平成20年度 報告書
アブダビの新エネルギー開発における 本邦企業の役割の検討調査
平成21年3月
財団法人 中東協力センター
この事業は、競輪の補助金を受けて 実施したものです。
http : //ringring.keirin.go.jp
中東協力センター資料
� 398
取扱注意
はじめに
本調査報告書は、財団法人中東協力センターが平成 20 年度中東・北アフリカ経済 情勢調査事業の一環として、アブダビの新エネルギー開発における本邦企業の役割に ついて取りまとめたものです。
現在、マスダール計画に代表されるアブダビにおける新エネルギー開発は、ムハンマ ド ビン・ザイード アル・ナヒヤーン アブダビ皇太子が World Future Energy Summit を自ら後援していることからも明らかなように、中東・北アフリカ諸国の中でかなり 進んだものになっております。本年 1 月に開催されました 2 回目の同 Summit には 17 千 人近くが来場し、これはアブダビが同地域内での新エネルギー開発におけるイニシア チブを取りつつあることを証明しております。
一方、我が国と UAE との関係を見ても、平成 19 年 12 月のムハンマド皇太子来日の際 の福田首相との共同宣言においても、新エネルギー分野における更なる協力関係の構築 について謳っております。
そのような状況下、本調査は本邦企業が同分野におけるアブダビへの進出の一助と すべく実施致しました。
平成 21 年 1 月中旬から下旬にかけ行われたアブダビ、ドバイでの現地調査では、World Future Energy Summit への出席、現地の政府機関に加えて現地に進出している日本 企業も訪問しました。本報告書では、まず UAE の経済成長、エネルギー政策につき概説 し、それに続き代替エネルギー、再生可能エネルギープロジェクトについて纏め、次に 日本における太陽光発電事業の概要、最後に新エネルギー分野におけるアブダビとの 協力可能性についてまとめました。本調査が、今後アブダビとの新エネルギー分野に おけるビジネス展開を検討している企業にとって少しでもお役にたてれば幸いです。
末筆ながら、本調査に全面的にご協力頂きました、財団法人 日本エネルギー経済 研究所 中東研究センター GCC グループ 研究主幹 谷尾恭一氏および研究員 相澤譲 氏に対して、深く感謝の意を表します。また、現地調査では在アブダビ日本国大使館、
在ドバイ日本国総領事館、日本貿易振興機構ドバイ事務所、丸紅アブダビ支店、ドバイ 支店、および新日本石油アブダビ事務所、その他現地の関係者の方々に種々ご協力いた だきました。ここに本誌面を借りて心からお礼申し上げます。
平成 21 年 3 月
財団法人 中東協力センター 専務理事 河 野 秀 樹
目次
第 1 章 UAE の経済成長、電力需要増加の概況 ...5
1.1 経済成長の概況 ...5
1.1.1 人口... 5
1.1.2 GDP の推移 ... 6
1.1.3 国家財政... 9
1.1.4 国際収支... 11
1.1.5 今後の経済見通し ... 13
1.2 電力需要増の概況 ...14
1.2.1 電力部門の概況 ... 14
1.2.2 電力需要の推移 ... 14
第 2 章 UAE のエネルギー政策および発電能力増強計画 ...17
2.1 エネルギー政策の概要 ...17
2.1.1 石油・ガス政策 ... 17
2.1.2 関係機関... 17
2.1.3 OPEC との関係 ... 18
2.2 電力政策 ...18
2.2.1 ADWEA の概要 ... 18
2.2.1.1 TAQA の概要 ... 19
2.2.1.2 アブダビの IWPP ... 22
2.2.2 DEWA の概要 ... 27
2.2.2.1 DEWA の IWPP 参入に関して ... 28
2.3 発電能力の増強と今後の計画 ...28
2.3.1 アブダビの発電能力増強計画 ... 29
2.3.2 ドバイの発電能力増強計画 ... 31
第 3 章 天然ガス供給の実態 ...35
3.1 天然ガスの埋蔵量及び生産量・消費量・輸出量 ...35
3.1.1 天然ガス埋蔵量と推移 ... 35
3.1.2 ガス田の分布状況 ... 36
3.1.3 ガス生産量と推移、現状の生産能力 ... 37
3.1.4 国内消費の推移と見通し ... 38
3.1.5 用途別の実態と見通し ... 38
3.1.6 ガス輸出量と推移、現状の輸出能力 ... 39
3.2 天然ガス政策 ...40
3.2.1 国家政策全体における天然ガスの位置づけ ... 40
3.2.2 国営会社の実態、政府とその関係、エネルギー政策の意思決定 ... 41
3.2.3 ガス開発のこれまでの経緯 ... 42
3.2.4 ガス開発・生産の担い手、権益保有の現況 ... 44
3.2.4.1 上流部門 ... 45
3.2.4.2 下流部門 ... 46
3.3 天然ガス供給増のための取り組み ...46
3.3.1 高硫黄ガス開発プロジェクト ... 46
3.3.2 ドルフィン・プロジェクト ... 49
3.3.3 シャルジャによるイランからの輸入計画 ... 53
3.3.4 ドバイによるカタールからの LNG 輸入 ... 54
3.4 UAE の天然ガス開発の課題 ...55
3.4.1 高硫黄ガス開発の課題 ... 55
3.4.2 周辺国からのガス輸入における課題 ... 56
3.4.3 今後の見通し... 56
第 4 章 代替エネルギーとしての原子力開発 ...57
4.1 原子力発電導入における各国との関係 ...57
4.1.1 フランス... 57
4.1.2 米国... 58
4.1.3 英国... 60
4.1.4 韓国... 61
4.1.5 日本... 61
4.2 UAE の原子力導入への動き ...62
4.3 原子力白書の概要 ...63
4.4 今後の原子力開発の展望 ...72
第 5 章 マスダール創設の目的及びその事業計画 ...74
5.1 設立の目的 ...74
5.2 マスダールの今後の目標 ...76
5.3 事業の具体的内容・計画 ...77
5.3.1 マスダール科学技術研究所 ... 77
5.3.2 マスダール・シティ ... 80
5.3.3 二酸化炭素削減事業 ... 84
5.3.4 再生エネルギー関連製品の製造拠点建設 ... 87
5.3.5 最先端技術への投資活動 ... 88
5.4 ワールド・フューチャー・エナジー・サミット 2009 の概要 ...92
第 6 章 UAE が取り組む再生可能エネルギー・プロジェクト ...99
6.1 マスダールの再生可能エネルギー・プロジェクト ...100
6.1.1 太陽熱発電... 100
6.1.2 太陽電池(PV)... 106
6.1.3 風力発電... 107
6.1.4 水素発電... 108
6.1.5 二酸化炭素回収・貯留(CCS)、温暖化ガス排出削減 ... 109
6.2 他首長国の再生可能エネルギーへの取り組み ...112
6.2.1 ドバイの環境フリーゾーン ... 112
6.2.2 ラス・アル・ハイマのソーラー・アイランド計画 ... 114
第 7 章 日本における太陽発電の研究開発・事業展開 ...115
7.1 太陽エネルギー研究開発の推移 ...115
7.1.1 サンシャイン計画 ... 115
7.1.2 ムーンライト計画 ... 116
7.1.3 新エネルギー総合開発機構(NEDO)の発足 ... 116
7.1.4 ニューサンシャイン計画 ... 117
7.1.5 ニューサンシャイン計画の終了と現状 ... 117
7.2 太陽電池の種類・特徴 ...118
7.3 世界太陽電池市場における日本メーカーの現状 ...120
7.3.1 世界の太陽電池生産量 ... 120
7.3.2 太陽電池シェア変動の要因と各メーカーの取り組み ... 122
7.3.3 日本メーカーの強み ... 123
7.4 日本企業の太陽光発電事業の概要 ...124
7.4.1 シャープ... 124
7.4.2 京セラ... 126
7.4.3 三洋電機... 128
7.4.4 三菱電機... 130
7.4.5 新規参入企業:昭和シェル、ホンダ ... 130
7.5 国内外の大規模太陽光発電所の建設計画 ...132
7.5.1 商社による海外太陽光発電事業への参画事例 ... 132
7.5.2 電力会社による日本国内での太陽光発電所建設 ... 133
第 8 章 本邦企業の新エネ分野におけるアブダビとの協力可能性 ...135
8.1 両国外交関係の経緯 ...135
8.2 両国の経済関係 ...137
8.2.1 日本の対 UAE 貿易動向 ... 137
8.2.2 両国経済関係の経緯 ... 138
8.2.3 日本の経済協力 ... 140
8.3 エネルギー・環境部門における日本企業の進出例 ...140
8.4 再生エネルギー分野への進出における課題 ...141
〈資料 1〉Abu Dhabi Future Energy Company (マスダール)会社案内 ‘Today’s Source for Tomorrow’s Energy’
(いまある資源(泉)を明日のエネルギー(源)のために)...146
〈資料 2〉NanoGram 「SilFoil™(多結晶シリコン膜)―太陽エネルギーの新たなパラダイム」 ..162
