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13.1 事例地域の製造企業等

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(1)

第13章  事例地域産業の企業家活動等

本章においては、事例地域の企業家活動等について論じることとする。

第10章にて論じた通り、人材、特にイノベーション創出に寄与する企業家の存在が、

地域産業活性化策を有効なものとする上で重要である。

事例地域の企業家活動等の実態について、アンケート調査、ヒアリング調査を実施し、

地域産業を幅広く、そして同時に深く分析を行う。

13.1項にて事例地域の製造企業等について、13.2項にて事例地域の中小ベンチ ャー企業について、それぞれ論じ、13.3項にて第13章のまとめを行うこととする。

13.1 事例地域の製造企業等

  本項においては、事例地域の製造企業等を対象とした調査の結果から、地域の製造系企 業家活動についての分析を行うこととする。

13.1.1項にて太田地域における製造企業等を対象とした第一次調査(1994年度) の結果の分析を、13.1.2項にて第2次調査(2000年度)の結果の分析をそれぞれ行 うこととする。

13.1.1 第一次調査

  ここでは1994年に実施された(1)第一次調査の概要、(2)製造企業のプロフィール、

(3)製造企業の経営環境・経営戦略、(4)製造企業の経営資源、(5)製造企業の外部との関

わり、(6)調査結果のまとめ、について順次論じていくこととする。

( 1 ) 第一次調査の概要

第一次調査は、1994年度に実施された。

  筆者が事例地域に立地する関東学園大学に赴任したのが1992年である。

  一年間、助手として暫定的にコンピュータ演習の講義を担当し、1993年に生産シス テムに関する著書「CIM時代の生産情報システム(学文社)」を書き上げ、1994年度か ら、その本を手土産に地域の製造企業を中心に順次訪問していった。

事例地域企業の企業家達は、赴任して日の浅いよそ者を驚くほど温かく迎えてくれた。

中堅企業を中心に100社の訪問を行い、その中で地域企業の強みや弱み、戦略や課題 が見えてきた。

こうした経緯から、地域に役立つ研究を手掛けていきたいと感じ、研究テーマを地域産 業活性化、地域中小ベンチャー企業経営に方向転換していったのである。

本研究の原点は、この100社訪問にあると言える。

研究者としての筆者は、いわば事例地域に育てられたようなものである。

企業在籍時に、事業管理部門では製造系子会社の経営計画立案、製品のVE等を実践し、

子会社・部品メーカーの現場、製品設計から部品の生産工程、企業の財務からコスト構造

(2)

までを分析しコスト低減策、収益確保を日々検討した。事業企画部門では、商品企画や顧 客からのコスト低減要求に対応することが多かった。

結果的に、供給業者にコスト低減要求を行う視点と、顧客からコスト低減要求を受ける 視点の両方を経験した。そうした視点で、企業を訪問していくうちに、共感を持つ企業家 達との交流ネットワーク構築がはじまった。

100社へのヒアリング調査と並行して、太田市、新田町、尾島町、大泉町、薮塚本町 の商工会議所、商工会に所属する製造系企業を対象とするアンケート調査を実施した。

調査票の回収は、各商工会議所、商工会を窓口とした。

本調査結果に基づき、1995年に地域産業の脱空洞化をテーマとするシンポジウムを 企画し、その場で、地域の産学官が交流ネットワーク組織である地域産業ネットワーク学 会の設立に合意しており、筆者にとり想い出深き調査である。

       表13−1 第一次調査の概要

ア ン ケ ー ト 調 査     ヒ ア リ ン グ 調 査        調査期間

1995/2/28−1995/3/17 1994/4/1−1995/3/31

調査企業数 発送数  1,297社 回収数   375社

訪問数  100社

(中堅企業等を中心とする)

調査内容 1.企業のプロフィール

2.中長期的な経営環境 3.中長期的な経営戦略 4.中長期的な経営資源 5.中長期的な業界構造

左記アンケート調査の内容 に加えて

1.生産工程特性 2.市場・技術特性 3.地域特性、4.その他 調査対象地域 太田地域(太田市・薮塚本町・新田町・尾島町・大泉町) 調査対象企業 太田地域内商工会議所・商工会所属の機械金属系製造企業

本調査のポイントは、大きく分けて3つ挙げられる。

第一のポイントは、通常の公的経済統計が現在と過去に重きを置いているのに対し、地 域製造企業の中長期的(3年−5年)見通しに焦点を置いていることである。

第二のポイントは、表13−1に示されている通り、企業戦略に関連する諸要因を網羅 していることである。

第三のポイントは、事例地域の中核的産業である機械金属系製造企業に焦点を置いたこ とである。事例地域には、機械金属系製造企業群以外に、戦後の一時期栄えたニット産業、

伝統的な食品産業等も立地しているが、ここでは調査対象外とした。

また、回収率を向上させるため、各商工会議所・商工会宛の返信封筒を用いた。

各商工会議所・商工会とは研究成果を共有することとした。

(3)

( 2 ) 製造企業のプロフィール

  アンケート調査は、機械金属系製造企業1,297社への調査票発送に対し、表13−2 に示される通り、回収数は計375社(回収率28.9%)であった。調査票発送数を見ても、

太田商工会議所に所属する機械金属系製造企業数が多いことがわかる。

       表13−2 アンケート調査回収状況

太 田 市  薮塚本町 新 田 町  尾 島 町  大 泉 町  全 地 域  発 送 数 

707

   47   190    93

260 1,297

回 収 数    190    19    69    36

6 1 3 7 5

構 成 比 

50.7%

 

5.0%

 

18.4% 9.6% 16.3% 100%

回 収 率   

26.9%

 

40.4%

 

36.3% 38.7% 23.5% 28.9%

  本調査は、各商工会議所・商工会にご協力いただいたので一般のアンケート調査に比し、

高回収率となっているが、地域別回収率が異なっている。

  都市部の太田市、大泉町の回収率より、農村的色彩の強い他三町の回収率が高い。

  コミュニティが機能し、企業と商工会の経営指導員が顔の見える付き合いを日頃からし ていることがこうした回収率の差につながったものと想定される。

  調査票においては、事例地域の機械金属系製造企業のプロフィールとして、従業員数、

資本金、売上高、本社所在地、主要事業分野、製造拠点所在地の六つの設問を設けた。

  事業規模に関する情報としては、従業員数、資本金、売上高が挙げられるが、そのうち 資本金と売上高については無記入の回答が多かった。個人事業者については資本金の情報 が無く、他地域に本社がある企業については、地域拠点に販売機能がないといった事情も あり、本研究では96%の企業から回答があった従業員数に基づき企業規模の分類を行う。

