力学Ⅰ 中間試験(平成25年6月11日実施)
問題中に指定されていない変数は,各自で定義して用いること.
1.図-1にある直交座標系において,変位ベクトル∆rを,
∆r = (dx, dy, dz)
(1-1)と表したときの速度v,加速度aはどの様に表すことができるか.(10点)
x
y z
P’(x+∆x,y+∆y,z+∆z) P’(x,y,z)
∆x ∆r ∆y
∆z
O
図-1
2. 図-2には,ある質量mをもつ質点が,ある力Fを受けて点Aから点Bまで曲線Cに沿って運動して いる様子を示している.この質点の運動について,以下に示す式(2-1)の運動方程式から,図-2を参 照しながら,式(2-2)の仕事Wと運動エネルギー(1/2mv2)の関係を導出せよ.(10点)
v = F dt
m d
(2-1)W d mv
mv
B2− 2 1
A2= ∫
CF r = 2
1
(2-2)∆r
曲線
C
F
2
2 1
mv
A2
2 1
mv
B質点 点
A
点
B
v
Av
B点Bの運動エネルギー
点Aの運動エネルギー
図-2
3. 質量mをもつある質点が力Fを受けて,空間内を加速度aで運動している.図-3に示すようにこ の質点はこの力Fを受けて時刻tAからtBまで図の曲線に沿って運動した.この時間帯の運動につい て,以下に示す式(3-1)の運動方程式から,図-3を参照しながら,式(3-2)の力積と運動量p(=mv)の関 係を導出せよ.(10点)
F a =
m
(3-1)= ∫
−
tBtA A
B
p F dt
p
(3-2)p F
点
A
点
B
p
Ap
B時刻
t
A時刻
t
Bdt a = dv
図-3
4. 以下の設問に答えよ (電卓使用可) (各2点×5問=10点)
(1) 東海道新幹線の「こだま」には,東京-新大阪間を各駅に停車して,4時間12分で走行するも
のがある.東京-新大阪間の距離を営業キロ数の552.6kmとして,この「こだま」の平均の速 さを求めよ.なお,速さの単位としてkm/hとm/sの両方の場合を求めよ.
(2) ある「こだま」は駅を出発後,198km/hの速さに達するまでは,速さが1 秒あたり0.25m/sの割
合で加速される.つまり加速度は一定でa = 0.25m/s2である.速さが198km/h=55m/sになるまで の時間(秒)を求めよ.
(3) 質量 30kgの物体に力が働いて,物体が 4 m/s2の加速度で運動している.物体に働いている力F
を求めよ.
(4) 一直線上を30m/sの速さで走っている質量20kgの物体を6秒間で停止させるには,平均どれだ
けの力Fを加えればよいか?
(5) 2kgの物体に12Nの力が作用すると加速度aはいくらになるか?
力学Ⅰ 中間試験(平成23年6月7日実施) ヒントと答え
1.
=
= dt
dz dt dy dt dx dt
d r , ,
v
,
=
=
22,
22,
22dt
z d dt
y d dt
x d dt a dv
2.
v = F dt
m d
の両辺に変位d r
をかけて,v r F r d dt d
m d = ⋅
と変形する.変位
d r = v dt
と表せるので,上式は,v v F r d dt dt
m d = ⋅
→m v d v = F ⋅ d r
となる.ここで,始点Aから終点Bまでの曲線Cに沿った線積分を行うと
r Fd
mv
CvB
vA
= ∫
22
1
となり,mv mv d W
A C
B
−
2= ∫ F r =
2
2 1 2
1
と表せる.3.
運動方程式
m a = F
を,加速度dt
a = dv
で表し上式に代入すると,( )
v = F dt
m
d
となる.この式を運動量p=
m v
で表すとp = F dt
d
となる.さらにこの式を書き換えて,
d p = F dt
と書くとき右辺のF dt
は力積とよばれ,左辺は運動量の 微小時間変化を表している.この式を積分すると
∫
∫ =
ttAB pBpA
d p F dt
となり,p
B− p
A= ∫
ttABF dt
と表される.4.
(1) 時速 552.6km/4.2h = 131.571 km/h,秒速131.571×1000m/s = 36.54m/s (2) 加速度a = 0.25m/s2であるから,時間は55/0.25=220 sec
(3) 質量m =30kg, 加速度a =4 m/s2であるから,ニュートンの第二法則F=maより 力F=30×4=120N
(4) 速さv=30m/s,質量m=20kgの物体を6秒間で停止させるとき,
加速度 5 / 2 6
30
0− =− m s なので,力F=ma=20×
( )
−5 =−100Nの力を加える必要がある.(5) 2kgの物体にF=12Nの力が作用すると,加速度 6 / 2
2
12 m s m
a= F = = となる.