第2部 生体情報技術入門 第4章 治療技術
生体情報学講座 陳 文西
第2部 生体情報技術入門 第4章 治療技術 2/59
目次
• 心臓について
• 自動体外式除細動器 Automated External Defibrillator (AED)
• ペースメーカーPacemaker
• 人工臓器Artificial Organs
• 体外衝撃波結石破砕装置Extracorporeal Shockwave Lithotripsy (ESWL)
• MRIガイド集束超音波手術MRI-guided Focused Ultrasound Surgery (MRIgFUS)
• ガンマ―ナイフGamma Knife
心臓の解剖構造と電気伝導
http://www.washingtonhra.com/2.html
様々な不整脈-1
• 洞不全症候群
– SA node機能障害、ペースメーカーとして働かなくなった状態
– 洞房ブロック→興奮が心房に伝わらない→AV nodeと他の心筋がペースメー カーの役割を果たすが、そのリズムはSA nodeより遅いため、心臓全体の拍 動は徐拍となる
– SA nodeの興奮が逆行性に心房に伝わるのとほぼ同時に、ヒス束を通じて心 筋にも伝わる。このため心房と心筋の有効な協調が行われない。心原性心不 全となる
• 房室ブロック
– AV nodeあるいはヒス束の上部(右脚と左脚に分岐する前)が機能不全状態 – I度房室ブロック:単に房室間の伝導速度が遅れる
– II度房室ブロック:SA nodeの興奮が心室に伝わらない状態が間欠的に発生 – III度(完全)房室ブロック:心房と心室が完全に別個に収縮する
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様々な不整脈-2
• 脚ブロックとヘミブロック
– His束が右脚と左脚に分枝したよりも下部で起きる障害(右脚ブロックと左脚 ブロック)
– ヘミブロック:左脚が前枝と後枝に分岐したよりも下部で起きる障害
• WPW症候群
– 房室間に、His束以外にも伝導速度の速い副伝導路(Kent束)が存在してい る疾患
• A型:Kent束が左房-左室間にある、B型:Kent束が右房-右室間にある – Kent束を通る刺激は、His束を通った刺激よりも速く末梢心筋に到達するた
め、心室の収縮が部分的に正常よりも早く始まる。心電図上にδ(デルタ)波 として表現される
– Kent束を伝わった刺激が、プルキンエ線維を逆行して再び房室結節に戻っ てしまう(リエントリー)と、そこから再びKent束へと刺激が伝わり、心室頻拍 類似の頻拍となる
• この頻拍はときに心室細動へと移行し、心臓性突然死(SCD)の原因となる
心室細動
• Ventricular Fibrillation (VF)
• 心臓の筋肉が痙攣(けいれん)したような状態になり、全身に 血液を送るポンプ機能を失った状態
• 致死性不整脈
• 唯一の治療方法が、除細動器(AEDを含む)で電気ショック を与える
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ブルガダ症候群
• Brugada Syndrome
• 心筋梗塞、狭心症、心不全等の所見がないのに心室細動を生じる
• 夜間に心室細動の発作を起こすことが多い
• 希に重篤な不整脈である心室細動により失神し、死に至る
• 一過性の心室細動を生じて、すぐ正常な脈拍に復帰、一時的な症状
• 何時起こるか不明のため、体内植込み型除細動器(ICD)の利用が多い
心房細動
• Atrial Fibrillation, AFー心房が細かく動く、不整脈の一種
• 病態ー心房が洞房結節の刺激によらずに部分的に速く興奮・収縮し、規 則的な洞房結節の活動が伝わらず、心房の収縮が不規則的に起きる
• 原因ー心房筋の機能的、組織学的な変化により興奮伝導のばらつきが 生じ、これが伝播方向の異なる複数の興奮波を形成し、それぞれの興奮 波はリエントリーとして興奮間隙を縫うように心房を連続的に興奮させ、
心房細動を発生させる(スパイラルリエントリー)
• 症状ー①心房から送り出される血液の体積が減って心臓の効率が低下
②心房の血液がよどみ、血栓しやすい。めまいや動悸、疲れやすい、脳 梗塞と心筋梗塞の原因となる P波消失
カーラーの救命曲線
