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アメリカにおけるGPS捜査とプライバシー

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(1)

アメリカにおけるGPS 捜査とプライバシー 愛媛大学教育学部紀要 第 67 巻 187~200 2020

ア メ リ カ に お け る G P S 捜 査 と プ ラ イ バ シ ー

( 社 会 科 教 育 講 座 )

中 曽 久 雄

G P S I n v e s t i g a t i o n s a n d P r i v a c y H i s a o N A KA S O

( 2 0 2 0 年 9 月 1 日 受 理 )

1 .は じ め に

日 本 に お い て は 、近 年 、

GPS

捜 査 と プ ラ イ バ シ ー の 問 題 が 注 目 さ れ 、最 高 裁 に お い て 令 状 に 基 づ か な い

GPS

捜 査 を 違 法 と さ れ た1。 そ こ で は「個人のプライバシーの侵害を可能と する機 器 を そ の 所 持 品 に 秘 か に 装 着 す る こ と に よ っ て、合理的に推認される個人の意思に反 してそ の 私 的 領 域 に 侵 入 す る 捜 査 手 法 で あ る

GPS

捜 査は、個人の意思を制圧して憲法の保障 する重 要 な 法 的 利 益 を 侵 害 す る も の と し て 、刑 訴 法 上 、 特 別 の 根 拠 規 定 が な け れ ば 許 容 さ れ な い 強 制 の 処 分 に 当 た る 」と さ れ 、こ れ ま で 無 規 制 に 行 わ れ て き た

GPS

捜 査 を 違 法 と し 歯 止 め を か け た。アメリカにおいても、後に検討する

United States v. Jones

判 決 ( 以 下 、

Jones

判 決 ) が 下 れ る 以 前 で は 、 警 察 は 令 状 に 基 づ か な い

GPS

捜 査 ( こ こ で 言 う

GPS

捜 査 と は 、 警 察 が 被 疑 者 の 車 両 に

GPS

を 装 着 し そ の 行 動 を 追 跡 す る 捜 査 手 法 を 指 し て い る2)を行ってきた。下 級審 の レ ベ ル で は 、

GPS

捜 査 に 対 し て 修 正

4

条 の 保

1 最 大 判 平 成29315日 刑 集71313頁 。

2 ECPA Reform and the Revolution in Location Based Technologies and Services: Hearing Before the Subcomm. on the Constitution, Civil Rights, and Civil Liberties of the H. Comm. on the Judiciary, 111th Cong. 22 (2010).

護 が 及 ば な い と し て き た3。 こ う し た 中 で 、

Jones

判 決 が 令 状 に 基 づ か な い

GPS

捜 査 を 修 正

4

条 の 規 定 す る 捜 索 に 該 当 す る と し て こ と で 、

GPS

捜 査 と プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 議 論 が 活 発 化し、その 法 的 統 制 の 在 り 方 が 積 極 的 に 検 討 さ れ て い る 。 本 稿 は 、 こ う し た 議 論 を 踏 ま え て 、

GPS

捜 査 と プ ラ イ バ シ ー の 問 題 に つ い て そ の 解 決 の 方 向 性 を 提 示 す る こ と を 目 的 と し て い る 。

2 . 修 正 4 条 に 関 す る 判 例 法 理

ア メ リ カ で は 、

Jones

判 決 以 前 、 犯 人 を 追 跡 す る 捜 査 手 法 と し て 、 令 状 に 基 づ か な い

GPS

捜 査 が 一 般 化 し て い た 。 そ し て 、 下 級 審 で は 、 公 道 に お い て 個 人 は プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 を 有 し て い な い と い う こ と で 、

GPS

捜 査 を 合 憲 と し て き た4

下 級 審 の こ う し た 判 断 の 背 後 に は 、こ れ ま で の

GPS

捜 査 に 類 似 す る 問 題 に 関 す る 連 邦 最 高 裁 判 決 に 由 来 す る 。

3 下 級 審 では、GPS 捜 査は捜 索 に該 当しないとしてきた。

See, e.g., United States v. Cuevas-Perez, 640 F.3d 272 (7th Cir. 2011) ; United States v.

Pineda-Moreno, 591 F.3d 1212 (9th Cir. 2010) ; United States v. Garcia, 474 F.3d 994 (7th Cir.

2007).

4 See, e.g., United States v. Garcia, 474 F.3d 994 (7th Cir. 2007).

(2)

修 正

4

条 に 関 す る 判 断 枠 組 み と し て 、批 判 を 受 け な が ら も 現 在 も 妥 当 し て い る の は

Katz v. United States

5に お い て 提 示 さ れ た

Katz

テ ス ト で あ る6。法廷意見は、公衆 電話ブース の電 話 会 話 を 監 視 す る た め に 盗 聴 器 を 使 用 す る こ とは、物理的な侵入がないにもかかわら ず、修 正

4

条 の 規 定 す る 捜 索 に 該 当 す る と し た 。法 廷 意見は、コモンロー上の侵害概念を否定 し、修 正

4

条 が 場 所 で は な く 人 を 保 護 す る と 明 言 し た 。 その上で、法廷意見が、公衆電話ブースの電話 会 話 が 修 正

4

条 の 保 護 を 受 け る 理 由 と し て 、市 民は、電話による会話が自宅での毎日の 家庭内 の 会 話 と 同 じ よ う に 、公 的 な 審 査 か ら 保 護 さ れ る こ と を 期 待 し て い る こ と を 挙 げ る 。法 廷 意 見 は 公 衆 電 話 の ブ ー ス は 公 衆 の 目 に 晒 さ れ て い ても、招かざる耳により監視されないこ とを合 理 的 に 期 待 す る と い う 。対 照 的 に 、公 に 活 動 に お い て プ ラ イ バ シ ー を 期 待 す る 理 由 は な い と さ れ た 。

Katz

判 決 は 、 修 正

4

条 の 文 字 通 り の 解釈を否定し、修正

4

条 の 保 護 を 拡 大 し つ つ も 、 公 衆 や 他 の 人 に 公 開 さ れ て い る も の に 対 す る 修 正

4

条 の 保 護 を 排 除 し た7

Katz

判 決 に お い て 提 示 さ れ た

Katz

テ ス ト は 、

2

つ の 要 素 か ら 構 成 さ れ て い る 。① 個 人 が プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 を 抱 く か 否 か 、② 社 会 が そ れ を 合 理 的 と 判 断 す る か 否 か 、で あ る8

Katz

判 決 後 、 修 正

4

条 の 捜 索 に 該 当 す る か 否 か は 、修 正

4

条 違 反 を 主 張 し て い る 人 が 、社 会 が 合 理 的 で あ る と 認 識 し て い る プ ラ イ バ シ ー を 有 し て い る か 否 か に 依 拠 す る こ と に な っ た 。

この よ うに 、

Katz

テ スト のも と で、 修 正

4

条 の 主 要 な 問 題 は 、捜 索 が 行 わ れ る 場 所 で は な く、それがプライバシーに関する合理的 期待を

5 89 U.S. 347 (1967).

6 Thomas K. Clancy, What Is a “Search” Within the Meaning of the Fourth Amendment?, 70 ALB. L. REV. 1, 54 (2006).

7 RICHARD M. THOMPSON II , CONG. RESEARCH

SERV., R43586, THE FOURTH AMENDMENT

THIRD-PARTY DOCTRINE, 6 (2014).