  地域の商工会議所とディスカッションを行い、小企業(従業員0人−29人)、中堅企業(同 30人−99人)、中核企業(同100人−299人)、大手企業(300人以上)の4分類によ ることとし、必要以上の細分化は回避して地域製造企業を分析することとした。

 

       表13−3 回答企業の従業員規模

小 企 業 中堅企業 中核企業 大手企業 従 業 員 の 規 模  

0−29 30−99 100−299

−300 回答企業の構成比

67.2%

 

16.9% 7.8% 8.1%

  表13−3に示されている通り、地域の製造企業の多くは小企業であり、従業員29名 以下の小企業が70%弱を占めている。

  各企業の事業分野については、複数の事業を行っている企業も多く、加工機能や製品に より回答する企業が多くデータ的には明快な分類が難しい。

(4)

自動車・電機の両産業に関連する加工、部品供給、設備等の供給、周辺サービスの中か ら、複数事業を手掛けている企業が圧倒的に多い。それ以外では、住宅・重電・事務機・

建設機械・プラント・公共工事等の関連事業を手掛ける企業が見られる。

表13−4 回答企業の本社所在地

太 田 地 域 県内他地域 関東他地域 国内他地域 回答企業の構成比

84.8%

 

2.4% 9.9% 2.9%

  回答企業の本社は表13−4に示される通り、84.8%が太田地域にあり、そのうち 半数以上が太田市である。関東他地域に本社のある企業が9.9%、以下、関東以外の国 内他地域企業2.9%、県内他地域企業2.4%と続く。

  第12章にて論じたように、太田地域の税収ベースでは県外企業のウェートが高い。

  東京に本社のある大手企業は企業数では少ないものの、地域経済に対する影響力は大き い点に注意する必要がある。

( 3 ) 製造企業の経営環境・経営戦略

  調査時点において、太田地域の機械金属系製造企業の多くは、自社の売上高の中長期的 見通しについて悲観的であった。

      図13−1 中期的な成長見通し

  全回答企業のうち40%近くが 現状以下 、すなわちマイナス成長を想定していた。

第一次調査当時、国内経済は低成長化していたが、地域の製造品出荷額等は堅調な推移

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

高成長 中成長 低成長 現状以下

構 成 比

(5)

を示しており、系列末端の小企業にはその恩恵が行き渡らない状況であった。

  現状以下という回答に、成長率横這い(概ね0−3%)の 低成長 を加えると約70%の 企業が 中成長 に至らないと答えている。ここで中成長とは、10%以上の高成長には 届かないものの、ある程度の成長は可能という状況(概ね3−10%)である。 高成長 と は10%以上の成長が可能な状況である。

  成長見通しを企業規模別に分析すると、小企業はマイナス成長とする企業の比率が全企 業群中で最も高いが、その反面、高成長を見込んでいる企業も小企業に集中していた。

  平均値で見ると小企業は最も悲観的だが、二極分化しており分散が大きいデータ構造と なっている。大手企業・中核企業には高成長する企業が見当たらない。その一方で、概し て穏健な中成長シナリオを描いている。

  規模が大きい企業ほど安定しているが、規模の小さい企業ほど高成長する可能性を秘め ているという興味深い結果が得られた。

       図13−2 中期的な競争状況

中期的な競争状況については、図13−2に示されている通り、現状並の状況が続くと 考える企業が過半を占めていた。これはデータ数として多い小企業・中堅企業が現状並と 予想していたことによる。

広域的活動を展開している大手企業・中核企業は国際競争激化・地域間競争激化を予見 していた。無競争の状況が続くと予想する企業はニッチ市場に属する一部の小企業に限定 されていた。

中長期的な成長戦略については、

Ansoff,H.I.(1965)の成長ベクトルのロジックに基づき分

析を行った。すなわち、現製品と現市場の組み合わせで成長しようとする「市場浸透化戦

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

無競争 現状並 地域内競争激化 地域間競争激化 国際競争激化

構 成 比

(6)

略」、現製品と新市場の組み合わせで成長しようとする「新市場開発戦略」、新製品と現 市場の組み合わせで成長しようとする「新製品開発戦略」、新製品と新市場の組み合わせ で成長しようとする「多角化戦略」、の四戦略に分類するのである。

       図13−3 中長期的な成長戦略

  調査結果によれば、35%の企業が現製品−現市場の組み合わせによる市場浸透化戦略 で成長しようと考えており、このタイプが最も多かった。市場浸透化戦略は、市場が成長 期にあるときは兎も角、市場が成熟期に入っている中で自社が成長するには、他社を押し のけることに帰結する。

  実際に、この第一次調査後、地域下請け企業は企業数が徐々に減少し、力のある後継者 としっかりしたビジョンを持つ企業に親企業からの発注が集中する状況となった。

  新市場開発戦略を選択した企業には、従業員が30人−99人規模の中堅企業が目立っ た。新市場開発戦略には、大規模な研究開発投資を伴わないという特徴がある。

  つまり、既存の技術を活用し知恵と工夫で何とか新しい顧客を探そうというスタンスで ある。研究開発人材の層が薄い中堅企業は、汗をかいて生き残るという考え方だ。

  市場開発戦略には新規用途開発、新規親企業開拓の二形態が考えられる。

  ヒアリング調査によると、後者の新規親企業開拓を模索する企業が多かった。

  低成長と親企業の海外進出が同時に進んだ上に、各系列下の一定以上の実力を有する企 業が親企業の新規開拓を試みたなら、競争構造の広域化は不可避となろう。

  中核企業・大手企業には、研究開発投資が必要となる新製品開発戦略、多角化戦略を選 択する傾向が見られる。

  大卒を定期採用し、技術部門を確立しているような企業は、相対的に規模が大きく、研

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

市場浸透化 新市場開発 新製品開発 多角化

構 成 比

(7)

