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改正省エネ法と空調設備の省エネ化

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(1)

平成 20 年 9 月

社団法人

日本冷凍空調設備工業連合会

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

http://ringring.keirin.go.jp

改正省エネ法と空調設備の省エネ化

〈省エネルギー推進のための実態調査等補助事業〉

(2)

目 次

まえがき

第1章 省エネルギー法改正--- 1

1.1 省エネルギー法改正について--- 1

1.2 現行の省エネルギー法--- 1

1)住宅・建築物にかかわるの改正の概要--- 2

2)工場・事業場にかかわるの改正概要--- 2

1.3 住宅・建築物にかかわる省エネルギーの判断基準--- 4

1)これまでの省エネ法・告示の改正経緯の概要--- 4

2)PAL、CEC等の判断基準について--- 4

1.4 大規模修繕等における省エネルギー評価について--- 6

1)届出の対象となる改修・修繕について--- 7

2)省エネルギー評価の考え方--- 7

3)計算方法--- 10

1.5 ポイント法(仕様基準)による部分評価の例--- 21

1)評価方法--- 21

2)評価事例--- 21

1.6 工場に係る措置(第五条~第二十条)--- 30

1)「改正省エネ法」成立までの経緯--- 30

2)京都議定書目標達成の対策と施策--- 30

3)現行省エネ法による工場・事業場に係る措置--- 33

4)改正省エネ法の背景--- 34

5)規制面からの見直し--- 36

6)支援面からの抜本的強化--- 39

7)省エネ法の改正事項--- 40

第2 章 省エネ計画立案のためのデータ(電力量、温湿度)計測・収集評価法--- 47

2.1 省エネ法・温対法の改正について--- 47

1) 省エネ法の主な改正点--- 47

2)温対法の主な改正点--- 48

2.2 省エネ診断から省エネ計画立案へ--- 48

1)省エネ診断の業務のフロー--- 48

2)各調査のポイント--- 49

3)まとめ・総括提案--- 51

2.3 簡易計測器・簡易温湿度計の紹介と設置例--- 52

1)エネルギー計測システム(商品名:エコWeb)--- 52

2)テンポラリー電力量計測装置--- 54

3)簡易温湿度計測装置(商品名:Ibutton)--- 56

4)冷凍機冷媒温度計測装置--- 58

(3)

2.4 電力量、温度、湿度データ事例とその評価--- 60

1)学校・研究センター等の省エネ診断事例--- 60

2)学校に対する省エネルギー対策の最適事例--- 67

2.5 まとめ--- 72

2.6 参考資料--- 73

1)学校のエネルギー監視システム事例--- 73

2)蓄熱式空調システムとは--- 76

3)ヒートポンプとは--- 76

4)高効率機器とは--- 77

5)ヒートポンプの効用は--- 78

第3章 省エネチューニング (別冊) 3.1 ビル用マルチエアコンの省エネルギー 3.2 セントラル空調の省エネチューニング 第4章「省エネルギー推進のための実態調査事業」補助事業の概要--- 83

4.1 背景--- 83

4.2 事業内容--- 83

(4)

ま え が き

世界的なエネルギー需要の急増、産油国の供給余力の低下等のために、石油をはじめエネルギ ーの国際価格が急激に上昇しています。大部分を海外に依存している日本にとって、エネルギー 価格の高騰は、我々の生活に大きな影響を及ぼしており、国全体として更なる燃料資源の有効利 用を図ることが必要となっています。また、温室効果ガスの排出量の約9割がエネルギー起源の 二酸化炭素であることから、地球温暖化対策の一層の推進のためには、省エネルギー対策の強化 を図ることが求められています。

各分野におけるエネルギー使用の合理化を一層進めることから、2006年4月1日に「改正省エ ネルギー法」が施行され、工場・建築物・運輸等の各分野で省エネルギー対策に取り組んでいま す。更に、京都議定書の国際公約を達成するため、2008年5月30日に再度改正されました。

従来、一定規模以上の大規模工場に対してエネルギー管理の義務を課していましたが、この改 正により事業者単位のエネルギー管理が義務づけられることになりました。すなわち、中小規模 の事業場を数多く設置する事業者を新たに義務の対象に加え、産業部門を含めた、事業者の経営 判断に基づく効果的な省エネルギーの取組を促す内容となっています。

更に、今までは 2,000m2以上の建物の新築時や改修時に省エネ対策が課せられていましたが、

今回の改正により、2,000m2未満の中小規模の建物にまで省エネに係る規制が拡大されました。

我々の冷凍空調業界としては省エネ設備の普及促進と既存設備の省エネ化推進が最重要課題で す。特に、2,000m2未満の中小規模の建築物は日本冷凍空調設備工業連合会の傘下の会員企業が 関与する分野であり、今後はこの省エネ対策に注力する必要があります。

これまで大規模建築物を中心とした環境実測や省エネ対策は行われてきましたが、今後は小規 模建築物に対する省エネ対策も不可欠です。省エネ対策を行うためには、まずエネルギー使用状 況を把握する必要があります。しかし、小規模建築物のエネルギー使用実態を表すデータはほと んどないのが現状であり、まずこの使用実態の把握が重要となります。

このため、日本冷凍空調設備工業連合会は「省エネルギー推進のための実態調査等補助事業」

としてエネルギー使用状況調査を昨年度よりスタートし、3年間継続して100件程度のエネルギ ー使用実態のデータ収集を行う計画です。

昨年度は全国で 34 件のデータを収集し、分析結果等は報告書として取り纏め、本年度も既に 36件の小規模建物の調査を実施し始めています。これと併せて技術セミナーも行い、省エネ法改 正の周知徹底と普及を図ることにしています。

この事業の実施に当たり多大なご支援を頂きました財団法人JKA(旧日本自転車振興会)に 対し感謝を申し上げます。

平成20年9月

(社)日本冷凍空調設備工業連合会 専務理事 吉川 慧

(5)

第1章 省エネルギー法改正

1.1 省エネルギー法改正について

2005年に続いて今年2008年5月30日に省エネ法が再改正された(下図参照)。これまで一定 規模以上の大規模な工場に対してエネルギー管理の義務を課していたが、この改正により事業者 単位のエネルギー管理が義務づけられることになった。また、一定の要件を満たすフランチャイ ズチェーンについても、チェーン全体を一体として捉え、本部事業者に対し、事業者単位と同様 の規制が行なわれることになった。すなわち、中小規模の事業場を数多く設置する事業者を新た に義務の対象に加え、産業部門を含めた、事業者の経営判断に基づく効果的な省エネルギーの取 組を促す内容になっている。

また、今までは2,000㎡以上の建物の新築時や改修時に省エネ対策が課されていたが、今回の 改正により、中小規模の建物にまで省エネにかかわる規制が拡大された。その他、いくつかの改 正が行なわれた。今回の大幅な法改正の詳細は今後、政令・省令・告示として改正公布されるが、