〈資料 3〉三菱ケミカルホールディングス 「太陽電池ビジネス-サステナビリティ(持続可能性)の追求」 ...170
〈資料 4〉IBERDROLA RENEWABLES 「太陽熱発電技術」 ...172
〈資料 5〉MASDAR 「Shams-1:パラボラトラフ型の太陽熱発電所」 ...181
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人口は 2007 年時点で 449 万人であり、近年は毎年平均 5%程度の割合で増加している。
1998 年からの 10 年間で人口は 1.7 倍となり、170 万人以上増加した(図表 1.1)。総人口に 占める自国民の割合は約 20%程度と少なく、残りの 80%はインドやパキスタンなどのアジ ア諸国や、他のアラブ諸国からの出稼ぎ労働者が占める。そのため、人口に占める若年層 の割合が大きく、30 歳未満人口は全体の 5 割を超え、40 歳未満人口は全体の約 8 割となる (図表 1.2)。
150 200 250 300 350 400 450 500
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
(万人)
出所:経済省
��1.1�����人���
��1.2����年齢�人���
6.66.9 5.76.1
10.6 16.1
12.2 15.6 5.5 8.3
1.6 3.4 0.40.7 0.10.2 0.1
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
0-45-9 10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80+
(%)
(年齢)
出所:経済省
Economic Intelligence Unit の調査から概算すると、首長国別の人口はアブダビが 150 万人(全体の 33.4%)、ドバイが 151 万人(同 33.7%)とほぼ同じであり、合わせて全体の約 67%を占める。シャルジャは住宅賃料が高騰しているドバイからの人口流入により近年大 きく人口を伸ばしており、現在は 86 万人(同 19.2%)にあたる。他首長国の人口はラス・
アル・ハイマが 22 万人、アジュマーンが 21 万人、フジャイラが 13 万人、ウンム・アル・
カイワインが 5 万人となっている。
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UAE の名目 GDP 成長率は、2006 年の 28.6%、2007 年の 16.8%に続き、2008 年は IMF に よると総額 2,699 億ドル、前年比 35.8%増と過去最高の伸びが見込まれている。2008 年の 実質 GDP 成長率は 7.0%と推定されており、2006 年の 8.9%、2007 年の 7.4%に続く高い 伸びが見込まれている。
名目 GDP が 35.8%と非常に高い成長率となっているのに対し、実質 GDP は 7.0%と乖離 が生じているのは、UAE の実質 GDP の算出に当たって名目 GDP を基準年(2000 年)のレベ ルに換算する際に、油価を基準年のレベルに置きなおして数字が作成されているためであ る。ただし、石油収入は一度国庫に入った後、インフラ整備などの政府支出として国内経 済に還元される他、国民の収入そのものも増加しており、石油収入増加分がそのまま反映 する名目 GDP 伸び率の方が UAE 経済の実態に近いと言える(図表 1.3)。
IMF は 2009 年の名目 GDP 成長率を 8.7%、実質 GDP 成長率は 6.0%と試算しており、2008 年下期から続く油価下落に伴い、油価が反映される名目 GDP の伸びが特に鈍化すると見込 んでいる。また、2008 年下期より本格化している世界的な景気後退および油価下落の影響 を受け、2009 年 GDP 成長率はこれより低いものとなる可能性もある。
名目GDP 実質GDP 2000 35.5 12.3
01 -1.4 3.5
02 2.7 1.9
03 23.2 7.0
04 20.1 9.7
05 25.7 8.2
06 16.8 8.9
07 28.6 7.4
08 35.8 7.0
(%)
2008年はIMF推定
図表1.3 UAEのGDP成長率の推移
出所:経済省、2007年は推定
-5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0
2000 01 02 03 04 05 06 07 08
(%)
名目GDP 実質GDP
人口 1 人当たり GDP も大きく増加しており、IMF によると 2008 年には 5 万 6,600 ドルに 達し、2007 年の 4 万 2,500 ドルに比べ 33%増、約 1 万 4,000 ドルの増額となる。2008 年 は人口が 476 万人と前年比 6.0%と見込んでいる。一方、名目 GDP は 35.8%増と人口増を 大きく上回るため、1人当たり GDP は大幅な増加となる。UAE の人口に占める UAE 自国民 の割合は約 20%以下と非常に少なく、残りの 80%は外国人である。外国人の大半はインド、
パキスタンなどアジアを中心とした出稼ぎ労働者であることから、UAE 人のみの平均では さらに高い数値になると思われる(図表 1.4)。
2008 年の 5 万 6,600 ドルは、湾岸諸国の中ではカタールの 10 万 6,500 ドルに次ぐ第 2 位で、クウェートの 4 万 6,400 ドルが続く。UAE の 1 人あたり GDP はバーレーンの 2 万 5,200 ドルやオマーンの 2 万 1,700 ドル、サウジアラビアの 2 万 1,200 ドルを大きく上回ってい る。
名目GDP総額 人口 1人当たりGDP
(億ドル) (万人) (ドル)
2000 702 300 23,446
01 687 317 21,685
02 759 335 22,660
03 890 355 25,051
04 1073 376 28,530
05 1352 411 32,926
06 1641 423 38,804
07 1907 449 42,500
08 2699 476 56,666
��1�4�����GDP���人口1人当たりGDP���
出所:IMF、2008年は推定
������GDP�����
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
20 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(億ドル)
����1人�たりGDP���
0 100 200 300 400 500
2000 01 02 03 04 05 06 07 08
(万人)
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 (ドル)
人口 1人当たりGDP
UAE の名目 GDP の生産部門別構成は、石油部門約 3 割、政府部門約 1 割、石油を除く民 間部門が約 6 割となっている(図表 1.5)。UAE は 978 億バーレルと世界第 5 位の確認埋蔵 量を持つ石油大国であるにも関わらず、石油部門の割合が 3 割程度にとどまっているのは、
GDP の 3 割を占めるドバイを中心として産業多角化が進められているためである。ドバイ の 2007 年の名目 GDP は 616 億ドルだったが、このうち石油部門の比率はわずか 4%に過ぎ ない。
UAE 全体としては、GDP の 5 割以上を占めるアブダビが依然として石油依存型経済であ ることから油価高騰の影響で石油収入が増大しており、石油部門の比率が増加する傾向と なっている。
石油部門 政府部門 民間部門
2000 30 10 57
01 29 10 61
02 27 10 63
03 29 9 62
04 32 8 60
05 36 7 57
06 38 6 56
07 39 7 54
構成比(名目ベース、%)
出所:経済省
��1�5�UAEの部門別GDP構成比
0% 20% 40% 60% 80% 100%
2000 01 02 03 04 05 06 07
UAEの部門別GDP構成比
石油部門 政府部門 民間部門
構成比(名目ベース、%)
(億ドル) (%) (億ドル) (%)
アブダビ 1089 54.8 929 54.6
ドバイ 616 31.0 526 30.9
シャルジャ 186 9.5 165 9.7
ラス・アル・ハイマ 37 1.8 32 1.9
アジュマン 26 1.3 22 1.3
フジャイラ 23 1.2 20 1.2
ウンム・アル・カイワイン 9 0.4 7 0.4
合計 1,986 100 1701 100
��1.��名目GDPの首長国別内訳
出所:経済省
首長国名 2007年度 2006年度
アブダビ 54.8%
ドバイ 31.0%
シャルジャ 9.5%
名目GDPの首長国別内訳
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UAE の財政は、「連邦政府予算」、「首長国予算」、並びに、連邦政府予算および 7 首長国 予算を合算した「連邦統合財政収支」に分類される。