究開発投資を支える財務的な力を有している場合が多い。

        図13−4 中長期的な最優先投資

  中長期的に 最優先される 投資項目については、図13−4に示されている通りであ る。このうち、産業活性化策との関連で重要なのが、国内生産の拡張投資を最優先する企 業は5%に満たないことである。

国内生産拡張より研究開発投資、市場開発投資の優先度の方が高い。

このことを見ても、既存の工業団地造成と基盤整備に重点が置かれた産業活性化策は限 界に達していることが分かる。

  最も多く選択されたのが、生産工程の合理化投資、情報システム投資といったコスト低 減のための投資であった。

  1994年時点で、既に量的拡張政策はやや時代遅れとなり、コスト低減、研究開発や 市場開発といったスキルの向上が要求されるようになりつつあった。

量的拡張支援から質的向上支援へのパラダイムシフトが必要な状況であったが、この時 期の地域の産業活性化策は、残念ながら依然として基盤整備と企業誘致に重点が置かれて いた。筆者が地域産業ネットワーク学会を設立する必要性を感じたのも、こうした産業活 性化策と意欲的な企業の戦略とのギャップを強く感じたからである。

同様に感じていた企業家達、市役所の管理職達も筆者の提案に賛同したのであった。

 

( 4 ) 製造企業の経営資源

  地域企業の経営資源については、第10章にて示したように、4M1I、すなわち

Man(人

材)、Material(原材料)、Machine(設備)、Money(資本)、Information(技術・情報・ノウハ

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

合理化投資 研究開発 市場開発 海外生産 国内生産

構 成 比

(8)

ウ等)により構成される。

  これら4M1Iのうち、Iについては個人に付随する性質が強いことから、調査におい ては4Mに絞った質問を行った。

  人材については、技術者、熟練技能者、有能な管理者、企業家精神の強い人材、販売・

マーケティングに強い人材、語学力や国際的視野を持つ人材、デザイナーの七通りの選択 肢を設けた。その他の3Mに関連して、設備、供給業者、資金という選択肢を設けた。

  これらの中から複数回答可という条件で選択してもらった。

       図13−5 中長期に不足する経営資源(複数回答)

  その結果は、図13−5に示される通りである。

地域の製造企業において、最も今後不足すると考えられている経営資源は技術者と資金 である。それらに次いで、熟練技能工、有能な管理者、企業家精神の強い人材を挙げた企 業が多い。設備、販売・マーケティングに強い人材がその次に来る。

  国際化戦略を推進する企業、製品開発型の企業は少数派であるため、国際的な人材、デ ザイナーについてニーズは必ずしも多くない。

本来、こうした人材へのニーズが多い地域へと転じて行く必要があるのだが、現状では 下請け企業が多くその必要性が低いということである。

  企業規模が大きくなると、技術者、企業家精神の強い人材、販売・マーケティングに強 い人材、国際的人材へのニーズが強くなる。大手企業は多角化や国際投資に積極的である ため、こうした結果となるのであろう。

  小企業の場合、資金不足が最も切実な問題となる。

熟練技能工についても、小企業においては高齢化が進んでおり、先行きの不足が懸念さ

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

技術者 資金 技能工 管理者 企業家 設備 販売人材 国際人材 供給業者 デザイナー

成 比

(9)

れている。系列組織の末端における現場の弱体化が懸念されている。将来的に、より規模 の大きい企業による内部化の必要性も生ずる可能性がある。近年、大手企業ではリストラ の対象とされている管理者についても、小企業においては有能な人材の不足感が見られる。

  技術者については企業規模に関わらず不足すると回答しているが、その不足の内容は、

企業規模により異なっている。

図13−6 中長期的に不足する技術分野(複数回答)  

  中長期的に不足する技術分野については、図13−6に示されている通りである。

これらの中で、回答数の多い順に三グループに技術分野を分類する事が出来る。

第一グループ技術は生産技術・加工技術・機械技術である。

これらは現場に近い技術であり、地域を代表する既存技術と言うことが出来る。

第二グループ技術は情報技術・電気電子技術・材料技術である。

これらは既存の地域技術に厚みを持たせる周辺技術である。

その他の第三グループ技術は今のところ地域に未定着の技術である。

  第三グループ技術は、ニーズは少ないものの、地域に多様性をもたらす技術となり得る。

  第一グループ技術は小企業を中心に、第二グループ技術は規模の大きい企業を中心に、

それぞれ強化すべきという回答が多く見られた。

  一定の技術的基礎を持つ企業は、第二グループの技術によりさらなる差別化を図ろうと する。技術的基礎の弱い企業は、第一グループの技術の充実が必要と考えている。 

 

(5)製造企業の外部との関わり 

  太田地域製造企業の中長期的な外部との関わりについては、表13−5に示されている

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

生産技術 加工技術 機械技術 情報技術 電気電子技術 材料技術 意匠技術 化学技術 バイオ技術

構 成 比

(10)

通り、供給業者、顧客、資本の出し手との取引関係を分析している。

  こうした業界構造分析の手法は、Porter,M.E.(1980)に代表されるように、企業を取り巻 く利害関係者達(Stake-Holders)を網羅することとなる。

 

      表13−5 中長期的な業界構造 

<中長期的な供給業者との関係> 

新規供給業者の積極開拓  54%  供 給 業 者 の 絞 り 込 み      19% 

社 内 で 一 貫 生 産 化      12%  自 社 得 意 分 野 に 特 化      15% 

<中長期的な顧客との取引関係> 

特定顧客依存か ら の脱却    43%  顧 客 の 絞 り 込 み        10% 

現 主 要 顧 客 の 重 視      39%  新事業等による新顧客開拓     8% 

<中長期的な主要資本調達方法> 

自己資金の 範囲内 で投資    41%  金 融 機 関 等 の 融 資       55% 

株 式 公 開 等 の 直 接 金 融     2%  親 企 業 等 の 融 資         2% 

 