現時点では未だ詳細が明らかになっていないので、ここでは現行の省エネルギー法に係わる内容 を述べることにする。

1.2 現行の省エネルギー法

2005年8月10日にそれまでの省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)は改正さ れ、2006年4月に施行された。現在の省エネ法の概略構成は図1-1のようになっている。

(6)

ここにゴシック文字で示された部分が前回改正のあった部分である。また図 1-2 は、工場・

事業場に係わる分野、運輸に係わる分野、住宅・建築物にかかわる分野、の3つに分けて前回の 法改正のポイントを示したものである。以下、住宅・建築物にかかわる改正概要と工場・事業場 にかかわる改正概要について簡単に解説する。

1)住宅・建築物にかかわる平成8年度改正の概要

従来、住宅・建築物にかかわる分野では新築時に対する規制(建築主の努力義務)のみであっ たが、前回の改正で運用時に対する規制が追加された(これにより従来の「建築主の努力」が「建 築物の建築をしようとする者等の努力」という表現に改められた)。すなわち、以下の新法文第 72条第二項を見てわかるように所有者(管理者)に対する省エネの努力義務が課されることにな った。また、前回の改正によって大規模な改修等を行うときには、新築と同様の取り扱いがなさ れることになった(改修時にもPALやCECの計算が必要になる。但し、一般に改修時は確認申 請を行うケースは少ないため、提出時期に関しては新築時とは別の取り扱いになる)。

さらに、前回の改正で2,000m2以上の住宅についても省エネ措置の届出が必要になった。すな わち、従来2,000m2以上の住宅を除く建物を新築するときには省エネ計画書等の届出が必要であ ったが、本年4月以降は住宅も含めて新築・改修それぞれの場合に届けを出すことになった。

さらにこの届けを提出した建物は、その後も省エネという視点から適正に維持保全がされてい ることを報告しなければならなくなり、その維持保全状況に問題がある場合は勧告を受けること になった。

2)工場・事業場にかかわる平成18年度改正概要

PAL、CEC は「建築主の省エネルギー化努力」をみる指標として使われてきたが、「事業主の

省エネルギー化努力」を見る基準として、事業者の判断基準が定められている。

この基準は省エネ法制定当初は工場のみを対象とするものであったが、1998年の法改正により、

建築についても一部対象となり、2002年の法改正で、運用時の年間のエネルギー消費量が一定値 以上の建物に対しては事業主の努力義務として、定期報告や中長期計画書の提出などの義務が課 せられるようになった。ここに、一定以上の一定とは、燃料の年間使用量が ①3000klあるいは ②

1500kl、電気の年間使用量が ①1200万kWhあるいは ②600万kWhをいう。そして、①以上

のエネルギーを消費する建物の事業者は第1種指定事業者(工場の場合は第1種特定事業者と呼 ぶ)として、エネルギー管理員の選任(第1種特定事業者の場合はエネルギー管理者(エネルギ ー管理士)の専任が必要となる)、中長期計画の作成・提出、中長期計画作成の際のエネルギー管 理士の参画、定期報告等の義務を負う。また、②以上のエネルギーを消費する建物の事業者は第 2種特定事業者として、エネルギー管理員の選任、定期報告などの義務を負う。

前回の法改正では、この熱と電気を一本化し、合計エネルギー量が 3000kl/年以上のものを第 一種エネルギー管理指定工場、1500 kl/年以上を第二種エネルギー管理指定工場と呼ぶことにな った。

(7)

図1-1 省エネ法の構成と改正概要

エネルギー管理員の選任

(8)

図1-2 省エネ法改正のポイント

1.3 住宅・建築物にかかわる省エネルギーの判断基準

1)これまでの省エネ法・告示の改正経緯の概要

第二次オイルショックがあった1979年の10月に省エネ法が施行され、翌年の1980年にオフ ィスビルの省エネ判断基準値(建築主の判断基準;年間熱負荷係数(PAL)と空調エネルギー消 費係数(CEC))が告示され、確認申請時にはこれらの数値を計算して省エネルギー計画書とい う様式にまとめて提出することになった。当初は床面積 3,000m2以上の事務所ビル(1983 年 3

月以降は2,000m2以上)のみを対象としていたが、その後、物販店舗(1985年告示)、ホテル・

旅館等(1991年告示)、病院・学校(1993年告示)、飲食店舗(1999年告示)、と対象建築用途 が拡大し2003年の改定で全用途が対象となった。

適用用途の拡大だけでなく、1993年の省エネ法改正時には機械換気設備、給湯設備、照明設備、

昇降機設備などの判断基準値が制定された。1993年の改正で、当初は空調設備だけの係数を示す 概念であったCECは、CEC/ACと改称され、新しく、CEC/V、CEC/HW、CEC/L、CEC

/EVの四つの係数が登場した。また、2003年の告示改正では、従来のPAL、CECによる性能 基準以外に、より計算が簡単な仕様基準(通称:ポイント法基準)も追加され、さらに 2005 年 の省エネ法改正で、新築時だけでなく改修時にも省エネ法の適用が行われることになった。

このように、PAL、CECによる省エネ判断基準は当初公表されて以来、法改正や告示改正によ って、対象となる建築用途や対象となる設備などが拡大され、かつ基準値自体も変化し、計算式 や計算条件なども技術の進歩や建物の利用実態等にあわせて変更・修正が加えられつつ現在に至 っている(計算値は一次エネルギー消費量によって示されるが、電力の一次エネルギー換算値は 年により変化があるので年代の違う数値を比較するようなときには注意が必要である)。

2)PAL、CEC等の判断基準について

建築物に係わる省エネの判断基準は大きく性能基準と仕様基準がある。この基準の考え方は新

(9)

築建物でも改修建物でも共通である(改修の場合は少し簡略化した考え方も用意されている)が 以下簡単にその基準値の計算の考え方を示す。

(1) 性能基準概要

以下に示す PAL、CEC の値が省エネ法の告示に示された性能基準値(判断基準値)を下回る ように計画することが求められる。

① PAL

建物の外皮の省エネルギー性能に係わる指標であり以下の式で示される。

PAL =

② CEC/AC(空調エネルギー消費係数)

空気調和設備に係わるエネルギーの効率的利用を示す指標で、次式で示される。

CEC/AC =

この値を計算するために、手計算手法の他にコンピューターシミュレーションプログラム

(BECS)手法がある。

③ CEC/V(換気エネルギー消費係数)

機械換気設備に係わるエネルギーの効率的利用を示す指標で、次式で示される。

CEC/V =

通常は換気するところを、冷房設備によって対応するような場合は、換算式によって換気設備 とみなして計算する。

④ CEC/L(照明エネルギー消費係数)

照明設備に係わるエネルギーの効率的利用を示す指標で、次式で示される。

CEC/L =

⑤ CEC/HW(給湯エネルギー消費係数)

給湯設備に係わるエネルギーの効率的利用を示す指標で、次式で示される。

CEC/HW =

各月毎に計算を行う方法と、月別の計算を省略する方法の2通りが用意されている。局所給湯 システムは対象外である。

⑥ CEC/EV(エレベーターエネルギー消費量)

