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Kyushu University Institutional Repository

急性膵炎におけるアデノシン取りこみ阻害薬KF24345 の薬効メカニズム

水谷, 未来

Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University

https://doi.org/10.15017/22024

出版情報:Kyushu University, 2011, 博士(薬学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

急性膵炎におけるアデノシン取りこみ阻害薬 KF24345 の薬効メカニズム

水谷 未来

(3)

目次

要旨 3

略語一覧 5

序論 7

第一章 マウス急 性 膵 炎モデルにおける組 織 および血 中 アデノ シン関連物質の変動に対する KF24345 投与の影響

1-1 実 験 材 料 および方 法 14

1-2 結 果 17

1-3 考 察 21

第二章 末 梢 血 白 血 球 の 活 性 化 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び KF24345 の作用

2-1 実 験 材 料 および方 法 25

2-2 結 果 29

2-3 考 察 32

結語 34

参考文献 35

謝辞 42

図表 43

(4)

要旨

KF24345 は 、細 胞 膜 上 の ヌ ク レ オ シ ド ト ラ ン ス ポ ー タ ー に 結 合 す る こ と に よ り 、 細 胞 内 へ の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 阻 害 す る 薬 剤 で あ る 。KF24345 は 、 致 死 性 の 急 性 膵 炎 モ デ ル で あ る コ リ ン 欠 乏 エ チ オ ニ ン 含 有 食 (CDE diet) 処 置 マ ウ ス に お い て 、組 織 障 害 に よ る 膵 お よ び 肝 酵 素 の 血 中 へ の 逸 脱 お よ び 致 死 を 有 意 に 改 善 す る 。こ れ ら の 薬 効 は ア デ ノ シ ン 受 容 体 拮 抗 薬 の 併 用 に よ り 消 失 す る こ と か ら 、内 在 性 ア デ ノ シ ン の 増 加 を 介 し て い る こ と が 示 唆 さ れ る 。 し か し 、本 モ デ ル に お い て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 際 に 、ど の 臓 器 お よ び 細 胞 で 内 在 性 ア デ ノ シ ン を 増 加 さ せ て い る か 不 明 で あ っ た 。急 性 膵 炎 は 膵 臓 を 原 発 と す る 全 身 性 の 炎 症 病 態 で あ る が 、組 織 学 的 に 重 篤 な 炎 症 臓 器 と し て 他 に 肝 臓 な ど が 挙 げ ら れ る 。ま た 、炎 症 増 悪 に 伴 い 血 中 サ イ ト カ イ ン の 上 昇 が 顕 著 で あ る 。よ っ て 、私 は KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 場 所 と し て 炎 症 状 態 の 膵 臓 、 肝 臓 も し く は 血 中 の 細 胞 を 想 定 し 、 本 研 究 を 行 な っ た 。

CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 マ ウ ス の 膵 お よ び 肝 組 織 中 の ア デ ノ シ ン お よ び 関 連 物 質 量 を 測 定 し 、正 常 群 と 比 較 し た 。そ の 結 果 、病 態 群 の 膵 お よ び 肝 組 織 に お い て 、ア デ ノ シ ン の 産 生 源 で あ る ア デ ノ シ ン 三 リ ン 酸 の 減 少 に 加 え 、ア デ ノ シ ン 代 謝 物 の 一 つ で あ る ヒ ポ キ サ ン チ ン の 増 加 が 認 め ら れ た こ と か ら 、 炎 症 組 織 に て ア デ ノ シ ン 産 生 が 亢 進 し て い る と 考 え ら れ た 。し か し 、ア デ ノ シ ン 自 体 の 明 確 な 変 動 は 認 め ら れ ず 、KF24345 を 投 与 し て も ア デ ノ シ ン は 増 加 し な か っ た 。こ の こ と か ら 、炎 症 局 所 で は ア デ ノ シ ン が 細 胞 外 に 長 く 滞 留 で き な い こ と 、そ の 消 失 経 路 が 少 な く と も ア デ ノ シ ン 取 り 込 み に 依 存 し て い な い こ と が 示 唆 さ れ た 。一 方 、血 漿 中 の ア デ ノ シ ン に つ い て は 、病 態 進 行 に 伴 う 増 加 に 加 え 、KF24345 の 投 与 に よ り さ ら な る 増 加 が 認 め ら れ た 。こ の こ と か ら 、本 モ デ ル に て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 場 所 は 、炎 症 組 織 よ り む し ろ 循 環 血 中 の 細 胞 で あ る と 考 え ら れ た 。

急 性 膵 炎 で は 、 炎 症 性 白 血 球 、 特 に 好 中 球 や 単 球/マ ク ロ フ ァ ー ジ の 活 性

(5)

化 が 病 態 増 悪 に 重 要 と 考 え ら れ て い る 。末 梢 血 由 来 多 型 核 白 血 球(PMN)の fMLP 誘 発 活 性 酸 素 産 生 お よ び エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 、 ま た は 末 梢 血 由 来 単 核 球

(PBMC) の リ ポ ポ リ サ ッ カ ラ イ ド 刺 激 サ イ ト カ イ ン 産 生 に 対 し 、 ア デ ノ シ ン は 単 独 で 抑 制 作 用 を 示 し た 。一 方 、KF24345 単 独 の 作 用 は 弱 く 、ア デ ノ シ ン 作 用 の 増 強 も 認 め ら れ な か っ た 。 し か し 、PMN ま た は PBMC に 一 定 量 の 赤 血 球 を 混 和 し た 条 件 に お い て 、 ア デ ノ シ ン は 単 独 で 抑 制 作 用 を 示 さ ず 、 KF24345 を 添 加 す る こ と で 、 初 め て 抑 制 作 用 を 示 し た 。

以 上 の 結 果 か ら 、CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 マ ウ ス に お い て 、KF24345 は 主 に 赤 血 球 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 阻 害 す る こ と で 内 在 性 ア デ ノ シ ン を 増 加 さ せ 、炎 症 性 白 血 球 の 活 性 化 を 抑 制 す る こ と に よ り 薬 効 を 発 揮 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。

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略語一覧

SIRS: systemic inflammatory response syndrome DIC: disseminated intravascular coagulat ion PLA2: phospho lipase A2

ARDS: acute respiratory distress syndro me MODS: mult iple organ dysfunct ion syndrome PAF: platelet act ivat ing factor

GTP: guanosine triphosphate

cAMP: cyclic adenosine mo nophosphate SAH: S-adenosylho mocysteine

ATP: adenosine triphosphate ADP: adenosine diphosphate AMP: adenosine mo nophosphate Hx: hypoxant ine

INO: inosine

HPLC: high performance liquid chro matography 5’-NT: 5’-nucleot idase

AK: adenosine kinase ADA: adenosine deaminase NTs: nucleoside transporters

CNT: concentrat ive nucleoside transporter ENT: equilibrat ive nucleoside transporter NBTI: nitrobenzylt hio inosine

es: equilibrat ive sensit ive ei: equilibrat ive insensit ive LPS: lipopo lysaccharide

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fMLP: N-formylmethio nyl-leucyl-phenyl-alanine TNF-α: tumor necrosis factor-α

CDE diet: cho line deficient ethionine supplemented diet GOT: glutamic oxaloacet ic transaminase

GPT: glutamic pyruvic transaminase LDH: lactate dehydrogenase

Bil: billirubin

ALP: alkaline phosphatase TG: triglyceride

EDTA: ethylenediamine-N, N, N’, N’-tetraacet ic acid ELISA: enzyme-linked immunosorbent assay

DMSO: dimethylsulfo xide FBS: fetal bovine serum

HBSS: Hanks’ balanced salt so lut ion

PBMC: peripheral blood mononuclear cells PBS: phosphate buffered saline

PMN: po lymorphonuclear neutrophil MED: most effect ive dose

HEPES: 4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfo nic acid

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序論

急 性 膵 炎 とは

(病 態 )

急 性 膵 炎 は 膵 の 浮 腫 、出 血 、壊 死 お よ び 血 清 膵 酵 素( ア ミ ラ ー ゼ 、リ パ ー ゼ )の 上 昇 を 特 徴 と す る 炎 症 性 の 臓 器 疾 患 で あ る 1 )。そ の 発 症 お よ び 進 展 の 詳 細 な 機 作 は 複 雑 で 、充 分 に は 解 明 さ れ て い な い が 、膵 外 分 泌 不 全 か ら 膵 組 織 内 で 消 化 酵 素 が 活 性 化 し 、そ れ に よ っ て 起 こ る 膵 組 織 の 自 己 消 化 お よ び 虚 血 状 態 が 発 症 に 関 与 す る と さ れ る 。一 方 、ケ モ カ イ ン 、サ イ ト カ イ ン 、血 小 板 活 性 化 因 子 お よ び 活 性 酸 素 な ど が 進 展 に 関 与 す る と さ れ る 。

急 性 膵 炎 の 軽 症 例 は 一 過 性 か つ 可 逆 性 で あ り 、時 間 経 過 と 共 に 自 然 治 癒 に 向 か い 、死 亡 す る こ と は ほ と ん ど な い 2 )。こ れ に 対 し 重 症 例 で は 、膵 酵 素 の 活 性 化 に よ る 組 織 障 害 を 契 機 に 、大 量 に 産 生 さ れ た 炎 症 性 ケ モ カ イ ン 、サ イ ト カ イ ン が 血 管 内 皮 細 胞 や 白 血 球 を 活 性 化 す る 。そ の 結 果 、主 に 好 中 球 の 血 管 内 皮 へ の 接 着 、遊 走 、臓 器 集 積 が 全 身 的 に 波 及 し 、い わ ゆ る 全 身 性 炎 症 反 応 症 候 群(SIRS)の 状 態 と な る 3 )。こ の 状 態 に な る と 血 管 透 過 性 が 亢 進 し て 体 液 が third space へ 移 行 し 、有 効 循 環 血 漿 量 が 減 少 し シ ョ ッ ク 状 態 に 至 る こ と が 多 い 。ま た 、消 化 管 や 腹 腔 内 で の 出 血 傾 向 を 示 し 、播 種 性 血 管 内 凝 固 症 候 群 (DIC) へ と 移 行 す る 。 さ ら に 、 膵 か ら 逸 脱 し た PLA2 に よ り 肺 胞 の 毛 細 血 管 が 傷 害 さ れ 、 急 性 呼 吸 促 迫 症 候 群 (ARDS) や 呼 吸 不 全 、 最 終 的 に は 感 染 症 を 含 め た 多 臓 器 不 全 (MODS) を 合 併 す る 4 )。 重 症 化 し た 急 性 膵 炎 の 死 亡 率 は 、改 善 さ れ つ つ あ る も の の 現 在 で も 約 10%と 高 く 、難 治 性 疾 患 の 一 つ に 指 定 さ れ て い る 5 )