  利害関係者のうち、企業内部の経営者、従業員や地域住民を除くと、主要なものとして は、競争業者、供給業者、顧客、株主、金融機関が挙げられる。 

  競争環境については(3)にて論じているので、ここでは供給業者、顧客、資本の出し手 との関係を取り扱うこととする。 

  今後の供給業者との関係については、「良い供給業者があれば積極的に新しい取引関係 を持つ」という積極派が過半を占めている。「供給業者を絞り込む」あるいは「社内で一 貫生産」という新規供給業者開拓を必要としない選択肢は、約30%の企業が選択した。 

「自社得意分野に特化」する企業も外部活用派であり、QCDの優れた企業にとっては新 規参入の機会は従来に比し増える可能性を示唆している。 

  今後の顧客との関係については、特定顧客依存からの脱却派と現主要顧客重視派が拮抗 している。太田市経済部の調査によれば、第一納入先への依存度は上昇傾向にある。 

  本音では得意先を広げて経営の安定性を高めたいものの、現実には得意先を重視せざる を得ないということになる。 

  顧客を絞り利益率を上昇させたい企業、新事業・海外進出を契機に新規顧客を確保した いとする企業は、それぞれ約10%であり、リーダーシップの強い一部企業ではこれらの 戦略が検討されている。 

  資本の出し手との関係では、金融機関等の融資、間接金融を今後も重視するという回答 が過半を占めている。地域中小企業の資本調達には、今後とも間接金融が重要であること が改めて確認された。 

次に多いのが約40%の自己資本の範囲内で投資するという考え方である。 

  金融機関の姿勢が厳しいため、こうしたスタンスをとらざるを得ない企業も増えている。 

(11)

  地域の金融機関の不良債権問題が、中小企業の淘汰やキャッシュフロー経営の導入を後 押ししている側面もある。 

  株式公開・増資等の直接金融派は残念ながら2%に止まっていた。 

  この結果は、今後、高成長経営を目指す企業が少ないと言うことに他ならない。 

一定の経営基盤を有する中核企業も、巡航速度の成長を計画し、これまで通り間接金融 に依存するという経営方針である。 

  親企業からの融資を重視するという意見は2%に過ぎず、この地域の系列組織は、仕事 の融通はするものの金融的な支援機能を持っていないという現実を示している。 

 

(6)調査結果のまとめ 

  この第一次調査は、事例地域におけるはじめての本格的な機械金属系製造企業に絞った 地域産業分析である。

         図13−7 因子分析による各企業群の因子負荷量プロット

地域企業家達が、この調査結果報告を聞いて「私たちの実感に合致している」と評価し、

筆者の地域産業ネットワーク学会構想に賛同が集まった。

また、2001年に群馬県が産業集積政策を立案する際に、この調査結果をまとめた論 文を入手し、政策立案時に多くの引用を行っている。

  図13−7は、本調査の各設問に関して、各企業群の回答企業数構成比と全企業群の回 答企業構成比の乖離幅による因子分析の結果である。

  因子分析に際しては「バリマックス回転/共通性=重相関係数の自乗」の条件下で、設 問間の選択肢数の差異調整を行い図に示される因子負荷量プロットを導き出した。

-1.2   -0.8   -0.4     0     0.4    0.8    1.2    1.6 0.4

0.2

0

-0.2

-0.4

-0.6

-0.8

-1.0

小企業

大手企業 中核企業

中堅企業

因子1

因子

(12)

  因子1(固有値

2.53、寄与率 63.2%)は、技術革新を示す指標と読むことが出来る。

因子1は企業規模と相関を持つが、企業規模が大きくなるに従い、研究開発を通じた多 角化や新技術修得への意欲が高まっている様子が見て取れる。

因子2(固有値

0.79、寄与率 19.7%)は、やや固有値が小さいが、新市場探索を示す指標と

読むことが出来る。特に中堅企業が、研究開発ではなく、市場開発による状況打破を目指 している点が見て取れる。

中核企業と大手企業は類似した傾向を示した。

  つまり、一部の高成長企業が見られるものの平均的には手詰まり感が見られる小企業、

投資リスクが高い研究開発ではなく市場開発志向の成長戦略を描く中堅企業、研究開発投 資により中程度の成長を目指す大手企業・中核企業という分類が出来る。

  小企業は生産技術、中堅企業は機械技術、中核企業・大手企業は周辺技術という具合に 求める技術者像も異なっている。

  地域産業を平均値で分析することからはきめ細かい政策は生まれない。

  一方、個別企業毎にまで政策をブレークダウンすることも現実には困難である。

  地域企業を、いくつかの企業群にセグメンテーションし、どの企業群に焦点を合わせる かを考えていくことは極めて重要である。

  太田地域産業の活性化策を検討する際には、小企業/中堅企業/中核企業・大手企業の 三セグメントに分けて政策立案することが有益であることが第一次調査より判明した。

  その他、第一次調査を通じて得られた各知見については、下記の通りにまとめることが 出来る。

1)

太田地域においては、太田市内に機械金属系産業集積の主要な製造企業群が立地して いる。

2)

企業数ベースでは、従業員数が29名以下の小企業が地域の多数派である。

3)

調査対象企業の80%以上が本社を太田地域内に置いているが、地域経済・税収に占 めるウェートは、都内等の県外に本社を置く企業の方が大きい。

4)

調査時点において、小企業を中心に中長期的な景況感が悪い。その後、小企業を中心 に事業所は減少を続けており、見通しは実態に合致していた。

5)

一方、高成長を見込む企業も小企業に集中していた。規模の大きな中核企業・大手企 業はむしろ中成長を見込む場合が多い。

6)

競争状態については、小企業を中心に現状並みの状況を中長期的に予測する企業が多 い。広域的事業活動を展開している中核企業・大手企業は、国際的競争・地域間の広 域的競争の激化を想定していた。競争はないと回答していたのは、ニッチ市場に所属 する一部の小企業に限られていた。

7)

成長戦略としては、小企業を中心に最も消極的な市場浸透化戦略が採用されていたが、

この戦略は、成熟期には他社を押しのけることにつながる。

8)

規模の大きい中核企業・大手企業には、研究開発が必要となる多角化戦略や新製品開

(13)

発戦略を採用する傾向が見られる。

9)