エレベーター設備に係わるエネルギーの効率的利用を示す指標で、次式で示される。

年間空調消費エネルギー量(MJ/年)

年間仮想空調負荷(MJ/年)

ペリメータゾーンの年間熱負荷(MJ/年)

ペリメータゾーンの床面積(m2

年間換気消費エネルギー量(MJ/年)

年間仮想換気消費エネルギー量(MJ/年)

年間照明消費エネルギー量(MJ/年)

年間仮想照明消費エネルギー量(MJ/年)

年間給湯消費エネルギー量(MJ/年)

年間仮想給湯消費エネルギー量(MJ/年)

(10)

CEC/EV=

事務所等用途、ホテル等用途だけに適用される。

⑦ エネルギー利用効率化設備を設置した場合について

CEC には上の5種類があるが、これらの 5種類の設備以外にも、太陽光発電システム、コジ ェネレーションシステム、高効率変圧器等の設備(エネルギー利用効率化設備)を設置したとき には、それにより削減できる年間エネルギー量を計算し、これを建物全体の年間消費エネルギー 量で除した割合を、CECの値から一律引くことによりその効果を反映することができる。

例えば建物全体のエネルギー消費量が5%削減できるときには、上に述べた 5種類のCEC の それぞれの計算結果の値に0.95を掛けたものがその建物のCEC値となる。

(2)仕様基準(ポイント法)概要

省エネルギー性に関係する項目や要素ごとに評価対象建物の仕様をチェックし、省エネルギー 的な仕様であれば評価基準に従って評価点を与えていく。チェックが終わった段階で、全部の評 価点を合計し、補正点を加算し総合点を求め、この総合点をポイントと称する。

このポイントが100点以上であれば省エネルギー基準に適合するものと判断される。以下ポイ ント法における評価要因をa)~e)に示す。

a)外壁、窓等を通しての熱の損失の防止

評価要因;建築物の配置計画及び平面計画、外壁及び屋根の断熱性能、窓の断熱性能、窓の 日射遮蔽性能

b)空気調和設備に係わるエネルギーの効率的利用

評価要因;外気負荷の軽減対策、室外機の設置場所および配管の長さ、熱源機器の効率 対象建物;空冷式パッケージエアコンまたはガスヒートポンプエアコンを採用する建物 c)照明設備に係わるエネルギーの効率的利用

評価要因;照明器具の効率、制御方法、配置、照度の設定並びに室等の形状及び内装仕上げ d)給湯設備に係わるエネルギーの効率的利用

評価要因;配管経路の短縮と断熱化、制御方法、熱源機器の効率など 対象建物;セントラル方式の給湯設備を持つ建物

e)昇降機に係わるエネルギーの効率的利用 評価要因;制御方式、エレベーター設置台数 対象建物;ホテル等、および事務所等用途

1.4 大規模修繕等における省エネルギー評価について

先に述べたように2006年4月から大規模修繕等を行う場合には省エネの届けが必要になった が、判断基準値等の考え方は新築時と同じである。しかし、改修時には新築時とは違う状況が想 定されるため判段基準値の計算等に当たっては改修時独自の考えも許されている。

以下、空調設備について改修時の計算法についての概要を述べる。

年間エレベーター消費エネルギー量(MJ/年)

年間仮想エレベーター消費エネルギー量(MJ/年)

(11)

1)届出の対象となる改修・修繕について

2,000 ㎡以上の建物の主要空調設備を一定規模以上、改修・修繕する場合に届け出の対象とな

る。主要空調設備とは、表1-1に示す熱源機器、ポンプ、空気調和機をいう。冷却塔のような 補機のみを改修するときは対象にはならない。ポンプは空調機に対して直接冷水や温水を供給す るポンプのみが対象になる(1次、2次で区別する場合は冷水2次ポンプ、温水2次ポンプ、冷 温水2次ポンプのみ)。

また、一定規模以上とは、主要空調機器を改修する場合に、

① それらの機器の建物全体の容量の1/2以上を更新・改修するとき

② それら改修・修繕する機器の合計容量が 2,000㎡以上の建物の設備容量に相当する容量を 超えるとき

③ 空気調和機については1フロア以上の改修を行うとき をいう。これを一覧表にすると表1-2になる。

すなわち、この表1-2のどれかに当てはまる場合は届出が必要になる。また、この表のなか の機器の定格出力、定格流量、定格風量とは、図面や銘板などに記された出力(能力)、流量、風 量などをいう。

2)省エネルギー評価の考え方

評価の考え方は改修工事の場合も、従来の新築時の考え方と同じであり、性能基準(CEC/AC)

又は仕様基準(ポイント法)の2つが用意されている。基準値も新築、改修どちらも同じ値であ る。但し、現行の基準を満足していない空調設備を改修する場合、全面的な改修を行う場合は基 準値を満足できる可能性は大きいが、部分的な改修工事の場合は基準を満たせない場合も想定さ れる。そこで、改修部分について一定の省エネルギー改善がなされれば可とする考え方も用意さ れている。

図1-3に改修工事における評価フローを示す。上に述べたように、評価方法は大きく「空調 設備全体で評価する方法」(従来の評価法)と「改修部分だけで評価する方法」の2通りある。

2つの評価方法のうちのどちらを使用するかは任意である(ただし、改修後に建物用途が変わ る場合などには空調設備全体で評価する必要がある)。また、空調設備全体で評価した場合は、

改修後の空調設備のCEC/AC又はポイントは改修後の値になるが、改修部分だけで評価した場 合は、建物全体の CEC/AC あるいは建物全体のポイントを計算しないため、改修後も CEC/ ACまたはポイントは改修前の値が生きることになる。

(12)

表1-1 届出の対象になる主要空調設備の例 熱源機器 暖房用 ・ボイラ

・真空温水機

・無圧式温水機

・ヒートポンプ冷凍機

・冷温水発生機

・パッケージ室外機 冷房用 ・圧縮式冷凍機

・吸収式冷凍機

・ヒートポンプ冷凍機

・冷温水発生機

・パッケージ室外機 暖房用 ・温水2次ポンプ

・冷温水2次ポンプ ポンプ

冷房用 ・冷水2次ポンプ

・冷温水2次ポンプ 空気調和機 ・空調機

・外調機

・ファンコイルユニット

・パッケージ室内機

・ファンコンベクター

表1-2 空気調和設備の大規模改修の要件

機器分類 ① ② ③

暖房用 交 換 す る 熱 源 機 器 の 定 格 出 力 の 合 計 が 全 体の1/2以上

交換する熱源機器 の定格出力の合計

が300kW以上 -

熱源機器

冷房用 交 換 す る 熱 源 機 器 の 定 格 出 力 の 合 計 が 全 体の1/2以上

交換する熱源機器 の定格出力の合計

が300kW以上 -

暖房用 交 換 す る ポ ン プ の 定 格 流 量 の 合 計 が 全 体 の1/2以上

交換するポンプの 定格流量の合計が

900 l/min以上 -

ポンプ

冷房用 交 換 す る ポ ン プ の 定 格 流 量 の 合 計 が 全 体 の1/2以上

交換するポンプの 定格流量の合計が

900 l/min以上 -

空気調和機 交 換 す る 空 気 調 和 機 の 定 格 風 量 の 合 計 が 全体の1/2以上

交換する空気調和 機の定格風量の合 計 が 60,000m3/h 以上

1 つの階に設 置 さ れ ている 全 て の 空気調 和 機 を 交換す る場合

(13)