1996 年に恒久化された UAE 憲法において、石油政策は各首長国の裁量によることが規定 されているため、石油収入はまず各首長国の国庫に入ることになる。ただし、UAE 原油の 90%以上はアブダビが生産しており、実質的にはドバイ、シャルジャまでが石油収入のあ る首長国であることから、その他の首長国にとっては不公平感が生ずる。そのため、石油 収入の豊富なアブダビおよびドバイが連邦政府予算に対する拠出金を出し、石油収入の僅 かな小首長国へのインフラ整備支出などを計上することによって連邦全体の均衡を保って いる。拠出金は連邦政府歳入の 2/3 程度を占め、そのうち 90%以上はアブダビが拠出し、
ドバイが定額の 12 億 UAE ディルハム(AED、約 3.3 億ドル)を拠出している。
連邦政府予算は、拠出金がアブダビの石油収入に大きく依存していることから油価の影 響を受けやすい。そのため、予算策定の前提となる油価を毎年控えめに設定しており、予
算は 2004 年まで赤字編成が続いていた。しかし、2004 年から予算策定方法として業績予 算制度(Performance-based Budgeting System)を採用しており、2005 年の連邦政府予算 は 24 年振りに均衡している。UAE 政府は業績予算制度の前提として、①歳出抑制、②戦略 的分配、③良好な運用管理、の 3 原則を掲げており、歳出を抑制する努力を掲げている。
ただし、国内物価上昇への対応のため、2007 年 11 月に公務員給与の 70%引き上げなどの 施策を行うなどしており、結果として人件費を中心に予算規模は拡大を続けている。なお、
2009 年予算は歳入、歳出ともに 115 億ドルとなり、5 年連続の均衡予算となる見込みであ る。
(億ドル)
2002 03 04 05 06 07 08 09
歳出 61.7 63.1 65.0 61.8 75.9 77.4 95 114.9
歳入 55.6 56.9 57.4 61.8 75.9 77.4 95 114.9
収支 -6.1 -6.2 -7.6 0 0 0 0 0
��1.7���������������
出所:MEES
連邦統合財政収支の歳入における石油収入の規模も、石油輸出増加に伴って大幅に増大 している。2006 年の歳入実績は 546 億ドル(うち石油・ガス収入は 440 億ドル)であった が、油価が低迷していた 2002 年の 155 億ドル(うち石油・ガス収入は 111 億ドル)と比較 して 3 倍以上の規模となっている。連邦統合財政収支の歳入に占める石油収入の比率は 2006 年実績で 80%と非常に大きく、歳入規模は油価によって大きく左右される構造となっ ている。(図表 1.8)
一方、歳出は油価の高低に関わらず、ほぼ一貫して増加している。歳出全体に占める経 常支出の比率が 80%以上に上る一方、開発支出を毎年 15%程度計上している。これは、UAE の人口が年率 5%以上の高い伸び率で増加しており、それに伴う電力などインフラ整備へ の多額の資本支出を続ける必要があることによる。また、人口増加の多くは若年層である ことから、教育関係支出も年々増加している。
2007 年の実績を見てみると、歳入が 13%増の 622 億ドル、歳出が 26%増の 434 億ドル と共に増加し、収支は 187 億ドルと、前年に引き続き大幅黒字となった。なお、黒字幅の 減少については、歳出の内のローン、エクイティ部門が大幅に増加したことによるもので、
ドバイを中心に進められている大型プロジェクトの債務返済などが影響していると考えら れる。かつての連邦統合財政収支は長年にわたって財政赤字が続いており、アブダビ投資 庁などが運用している資産(石油収入を主に海外資産にて運用)から得られる運用益によ って、財政赤字の大部分を補填していた。しかし、油価の急激な上昇により、2005 年から は収支は黒字に転じている。
歳出 収支
(うち石油収 入)
2000 202 163 228 -26
01 186 140 259 -73
02 155 111 235 -80
03 209 154 248 -39
04 258 200 262 -4
05 391 303 284 107
06 547 448 343 204
07 622 480 434 188
(億ドル)
歳入
出所:UAE中央銀行
��1��������������(������収支)
0 100 200 300 400 500 600 700
2000 01 02 03 04 05 06 07 (億ドル)
-100 -50 0 50 100 150 200 250(収支)
歳入 歳出 収支
࿖㓙ᡰ
UAE の輸出額全体における石油・ガス輸出の比率は 4 割強となっている。ただし、ドバ イからの再輸出を除くと 6 割を大きく上回る。油価高騰の影響で 2007 年の石油輸出額は前 年比 23%増の 712 億ドルと大幅に増加し、輸出額全体も 24%増の 1809 億ドルへと拡大し た。天然ガス輸出額は 77 億ドルで、石油・ガス合計では 789 億ドルと全体の 44%を占め た(図表 1.9)。国内経済が好調なため、輸入額も 32%増の 1,165 億ドルとなったが、貿易 黒字は 644 億ドルと大幅に拡大した。UAE はこれまで常に貿易黒字となっているが、油価 が低迷していた 1998 年には貿易黒字は 12 億ドルまで縮小した。現在の貿易黒字はボトム の 1998 年と比較すると 50 倍以上の規模となっている。
輸出額 うち石油 うち再輸出 輸入額 貿易収支
2002 521 166 183 375 146
03 671 221 223 458 213
04 909 295 338 634 275
05 1172 434 397 745 427
06 1455 580 470 880 575
07 1809 712 622 1165 644
(億ドル)
出所:経済省
��1�������貿易額���
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
2002 03 04 05 06 07
(億ドル)
0 100 200 300 400 500 600 700
(収支)
輸入額 輸出額 貿易収支
また、再輸出額の増加も輸出総額の成長に貢献している。再輸出額は 2002 年には 183 億ドルであったが、2007 年には 622 億ドルと総輸出額の 3 割強となった。この急成長の背 景には、特にドバイからの再輸出品を求めるアジア・湾岸諸国の経済発展による需要増が 考えられる。再輸出の最大の相手国はイランで(米国から直接輸入できないため)、インド、
イラク、パキスタンなどが続いている。その他の GCC 諸国などへの輸出額も大きい。ドバ イはペルシャ湾の入り口に位置することから域内の貿易の中継拠点として重要な位置を占 めている。そのため、油価高騰に伴う周辺国の需要の高まりが再輸出の規模の拡大に直結 する構図となっており、近年の再輸出額の増加につながっている。
これに対し、輸入額は年々堅調に増加しており、これはインフラ整備プロジェクトや非 石油部門の開発向け物資の需要増など、国内経済の順調な成長を反映している。2007 年の 輸入総額は前年比 32%増加して 1165 億ドルとなり、主要品目の機械・電気機器、宝石・貴 金属、自動車で 5 割以上を占めた。自国で生産しない機械類などについては幅広く輸入に 頼っている点に加え、裕福な市民による高級な輸入品へのニーズが強いことがうかがえる。
UAE の輸出相手国は日本がトップであり、2007 年は全体の 23.6%となっている。日本が UAE の主要石油輸出国であることがその理由で、UAE の石油輸出量の約 6 割が日本向けであ
る。以下、韓国(10.2%)、タイ(5.2%)、インド(4.8%)、イラン(3.5%)と続く。韓国、タイへ は石油輸出が中心であり、インド、イランへは再輸出が活発に行われている。
輸入相手国では中国がトップであり、2007 年は全体の 13.2%を占めている。他はインド (10.3%)、米国(9.0%)、ドイツ(6.1%)となっている。中国製品は価格競争力を武器にシェア を拡大しており、2005 年にはドバイに世界最大級の中国製品の卸売市場「ドラゴンマート」
を開設している。また、多くの中国製品がドバイを通じて近隣諸国へ再輸出されている。
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UAE の経済成長は 2002 年頃から飛躍的な成長を遂げてきたが、2008 年 7 月以降の原油価 格の大幅下落やその後の世界経済危機の影響を受け、今後の成長に対する不安の声が聞か れるようになっている。IMF は 2008 年 10 月に出された地域経済見通しの中で、UAE の 2008 年実質 GDP 成長率を 7.0%と発表している。引き続き好調ではあるものの、これは 2007 年 の 7.4%を下回る数値となる。IMF は UAE の 2009 年 GDP 成長率は 6.0%になると予測して いる。これは、油価下落によって石油部門が伸び悩む一方、非石油部門の成長が見込まれ るため、成長率の落ち込みは大きなものにはならないとの予測から導かれている。
現地報道などを見ると、2008 年末以降の不動産部門の落ち込みは大きいと見られる。ド バイの不動産価格は 2002 年の外国人への不動産所有の解禁以来、大きな伸びを見せており、
人工島パーム・ジュメイラの住宅価格は 2002 年の 70 万ドルから、2007 年末までに 350 万 ドル以上に上昇していた(ドバイの不動産エージェント Betterhomes 発表)。2008 年に入っ てからもドバイの不動産価格は上昇傾向にあり、不動産コンサルティング会社 Colliers International によると、2008 年第 1 四半期には不動産価格は 43%の上昇を記録している。
