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平成21年度 我が国機械工業企業と欧米企業の戦略

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(1)

日機連21高度化-11

平成21年度

我が国機械工業企業と欧米企業の戦略 に関する比較検討調査報告書

平成22年3月

社団法人 日本機械工業連合会 株式会社 東 レ 経 営 研 究 所

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

http://ringring-keirin.jp

(2)

我が国機械工業における技術開発推進は、ものづくりの原点、且つ、輸出立国維持 には必須条件です。

しかしながら世界的な経済不況脱出で先進国の回復が遅れている中、中国を始めと するアジア近隣諸国の工業化の進展と技術レベルの向上は進んでいます。そして、我 が国の産業技術力の弱体化など将来に対する懸念が台頭してきております。

これらの国内外の動向に起因する諸課題に加え、環境問題、少子高齢化社会対策等、

今後解決を迫られる課題も山積しており、この課題の解決に向けて、技術開発推進も 一つの解決策として期待は高まっており、機械業界をあげて取り組む必要に迫られて おります。

これからのグローバルな技術開発競争の中で、我が国が勝ち残ってゆくためには、

ものづくり力をさらに発展させて、新しいコンセプトの提唱やブレークスルーにつな がる独創的な成果を挙げ、世界をリードする技術大国を目指してゆく必要があります。

幸い機械工業の各企業における研究開発、技術開発にかける意気込みにかげりはなく、

方向を見極め、ねらいを定めた開発により、今後大きな成果につながるものと確信い たしております。

こうした背景に鑑み、当会では機械工業に係わる技術開発動向調査等の補助事業の テーマの一つとして株式会社東レ経営研究所に「我が国機械工業企業と欧米企業の戦 略に関する比較検討調査」を調査委託いたしました。本報告書は、この研究成果であ り、関係各位のご参考に寄与すれば幸甚です。

平成22年3月

社団法人 日本機械工業連合会 会 長 伊 藤 源 嗣

(3)

はしがき

現在、世界の経済環境は、米国発の百年に一度の世界不況の最中にあり、新興国の中に は内需拡大策により、不況前とあまり変わらない経済成長を達成している国もありますが、

先進国を始め多くの国では危機の影響で輸出を中心に需要が大きく落ち込んでおり、雇用 の状況も低調に推移しています。

国内外の新聞や経済誌等の論調も、国内外ともに短期での景気回復は難しいと見ていま す。その一方で、中長期的には、アジアをはじめとした新興国市場は今後ますます拡大す るとの見方が大勢をしめ、新興国市場をめぐるグローバル競争は一段と激しくなると考え られます。

日本の市場はといえば、中国等新興国への輸出回復で若干の持ち直し感はあるものの、

明確な景気回復の方向を見出しえないまま、じっと耐え忍んでいるという状況です。加え て、我が国は長期の人口減少トレンドにあり、今後、人口比例的な需要も減少していくも のと考えられます。

このような状況下にあって、我が国企業がさらなる成長を志向するためには、海外市場、

特に成長センターである新興国、とりわけアジア市場に打って出る必要があります。

しかしながら、情報通信・輸送技術等の発達・普及の結果、欧米先進国企業ばかりか工 業国として実力を付けた中国、韓国等の新興国企業とのビジネスモデル構築、商品開発、

コストダウンなど熾烈な競争があり、我が国の『モノづくり』技術力に頼った輸出戦略で は次第に立ち行かなくなると考えられます。

現在の不況をいち早く抜け出すための新たな世界戦略・グローバル戦略の構築が喫緊の 課題となっています。

こうした背景に鑑み、当社では「我が国機械工業企業と欧米企業の戦略に関する比較検 討調査」に関する調査研究を受託し、その結果を本報告書に取りまとめました。本調査の 実施ご支援いただきました、社団法人日本機械工業連合会の会員企業、事務局の皆様に感 謝申し上げますとともに、本調査報告書が関係各位の世界戦略検討のお役に立てれば幸い です。

平成22年3月

株式会社 東レ経営研究所 代表取締役社長 佐々木常夫

(4)