-9-

届出の対なる 大規模改 空調設備全評価 or 修部分だけで評価 改修後の全体のCEC/AC算出 する (改修前のCEC/ACは不要) (BECS・EFH法・ポインいず れでも EFH法改修後の状態 PAL計算が必要

空調設備全体で評価(原則 5,000㎡ 且 修後がパッケージ方式のみ

改修 改修 CEC/AC≦基準値 改修内容の見直

NO(基準値をオ

YES NO 改善率を求め 改修 改善基準値善率 OKYES

CEC/ACで評 or ポイ法で評CEC/AC 改修ポイ で評価

ポイント改修CEC/AC 算結果がある 改修前CEC/AC 求め (BECS・EFH法) 手計は改修 前のPAL必要

NO YES ポイ100 CEC/ACで評 或は 内容の見直し

延床面積が5,000㎡以下  改修後がパッケジ方式の NO 改修内容の見直し

NO

YES CEC/ACで or 法で評価 改修後 法で評価

ポイ ポイント100 NO OKYES

NO 改修部けで 評価 NO改修部分 評価を行うか NO CEC/ACで評 修内容の見直し

CEC/AC YES

修工事で建物用途が変わる場合は 調設備全体で評価する 図1-3 空気調和設備の大規模改修での省エネルギー性能の評価フロー

(14)

3)計算方法

CEC/AC計算とポイント法の2通りの計算法があるが、以下、改修時にポイント法で省エネ

ルギー評価計算を行なう場合について[財団法人 建築環境・省エネルギー機構 建築物の省エ ネルギー基準と計算の手引 新築・増改築の仕様基準(ポイント法)]から抜粋して述べる。

先に述べたように仕様基準を用いるときには改修時も新築時も同じであるので、以下記述する 内容は新築時、改修時共通である(但し、改修時は改修部分のみについて以下の計算を行なうこ とでも良い)。

(1)仕様基準「ポイント法」適用のための条件

まず、仕様基準「ポイント法」を用いる場合は次の①と②の両方の条件を満たさなければなら ない。

① 対象建物の延床面積が5,000㎡以下であること。

② 対象建物の空調設備が空冷式パッケージエアコン(水冷式は除く)又はガスヒートポンプエ

アコン(GHP)であること。

ここで対象となる空冷式パッケージエアコンとガスヒートポンプエアコンは日本工業規格

B8616-1999 及びB8627-2000に規定された試験方法に則って性能表示がされているエアコンデ

ィショナであることが条件となり、ビルマルチ方式のものもこの範疇に入る。以下の空調方式を 採用した建物は、5,000㎡以下でも仕様基準は適用できないので、性能基準を適用する。

・セントラル方式

・氷蓄熱式パッケージエアコン(ビルマルチ方式を含む)

・水冷式パッケージエアコン

・水熱源ヒートポンプエアコン

・灯油ヒートポンプエアコン(KHP)(ビルマルチ方式を含む)

・地域冷暖房施設から熱供給を受けている場合

・空冷式パッケージエアコンまたはガスヒートポンプ冷暖房機と上記方式との併用

また、ここでいう空気調和設備とは「空気を浄化し、その温度、湿度および流量を調節して供 給(排出を含む)することができる設備」(建築基準法施行令第20 条の2第2号)をいい、単なる ルームエアコンや温風暖房機、単独運転の換気扇等は、このような見方からは空気調和設備では ないため、基準の対象にはならない。

(2)評価方法

・外気負荷の軽減(全熱交換器、予熱時外気シャットオフ)、

・室外機の設置場所及び配管の長さ(冷媒管長)、

・熱源機器(室外機)の効率

の3つの視点から判断して、その評価点と補正点(K0)の合計(ポイント)が100点以上になるかど うかにより評価する。

具体的には

① 外気負荷の軽減(全熱交換器)の評価点(2K1、K1、0)(0~60点)

② 外気負荷の軽減(予熱時外気シャットオフ)の評価点(K2、0)(0~20点)

③ 室外機の設置場所及び配管の長さの評価点(K3、0)(-15~0点)

(15)

④ 熱源機器(室外機)の効率の評価点(0~60点)

⑤ 補正点(K0)(80~95点)

の5つの項目の合計点が100を超えるように計画する必要がある。

ここに K1~K3、K0は、以下の表に示すような、建物用途や建設地域により変化する係数であ る。またこの表の qC 、qについては後で述べるようにそれぞれ、熱源機器(室外機)の冷暖房平 均 COP 算出のための冷房側の係数(qC)、熱源機器(室外機)の冷暖房平均 COP 算出のための暖 房側の係数(q)である。

表1-3 告示表第2

(16)

以下①~⑤の計算方法について述べる。

① 全熱交換器採用による評価点の計算法

外気負荷を軽減する手法として、全熱交換器の採用と予熱時外気シャットオフ制御があるが、

この項目は全熱交換器の採用について評価をするものである。

全熱交換器を設置したとき、ビルの全ての外気導入量に対して全熱交換器を入れる場合を 100%としたときに比べた設置の割合(%)と、熱交換効率及びバイパス制御の有無によって評 価点を決める。

すなわち、建物の全取入外気量の90%以上に対して、熱交換効率が70%以上の全熱交換器を採 用し、且つバイパス制御を行っている場合は、表1-3の K1の値の 2 倍の点数となり、建物の 全取入外気量の50%以上に対して、熱交換効率が50%以上の全熱交換器を採用している場合は、

表1-3のK1の点数となる。これらのいずれにも該当しない場合は0点である。

以上を表で示すと以下になる。

項目 措置状況 点数

建築物の全取入外気量の90パーセント以上に対して、熱交換効 率が70パーセント以上の全熱交換器及びバイパス制御を採用

2K1

建築物の全取入外気量の50パーセント以上に対して、熱交換効 率が50パーセント以上の全熱交換器を採用

K1

定常時の外気 の取り入れ

上記に掲げるもの以外 0

なお、取入外気量の計算において、空調している室の取入れ外気量は、第1種換気又は第2種 換気においては外気取入れファンの風量(給気風量)を採用し、第 3 種換気においては排気ファン の風量(排気風量)を採用する。建物の全取入れ外気量は、空調している室の全取入れ外気量であ り、便所等で換気のみ行なう場合の、これに対応する外気量は含まれない。

