• 検索結果がありません。

新収蔵資料 複製内行花文八葉鏡

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "新収蔵資料 複製内行花文八葉鏡"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

新収蔵資料 複製内行花文八葉鏡

著者 米田 文孝, 川口 奈穂子

雑誌名 阡陵 : 関西大学博物館彙報

巻 40

ページ 14‑15

発行年 2000‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00024102

(2)

新収蔵資料 枯翡嬰内行こ礼;文 J¥ 葉鎖覚

近年、銅鐸の鋳造実験による復元研究で注目 されている上田合金株式会社(代表取締役上田 富雄氏)より、かつて福岡県糸島郡前原町所在 の平原遺跡から出土した大型内行花文八葉鏡の 複製品 (2面)をご寄贈いただいたので、その 製作実験の概要を紹介する。

1965年、原田大六氏は福岡県糸島郡前原町 大字有田字平原に所在する平原遺跡を調査さ れた呪このうち、 1号墓は14mX 13mの方 形 周 溝 墓 で 、 主 体 部 は 中 央 に 掘 削 さ れ た 4.5m 3.6mの 墓 堀 内 に 剖 貫 式 木 棺 ( 推 定 0.9 2.8m)が納められていた痕跡が認められ たが、その周辺から内行花文八葉鋭4面を含む、

39面相当の鏡片が出土した。これらの鋭群は 前漢中葉から後漠前半に位置づけられることか ら、 1号墓は2世紀前半を下るものではないと 判断された。

この1号墓から出土した内行花文八葉鏡は直 径46.5cmを測る大型鋭である。縁部は平縁・

素文であり、その内側には9本の同心円が、鉦 の周辺部には8弁8葉から構成される内行花文 が施紋されている。原田大六氏は、平原出土品 が中国出士の遺例とは相違して八葉の先端が花 紋の頂部に向くことから侑製鏡であり、また 4面 (10 13

 

号鏡)の復元径や紋様が一致す ることなどから同型鏡であるという見解を示し ている。さらに、大鋭であるという観点から伊 勢神宮のご神体として伝わる、「八胞鏡」(2)と の関連性も指摘する。

つぎに、今回寄贈を受けた内行花文八葉鏡の 製作工程について概観しておこう。一般的に、

同型鏡は真士に紋様を起こして作られた一面の 原銚から、鋳型をつくるという工程を繰り返し ていたと想定されている。今回の復元実験では 平原出土品を原鏡として鋳型をつくることは不 可能であるため、その複製品を製作する準備工 程が必要である。この作業は今回の復元研究で 原鏡に措定した10号鏡の実測図及び写真をコ ンビュータで画像処理し、レーザー光線を利用 する三次元工作機で版木 (合板製)に紋様を立

米田文孝 川口奈穂子

体的に転写することからはじまる。その後、完 成した版木を石晉で型取りし、シリコン型、ア ルミ型と順次に製作するという作業を経て、鋳 型の原型として利用する原鏡が完成する。

つぎに、鋳型(合わせ型)の作成段階である が、原鏡の鏡背面の型取り (A面)からはじま る。まず、仮設の底部とする仕切り板上に金枠 を組み、その中に原鏡を据え置いた後、鏡背部 分に粒子の細かいシリカサンド(鋳物用合成砂 8号)を箭で全体にかける。これは紋様の細部 まで鋳出す且的で用いるが、特に原鏡と仕切り 板との隙間には砂を充填し、原鋭の安定を図る。

その上部には粒子の粗いシリカサンド(鋳物用 合成砂6号)を金枠の高さに達するまで、均一 に伸ばしつつ覆い被せる。その後、棒を用いて 全面的に叩き締めるが、陥没した箇所にはシリ カサンドを補充し、さらに強く叩き締める。な お、今回の鋳造では大型銚であることから平注 ぎ法を採用したため、この段階で原鏡に接して 相対する位置に 2か所の湯道が設けられる。

その後、金枠の両さに板で撫で揃えた鋳型外 面に、シリカサンドを硬化させる目的で充填す る二酸化炭素ガス用の小穴(通気口)を、原鏡 を直接刺突しないように留意しながら、小鉄棒