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AED
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AEDによる救命手順
AEDを準備する 電源を入れる 傷病者にパッドを貼る
傷病者から離れる
(ECG解析中)
除細動の指示が出たら ボタンを押す
循環機能再開のサイ ンを確認する
使用時の注意事項
• 電極パッドの貼り付け
– 前胸部の汗を拭い、体毛を剃って、または胸毛の薄い部位に電極パッドを貼 り付ける
– ネックレス・貼り薬(経皮吸収型薬剤、湿布、膏薬等)などを取り除く – 心臓ペースメーカー装着部から3cm程度離れる
– 一度貼った電極を剥がさない・位置を変えないことが肝要
• 使用する時に、心肺蘇生を合わせて行う必要
• 心室細動を起こしている心臓に対して自動診断・制御
• 正常な拍動をしている心臓・完全に停止しているおよび他の不整脈を起 こしている心臓に対しては、AEDは作動しない
• 自動診断機能が「除細動の必要なし」の診断を下した場合、通常の心肺 蘇生法等による救命処置を行う
• 心電図自動解析の誤診を防ぐ為に、また救助者等が感電しないよう通電 時にも、患者に触れないように注意する
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Pacemakerの役割
• 不整脈の中には、洞不全症候群や房室ブロック、心房細動 などに代表される徐脈を起こす疾患群がある。これらの不 整脈を放置すると心不全を合併したり、致死的な心停止に 発展する可能性がある
• 心臓ペースメーカーは、適切な機能を喪失した本来の心臓 の刺激伝導系に代わって、不整脈(arrhythmia, too fast=頻脈tachycardia, too slow=徐脈bradycardia, or irregular rhythm)が発生時に、心筋に刺激を与え、
必要な規則性で心臓収縮を発生させる治療機器
First Battery-Operated (1957)
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ペースメーカーの進化
1951
ペースメーカーの仕組み
ペースメーカーの種類
• Rate Fixed
– Work at a certain heart rate
– If the heart’s own intrinsic rate dropped below a pre-set number the pacemaker would begin to pace at a preset rate.
• Rate Responsive
– Determines what the heart rate should be from moment to moment
– The more the patient’s body is moving the faster the heart rate should be.
– 2 major mode to detect the optimal cardiac output
• Activity sensor
• Breathing sensor
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Single Chamber Pacemaker
• One wire is placed on the heart chamber either atrium or ventricle
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Dual Chamber Pacemaker
• Two leads are placed in two different chambers
• Generally one lead goes to a ventricle and the other goes into atrium
• This approach more closely matches the natural pacing of the heart
• 40% of the pacemakers used in Canada are dual chamber.