8 Id. プライバシーに関 する合 理 的 期 待 の検 討について

は、柳 川 重 規 「『プライヴァシーの合 理 的 期 待 』という概 念についての一 考 察 」 椎 橋 隆 幸 先 生 古 稀 記 念 上 巻

『新 時 代の刑 事 法 学 』 (信 山 社、2016年) 131頁。

侵 害 す る も の か 否 か 、ま た 、そ れ が ど の 程 度 の 侵 害 で あ る の か 、と い う こ と で あ っ た9。し かし ながら、学説からは、プライバシーに関する合 理 的 期 待 の 有 無 の 判 断 は 一 義 的 で は な く 、そ の 判 断 過 程 は 曖 昧 で あ る と 批 判 さ れ て い る10

その後、連邦最高裁は、

GPS

捜 査 と 類 似 す る 事 案 に 関 し て 判 断 を 示 す こ と に な る 。

United States v. Knotts

11に お い て 問 題 と な っ た の は 、 ビーパー(

beeper

)を使用した車両の尾行が被 疑 者 の 修 正

4

条 の 権 利 を 侵 害 す る か 否 か で あ る 。 法廷意見は、公共の場の行動にプライバ シーに 関 す る 合 理 的 期 待 は な く 、法 執 行 官 は 合 法 的 な 権 利 が あ る 場 所 か ら 自 由 に 観 察 す る こ と が で き る とこ とを 認め た12。また 、法 廷意 見に よ れ ば、警察 によ る伝統 的な目 による 監視(

visual surveillance

) に よ り 得 ら れ た 情 報 と ビ ー パ ー の 使 用 に よ る 監 視 に よ っ て 得 ら れ た 情 報 は 同 じ で あ る と 指 摘 す る 。 そ し て 、 本 件 に お い て 、 警 察 官 は 目 と ビ ー パ ー の 双 方 に よ り 情 報 を 獲 得し たと する13。法 廷意 見は 、警 察が 警察 の 職 務 を 補 助 す る た め に 監 視 機 器 を 使 用 す る こ と を 許 さ れ る べ き で は な い と い う 、一 般 的 な 考 え を 拒 絶 し た14。 本 件 に お け る

Knotts

の 主 張 は 、 警 察 に よ る 監 視 装 置 の 使 用 が 憲 法 上 の 根 拠 に 基 づ か な い と い う こ と で あ っ た が 、法 廷 意見は 警 察 の 捜 査 の 効 率 性 を 違 憲 と し た こ と は な い と反 論し た15。また 、裁 判所 が本 件監 視行 為 を 修 正

4

条 に 反 し な い と す る と 、裁 判 所 の 関 与 な し に 、 警 察 に 対 し て 国 民 の

24

時 間 監 視 を 可 能 に す る と い う 主 張 について、捜査網型の 法執行

dragnet-type law enforcement practices

)に

9 Renée McDonald Hutchins, The Anatomy of a Search: Intrusiveness and the Fourth

Amendment, 44 U. RICH. L. REV. 1185, 1191 (2010).

10 Orin S. Kerr, Four Models of Fourth Amendment Protection, 60 STAN. L. REV. 503 (2007).

11 460 U.S. 276 (1983).

12 Id. at 281.

13 Id. at 282.

14 Id. at 284.

15 Id.

(3)

修 正

4

条 に 関 す る 判 断 枠 組 み と し て 、批 判 を 受 け な が ら も 現 在 も 妥 当 し て い る の は

Katz v. United States

5に お い て 提 示 さ れ た

Katz

テ ス ト で あ る6。法廷意見は、公衆 電話ブース の電 話 会 話 を 監 視 す る た め に 盗 聴 器 を 使 用 す る こ とは、物理的な侵入がないにもかかわら ず、修 正

4

条 の 規 定 す る 捜 索 に 該 当 す る と し た 。法 廷 意見は、コモンロー上の侵害概念を否定 し、修 正

4

条 が 場 所 で は な く 人 を 保 護 す る と 明 言 し た 。 その上で、法廷意見が、公衆電話ブースの電話 会 話 が 修 正

4

条 の 保 護 を 受 け る 理 由 と し て 、市 民は、電話による会話が自宅での毎日の 家庭内 の 会 話 と 同 じ よ う に 、公 的 な 審 査 か ら 保 護 さ れ る こ と を 期 待 し て い る こ と を 挙 げ る 。法 廷 意 見 は 公 衆 電 話 の ブ ー ス は 公 衆 の 目 に 晒 さ れ て い ても、招かざる耳により監視されないこ とを合 理 的 に 期 待 す る と い う 。対 照 的 に 、公 に 活 動 に お い て プ ラ イ バ シ ー を 期 待 す る 理 由 は な い と さ れ た 。

Katz

判 決 は 、 修 正

4

条 の 文 字 通 り の 解釈を否定し、修正

4

条 の 保 護 を 拡 大 し つ つ も 、 公 衆 や 他 の 人 に 公 開 さ れ て い る も の に 対 す る 修 正

4

条 の 保 護 を 排 除 し た7

Katz

判 決 に お い て 提 示 さ れ た

Katz

テ ス ト は 、

2

つ の 要 素 か ら 構 成 さ れ て い る 。① 個 人 が プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 を 抱 く か 否 か 、② 社 会 が そ れ を 合 理 的 と 判 断 す る か 否 か 、で あ る8

Katz

判 決 後 、 修 正

4

条 の 捜 索 に 該 当 す る か 否 か は 、修 正

4

条 違 反 を 主 張 し て い る 人 が 、社 会 が 合 理 的 で あ る と 認 識 し て い る プ ラ イ バ シ ー を 有 し て い る か 否 か に 依 拠 す る こ と に な っ た 。

この よ うに 、

Katz

テ スト のも と で、 修 正

4

条 の 主 要 な 問 題 は 、捜 索 が 行 わ れ る 場 所 で は な く、それがプライバシーに関する合理的 期待を

5 89 U.S. 347 (1967).

6 Thomas K. Clancy, What Is a “Search” Within the Meaning of the Fourth Amendment?, 70 ALB. L. REV. 1, 54 (2006).

7 RICHARD M. THOMPSON II , CONG. RESEARCH

SERV., R43586, THE FOURTH AMENDMENT

THIRD-PARTY DOCTRINE, 6 (2014).

8 Id. プライバシーに関 する合 理 的 期 待 の検 討について

は、柳 川 重 規 「『プライヴァシーの合 理 的 期 待 』という概 念についての一 考 察 」 椎 橋 隆 幸 先 生 古 稀 記 念 上 巻

『新 時 代の刑 事 法 学 』 (信 山 社、2016年) 131頁。

侵 害 す る も の か 否 か 、ま た 、そ れ が ど の 程 度 の 侵 害 で あ る の か 、と い う こ と で あ っ た9。し かし ながら、学説からは、プライバシーに関する合 理 的 期 待 の 有 無 の 判 断 は 一 義 的 で は な く 、そ の 判 断 過 程 は 曖 昧 で あ る と 批 判 さ れ て い る10

その後、連邦最高裁は、

GPS

捜 査 と 類 似 す る 事 案 に 関 し て 判 断 を 示 す こ と に な る 。

United States v. Knotts

11に お い て 問 題 と な っ た の は 、 ビーパー(

beeper

)を使用した車両の尾行が被 疑 者 の 修 正

4

条 の 権 利 を 侵 害 す る か 否 か で あ る 。 法廷意見は、公共の場の行動にプライバ シーに 関 す る 合 理 的 期 待 は な く 、法 執 行 官 は 合 法 的 な 権 利 が あ る 場 所 か ら 自 由 に 観 察 す る こ と が で き る とこ とを 認め た12。また 、法 廷意 見に よ れ ば、警察 によ る伝統 的な目 による 監視(

visual surveillance

) に よ り 得 ら れ た 情 報 と ビ ー パ ー の 使 用 に よ る 監 視 に よ っ て 得 ら れ た 情 報 は 同 じ で あ る と 指 摘 す る 。 そ し て 、 本 件 に お い て 、 警 察 官 は 目 と ビ ー パ ー の 双 方 に よ り 情 報 を 獲 得し たと する13。法 廷意 見は 、警 察が 警察 の 職 務 を 補 助 す る た め に 監 視 機 器 を 使 用 す る こ と を 許 さ れ る べ き で は な い と い う 、一 般 的 な 考 え を 拒 絶 し た14。 本 件 に お け る

Knotts

の 主 張 は 、 警 察 に よ る 監 視 装 置 の 使 用 が 憲 法 上 の 根 拠 に 基 づ か な い と い う こ と で あ っ た が 、法 廷 意見は 警 察 の 捜 査 の 効 率 性 を 違 憲 と し た こ と は な い と反 論し た15。また 、裁 判所 が本 件監 視行 為 を 修 正

4

条 に 反 し な い と す る と 、裁 判 所 の 関 与 な し に 、 警 察 に 対 し て 国 民 の

24

時 間 監 視 を 可 能 に す る と い う 主 張 について、捜査網型の 法執行

dragnet-type law enforcement practices

)に

9 Renée McDonald Hutchins, The Anatomy of a Search: Intrusiveness and the Fourth

Amendment, 44 U. RICH. L. REV. 1185, 1191 (2010).