これが 2008 年下期には変調した。英 HSBC は、2008 年 10 月のドバイの不動産価格が前月 比 4%下落したと発表した。また、現地紙 The National(2008.11.20)は不動産コンサルタ ント会社 Engel & Volkers の発表として、人工島パーム・ジュメイラの不動産価格が 9 月 から 3 割以上下落したと伝えている。2009 年に入ってからは、堅調であった不動産賃料の 下落が伝えられており、不動産価格下落の傾向はとどまる気配が見られない。
不動産部門と並んで懸念されるのが、銀行など金融部門である。世界経済危機に伴う流 動性の不足は UAE にとっても例外ではなく、2008 年には連邦政府によって銀行部門へ総額 AED1,200 億(約 326 億ドル)の資金援助が行われている。2009 年 2 月にはアブダビ政府によ り、アブダビの銀行 5 行へ AED160 億(約 43 億ドル)の資本注入が行われている。銀行へ資 金援助することで市中への資金供給量を増やすと共に、不動産企業の倒産による不良債権 増加に備えた資本増強の側面もあると考えられる。
一方で、明るい材料も見受けられる。2008 年のドバイ国際空港の利用客数は 3700 万人 であり、前年比 9%増となった。また、ドバイの非石油部門貿易額は前年比 38%増の AED9,347 億(2,545 億ドル)と大幅に伸びている。このことから、ドバイの持つ物流・貿易拠
点としての役割は依然強みを発揮していると考えられる。
ドバイの今後の成長は、今までのように飛躍的なものにはならないと考えるのが妥当で ある。ただ、これはドバイ経済の崩壊を意味しているのではなく、急激な発展に伴う一時 的な調整段階に入ったと見るべきであろう。不動産・金融部門は 2000 年以降のドバイの急 激な成長をもたらしたが、現在ではバブル崩壊とみなされるような状況におかれている。
一方、ドバイには物流・貿易のハブという強みがある。ドバイは 1970 年代から港湾、空港 への投資を続けてきており、1985 年のジュベル・アリ・フリーゾーン開設などを経て現在 の繁栄の原動力となってきた。今後世界経済が上向いたときには、この物流・貿易部門が中 心となってドバイ経済は再度成長軌道に乗ってくると考えられる。
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昨今の都市開発による経済活動拡大を背景に電力需要は急増しており、2010 年までに年 平均約 10%の伸びが予測される。これは世界の平均電力需要伸び率である 3%を大幅に上回 るものである。また、これまで送電・発電施設は電力需要の増加に合わせ拡充されてきて おり、連邦内の送電網は遠隔地まで整備されている。
2006 年の UAE の総発電力能力は 1622 万 kW であり、2001 年の 970 万 kW から大きく伸び ている。さらに 2010 年までに総発電能力を 2600 万 kW まで引き上げることが計画されてい る。現在、総発電能力における比率は、アブダビ水利電力庁(ADWEA)が 53%、ドバイ水利電 力庁(DEWA)が 29 パーセント、シャルジャ水利電力庁(SEWA)が 11 パーセント、連邦水利電 力庁(FEWA)が 7 パーセントとなっている。発電燃料の約 9 割を天然ガスが占めており、他 にディーゼル油などが使用されている。
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UAE の急速な経済発展に合わせ、電力需要も大きな伸びを見せている。UAE の発電能力の 過半を占めるアブダビでは、電力および水を発電事業者から購入し、配電・配給会社に売 却する Abu Dhabi Water & Electricity Company(ADWEC)が電力需要の実績を公表してお り、また国内需要の見込みを作成することを義務付けられているため、2020 年までの見込 みを公開している。これによると、アブダビの最大電力需要は 2002 年実績で 400.8 万 kW であったが、2007 年実績は 528.6 万 kW に伸びており、成長率は約 32%となっている(図表 1.10)。また、将来の需要に関しては、2008 年の最大電力を 583.0 万 kW と見込んでおり、
これが 2010 年には 827.6 万 kW、2015 年には 1,494.6 万 kW、2020 年には 1,746.9 万 kW と 大幅な伸びを見込んでいる(図表 1.11)。
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528.6 479.0
445.5 432.0
411.6 400.8
200 250 300 350 400 450 500 550
2002 03 04 05 06 07
(万kW)
出所:ADWEC
��1.11������������
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
2008 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
(万kW)
583.0
827.6
1494.6
1746.9
出所:ADWEC
1170.6
一方、ドバイでは DEWA が UAE の発電能力の 3 割程度を保持しているが、ここ数年の著し い経済成長に合わせ、アブダビ以上に急速な需要増を記録している。2002 年度の最大電力 需要は 263.2 万 kW であったが、2007 年はこれが 473.6 万 kW となっており、その成長率は 約 180%と非常に高い(図表 1.12)。DEWA は ADWEC のような詳細な将来の需要見込みを作成 していないが、2015 年には電力需要は 1,500 万 kW を超えると予測している。
��1.12������������
263.2
287.4
322.8
357.1
411.3
473.6
200 250 300 350 400 450 500
2002 03 04 05 06 07
(万kW)
出所:DEWA
UAE 全体の将来の電力需要については、政府が 2008 年 4 月に発行した報告書「UAE の平和 的核利用の評価と潜在的開発に関する指針」に予想値が公表されている。これによると、連 邦全体の電力需要は 2020 年までに平均 9%の成長を続け、2007 年実績 1,322.4 万 kW に対 し、2020 年には 4,085.8 万 kW と約 3 倍まで達すると見込まれている(図表 1.13)。
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0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500
2006 08 10 12 14 16 18 20
(万kW)
出所:Policy of the United Arab Emirates on the Evaluation and Potential Development of Peaceful Nuclear Energy
1,174
4,085 3,281
2,154
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UAE を構成する 7 つの首長国は、いずれも首長家を頂点とする絶対君主制を布いている。
首長国は、各々の主権を UAE 連邦政府に委譲しており、連邦政府が外交、国防・国家安全 保障、治安、移民、通貨、教育、情報などの分野を担当し、近年は知的所有権、労使関係、
海事法、会社法、民法なども連邦政府の担当分野となっている。
一方、連邦司法権下にあると明記されていないもの、あるいは連邦法の特定条項として 制定されていないものは、連邦政府の介入がないかぎり各首長国の国内問題とみなされる。
そのため各首長国は石油・天然ガス分野を含め、様々な分野で自律的な政治を行っている。
現在、連邦レベルでのエネルギー法制は定められておらず、従って UAE では連邦単位での エネルギー政策は存在しない。
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UAE は基本的にサウジと共に OPEC 内穏健派に属し、原油価格の安定維持、長期石油収入 の最大化を旨とする政策を指向してきた。ただし連邦憲法においては、各首長国が各々の 天然資源への権利を保有することを規定しており、UAE 全体としての明文化された石油・
ガス政策はない。
アブダビは「石油資源保護法(1978 年制定)」にて、①炭化水素資源の温存②油田寿命 の可能な限りの延長③最大限の輸出量の確保という基本政策を規定している。一方で、ド バイを始めとした他首長国では石油法制が存在しないが、石油・ガスに関する権限は首長家 が握っている。
UAE は長期的な石油需要の増大に応じた「生産能力増強」と「輸出の最大化」を基本政 策としている。石油輸出最大化のために、石油化学向けや発電用燃料などの国内需要は天 然ガスの利用を推進している。