(ガス棒)を用いて複数箇所に穿孔する。そし て、この小穴部分から炭酸ガスを送り込むが、

特に金枠に接する周縁部と原鏡を据え置いた中 心部とには重点的に充填し、シリカサンドを硬 化させる必要がある。

つぎに A面を硬化・乾燥させた後に上下反転 させて、鏡表面の型取り (B面)作業にはいる。

まず、取り除いた仕切り板と鏡表面との間に充 填したシリカサンドを除去しながら、原鏡の輪 郭を明確に出す。この上部にA面で使用したも のと同一規格の金枠を載せ、鏡背側と同様の作 業を繰り返す。その後、鋳型をA・B面に分離 し、 A而側の原鏡を抜き取るが、この段階で鉦 部分には粘土棒を填め込み、紐孔を形成する。

さらに、両面にモールドペイント(塗型剤)を 塗布した後、燃焼して乾燥させるが、この塗製

‑ 14‑

(3)

剤は鉛湯の鋳型への焼付きを防止して鋳物の剥 離を容易にすると共に、平滑な鋳肌を得る目的 で使われる。

このようにして形成した鋳型は鋭背面(A面) を下位に、湯道部分に留意して再度重ね合わせ て固定される。さらに、 B面上部には舘湯を注 入した時に内圧で鋳型が分離しないように、重 しとして金属塊(約200kg)が載せられる。な お、 A面を下位にする理由は湯に含有する不純 物が上部に浮上して紋様が不鮮明になることを 防止するためであり、 B面(鏡表)では鋳造後 の研磨により問題は回避できるという。

その後、湯口に取り付けられた2か所の湯受 筒から同時に、約1200度に加熱された鈴湯を 注入し鋳込む。鋳込まれた鏡は半日程度冷却し て鋳型から取り出され、研磨作業を経て完成す る。なお、今回の鋳造実験に使用した合金の主 要三成分比は平原遺跡11号鏡の定星分析値に 準拠させたもので、銅69.6%(不純物含む)、

錫23.6%、鉛6.8%である。

以上、平原遺跡出土の大型内行花文八葉鏡の 製作実験を概観したが、今後に残された研究課 題は多い。例えば、従来から論議・指摘される

ように、踏み返し法による鏡はその原鏡より金 属の収縮により直径が縮小する可能性や、紋様 が不鮮明になる可能性などがある(3)(6)。今後に 予定している系統的な製作復元実験を重ねるこ とにより、これらの問題の解釈・説明に何らか の具体的な糸口が得られるであろう。

!引用・参照文献]

(1)  原田大六 「平原弥生古墳ー大日婁貴の墓 ー」葦書房 1991 

(2) 皇學館創立百周年記念神宮古典籍影印叢刊

「神道五部書j八木脊店 1990 

(3) 八雲立つ風土記の丘『古代の技術を考える ー大量生産への工夫と技術ー」秋季企画展図 録 1990

(4)  (財)元興寺文化財研究所「いにしえの金 工たち〜古代金工技術の復元〜」秋季特別展 図 録 1998 

(5) 第8回鋳造遺跡研究集会 「弥生時代の鋳造 一 青 銅 器 鋳 造 技 術 の 復 元 ー」(発表資料集)

1998 

(6) 「鏡を作る一海獣葡萄鏡を中心としてー」

飛鳥資料館 1999 

m~

トャ「.‑ ‑‑! 

複製内行花文八葉鏡 複製内行花文八葉鏡実測図

‑ 15‑

参照

関連したドキュメント

うことが出来ると思う。それは解釈問題は,文の前後の文脈から判浙して何んとか解決出 来るが,

節の構造を取ると主張している。 ( 14b )は T-ing 構文、 ( 14e )は TP 構文である が、 T-en 構文の例はあがっていない。 ( 14a

(文献資料との対比として,“非文献資 料”)は,膨大かつ多種多様である.これ

 内部形態:小葉の横切面(Fig.1-B, C)はほぼ直線状で,主脈部上面は通常平坦,まれにわずかに突出あるいは埋

これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア

②立正大学所蔵本のうち、現状で未比定のパーリ語(?)文献については先述の『請来資料目録』に 掲載されているが

自発的な文の生成の場合には、何らかの方法で numeration formation が 行われて、Lexicon の中の語彙から numeration

マニピュレータで、プール 内のがれきの撤去や燃料取 り出しをサポートする テンシルトラスには,2本 のマニピュレータが設置さ