中堅企業には、リスクの高い研究開発投資を回避し、新市場開発戦略を採用する傾向 が見られる。しかし新顧客の確保を各系列の同種メーカーが同時に行うと広域的な競 争が激化する。

10) 国内生産拠点拡張を最優先投資項目とする企業は少ない。基盤整備型の工業団地造成

政策は曲がり角にきている。

11) 今後不足する経営資源としては、技術者と資金を挙げる企業が多い。小企業の場合は、

資金不足、熟練技能工不足が切実な問題となる。

12) 企業の規模により必要とする技術者像は異なっている。小規模な企業は、機械技術や

生産技術といった現場に近い技術の必要性を感じており、規模の大きい企業は、情報 技術や電気電子技術といった周辺技術の補強の必要性を感じている。

13) 良い供給業者があれば積極的に開拓するという企業が過半を占めており、取引構造の

流動化が見込まれる。

14) 対顧客の戦略については、特定顧客依存からの脱却を目指す企業と現主要顧客を重視

する企業の数が拮抗している。

15) 資金調達については、間接金融、自己資金を重視する企業が多い。直接金融志向の企

業は2%に過ぎない。

16) 統計的に中核企業と大手企業は近い存在であり、地域の製造企業は、小企業、中堅企

業、中核企業・大手企業の三セグメントに分類される。

13.1.2 第二次調査

第二次調査は、地域の意欲的企業に対するヒアリング調査を通じて行われた。 

経済産業省系の日本新事業創出支援機関協議会にて地域活性化企業調査会座長を務めて いた際に、地域プラットフォームの評価をどのようにすべきかが課題として浮上した。 

そこで、地域プラットフォームが支援対象とすべき意欲的な企業を限られた地域で網羅 的に調査し、企業側のニーズを調査することとした。 

意欲的な企業とは、新製品開発・情報化等に熱心な企業、地域産業ネットワーク学会会 員、そうした意欲的企業の推薦する企業、新規創業企業とした。太田市内の地域プラット フォームを活用する可能性のある企業はほぼ全数訪問している。 

ここでは2000年に実施された(1)第二次調査の概要、

(2)製造企業等のプロフィール、

(3)製造企業等の経営環境・経営戦略、(4)製造企業等の経営資源、(5)製造企業等の外部

との関わり、(6)調査結果のまとめ、について順次論じていくこととする。

 

(1)第二次調査の概要 

  第二次調査は、第一次調査を基礎とし、部分的に共通した観点を有している。 

  一方、第一次調査は、大手企業から中小企業までを網羅的に把握する目的で実施したが、

(14)

第二次調査は、地域プラットフォームのユーザーとなりうる「意欲的企業」に焦点を絞っ ている。そのため、データ的にはバイアスがかかっている。 

そのバイアスのかかったデータであるところに本調査の価値がある。 

技術を駆使する意欲的な企業をある基準で選別し、そうした企業について地域網羅的な ヒアリング調査を実施した事例はない。その意味で、本調査は、我が国の地域における支 援体制を考察する上で重要な意義を有している。 

 

      表13−6 第二次調査の概要 

基 礎 調 査     ヒ ア リ ン グ 調 査        調査期間

2000/9/1−2001/3/31 2000/9/1−2001/3/31

調査方法 1.法務局新規創業企業調査 2.意欲的企業リストアップ 3.予備アンケート調査

訪問数  129社

(予備調査にてリストアップ

された企業)

調査内容 1.企業のプロフィール

(事業内容、規模、経営環境、顧客、その他)

2.経営戦略と将来像

(成長戦略、見通し、将来像、投資)

3.経営資源とスキル

(中核的スキル、競争力、不足スキル、不足経営資源、

不足情報、不足技術、人材、特許) 4.外部との関わり

(顧客との関わり、供給業者との関わり、資金調達方法、

大学との関わり、支援機関との関わり)

調査対象企業 太田市内の製造、製造周辺サービス、建設等に関する技術 系の意欲的企業、新規創業企業

第二次調査においては、基礎調査とヒアリング調査を並行して実施した。

  まず、筆者のコーディネートする地域産業ネットワーク学会員企業には意欲的企業が多 く、太田市内に立地する会員企業17社、それに準ずる意欲的企業25社をリストアップ し協力を依頼した。まず、これら企業に予備的アンケート調査を実施した。

そして、それら企業の紹介で新しい挑戦をしている企業、事例地域の法務局において直 近5年間に新規設立が届け出されている企業等のうち43社の調査協力を得た。

その他、新聞等で紹介された企業4社、他地域の中小ベンチャー企業等の紹介16社、

IT活用に熱心な企業24社、合計129社にヒアリング調査を実施した。

本調査は、太田市内の製造、製造周辺サービス、建設等に関する技術系の意欲的企業、

新規創業企業をほとんど遺漏無くヒアリングした点に特徴がある。

(15)

まさに、地域経済に多様性と活力を与える存在であり、新中小企業基本法の精神に合致 した支援政策のユーザーと想定される企業群である。

図13−8 事例地域法務局登記法人設立件数

  事例地域の法務局における法人設立登記はトレンドとして増加していた。

しかし、図13−8に示されている通り、その増加は、流通サービス業・不動産業の創 業によるところが大きかった。

  製造企業の創業は年間20件に未満の水準で推移しており、増加傾向は見られない。

  法務局のデータには、一定の比率で実態の伴わない新規創業企業が含まれている。また、

法人成りしていない自営業者が統計に含まれていないと言った問題点はあるが、データ ベース化されていない紙ベースの情報を網羅するという泥臭い調査手法を採用した。

  第二次調査当時の太田市の製造品出荷額等は、図13−9に示されるように安定的に推 移していた。それに対して、工業DIはマイナス傾向が継続していた。

  筆者は太田商工会議所がDI分析を導入した当初から協力を続けているが、製造品出荷 額等の安定とDIの低迷という状況が続いている。

  DIは、良いと感ずる回答企業数と悪いと感ずる回答企業数の差から景況感を探ろうと する手法である。第一次調査時に見られたように、小規模な企業の多くはマイナス成長傾 向にあり、系列の頂点に立つ大手企業と一次下請けクラスまでにしか恩恵が回らない状況 下では、DIは芳しくない数値となる。 