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UAE は 2004 年 11 月 1 日(ザーイド前大統領の死亡発表前日)に、1997 年以来 7 年振り に内閣改造を行い、これまでの石油・鉱物資源省と電力・水利省を統合して「エネルギー 省」を新設した。エネルギー省の新大臣には、これまでのナセリ石油・鉱物資源相に代わ り、1994-2002 年に OPEC の UAE 代表理事、1998 年以降はアブダビ国営石油(ADNOC)の下 流部門局長を務めてきた、ムハンマド・ビン・ザエン・アル・ハミリが就任し、現在に至 る。
ただし連邦レベルの石油・ガス政策は、国内の炭化水素資源のほとんどを保有するアブ ダビの政府および ADNOC が全権を握ってきたため、石油・鉱物資源省は OPEC などの対外的
窓口としての機能を主に果たしてきた。また、エネルギー関連の政府組織が再編された 1998 年には、石油・ガス政策の最高決定機関として「最高石油評議会(SPC)」が創設され、
ADNOC 取締役会の機能をも継承した。
一方アブダビ以外の首長国では、エネルギー関連の行政機関は存在するものの、実質的 には首長もしくは首長家一族が権限を有している。なお、ドバイは自らを OPEC 加盟国とは 認めていないため、OPEC の生産割当にはとらわれず生産を行っているのが現状である。
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アブダビは連邦結成以前の 1967 年に OPEC に加盟し、その後連邦結成(1971 年)に伴い 1974 年、アブダビの加盟権が UAE 連邦政府に移管された。UAE の 1980 年前半における OPEC 生産割当は 100 万 b/d 前後と小さかったため、アブダビは増産を続けるドバイの生産調整 役を担っていた。しかしアブダビは 1986 年頃から、財政的な問題や外資の合弁企業からの 増産要請により生産調整役の機能を放棄し、以後生産枠を超過して生産することになる。
湾岸危機後 OPEC の生産枠が復活した際、UAE は 224 万 b/d の生産枠を獲得し、現在では OPEC の減産方針に従って 250 万 b/d を下回る規模での生産を続けている。
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UAE には連邦単位でのエネルギー法が存在せず、電力行政も各首長国に一任されている。
アブダビ、ドバイ、シャルジャでは各首長国の水利・電力庁(アブダビ:ADWEA、ドバイ:
DEWA、シャルジャ:SEWA)が自国のエネルギー供給に責任を持っており、その他の北部首 長国に関しては連邦水利・電力庁(FEWA)によって電力・水の供給が行われる体制となって いる。なお、ADWEA はアブダビ政府の豊富な資金力と潤沢な発電用燃料を背景に他首長国 の電力需要に一定の責任を負っており、夏期の需要ピーク時には ADWEA が他首長国の電力 需要をバックアップしている。
1990 年代末頃から発電・造水部門では民営化の動きが見られる。アブダビでは、ADWEA が 1998 年に IWPP(Independent Water and Power Producer:独立造水発電事業者)方式の 導入を開始しており、ドバイの DEWA も IWPP 方式による発電造水設備導入を検討している。
また、連邦政府は連邦電力網の完成を目指し、現在送電線の敷設、送電所建設、コント ロールセンター建設が進行中である。アブダビとドバイの電力網は 2006 年に連結されてお り、将来は計画中の GCC グリッドとも連結される予定である。
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ア ブ ダ ビ で は か つ て 、 ア ブ ダ ビ 水 利 ・ 電 力 局 (Abu Dhabi Water and Electricity Department、ADWED)が電力・水の供給を行っていた。1998 年 3 月、アブダビ政府は公共部 門の政府支出を抑えるため、電力・水事業の民営化方針を打ち出し、ADWED を解体してア
ブダビ水利電力庁(Abu Dhabi Water and Electricity Authority、ADWEA)を新たに設立し た。ADWEA の長官は故ザーイド前首長の 16 男であるディアブ・ビン・ザーイド・アル・ナヒ ヤーンが務めており、現在は ADWEA の下に、グループ各社へのセントラルサービスを行う Al Wathbah Company for Central Services(AWCCS)、水・電力配給会社の Abu Dhabi Water and Electricity Company(ADWEC) 、 送 電 会 社 Abu Dhabi Transmission and Dispatch Company(TRANSCO)など、発電・造水、送電・送水、販売など各部門を担当する子会社を置く 体制となっている(図表 2.1)。ADWEA の総発電能力は 2008 年初頭で 940 万 kW 程度であり、
2012 年までに見込まれる 500 万 kW 以上の需要増に対応するため、IWPP による発電能力強 化が急務となっている。
49% 51% 100% 100% 100% 60%
AMPC
(Mirfa)
100%
BPC
(Bainounah 100%
100%
100%
54% ECPC 6%
54% GTTPC 6% 100% 100% 100%
54% SCIPCO 6%
54% APC 6% 100% 100%
54% TAPCO 6%
54% ESWPC 6%
54% FAPC 6%
出所:JOGMEC資料より作成
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Network
(Abu Dhabi
&Al Ain)
Zakher 既存
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Wathba
Saad 新設
Mafraq
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TA�A ADWEC T�ANSCO
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(Al Ain) ADDC
(Abu Dhabi)
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2005 年には、長期民営化計画の一環として ADWEA が出資してエネルギー部門持ち株会社 Abu Dhabi National Energy Company(TAQA)が設立された。TAQA へは ADWEA が 51.1%、ア ブダビ政府保有の農業基金が 21%を出資しており、残り 27.9%はアブダビ証券取引所に上 場されている。会長はハマド・アル・スウェディ・アブダビ財務庁次官であり、ピーター・
ベーカー・ホメック氏(BP 出身)が CEO を務める。
TAQA の設立目的は、国内の IWPP に資本参加することでアブダビ首長国内の電力・水の安 定供給体制を確立することである。これを実現するため、TAQA は各 IWPP 事業に対してそ れぞれ持ち株会社を設立し、各持ち株会社に ADWEA と合わせて最低 60%の出資を行ってい る。
また、TAQA は現在では国内 IWPP への投資以外に、国外におけるエネルギー資産への投 資を活発に行っている。ベーカー・ホメック CEO が 2007 年 12 月に語ったところによると、
TAQA の 2007 年時点での保有資産は 210 億ドル分に及び、これを 2012 年までに 600 億ドル に拡大することを目指しているという。以下に TAQA の主だった国外投資を紹介する。
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TAQA は現在、石油・ガス部門の企業買収・資産管理のために英国法人 TAQA Bratani、オラ ンダ法人 TAQA Energy、カナダ法人 TAQA North の三子会社を運営している。
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2007 年 1 月、カナダの Talisman Energy が北海に有するブレイ(Brae)油田の権益を 5.5 億ドルで取得することで合意している。権益の内訳は以下の通り。
・ 南ブレイ、北ブレイ、中央ブレイ、西ブレイ油田:18%
・ ベイン(Beinn)油田:18%
・ 東ブレイ油田:16.9%
・ ブレイマー(Braemar)油田:13%
・ ブレイ-フォーティース(Forties)原油輸出パイプライン:18%
・ SAGE パイプラインおよび陸上ターミナル:9%
・ ブレイ-ミラー(Miller)パイプライン:9%
TAQA はこれに伴い、英領北海の権益・企業買収のために 100%子会社 TAQA Bratini を設 立した。
2008 年 7 月には、TAQA は TAQA Bratani を通じ、Shell UK および ExxonMobil 子会社の Esso Exploration and Production が所有する油田権益の取得について合意に達したと発 表した。正式な契約締結は同年 12 月に行われている。
TAQA Bratani が取得を発表したのはターン、エイダー、南・北コモラント、ケストレル、
