[論文要旨]
国立歴史民俗博物館研究報告 第207集 2018年2月
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高度経済成長期における 都市祭礼の衰退と復活
Degeneration and Revival of City Festivals in the Rapid Economic Growth Period
❶問題の所在
❷青森ねぶた祭
❸野田七夕まつり
❹となみ夜高まつり 結論
本稿は,高度成長期における都市祭礼の変化を,地域社会との関係に注目しながら比較し,変化 の特徴を明らかにするものである。具体的には,青森ねぶた祭(青森県青森市),野田七夕まつり
(千葉県野田市),となみ夜高まつり(富山県砺波市)を例とする。青森ねぶた祭では,1960 年代に 地域ねぶたが減少するが,1970 年代には公共団体や全国企業が加わって台数が増加し,観光化が進 んだ。そして各地への遠征や文化財指定へとつながった。野田七夕まつりなどの都市部の七夕まつ りは,1951 〜 1955 年に各地の商店街に普及するが,1965 〜 1970 年頃に中止が目立った。野田でも 1972 年にパレードを導入し,市民祭に近づけることで存続を図った。となみ夜高まつりなど富山県 の 「喧嘩祭」 は,1960 年頃に警察や PTA などから批判されて中断し,60 年代後半に復活した。
このように,高度成長期前期には,どの祭礼にも衰退や中断,重要な変更がみられた。一方,後 期には,祭礼が復興し発展したことが明らかになった。変化の要因として,前期の衰退には,経済 効率第一の風潮のほか,新生活運動も関与していた可能性がある。後期の復興には,石油ショック 以後の安定成長期の「文化の時代」に,祭礼が文化として扱われ,文化財指定を受ける「文化化」,
祭礼が観光資源になる「観光化」,行政などが予算を立案し,業務として運営する「組織化」,さら に事故のない祭礼を目指す「健全化」などの特徴が見られる。
【キーワード】高度成長,祭礼の衰退と復活,祭礼の文化化
阿南 透
ANAMI Toru