補足1 熱交換効率について

ここでいう「熱交換効率」は、冷房時の全熱交換効率と暖房時の全熱交換効率を平均した値と する。全熱交換器のカタログによっては全熱交換効率をエンタルピー交換効率と称しているもの もあり、その場合は冷房時のエンタルピー交換効率と暖房時のエンタルピー交換効率を平均した 値を「熱交換効率」とする。また、全熱交換効率は全熱交換器の処理風量(取入れ外気量と排気 風量)によって変化するため、メーカーカタログの全熱交換効率を、処理風量によって補正して 用いる必要がある。

また取り入れ外気量と排気風量が異なる場合は、

a)取入れ外気量>排気風量の場合:排気風量が給気風量と等しいとした時の全熱交換効率に、

排気風量/給気風量の比率を掛けた値を用いる。

b)取入れ外気量≦排気風量の場合:排気風量が給気風量と等しいとした時の全熱交換効率を 用いる。

(17)

補足2 バイパス制御について

中間期や冬期にも冷房負荷が発生するゾーンの空調システムでは、冷房時に外気エンタルピー が室内エンタルピーより低い時には、熱交換を行わずに(バイパスし)外気をそのまま取入れる ことにより省エネルギー化が図れる。このような制御を行なうことをバイパス制御という。

バイパス制御は外気と室内空気のエンタルピー差を基準に行うのが望ましいが、小規模ビル用 の全熱交換器では温度差(乾球温度差)を基準に制御する機種が多いため、温度差(乾球温度差)を基 準に制御する方式でも良い。

補足3 顕熱交換器について

顕熱と潜熱の両方を熱交換する全熱交換器に対して、顕熱のみを熱交換する顕熱交換器がある。

顕熱交換器は全熱交換器と比べて省エネルギー効果が劣るため、評価の対象とならない。

補足4 全熱交換器を採用した時のポイント算出例

表1-4のような設備がある場合、冷房時と暖房時の全熱交換効率の平均値を、給排気風量の 比率に応じて補正した値が「熱交換効率」となる。この例では「熱交換効率」と取入外気量の割 合は、

・熱交換効平が70%以上の機器: 全取入外気量の20%(<90%)

・熱交換効率が50%以上の機器: 全取入外気量の60%(≧50%)

になるのでポイントはK1となり、用途が事務所等で地域区分皿とするとポイントは5点となる。

表1-4 熱交換効率と取入外気割合の算出例

② 予冷予熟時外気シャットオフ

室使用開始前の予冷予熱運転時に外気取入れを停止・低減する制御により、予熱時の取入外気 量を定常運転時の取入外気量の 50%未満にする場合は、表第1-3の K2の点数となる。これに 該当しない場合は0点である。

即ち、空調設備全体の設計外気量の50%以上に対して、予熱時外気シャットオフの制御をしてい る場合に評価点K2となる。

項目 措置状況 点数

外気の取り入れを停止することにより、予熱時における取入外 気量を定常時における取入外気量の 50 パーセント未満にする 制御の方法を採用

K2

予熱時の外気 の取り入れ

上記に掲げるもの以外 0

(18)

③ 室外機の設置場所及び配管の長さ(冷媒管長)

パッケージエアコン等は屋内機と屋外機の設置位置や冷媒配管の長さによって効率が変化する。

すなわち、室内機・室外機の高低差が大きく冷媒管長が長いほどパッケージの能カは低下して効 率が悪くなる。この項目はこのような機器本来の性能が設置位置等によって変化することを評価 するものであるが、他の評価とは異なり、カタログ等に標記される効率よりも悪くなる場合をマ イナス点で全体の評価点から差し引くという考え方になっている。

点数の考え方は、ビルマルチ方式か否か、室外機の設置場所が室内機より高い位置か低い位置 かで区分して設定され、「室外機の設置場所及び配管長さ」の値が規定値を超える場合にマイナス の評価点(表1-3のK3の点数)になる。また、ここで冷媒管長は実長を用いる。

以上表にすると以下になる。

措置状況

空気調和設備の種類 室外機の設置場所及び配管長さ 点数 室外機の設置場所が室内機の設置場所よりも高い

場合において、配管長さが30メートルを超えるも の

パッケージエアコン ディショナ又はガス ヒートポンプ冷暖房 機(マルチ方式のも のに限る。)

室外機の設置場所が室内機の設置場所よりも低い 場合において、配管長さが35メートルを超えるも の

室外機の設置場所が室内機の設置場所よりも高い 場合において、室外機と室内機の高低差に配管長 さを加えた値が35メートルを超えるもの

パッケージエアコン ディショナ又はガス ヒートポンプ冷暖房 機(マルチ方式のも のを除く。)

室外機の設置場所が室内機の設置場所よりも低い 場合において、室外機と室内機の高低差に 2 を乗 じて得た値に、配管長さを加えた値が30メートル を超えるもの

K3

上記に掲げるもの以外 0

補足1 ビルマルチ方式の場合

マルチ方式の場合は、配管長さが規定値を超える場合は評価点K3、超えない場合は0点となる。

「配管長さ」は、室外機から最も遠い室内機までの冷媒管長(片道長さ)を指し、その室内機に対 して室外機の設置場所が高いか低いかで配管長さ(30mまたは35m)が決まる(図1-4)。

室外機が複数台ある場合は、室外機毎の配管長さを室外機の冷房能力で加重平均した値とする。

・室外機の設置場所が室内機よりも高い場合:下式による配管長さが30mを超える場合Kз

・室外機の設置場所が室内機よりも低い場合:下式による配管長さが35mを超える場合Kз

式(1)

(19)

図1-4 ビルマルチ方式の場合の評価点K3の条件 補足2 ビルマルチ方式でない場合(室外機と室内機が1対1の場合)

マルチ方式でない場合は、室外機と室内機の高低差と冷媒管長に関する数値が規定値(35mあ

るいは30m)を超える場合は評価点K3、超えない場合は0点となる(図1-5)。

パッケージ(室外機)が複数台ある場合は、室外機毎に算出した値を冷房能力で加重平均した値 が、規定値を超えるかどうかで判断する。

式(2)

式(3)

図1-5

図1-5 ビルマルチ方式でない場合の評価点Kの条件

(20)

補足3 室外機の設置場所が室内機と同じ高さの場合

室外機の設置場所が室内機と同じ高さの場合は、室外機の設置場所が室内機よりも高い場合と 同じ扱いとする。

補足4 ツイン型・トリプル型の場合

ツイン型・トリプル型等(室外機1台に対して室内機複数台が接続されるパッケージで、室内 機は同時運転するもの)は、機器の構造上「ビルマルチでない場合」の基準で判断する。

室外機毎の「室外機と室内機の高低差と冷媒管長に関する数値」は、接続される室内機の内の 最も大きい数値とする。

補足5 ビルマルチ方式とビルマルチ方式でないもの、或いは室外機の設置場所が室内機より高 い機器と低い機器が混在する場合

配管長さ等(パッケージの場合は高低差と配管長さで決まる値)の算出は全ての機器(室外機)

の冷房能力で加重平均した値とする。配管長さの規定値についても各機器に対応する規定値を冷 房能力で加重平均した値を求め、加重平均して求めた算出値と加重平均して求めた規定値を比較 して判断する。