ペリカンの 6 つの沖合油田及び 2 つの未開発海中油田。これらの油田からは現在 4 万 b/d の生産が可能であるという。なお、権益の取得金額は明かされていない。
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同年 2 月には、BP がオランダに持つパイプライン、ガス処理施設、貯蔵施設、油・ガス 田での開発施設、現場スタッフなどの資産の買収を完了させている。同油・ガス田のガス 生産量は 180 万 m3/d で、確認埋蔵量は 1,400 万 boe(石油換算バレル)となっている。買 収価格は 6.94 億ドル。これに合わせ、買収した資産を管理し事業を運営する新会社 TAQA Energy を設立した。同社は TAQA が 75%を出資し、オランダ政府が 25%を出資する。
また、TAQA はロッテルダム港沖合に LNG 再気化施設の建設を計画している。同施設での
気化コストは、0.3 ユーロ/百万 BTU を見込んでおり、英国や欧州向けにガスを供給しよう としている LNG 事業者の利用を目論んでいる。
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TAQA は 2007 年 8 月、カナダのカルガリーにある石油・ガス開発会社 Northrock Resources を買収している。米 Pogo Producing Co.から買収額 20 億ドルで同社を買い取る形となり、
合併後の社名は TAQA North と改めている。Northrock Resources はアルバータ州、ブリテ ィッシュ・コロンビア州、サスカチュアン州及び北西準州において 3.7 万 boe/d の油・ガス を生産している。TAQA North はこれを 10 万 boe/d まで引き上げる計画という。なお、埋 蔵量は 1.42 億 b と見積もられている。
同年 8 月には米 Pioneer Natural Resources Company の子会社であるカナダ Pioneer Canada を 5.4 億ドルで買収した。Pioneer Canada の生産量は 1 万 boe/d、埋蔵量は 5,900 万 b とされている。また、Pioneer Natural Resources Company はコールベッドメタンの 生産を行っており、TAQA はその開発・生産技術および技術人員を得ることができた。
さらに、同年 9 月にはカナダ PrimeWest Energy Trust と 50 億カナダドルで買収合意に 達したと発表された。これにより、生産量 6.1 万 boe/d、埋蔵量 2.85 億 b が追加されてい る。
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2006 年 12 月、TAQA とインド State Bank of India 所有の事業会社 Infrastructure Leasing and Financial Services(IL & FS)との間で、IL & FS が進める 600 万 kW の発電及び送電 プロジェクトに資金面で協力することとなった。本プロジェクトには、シンガポール投資 庁や HSBC、アブダビ投資庁などが参加するという。投資額は 10 億ドルの予定。
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TAQA は 2007 年 2 月、米エネルギー企業 CMS Energy の電力部門子会社 CMS Generation の買収を発表した。買収価格は 9 億ドル。CMS Energy は米国の他、サウジやガーナで事業 を展開しており、アブダビの 2 つの IWPP にも出資していた。なお、TAQA はモロッコおよ びインドで CMS が共同事業を行っている ABB にも 4.9 億ドルの出資を行う。これにより、
TAQA の保有する発電容量は 430 万 kW 増加した。
なお、CMS が所有していた Taweelah A2、Shuwaihat S1の IWPP 権益は、Taweelah A2 の 分が 2007 年 10 月に丸紅へ売却され、Shuwaihat S1の分は 2008 年 9 月に住友商事へ売却 が決定している。
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TAQA は 2008 年 12 月、RBS Sempra Commodities(英国銀行 Royal Bank of Scotland と米 国 Sempra Energy の合弁会社)との間で合弁会社「TAQA Gen X」を設立し、北米の下流エネル ギー部門への投資を行うことを明らかにした。
最初の投資先は、JP Morgan Chase の子会社である BE Red Oak Holding になるという。
BE Red Oak Holding は 83 万 kW のコンバインドサイクル・ガス発電所「Red Oak 発電所」を ニュージャージー州に保有している。TAQA Gen X は発電所の保有・運営は行わない方針。
買収完了の時期は明かされておらず、米国連邦エネルギー規制委員会の承認を待ってのも のになるという。TAQA のベーカー・ホメック CEO は「この合弁会社は世界的な総合エネルギ ー企業になるという TAQA の戦略目標をさらに強化するものだ」とコメントしており、今後 クリーン燃焼かつ高効率な発電所による発電能力を 1,000 万 kW に増強する計画を明らかに している。
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TAQA は 2007 年 10 月、クウェートの民間エネルギー会社 Kuwait Energy Co.(KEC)と提携 し MENA(中東、北アフリカ地域)地域およびカスピ海沿岸地域のエネルギー生産・開発・探 索を共同実施することで合意し、LOI(letter of intent、予備的合意)に署名した。2008 年上半期中に正式合意に達する見込み。今後両者はエジプト、オマーン、シリア、イエメ ン、カザフスタン、イラクおよびイランでの開発を計画しているという。
また、TAQA は同年 10 月、サウジアラビアのエネルギー会社 National Power Company(NPC) と共同会社を立ち上げることで合意している。共同会社はサウジ国内で水・電力分野への 投資を目的としており、産業部門への投資も視野に入れているという。今回の合意には資 本関係に関する内容は含まれておらず、両社の出資額などは不明。ベーカー・ホメック CEO は「今回の発表は強い協力関係の始まりであり、地域の発展に必要不可欠な相互のエネルギ ー資産への理解をもたらすことを我々は確信している」と発言している。
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アブダビでは、効率的に最新技術の発電システムを導入するために、1998 年 3 月にそれ までの水利・電力局(Water & Electricity Department)をアブダビ水利・電力庁(ADWEA)
へ組織変更し、IWPP(Independent Water and Power Producer:独立造水発電事業者)方 式の導入を開始した。現在 4 基の IWPP 設備が稼動しており、さらに計画・建設段階の IWPP プロジェクトが 5 基分存在する(図表 2.2)。なお、IWPP 方式とは事業会社が発電・造水設 備を建設・所有・運営し、電力会社に電力・水を卸売り販売する形式であり、各 IWPP 事業 者に対してはアブダビ政府が ADWEA およびその子会社 TAQA を通じて 60%の出資を行い、
残り 40%については国外からの出資企業を募る形をとっている。現在、日本企業を始めと
する国外エネルギー関連企業による活発な事業参画が行われており、IWPP 事業は成功裡に 推移している。
これらの IWPP において、ADWEA は外資企業と BOO(建設・所有・運営)方式の契約を締 結しており、発電・造水施設の完成後も外資企業がそのまま長期間にわたって運営を行う。
生産された電力および水は、ADWEA 傘下企業の Abu Dhabi Water & Electricity Company
(ADWEC)との長期売買契約に基づいて同社に売却される。
発電・造水施設 IWPP事業者 契約年 稼動年 発電(万kW)造水(Mg/d)
Taweelah A2 1998年 2001年 77.7 50 TAQA :54%
ADWEA : 6%
丸紅 :40%
Taweelah A1 2000年 2003年 135 84 TAQA :54%
ADWEA : 6%
Total :20%
Suez Energy Int'l :20%
Shuweihat S1 2001年 2004年 150 100 TAQA :54%
ADWEA : 6%
International Powe:20%
住友商事 :20%
Umm Al Nar 2003年 2007年 240 160 TAQA :54%
ADWEA : 6%
International Powe:20%
東京電力 :14%
三井物産 : 6%
Taweelah B 2005年 2008年 200 160 TAQA :54%
ADWEA : 6%
丸紅 :14%
Powertek :10%
BTU :10%