(治 療 薬 )

重 症 急 性 膵 炎 を 原 発 と し た 全 身 性 合 併 症 の 治 療 は 現 在 で も 難 し く 、対 症 療 法 の 域 を 出 て い な い 。循 環 動 態 の 安 定( 血 圧 、脈 拍 の 維 持 と 適 正 な 尿 量 の 確 保 )の た め の 輸 液 、感 染 症 合 併 の 予 防 の た め の 抗 菌 薬 、膵 酵 素 活 性 化 の 抑 制

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の た め の プ ロ テ ア ー ゼ 阻 害 薬 な ど が 内 科 的 治 療 の 基 本 で あ る 6 )。今 後 の 治 療 薬 に 求 め ら れ る 要 素 と し て 、 急 性 膵 炎 か ら MODS へ の 進 展 抑 制 が 重 要 と さ れ て い る 。 こ れ ま で 、 血 小 板 活 性 化 因 子 (PAF) 拮 抗 薬 7 )、PLA2阻 害 薬 8 )な ど が 開 発 さ れ た 経 緯 が あ る が 、本 疾 患 の 新 た な 治 療 薬 と し て 加 わ る に は 至 っ て い な い 。

アデノシンとは

(薬 理 作 用 )

ア デ ノ シ ン は 内 在 性 の プ リ ン ヌ ク レ オ シ ド で あ り 、細 胞 膜 上 の 受 容 体 へ 結 合 し て 様 々 な 生 体 反 応 を 調 節 す る 9 )。 現 在 、 ア デ ノ シ ン 受 容 体 は A1、A2 A、 A2 B お よ び A3の 4 種 に 分 類 さ れ て お り 、 全 て が 7 回 膜 貫 通 ・ グ ア ノ シ ン 三 リ ン 酸 (GTP) 結 合 タ ン パ ク 共 役 型 受 容 体 に 属 す る 。 ア デ ノ シ ン A1 お よ び A3 受 容 体 は ア デ ニ ル 酸 シ ク ラ ー ゼ 抑 制 型 Gi タ ン パ ク に 共 役 し 、 細 胞 内 環 状 ア デ ノ シ ン 一 リ ン 酸 (cAMP) レ ベ ル を 低 下 さ せ る 。 一 方 、 ア デ ノ シ ン A2 A お よ び A2 B 受 容 体 は ア デ ニ ル 酸 シ ク ラ ー ゼ 活 性 型 Gs タ ン パ ク に 共 役 し 、 細 胞 内 cAMP レ ベ ル を 上 昇 さ せ る 。

ア デ ノ シ ン の 代 表 的 な in vivo 作 用 と し て 、A1受 容 体 刺 激 に よ る 心 拍 数 低 下 や 心 筋 伝 導 遅 延 、 な ら び に A2 受 容 体 刺 激 に よ る 血 圧 低 下 や 血 小 板 凝 集 抑

制 等 1 0 )が 知 ら れ て い る 。こ の よ う な 作 用 を 介 し て 、ア デ ノ シ ン は 生 体 の 恒 常

性 を 維 持 す る 方 向 、す な わ ち 、細 胞 、組 織 等 の 傷 害 や 機 能 不 全 に 対 し て 保 護 的 に 働 く こ と が 知 ら れ て い る 。

(産 生 および代 謝 )

正 常 状 態 で は 、 ア デ ノ シ ン は 主 に 細 胞 内 で S-ア デ ノ シ ル ホ モ シ ス テ イ ン

(SAH) か ら SAH ヒ ド ロ ラ ー ゼ に よ り 産 生 さ れ る 。 一 方 、 虚 血 、 外 傷 、 ス ト レ ス 、 炎 症 等 の 侵 襲 状 態 で は 、 ア デ ノ シ ン 三 リ ン 酸 (ATP) の 分 解 亢 進 を 契 機 に 、ecto-5’-ヌ ク レ オ チ ダ ー ゼ(5’-NT)に よ る ア デ ノ シ ン 一 リ ン 酸(AMP)

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の 脱 リ ン 酸 化 に よ り 産 生 さ れ る 11 -1 3 )。ア デ ノ シ ン は 、細 胞 内 外 の ア デ ノ シ ン キ ナ ー ゼ (AK) に よ り AMP に 、 あ る い は ア デ ノ シ ン デ ア ミ ナ ー ゼ (ADA)

に よ り イ ノ シ ン (INO) に 代 謝 さ れ る 。 ま た 、 イ ノ シ ン は 加 水 分 解 酵 素 に よ り ヒ ポ キ サ ン チ ン (Hx) に 代 謝 さ れ る (Fig. 1)。

(細 胞 内 へのアデノシン取 り込 み)

細 胞 内 外 の 酵 素 を 介 し た 産 生 お よ び 代 謝 反 応 に 加 え て 、ア デ ノ シ ン は 細 胞 膜 上 の ヌ ク レ オ シ ド ト ラ ン ス ポ ー タ ー(NTs)を 介 し て 細 胞 内 外 を 移 動 す る 。 NTs は ヌ ク レ オ シ ド お よ び 核 酸 塩 基 の 細 胞 膜 輸 送 を 担 う ト ラ ン ス ポ ー タ ー で 、ヌ ク レ オ チ ド 生 合 成 の サ ル ベ ー ジ 経 路 に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た す 。加 え て 、NTs は ア デ ノ シ ン シ グ ナ ル の 終 結 、種 々 の 抗 腫 瘍 お よ び 抗 ウ イ ル ス 作 用 を 有 す る ヌ ク レ オ シ ド 誘 導 体 の 標 的 組 織 へ の 取 り 込 み に 関 与 し 、薬 物 動 態 学 や 薬 動 力 学 に お い て も 重 要 な 機 能 タ ン パ ク 質 で あ る 1 4 )

NTs は 、 ナ ト リ ウ ム イ オ ン 濃 度 に 依 存 し た 13 回 細 胞 膜 貫 通 型 の 濃 縮 型 ト ラ ン ス ポ ー タ ー(CNT)と 、11 回 細 胞 膜 貫 通 型 タ ン パ ク で あ る 受 動 拡 散 型 ト ラ ン ス ポ ー タ ー (ENT) に 大 別 さ れ る 1 5 )。 同 定 さ れ て い る 3 種 の CNT は ニ ト ロ ベ ン ジ ル チ オ イ ノ シ ン(NBTI)非 感 受 性 で あ る 。CNT1 は ピ リ ミ ジ ン ヌ ク レ オ シ ド 、CNT2 は プ リ ン ヌ ク レ オ シ ド を 選 択 的 に 輸 送 す る が 、CNT3 の 基 質 選 択 性 は 低 い 1 6 )

一 方 、ENT は ヒ ト に お い て 4 種 同 定 さ れ て お り 、NBTI に 対 す る 親 和 性 の 相 違 に 基 づ き 、NBTI 感 受 性 受 動 拡 散(es)型 の ENT1 お よ び NBTI 非 感 受 性 受 動 拡 散 (ei) 型 の ENT2、pH 感 受 性 を 有 す る ENT3 お よ び ENT4 に 分 類 さ れ る 。ENT1 は NBTI に 高 親 和 性 の 結 合 部 位 を 有 し 、nmo l/L 濃 度 の NBTI に よ り 、 細 胞 内 へ の ヌ ク レ オ シ ド 取 り 込 み が ほ ぼ 完 全 に 阻 害 さ れ る の に 対 し 、 ENT2 は μmol/L 濃 度 の NBTI で な け れ ば 阻 害 さ れ な い 1 7 )。 ま た 、ENT1 は ユ ビ キ タ ス に 発 現 が 認 め ら れ る の に 対 し 、ENT2 は 骨 格 筋 に 多 く 発 現 す る 1 8 )。 冠 血 管 拡 張 薬 と し て 用 い ら れ て い る dilazep お よ び dipyridamo le は 、ENT1 を

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阻 害 す る こ と が 知 ら れ て い る 1 9 , 2 0 )

急 性 膵 炎 とアデノシンの関 連

(炎 症 反 応 におけるアデノシンの関 与 )

ア デ ノ シ ン は 白 血 球 上 の ア デ ノ シ ン 受 容 体 に 結 合 す る こ と に よ り 、リ ポ ポ リ サ ッ カ ラ イ ド (LPS) な ど の 刺 激 に よ る 活 性 化 マ ク ロ フ ァ ー ジ の 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン 産 生 を 抑 制 す る 2 1 -2 3 )。 ま た 、fMLP な ど の 刺 激 に よ る 好 中 球 の プ ラ イ ミ ン グ 、脱 顆 粒 、活 性 酸 素 産 生 、血 管 内 皮 細 胞 へ の 接 着 な ど を 抑 制 す る

24 -2 7 )。急 性 膵 炎 病 態 で は 、種 々 の 侵 襲 条 件 下 と 同 じ く 組 織 中 ATP の 分 解 が 検

出 さ れ て お り 、内 因 性 ア デ ノ シ ン レ ベ ル の 上 昇 が 示 唆 さ れ る 2 8 )。し た が っ て 、 本 病 態 で は 恒 常 性 の 維 持 に 基 づ い た 抗 炎 症 作 用 を 発 揮 す べ く 、炎 症 局 所 で 内 因 性 ア デ ノ シ ン レ ベ ル が 亢 進 し や す い 環 境 に な っ て い る こ と が 予 想 さ れ る 。

(膵 機 能 におけるアデノシンの関 与 )

抗 炎 症 作 用 を 発 現 す る こ と に 加 え 、ア デ ノ シ ン は 膵 機 能 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と が 報 告 さ れ て い る 。 ア デ ノ シ ン は 、 膵 血 管 床 に 存 在 す る A2 受 容 体 を 介 し て 血 管 を 弛 緩 さ せ 、膵 血 流 を 増 加 さ せ る こ と が 知 ら れ て い る 2 9 , 30 )。ま た 、 膵 の 腺 房 お よ び 外 分 泌 細 胞 に は ア デ ノ シ ン 受 容 体 の 存 在 が 示 唆 さ れ て お り 、 ア デ ノ シ ン は ラ ッ ト 膵 腺 房 か ら の ア ミ ラ ー ゼ 遊 離 を in vitro レ ベ ル で 促 進 3 1 ) し 、 加 え て 、 主 に A2 受 容 体 を 介 し て セ ク レ チ ン 誘 発 イ ヌ 膵 外 分 泌 を 増 強 す