中国製品に押されている繊維工業、公共工事減少と価格競争激化に苦しむ建設業等の景 況感は容易に回復しそうにない。

調査対象企業129社の内訳は、80社が機械金属系製造業で最も多く、10社が繊維

0 20 40 60 80 100 120 140

1996 1997 1998 1999 2000

その他 サービス・不動産 流通 建設 製造

(16)

工業、21社が建設、1社が食品工業、8社がIT関連、7社が工業周辺サービス、2社 がその他であった。

図13−9 太田市の製造品出荷額等の推移

図13−10 太田商工会議所の工業DI推移

(2)製造企業等のプロフィール

  第二次調査は全てヒアリング調査によるため、アンケート調査による第一次調査とは異

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800

61 62

昭和 63

1年 2年

平成 3年

4年 5年

平成 6年

7年 8年

平成 9年

10 11 (単位:10億円)

84%

86%

88%

90%

92%

94%

96%

98%

100%

102%

104%

出荷額 前年比%

-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10

平成10

10

10

平成10

11

平成11年

11

11

平成12

12

12年 平成12

-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

受注高前期比 業況見通し

(17)

なり、調査対象企業の資本金・売上高等のプロフィールは情報収集に成功している。

図13−11 調査対象企業の資本金

図13−12 調査対象企業の従業員数

  訪問した企業の45%が資本金1千万円以下であり、全般的に内部留保と間接金融に依 存する財務状況となっている。

  従業員数については、第一次調査とカテゴリーを一部変更した。

新規創業企業を含むため、9人以下という分類を設けた。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

50%

10百万円以下 10-30百万円 30-50百万円 50-100百万円 100百万円−

構 成 比

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

9人以下 10−29人 30−99人 100人−

構 成 比

(18)

  第一次調査時に、従業員100人−299人の企業と300人以上の企業は同様の傾向 を示したので、100人以上に一本化した。

  意欲的企業の過半が従業員29人以下、資本金三千万円以下であった。

  年間売上高については、5億円以下の企業が過半を占めており、「10億円前後の壁」を    新たに突き抜ける企業が少ないことが指摘される。

図13−13 調査対象企業の売上高/年

平均創業年は

1970.23

年であり、社歴は平均約30年であった。

戦後、中島飛行機からのスピンオフ創業が相次いだ時期があったが、機械金属系の製造 企業を中心に社歴が半世紀に及ぶ企業が多いことがわかる。

半世紀を経過し、なおも意欲的な経営を行っているところからも、製造企業における既 存企業によるイノベーションの重要性が改めて認識される。

本調査では、新規創業企業を積極的に訪問したため、創業10年未満の企業も20%超 含まれている。創業10年以内の企業のうち、地域の主軸産業である機械金属系製造業は 最も多いものの32%を占めているに過ぎず、その他はIT、工業系サービス、建設とい った小回りの利く事業領域である。

地域の意欲的企業においても、特許保有0件が70%を上回っている。

継続的に特許を申請していると思われる企業(11以上保有)は6%に止まっている。

  地域の弁理士にとって、地域に研究開発機能を有する一部の大手企業、図13−15に おいて示されている100件以上特許保有するような企業(2%)以外には、長期的取引関 係を築くことの出来る顧客が見当たらない状況である。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

1億円以下 1−3億円 3−5億円 5−10億円 10−15億円 15−30億円 30億円−

構 成 比

(19)

図13−14 調査対象企業の創業年

図13−15 調査対象企業の特許保有件数

  図13−16に示されている通り、特許取得は小さい企業から大きな企業まで幅広くな されている。一方、6件以上保有している企業について調べると大きな企業ばかりとなる。

  つまり、小さな企業でも特許を保有しているが、数が限られており、保有件数が多いの は規模的に大きな企業ということになる。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

1991− 1981−1990 1971−1980 1961−1970 1951−1960 −1950 構

成 比

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

0 1-5 6-10 11-30 31-100 100-

件数 構

成 比

(20)

  特許保有企業の創業年については図13−17に示される通り、創業10年未満も特許 を保有しているが、6件以上保有しているのは社歴の長い企業となる。

図13−16 特許保有企業の規模

図13−17 特許保有企業の創業年

結局、橋本寿朗(1991)が述べているように、我が国には1950年代に製造業に大きく なるチャンスがあり、その頃、あるいはその前に創業していた企業はそのチャンスを掴み、

技術部門を充実させていったということなのである。

0 2 4 6 8 10 12

9人以下 10−29人 30−99人 100人−

特許保有6件以上保有

0 1 2 3 4 5 6 7 8

1991− 1981−1990 1971−1980 1961−1970 1951−1960 −1950

特許保有6件以上保有

(21)

図13−18 調査対象企業の経営者の年齢

図13−19 調査対象企業のISO等の認証(重複回答)

経営者の年齢については、図13−18に見られるように、50台を中心とするきれい な釣り鐘型分布となっている。50代の経営者が40%強であり、40−60代で大半を 占めているのが実状である。20代の若手経営者は極めて少ない。

ISO9000シリーズ、ISO14000シリーズ、QS9000シリーズ等の国際

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代

構 成 比

0 20 40 60 80 100 120

ISO9000 ISO14000 QS9000 その他 なし

(22)

  太田市は市役所や商工会議所、市への納入業者がISO9000シリーズの認証を受け るなど、企業のISO認証に力を入れている。

  約20%の企業が、何らかの認証を受けている。

海外工場を持ち、ビッグ3とつき合っている自動車部品メーカー等は、QS9000シ リーズの認証を受けている。

顧客が国際的なビッグネームである製造企業は、顧客の要請により各種認証を取得して いるというのが実状である。品質管理規格であるISO9000シリーズに比べて、環境 管理系のISO14000シリーズの認証はこの段階では相対的に進んでいなかった。

( 3 ) 製造企業等の経営環境・経営戦略

  競争状況については、最近太田地域外企業との広域的競争が激化(特にコスト競争)してい るとする企業が多い。状況は変わっていないとする企業が次いで多い。

競争がないとする企業は6%程度だが、その半数は社歴の浅い新規創業企業である。

  過去と将来の成長(共に3年スパン)については、過去3年間マイナス成長とする企業が最 も多いが、今後は期待を含めて二桁成長すると意気込む企業が多い。

この意欲が地域産業活性化には必要である。

 

