昭 和 六 十 l 年 度 ( 中 級 )
八時 間 2 0分 )
これから聞き方の試験をはじめます。最初にわたしの話を聞いて‑ださい。‑‑かえ
して二度話します。聞きながらメモをしてもいいです。そのあとで、問題を二度ずつ読
みます。わたしの読む問題を開いて、答えを解答用紙に書いて‑ださい。
今日は、日本の春を代表する花、桜についてお話しをしましょう。
ご存じのように、桜は三月の末か四月の初め、年によって多少の違いはありますが'
1斉に花を開きます。ところが、毎年同じ時期に咲‑と思われていた桜の花の咲き始め
る日が、昔に比べて少し変わってきたことが、最近の調査でわか‑ました。調査をした
のは気象庁の田中さんという方で、田中さんは日本全国について桜の花が咲き始めた日
を'過去三十年間について調べてみました。すると、おもしろいことには、場所によっ
て三十年の間に花の咲‑日が遅‑なったところがある1万、反対に早‑なったところも
あるということがわかりました。
そこで、調査したところを早‑なった日数、遅‑なった日数で分類してみました。さ
らに、その結果を日本の地図に書き込んでいったところ、三十年前に比べて咲き始める
日の早‑なった地域は南の方に集まり、逆に北へい‑ほど花の咲‑日の遅れが目立ちま
した。そして、三十年前と仝‑変わらない、早‑も遅‑もならなかった箇所を線で結ん
でみたところ'その線を堺にして北へい‑ほど遅れの日数が多‑な‑'その線の南側は
だいたい早‑なっていました。同じ日本で'なぜ三十年の間に早‑なった‑遅‑なった
‑する地域ができたのでしょうか。
桜は十度ぐらいの暖かさになると咲き始めるといわれています。つま‑'桜が早‑咲
‑ようになった地域は、三十年前に比べて気温が少し上がったということにな‑ます。
北の地方の桜が遅‑なってきたのは、北の冷たい空気が入‑やす‑なったためでしょう。
そのため、北へ行‑ほど気温が下がって桜の花の季節を遅らせているのだと思われます。
このように、北の地方については1応原因がわかっていますが、南側がなぜ暖か‑なっ
たかは、まだ十分にはわかっていません。そこで、気象庁の田中さんは、花の咲き始め
の日が三十年前と全‑変わらなかったところを線で結んだ南側を、詳し‑調べてみまし
た。すると、どうでしょう。境の線は東京の少し北から始まって、そのまま西に進んで
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大阪に達し、更に北九州までのぴています。つまり、日本の中でも特に工業化の進んだ
地域を結んで、そこから南が桜の花の早‑咲‑ようになった地域、気温の上がった地域
だということがわかりました。
そこで田中さんほ、都市化や工業化がそのあた‑の気温を上げて、その結果桜の花が
早‑咲‑のだろうと考えました。近代的な街やェ場が増えると、森や畑、庭などの緑が
滅‑ますし、コンクリートの建物や道ばか‑になって自然が失われると、地上の気温が
上がることはよ‑知られています。その上、自動車や工場から出るガスによって、ます
ますあた‑の空気は暖められます。しかも、東京や大阪などでこのような工業化が急速
に進んだのは、最近二‑三十年のことですし、ちょうどそれと一緒に桜の花も段々と咲
‑時期が早‑なったというわけです。人間の活動が自然の姿に影響している例といって
いいでしょう。
それでは質問を読みます。
一番 田中さんは過去三十年間の何についてまず調べましたか。
二番 桜の咲き始める日は三十年前に比べて、場所によってどのように変わりましたか。
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三番 日本の北の方の桜の咲‑時期が遅‑なった原因は何ですか。
四番 桜の咲き始める日が三十年前と比べて遅‑ならなかった場所は、日本の中のどの
ような地域ですか。
五番 日本の南の方の桜の咲‑時期が早‑なったのを'田中さんは何が原因だと考えて
いま
すか
。