3 2 )こ と が 報 告 さ れ て い る 。し た が っ て 、ア デ ノ シ ン に よ る 血 流 増 加 作 用 お

よ び 膵 外 分 泌 の 促 進 作 用 は 、そ れ ぞ れ 膵 組 織 の 虚 血 状 態 お よ び 膵 外 分 泌 不 全 の 是 正 に つ な が る こ と が 考 え ら れ る 。

(急 性 膵 炎 に対 するアデノシン取 り込 み阻 害 薬 の有 用 性 )

以 上 の 知 見 か ら 、ア デ ノ シ ン は 、抗 炎 症 お よ び 膵 機 能 保 全 作 用 を 発 揮 す る こ と が 予 想 さ れ る 。し か し 、ア デ ノ シ ン は 細 胞 外 の 代 謝 酵 素 に よ る 分 解 に 加 え 、NTs を 介 し て 各 組 織 の 細 胞 内 に 速 や か に 取 り 込 ま れ る た め 、そ の 作 用 は

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短 時 間 で 消 失 す る 。大 量 の ア デ ノ シ ン も し く は ア デ ノ シ ン 受 容 体 ア ゴ ニ ス ト を 全 身 的 に 投 与 す る こ と に よ り 、 虚 血 傷 害 抑 制 作 用 や 抗 炎 症 作 用 な ど を in vivo レ ベ ル で 検 出 す る こ と は 可 能 で あ っ た が 、同 時 に 心 拍 数 減 少 、血 圧 低 下 、 鎮 静 な ど の 副 作 用 も 発 現 す る こ と か ら 、こ れ ら 薬 剤 の 疾 患 治 療 へ の 応 用 は 限 定 さ れ る 。こ れ に 対 し 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 対 象 は 、炎 症 状 態 に て 活 性 化 し た 5’-ND を 介 し て 産 生 さ れ た 細 胞 外 ア デ ノ シ ン で あ る と 考 え ら れ 、 局 所 的 に ア デ ノ シ ン を 増 強 す る こ と か ら 副 作 用 が よ り 少 な い こ と が 期 待 さ れ る 。し た が っ て 、急 性 膵 炎 に お い て 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 を 介 し て 細 胞 外 ア デ ノ シ ン の 薬 理 作 用 を 適 切 に 増 強 す る こ と は 、内 因 性 ア デ ノ シ ン に よ る 抗 炎 症 作 用 、膵 血 流 増 加 作 用 お よ び 膵 外 分 泌 不 全 是 正 作 用 等 か ら 、よ り 効 果 的 に 急 性 膵 炎 病 態 を 改 善 す る と 考 え ら れ た 。

アデノシン取 り込 み阻 害 薬 KF24345 の薬 効

(In vitro 活 性 プロファイル)

KF24345 は 、協 和 発 酵 キ リ ン 株 式 会 社 に て 創 製 さ れ た ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 で あ る (Fig. 2)。KF24345 は 、ENT1を 発 現 す る モ ル モ ッ ト 脳 膜 画 分 へ の NBTI 結 合 を 強 く 阻 害(Ki 値:2.0 nmo l/L)し 、ヒ ト を 含 む 各 種 動 物( マ ウ ス 、 ウ サ ギ 、 ハ ム ス タ ー ) の 洗 浄 赤 血 球 に お け る in vitro ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 濃 度 依 存 的 に 阻 害 し た (IC5 0値 :30-130 nmo l/L)3 3 )。 ま た 、ENT1発 現 細 胞 に お け る KF24345 の in vitro ヌ ク レ オ シ ド 取 り 込 み 阻 害 活 性(IC5 0値:

12 nmo l/L)は 、ENT2 発 現 細 胞 に 比 べ て 約 100 倍 強 力(IC5 0値:1100 nmo l/L)

で あ り 、ENT1 へ の 選 択 性 が 高 い こ と が 示 さ れ た 3 4 )

(In vivo 薬 効 )

In vivo 抗 炎 症 作 用 と し て 、KF24345(10 mg/kg、 経 口 投 与 ) は 、LPS を マ ウ ス に 投 与 す る こ と に よ っ て 誘 発 さ れ る 血 中 腫 瘍 壊 死 因 子 (TNF-α) の 上 昇 お よ び 血 中 白 血 球 減 少 を 有 意 に 抑 制 し た 。こ れ ら の 薬 効 は 、ア デ ノ シ ン 受 容

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体 拮 抗 薬 の 併 用 に よ り 減 弱 し た こ と か ら 、内 在 性 ア デ ノ シ ン を 介 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 3 3 )

よ り 臨 床 病 態 に 近 い 炎 症 疾 患 モ デ ル に 対 す る 薬 効 と し て 、KF24345(10 mg/kg、 経 口 投 与 ) は 、 セ ル レ イ ン の 腹 腔 内 投 与 に よ り 誘 発 さ れ る 軽 症 型 の マ ウ ス 急 性 膵 炎 モ デ ル に お い て 、膵 組 織 の 浮 腫 お よ び 膵 酵 素 の 血 中 へ の 逸 脱 を 有 意 に 抑 制 し た 。こ の 薬 効 は ア デ ノ シ ン 受 容 体 拮 抗 薬 の 併 用 に よ り 減 弱 し

3 5 )。さ ら に 、コ リ ン 欠 乏 エ チ オ ニ ン 含 有 食(CDE diet)に よ り 誘 発 さ れ る

重 症 型 の マ ウ ス 急 性 膵 炎 モ デ ル に お い て 、KF24345 は 組 織 障 害 に よ る 膵 お よ び 肝 酵 素 の 血 中 へ の 逸 脱 お よ び 致 死 を 有 意 に 改 善 し た 。 こ の 薬 効 は 予 防 的

(CDE diet 開 始 時 か ら ) の み な ら ず 治 療 的 (CDE diet 開 始 32 時 間 後 か ら ) 投 与 で も 認 め ら れ た 。こ の 薬 効 も ア デ ノ シ ン 受 容 体 拮 抗 薬 の 併 用 に よ り 減 弱 し た こ と か ら 、マ ウ ス 急 性 膵 炎 モ デ ル に お け る KF24345 の 薬 効 は 内 在 性 ア デ ノ シ ン を 介 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 3 6 )

KF24345 の薬 効 メカニズムについて

こ の よ う に 、 ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 KF24345 が in vivo レ ベ ル で 炎 症 病 態 を 改 善 し 、そ の 薬 効 に 内 在 性 ア デ ノ シ ン の 関 与 が 示 唆 さ れ て い る 。し か し な が ら 、 代 表 的 な 重 症 膵 炎 モ デ ル で あ る CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 マ ウ ス に お い て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 際 に 、ど の 臓 器 お よ び 細 胞 に 作 用 し て 内 在 性 ア デ ノ シ ン を 増 加 さ せ て い る か 明 ら か に な っ て い な い 。

虚 血・炎 症 時 に お け る 細 胞 外 ア デ ノ シ ン 濃 度 上 昇 の 機 作 と し て 、細 胞 外 で ア デ ノ シ ン が 産 生 さ れ る 可 能 性 と 、 細 胞 内 で 産 生 さ れ た ア デ ノ シ ン が NTs を 介 し て 汲 み 出 さ れ た 結 果 、細 胞 外 ア デ ノ シ ン が 増 加 す る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 前 者 を 示 唆 す る 知 見 と し て 、ecto-5’-NT 阻 害 薬 が 虚 血 時 に お い て 細 胞 外 ア デ ノ シ ン 濃 度 の 増 加 を 抑 制 し 、 組 織 障 害 を 悪 化 さ せ る 3 7 )こ と 、ecto-5’-NT 欠 損 マ ウ ス に お い て 細 胞 外 ア デ ノ シ ン の 不 足 に よ っ て LPS 誘 発 in vivo 白 血

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球 浸 潤 が 亢 進 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 38 )。一 方 で 、細 胞 内 ア デ ノ シ ン 代 謝 の 一 端 を 担 う AK を 阻 害 す る と 、虚 血 時 に お い て 細 胞 内 ア デ ノ シ ン 濃 度 が 上 昇 す る こ と か ら 、NTs を 介 し て ア デ ノ シ ン が 細 胞 外 に 汲 み 出 さ れ る 可 能 性 も 考 え ら れ る 3 9 )

炎 症 病 態 に お い て 、細 胞 内 で 産 生 さ れ た ア デ ノ シ ン が 細 胞 内 か ら 細 胞 外 へ 移 動 す る な ら ば 、NTs に 対 す る 阻 害 は 、細 胞 外 ア デ ノ シ ン の 作 用 を 増 強 せ ず 、 炎 症 病 態 に 対 し 無 効 も し く は 悪 化 す る こ と が 予 想 さ れ る 。 し か し な が ら 、 我 々 の 検 討 で は 複 数 の 炎 症 病 態 モ デ ル に お い て 、KF24345 が 病 態 改 善 効 果 を 示 し た 。こ の こ と か ら 、少 な く と も 検 討 し た モ デ ル に つ い て は 、細 胞 外 に て ecto-5’-NT を 介 し て AMP か ら ア デ ノ シ ン が 産 生 さ れ て い る 可 能 性 が 高 い 。 KF24345 は 、産 生 さ れ た ア デ ノ シ ン の 細 胞 内 取 り 込 み を 阻 害 す る こ と に よ っ て 、炎 症 局 所 も し く は 血 中 の 内 因 性 ア デ ノ シ ン レ ベ ル を 上 昇 さ せ て い る こ と が 予 想 さ れ る 。

急 性 膵 炎 は 、膵 臓 を 原 発 と す る 全 身 性 の 炎 症 病 態 で あ る が 、組 織 学 的 に 重 篤 な 炎 症 病 態 を 示 す 臓 器 と し て 、 他 に 肝 臓 、 肺 、 腎 臓 な ど が 挙 げ ら れ る 1 )。 ま た 、炎 症 増 悪 に 伴 い 血 中 サ イ ト カ イ ン の 上 昇 も 顕 著 で あ る 。よ っ て 、本 モ デ ル に お い て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 場 所 は 、炎 症 臓 器 も し く は 血 中 の 細 胞 で あ る こ と が 想 定 さ れ る 。

本 研 究 の目 的

私 は 、マ ウ ス 重 症 急 性 膵 炎 モ デ ル に お い て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 場 所 と し て 炎 症 状 態 の 膵 臓 、肝 臓 も し く は 血 中 の 細 胞 を 想 定 し 、病 態 惹 起 に よ る 組 織 お よ び 血 漿 中 の ア デ ノ シ ン 関 連 物 質 の 変 動 を 調 べ た 。ま た 、そ の 変 動 に 対 す る KF24345 投 与 の 影 響 を 調 べ た 。さ ら に そ の 結 果 に 基 づ き 、血 球 細 胞 の 活 性 化 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 調 べ た 。