目次 序

はしがき

エグゼクティブサマリー...1

調査研究の概要...6

第 1 章 我が国機械工業企業と戦略...9

1.欧米企業の世界戦略に関する考察...9

2.我が国政府の国際競争力強化施策... 12

3.注目される「アジア市場」... 14

第 2 章 海外機械工業企業の戦略... 18

1.海外の主要機械工業企業の世界戦略... 18

2.海外機械工業企業の戦略のまとめ... 47

第 3 章 我が国機械工業企業の世界戦略... 49

1.我が国の主要機械工業企業の戦略的取り組み... 49

2.国内外企業の利益率と研究費、設備投資負担... 70

第 4 章 我が国機械工業企業の世界戦略(実態調査)... 72

1.アンケート調査... 72

2.ヒアリング調査... 92

第 5 章 まとめ... 101

1.世界戦略に関する歴史と現状... 101

2.海外勢の脅威...104

3.我が国企業の世界戦略... 104

(5)

エグゼクティブサマリー

本調査研究は、我が国機械工業企業は戦略を世界大で考え、地域ごとに調整して戦略推 進に素早く着手する必要があることから、グローバル時代の事業戦略のあり方について調 査したものである。本報告書は海外企業の戦略との比較において、我が国企業の戦略立案 の課題と対策について指針的知見を示したものである。

第1章 我が国機械工業企業と戦略 1.欧米企業の世界戦略に関する考察

グローバル展開において、競争力強化に必要な能力が不足、あるいは能力が劣る場合は、

何らかの方法で補強する必要があり、最良のビジネスパートナーの獲得、あるいは必要機 能の調達等が不可欠となる。例えば、1990年以降パソコンが普及しだし、産業のデジタル 化が進み出したころ、最も成功した企業がデルと考えられる。デルはアジアに生産を委託 し、効率を徹底して追及し大成功を収め、世界の企業の世界戦略に大きな影響を与えた。

2.我が国政府の国際競争力強化施策

今や、護送船団方式の時代ではなく、企業は自力で世界市場を開拓していかなければなら ない。企業は自ら事業周辺の環境の観察と判断に基づき、時代の先を読み、事前にさまざ まな角度から検討を行っておくような経営が必要な時代になったといえる。

3.注目される「アジア市場」

国や地域のGDPが3,000ドルを超えると、都市化や工業化が一気に進み、消費スタイル にも大きな変化が表れ、耐久消費財の消費が加速度的に活発化する可能性が高いとされて いる。さらにアジアの人口は2005年の30億人から2050年には38億人に増加すると予 測されている。5,000~35,000ドルの所得を得ている人口は1990年にアジア全体で約1.4 億人にすぎなかったが、2008年には6倍強の約8.8億人に一気に膨らんでいる。

今、BRICs、アジア新興国市場が注目を集めている。

第2章 海外機械工業企業の戦略 1.海外の主要機械工業企業の世界戦略

海外の主要な機械工業企業11社の戦略を、選択と集中、海外展開、ネットワーク(分業、

連携等)等の項目を中心に文献等調査を行い、さらに海外企業の本社を訪問し、2008年の リーマンショックに端を発する世界不況が世界戦略にどのような影響を与えているか等の チェックも加え調査した。

その結果、業績ダウンを余儀なくされた企業が多い中、アップルやサムスンのように業績 を向上させた企業もあり、また各社とも今般の不況に対して従来のビジョン、戦略を変更 することなく、むしろ戦略を先鋭化して取り組んでいることが判明した。

(6)

2.海外機械工業企業の戦略のまとめ

世界戦略のキーワードは顧客中心、戦略地域、スピード、選択と集中、組み合わせ、分 業(連携)であり、今後とも重要課題であることに変わりはない。

第3章 我が国機械工業企業の世界戦略

1.我が国の主要機械工業企業の戦略的取り組み

第2章記載の海外11社と競合すると考えられる我が国企業10社のビジョン、戦略等と 戦略的取り組みについて整理した。各社各様に取り組んでいるが、業績を見ると設定され たビジョン等と現実の乖離をいかにして埋めていくかが今後の課題になっていると推測さ れる。

2.国内外企業の利益率と研究費、設備投資負担

調査サンプル数が国外、国内各 10 社程度で断定的にはいえないが、我が国企業は全体 としてみた場合に、売上高営業利益率が低い傾向にある。その原因の一つとして研究開発 投資、設備投資が大きいことが考えられ、進まない「選択と集中」が影響している考えら れる。

第4章 我が国機械工業企業の世界戦略(実態調査) 1.アンケート調査

我が国機械産業の国際競争力向上のために、グローバル戦略の観点から企業活動を再点検 することが有効との考えから、機械メーカー各社の海外展開の強化・革新に関する考えや 取り組み状況等についてアンケート調査を実施した。