10 Orin S. Kerr, Four Models of Fourth Amendment Protection, 60 STAN. L. REV. 503 (2007).

11 460 U.S. 276 (1983).

12 Id. at 281.

13 Id. at 282.

14 Id. at 284.

15 Id.

は異 なる 憲法 原理 が適 用さ れる とし た16。さ ら に、法廷意見は、警察が特定のビーパーから発 せ ら れ る 信 号 を 限 定 的 に 使 用 し た こ と に 着 目 し、ビーパーから得られた情報は決して 新しい 情報ではなく、警察官の目による視覚的 監視と 変 わ る も の で は な い と し た17

次 に 、

United States v. Karo

18である。本 件 においては、麻薬犯罪の捜査のために、令状に 基 づ か な い ビ ー パ ー の 使 用 が 問 題 と な っ た 。麻 薬 取 締 局 の 職 員 が 、目 に よ る 監 視 に 加 え て 、被 告 人 の 自 宅 に 侵 入 し て 、被 告 人 の 移 動 を 監 視 す る た め に ビ ー パ ー を 使 用 し た 。麻 薬 取 締 局 の 職 員 は エ ー テ ル の 缶 を 見 つ け る た め に ビ ー パ ー を

3

回使用した。缶が商業用貯蔵施設に 移動さ れ た こ と を 発 見 し た 後 、そ こ に 入 室 す る た め の 令 状 を 取 得 し た 。法 廷 意 見 は 、令 状 の な い ビ ー パ ー の 使 用 が 被 告 人 の 修 正

4

条 の 権 利 を 侵 害 す るとした。ビーパーは物理的な侵入よ り も侵入 の 程 度 が 少 な い も の で あ る に し て も 、家 に 侵 入 する こと は捜 索 に 該当 する と判 断し た19。法 廷 意見 は 、

Knotts

判 決 と の区 別 を行 い (

Knotts

判 決 で 収 集 さ れ た の は 自 分 自 身 が 自 発 的 に 公 開 し て い る 情 報 で あ る の に 対 し て 、本 件 で は そ う で な い と す る )、 政 府 は 被 告 人 の 家 の 内 部 に ついて、目による監視では獲得できなか った 情 報を 得た とし た20。結果 とし て、 法廷 意見 は 、 家 の 中 に 隠 さ れ て い る 不 動 産 に 対 す る 監 視 は 、 家 に お け る プ ラ イ バ シ ー の 利 益 に 反 す る と し た21

次 に 、

Kyllo v. United States

22である。 こ こ で は 全 く 別 の 監 視 が 問 題 と な っ た 。本 件 で は 、 赤 外 線 モ ニ タ リ ン グ 装 置 (

thermal imaging

) に よ る 捜 査 が 問 題 と な っ た 。マ リ フ ァ ナ の 製 造 の 疑 い を 持 っ た 内 務 省 (

United States Department of the Interior

) の 職 員 は 、 車 の

16 Id.

17 Id. at 285.

18 468 U.S. 705 (1984).

19 Id. at 714-15.

20 Id. at 715.

21 Id. at 716.

22 533 U.S. 27 (2001).

中 か ら 、 赤 外 線 モ ニ タ リ ン グ 装 置 を 使 用 し て 、 自 宅 の 壁 や ガ レ ージを捜索し、近隣の家 と明ら か に 温 度 が 異 な る 場 所 を 発 見 し た( マ リ フ ァ ナ 製 造 に は 高 温 の ラ ン プ が 必 要 と な り 発 熱 状 況 を 調 査 し た )。 捜 査 員 は 、 こ う し た 証 拠 を も と に し て 逮 捕 状 を 請 求 し 、自 宅 の 捜 索 を 行 い 、マ リ フ ァ ナ の 製 造 を 突 き 止 め た 。法 廷 意 見 は 、赤 外 線 モ ニ タ リ ン グ 装 置 が 捜 索 に 該 当 す る と し た。その理由付けを以下のように展開す る。公 の 視 線 に さ ら さ れ て い る 家 の 一 部 の 捜 査 に 関 して、目による監視は捜索に該当しない として きた。捜索に該当するか否かを判断する 場合に は 、

Katz

判 決 を 適 用 し て き た23。この原則を 適 用して、捜索対象に関してプライバシー に関す る 合 理 的 期 待 を 抱 く こ と を 個 人 が 表 明 し 、社 会 が そ う し た 期 待 を 合 理 的 と 認 め る の で な け れ ば、 捜索 が行 われ たこ とに なら ない とし た24。 本件では、技術の力により、憲法で保護された プ ラ イ バ シ ー の 領 域 が 縮 小 す る こ と に つ い て 、 ど の よ う な 限 界 が あ る の か と い う こ と で あ る 。

Katz

テ ス ト には 、 住 居内 に 対 する 捜 索 が 行 わ れ る 場 合 に 、 コ モ ン ロ ー に 深 く 根 ざ し た 基 準 、 すなわち、現に存在し合理的と認められ るプラ イ バ シ ー の 最 低 限 の 期 待 に 関 す る 基 準 が 存 在 す る 25 。 感 覚 を 高 め て い る 技 術

sense-enhancing technology

) に よ る 他 の 方 法 に よ り 、「 憲 法 上 保 護 さ れ た 領 域 に 対 す る 物 理的な侵入」なくして獲得できない家に 関する 情 報 を 取 得 す る こ と は 、捜 索 に 該 当 す る 。こ れ によって、修正

4

条 が 制 定 さ れ た 当 時 に 存 在 し た 政 府 に 対 す る プ ラ イ バ シ ー の 保 護 の 程 度 を 確 保 で き る26

このように、連邦最高裁は 、これまで、政府 が 用 い る 様 々 な 監 視 手 段 に 応 じ て 修 正

4

条 の 法 理を 発展 させ てき た27。そこ では 、目 によ る 監

23 Id. at 31-32.

24 Id. at 32-33.

25 Id. at 34.

26 Id.

27 Kaitlyn A. Kerrane, Note, Keeping Up with Officer Jones: A Comprehensive Look at the Fourth Amendment and GPS Surveillance, 79

(4)

視 で 得 ら れ た 情 報 を 監 視 に よ り 取 得 す る こ と は捜 索を 構成 する こと は一 貫し てい る28。こ う した中で、連邦最高裁は 、

GPS

捜 査 に 対 し て 初 め て の 判 断 を 行 う こ と に な る 。 次 に 、

United States v. Jones

を 概 観 す る 。

3 . United States v. Jones29

FBI

と コ ロ ン ビ ア 特 別 区 首 都 警 察

Metropolitan Police Department

) の 合 同 捜 査 本 部 が 、

Washington, D.C.