補足6 冷媒配管サイズを標準よりアップした場合

冷媒配管サイズを標準(メーカーカタログ値)よりアップすると能力低下の割合を減らすこと ができる。配管サイズアップは相当長の縮減として考慮できるので、配管サイズアップの効果を 評価する必要がある場合は配管長さとして相当長を用いて評価する。

その場合、告示表中の配管長さの規定値(30m又は35m))を1割増した値(33m又は38m)

に読み替えてよい。

補足7 配管長さに係わるポイントの算出例

表1-5に、ビルマルチ方式とビルマルチ以外のパッケージが混在する場合の配管長さの算出 例を示す。この算出例では、室外機の設置場所及び配管長さの算出値 33.8m>規定値 31.7m で、

ポイントはK3となり、用途が事務所等で地域区分皿とするとポイントはマイナス10点となる。

(21)

④ 熱源機器の効率に係わるポイントの計算

熱源機器とはパッケージエアコン(ビルマルチ含む))の室外機を指し、空気調和設備の冷房能

力合計の70%以上に対して規定のCOP以上の室外機を使用している場合に評価点が与えられる。

すなわち室外機の冷暖房平均COPが 1.25以上の場合は60点、

1.15以上の場合は40点、

1.00以上の場合は20点、

1.00未満の場合は0点となる。

点数の判定の手順を以下のフロー図(図1-6)に示す。

表1-5 配管長さの算出例

(22)

図1-6 熱源機器の効率に関する評価点の判定フロー

ここで用いるCOPは消費電力を一次エネルギー換算したCOPである。冷暖房平均COPは表 1-6(告示に示された表)の式で計算する。空冷式パッケージエアコン(EHP)は「駆動熱源と して電気を用いる場合」の式、ガスヒートポンプエアコン(GHP)は「駆動熱源としてガスを用い る場合」の式を用いる。式中の冷房能力、冷房消費電カ、暖房能力、暖房消費電力、冷房用燃料 消費量、暖房用燃料消費量は、室外機についてのJIS条件での値とし、建物で使用する電力の電 源周波数に応じた値を用いる。メーカーカタログに COP が表示されている場合があるが、評価 点の算定には必ずこの式を用いて冷暖房平均COPを算出する。

(23)

表1-6 冷暖房平均COPの計算式

参考に、一次エネルギー換算COPとEHPで一般に用いられるCOPとのおよその対応を示す。

[参考]一次エネルギー換算COPと一般に用いられるCOPとのおよその対応

補足1 冷房専用機の場合のCOP

EHPで冷房専用機は冷房運転時のCOPを用いる。算出式を下に示す。

COP=C/Cw×3,600/α 補足2 電気の一次エネルギー換算値について

冷暖房平均COPを求める式中のαは、電気の一次エネルギー換算値9,760kJ/kWhを用いる。

昼間と夜間の消費電力量を明確に分けられる場合は、昼夜で別々の一次エネルギー換算値を用い て良いことになっているが、ポイント法で対象とする空冷式パッケージエアコン又はガスヒート ポンプエアコンによる空調方式はそれに該当しないので、常に 9,760kJ/kWh を用いることにな る。また、これらの値は年により変化する場合があるので告示で示された最新の値を用いる。

(24)

補足3 熱源機器(室外機)効率に係わるポイントの算出例

下記条件での熱源機器(室外機)の冷暖房平均 COPと冷房能力割合の算出例を表1-7に示す。

この例ではPAC-1、2、3が電動のパッケージ、PAC-4がGHPであるが、このように混在す る場合も一緒に算出することができる。

条件

用途:事務所等、地域区分:Ⅲ、qc:0.6、qH:0.4、α:9,760kJ/kWh この例で「冷暖房平均COP」と冷房能力の割合は、

・冷暖房平均COPが1.25以上の機器:冷房能力割合0%<70%

・冷暖房平均COPが1.15以上の機器:冷房能力割合81.8%≧70%

であるのでポイントは40点となる。

表1-7 冷暖房平均COPと冷房能力割合の算出例

(25)

1.5 ポイント法(仕様基準)による部分評価の例

以下、「財団法人建築環境・省エネルギー機構 建築物の省エネ措置届出セミナーテキスト」か ら抜粋して述べる。

1) 評価方法

空調設備の大規模改修において改修部分だけをポイント法で評価する場合も、建築全体ではな く改修部分だけを評価することを除けば新築時と全く同じである。ここでいう「改修部分」取替え るパッケージの系統を示す。例えば、パッケージの室外機だけを取替える場合、その室外機の系 統の室内機と冷媒配管を含めて評価し、その系統で全熱交換器や外気取り入れ制御を採用してい ればそれらも含めて評価する。

2) 評価事例

届出の対象となる大規模改修での評価事例を以下に示す。建物概要を表1-8に、空調設備 2

~5 階平面図と空調設備配管系統図を図1-7~1-8に、改修部分の機器一覧表を表1-9~

1-10 に示す。このビルの3階事務所のパッケージエアコン室内機・室外機と全熱交換器、およ び2~5階エレベータホールのパッケージエアコン室内機・室外機を取り替える場合の評価手順を 示す。

表1-8 評価事例の建物概要 建物用途 事務所

地 域 Ⅲ地域

階 数 地上5階、塔屋1階 延床面積 3,800m2

空調方式 空冷ヒートポンプパッケージエアコン(マルチ型)

ガスヒートポンプパッケージエアコン(マルチ型)

表1-11 は外気負荷の軽減に関する計算表であり、改修後の全熱交換器について計算した結果、

取入外気割合100%に対して熱交換器効率50%以上の全熱交換器を採用しているので、ポイント はK1となる。表1-3で事務所〈別表第1(4)〉のⅢ地域のK1は5点である。

表1-12 は室外機の設置場所および配管長さの計算表であるが、高低差と配管長さで決まる値

は39.7mとなり、マルチ型で室外機が室内機より高い場合の配管長さ規定値の30mより長いた

め、ポイントはK3となる。表1-3より-10点となる。 表1-13 は熱源機器の効率の計算表 であり、冷房能力割合100%に対して冷暖房平均COPが1.15以上の熱源機器を採用しているの で、ポイントは40点である。Ⅲ地域の事務所の補正点K0は表1-3より95 点であるので、上 記のポイントに補正点を加えるとポイントは135点となり基準を満たしている。以上を様式例の 表にまとめると表1-14 のようになる。

以上の評価結果の届出書記入例を表1-15(第3面)に示す。改修部分の評価の場合で、改修 前の省エネルギー計画書があり評価点が分かる場合は、その改修前全体の値を記入し、その下に 改修後の改修部分の評価店を記入する。改修前の評価点が分からない場合は改修部分の値だけを 記入する。また、参考に届出書の第1面の記載例を表1-16、第2面の記載例を表1-17 に示す。

(26)

図1-7 空調設備2~5階平面図図1-8 空調設備配管系統図

(27)

表1-9 パッケージ型空調機器機器表(改修部分) 表1-10 換気ファン・全熱交換器機器表(改修部分)