ペースメーカーの埋め込み
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埋め込み者の注意事項
• 携帯電話
– 誤動作を引き起こした事故は世界中で一例も報告されていない
• 送信所
– 広い範囲では超強力(100kw以上)な電磁波を放射されるためペー スメーカー装着者は安易に近寄るべきではない
• MRIとXCTなど医療機器
– MRI検査は禁忌である。一部機種でX線CT検査で設定内容のリセ
ットや、オーバーセンシングが起きる不具合事象が報告されている
• 一般の電子機器
– 電波センサー式自動ドア、電波感知式電動シャッター、万引き防止装 置、電磁調理器、IHコンロ・炊飯器、金属探知機、非接触ICカード機 器、セキュリティシステム、無線LAN、磁気浮上式リニアモーターカー
、無線機
– 実生活において深刻な誤作動事故を引き起こした例は世界中でまだ 確認されていない
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人工臓器の概要
• 心臓、肺、肝臓、腎臓などの機能が損なわれると、種々の病 気乃至生命の危機に晒される
• 人工臓器は、このように病んだ臓器の代行を目的としたもの
• 機能補助から機能置換を可能にする再生臓器や代用臓器
• 主な3種類
– 医用工学技術を用いた人工臓器
– 再生医学(Tissue Engineering)から生み出される再生臓器 – あらゆる臓器を一つの細胞から構築する胚由来幹細胞(ES細胞)に
よる人工臓器
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各種人工臓器
• 循環系
–人工心臓(弁)、人工心肺、人工血管
• 代謝系
–人工肝臓、人工膵臓
• 泌尿系
–人工腎臓、人工肛門、人工尿道
• 感覚系 –人工神経
• 構造系
–人工骨、人工皮膚
歴史的背景-1
• 1940~1950年代、骨、腎臓、気管、尿道、血管、
食道、腎臓、心臓など
–生体や細胞に由来するものではなく、合成樹脂や金属な ど工業的アプローチで作り出されたもの
–生体の防御機能である免疫反応によって、人工臓器の機 能が損なわれたり、人工血管では血栓が出来たり、腎臓 などの内臓器官に関しては体外に設置するしかないなど
、やむを得ず一時的な利用
–材料工学の進展に伴い、生体との親和性に優れた材料 が生まれ、体内への埋め込みのリスクが減少した
歴史的背景-2
• 初期の埋め込み型人工骨はステンレスやアルミナ
– 数年から10年に一度、外科的検査またはレントゲン検査によって、
体内に埋め込まれた人工骨の状況を調べ取り替える等
• 1980年代にリン酸カルシウムという骨の材料に限りなく近 い素材を用いて、また、人工骨の周りに生体組織が定着しや すいような工夫
• さらに、生体組織を直接用いる方法や生体組織を構成する 細胞を直接用いることによって、臓器及び生体組織を再生す る技術→組織生体工学
• 生物学上における発生学の知見から、細胞の機能分化を持 つES細胞を用いた人工臓器の生成
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人工心臓
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• 心臓のポンプ機能を機械 的に代行させるもの
• 臨床応用に大きく2種類 – 完全置換型人工心臓―自
分の心臓(心室部分)を取 り除いて、2つの血液ポン プに置換
– 左心補助心臓―自分の心 臓は残して、左心室から 血液を脱血して大動脈へ 返血する
人工心臓の仕組み 血液ポンプ
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人工心臓弁
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人工心肺
• 大静脈から静脈血を体外に導き、人工 肺でガス交換を行い、動脈血にした後
、人工心臓で大動脈の中へ送血する
• 手術中に心臓を止めて開いている時に
、呼吸の必要もなくなる。人間の心臓と 肺の代わり働く機械
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人工心肺の仕組み 人工血管
• 1952年世界初、Voorheesら人工物を縫いつけて、血管の代わりにす る動物実験に成功
• 病的な生体血管を取り替え、バイパス(bypass)或いはシャント(shunt)
するために、用いられる
• 内腔を血液が通り、形は管状で単純ですが、厳しい要求
– 使いやすさ、血栓でつまらない、生体に適している、長く機能する、安全に使 える
• 材質、構造と性質により分類