に お い て ナ イ ト ク ラ ブ を 営 業 し て い る 被 疑 者 の 麻 薬 取 引 の 捜 査 を 行 う た め に 、

Washington, D.C

の 連 邦 地 方 裁 判所に対して、被疑者の妻名義で登録さ れてい る ジ ー プ に

GPS

を 装 着 す る こ と を 許 可 す る 令 状 を 取 得 し た ( こ こ で の 許 可 は

Washington, D.C

の 区 域 内 で

10

日 間 で あ る )。しかし 、令状 が 発 せ ら れ た

11

日後、捜査員は

Maryland

州 の 駐 車 場 に 停 め て あ っ た 被 疑 者 の 自 動 車 に

GPS

を 装 着 し た 。

28

日間、自動車を追跡する た め に

GPS

が 使 用 さ れ た 。 令 状 の 期 限 外 に お いて、令状で許可された区域以外の公道 上を走 行 す る 車 に 装 着 さ れ た

GPS

か ら 取 得 し た デ ー タ を 証 拠 に し て 起 訴 し た 。

Jones

は 当 該 証 拠 が 令 状 な し に 収 集 し た 違 法 な 証 拠 で あ り 、証 拠 の 排 除 を 申 立 て た 。 連 邦 地 方 裁 判 所 は 、

Jones

の 申 立 て を 一 部 に 認 容 し 、

Jones

の 自 宅 内 の 駐 車 場 に 自 動 車 が あ っ た 時 に 収 集 さ れ た 証 拠 を 採 用 し な い と し た 。そ の 他 は 証 拠 と し て 採 用 し た 。 連 邦 地 方 裁 判 所 は 、

Knotts

判決を引用し て、公 道 を 自 動 車 で 移 動 す る 人 は 、あ る 場 所 か ら 別 の 場 所 へ の 移 動 に お い て 、プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合理的期待はな いとした30。 そ の 後 、

Jones

は そ の 他 の 共 犯 者 と 別 の 事 件 で 起 訴 さ れ 、前 記 の 裁 判 で 証 拠 と し て 許 容 さ れ た

GPS

に よ り 獲

FORDHAM L. REV. 1695 (2011).

28 Jeremy H. Rothstein, Note, Track Me Maybe:

The Fourth Amendment and the Use of Cell Phone. Tracking to Facilitate Arrest, 81 FORDHAM

L. REV. 489, 528 (2012).

29 United States v. Jones, 132 S. Ct. 945 (2012).

30 United States v. Jones, 451 F. Supp. 2d 71 (D.D.C. 2006).

得 さ れ た デ ー タ を も と に 、有 罪 と さ れ た 。そ の 後、控訴された。連邦控 訴裁判所は、令 状に基 づ か ず

GPS

を 使 用 し て 証 拠 を 収 集 す る こ と が 、 被 告 人 の プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 を 侵害し、修正

4

条 に 反 す る と し た 。ま た 、連 邦 控訴裁判所は、プライバシーに関する先 例は一 部 で は な く 全 体 が 明 ら か に さ れ る 場 合 は プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 問 題 に な る と し 、こ の 判 例 法 理 を 本 件 に 適 用 す る と 、 警 察 が

GPS

に よ り 収 集 し た 情 報 は 積 極 的 に 暴 露 さ れ た も の で は な い と 判 示 し た31

Scalia 裁 判 官 の 法 廷 意 見

法廷意見は、政府が

GPS

を 自 動 車 に 装 着 し 、 自 動 車 の 動 き を 監 視 す る た め に 用 い た こ と は 捜 索 に 該 当 す る と し 、そ の 理 由 を 以 下 の よ う に 展 開 す る 。

本件において、何が生じたのかを解明す るこ と が 重 要 で あ り 、明 ら か に 政 府 は 情 報 を 収 集 す る目 的で 私有 の財 産(

private property

) を 物 理 的 に 占 拠 を 行 っ た 。 こ う し た 物 理 的 侵 害 が 、 修 正

4

条 の 制 定 時 に 意 図 さ れ て い た 捜 索 と さ れ る こ と は 明 白 で あ る32。修正

4

条は、少な く と も

19

世 紀 後 半 ま で は コ モ ン ロ ー 上 の 侵 入 概 念 (

common-law trespass

) と 結 合 し て 理 解 され てい た33。後の 判決 は、 財産 を基 礎と す る ア プ ロ ー チ (

property-based approach

) か ら 離 脱 し た 。

Katz v. United States

では、「修正

4

条 が 保 護 す る の は 人 民 で あ り 、場 所 で は な い 」 と判示し、公衆電話ブースに盗聴器を取 り付け る 行 為 を 修 正

4

条違反とした。そして、その後 の 事 案 に お い て 、

Katz

判 決 に お け る

Harlan

裁 判 官 の 同 意 意 見 で 提 示 さ れ た「 プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 」を 侵 害 し た 場 合 の み 、修 正

4

条 に 反 す る と い う 法 理 が 適 用 さ れ る こ と に な っ た34。 本 件 に お い て 、 政 府 は

Harlan

裁判 官 の 基 準 に 依 拠 し 、政 府 の 捜 査 官 が

Jones

の ジ ー

31 United States v. Maynar, 615 F.3d 544 (D.C.

Cir. 2010).

32 Jones, 132 S. Ct. at 949.

33 Id.

34 Id. at 950.

(5)

視 で 得 ら れ た 情 報 を 監 視 に よ り 取 得 す る こ と は捜 索を 構成 する こと は一 貫し てい る28。こ う した中で、連邦最高裁は 、

GPS

捜 査 に 対 し て 初 め て の 判 断 を 行 う こ と に な る 。 次 に 、

United States v. Jones

を 概 観 す る 。

3 . United States v. Jones29

FBI

と コ ロ ン ビ ア 特 別 区 首 都 警 察

Metropolitan Police Department

) の 合 同 捜 査 本 部 が 、

Washington, D.C.

に お い て ナ イ ト ク ラ ブ を 営 業 し て い る 被 疑 者 の 麻 薬 取 引 の 捜 査 を 行 う た め に 、

Washington, D.C

の 連 邦 地 方 裁 判所に対して、被疑者の妻名義で登録さ れてい る ジ ー プ に

GPS

を 装 着 す る こ と を 許 可 す る 令 状 を 取 得 し た ( こ こ で の 許 可 は

Washington, D.C

の 区 域 内 で

10

日 間 で あ る )。しかし 、令状 が 発 せ ら れ た

11

日後、捜査員は

Maryland

州 の 駐 車 場 に 停 め て あ っ た 被 疑 者 の 自 動 車 に

GPS

を 装 着 し た 。

28

日間、自動車を追跡する た め に

GPS

が 使 用 さ れ た 。 令 状 の 期 限 外 に お いて、令状で許可された区域以外の公道 上を走 行 す る 車 に 装 着 さ れ た

GPS

か ら 取 得 し た デ ー タ を 証 拠 に し て 起 訴 し た 。

Jones

は 当 該 証 拠 が 令 状 な し に 収 集 し た 違 法 な 証 拠 で あ り 、証 拠 の 排 除 を 申 立 て た 。 連 邦 地 方 裁 判 所 は 、

Jones

の 申 立 て を 一 部 に 認 容 し 、

Jones

の 自 宅 内 の 駐 車 場 に 自 動 車 が あ っ た 時 に 収 集 さ れ た 証 拠 を 採 用 し な い と し た 。そ の 他 は 証 拠 と し て 採 用 し た 。 連 邦 地 方 裁 判 所 は 、

Knotts

判決を引用し て、公 道 を 自 動 車 で 移 動 す る 人 は 、あ る 場 所 か ら 別 の 場 所 へ の 移 動 に お い て 、プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合理的期待はな いとした30。 そ の 後 、

Jones

は そ の 他 の 共 犯 者 と 別 の 事 件 で 起 訴 さ れ 、前 記 の 裁 判 で 証 拠 と し て 許 容 さ れ た

GPS

に よ り 獲

FORDHAM L. REV. 1695 (2011).

