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工学院大学におけるマイクロマシン研究の取り組み

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Academic year: 2021

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工学院大学におけるマイクロマシン研究の取り組み

1. マイクロマシンに関する研究 プロジェクト

 工学院大学では,文部科学省の私立 大学学術研究高度化推進事業(ハイテ クリサーチセンター整備事業)の一環 として,平成 15 年度より 5 箇年で「マ イクロ先進スマート機械・マイクロバ イオシステム実現へ向けてのテクノロ ジー開発」と題する研究プロジェクト を推進している.マイクロマシン技術 の蓄積と基礎技術開発,それを応用し た実用スマート機械の実現,およびマ イクロ環境下での反応と操作を応用し たマイクロバイオシステム実現を目指 している.2004 年 3 月に竣しゅん工したマ イクロ&バイオシステム研究センター 棟の 1 階にはクラス 1 000 のクリーン ルームがあり(図 1),共同で利用さ れている.本研究プロジェクトは,次 の六つの大テーマに分類されている.

(1)機能性マイクロ機械要素・デバ イスの開発と特性評価

(2)三次元マイクロ - ナノ形状加工 技術開発に関する研究

(3)マイクロ環境下システム・要素 の特性評価解析,診断技術の開 発研究

(4)マイクロエネルギーシステムに 関する研究

(5)マイクロ環境下フルイディクス デバイスの開発研究

(6)マイクロシステム統合化技術  各大テーマにはそれぞれいくつかの 小テーマがあり,学外者も含め 53 名 の研究者が参加している.クリーン ルーム延べ利用者数は,平成 16 年度 は 693 名であったが,平成 19 年度に は 1 755 名にまで増加し,設備利用の 定着化が図られている.本研究プロ ジェクトは年 1 回の成果報告会,年 5 回の研究会を学内外公開で開催し,活 発な討論を行っている.また平成 18 年度には韓国の釜山国立大学を中核と す る MEMS/NANO  Fabrication  Center of Busan Techno-Park との間 で研究協力の覚え書を交換し,両研究 センター間での情報交換と人的交流を

目的として年 1 回のジョイントシンポ ジウムを開催している.外部評価も毎 年実施し,評価結果をもとにプロジェ クトの改善を図っている.

2. 昆虫に学ぶマイクロマシン

 本研究プロジェクトの研究の一例と して,大テーマ 6「マイクロシステム 統合化技術」の研究を紹介する.本テー マは,昆虫の機構や運動を規範として 新しいマイクロシステムを開発するこ とを通じて,マイクロシステム統合化 技術の体系化を目指すものである.昆 虫は長い進化の過程を経て地球上のあ らゆる環境に適応し,その種の数は動 物全体の種の 7 割を占めるといわれて いる.昆虫の運動に着目すると,アリ は垂直な壁や天井を歩行し,アメンボ は表面張力により水面上を移動し,ト ンボやハエは羽ばたきにより空中で急 旋回やホバリングを行う.これらは小 さいことを生かした昆虫ならではの機 能であり,これらをマイクロシステム の設計に応用するため,本テーマでは

「マイクロ機械のロボット化」,「マイ クロ飛行体の開発」,「微小物体の運動 およびマイクロスケール機構の製作に 関する研究」の三つの小テーマに分か れて研究を行っている.

 図 2 は,小テーマ 1 で開発したアメ ンボ型水面移動ロボットである.アメ ンボは足先からロウのような物質を分 泌し,さらに表面を細かい毛で覆うこ とで撥はっ水性を強化している.このこと を参考にして,ロボットの脚の表面に MEMS(Micro  Electro  Mechanical  Systems)技術により直径 0.1mm の 円形の凹凸を加工することで撥水性を 高めた.また,ロボットには振動モー タを搭載し,12 本の脚を回転振動さ せることで水面上を自立移動する.そ れぞれの脚の長さが異なっており,

モータの回転数に応じて特定の脚が共 振することを利用して,直進,右旋回,

左旋回の 3 種類の動作を一つのモータ で実現することができた.

 また,図 3 は小テーマ 3 で開発され た水滴の表面張力を利用したマイクロ

モータである.撥水表面上の水滴は凸 形状となり内部に圧力が生じるため荷 重を支持することができる.また,電 場により表面の濡れ性を制御する「エ レクトロウェッティング技術」を用い ると,水滴を基板上の電極に沿って輸 送することが可能である.この二つの 技術を組み合わせ,撥水性ロータを支 持した水滴を駆動することでモータを 回 転 さ せ る こ と が で き る. 直 径 5mm,質量 7.7mg のロータを三つの 水滴で支持し,最大 320rpm の回転に 成功した.

3. おわりに

 工学院大学におけるマイクロマシン 研究の取り組みについて紹介した.本 プロジェクトは平成 19 年度で終了と なるが,延長申請を行うことを計画し ており,今後も自然界の昆虫等を参考 にマイクロ機械技術の体系化を目指し て研究を進めていく予定である.

(原稿受付 2008 年 3 月 18 日)

〔鈴木健司 工学院大学〕

図 2 表面張力で浮くアメンボロボット 10mm

Weight 7.85g 図1 工学院大学クリーンルーム

図 3 水滴の表面張力を利用した マイクロモータ

日本機械学会誌 2008. 9 Vol. 111 No.1078

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