてはっきりとした戦略を打ち出せると、それが力 強いアピールになる可能性がある。
上位の英語のできる学生たちは、立教大学や立命館大学と同じ路線で力を 伸ばしていくことができる。むしろわれわれが注目しなければならないの は、中位の学生と下位の学生たちをどのように伸ばしていくかということで ある。
それには段階的な英語教育が欠かせない。ほとんどの中位および下位の学 生は2年次にBSAPに行かないと考えられるので、2年次以降の英語教育が 非常に重要になってくるだろう。そして、そうした学生たちのゴールをどこ に定めるのか、ということも同じくらい重要である。TOEICで高得点を とって国内企業への就職を有利にするのか、それともコミュニケーションに 力を入れて、海外へと就職するのか、亜細亜大学のようにホテルマンになり たい学生のためにプログラムを用意するのか、学生それぞれの目的に応じた 英語科目を用意し、段階的に英語力を伸ばしていくということが何よりも求 められていると思う。
逆に言うと、2年次にはこれ、3年次にはこれ、そしてその結果こういう英 語力がついてこういうところに就職できます、というようなはっきりとした 道筋を用意できないと、英語の得意でない学生のモチベーションを維持する ことは難しいだろう。
神大経営学部にとっては、グローバル化とともに、英語のできない学生、
ある程度はできる学生に4年間かけてどう対応していくか、どのように伸ば していくか、その方法論をはっきり打ち出すことが、同レベル帯にある大学
との違いをアピールする上で肝要になっていくと思われる。
参考資料① 立教大学必修英語
言語A(英語)
1年次必修科目として、「英語ディスカション」、「英語プレゼンテーショ ン」、「英語ライティング」、「英語e ラーニング」の4つの授業を展開します。
各クラスでは、能力別クラス編成による徹底した少人数教育を行います。ま た、必修を修了した学生が2年次以降も引き続き学べる、言語副専攻制度も 設けており、指定の単位数を修得することで、言語副専攻各コースの修了証 が授与されます。
必修科目:1 年次
英語ディスカッション(1クラス 8 名程度)
少人数クラスでディスカッションを行うことで、今まで得た英語の知識を 実際のコミュニケーションの場で使う経験を積み、相手の言うことを理解し、
自分の意見を発信できるインタラクティブな英語力を身につけます。
英語eラーニング(1クラス 160 名程度)
授業時にコンピュータを使用して、リーディング力とリスニング力を強化 し、英語の基本スキルを伸ばす授業です。授業時間外に教室以外の場所から アクセスし、補足学習を行うことも可能です。自分のペースで自分にあった 学習を行い、自律的な学習者を養成します。
英語プレゼンテーション(1クラス 20名程度)
英語を総合的に使える力を育成する授業です。さまざまな英語の資料を読 み、自分の意見を論理的にまとめ、クラスメートの前で英語で発表を行いま す。
英語ライティング(1クラス 20名程度)
英語表現能力の基礎を固め、それを応用できる力を伸ばしていく授業です。
授業時にさまざまな種類の文章を書き、教員からのフィードバックを受ける ことにより、高度な内容、長い文章を構成できる力を身につけます。
自由科目/言語副専攻(英語):2~4年次 インテンシブ・コース
聞く・話す・読む・書くの4分野において、高度で総合的な英語コミュニ ケーション能力の獲得を目指します。
アドバンスト・コース
英語圏の大学に留学しても十分対応可能な英語コミュニケーション能力の 獲得を目指します。
*インテンシブ・コースまたはインディペンデント・コースを修了し、定め られた基準点に到達した学生が履修可
インディペンデント・コース
各自の興味・関心・目的・レベル・ペースに合わせて自由に科目を選択し、
自分の目標とする英語力の獲得を目指します。
オナーズ・コース
英語圏の大学、大学院の専門科目に対応可能な英語コミュニケーション能 力の獲得を目指します。
*アドバンスト・コースを修了した学生が履修可 自由科目/言語副専攻(英語):1 ~4年次 英語海外文化研修
原則として夏季休業期間中に実施します。アメリカでの家庭生活と大学生 活を体験し、英語によるコミュニケーション能力を伸ばすと同時に、参加者 が自ら定めたテーマについての理解を深めます。参加者は書類選考により決 定され、渡航前には事前研修が行われます。
http://www.rikkyo.ac.jp/academics/undergraduate/zenkari/introduction/
language_subjects/ より
参考資料② 立教大学国際経営学科システム
本学科に入学すると、国際経営学の専門科目を2年次秋学期から段階的 に英語で履修できる能力を育成するために、全学共通プログラムにおけ る「英語(English for General Purposes)」からスタートし、1年次夏季 に"Overseas EAP"という科目で海外の提携大学で英語で経営学を学ぶた めの基礎固めをします。1年次秋学期には"EAP (English for Academic Purposes) 1"、2年次春学期には"EAP 2"と段階的にレベルアップする英 語コミュニケーション科目を履修します。そして、2年次の秋学期には専 門教育科目担当教員と英語教育担当教員が連携し、やや易しめの英語によ る「専門教育科目(Basic Courses)」とその科目に対応する"ESP (English for Specific Purposes)"の授業を同時に受講します。そして、3年次から は、"ESP"はなくなり、講師が易しめの英語で講義をするSheltered Courses と、英語圏の大学での講義と同じレベルの英語で展開されるMainstream Coursesを受講する、というのが標準的履修パターンです。なお、3年次の 専門科目の授業では受講者の半数近くが留学生ということも珍しくありませ ん。
http://cob.rikkyo.ac.jp/bbl/about.htmlより