(28)

表1-11 気負荷の軽減に関する計算表 表1-12の室外機の設置場所及び配管の長さ計算表 表1-13 熱源機器(室外機)の効率の計算表

(29)

表1-14 ポイント算出結果 空気調和設備に係わるエネルギーの効率的利用(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ地域共通)

(30)

表1-15 届出書記入例(ポイント法・改修部分の評価)

120(改修前全体)

135(改修部分)

(31)
(32)

表1―16 記載例(大規模修繕)

第一面

◆記載例 表1-16(大規模修繕)◆

(33)

表1―17 記載例(大規模修繕)

第二面

(34)

1.6 工場に係る措置(第五条~第二十条)

1)「改正省エネ法」成立までの経緯

平成17年2月に京都議定書が発効された後、同年4月に開かれた閣議において京都議定書目 標達成計画として19年度に計画に定める対策・施策の推進状況・排出状況などを総合的に評価し、

第一約束期間において必要な対策・施策を20年度から講ずることが決定された。

18 年 4 月に改正された省エネ法ではエネルギー管理指定工場の区分は、熱と電気の使用量を 合算した熱・電一体型とすることにより、管理指定工場の数が増え、また、エネルギー管理士の 資格条件等の変更があった。11月には産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議 会地球環境部会の合同審議会が開催され、20 年2月まで 30回の審議が継続され、「京都議定書 目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告書(案)」がとりまとめられた。

19年5月に安倍前総理が地球温暖化問題に対する提案「美しい星へのいざない」を行い、この 中で「6%削減目標を確実に達成するため、オフィスや家庭を中心に、新たな対策を追加し、本年 度中に京都議定書目標達成計画を見直すこと。」を宣言し、これに沿って甘利前経済産業大臣は、

省エネルギー対策の更なる強化策としてエネルギー消費の増加が著しい民生部門の対策について、

幅広く規制と支援の両面から検討を行うように指示した。

これを受けて、6月に総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会 政策小委員会が発足し、

規制面からの抜本的見直しと支援面からの抜本的強化等をまとめた報告書「今後の省エネルギー 対策の方向性について」を12月に提出した。

20年3月28日に先の最終報告書が改定された。この中で、改定前の現行計画では2,200~3,600 万t-CO2の不足が見込まれるが、今後、各部門において現行対策に加え、追加対策・施策を全力 で取り組むことにより、約 3,700万 t-CO2以上の排出削減効果を見込み、京都議定書の▲6%目 標が達成し得ると報告された。

省エネ法の改正案は5月23日に参院本会議において可決、成立し、21年4月1日から施行 されるが、事業者単位の規制への変更、コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーン事業 の新規制導入等は平成22年4月1日から施行される。

以下、「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告書」および総合資源エネル ギー調査会省エネルギー部会 政策小委員会での審議内容と報告書「今後の省エネルギー対策の 方向性について」から、各業界における省エネへの取り組みを紹介する。

2)京都議定書目標達成の対策と施策

1990年度を基準に2005年度までの最終エネルギー消費量の推移は1.1項で記述されている ように1990年度から温室効果ガス排出量は年々増加し、図-1に示すように2005 年度のCO2

総排出量の確定値は13億5,900万t-CO2となり、基準年度値を7.7%上回り、この中エネルギー 起源によるものが全体の約90%を占める。2010年度に基準年度比の▲6.0%を達成するために改 定「京都議定書目標達成計画」では、現行対策に加えて追加対策として産業界における自主行動 計画の拡充・強化、工場・事業場におけるエネルギー管理の徹底、住宅・建築物の省エネ対策の強 化等の拡充を図るとともに、新エネルギー対策、原子力の推進等の排出抑制対策・施策の推進に

より約3,700万t-CO2(基準年比の-1.8%~-0.8%)以上の排出削減を見込み、これに森林吸収

(35)

源(-3.8%)や京都メカニズム(-1.6%)を合わせることにより京都議定書の目標(-6%:1,359 百万t-CO2→1,196百万t-CO2)を達成する計画である。

日本経団連は環境自主行動計画において2010年度の二酸化炭素排出量を1990年度比±0%以 下に抑えることを目標に掲げ、また、経団連以外の個別業種も個別単位で温室効果ガス排出削減 計画(自主行動計画という)を策定している。今後は未だ自主的行動計画を策定していない業種 あるいは目標計画が定性的な業種に対して国が計画の厳格な評価・検証の実施を行うようにする と共に既に目標を達成している業種に対しては目標の引き上げを行うなどの対策が必要となって くる。

改定「京都議定書目標達成計画」に示された目標達成のための対策と施策は次の通りである。

(1)温室効果ガスの排出削減・吸収に関する対策・施策

① 温室効果ガスの排出削減対策・施策(主な追加対策の例)と効果

・自主行動計画の推進(産業部門) :約1,900万t-CO2

・住宅・建築物の省エネ性能の向上 :約200万t-CO2

・トップランナー機器等の対策 :約130万t-CO2

・工場・事業所等の省エネ対策の徹底 :約300万t-CO2

・自動車の燃費改善 :約350万t-CO2

・中小企業の排出削減対策の推進 :約170万t-CO2

・都市緑化、廃棄物・代替フロン等3ガス等の対策 :約360万t-CO2

・新エネルギー対策の推進 :約130万t-CO2

② 温室効果ガス吸収源対策・施策

間伐等の森林整備、美しい森林づくり推進国民運動の展開:約130万t-CO2

(2)横断的施策

・排出量の算定・報告・公表制度

・国民運動の展開

図-1 2010年度温室効果ガス排出量の見通し

出典:平成202月 京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告書(案)の改正

(36)

以下、速やかに検討すべき課題

・国民排出量取引制度

・環境税

・深夜化するライフスタイル・ワークスタイルの見直し

・サマータイムの導入

(3)温室効果ガスの排出抑制・吸収量の目標

2010年度の温室効果ガス別の排出量の目安は次の通り。

2010年度の排出量の目安(注)

百万t-CO2

基準年 総排出量比 エネルギー起源CO2 1,076~1,089 +1.3%~+2.3%

産業部門 424~428 -4.6%~-4.3%

業務その他部門 208~210 +3.4%~+3.6%

家庭部門 138~141 +0.9%~+1.1%

運輸部門 240~243 +1.8%~+2.0%

エネルギー転換部門 66 -0.1%

非エネルギー起源CO2、CH4、N2O 132 -1.5%

代替フロン第3ガス 31 -1.6%

温室効果ガス排出量 1,239~1,252 -1.8%~-0.8%

出典:平成202月 京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告書(案)の改正

表-1 温室効果ガスの排出抑制・吸収量の目標

(37)

3)現行省エネ法による工場・事業場に係る措置

(1)エネルギー管理指定工場の区分

平成18年4月に省エネ法が改正され、エネルギー管理指定工場の区分は、図-2に示すように 従来は熱と電気の使用量は別々の管理がされていたが、熱・電一体型管理をするよう定められ、