図13−20 調査対象企業の競争状況

高成長、中成長、横這い、マイナス成長(現状以下)という語句の定義については、第一調 査と同様である。(10%以上、3−10%、0−3%、−0%)

  将来の高成長を見込む企業は、従業員9人以下の小規模な企業に多い。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

50%

競争

競争

状況

太田外

との

海外 との

成 比

(23)

創業10年未満の新規創業企業には、過去三年間の成長率も、今後三年間の成長率も高 い企業が多い。

図13−21 調査対象企業の過去(N=123)と将来(N=129)の成長性

興味深いことに、1960年代に創業した企業の成長意欲がやや高いが、総じて言える ことは、新規創業は旺盛な成長意欲を通じて地域の活力源となると言うことである。

各企業の将来像については図13−24に示されている通りである。

図13−22 高成長企業の規模

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

高成長 中成長 横這い マイナス成長

構 成 比

過去3年 今後3年

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

9人以下 10−29人 30−99人 100人−

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

過去 今後 全企業分布

(24)

図13−23 高成長企業の創業年

生産技術型企業、すなわち、現場の技術(生産技術、施工技術等)により生き残っていく 将来像をイメージしている企業が最も多い。

通常の地域企業への調査ではこのタイプの比率が圧倒的に大きくなると思われるが、本 調査においては意欲的な企業をピックアップしているため多様性が見られる。

図13−24 調査対象企業の将来像

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

1991− 1981−1990 1971−1980 1961−1970 1951−1960 −1950

0%

5%

10%

15%

20%

25%

過去 今後 全企業分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

製品開発型 研究開発型 生産技術型 販売サービス型 その他

構 成 比

(25)

生産技術型に次いで多く将来像として掲げられているのは、製品開発型企業である。

  次いで、研究開発型、販売サービス型にも分散している。

図13−25 自社製品保有企業の過去の成長

自社製品の売上高に占める割合の多寡は別にして、現状において自社製品を保有してい る企業をカウントしたところ32社あった。そのうち、将来像を製品開発型企業としてい る企業は16社であった。自社製品を保有した上で、研究開発型、生産技術型を将来像と して選んだ企業も見受けられる。

図13−26 自社製品保有企業の今後の成長

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

高成長 中成長 横這い マイナス成長

構 成 比

自社製品保有企業 全企業

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

高成長 中成長 横這い マイナス成長

構 成 比

自社製品保有企業 全企業

(26)

図13−25、図13−26に示されている通り、自社製品保有企業は、過去3年に高 成長を達成した企業、今後の高成長を計画している企業が多い。

  明らかに自社製品を保有している企業は成長力が強い。

関東通商産業局(現、関東経済産業局)の調査(1998)によれば、製品開発型企業の特徴と して、1)創業者が既存企業からのスピンアウト型が半数以上を占めており多いこと、2)売 上高に対する研究開発費比率が8.5%と高い水準にあること、3)平均顧客数が173.

3社と多いこと、4)海外生産には積極的ではないこと、5)出荷高が平均4−6%の伸び率 を示しており、全中小企業平均を大きく上回っていること、6)設備投資に積極的であるこ と、等が挙げられている。

第二次調査においても、図13−26に示されている通り、今後、マイナス成長を見込 むという悲観的な経営者はほとんど見られなかった。

図13−27 調査対象企業の最優先の投資項目

投資の最優先項目としては、第一次調査と同様合理化投資が多かったが、国内生産等の 前向きな投資意欲が強い点がこの母集団の特色であろう。

  市場開発、研究開発がそれに続いている。

成長ベクトルに関しては、市場浸透化、新製品開発、新市場開発、多角化の各戦略が拮 抗していた。第一次調査では、市場浸透化、すなわち新製品開発も新市場開発も行わない というネガティブな選択を小企業中心に行っていた。

  第二次調査においては、調査対象企業はより前向きなマインドを持っている。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

研究開発 市場開拓 国内生産等 海外生産等 合理化 その他

構 成 比

(27)

図13−28 調査対象企業の成長ベクトル

( 4 ) 製造企業等の経営資源

  図13−29に示される通り、人材採用意欲については40%の企業がなしと答えてい るが、新卒採用のみならず中途採用も意欲があるという企業も一定数あった。

意欲的な企業には創業年の古い企業から新しい企業まで多彩であった。

図13−29 調査対象企業の人材採用意欲

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

市場浸透 新製品開発 新市場開発 多角化

構 成 比

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

新卒のみ 中途のみ 無し 新卒+中途

(28)

図13−30 調査対象企業の強み(N=128)と課題(N=119)

強みと課題については、図13−30に示される通り、生産技術等の現場の技術が強み であり、課題はギャップを見る限り販売、研究開発、事業企画、財務・労務管理に見られ る。販売が課題である企業のうちの一定数は事業企画段階にスキル不足がある可能性も指 摘される。つまり、企業家は販売に課題があると考えていても、実際には事業や商品の検 討が不足しているので販売に力を入れても結果は出てこない可能性がある。

図13−31 調査対象企業の競争力スケール

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

生産技術 研究開発 事業企画 生産管理 販売 サービス 財務・労務 その他

構 成 比

強み 課題

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

世界水準 国内水準 北関東水準 太田地域水準 その他

構 成 比

(29)

図13−32 世界水準と回答した企業の規模

図13−33 世界水準と回答した企業の創業年

現場のオペレーションには強く、販売、事業企画、研究開発、財務管理・労務管理に相 対的に課題があるというのが、地域の意欲的企業の実態であろう。

競争力については図13−31に示されている通り、北関東では一定の水準にあると自 己評価している企業が最も多く、世界水準、国内水準の広域的競争力を持つと自己評価し ている企業は40%強と多い。

0 1 2 3 4 5 6 7 8

9人以下 10−29人 30−99人 100人−

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

世界水準競争力 全企業分布

0 1 2 3 4 5 6 7

1991− 1981−1990 1971−1980 1961−1970 1951−1960 −1950

0%

5%

10%

15%

20%

25%

世界水準競争力 全企業分布

(30)