28 Jeremy H. Rothstein, Note, Track Me Maybe:

The Fourth Amendment and the Use of Cell Phone. Tracking to Facilitate Arrest, 81 FORDHAM

L. REV. 489, 528 (2012).

29 United States v. Jones, 132 S. Ct. 945 (2012).

30 United States v. Jones, 451 F. Supp. 2d 71 (D.D.C. 2006).

得 さ れ た デ ー タ を も と に 、有 罪 と さ れ た 。そ の 後、控訴された。連邦控 訴裁判所は、令 状に基 づ か ず

GPS

を 使 用 し て 証 拠 を 収 集 す る こ と が 、 被 告 人 の プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 を 侵害し、修正

4

条 に 反 す る と し た 。ま た 、連 邦 控訴裁判所は、プライバシーに関する先 例は一 部 で は な く 全 体 が 明 ら か に さ れ る 場 合 は プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 問 題 に な る と し 、こ の 判 例 法 理 を 本 件 に 適 用 す る と 、 警 察 が

GPS

に よ り 収 集 し た 情 報 は 積 極 的 に 暴 露 さ れ た も の で は な い と 判 示 し た31

Scalia 裁 判 官 の 法 廷 意 見

法廷意見は、政府が

GPS

を 自 動 車 に 装 着 し 、 自 動 車 の 動 き を 監 視 す る た め に 用 い た こ と は 捜 索 に 該 当 す る と し 、そ の 理 由 を 以 下 の よ う に 展 開 す る 。

本件において、何が生じたのかを解明す るこ と が 重 要 で あ り 、明 ら か に 政 府 は 情 報 を 収 集 す る目 的で 私有 の財 産(

private property

) を 物 理 的 に 占 拠 を 行 っ た 。 こ う し た 物 理 的 侵 害 が 、 修 正

4

条 の 制 定 時 に 意 図 さ れ て い た 捜 索 と さ れ る こ と は 明 白 で あ る32。修正

4

条は、少な く と も

19

世 紀 後 半 ま で は コ モ ン ロ ー 上 の 侵 入 概 念 (

common-law trespass

) と 結 合 し て 理 解 され てい た33。後の 判決 は、 財産 を基 礎と す る ア プ ロ ー チ (

property-based approach

) か ら 離 脱 し た 。

Katz v. United States

では、「修正

4

条 が 保 護 す る の は 人 民 で あ り 、場 所 で は な い 」 と判示し、公衆電話ブースに盗聴器を取 り付け る 行 為 を 修 正

4

条違反とした。そして、その後 の 事 案 に お い て 、

Katz

判 決 に お け る

Harlan

裁 判 官 の 同 意 意 見 で 提 示 さ れ た「 プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 」を 侵 害 し た 場 合 の み 、修 正

4

条 に 反 す る と い う 法 理 が 適 用 さ れ る こ と に な っ た34。 本 件 に お い て 、 政 府 は

Harlan

裁判 官 の 基 準 に 依 拠 し 、政 府 の 捜 査 官 が

Jones

の ジ ー

31 United States v. Maynar, 615 F.3d 544 (D.C.

Cir. 2010).

32 Jones, 132 S. Ct. at 949.

33 Id.

34 Id. at 950.

プ に ア ク セ ス し た の は 、公 道 や 駐 車 場 な ど 誰 の 目 に も 晒 さ れ る 場 所 で あ る た め に 、

Jones

に は プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 は な い と 主 張す る35。しか し、 その よう な政 府の 主張 に つ い て 検 討 す る 必 要 は な い 。

Jones

の 有 す る 修 正

4

条 の権 利は 、

Katz

テ スト の中 で 増加 した り 減 少 し た り す る も の で は な い 。修 正

4

条 は ア メ リ カ の 歴 史 の 大 部 分 の 期 間 に お い て 、そ の 規 定 に 列 挙 さ れ て い る 領 域 に 対 し て 政 府 が 不 法 に 侵 入 す る こ と に 関 す る 特 別 の 懸 念 を 具 象 化 し た も の と 理 解 さ れ て き た 。修 正

4

条 の 制 定 時 に 存 在 し て い た プ ラ イ バ シ ー の 保 護 の 程 度 は 、最 低 限 の も の と し て 現 在 も 維 持 さ れ な け れ ば な らない。本件において

Jones

に 修 正

4

条 上 の 権 利 が 認 め ら れ る か 否 か は 、プ ラ イ バ シ ー に 関 す る合 理的 期待 の有 無に より 決定 され ない36。 こ の よう な 理 解は 、

Katz

判 決 自 体を 否 定 す る も の で は な い 。

Katz

判 決 か ら

2

年 足 ら ず で 、

Alderman v. United States

に お い て 、 被 告 人 の 家 に 令 状 な く 電 子 監 視 装 置 (

electronic surveillance devices

)を設置して入手した被告 人 以 外 の 者 の 会 話 に つ い て、被告人自身 の会話 に 対 す る プ ラ イ バ シ ー は 侵 害 さ れ て い な い と の 主 張 を 否 定 し 、こ れ を 被 告 人に不利な 証拠と し て 利 用 す る こ と は で き な い と し た 。ま た 、「 私 達 は、修正

4

条 人 と そ の 私 的 な 会 話 を 保 護 す る と 判 示 し た

Katz

判 決 が 、 修 正

4

条 が 家 に 及 ぼ す あ ら ゆ る 保 護 を 撤 回 す る こ と を 意 図 し て い た こ と を 信 じ る と は で き な い 」 と 判 示 し た37。 最 近 で は 、

Soldal v. Cook County

に お い て 、 技術的な意味(

technical sense

)において押収 が 行 わ れ た と し て も 、個 人 の プ ラ イ バ シ ー を 侵 害 し て い な い 以 上 修 正

4

条 違 反 は 生 じ て い な い と の 主 張 に 対 し て 、 当 裁 判 所 は こ れ を 否 定 し 、

Katz

判 決 で は 財 産 権 が 修 正

4

条 違 反 の 有 無 を 判 断 す る 際 の 唯 一 の 基 準 で は な い と し た 。

Katz

判 決 は そ れ 以 前 か ら 承 認 さ れ て い る 財 産 の 保

35 Id.

36 Id.

37 Id. at 950-51.

護を消 滅さ せる もの では ない と説 明し て いる38。 ま た 、

United States v. Knotts

に お け る

Brennan

裁 判 官 が 同 意 意 見 で 説 明 し た よ う に 、

Katz

判 決 は 、政 府 が 情報 を 取 得す る た め に 、 憲 法 上 保 護 さ れ た 領 域 に 物 理 的 に 侵 入 す れ ば 、 当 該 侵 入 は 修 正

4

条 に 反 す る と い う 原 則 を 浸 食 する も の では な い。 こ う した

Katz

判 決 が 過 去 に お い て 承 認 さ れ た 権 利 を 保 全 す る と い う 考えは、プライバシーに関する合理的な 期待の 定 義 の 中 に も 提 示 さ れ て い る 。そ こ で は 、修 正

4

条 外 に 起 源 を 有 す る が 、 現 実 的 ま た は 個 人 的 な 財 産 法 の 概 念 を 参 照 し 、あ る い は 、社 会 が 認 識 し 許 容 し て い る 理 解 を 参 照 す る こ と に よ り 、 合 理 的 期 待 が 明 ら か に な る と し た39

政 府は 、

Katz

判決 後 の い くつ か の 判 決 に 依 拠して、本件は捜索に該当する事例では ないと 主張している。その主たる

2

つ の 事 案 は ビ ー パ ー (

beeper

) を 使 用 し た 監 視 が 問 題 に な っ た

United States v. Knotts

United States v.

Karo

である。最初の事案である

Knotts

判 決 に おいて、当裁判所は、クロロホルムの入ったコ ン テ ナ に ビ ー パ ー を 装 着 す る こ と は 修 正

4

条 に 反 し な い と し た 。当 裁 判 所 は 、

Knotts

の プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 は 侵 害 さ れ て い な い と し た 。そ の 理 由 と し て 、コ ン テ ナ を 積 ん だ 車 両 は 公 道 を 走 行 し て お り 、コ ン テ ナ の 荷 降 ろ し を し た の は オ ー プ ン フ ィ ー ル ド で あ り 、こ れ は 公 衆 に 向 け て 自 発 的 に 伝 達 さ れ た も の で あ るこ とを 挙げ る40。しか し、 プラ イバ シー に 関 す る 合 理 的 期 待 に 関 わ る

Katz

テストは、コモ ン ロ ー 上 の 侵 入 概 念 に 代 わ る も の で は な く 、こ れ に 付 加 さ れ た も の で あ る 。

Knotts

判 決 に お い て、コモンロー上の侵入は争点にならな かった

41

ビ ー パ ー に 関 す る 第

2

の 事 案 で あ る

Karo

判 決では、コンテナにビーパーを装着する こと自 体 が 捜 索 ・ 押 収 に 該 当 す る か 否 か と い う

38 Id. at 951.

39 Id.

40 Id. at 951-52.

41 Id. at 952.

(6)