これに伴い、一定規模以上のエネルギー(熱+電気)の使用者が規制対象となった。

(2)エネルギー管理指定工場数

これにより表-2に示すように管理指定工場の数は拡大し、平成18年3月末から平成20年3 月末までには工場が約1,730、事業場は約1,200増加し、14,116事業所となった。

工場 事業場 工場 事業場 工場 事業場 第1種 4,403 1,207 5,610 第1種 5,594 1,863 7,457 第1種 5,719 1,921 7,640 第2種 3,245 2,334 5,579 第2種 3,427 2,667 6,094 第2種 3,656 2,820 6,476 7,648 3,541 11,189 9,021 4,530 13,551 9,375 4,741 14,116

(3)工場・事業場に係る措置

現行省エネ法における事業者の区分は、つぎのとおりである。

① 年度間3,000kl以上のエネルギーを使用する工場・事業場は第一種エネルギー管理指定工場

となり、これを設置する事業者は第一種特定事業者

② 上記第一種特定事業者のうち製造業者を除く事業者が第一種指定事業者

平成18年3月末(改正前) 平成19年3月末(改正後) 平成20年3月末

出典:H 20-4-24 総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会 提出資料

表-2 エネルギー管理指定工場数の推移

第1種 第2種

熱管理指定工場 3,000kl 以上 1,200万kWh以上 電気管理指定工場 1,500kl 以上 600 万kWh 以上

エネルギー管理指定工場(熱。電気合算値)

第1 種:3,000kl 以上 第2 種:1,500kl 以上

図-2 エネルギー管理指定工場指定の新区分

出典:(財)省エネルギーセンター 「省エネ改正法」 パンフレット

(38)

③ 年度間1,500kl以上のエネルギーを使用する工場・事業場は第二種エネルギー管理指定工場 となり、これを設置する事業者は第二種特定事業者

第一種エネルギー管理指定工場および第二種エネルギー管理指定工場の事業者区分、事業者の 義務、事業者の目標を図-3に示す。

4)改正省エネ法の背景

(1)産業部門の現状

産業部門には、製造業、農林水産業、鉱業、建設業などがあり、総エネルギー消費量はわが国

全体の 45%を占める。そのうちの約9割が製造業であり、省エネ規制のカバー率は約 90%に達

している。とりわけ製造業は、第一次石油ショック以来エネルギー価格の高騰や円高などに対処 するため、生産コストの低減と生産性向上などに努めるとともに、部署ごとにエネルギー管理組 織を整備し、PDCAサイクルにより省エネルギー推進体制が確立されてきている。

例えば、全工場の省エネチェックリストの作成、工場の横断的な省エネに関する改善事項やノ ウハウの発掘と水平展開、社内ネットワークによる全工場のエネルギー管理などの取組などを行 っている。

従って、産業部門においてはエネルギー消費量は 1990 年以降はほぼ横ばいであり、エネルギ ー消費原単位は1973年を100とすると2006年では約45%も減少している。

また、製造業の工場では、省エネエネルギー管理指定事業場のカバー率(エネルギー使用量ベ

ース)は87%と高い。

図-3 省エネルギー法による工場・事業場に係る措置

出典:H 20-4-24 総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会 提出資料

(39)

(2)産業部門の課題

産業部門においては、今後、さらにエネルギー管理の徹底を図るためには、大企業と比べて省 エネ取組に遅れが見られる中小企業では、エネルギー効率の改善が遅れている傾向があり、また、

資金、技術、人材、ノウハウ等が不足しており、大企業による省エネ支援や省エネ技術の導入可 能性に関する診断やESCOを活用した支援事業等の強化が必要である。

(3)業務部門の現状

業務部門は、事務所・ビル、デパート、卸・小売業、飲食店、学校、ホテル・旅館、病院、劇場・

娯楽場、その他サービス(福祉施設)の 9 種類に大きく分類される。 2004 年度の業務部門の エネルギー消費量は約74.1百万klであり、図-4に示すように卸・小売業が約21%、事務所・

ビルが約19%、病院、ホテル・旅館の順にエネルギー消費量が多い。

業務部門におけるエネルギー消費を空調、給湯、動力・照明など用途別エネルギー消費原単位(エ ネルギー消費量÷延床面積)の推移に見ると、動力・照明用の伸びが大きく、2006年度では全体

の約46%を占め、最も多い。その増加の要因は、一人当たりの延床面積の増加、OA機器の普及、

居住者のニーズの高度化(快適環境の要望:照明・空調、複合用途化)によるものである。一方、

冷房用エネルギー消費原単位は、機器の高 COP 化、購入の一巡により横ばいである。業務部門 では、エネルギー消費規模が小さいスーパー等の小売業、外食産業、学校、ホテル、病院等が多 く、省エネ法の対象外であり、このためエネルギー消費で見た省エネ法の対象カバー率が産業部 門と比べて極端に低く、現状では約1割である。

また、エネルギー消費量が一定規模以上のオフィス、商業等の事業場は、省エネ法に基づくエ ネルギー管理指定工場の対象であるが、産業部門と比較すると、エネルギー管理に関する人材や 知見が十分でないために、エネルギー原単位管理を実施している事業場の割合が少ないのが実態 である。しかし、一方では省エネ法の指定対象となっていいない企業において企業単位で省エネ を取り組んでいるところも出てきている。例えば、ある外食産業ではオンラインシステムにより 週単位の各店舗の電力、ガス料金を本社で管理しているケース、また、あるドラックストアでは 店舗ごとに光熱費を集計し、エネルギー管理を本社から改善指示をしているケースもある。

(4)業務部門の課題

スーパー、家電量販店、外食産業、ホテルなど共通した省エネ取組が可能な複数の店舗等を有 する事業者の中には、複数の店舗を一体的に省エネの取組を進めているところも見られるが、そ の比率は総合スーパーを除いてはまだ小さい(図-5)。総合スーパーは179店舗中109店舗が 指定され規制の対象になっているが、中堅スーパー、家電販売店、ホテルの指定店はまだ少なく、

ビジネスホテル、外食産業では未指定である。

図-4 業務部門業種別エネルギー消費量の構成

出典:エネルギー経済統計要覧から資源エネルギー庁作成

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名      称 図 記 号 文字記号

収入の部 学会誌売り上げ 前年度繰り越し 学会予算から繰り入れ 利息 その他 収入合計 支出の部 印刷費 事務局通信費 編集事務局運営費 販売事務局運営費

収入の部 学会誌売り上げ 前年度繰り越し 学会予算から繰り入れ 利息 その他 収入合計 支出の部 印刷費 事務局通信費 編集事務局運営費 販売事務局運営費

高効率熱源機器の導入(1.1) 高効率照明器具の導入(3.1) 高効率冷却塔の導入(1.2) 高輝度型誘導灯の導入(3.2)

• 熱負荷密度の高い地域において、 開発の早い段階 から、再エネや未利用エネルギーの利活用、高効率設 備の導入を促す。.

*一般社団法人新エネルギー導入促進協議会が公募した 2014 年度次世代エネルギー技術実証事

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