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第一章 マウス急 性 膵 炎モデルにおける組 織 および血 中 アデノ シン関連物質の変動に対する KF24345 投与の影響

1-1 実 験 材 料 および方 法 1-1-1 実 験 動 物

マ ウ ス 急 性 膵 炎 モ デ ル の 作 成 に は 、 雌 性 CDF1 マ ウ ス (6-8 週 令 、 日 本 チ ャ ー ル ス リ バ ー ) を 使 用 し た 。 動 物 は 恒 温 (22-24℃ )、 恒 湿 (50-60%)、 一 日 12 時 間 照 明(7:00-19:00)の 飼 育 室 で プ ラ ス チ ッ ク 製 ケ ー ジ に 収 容 し 、市 販 の 固 形 飼 料 (FR-2、 船 橋 農 場 ) と 飲 料 水 を 自 由 に 摂 取 さ せ て 飼 育 し た 。

マ ウ ス 全 血 を 用 い た ex vivo ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 実 験 に は 、 雄 性 ddY マ ウ ス ( 使 用 時 4 週 令 、 日 本 SLC) を 用 い た 。

1-1-2 試 薬 および測 定 キット

KF24345 は 協 和 発 酵 キ リ ン ( 株 ) に て 合 成 さ れ た も の を 使 用 し た 。

Dilazep、dipyridamo le、 エ チ オ ニ ン は Sigma よ り 購 入 し た 。[2,8-3H] -adenosineは Du pont よ り 購 入 し た 。イ ー グ ル 培 地 は 日 水 製 薬 よ り 購 入 し た 。 HEPES、6 mo l/L 塩 酸 は ナ カ ラ イ テ ス ク よ り 購 入 し た 。Triton X-100 は 米 山 薬 品 よ り 購 入 し た 。シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ク テ ル EX-H は 同 仁 化 学 よ り 購 入 し た 。 フ タ ル 酸-n-ジ ブ チ ル は 関 東 化 学 よ り 購 入 し た 。So luene-350 は Packard よ り 購 入 し た 。 過 塩 素 酸 、 炭 酸 カ リ ウ ム 、 グ ル コ ー ス 、 炭 酸 水 素 カ リ ウ ム 、 4 mo l/L 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 は 和 光 純 薬 工 業 よ り 購 入 し た 。 生 理 食 塩 液 は 大 塚 製 薬 よ り 購 入 し た 。ア デ ノ シ ン 測 定 キ ッ ト は ヤ マ サ 醤 油 よ り 購 入 し た 。

In vivo 評 価 薬 物 と し て 、KF24345 は 6 mo l/L 塩 酸 で pH3.5 に 調 整 し た 5 w/v%グ ル コ ー ス 水 溶 液 に 溶 解 し 、5 mL/kg の 容 量 で 静 脈 内 投 与 し た 。

1-1-3 マウス全 血 を用 いた ex vivo アデノシン取 り込 み実 験

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マ ウ ス に KF24345(0.3、1、3 mg/kg) を 尾 静 脈 か ら 投 与 し 、 投 与 5、30、 90 分 後 に エ ー テ ル 麻 酔 下 で 腹 部 大 静 脈 よ り ク エ ン 酸 ( 最 終 濃 度 は 約 0.38 w/v%) 採 血 し た 。contro l 群 の マ ウ ス に は 溶 媒 の み を 投 与 し た 。

Baer ら の 方 法 4 0 )に 準 じ て 、マ ウ ス 全 血 を 用 い て KF24345 の ex vivo ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 作 用 を 調 べ た 。採 取 し た 血 液 100 μL に 、2 μmol/L の[3H]

-adenosine(100000-150000 dpm)100 μL を 加 え 、10 秒 後 に 2 μmol/L の dilazep 200 μL を 加 え る こ と に よ り 、血 球 へ の ア デ ノ シ ン 移 行 を 停 止 さ せ た 。フ タ ル 酸-n-ジ ブ チ ル を 300 μL 添 加 後 、10000 × g で 15 秒 間 遠 心 し て 血 球 を 分 取 し た 。分 取 し た 血 球 に 1% Triton X-100 を 200 μL、so luen-350/EtOH(1:2、v/v) を 500 μL 添 加 す る こ と に よ り 可 溶 化 処 理 し た 。 こ れ に シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ク テ ル EX-H を 8 mL 加 え 、 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー (LS6500、 Beckman)に て 血 球 に 取 り 込 ま れ た[3H]-adenosine の 放 射 活 性 を 測 定 し た 。

ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 率 (%) は 、 以 下 の 式 か ら 算 出 し た 。 (Ave. CONT-DRUG) / (Ave. CONT-Ave. BLANK) × 100

CONT: 溶 媒 処 置 群 の 血 球 放 射 活 性 (dpm count)

BLANK: 溶 媒 処 置 群 の 赤 血 球 へ dilazep を 加 え た 後 に [3H]-adenosine を 添 加 し た 群 の 血 球 放 射 活 性 (dpm count)

DRUG:KF24345 処 置 群 の 血 球 放 射 活 性 (dpm count) Ave. CONT:CONT の 平 均 値

Ave. BLANK:BLANKの 平 均 値

1-1-4 マウス急 性 膵 炎 モデルの作 成 および評 価

Suzukiら の 方 法 4 1 )に 準 じ て 、マ ウ ス に CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 を 惹 起 し た 。 CDE diet は 、 エ チ オ ニ ン を 0.5 w/w%の 重 量 比 で コ リ ン 欠 乏 食 ( オ リ エ ン タ ル 酵 母 工 業 )に 混 合 す る こ と に よ り 調 製 し た 。CDE diet の 対 照 と し て 、飼 育 用 標 準 粉 末 飼 料( コ リ ン 含 有 エ チ オ ニ ン 不 含 、オ リ エ ン タ ル 酵 母 工 業 )を 使

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用 し た 。

1-1-4-1 致 死 観 察

マ ウ ス を 24時 間 絶 食 後 、CDE diet で 72時 間 飼 育 し て 急 性 膵 炎 を 惹 起 し た 。 正 常 食 群 の マ ウ ス に は 飼 育 用 標 準 粉 末 飼 料 を 与 え た 。CDE diet 開 始 72 時 間 後 に 通 常 食 に 切 り 替 え 、以 後 、CDE diet 開 始 144 時 間 後 ま で 飼 育 し た 。CDE diet 開 始 24 時 間 後 か ら 144 時 間 後 ま で 8 時 間 毎 に 致 死 を 観 察 し た 。 生 存 率 を 算 出 し 、 薬 物 の 膵 炎 病 態 改 善 の 指 標 と し た 。

1-1-4-2 血 清 パラメータ測 定

マ ウ ス を 24時 間 絶 食 後 、CDE diet で 48時 間 飼 育 し て 急 性 膵 炎 を 惹 起 し た 。 正 常 食 群 の マ ウ ス に は 飼 育 用 標 準 粉 末 飼 料 を 与 え た 。CDE diet 開 始 48 時 間 後 に エ ー テ ル 麻 酔 下 で 腹 部 大 静 脈 か ら 採 血 し た 。血 液 サ ン プ ル は 4℃ で 1200

× g、10 分 間 遠 心 し て 血 清 を 採 取 し 、 オ ー ト ア ナ ラ イ ザ ー (AU510 ま た は AU600、Olympus) を 用 い て 血 清 中 ア ミ ラ ー ゼ 、 リ パ ー ゼ 、 グ ル タ ミ ッ ク ・ オ キ ザ ロ ア セ テ ィ ッ ク ・ ト ラ ン ス ア ミ ナ ー ゼ (GOT)、 グ ル タ ミ ッ ク ・ ピ ル ビ ッ ク ・ ト ラ ン ス ア ミ ナ ー ゼ (GPT) お よ び 乳 酸 脱 水 素 酵 素 (LDH) を 測 定 し た 。

1-1-5 血 漿 および組 織 中 アデノシンの測 定 1-1-5-1 血 漿 サンプルの測 定

ペ ン ト バ ル ビ タ ー ル 麻 酔 (100 mg/kg、 腹 腔 内 投 与 ) 下 で 開 腹 し 、 抗 凝 固 剤 と し て EDTA 溶 液 、 ア デ ノ シ ン 分 解 阻 害 剤 と し て ADA 阻 害 液 ( 共 に 測 定 キ ッ ト に 添 付 ) お よ び ア デ ノ シ ン 血 球 移 行 阻 害 剤 と し て dipyridamo le( 終 濃 度 約 0.006%と な る よ う 生 理 食 塩 液 に て 希 釈 ) を 入 れ て お い た シ リ ン ジ を 用 い て 腹 部 大 静 脈 か ら 採 血 し た 。血 液 サ ン プ ル は 自 動 血 球 計 数 器(MEK-6158、

日 本 光 電 ) で ヘ マ ト ク リ ッ ト 値 を 測 定 後 、4℃ 、 毎 分 3000 回 転 で 15 分 間 遠 心 分 離 し て 血 漿 を 分 取 し た 。 抗 ア デ ノ シ ン 抗 体 と[1 25I]-adenosine を 用 い た ラ

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ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イ 法 に 基 づ く ア デ ノ シ ン 測 定 キ ッ ト に 従 っ て 血 漿 中 の ア デ ノ シ ン 濃 度 を 測 定 し た 。

1-1-5-2 膵 および肝 組 織 抽 出 液 サンプルの測 定

ペ ン ト バ ル ビ タ ー ル 麻 酔 (100 mg/kg、 腹 腔 内 投 与 ) 下 で 開 腹 し 、 肝 臓 お よ び 膵 臓 の 一 部 を 切 除 後 、直 ち に 液 体 窒 素 中 に て 冷 却 し た 金 属 製 ク ラ ン プ に て 瞬 間 凍 結 し た 。約 24 時 間 凍 結 乾 燥 後 、乾 重 量 を 測 定 し 、氷 冷 し た 0.6 mo l/ L 過 塩 素 酸 1 mL を 添 加 し 、 ポ リ ト ロ ン ホ モ ジ ナ イ ザ ー (POLYTRON、 Kinemat ica)に て 破 砕 し た 。2℃ 、1000 × g で 3 分 間 遠 心 分 離 後 、上 清 500 μL を 採 取 し 、17.25 w/v% 炭 酸 カ リ ウ ム を 加 え て 中 和 し た 。再 び 2℃ 、10000 × g で3分 間 遠 心 分 離 し 、上 清 を 組 織 抽 出 液 と し た 。組 織 抽 出 液 中 の ア デ ノ シ ン 、 ATP、ADP、AMP、INO お よ び Hx 濃 度 を C3 0カ ラ ム(Develosil RPAQUEOUS 4.6×250 mm、 野 村 化 学 ) を 用 い た HPLC-UV 法 に て 測 定 し た 。