世界水準の競争力を持つとした腕に自信のある企業の80%以上が機械金属系製造業で ある。図13−32に示されている通り、企業規模についてはやや大手企業が多いものの、

小規模な企業にも腕に自信のある企業は見られる。

図13−34 調査対象企業が補充すべき経営資源

図13−35 調査対象企業が強化すべき技術

創業年から見ると、世界水準の競争力を持つとする企業は、創業間もない企業と設立後 40−50年の企業が強い。系列組織の上位ポジションは40−50年前までに創業した

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

土地

・設

技能者

その

成 比

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

生産技術 機械工学 情報工学 電気電子 材料工学 化学工学 建設工学 土木工学 その他 構

成 比

(31)

企業により占められ、最近創業し成功した企業は、潜在化したニッチ市場を発見した企業 である傾向が強い。

調査対象企業が補充すべき経営資源としては、資金、技術者までは第一次調査と同様で あるが、次に販売・マーケティングに強い人材が挙げられている点で差異が見られる。

強化すべき技術としては、生産技術(含む施工技術)と情報工学を挙げる企業が多い。

第一次調査に比し、情報工学を挙げる企業が多いのが目を引く。

次いで、電気電子、材料技術、機械工学等が挙げられている。第一次調査では機械金属系 製造企業に特化した調査であったため、この点は差異が出るのであろう。

図13−36に、調査対象企業が不足していると考えている情報を示してあるが、販売 パートナーに関する情報に対するニーズが圧倒的に多い。技術・技術者に関する情報がそ れに次いで多い。僅かであるが、公的支援情報、法律特許情報等も挙げられている。

  これらは、意欲的な技術系企業を支援する際に求められるポイントとなる。

図13−36 調査対象企業にとり不足している情報

( 5 ) 製造企業等の外部との関わり

  図13−37に示される通り、資金の出し手との関わりについては、自己資金で何とか していくという回答が最も多かった。間接金融重視の企業も多い。株式公開等の直接金融 志向の企業は約8.5%あり、一次調査に比し高い比率となっている。

顧客との関わりについては、図13−38に示されている通り、既存事業で新規顧客確 保するという考え方が最も多い。広域的な競争力を前提とする戦略であり、その点が問わ れてくる。現顧客を重視するという回答がそれに続いている。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

技術

・技

・特

成 比

(32)

図13−37 調査対象企業の資金調達

図13−38 調査対象企業の販売戦略

供給業者との関わりについては、図13−39に示されている通り、40%近い企業が 良い取引先があれば新しい供給業者にチャンスを与えるとしている。現況供給業者を重視 するという回答も35%強あり、それに続いている。

  外部調達の見直し積極派は合計約50%であり、系列組織の下位に位置する零細企業の 競争・選別が広域的に進む可能性が示唆されている。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

自己資金 民間金融機関 公的金融機関 株式公開等 親企業融資 公的補助金 その他

構 成 比

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

現顧客重視 既存事業で新規顧客 新事業で新顧客 顧客の絞り込み その他

構 成 比

(33)

図13−39 調査対象企業の調達戦略  

図13−40 調査対象企業の産学連携(技術系)

図13−40に示されている通り、技術系大学との産学連携については、50%強の企 業は興味がないとしている。交流を通じて成果があるとしている企業は18%であった。

この中には、有益な情報が得られたといった程度でも成果があったと回答している企業 を含んでいる。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

現取引業者重視 新業者開拓志向 業者を絞り込み 社内調達化 外部調達増 その他

構 成 比

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

興味なし してみたい 成果がある 成果はまだ

構 成 比

(34)

図13−41 調査対象企業の公的支援機関利用(複数回答)

守秘義務の関係で必ずしも詳細な情報が得られるわけではないが、本格的な共同研究を 通じて事業化までこぎつけた事例は見られない。部分的な分析や情報提供、個人的交流と いった次元では、大学と有益な関係を構築している企業が見られる。今後産学連携に挑ん でみたいという企業は25%あり、今後さらに裾野が広がる余地があると言えよう。

調査対象企業の公的支援機関の利用については、図13−41に示されている通り、様々 な支援機関をそれぞれ20−40社が利用している。

  一つも利用したことが無いという企業は10社に満たない。 

  さらに、20社以上が利用していた支援機関は、利用者が多い順に、1)ぐんま産業高度 化センター(太田)、

2)工業試験場 (前橋)、 3)信用保証協会(前橋)、 4)中小企業振興公社(前橋)、

5)産業技術専門校(太田)、6)中小公庫(前橋)、7)商工中金(前橋)、8)発明協会(桐生)、9)国民

生活公庫(前橋)、である。太田市に立地しているのは第三セクターのぐんま産業高度化セ ンター、技能者の養成機関である産業技術専門校太田校のみである。基本的に公的支援機 関は県庁所在地の前橋市に立地している。遠方にある工業試験場の利用が多い。

  図13−41では、公的支援機関との交流、つき合いはあるか、ある場合は深い満足感 が得られたかという質問を二段階で行った結果を示している。

  データ数的に限られているが、5社以上が満足した支援機関は、工業試験場、中小公庫、

国民生活公庫の三機関であった。

  総合調整型の支援機関は、その利用が必ずしも深い満足に結びつかない。

公的金融機関のように、融資という金銭的支援方法は感謝されやすい。

信用保証協会等もこの範疇に含まれる。

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

センター

中央会

なし

交流

満足

参照

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エネルギー状況報告書 1 特定エネルギー供給事業者の概要 (1) 特定エネルギー供給事業者の氏名等

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保安業務に係る技術的能力を証する書面 (保安業務区分ごとの算定式及び結果) 1 保安業務資格者の数 (1)

契約先業者 ( 売り手 ) 販売事業者 ( 買い手

日数 ワクチン名 製造販売業者 ロット番号 接種回数 基礎疾患等 症状名(PT名).

対策等の実施に際し、物資供給事業者等の協力を得ること を必要とする事態に備え、

<RE100 ※1 に参加する建設・不動産業 ※2 の事業者>.