その結果を以下に要約する。

(1)問題点

①低い営業利益率

海外競合企業との比較において、生産力、技術力は負けていないはずなのに、コスト 競争力が伴わず営業利益の面で劣っている。

②ミッション・ビジョンの共有

海外事業戦略の策定は、利益と売上拡大を目標に企業の経営トップ、事業トップが中心 となって行う企業が多い。実際に業務を遂行する関連部署の参画度合いは低く、企業のミ ッションや事業戦略の共有が進んでないようであり、改善が必要である。

③海外競合企業との競争力比較

情報収集・現地のニーズ・需要の把握、どのようにビジネスを展開するか(ビジネスモデル)、

事業および製品の絞り込み、現地企業との連携等、海外競合企業と比較して見劣りする事

(7)

海外市場の開拓の必要性が強く認識されている。

(3)海外展開に必要な戦略

戦略地域は中国である。人口が多く、経済成長著しい中国の需要獲得が目標となり、コス トダウン目的で生産も行いたいとしている。今後は海外においても、グローバルに販売力・

ブランドの強化を図るため、企業が自らの能力、特性に対応したミッション、ならびに世 界のスケールで戦略を策定する必要がある。

(4)世界戦略の再検討のポイント

①選択と集中の不足

②リーダーシップの不足

③現地の理解不足

④技術重視の一辺倒の経営の見直し

2.ヒアリング調査

我が国企業は、選択と集中に取り組んだ経験を持っている。しかし、その進展度合いは 低い。実行の過程で日本らしさが残ってしまった結果と考えられる。国内の工場を閉鎖し ようにも当該地域の雇用の問題を考えなければならならないし、多数の事業部を持ってい れば研究費、人員削減等で横並び主義を排除することができないし、組織改変も難しい。

海外志向は強くないため、国内の売上が増加しなければ研究開発費を中心とした費用負担 が大きくなってしまう。そのため利益率が低くなってしまったと分析される。

組織体制面では、トップの立案した戦略の共有が望ましいという意見があった。我が国 企業は理念、ミッション等の社内共有を見直すことで組織の連携を改善できると考えられ る。

世界戦略のポイントは現地のニーズがどれだけ把握できているかということである。

世界戦略を実行するのは人材であり、企業のこれまでの教育体制、育成環境整備にも問 題があったようである。

第5章 まとめ

1.世界戦略に関する歴史と現状

我が国製造業が生産拠点として見ていたアジアは、今や、大きな市場に育ちつつある。

その一方で、欧米先進国、特に米国は百年に一度の不況で、過剰消費が明らかとなり、節 約志向の中、市場としての魅力を失いつつある。

IT情報技術の進化、3次元CADなどの開発が進んだデジタル化の時代にあっては、日本 が得意とした「アナログ式のものづくり」や、全て自前でなければならないという考え方は 見直す必要がある。我が国は世界トップレベルの技術力を持ちながら、世界の市場でのシ ェアの低下が続いている。その理由は、環境や条件が変化して消費者のニーズも大きく変 わっているのに、従来の市場対応戦略を継続していることによると考えられる。

(8)

2.海外勢の脅威

必死になって「追いつき、追い越せ」の努力を行う新興国に追いつかれるのも時間の問題 と考えなければならない。

我が国にとっての最大の脅威は「ジャパンナッシング」である。

技術的キャッチアップ努力を続けるアジアの企業と研究開発力、ブランド力、マーケティ ング力を持つ欧米企業が一体となった時のことも考えなくてはならない。欧米大手小売業 のプライベートブランドでのアジア企業への生産委託も視野に入ってくる。

情報機器関連だけでなく、労働集約的生産も海外移転、分業化が進むと考えられる。

3.我が国企業の世界戦略 (1)戦略見直しの必要性

我が国は、すでにフロントランナーとなっている。これからは、自らビジネスモデルを作 り、生産と販売を世界で推し進めるしかなく、お手本のない時代である。

新興国がコストダウン目的の生産拠点から、我が国にとっても市場に変わりつつある。

アジアを中心とした新興国市場の開拓を機に、現地需要に対応したものづくりを考える 時期であり、そう遠くない過去に我が国がたどってきた経済、社会の歴史を振り返り、今 なお健在なものづくりの力を活用すれば、新たな発展の方向が見出されると考えられる。