1-1-6 統 計 学 的 解 析

測 定 値 は 平 均 値±標 準 誤 差 で 表 示 し た 。ID50 値 の 算 出 お よ び 有 意 差 検 定 に は 統 計 解 析 ソ フ ト SAS(Release 6.12、SAS institute Inc.) を 用 い た 。

ID5 0値 の 算 出 は Probit 法 に て 行 っ た 。生 存 率 の 有 意 差 検 定 に は Fisher の 正 確 確 率 検 定 を 用 い て 行 い 、 危 険 率 5%未 満 を 有 意 差 あ り と し た 。 血 清 パ ラ メ ー タ 、 血 漿 お よ び 組 織 中 ア デ ノ シ ン 関 連 物 質 の 有 意 差 検 定 に は Wilcoxon の 順 位 和 検 定 、あ る い は F-test で 等 分 け 散 か 否 か を 確 認 後 、Student's t-test ま た は Aspin-Welch test を 行 な っ た 。 危 険 率 5%未 満 を 有 意 差 あ り と し た 。

1-2 結 果

急 性 膵 炎 治 療 の 基 本 は 絶 食 絶 飲 で あ る た め 、薬 剤 の 投 与 経 路 は 非 経 口 に 限 定 さ れ る 。例 え ば 、急 性 膵 炎 の 治 療 に 使 用 さ れ て い る プ ロ テ ア ー ゼ 阻 害 薬 は

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静 注 製 剤 で あ る 。KF24345 が 臨 床 に 即 し た 投 与 方 法 で も 急 性 膵 炎 に 対 す る 薬 効 を 発 揮 す る 可 能 性 を 検 討 す る た め 、ま ず 、KF24345 を 静 脈 内 投 与 後 、採 取 し た 血 液 を 用 い て ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 実 験 を 行 な っ た 。

1-2-1 KF24345(静 脈 内 投 与 )の ex vivo アデノシン取 り込 み阻 害 作 用

KF24345 は 、各 採 血 時 間 で 用 量 依 存 的 に マ ウ ス 赤 血 球 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 阻 害 し た 。投 与5、30、90分 後 の MEDは そ れ ぞ れ0.3 mg/kg以 下 、0.3 mg/kg 以 下 、1 mg/kg で あ り 、化 合 物 投 与 5 分 後 の ID5 0値 は 0.36 mg/kg で あ っ た(Fig.

3)。

以 上 の 結 果 か ら 、 静 脈 内 投 与 に よ る in vivo 薬 効 発 現 の 可 能 性 が 示 唆 さ れ た た め 、 次 に CDE diet 誘 発 マ ウ ス 急 性 膵 炎 に 対 す る KF24345( 静 脈 内 投 与 ) の 効 果 を 検 討 し た 。

1-2-2 CDE diet 誘 発 マウス急 性 膵 炎 に対 する KF24345(静 脈 内 投 与 )の効 果 本 病 態 の 惹 起 に 用 い る エ チ オ ニ ン は 、必 須 ア ミ ノ 酸 で あ る メ チ オ ニ ン の 代 謝 ア ナ ロ グ で あ り 、 膵 腺 房 細 胞 内 の ホ ス ホ リ パ ー ゼ C の 活 性 化 を 阻 害 す る こ と に よ り 膵 外 分 泌 不 全 を 惹 起 す る 。エ チ オ ニ ン に よ り 誘 発 さ れ る 膵 外 分 泌 不 全 の 本 態 は 、分 泌 顆 粒 中 の 消 化 酵 素 と 膵 腺 房 細 胞 内 で ラ イ ソ ゾ ー ム か ら 逸 脱 し た ラ イ ソ ゾ ー ム 酵 素 と の 融 合 で あ り 、こ れ に よ り 膵 腺 房 細 胞 内 で の 消 化 酵 素 の 活 性 化 が 惹 起 さ れ る 。本 モ デ ル は 非 侵 襲 性 の 代 表 的 な 重 症 急 性 膵 炎 モ デ ル で あ り 、 高 い 致 死 率 を 伴 う 4 2 )

1-2-2-1 致 死 観 察

対 照 群 と KF24345 投 与 群 の 摂 餌 量 の 平 均 値 は 、 ほ ぼ 同 一 で あ っ た 。

対 照 群 で は 、CDE diet 開 始 64 時 間 後 よ り 死 亡 が 観 察 さ れ 、 最 終 的 に CDE diet 開 始 144 時 間 後 の 生 存 率 は 24%で あ っ た 。正 常 食 群 の 生 存 率 は 実 験 全 期 間 を 通 し て 100 %で あ っ た 。こ の 病 態 惹 起 マ ウ ス に 対 し 、KF24345(1.5 mg/kg)

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を CDE diet の 摂 取 開 始 と 同 時 に 尾 静 脈 内 投 与 し 、 以 後 CDE diet 摂 取 開 始 36 時 間 後 ま で 12 時 間 毎 に 計 4 回 尾 静 脈 内 投 与 し た 。 正 常 食 群 お よ び 対 照 群 の マ ウ ス に は 溶 媒 (pH3.5 の 5 w/v%グ ル コ ー ス 液 ) を 投 与 し た 。 そ の 結 果 、 KF24345 投 与 群 の 最 終 的 な 生 存 率 は 76%で あ り 、対 照 群 と 比 較 し て 有 意 に 高 か っ た (Fig. 4)。

1-2-2-2 血 清 パラメータ

対 照 群 と KF24345 投 与 群 の 摂 餌 量 の 平 均 値 は 、 ほ ぼ 同 一 で あ っ た 。

CDE diet 開 始 48 時 間 後 に お い て 、対 照 群 の 血 清 中 ア ミ ラ ー ゼ 、リ パ ー ゼ 、 GOT、GPT、LDH が 正 常 食 群 と 比 較 し て 上 昇 し た (Table 1)。 こ の 病 態 惹 起 マ ウ ス に 対 し 、KF24345(1.5 mg/kg)を CDE diet の 摂 取 開 始 と 同 時 に 尾 静 脈 内 投 与 し 、 以 後 CDE diet 開 始 36 時 間 後 ま で 12 時 間 毎 に 計 4 回 尾 静 脈 内 投 与 し た 。正 常 食 群 お よ び 対 照 群 の マ ウ ス に は 溶 媒(pH3.5 の 5 w/v%グ ル コ ー ス 液 ) を 投 与 し た 。 そ の 結 果 、KF24345 は 対 照 群 の GOT、GPT お よ び LDH の 上 昇 を 有 意 に 抑 制 し た 。一 方 、KF24345は ア ミ ラ ー ゼ お よ び リ パ ー ゼ の 上 昇 に 影 響 し な か っ た 。

以 上 の 結 果 か ら 、KF24345 は 静 脈 内 投 与 で ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 阻 害 し 、 急 性 膵 炎 病 態 を 改 善 す る こ と が 示 さ れ た 。そ こ で 、本 病 態 に お い て 血 中 お よ び 炎 症 組 織 中 の ア デ ノ シ ン 関 連 物 質 を 測 定 し 、 そ の 時 間 的 推 移 を 調 べ た 。

1-2-3 CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 マウスの炎 症 組 織 および血 漿 中 アデノシン関 連 物 質 の時 間 的 推 移

CDE diet 開 始 0、16、24、48 時 間 後 に 採 血 し 、血 清 中 の リ パ ー ゼ 、GPT お よ び LDH を 測 定 し た 。そ の 結 果 、CDE diet 開 始 24、48 時 間 後 に お い て 膵 酵 素 の 血 中 へ の 逸 脱 を 示 す リ パ ー ゼ (Fig. 5A) が 、CDE diet 開 始 16、24、48 時 間 後 に お い て 肝 酵 素 の 血 中 へ の 逸 脱 を 示 す GPT(Fig. 5B)、 炎 症 に よ る 組 織 障 害 を 反 映 す る LDH(Fig. 5C) が 正 常 群 に 比 べ て 顕 著 に 上 昇 し 、 全 身 的

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な 炎 症 病 態 が 惹 起 さ れ た 。

上 記 と 同 様 の 実 験 ス ケ ジ ュ ー ル に て マ ウ ス 膵 お よ び 肝 組 織 抽 出 液 中 の ア デ ノ シ ン を 定 量 し 、そ の 時 間 的 推 移 を 調 べ た 。そ の 結 果 、膵 組 織 中 ア デ ノ シ ン の 明 確 な 変 動 は 認 め ら れ な か っ た(Fig. 6A)。一 方 、CDE diet 開 始 48 時 間 後 に お い て 肝 組 織 中 ア デ ノ シ ン の 有 意 な 上 昇 が 認 め ら れ た(Fig. 6B)。ま た 、 同 抽 出 液 中 の ATP、ADP、AMP、INO お よ び Hx を 定 量 し 、 そ の 時 間 的 推 移 を 調 べ た(Table 2)。CDE diet 開 始 24 時 間 後 の 病 態 マ ウ ス の 肝 お よ び 膵 組 織 に お い て 、ATP、ADP の 減 少 お よ び Hx の 顕 著 な 上 昇 が 認 め ら れ た(Fig. 7)。

本 モ デ ル に お け る 組 織 中 Hx の 時 間 的 推 移 は 、 炎 症 臓 器 に よ っ て 若 干 異 な っ て お り 、肝 組 織 中 Hx は CDE diet 開 始 24 時 間 後 に 最 大 と な り 、同 48 時 間 後 に は 顕 著 に 減 少 し た 。 一 方 、 膵 組 織 中 Hx は CDE diet 開 始 16 時 間 後 に 最 大 に 達 し 、 以 後 漸 減 す る 傾 向 を 示 し た 。

さ ら に 、 上 記 と 同 様 の 実 験 ス ケ ジ ュ ー ル に て 血 漿 中 ア デ ノ シ ン を 定 量 し 、 そ の 時 間 的 推 移 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、CDE diet 開 始 24、48 時 間 後 に 血 漿 中 ア デ ノ シ ン の 上 昇 傾 向 が 認 め ら れ(Fig. 8)、炎 症 に よ り 血 中 に 漏 出 し た 組 織 内 酵 素 ( リ パ ー ゼ 、GPT、LDH) の 変 動 パ タ ー ン と 同 調 す る も の で あ っ た 。 一 方 、炎 症 組 織( 肝 お よ び 膵 )中 ア デ ノ シ ン の 変 動 は 、血 中 パ ラ メ ー タ の 変 動 よ り も 遅 い も し く は 明 確 に 検 出 さ れ ず 、病 態 の 進 展 と 同 調 し た も の で は な か っ た が 、 ア デ ノ シ ン の 産 生 源 で あ る ATP お よ び ADP の 減 少 、 ア デ ノ シ ン の 代 謝 物 の 一 つ で あ る Hx の 顕 著 な 上 昇 は CDE diet 開 始 24 時 間 後 に 認 め ら れ た (Table 2)。