日揮 : 6%
Fujairah F1 2006年 2009年 86.1 100 TAQA :54%
ADWEA : 6%
Sembcorp :40%
Fujairah F2 2007年 2010年 200 130 TAQA :54%
ADWEA : 6%
丸紅 :20%
International Powe:20%
Shuweihat-2 2008年 2011年 1500 100 ADWEA :60%
GDF Suez :40%
出所:ADWEA、TAQA
図表2.2 アブダビのIWPP
出資企業 Emirates
CMS Power Company Gulf Total Tractebel Power Company
Fujairah Asia Power Company
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Shuweihat CMS International
Power Company
Arabian Power Company
Taweelah Asia Power
Company
Emirates Sembcorp Water and Power
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Taweelah A2 はアブダビが初めて IWPP 形式で手がけた発電・造水設備である。Taweelah A2 は ADWEA と米国 CMS Energy の共同出資で設立された事業会社 Emirates CMS Power Company(ECPC)が開発・運営を担当している。発電・造水設備はアブダビとドバイの中間にあ たるタウィーラ地区に位置する。発電能力は 77.7 万 kW、造水能力は 50MG/D であり、コン バインドサイクルの天然ガス火力プラントは Siemens が手がけ、造水設備は韓国の Hanjun が担当した。当設備は 2001 年に操業開始している。
2007 年 2 月の TAQA による CMS Energy 買収により、一時期 TAQA が ECPC の権益の 94%を 保有する状態となっていたが、2007 年 11 月に丸紅の事業参加決定が発表されている。丸 紅が CMS Energy の保有権益を 1.4 億ドルで引き継ぐ形となり、後に丸紅は日揮へ保有権益 の 6%を売却している。
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Taweelah A1 は前述 Taweelah A2 と同じタウィーラ地区に建設されており、既存プラン トを開発・運営する事業会社 Gulf Tractebel Power Company(GTTPC)が増強する形で IWPP へ移行した。GTTPC は ADWEA・TAQA があわせて 60%、仏 Total と仏 Suez-Tractebel が折半 出資する持ち株会社 Total Tractebel Emirates Power Company が 40%の権益を保持する。
現 在 、 当 初 出 資 し て い た Tractebel が Suez の 参 加 企 業 と な っ た た め Suez Energy International が権益を引き継いでいる。
Taweelah A1 は 2003 年に稼動開始しており、発電能力は 135 万 kW、造水能力は 84MG/D となっている。2010 年までに発電能力をさらに 21 万 kW に増強させる拡張計画「A10」が 進められており、韓国 Doosan が EPC(設計・調達・建設)を実施している。また同プラントで は、ADWEC との間に 2029 年までの電力・水販売契約を締結している。
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アブダビ第 3 の IWPP となる Shuweihat S1 はアブダビ市から西へ 250km のジュベル・ダ ナ 地 区 で 開 発 さ れ て い る 。 事 業 会 社 は Shuweihat CMS International Power Company(SCIPCO)であり、ADWEA・TAQA が 60%出資し、英 International Power 及び CMS Energy が 20%ずつ出資していた。Taweelah A2 と同様に、TAQA の CMS Energy 買収により 権益が TAQA へ移っていたが、2008 年 9 月に住友商事の事業参画が決定し、CMS Energy の 権益 20%を引き継いでいる。同時に、設備の保守・運営を担当する Shuweihat O&M Limited Partnership(SOMLP)の権益 50%も取得している。これにより、SCIPCO の権益比率は TAQA54%、
アブダビ水利・電力庁 6%、英 International Power20%、住友商事 20%と変更され、SOMLP の権益は International Power と住友商事が各 50%となる。なお、住友商事の出資額は総 額 1.74 億ドルと発表されている。
Shuweihat S1 の稼動開始は 2004 年であり、発電能力は 150 万 kW、造水能力は 100MG/D。
EPC は Siemens と Fisia Italimpianti が行い、天然ガス炊きのコンバインドサイクル発電 プラントが導入されている。また、ADWEC へ 2025 年まで電力・水の販売を行うこととなっ ている。
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第 4 の IWPP はアブダビ市の東側 20kmに位置する Umm Al Nar 発電・造水プラントであ り、既存の発電・造水設備の能力増強によるものとなる。事業会社 Arabian Power Company へは他と同様に ADWEA・TAQA が 60%出資し、International Power が 20%、東京電力が 14%、
三井物産が 6%を出資している。
本 IWPP プロジェクトでは既存の発電 85 万 kW、造水 135MG/D の造水発電プラント発電能 力 155 万 KW、造水能力 25MG/D の新プラントを追加建設する形で進められた。EPC は発電プ ラントが東芝、造水プラントが日立造船により手がけられている。また、設備の運転保守 は IP と東京電力が共同で設立した ITM O&M 社(出資比率:IP70%、東京電力 30%)が行う。
2007 年 8 月に稼動開始しており、発電能力 240 万 kW、造水能力 160MG/D である。また、ADWEC への 23 年の電力・水の販売契約が結ばれている。
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アブダビ第 5 の IWPP である Taweelah B は Taweelah A1、A2 と同じくタウィーラ地区に あり、事業会社は Taweelah Asia Power Company(TAPCO)である。同社へは ADWEA・TAQA に よる 60%出資に加え、丸紅が 14%、マレーシアの Powertek Berhad が 10%、米 BTU Group が 10%、日揮が 6%の出資比率となっている。
同 IWPP 計画では、既存の発電能力 100 万 kW、造水能力 95MG/D の発電・造水プラントに 加えて新たに発電能力 100 万 kW、造水能力 75MG/D のプラントを建設することになってお り、完成後は発電能力 200 万 kW、造水能力 160MG/D となる予定。EPC は Seimens、イタリ ア Fisia Italimpianti、ドイツ Babcock Borsig Services(BBS)の 3 社コンソーシアムが受 注しており、Seimens がガス発電プラント、Fisia Italimpianti が造水プラント、BBS が 既存設備の増強、改修を行う。運転開始は 2008 年を予定していたが、まだ増強分の稼動開 始の発表はなされていない。
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6 番目の IWPP である Fujairah F1 はフジャイラ首長国のキドファ地区に位置している。
ADWEA・TAQA が 60%、シンガポールの Sembcorp が 40%出資して事業会社 Emirate Sembcorp Water and Power Company(ESWPC)を設立している。このプロジェクトでは事業会社が既存 の発電能力 64.1 万 kW、造水能力 100MG/D のプラントを買い取った上で 22.5 万 kW の発電
能力を追加するものとなる。稼動開始は 2009 年を予定している。
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2007 年 8 月、アブダビで 7 番目の IWPP プロジェクトとなる Fujairah F2 の事業権付与 契約が締結されている。ADWEA・TAQA が 60%出資し、国外からは丸紅、International Power が各 20%出資して事業会社 Fujairah Asia Power Company(FAPC)が設立されている。当プ ロジェクトは事業費が 28 億ドルに及び、UAE で最大級の IWPP 事業となる。