Knotts

判 決 で は 結 論 が 出 な か っ た 問 題 を 検 討 した 。

Karo

判決で は、 当 初第 三者 が所 有する コ ン テ ナ に ビ ー パ ー が 取 り 付 け ら れ 、後 に 当 該 コ ン テ ナ が 被 告 人 所 有 と な っ た が 、当 初 の 所 有 者 の 同 意 に よ り コ ン テ ナ に ビ ー パ ー が 取 り 付 けられた後、ビーパーの 存在を知らない 被告人 にコ ンテ ナが 売却 さ れた 場合 に、

Karo

の プ ラ イ バ シ ー に 対 す る 期 待 を 侵 害 す る か 否 か が 問 題となった。当裁判所は、政府が容器に物理的 に 接 し た の は 被 告 人 の 所 有 物 に な る 前 で あ り 、 また、このコンテナが移転した時にビー パーは 作 動 し て お ら ず 、こ の 時 点 で は あ ら ゆ る 情 報 は 伝達 され てい ない 。 その ため に、

Karo

の プ ラ イ バ シ ー を 侵 害 し て い な い と 判 示 し た 。

Karo

は ビ ー パ ー と 共 に コ ン テ ナ を 自 己 の 所 有 と し て 受 容 し た の で あ り 、ビ ー パ が コ ン テ ナ の 場 所 を追 跡す るた め用 い られ たと して も、

Karo

に ビー パー に抗 議す る権 利は な い42。本 件で に お い て 、 政 府 が

GPS

を 装 着 し た 際 に 、

Jones

は ジ ー プ を 既 に 所 有 し て お り 、

Karo

判 決 と は 異 な っ て い る43

ま た 、 政 府 は 、

New York v. Class

に お い て 、

「 自 動 車 の 外 観 は 公 衆 の 目 に さ ら さ れ て お り 、 こ れ を 検 査 す る こ と は 捜 索 に 該 当 し な い 」と 判 示 さ れ て い る と 指 摘 し て い る 。こ の 主 張 は 、本 件 で は 取 る に 足 ら な い も の で あ る 。と い う の は 、 本 件 に お い て 政 府 は 、捜 査 官 が

Jones

の 車 両 を 目 で 観 察 す る 以 上 の こ と を 行 っ た と 認 め て い る 。 ジ ー プ に

GPS

を 装 着 し た こ と で 、 捜 査 官 は 保 護 さ れ た 領 域 に 侵 入 し た 。

Class

判 決 で も 車 両 内 部 に 捜 査 官 の 手 が 一 瞬 で も 到 達 し た 場 合 に は 捜 索 に 該 当 す る と し て い る44

最 後 に 、

Oliver v. United States

も 政 府 の 主 張 を 支 持 す る も の で は な い 。

Oliver

判決は、オ ー プ ン フ ィ ー ル ド に 侵 入 し た 捜 査 官 に よ る 情 報収集活動は、たとえコモンロー上の侵 入にな るとしても、修正

4

条 の 捜 索 に 該 当 し な い と 判 示した。それは、家とは 異なり、オープ ンフィ

42 Id.

43 Id.

44 Id.

ー ル ド が 修 正

4

条 に 規 定 さ れ て い る 保 護 さ れ た 領 域 で は な い か ら で あ る45

Alito

裁 判 官 の 同 意 意 見 は

18

世 紀 に お け る 不 法 行 為 法 を 適 用 し た も の と 批 判 す る 。こ れ は 歪 曲である。私達 が 適 用 し て い る の は 、不 合 理 な 捜 索 に 対 す る

18

世 紀 の 保 障 で あ る 。そ れ は 修 正

14

条 が 制 定 さ れ た 時 に 、最 低 限 度 の 保 障(

at a minimum the degree of protection

) と し て 与 え ら れ た も の で あ る 。同 意 意 見 は こ の 考 え を 共 有し て い ない 。 同 意意 見 は 、

Katz

判 決 に お け る プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 テ ス ト を 適 用 し よ う と し て お り 、以 前 か ら 存 在 す る 所 権 利 を 排 除 す る も の で あ る46

Katz

テ ス ト を 排他 的 テ ス トと す る 同 意 意 見 と は 異 なり、私達はコモンロー上の侵入 テスト を 排 他 的 テ ス ト に す る も の は な い 。侵 入 を 伴 わ な い 電 気 信 号 の 伝 達 が 行 わ れ た 場 合 に は 、

Katz

テ ス ト の 分 析 に 従 う こ と に な る47

Katz

テ ス ト に 依 拠 す る 同 意 意 見 は 、「 特 に 頭 の 痛 い 問 題 」

particularly vexing problems

) に 直 面 す る 。 当 裁 判 所 は 単 な る 目 に よ る 観 察 は 捜 索 を 構 成 し な い と い う 解 釈 か ら 現 在 ま で 離 脱 し て い な

い 。

Knotts

判決において、当裁判所は「公道上

を 車 で 移 動 す る 人 は 、別 の 場 所 の 移 動 す る に 際 して、プライバシーに関する合理的期待 を有し ていない」と 判示した。同意意見の主張するよ うに、本件で行われた監視を伝統的手法 で行お うとすると、大規模な捜査官チーム、複数台の 車両、さらには航空機までもが必要にな り、先 例は、そのような監視が目で行われる限 り憲法 上 許 容 さ れ る と 示 唆 し て い る 。コ モ ン ロ ー 上 の 侵 入 を 伴 わ ず に 電 子 的 手 法 を 使 用 し て 同 様 の 結 果 を 得 る 場 合 、プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 違 憲 の 侵 害 に な る 可 能 性 が あ る と し て も 、し か し 、本 件 に お い て そ れ に 答 え る 必 要 は な い48

こ の 問 題 に 対 し 積 極 に 応 答 す る と 、さ ら な る や っ か い な 問 題 に 不 必 要 に ぶ つ か る 。同 意 意 見

45 Id. at 953.

46 Id.

47 Id.

48 Id.

(7)

Knotts

判 決 で は 結 論 が 出 な か っ た 問 題 を 検 討 した 。

Karo

判決で は、 当 初第 三者 が所 有する コ ン テ ナ に ビ ー パ ー が 取 り 付 け ら れ 、後 に 当 該 コ ン テ ナ が 被 告 人 所 有 と な っ た が 、当 初 の 所 有 者 の 同 意 に よ り コ ン テ ナ に ビ ー パ ー が 取 り 付 けられた後、ビーパーの 存在を知らない 被告人 にコ ンテ ナが 売却 さ れた 場合 に、

Karo

の プ ラ イ バ シ ー に 対 す る 期 待 を 侵 害 す る か 否 か が 問 題となった。当裁判所は、政府が容器に物理的 に 接 し た の は 被 告 人 の 所 有 物 に な る 前 で あ り 、 また、このコンテナが移転した時にビー パーは 作 動 し て お ら ず 、こ の 時 点 で は あ ら ゆ る 情 報 は 伝達 され てい ない 。 その ため に、

Karo

の プ ラ イ バ シ ー を 侵 害 し て い な い と 判 示 し た 。

Karo

は ビ ー パ ー と 共 に コ ン テ ナ を 自 己 の 所 有 と し て 受 容 し た の で あ り 、ビ ー パ が コ ン テ ナ の 場 所 を追 跡す るた め用 い られ たと して も、

Karo

に ビー パー に抗 議す る権 利は な い42。本 件で に お い て 、 政 府 が

GPS

を 装 着 し た 際 に 、

Jones

は ジ ー プ を 既 に 所 有 し て お り 、

Karo

判 決 と は 異 な っ て い る43

ま た 、 政 府 は 、

New York v. Class

に お い て 、

「 自 動 車 の 外 観 は 公 衆 の 目 に さ ら さ れ て お り 、 こ れ を 検 査 す る こ と は 捜 索 に 該 当 し な い 」と 判 示 さ れ て い る と 指 摘 し て い る 。こ の 主 張 は 、本 件 で は 取 る に 足 ら な い も の で あ る 。と い う の は 、 本 件 に お い て 政 府 は 、捜 査 官 が