以 上 の 結 果 か ら 、ア デ ノ シ ン レ ベ ル が 増 加 し や す い 環 境 と 予 想 さ れ る CDE diet 開 始 24 時 間 後 に お い て KF24345 の 作 用 を 調 べ た 。

1-2-4 CDE diet 誘 発 急 性 膵 炎 マウスの炎 症 組 織 および血 漿 中 アデノシン関 連 物 質 の変 動 に対 する KF24345(静 脈 内 投 与 )の作 用

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CDE diet 開 始 24 時 間 後 に KF24345(1.5 mg/kg)を 静 脈 内 投 与 し 、投 与 10、

30、90 分 後 の 肝 お よ び 膵 組 織 中 ア デ ノ シ ン を 検 出 し た 。そ の 結 果 、肝 お よ び 膵 組 織 中 の ア デ ノ シ ン の 変 動 に 対 し て 、KF24345 は 明 確 な 作 用 を 示 さ な か っ た ( そ れ ぞ れ Fig. 9A、9B)。

ま た 、同 抽 出 液 中 の ATP、ADP、AMP、INO お よ び Hx を 定 量 し た(Table 3)。そ の 結 果 、病 態 マ ウ ス の 肝 お よ び 膵 組 織 に お け る ア デ ノ シ ン 関 連 物 質 の 変 動 、 特 に ア デ ノ シ ン の 産 生 誘 導 を 示 唆 す る Hx の 増 大 に 対 し 、KF24345 は 明 確 な 作 用 を 示 さ な か っ た (Fig. 10)。

さ ら に 、CDE diet 開 始 24 時 間 後 に KF24345(1.5 mg/kg)を 静 脈 内 投 与 し 、 投 与 3、10、30、90 分 後 の 血 漿 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 を 測 定 し た (Fig. 11)。 そ の 結 果 、正 常 群 に お い て KF24345 は 血 漿 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 に 影 響 し な か っ た 。 一 方 、 膵 炎 惹 起 群 に お い て 、KF24345 は 投 与 3 分 後 の 血 漿 中 ア デ ノ シ ン を vehicle 投 与 群 に 比 べ て 有 意 に 増 加 さ せ 、投 与 10 お よ び 30 分 後 の 血 漿 中 ア デ ノ シ ン を vehicle 投 与 群 に 比 べ て 増 加 さ せ る 傾 向 を 示 し た 。

1-3 考 察

炎 症 組 織 で は 、そ の 状 態 を 正 常 に 戻 す た め 内 在 性 ア デ ノ シ ン が 増 加 し や す い 環 境 に な っ て い る こ と が 予 想 さ れ る 。本 モ デ ル の 場 合 、膵 、肝 な ど の 組 織 が そ の 環 境 に 該 当 す る 。こ れ ら の 組 織 で は 、正 常 状 態 と 異 な り 、ATP 分 解 か ら 始 ま る AMP の 一 過 的 な 増 加 、 そ れ に 伴 う 5’-NT の 活 性 化 に よ り ア デ ノ シ ン が 産 生 さ れ る と 考 え ら れ る 。本 検 討 で も 病 態 惹 起 群 に お い て ア デ ノ シ ン の 産 生 源 と 考 え ら れ る ATP、ADP の 減 少 が 認 め ら れ た 。

CDE diet に よ る 急 性 膵 炎 惹 起 後 の 血 漿 お よ び 組 織 中 ア デ ノ シ ン の 時 間 的 推 移 を 調 べ た 結 果 、 血 漿 中 ア デ ノ シ ン が 病 態 惹 起 24 時 間 後 に お い て 上 昇 傾 向 を 示 し 、 血 中 の 炎 症 パ ラ メ ー タ (GPT、LDH) の 変 動 パ タ ー ン と 同 調 し て

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い た の に 対 し 、肝 お よ び 膵 組 織 中 ア デ ノ シ ン の 変 動 は 、血 中 の 炎 症 パ ラ メ ー タ の 変 動 よ り も 遅 い か 、あ る い は 明 確 に 検 出 さ れ ず 、病 態 の 進 展 に 同 調 し て い な か っ た 。し か し な が ら 、ア デ ノ シ ン の 産 生 源 で あ る ATP、ADP の 減 少 に 加 え 、 ア デ ノ シ ン の 代 謝 産 物 で あ る Hx が 病 態 惹 起 16-24 時 間 後 に か け て 顕 著 な 増 大 を 示 し た こ と か ら 、ア デ ノ シ ン を 直 接 検 出 す る に は 至 ら な か っ た も の の 、病 態 の 進 展 と 同 調 し て 組 織 中 ア デ ノ シ ン も 一 過 的 に 増 大 し た こ と が 強 く 示 唆 さ れ た 。 病 態 惹 起 に よ る Hx の 増 大 量 に 比 べ て 血 漿 中 ア デ ノ シ ン の 増 大 量 が 小 さ い こ と か ら 、こ の ア デ ノ シ ン 増 大 は 、組 織 炎 症 に 伴 っ て 産 生 さ れ た ア デ ノ シ ン の 一 部 が 血 中 に 漏 出 し た 結 果 で あ る こ と が 推 察 さ れ た 。

増 加 し た ア デ ノ シ ン は 、生 体 内 の 恒 常 性 を 保 つ べ く 抗 炎 症 効 果 を 発 揮 す る 一 方 、 細 胞 内 に 取 り 込 ま れ る か 、 細 胞 外 の ADA に よ り 分 解 さ れ て 消 失 す る も の と 考 え ら れ る 。こ れ ま で 、虚 血 や 炎 症 等 の 侵 襲 条 件 下 に お い て 、組 織 中 の ADA 活 性 が 亢 進 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 4 3 , 4 4 )。本 モ デ ル に て 産 生 誘 導 が 示 唆 さ れ る に も か か わ ら ず 、組 織 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 の 顕 著 な 変 動 が 認 め ら れ な か っ た の は 、 重 篤 な 組 織 障 害 を 契 機 に 細 胞 内 外 で 活 性 化 し た ADA に よ り 、炎 症 臓 器 局 所 に ア デ ノ シ ン が 滞 留 し 難 い 環 境 に な っ て い る た め と 考 え ら れ た 。

ま た 、膵 お よ び 肝 組 織 中 ア デ ノ シ ン に 対 し KF24345 は 明 確 な 作 用 を 示 さ な か っ た 。 こ の た め 、 病 態 惹 起 に よ り 顕 著 な 増 大 を 示 し た Hx に も 注 目 し 、 炎 症 組 織 に お い て ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 に よ る ア デ ノ シ ン 代 謝 へ の 影 響 が 認 め ら れ る か 調 べ た が 、KF24345 は Hx の 増 大 に も 影 響 し な か っ た 。 こ の こ と か ら 、炎 症 組 織 中 の ア デ ノ シ ン 代 謝 に お い て ア デ ノ シ ン 取 り 込 み の 寄 与 は 大 き く な い こ と が 示 唆 さ れ た 。

一 方 、血 中 に お け る 細 胞 外 ア デ ノ シ ン の 消 失 経 路 も 膵 お よ び 肝 組 織 と 同 じ く 、 細 胞 内 へ の 取 り 込 み も し く は ADA に よ る 分 解 と 考 え ら れ 、 炎 症 病 態 で は 血 中 ADA 活 性 が 亢 進 す る 4 5 , 4 6 )こ と が 報 告 さ れ て い る 。し か し な が ら 、本

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モ デ ル で は 血 中 に お け る ADA 活 性 亢 進 の 程 度 が 炎 症 組 織 局 所 に 比 べ て 低 い た め 、病 態 惹 起 に よ る 血 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 の 上 昇 が 検 出 で き た も の と 考 え ら れ た 。こ の 場 合 、血 中 の ア デ ノ シ ン 代 謝 に お い て 、細 胞 内 取 り 込 み 作 用 の 寄 与 が 相 対 的 に 高 く な っ て い る と 予 想 さ れ る 。KF24345 が 炎 症 組 織 中 の ア デ ノ シ ン 濃 度 に 影 響 し な か っ た 一 方 、血 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 を 上 昇 さ せ た の は 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 の 効 果 が 発 現 し 易 い 代 謝 環 境 に あ る た め と 考 え ら れ た 。

血 中 に お い て 、増 加 し た ア デ ノ シ ン を 取 り 込 む 細 胞 は 血 球 細 胞 も し く は 血 管 内 皮 細 胞 と 考 え ら れ る 。 こ れ ら の 細 胞 に お い て は 、ENT1 が NTs の 主 要 構 成 要 素 と さ れ 、細 胞 外 ア デ ノ シ ン 濃 度 を 高 め る に は ENT1を 阻 害 す る こ と が 有 効 と 考 え ら れ て い る 。KF24345 は 、内 在 的 に ENT1 を 発 現 す る 組 織 膜 画 分 へ の NBTI 結 合 や 、 赤 血 球 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み を 強 力 に 阻 害 す る 。 ま た 、 ENT1 お よ び ENT2強 制 発 現 細 胞 を 用 い た 検 討 か ら 、ENT1に 対 し 選 択 的 に 作 用 す る も の と 考 え ら れ る 。ENT1 は ア デ ノ シ ン の 濃 度 勾 配 に 依 存 し た 細 胞 内 取 り 込 み 活 性 を 有 す る 。KF24345 が 正 常 マ ウ ス の 血 漿 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 に 影 響 し な か っ た の は 、正 常 な 代 謝 状 態 で は 主 に 細 胞 内 に て ア デ ノ シ ン 産 生 お よ び 代 謝 が 行 な わ れ(Fig. 1)、細 胞 内 外 の ア デ ノ シ ン 濃 度 が 低 い 状 態 で 平 衡 状 態 に な っ て い る こ と か ら 、ENT1 阻 害 に よ る 影 響 が 小 さ か っ た た め と 考 え ら れ た 。

以 上 、炎 症 状 態 で も 虚 血 状 態 と 同 様 に ア デ ノ シ ン 関 連 物 質 が 変 動 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。ま た 、KF24345 が 炎 症 臓 器 の ア デ ノ シ ン 濃 度 に 明 確 な 作 用 を 示 さ な か っ た の に 対 し 、血 中 で は 投 与 後 の 一 過 的 な ア デ ノ シ ン 濃 度 上 昇 作 用 を 示 し た こ と か ら 、主 に 炎 症 組 織 に て 産 生 さ れ る こ と に よ っ て 増 加 し た ア デ ノ シ ン の 細 胞 内 取 り 込 み を KF24345 が 阻 害 す る こ と に よ り 、血 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 の 上 昇 に つ な が っ た と 考 え ら れ た 。本 検 討 で は KF24345 の 投 与 に よ り 、病 態 マ ウ ス に お け る 血 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 が 約 1.5-2 μmo l/Lま で 上 昇 し た 。

