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民俗資料の蒐集

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Academic year: 2021

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民俗資料の蒐集

著者 角田 芳昭

雑誌名 阡陵 : 関西大学考古学等資料室彙報

巻 21

ページ 10‑11

発行年 1990‑05‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00024263

(2)

民俗資料の蒐集

角 田 芳 昭

考古学等資料室においてほ資料の充実と教育 研究の向上に務めている。平成元年度はかねて よりお願いしておいた民俗資料を寄贈して下さ ることになり出向した。 岡山縣(備中国)上房 郡賀陽町吉川地区及び黒山地区の農家のご協力 を得、多数の農具、民具を蒐集することができ た。

乎 成2年 (1990) 3月16日早朝出発し、岡山 駅より運送業者のトラックに同乗して現地に午 後1時到着した。当地区は岡山駅よりバスで北 西 へ 約1時間、備中高梁駅よりバスにて東北へ 約40分 の と こ ろ に あ り 、 標 高500mの山村で、

農業が中心であり、乳牛の飼育が盛んである。.

山村部であるので、四季折々に荀の野菜が豊富 で あ る 。 第2次大戦までは養蚕もさかんであり、

桑ノ木が沢山植えられていた。終戦直後はイ草 の栽培もさかんであったが、現在ではほとんど 見当たらない。近年の変貌、発展は目覚しく、

土地区画整理事業とともに、国立の施設及び大 企業も誘致され、活氣に満ちているが、反面、

この貴重な民具資料がどんどん捨てられている。

旧家では明治初年頃建てられた家も多く建替の 時期で納屋の隅に眠っている農具もおしげもな く焼かれているのが現状である。我々の祖先が 使い、残して来た農具は保存したいものだ。

晨具、民具資料は小倉衛氏(筆者の実兄)末 子御夫妻のお骨折りで既に多数が小倉家の庭先 へ集収されていた。休憩の後早速梱包作業と寄 贈者の氏名をメモし張付けていった。その点数 約80点であった。その整理中友人の堀求氏(賀 陽町役湯吉川支所長)が吉)II地 区 の 新 ら た に 寄 贈 さ れ た 農 具 資 料20数点を持参下さり、合計約 100点となった。

農具関係資料として除草機(田の草とり機)、

二段除草機、梨(俗称ウシンガ)、馬鍬(マン ガ)、二段馬鍬、牛鞍、鍬、物入籠、唐箕、ロ ふご、雨具(着ござ・みの)、わたくり機、唐 臼、縄ない機、箕、網枠、田植網、糸車、鋸な どであった。旧家の納屋にはまだ多数の使い古 した道具が入っているといわれた家もあり次回 お願いすることにした。

民具資料として茶釜、羽釜、角樽、朱塗繕、

黒塗火鉢、ガス燈、大小盆、大瓶、蒸籠(セイ ロ)、急須、士鍋(ユキヒラ)柱時計、火縄銃、

掛軸(各種)、双眼鏡、燈火器、アイロン、ひ な人形、五月人形、鯉のぽり、祭り旗、薬研、

陶枕、葉たばこ結束用圧搾器などであり、農具 など同種のものが多数集収されていた。友人難 波 弘 泰 氏 ( 賀 陽 町 農 業 協 同 組 合 参 事 ) 及 び 重 森 計巳氏(賀陽町会議員)には蒐集について諸々 助言して下さった。寄贈者の姓名は次ページの とおりであり、誌J:において惑謝申し上げる次 第である。

近 年 、 市 町 村営 の 歴 史 民 俗 資 料 館 に 類 す る 博 物館、資料館が多数設立されており、いずれの 地 方 で も 見 か け る 情 景 と な り 、 民 俗 文 化 の 向 上 に寄与し、住民の意識も高い。しかしこれらの 資料の展示についてみるとただ雑然と並べてあ るという状態になっている資料館が多いことだ。

学術的に調査研究し、展示についても照明、資 料解説、収集地、使用方法など郷士との関連に ついて記述し、見学者に容易に理解できるよう な展示をし、民具をして語らしめるような視聴 覚効果も期待したい。

今回本学資料室に貴重な資料が多数寄贈され たのを機会に、これらの資料を活用したならば、

学芸員養成の質的向上に寄与できるものと考え る。機会があれば再度訪問し、民俗資料につい て調査し、その分布を明らかにするとともに、

資料の充実をはかっていきたい。今回感じたこ とは、文明が発達し、生活が向上するにつれ、

田舎の生活も徐々に変貌を来たし、農具、民具

(生活必需品)も次第に失われつヽある。郷土 に資料館等を建設し保存すると同時に学術研究 機関においても営意蒐集し、保存、記録してい かなくては後世に悔いを残すことになろう。多 数の民俗資料といわれるものが、その価値を見 い出されないまま捨て去られているのは非常に 残念である。学術資料として活用できることを 地区住民の人々に認識してもらうことも必要で あると感じた。この一文が少しでも役立つなら ば幸いである。

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(3)

「おひな様」小倉衛氏寄贈

「朱塗角樽J小 倉 清 氏 寄閑

葉 た ば こ 緒 束 用 庄 搾 器 西 谷 喜 代 子 氏 寄 贈

「黒漆塗火鉢」大久保敏夫氏寄贈

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田 植 鋼

「陶枕」 西 谷 芳 子氏寄 贈

「茶釜」堀求氏寄贈 「時代人形」大倉求氏寄贈 「雁爪」(手持除草具)重森計已氏寄贈

「わたくり機」西谷猛氏寄贈 馬 鍬 ( マ ン ガ ) 西 谷 岩 男 氏 寄 贈 「惣(俗名ウシンガ)J山 本 万 ー 氏 寄 贈

「茶席水指」小倉靖氏寄贈 「茶席用飯櫃」小倉靖氏寄贈

平 成 元 年 度 寄 贈 さ れ た 民 俗 資 料 の 一 部

(岡山県上房郡賀陽町吉川地区・黒山地区)

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