– 布製(ポリエステル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製、生体材料製、
合成高分子材料製、人工素材と生体材料を組み合わせたハイブリッド – 組織工学を用いたもの、機能を持つもの、再生血管、培養人工血管、遺伝子
導入した人工血管
– ステントグラフト―人工血管に金属の支えのついたものを畳んで、カテーテル を使って動脈瘤の病変部に入れる
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人工肝臓
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人工膵臓
人工腎臓 尿路結石 Kidney Stones
腎臓で作られた尿は、尿管 という細い管を通り膀胱に 一旦貯められ、更に尿道を 通って体外に排出
この尿の中の成分が固まっ て石になり、この尿の通り道 のどこかで詰まり激しい痛 みや血尿などを生じるのが 尿路結石
結石の貯まる位置により腎 結石、尿管結石、膀胱結石 と分類
結石の治療法
• 経皮的腎砕石術、経尿道的尿管結石砕石術、経尿道的膀 胱結石砕石術
• 体外衝撃波結石破砕術(Extracorporeal Shock-Wave Lithotripsy、ESWL)
• 1980年にミュンヘン大学で考案された
• 水中で発生させた衝撃波を水を通して体内へ伝えて衝撃波 を結石に照射し、開腹手術をせずに、筋肉や他の臓器を傷 つけることなく、結石のみを細かく破砕する
• 砂状に破砕された結石は尿と共に自然に体外に排出される
• 当初は衝撃波を伝えるために患者さんを水中(浴槽)につけ た状態で行ったが、今は、浴槽も麻酔も不要、痛みも少ない
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体外衝撃波結石破砕法(ESWL)
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ESWL の特長
• 開腹手術をしないので体に傷つかない
• 治療時間は約1時間、入院期間は短く
• 疼痛は軽度のため基本的には無麻酔
MRIgFUSの概要
• 高速MRIでリアルタイムに病巣をモニタリングし、病巣の場 所を正確に特定した上、温度変化を常に把握しながら、集束 超音波によって病巣を焼灼する手術
• 沢山の超音波ビームを集束して照射すると、焦点のところに 温度をあげることで癌や腫瘍細胞を高温で凝固壊死させる
FUSの原理と熱効果
• 超音波は粒子の運動により音の圧力波
• この圧力波は皮膚、筋肉、脂肪と他の軟組織を通って機械 振動を起こして伝搬する
• 高密度の超音波エネルギーを集束して、小さい標的に焦点 を当てると、標的部分の腫瘍組織を加熱して、腫瘍組織を壊 死させ、治療効果を発揮する
• 集束した超音波ビームはまず広い面積に分散し、無害な強 度で皮膚や軟組織を通過して、標的組織のところに小さい焦 点(数mm程度)に集束して、焦点付近の組織タンパク質変 性、細胞の回復不能な損害、凝固壊死を引き起こす
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タンパク質凝固と組織壊死
• 気穴(Cavitation、キャビテーショ ン)とは、組織内部の気泡の形成と 崩壊を指す
• 気泡の崩壊は高温高圧と関連し、
組織に機械的損傷をもたらす
• 出血と血管損傷が起きる
• メカニズムと効果はまだはっきりせ ず、必要なエネルギー、持続時間と 周波数は、組織種類と位置に依存
• 組織の温度上昇と印加時間で組織 の破壊程度を決定
• 多くの組織と腫瘍種類の閾値はす でに確立された。60~70℃になる と、すべての組織を数秒内で破壊
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加熱持続時間(秒)
温度(℃)
閾値 沸騰
組織壊死
安全域
超音波ビームの集束方法 集束超音波と温度分布
MRI Guide
超音波焦点の定位と照射結果の監視
• 標的組織(腫瘍)への超音波エネルギー照射は精確に定位可能 (±1mm)
• 標的組織の大きさはMRI画像のコントラストから識別可能
• 高い温度感度を持つ組織の変化はMRI画像から観察可能
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乳癌と良性疾患の手術
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子宮筋腫の手術 ガンマ ― ナイフ
• 1968年、スウェーデンの神経外科医Lars LeksellとBörje Larssonに 開発された
• 定位放射線治療用の放射線照射装置
• 転移性脳腫瘍、脳血管の奇形などの治療