Jones

の 車 両 を 目 で 観 察 す る 以 上 の こ と を 行 っ た と 認 め て い る 。 ジ ー プ に

GPS

を 装 着 し た こ と で 、 捜 査 官 は 保 護 さ れ た 領 域 に 侵 入 し た 。

Class

判 決 で も 車 両 内 部 に 捜 査 官 の 手 が 一 瞬 で も 到 達 し た 場 合 に は 捜 索 に 該 当 す る と し て い る44

最 後 に 、

Oliver v. United States

も 政 府 の 主 張 を 支 持 す る も の で は な い 。

Oliver

判決は、オ ー プ ン フ ィ ー ル ド に 侵 入 し た 捜 査 官 に よ る 情 報収集活動は、たとえコモンロー上の侵 入にな るとしても、修正

4

条 の 捜 索 に 該 当 し な い と 判 示した。それは、家とは 異なり、オープ ンフィ

42 Id.

43 Id.

44 Id.

ー ル ド が 修 正

4

条 に 規 定 さ れ て い る 保 護 さ れ た 領 域 で は な い か ら で あ る45

Alito

裁 判 官 の 同 意 意 見 は

18

世 紀 に お け る 不 法 行 為 法 を 適 用 し た も の と 批 判 す る 。こ れ は 歪 曲である。私達 が 適 用 し て い る の は 、不 合 理 な 捜 索 に 対 す る

18

世 紀 の 保 障 で あ る 。そ れ は 修 正

14

条 が 制 定 さ れ た 時 に 、最 低 限 度 の 保 障(

at a minimum the degree of protection

) と し て 与 え ら れ た も の で あ る 。同 意 意 見 は こ の 考 え を 共 有し て い ない 。 同 意意 見 は 、

Katz

判 決 に お け る プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 テ ス ト を 適 用 し よ う と し て お り 、以 前 か ら 存 在 す る 所 権 利 を 排 除 す る も の で あ る46

Katz

テ ス ト を 排他 的 テ ス トと す る 同 意 意 見 と は 異 なり、私達はコモンロー上の侵入 テスト を 排 他 的 テ ス ト に す る も の は な い 。侵 入 を 伴 わ な い 電 気 信 号 の 伝 達 が 行 わ れ た 場 合 に は 、

Katz

テ ス ト の 分 析 に 従 う こ と に な る47

Katz

テ ス ト に 依 拠 す る 同 意 意 見 は 、「 特 に 頭 の 痛 い 問 題 」

particularly vexing problems

) に 直 面 す る 。 当 裁 判 所 は 単 な る 目 に よ る 観 察 は 捜 索 を 構 成 し な い と い う 解 釈 か ら 現 在 ま で 離 脱 し て い な

い 。

Knotts

判決において、当裁判所は「公道上

を 車 で 移 動 す る 人 は 、別 の 場 所 の 移 動 す る に 際 して、プライバシーに関する合理的期待 を有し ていない」と 判示した。同意意見の主張するよ うに、本件で行われた監視を伝統的手法 で行お うとすると、大規模な捜査官チーム、複数台の 車両、さらには航空機までもが必要にな り、先 例は、そのような監視が目で行われる限 り憲法 上 許 容 さ れ る と 示 唆 し て い る 。コ モ ン ロ ー 上 の 侵 入 を 伴 わ ず に 電 子 的 手 法 を 使 用 し て 同 様 の 結 果 を 得 る 場 合 、プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 違 憲 の 侵 害 に な る 可 能 性 が あ る と し て も 、し か し 、本 件 に お い て そ れ に 答 え る 必 要 は な い48

こ の 問 題 に 対 し 積 極 に 応 答 す る と 、さ ら な る や っ か い な 問 題 に 不 必 要 に ぶ つ か る 。同 意 意 見

45 Id. at 953.

46 Id.

47 Id.

48 Id.

は、公道上の人の動きを比較的 短期間監 視する こ と は 許 さ れ る も の の 、 長 期 間 に わ た り

GPS

を 捜 査 に 使 用 す る こ と は 許 さ れ な い と す る 。捜 査 対 象 の 犯 罪 の 内 容 に 応 じ て 捜 索 に 該 当 す る か 否 か を 判 断 す る と の 考 え 方 は 先 例 に は な い 。 たとえ、この考え方を受容するとしても 、なぜ

4

週 間 の 捜 査 が 長 す ぎ る の か 、 な ぜ 多 額 の 現 金 と 大 量 の 薬 物 が 発 見 さ れ た 薬 物 取 引 の 共 謀 は 長 期 間 の 監 視 が 許 さ れ る 特 別 な 犯 罪 に あ た ら な い の か と い っ た こ と に つ い て 説 明 で き な い 。

4

週 間 は 長 す ぎ る の な ら ば 、盗 ま れ た 電 子 機 器 の 捜 索 の た め に

2

日 間 監 視 す る こ と は 許 さ れ る のか。テロリストの疑いのある者に対す る

6

ヶ 月 の 監 視 は ど う か 。当 裁 判 所 は 、将 来 、伝 統 的 な コ モ ン ロ ー 上 の 侵 入 を 伴 っ た 捜 索 が 行 わ れ ず 、

Katz

テ スト に 依 らな け れ ばな ら な い 事 案 において、こうした厄介な問題に取り組 まなけ れ ば な ら な い の か も し れ な い 。し か し 、本 件 で こ の 問 題 を 解 決 す る 必 要 は な い49

Jones

判 決 に は 、

Sotomayor

裁 判 官 と

Alito

裁 判 官 の 同 意 意 見 が 付 さ れ て い る 。

Sotomayor 裁 判 官 の 同 意 意 見 修 正

4

条 は 財 産 に 対 す る 侵 害 の み に 関 わ る の で は な い50

Katz

判 決 に お け る プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 期 待 テ ス ト は 、コ モ ン ロ ー 上 の 侵 害 テ ス ト を 補 完 す る も の で あ り 、こ れ に 取 っ て 代 わ る も の で も 、縮 減 す る も の で も な い 。そ のために、政府が情報を取得するために 憲法上 保 護 さ れ た 領 域 に 物 理 的 侵 入 を 行 う 場 合 、こ の 侵 入 は 修 正

4

条 に 反 す る こ と に な る 。

Alito

裁 判 官 の ア プ ロ ー チ 、 す な わ ち 、

Jones

の ジ ー プ に 対 す る 政 府 の 物 理 的 侵 入 の 憲 法 上 の 妥 当 性 を 完 全 に 犠 牲 に す る ア プ ロ ー チ は 、人 々 が 所 有 し 管 理 す る 財 産 に 内 在 す る プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 期 待 に 対 す る 長 期 に わ た る 保 護 を な い が しろにする。これとは対照 的に、法廷意見が適 用 し た 侵 害 テ ス ト は 、減 ず る こ と の で き な い 憲 法 上 の 最 小 限 度 の 保 護 を 反 映 す る 。政 府 が 情 報

49 Id.

50 Id. at 954 (Sotomayor, J., concurring).

を 入 手 す る 目 的 で 個 人 の 財 産 を 物 理 的 に 侵 害 し た 場 合 に は 捜 索 が 行 わ れ て い る の で あ り 、本 件 を 決 定 す る た め に 、こ の 原 理 を 再 確 認 す る だ け で 十 分 で あ る51

Alito

裁 判 官 の 同 意 意 見 が 記 すように、物理的侵害は今日の多くの監 視にお い て 不 要 で あ る 。財 産 権 に 対 す る 物 理 的 な 侵 害 な し に 電 子 的 監 視 ま た は そ の 他 の 考 え ら れ る 監 視 を 行 っ た と き に は 、法 廷 意 見 に お け る 侵 害 テ ス ト で は 何 の 基 準 も 与 え る こ と が で き な い 。 大 部 分 の 犯 罪 の 捜 査 に つ い て 、少 なくと も長期 間 に わ た る

GPS

に よ る 監 視 が 行 わ れ れ ば 、 プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 期 待 は 侵 害 さ れ る と い う