(25)

こ の ア デ ノ シ ン 濃 度 は 好 中 球 や 単 球/マ ク ロ フ ァ ー ジ の 活 性 化 を 十 分 抑 制 す る レ ベ ル(Fig. 12-14)で あ り 、KF24345 の 血 中 ア デ ノ シ ン 濃 度 上 昇 作 用 が 抗 炎 症 効 果 に 寄 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ る 。 よ っ て 、 急 性 膵 炎 に お い て KF24345 が 薬 効 を 発 揮 す る 場 所 は 、炎 症 臓 器 局 所 よ り 、む し ろ 循 環 血 中 の 細 胞 で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。

(26)

第二章 末 梢 血 白 血 球 の 活 性 化 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び KF24345 の作用

2-1 実 験 材 料 および方 法 2-1-1 試 薬 および測 定 キット

KF24345 は 協 和 発 酵 キ リ ン ( 株 ) に て 合 成 さ れ た も の を 使 用 し た 。

Adenosine、dilazep、dipyridamo le、adenosine deaminase、cytochalasin B、fMLP、

lucigenin は Sigma よ り 購 入 し た 。Pyr-Pro-Val-pNA は Nova Biochem よ り 購 入 し た 。[2,8-3H]-adenosine は Du pont よ り 購 入 し た 。LPS(E. coli O55:B5) は DIFCO よ り 購 入 し た 。HEPES は ナ カ ラ イ テ ス ク よ り 購 入 し た 。 イ ー グ ル 培 地 、RPMI1640 培 地 は 日 水 製 薬 よ り 購 入 し た 。Triton X-100は 米 山 薬 品 よ り 購 入 し た 。 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ク テ ル EX-H、EDTA-2Na は 同 仁 化 学 よ り 購 入 し た 。フ タ ル 酸-n-ジ ブ チ ル 、DMSO、塩 化 ア ン モ ニ ウ ム は 関 東 化 学 よ り 購 入 し た 。So luene-350 は Packard よ り 購 入 し た 。4 mo l/L 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 は 和 光 純 薬 工 業 よ り 購 入 し た 。FBS、200 mmo l/L L-glutamine、HBSS は GIBCO よ り 購 入 し た 。PBS は MP Bio medicals よ り 購 入 し た 。Dextran T500、

Fico ll-Paque、Human TNF-α ELISA system は Amersham Pharmacia よ り 購 入 し た 。 生 理 食 塩 液 は 大 塚 製 薬 よ り 購 入 し た 。

In vitro 評 価 薬 物 と し て 、 ア デ ノ シ ン 、dilazep、dipyridamo le、KF24345 は す べ て DMSO 溶 液 を 作 成 し 、 各 種 ア ッ セ イ バ ッ フ ァ に て 希 釈 し た も の を 実 験 に 供 し た 。LPSは10 mg/mLに な る よ う にPBSに 溶 解 し 、使 用 時 にRPMI1640 培 地 で 希 釈 し た 。 溶 血 バ ッ フ ァ は 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム 4.15 g、 炭 酸 水 素 カ リ ウ ム 0.50 g、EDTA19 mg を 蒸 留 水 500 mL に 溶 解 し て 調 製 し た 。cytochalasin B、

fMLP、Pyr-Pro-Val-pNA、lucigenin は す べ て DMSO 溶 液 を 作 成 し 、 各 種 ア ッ セ イ バ ッ フ ァ に て 希 釈 し た も の を 実 験 に 供 し た 。

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2-1-2 ヒト血 球 細 胞 を用 いた in vitro アデノシン取 り込 み実 験

Baer ら の 方 法 4 0 )に 準 じ て 、ヒ ト 血 球 細 胞 を 用 い て KF24345 の in vitro ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 作 用 を 調 べ た 。ヒ ト 血 球 細 胞 に つ い て は 、協 和 発 酵 キ リ ン ( 株 ) 内 の 成 人 男 性 ボ ラ ン テ ィ ア よ り ク エ ン 酸 採 血 ( 最 終 濃 度 は 約 0.38 w/v%) し た も の を 使 用 し た 。

生 理 食 塩 液 に て 血 漿 を 洗 浄 除 去 し た 血 液 も し く は 分 画 し た 血 球 細 胞 の 懸 濁 液 40 μL に ア ッ セ イ 用 培 地 (0.38 w/v% ク エ ン 酸 お よ び 0.24 w/v% HEPES 含 有 イ ー グ ル 培 地 )60 μL を 加 え た 血 球 浮 遊 液 100 μL に 、2 μmol/L の [3H] -adenosine(100000-150000 dpm)100 μL を 加 え 、10 秒 後 に 2 μmol/L の dilazep 200 μL を 加 え る こ と に よ り 、血 球 へ の ア デ ノ シ ン 移 行 を 停 止 さ せ た 。フ タ ル 酸-n-ジ ブ チ ル を 300 μL 添 加 後 、10000 × g で 15 秒 間 遠 心 し て 血 球 を 分 取 し た 。分 取 し た 血 球 に 1% Triton X-100 を 200 μL、so luen-350/EtOH(1:2、v/v) を 500 μL 添 加 す る こ と に よ り 可 溶 化 処 理 し た 。 こ れ に シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ク テ ル EX-H を 8 mL 加 え 、 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー に て 血 球 に 取 り 込 ま れ た [3H]-adenosine の 放 射 活 性 を 測 定 し た 。

2-1-3 単 核 球 (PBMC)の in vitro サイトカイン産 生

Bouma ら の 方 法 4 7 )に 準 じ て 、ヒ ト PBMC に お け る LPS 誘 発 TNF-α 産 生 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 検 討 し た 。

協 和 発 酵 キ リ ン( 株 )内 の 成 人 男 性 ボ ラ ン テ ィ ア の 血 液 50 mL( ヘ パ リ ン 採 血 )と 5.9 w/v% Dextran T500/生 理 食 塩 液 17 mL を 混 和 し 、室 温 で 約 20 分 間 静 置 す る こ と に よ っ て 白 血 球 を 分 取( 上 層:白 血 球 、下 層:赤 血 球 )し た 。 Fico ll-Paque 上 に 白 血 球 層 を 重 層 し 、室 温 で 毎 分 1700 回 転 、30 分 間 遠 心( 遠 心 機 :RL-500、 ト ミ ー 精 工 ) し た 。 界 面 の 単 核 球 層 を 採 取 し 、 氷 冷 し た RPMI1640 培 地 で 洗 浄 後 、 細 胞 数 を 測 定 し た 。1.2-1.5×106 cells/mL に な る よ う に RPMI1640 培 地 で 調 製 し 、96 ウ ェ ル プ レ ー ト に 70 μL ず つ 播 種 し た 。

(28)

ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 ま た は 溶 媒(1% DMSO/RPMI1640培 地 )を 10 μL 加 え て 37℃ で 60 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 ア デ ノ シ ン ま た は 溶 媒 (1%

DMSO/RPMI1640 培 地 ) を 10 μL、100 μg/mL LPS ま た は 溶 媒 (RPMI1640 培 地 ) を 10 μL 加 え 、37℃ で 6 時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 室 温 で 毎 分 2000 回 転 、10 分 間 遠 心 し 、 上 清 を 採 取 し た 。 上 清 中 の TNF-α 濃 度 を Human TNF-α ELISA system に 従 っ て 測 定 し た 。ADA の 添 加 実 験 で は 、 ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 ま た は 溶 媒 添 加 時 に ADA ま た は コ ン ト ロ ー ル 溶 媒 (50 w/v% glycero l/RPMI1640 培 地 ) を 10 μL( 約 15 units) 加 え た 。

2-1-4 多 型 核 白 血 球 (PMN)のエラスターゼ放 出 および活 性 酸 素 産 生

Zhang4 8 )、Fredho lm4 9 )ら の 方 法 に 準 じ て 、 マ ウ ス PMN に お け る fMLP 誘 発 エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 お よ び 活 性 酸 素 産 生 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 検 討 し た 。

協 和 発 酵 キ リ ン( 株 )内 の 成 人 男 性 ボ ラ ン テ ィ ア の 血 液 50 mL( ヘ パ リ ン 採 血 )と 5.9 w/v% Dextran T500/生 理 食 塩 液 17 mL を 混 和 し 、室 温 で 約 20 分 間 静 置 す る こ と に よ っ て 白 血 球 を 分 取( 上 層:白 血 球 、下 層:赤 血 球 )し た 。 Fico ll-Paque上 に 白 血 球 層 を 重 層 し 、室 温 で 毎 分1700回 転 、30分 間 遠 心 し た 。 分 取 し た PMN 沈 殿 を 生 理 食 塩 液 で 洗 浄 後 、 氷 冷 し た 溶 血 バ ッ フ ァ 中 に 浮 遊 さ せ 、 氷 中 に 30 分 間 静 置 し た 。4℃ で 毎 分 1700 回 転 、10 分 間 遠 心 し て 分 取 し た PMN 沈 殿 を 氷 冷 し た HBSS で 洗 浄 後 、 細 胞 数 を 測 定 し た 。 約 1 × 106 cells/mL/tube に な る よ う に HBSS で 調 製 し 、96 ウ ェ ル プ レ ー ト に 66 μL ず つ 播 種 し た 。

2-1-4-1 エラスターゼ放 出

96 ウ ェ ル プ レ ー ト に 66 μL ず つ 播 種 し た PMNを 37℃ で 5分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、0.1 mg/mL の cytochalasin B を 4 μL、 ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬/1 v/v% DMSO/HBSS ま た は 溶 媒 を 10 μL 加 え て 37℃ で 5 分 間 、 さ ら に ア

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デ ノ シ ン/HBSS ま た は 溶 媒 を10 μL加 え て 37℃ で5分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 10 μmol/L fMLP/1v/v% DMSO/HBSS を 10 μL 加 え 、37℃ で 20 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 氷 中 に 静 置 し た 。 こ の プ レ ー ト を 4℃ 、 毎 分 4000 回 転 で 10 分 間 遠 心 し 、 上 清 50 μL を 回 収 し て 96 ウ ェ ル ア ッ セ イ プ レ ー ト に 移 し た 。 こ れ に 、37℃ に 加 温 し て お い た HBSS を 100 μL、1 mmo l/L Pyr-Pro-Val-pNA/1 v/v% DMSO/HBSS を 25 μL 加 え 、37℃ で 30 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、50 v/v% 酢 酸 を 25 μL 加 え て 氷 中 に 静 置 し 、 反 応 を 停 止 し た 。 マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー で 波 長 405 nm に お け る 吸 光 度 を 測 定 し た 。