従来と同じやり方で、売上が増えたら利益が増える時代ではない。

フロントランナーとなった我が国企業が新たな発展段階に入るには、企業のミッション、

ビジョンを全社で共有し、これまで積み上げてきた研究開発成果を活用し、新たな市場を 切り開き、シェアを維持していく実行力・管理能力が求められている。

以下、世界戦略の項目ごとの調査結果である。

(1)リーダーシップ

これからの企業に求められるのは、企業トップの戦略的な思考と迅速な決断、実行力で ある。

(2)選択と集中

「世界シェア上位でなければ、生き残れない」は今や世界の企業の共通認識である。

(3)市場選定(地域戦略、顧客の絞込み)

まず、商品ありきではない。ビジネスの価値体系の最上部にあるのは顧客である。顧客 重視の姿勢で、その市場の顧客が望むものをどうすれば提供できるかに注力せねばならな い。

(4)商品戦略 ①提供価値

顧客にとっての価値、競合他社との違い等具体的に描き出すことが必要である。

(9)

顧客が最も価値を置く項目で、圧倒的なプレゼンスを獲得することが重要である。

(6)生産

顧客重視の姿勢で、市場変化への即応、商品利益率の向上が可能なグローバル生産体制を 構築しなければならない。

(7)ビジネスモデル・販売力

我が国企業は欧米企業と比較して技術力に優るものの、戦略(=マーケティング)面では 劣っている。我が国機械工業企業は「技術力+戦略」で欧米先進国に対しても、新興国に 対しても競争優位を築くべきである。さらに、新興国に対してはコストに対抗できるブラ ンド力、販売チャネル、商品企画力で対抗すべきである。

(8)人材育成

「世界戦略」を実行するのは人材である。若者がハングリーでなく、勤勉でないと嘆く前 に、上司、経営が変わらなければならないと考えられる。

(9)組織

縦割りの無駄を省く。欧米企業では、マトリックス組織が当たり前になりつつある。

今我が国機械工業に強く求められるのは、コストダウン、業務の効率化以上に、「世界に向 って事業を拡大する明確なビジョン」である。

企業は、先ず、組織として何をしたいのか、何をなすべきか、もう一度外に向かってグロ ーバル時代のスケールの大きなビジョンを発信する必要がある。

(10)

調査研究の概要

1.事業の目的

技術進歩、情報伝達スピードが速くなっていることから、我が国機械工業企業は、先ず 国内展開ありきではなく、最初から戦略を世界大で考え、戦略推進に素早く着手し、地域 ごとに調整する必要があるなど、欧米先進企業の戦略的な企業経営に学ぶべき点が多々あ ると考えられる。

本事業では、我が国機械工業企業の戦略立案の問題・課題を抽出し、我が国企業の世界 戦略の課題と対策を検討することを目的とした。

2.事業の内容

図表 0.1 調査の内容と方法

(1) 海外機械工業企業の世界戦略

平成 20 年度「海外機械工業企業の世界戦略に関する調査研究」において調査した企業 の世界戦略について、今回の世界不況の影響による世界戦略の変更等について訪問ヒア リング調査等を行った。

2.我が国機械工業企業の世界戦略(仮説)

1.海外先進企業の世界戦略 H20年度調査結果

「海外機械工業企 業の世界戦略」

ヒアリング調査他 現在の海外機械工 業企業の戦略変化

現時点の海外企業世 界戦略の整理

現時点の我が国企 業の戦略の整理

企業公開資料に見る 我が国企業の戦略 政府統計データ等

に見る戦略変化

3.我が国機械工業企業の世界戦略(実態調 3.1 アンケート調査

我が国機械工業企業の世界戦略 問題、課題、対策

3.2 ヒアリング調査 我が国機械工業企業の世界戦略

問題、課題、対策

4.弊研究所内調査結果総括 問題、課題、対策

5.報告書作成

(11)

企業を 10 社を選出し、それら企業の世界戦略を有価証券報告書、アニュアルレポート等 の公開資料から抽出、整理した。

(3) 我が国企業の戦略の問題と課題の抽出(アンケート)

上記(1)、(2)の調査結果を比較検討することによって、我が国企業の問題点、課題を 抽出した。この結果を仮説として機械工業に分類される上場企業約 700 社を対象にアン ケート調査を行うことにより、我が国機械工業企業の現時点における世界戦略あるいは 展開の実態を把握し、問題、課題を抽出した。

(4) 我が国企業の戦略の問題と課題の抽出(ヒアリング調査)

アンケート調査結果を受け、社内に設置したプロジェクトチームによる検討と並行し てヒアリング調査を行い、問題、課題の深掘りを行った。

(5) 課題・対策検討

弊研究所内に設置したプロジェクトチームにおいて、我が国企業の「世界戦略」の問 題点、課題および対策について様々な角度から検討し、提言を調査研究報告書に取りま とめた。