• 201個のコバルト60の線源をヘルメットのような形状に並べ、線源を精 密(精度は0.2~0.5mmくらい)にコントロールし、病変部にピンポイント でガンマ線を集中照射する
• 個々の線源からのガンマ線は細く弱いが、それぞれを病変部分に向け照 射するので、病変部に対しては大きな線量となる
• 病変部分以外については、細く弱いガンマ線が貫通するだけで、副作用 は最小限に抑えられる。 一般的な開頭手術と比較して、外科的手術を 要しない為、手術による合併症や感染症などのリスクを軽減できる
ガンマ―ナイフの構造
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長所
• 手術(メスで開創)ができないような脳深部の病変や、手術後 に重篤な神経学的後遺症を生ずる可能性の高い運動野や 言語野などの部位の病変の治療
• 全身麻酔の必要もなく出血も伴わないので、高年齢者や全 身状態が悪く、開頭手術ができない症例
• 手術による場合のような合併症の危険がない
• 放射線抵抗性で分割照射法による通常の放射線治療では 制御できないような疾患
• 治療は通常2泊3日の入院で済み、他の方法に比べて入院 期間や治療期間が短い
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短所
• 制限条件
– 周囲の正常組織との境界が明瞭で画像診断で確認できる病変 – 病変がコリメータヘルメットの中心に位置できるような脳深部の病巣 – 病変に大きさは径25mm以下、容積10cm3以下
• 治療直後に病変が消失あるいは縮小するわけではない
• 一回大線量照射なので正常組織の回復効果が少ない
• 一回大線量照射なので従来の分割照射で蓄積されたデータ が利用できない
• 長期観察例が少ないので長期的な治療効果や後遺症など の評価ができていない
• 装置が高価であり、線源(コバルト-60)の維持費が高い
ヘルメット
Cobalt 60 (コバルト, Co)
• 5 oz (142 g) are required 44,000 lbs (20 ton) of steel for adequate shielding
• The half life is 5 years approximately
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適応疾患
脳腫瘍 転移性脳腫瘍(消化器癌など)
良性脳腫瘍(聴神経腫瘍、髄膜腫、下垂体腺腫、頭蓋咽 頭腫)
非良性脳腫瘍(一部のグリオーマ、悪性リンパ腫など)
脳血管 障害
脳動静脈奇形 一部の海綿状血管腫 機能性
脳疾患
てんかん(内側部側頭葉、視床下部など)
痛み(三叉神経痛、骨転移による癌性疼痛、視床痛など)
パーキンソン病、振戦、不随意運動など 眼疾患 眼窩内腫瘍、眼内腫瘍、加齢性変性症
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フレーム装着
• CT/MRI/血管撮影などの手 法による位置情報を取得する 座標系の基準(精度0.5mm 以上)
• 局所麻酔下(前頭部に2箇所、
後頭部に2箇所の計4箇所)、
座標目盛付きの金属フレーム を4本のスクリューで頭部にか たく固定
• フレームを介して、頭部をガン マナイフ装置ドッキング機構に 固定
術前画像検査
• CT、MRI、脳血管撮影など の各種画像技術を用いて、
精密検査を行う
• 画像スライスの厚み(0.5- 2.0mm)
• 画像枚数200-400枚程度
• 病変の座標(位置、大きさ、
範囲)を正確に計測
治療計画
• CT、MRI、脳血管撮影など の検査結果から、病変部分 と照射部分の位置を決定
• 放射線の照射線量や照射時 間を決定
• コリメータヘルメットの選択(
201個の穴、鋼鉄製)、穴の 大きさが4・8・14・18mmの 4種類あり、病巣の大きさに あわせて選択
• 歪み補正(誤差0.3mm)
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治療
• ベッドの上に寝て、ベッドは自動的 に装置の中へ移動
• APS(Automatic Positioning System, 自動位置設定システム) は、自動的に頭部フレームに装着し ているヘルメットを精密に照射位置 を合わせる(機械誤差は0.2mm 以下)
• カチッとベッドが止まった時点から 照射が開始
• ガンマ線照射時間は、一回約5~ 10分間。病巣の位置や形状・大き さによっては、数回繰り返す。治療 全体の時間は3時間程度
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照射精度
• 最も重要な課題。
• 標的の中心からmmオーダーの照射精度を保証できないと、正常な脳組織 もダメージを受けることになる。