2-1-4-2 活 性 酸 素 産 生

96 ウ ェ ル プ レ ー ト に 66 μL ず つ 播 種 し た PMNを 37℃ で 5分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、0.1 mg/mL の cytochalasin B を 4 μL 加 え て 37℃ で 2.5 分 間 、 次 に ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬/1 v/v% DMSO/HBSSま た は 溶 媒 を10 μL加 え て 37℃ で 2.5 分 間 、さ ら に ア デ ノ シ ン/HBSS ま た は 溶 媒 を 10 μL 加 え て 37℃ で 5 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。1 mmo l/L lucigenin-1 μmol/L fMLP/1 v/v%

DMSO/HBSS を 10 μL 加 え 、37℃ で 5 分 間 の 累 積 発 光 量 を Mult i-Bio lmat

(LB9505、 ベ ル ト ー ル ド ジ ャ パ ン ) を 用 い て 測 定 し た 。

エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 、 サ イ ト カ イ ン お よ び 活 性 酸 素 産 生 率 (%) は 、 以 下 の 式 か ら 算 出 し た 。

(DRUG-Ave. BLANK) / (Ave. CONT-Ave. BLANK) × 100 CONT: 溶 媒 処 置 後 に 刺 激 し た 群 の 産 生 量

BLANK: 溶 媒 処 置 後 に 刺 激 し な か っ た 群 の 産 生 量

DRUG: ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 処 置 後 に 刺 激 し た 群 の 産 生 量 Ave. CONT:CONT の 平 均 値

Ave. BLANK:BLANKの 平 均 値

2-1-5 統 計 学 的 解 析

(30)

測 定 値 は 平 均 値±標 準 誤 差 で 表 示 し た 。

2-2 結 果

2-2-1 単 離 白 血 球 の 活 性 化 に対 するアデノシンおよびアデノシン取 り込 み 阻 害 薬 の作 用

好 中 球 を 含 む PMN 画 分 の 活 性 化 指 標 と し て fMLP 刺 激 に よ る 活 性 酸 素 産 生 お よ び エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 、 単 球/マ ク ロ フ ァ ー ジ を 含 む PBMC 画 分 の 活 性 化 指 標 と し て LPS 刺 激 に よ る TNF-α 産 生 に 注 目 し 、 ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 調 べ た 。

2-2-1-1 単 離 PMN の活 性 化 に対 する作 用

Cytochalasin Bに よ り プ ラ イ ミ ン グ 処 理 し たPMNに ア デ ノ シ ン ま た は ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 を 添 加 し た 後 、fM LP を 添 加 し 、 活 性 酸 素 産 生 量 お よ び 細 胞 外 に 放 出 さ れ た エ ラ ス タ ー ゼ 活 性 を 測 定 し た 。そ の 結 果 、ア デ ノ シ ン は fMLP 刺 激 に よ る PMN の 活 性 酸 素 産 生 お よ び エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 を 濃 度 依 存 的 に 抑 制 し た( そ れ ぞ れ Fig. 12A、13A)。一 方 、KF24345 お よ び dipyridamo le 単 独 の 作 用 は 明 確 に 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、 ア デ ノ シ ン (0.3 μmol/L) の 活 性 酸 素 産 生 (Fig. 12B、12C) お よ び エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 (Fig. 13B、13C)

抑 制 作 用 に 対 し 、KF24345 お よ び dipyrid a mo le の 影 響 は 認 め ら れ な か っ た 。 2-2-1-2 単 離 PBMC の活 性 化 に対 する作 用

PBMC に ア デ ノ シ ン ま た は ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 を 添 加 し た 後 、LPS を 添 加 し 、 培 養 上 清 中 の TNF-α 濃 度 を 測 定 し た 。 そ の 結 果 、 ア デ ノ シ ン は LPS 刺 激 に よ る PBMC の TNF-α 産 生 を 濃 度 依 存 的 に 抑 制 し た (Fig. 14A)。

一 方 、KF24345 お よ び dipyridamo le は 単 独 で 同 TNF-α 産 生 を 抑 制 す る 傾 向 を 示 し た も の の 、そ の 作 用 は 弱 い も の で あ っ た 。ま た 、ア デ ノ シ ン(1 μmol/L) の TNF-α 産 生 抑 制 作 用 に 対 し 、KF24345 お よ び dipyridamo le の 影 響 は 明 確 に

(31)

認 め ら れ な か っ た (Fig. 14B、14C)。

以 上 、 単 離 し た PMN お よ び PBMC に お い て 、 検 討 し た ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 は 、い ず れ も そ の 活 性 化 に ほ と ん ど 影 響 せ ず 、ア デ ノ シ ン の 抑 制 作 用 に 対 し て 無 影 響 で あ っ た 。本 検 討 で は 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 に よ る 細 胞 外 ア デ ノ シ ン 作 用 の 増 強 が 不 十 分 で あ る こ と が 推 察 さ れ た が 、そ の 理 由 と し て 、PMN お よ び PBMC の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 活 性 が 赤 血 球 な ど に 比 べ て 低 い 、も し く は PMN お よ び PBMC の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み に 対 す る 薬 剤 の 阻 害 活 性 が 弱 い こ と が 考 え ら れ た 。 そ こ で 、PMN お よ び PBMC の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み に 対 す る KF24345 の 阻 害 活 性 を 調 べ た 。

2-2-2 PMN および PBMC 画 分 のアデノシン取 り込 みに対 する KF24345 の阻 害 活 性

PMN(Fig. 15A)、PBMC(Fig. 15B) お よ び 赤 血 球 画 分(Fig. 15C) は 、 少 な く と も ア デ ノ シ ン 添 加 後 10 分 間 ま で イ ン キ ュ ベ ー ト 時 間 に 比 例 し た ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 量 の 上 昇 が 認 め ら れ た 。PMN お よ び PBMC 画 分 に お け る 一 定 時 間 (10 分 間 ) お よ び 一 定 細 胞 数 (2 × 106cells/mL) あ た り の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 量 は 、そ れ ぞ れ 赤 血 球 画 分 と 同 等 お よ び 約 1/5 で あ っ た 。ま た 、PMN お よ び PBMC 画 分 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み に 対 し 、KF24345 の 阻 害 作 用 は 部 分 的 で あ り 、1 μmol/L に お け る 阻 害 率 が そ れ ぞ れ 約 65%、約 40%で 頭 打 ち で あ っ た 。一 方 、赤 血 球 画 分 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み に 対 し 、KF24345 は 0.3 μmol/L に お け る 阻 害 率 が 約 90%と ほ ぼ 完 全 に 阻 害 し た 。

以 上 の 結 果 か ら 、PMN、PBMC い ず れ の 画 分 に も ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 能 が 認 め ら れ 、こ の 作 用 に 対 し て KF24345 が 阻 害 活 性 を 有 す る こ と も 明 ら か に な っ た 。 し か し な が ら 、PMN、PBMC に お け る ア デ ノ シ ン 取 り こ み 能 お よ び KF24345 の 阻 害 作 用 は 、 い ず れ も 赤 血 球 画 分 を 用 い た 場 合 よ り も 弱 か っ た 。 こ れ に 加 え 、 本 検 討 の 細 胞 密 度 は 赤 血 球 の 存 在 す る 血 中 環 境 に 比 べ て 低 く

(32)

( 全 血 を 用 い た 場 合 : 約 2 × 109cells/mL、 本 検 討 :1-2 × 106cells/mL)、 細 胞 外 ア デ ノ シ ン レ ベ ル に 対 す る ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 の 影 響 が 小 さ い こ と も 考 え ら れ た 。よ っ て 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 薬 効 に は 赤 血 球 の 関 与 が 大 き い こ と が 示 唆 さ れ た た め 、赤 血 球 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 を 介 し た PMN お よ び PBMC の 活 性 化 抑 制 作 用 を 調 べ た 。

2-2-3 単 離 白 血 球 +赤 血 球 画 分 の活 性 化 に対 する作 用 2-2-3-1 単 離 PMN+赤 血 球 画 分 の活 性 化 に対 する作 用

PMN 画 分 に 一 定 量 の 赤 血 球 画 分 を 添 加 し た 条 件 に て 、fMLP 刺 激 に よ る エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 調 べ た 。ア デ ノ シ ン は 単 独 で エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 を 抑 制 で き な か っ た(Fig.

16A)。KF24345、dilazep お よ び dipyridamo le は 、 弱 い な が ら 一 定 濃 度 (1 μmol/L) の ア デ ノ シ ン 存 在 下 で エ ラ ス タ ー ゼ 放 出 を 抑 制 す る 傾 向 を 示 し た

(Fig. 16B、16C、16D)。

2-2-3-2 単 離 PBMC+赤 血 球 画 分 の活 性 化 に対 する作 用

PBMC 画 分 に 一 定 量 の 赤 血 球 画 分 を 添 加 し た 条 件 に て 、LPS 刺 激 に よ る TNF-α 産 生 に 対 す る ア デ ノ シ ン お よ び ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 作 用 を 調 べ た 。 ア デ ノ シ ン は 単 独 で TNF-α 産 生 を 抑 制 で き な か っ た が 、KF24345、

dilazep お よ び dipyridamo le は 、ア デ ノ シ ン(0.01-10 μmol/L)存 在 下 で TNF-α 産 生 を 抑 制 し た(Fig. 17A、17B、17C)。さ ら に 、KF24345 お よ び dilazep( そ れ ぞ れ 1 μmol/L)と ア デ ノ シ ン(10 μmol/L)に よ る TNF-α 産 生 抑 制 作 用 は 、 ADA の 添 加 に よ っ て 解 除 さ れ た (Fig. 18)。

以 上 の 結 果 か ら 、ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 薬 の 薬 効 は 、赤 血 球 の ア デ ノ シ ン 取 り 込 み 阻 害 を 介 し た 細 胞 外 ア デ ノ シ ン 作 用 の 増 強 に よ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

Figur e  1 Production and  metabolism of adenosine  in the nor mal (A) and adverse  (B)  condition
Figur e 2 Chemical structur e of KF24345.  N N NON ONOONO HClNNNONONOONOHCl
Figur e 3 Inhibitor y effects of KF24345 on adenosine uptake in mice ex vivo.
Figur e  4 Effect of intravenous administration of KF24345 on the mortalit y in mice wit h  CDE diet-induced acute pancreatit is
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