Fujairah F2 は発電能力 200 万 kW、造水能力 130MG/D に上る。EPC に関しては、発電用 ガスタービンを仏 Alstom を中心とするコンソーシアムが、造水プラントは仏 Veolia Water Solutions & Technologies が受注した。総事業費約 28 億ドルのうち、20%を自己資金で賄 い、残り 80%は国際銀行団(三井住友銀行、仏 Calyon、米 Citibank)や国際協力銀行(JBIC) からの借入で賄う。運転開始は 2010 年を予定している。
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2008 年 7 月、仏 GDF Suez が ADWEA から 8 番目の IWPP 事業となる Shuweihat 2 IWPP プ ロジェクトの契約者に選定されている。GDF Suez は発電・造水設備の建設・所有・運営の他、
ADWEA 子会社の ADWEC と電力・水の長期売買契約(20 年間)を締結することとなる。プロジェ クトの権益は ADWEA が 60%、GDF Suez が 40%と報道されており、今後他の IWPP 事業と同様 に TAQA が事業参入すると見られる。なお、入札には GDF Suez の他、丸紅・大阪ガス連合、
International Power・住友商事連合が参加していた。
Shuweihat S2 は Shuweihat S1 と同様にジュベル・ダナ地区に位置し、発電能力 150 万 kW、造水能力は 100MG/D となる予定。燃料には天然ガスが用いられる。プロジェクト総額 は 32 億ドル。Siemens、韓国 Doosan、Samsung と EPC 契約が締結されており、建設工事は 既に開始されている。設備完成、運転開始は 2011 年となる予定。
日本経済新聞によると、2008 年に深刻化した世界経済危機によってパートナーの GDF Suez は資金調達面で困難に陥っており、アブダビ側は丸紅・大阪ガス連合に出資を求めて いるという。丸紅・大阪ガスは 20%程度出資する見込みと報じられている。丸紅・大阪ガ ス連合は Shuweihat S2 の入札では GDF Suez に続く二番手であったことから出資を要請さ れたと考えられる。
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ADWEA は次なる IWPP プロジェクトとして Shuweihat 3(発電・造水能力は Shuweihat S2 と同様)を計画している。これまで IWPP 事業のパートナーは入札で決定されてきたが、中 東経済誌 MEED によると ADWEA は Shuweihat 3 のパートナーとして丸紅を指名しており、
Shuweihat S2 と同額での発注を提案しているという。Shuweihat 3 の稼動開始時期は未定。
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ドバイ水利・電力庁(Dubai Electricity and Water Authority、DEWA)の前身はドバイ電 力会社とドバイ水利局であり、当時のラーシド・ドバイ首長によって 1959 年に設立された。
1992 年 1 月にマクトゥーム首長(当時)より勅令が出され、両社を合併させて DEWA が設立 された。従業員数は 6,000 人を超えており、急激な伸びを見せるドバイの電力・水需要を満 たすべく、発電・造水能力の増強に取り組んでいる。
DEWA の生産する電力は全量ドバイ内で消費されており、その大半がジュベル・アリ周辺 部に位置する発電所群から供給される。DEWA の総発電能力は 2007 年末時点で 544.8 万 kW、
造水能力は 278MG/D となっている(図表 2.3)。なお、DEWA は 2012 年までに、発電能力を 1,250 万 kW まで引き上げることを計画している。
発電・造水設備 発電(万kW) 造水(MG/D)
Jebel Ali Power and Desalination Station "D" 104.7 35 Jebel Ali Power and Desalination Station "E" 60.2 25 Jebel Ali Power and Desalination Station "G" 72 63
Jebel Ali R.O Desalination Plant - 25
Aweel Power Station "H" (Phase 1) 60.7 -
Aweel Power Station "H" (Phase 2) 27.9 -
Jebel Ali Power and Desalination Station "K" 85.7 60 Jebel Ali Power and Desalination Station "L"(Phase 1) 86.1 70 Jebel Ali Power and Desalination Station "L"(Phase 2) 47.5 -
合計 544.8 278
出所:DEWA
※Aweel"H"Phase2およびJebel Ali"L"Phase2は未完成
��2.3�����造水・発電設備
DEWA によると、ここ数年は電力需要の増加率が世界最高レベルとなる 15%程度で推移し ている。DEWA は 1998 年 1 月以来、電力・水の料金を安価な価格に据え置いてきたが、急激 な需要増を受けて DEWA の財務状況が悪化しているため、状況を改善するべく 2008 年 3 月 より電力・水の料金を引き上げることを決定した。これまでは電力 1kWh 当たり AED0.2(5 セント)であったが、改定後は使用量 2,000kWh を超えた分は 1kWh 当たり AED0.33 へ値上げ した。同様に、水も 1 ガロン当たり AED0.03 であったものが、1 日からは使用量 6,000 ガ ロンを超えた分から 1 ガロン AED0.035 となり、12,000 ガロンを超えた分は AED0.04 に値 上がりとなった。なお、この値上げは UAE 自国民には適用されない。以前から UAE 自国民
の電力・水料金は優遇されており、電力 1kWh 当たり AED0.07、水 1 ガロン当たり AED0.015 であったが、これは据え置きとなる。DEWA は今回の値上げで電力・水使用量増加に歯止め がかかることを期待しているが、自国民に対する料金が変わっていないため、効果につい ては疑問の声も上がっている。
なお、DEWA の料金改定を受け、SEWA、FEWA も同様の料金引き上げ策を導入しており、ADWEA のみが料金引き上げを見合わせている。
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DEWA は ADWEA のような IWPP 方式を導入しておらず、発電・造水設備の EPC を外部に発注 して設備運営は自らが行っている。IWPP 方式では事業会社を立ち上げるコストや、電力・
水を事業会社から買い取るコストなどが発生するが、DEWA はこうした形をとるよりも自ら が設備の運営を行うことを選択している状況だ。筆者の現地ヒアリングでは、DEWA の担当 者は IWPP 方式の導入については外国企業からの提案があれば考慮するというスタンスを 示していた。DEWA 自らが積極的に IWPP 方式導入のために動く事は当面はないと見られる。
一方、IWPP 事業に参入する外国企業側からすると、一番重要視されるのは契約相手の信 用力だ。IWPP 事業者は発電・造水設備の建設に始まり、設備建設のための資金調達、設備 を所有して長期間の運営をしながら電力会社に電力・水の販売を続ける責任を持つ。この ため、電力会社が長期にわたって電力・水の買い取りを続けられるのかという点が重要とな る。この点で、豊富な石油資源による長期の収入が保証されているアブダビと、石油資源 に乏しいドバイでは状況が異なっている。
また、設備運転のための燃料調達の問題もある。アブダビは自国からガスが産出される ため、IWPP 事業者は長期にわたって発電用ガスを確保することが可能だが、自国でのガス 生産量が少ないドバイでは IWPP 事業者は自力で燃料調達をしなくてはならない可能性が ある。そのためのコストや燃料価格変動によるリスクは IWPP 事業者にとって参入障壁とな る。ドバイが今後 IWPP 方式を採用すれば、現在ノウハウを持つ事業者にとっては大きな事 業機会となるが、実際の事業参入にあたっては上記のような問題があることも考慮すべき であろう。
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中東・アフリカ地域に多くの顧客を有する大手コンサルタント会社 Business Monitor International(BMI)がドバイ商工会議所の委託により行った UAE の電力に関する将来予測 調査によると、UAE は今後 6~8年の間に、その需要を満たすために 80 億ドルの投資が必 要になるという。連邦政府は今後 10 年間で、現在の総発電能力の 50%以上となる 1,000 万~1,500 万 kW を今後増設する必要があることになる。この BMI の試算は 2006 年から 2011 年の 5 年間で、1 人当たり電力需要増を 2%として計算している。