Alito

裁 判 官 の 同 意 意 見 に 賛 同 す る52

短 期間 の 利 用 だと し て も 、

Katz

判 決 の 分 析 と 関 わ る

GPS

を 用 い た 監 視 に は 固 有 の 性 質 が あ る の で 、 特 別 な 注 意 が 必 要 と な る 。

GPS

を 用 い て 監 視 す れ ば 、個 人 の 家 族 関 係 、政 治 的 関 わり、専門家との関わり 、宗教的関わり 、性関 係 な ど の 詳 細 を 反 映 す る 個 人 の 詳 細 な 行 動 を 明 ら か に で き る 。さ ら に 、

GPS

に よ る 監 視 は 、 従 来 の 監 視 技 術 と 比 較 す る と 安 価 で あ る 。ま た 、 計 画 的 で 秘 密 裏 に 監 視 が 行 わ れ る ので、通常法 執 行 の 濫 用 を 抑 制 し て い る 通 常 の チ ェ ッ ク( 限 定 さ れ た 警 察 の 資 源 や コ ミ ュ ニ テ ィ の 敵 意 )が 機 能 し な い53

政 府 に 監 視 さ れ て い る か も し れ な い と 気 付 くと、他者と交流する自由、表現の自由は萎縮 する。さらに、政府が個人のアイデンティティ に 関 わ る 情 報 を 無 制 限 に 集 め る こ と が で き る 無 制 限 の 権 限 は 濫 用 さ れ る 危 険 が 高 い 。

GPS

に よ る 監 視 が も た ら す 結 果 、す な わ ち 、政 府 が 自 由 な 裁 量 で 追 跡 対 象 を 選 出 し

GPS

を 利 用 す る ことを許せば、市民と政府の関係は民主 主義社 会 に 反 す る も の へ と 変 容 し て し ま う54

さらにいえば、個人が第三者に任 意で公 開し た 情 報 に つ い て は プ ラ イ バ シ ー に 関 す る 合 理 的 な 期 待 を 有 し な い と い う 先 例 は 、再 考 が 必 要

51 Id. at 955.

52 Id.

53 Id. at 956.

54 Id. at 956.

(8)

である。このようなアプローチは、人々が通常 の 生 活 を 送 っ て い る 過 程 に お い て 大 量 の デ ー タ を 第 三 者 に 公 開 す る デ ジ タ ル 時 代 に は 不 相 当である。人々は、電話番号や文字を携帯電話 会 社 に 公 開 し て い る 。 ま た 、

URL

E

メ ー ル ア ド レ ス を イ ン タ ー ネ ッ ト サ ー ビ ス の プ ロ バ イ ダ ー に 公 開 し て い る 。本 、食 料 、薬 品 を オ ン ライ ン上 の業 者に 公開 して いる 。

Alito

裁 判 官 が記すように、一部の人は、プライバシーと利 便 性 と の ト レ ー ド オ フ を 見 出 し て い る 人 、プ ラ イ バ シ ー の 縮 減 を 避 け ら れ な い も の と し て 受 容 す る 人 も い る だ ろ う し 、そ う で は な い 人 も い るだろう。本件において、政 府が

Jones

の ジ ー プ に 物 理 的 に 侵 入 し て い る の で 、判 決 で 検 討 す べ き 範 囲 は 狭 く な っ て い る 。こ れ ら の 難 問 を 本 件 で 解 決 す る こ と は 不 必 要 で あ る55

Alito 裁判官の同意意 見

本 件 で は 、

21

世 紀 の 監 視 技 術 で あ る

GPS

を 令 状 の 期 限 外 に 使 用 し 車 両 を 監 視 し た こ と に 対 し て 、 修 正

4

条 の 禁 止 す る 不 合 理 な 捜 索 を 適 用 す る こ と を 私 達 に 要 求 し て い る 。皮 肉 に も、法廷意見は、

18

世 紀 の 不 法 行 為 法 に 基 づ き 本 件 を 判 断 す る こ と を 選 択 し た 。私 の 考 え に よ れば、この論理は賢明ではない 。修正

4

条 の 文 言 を 強 調 し す ぎ て お り 、修 正

4

条 の 他 の 判 例 法 を 援 用 し よ う と し な い し 、き わ め て 不 自 然 で あ る。本件は、被告人のプライバシーに関する合 理的な期待が、長期間にわたる被告人の 運転す る 車 両 の 動 き を 監 視 さ れ た こ と に よ っ て 侵 害 さ れ た か ど う か を 問 う こ と で 、本 件 に お い て 提 示 さ れ た 問 題 を 分 析 す べ き で あ る56

法 廷 意 見 は

GPS

の 装 着 と 使 用

installation and use of the GPS

) を 捜 索 に あ た る と し ている。この

2

つの過程は修 正

4

条 の 分 析 の 目 的 に 照 ら し て 、分 割 す る こ と は で き ない。仮にこの

2

つ の 過 程 を 別 々 に 分 析 す る と しても、なぜこの

2

つ を 捜 索 と す る の か 法 廷 意

55 Id.

56 Id. at 957-58 (Alito, J., concurring).

見 か ら は 明 ら か で は な い57

法 廷 意 見 が 主 張 す る 、修 正

4

条 の 制 定 時 の プ ラ イ バ シ ー の 程 度 を 確 実 に 保 障 し な け れ ば な ら な い こ と に つ い て 私 は 賛 同 す る 。し か し 、本 件 で 生 じ た 事 に つ い て 、

18

世 紀 後 半 の 状 況 を 類 推 し て 考 え る こ と は 、不 可 能 で あ る 。法 廷 意 見 の 理 論 に よ れ ば 、捜 索 の 概 念 は 、証 拠 収 集 に お い て 伴 う あ ら ゆ る 技 術 的 意 味 で の 侵 害 を 包 含 して いる58。し かし 、私 達は これ が間 違い で あ る こ と を 知 っ て い る59

法 廷 意 見 の 理 由 付 け は 、電 話 盗 聴 や 電 子 傍 受 に 関 す る 連 邦 最 高 裁 判 所 の 初 期 の 判 断 と 非 常 に 類 似 し て い る 。

対照的に、侵害がない場合に捜索にあた らな い と 判 断 さ れ た 先 例 も 存 在 す る 。

Olmstead v.

United States

Goldman v. United States

で ある。侵害の有無を規準とするアプロー チは繰 返 し批 判 を 受け た 。 最終 的 に 、

Katz

判 決 は こ の 古 い ア プ ロ ー チ か ら 離 脱 し 、修 正

4

条 違 反 に お い て 、 侵 害 が 要 求 さ れ な い と 判 示 し た60

法 廷 意 見 は

Katz

判 決 後 の

2

つの判例、すな わ ち

Soldal

判 決 と

Alderman

判 決 は 技 術 的 な 侵害があれば、捜索にあたると認めるの に十分 で あ る と 示 し た 。し か し 、こ れ は 支 持 す る も の は ほ と ん ど な い 。

Soldal

判決において、連邦最 高裁は、所有者の同意なしにトレーラー ハウス を 撤 去 す る こ と は 、個 人 的 の プ ラ イ バ シ ー を 侵 害 し な か っ た と し て 捜 索 を 構 成 す る と し た 。ま た 、

Alderman

判決は、自宅で行われた第三者 の 会 話 を 監 視 す る た め に 、住 宅 所 有 者 の 有 す る 修 正

4

条 の 権 利 が 秘 密 裏 に 装 着 さ れ た 盗 聴 器 の 使 用 に 関 わ っ て い る61。 侵 害 理 論 に 依 拠 し た

Katz

後 の 判 例 を 見 つ け る こ と は 困 難 で あ る62

本 件 に お い て 法 廷 意 見 が 採 用 し た ア プ ロ ー チ は 相 当 数 の 判 例 法 と 整 合 性 を 欠 く 。 し か し 、 そ の 他 に

4

つ の 問 題 が あ る 。第

1

に、法廷意見

57 Id. at 958.

58 Id. at 958-59.

59 Id. at 959.

60 Id.

61 Id. at 960.

62 Id. at 961.

参照

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