3.事業のタイム・スケジュール

図表 0.2 スケジュール

下半期 半期別・月別

項 目

21 年

10 11 12

22 年

1 2 3 1. 海外企業の世界戦略調査

2. 我が国企業の世界戦略調査 3. 我が国企業の戦略の問題と課 題の抽出(アンケート調査)

4. 国内外企業の戦略の問題と課 題の抽出 (海外ヒアリング調査)

(国内ヒアリング調査) 5. 課題・対策検討

6. 報告書作成

(12)

4.調査研究体制

調査研究責任者 : 産業技術調査部長 馬田 芳直 主要調査研究員 : 調査研究部門 部長役 高橋 健治 特別研究員 古宮 達彦 特別研究員 大西 吉臣 特別研究員 京極 浩史 シニアエコノミスト 福田 佳之

(13)

第 1 章 我が国機械工業企業と戦略

1.欧米企業の世界戦略に関する考察

1.1 世界戦略とは

図表 1.1 欧米企業の世界戦略

欧米を中心としたグローバル企業の調査結果は上図の様に整理、関係付けられる。

世界戦略は、戦略地域の顧客のニーズを顧客を中心にして、抽出・把握することに始ま る。グローバル時代の競争は、競争参加者が多数存在することから、意志決定とその実行 にスピードが要求される。個々の企業の持つ能力は有限である。グローバル展開の中、か つ限られた能力で生産性と効率を向上させるためには、事業を得意分野、競争優位を高め られる分野に限定せざるを得ない。競争力強化に必要な能力が不足、あるいは能力が劣る 場合は、何らかの方法で補強する必要があり、スピード重視であれば最良のビジネス・パ ートナーの獲得、必要機能の調達等が不可欠となる。

1.2 世界戦略を展開する欧米企業の背景(歴史的考察)

日本は1950年代から1980年代にかけて「品質の良いモノを安く、確実に」届けること で『世界の工場』の役割を果たしてきた。アメリカは、1980年代に「産業競争力委員会」

をつくり、対日戦略が検討された。その研究成果は『ヤングレポート』として発表され、

対策としてイノベーションによる技術優位の獲得などに官民が必死に取り組んだ。

※ヤングレポートの内容

新技術を開発し、労働者の能力を高めて生産し、輸出するという日本を標的とし た処方箋である。

①新技術の創造・実用化・保護(イノベーションによる技術優位)

②資本コストの低減(税制・資本流動効率化による生産資本の供給増大) 世界戦略

顧客ニーズ 顧客中心 戦略地域

-世界戦略の定義-

グローバルに企業の各機能を最適な地域、国に集中あるいは分散配置し、企業全体の 生産性、効率を上げ競争力優位を構築するための戦略

生産性と効率

選択と集中 スピード

組み合わせ・分業 対応

抽出

世界戦略 顧客ニーズ

顧客中心 戦略地域 顧客ニーズ

顧客中心 戦略地域

-世界戦略の定義-

グローバルに企業の各機能を最適な地域、国に集中あるいは分散配置し、企業全体の 生産性、効率を上げ競争力優位を構築するための戦略

生産性と効率

選択と集中 スピード

組み合わせ・分業 対応

抽出

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③人的資源開発(技能・順応性、意欲の向上と教育改善) ④通商政策の重視(輸出拡大が国家の優先政策)

1990 年以降パソコンが普及しだし、産業のデジタル化が進み出したころ、もっとも成功 した企業が DELL と考えられる。DELL はアジアに生産を委託し、効率を徹底して追及し大 成功を収め、その他企業の真似るところとなり、次第に情報機器関連ではアメリカの生産 機能は失われていったと言える。

米国の自動車産業でも、日本のリーン生産システム導入に躍起に取り組んだ時代もあっ たが、うまく行かず、リーマンショック後のビッグスリーの状況を見て分かる通り、研究 開発、生産の技術は衰退していったと言える。

要するに、1990年代からリーマンショックに至るまで、米国からは生産技術力が失われ ていき、失われた生産力をカバーするために米国企業は対抗戦略の策定に取り組んだ。米 国企業はアジア諸国に生産を委託することにより、日本あるいは韓国の「いいものを安く」

提供する戦略に対応するしか術がなかった。これが現在の『世界戦略』と称されるものの 出発点であり、その後戦略としてブラッシュアップされていったものと考えられる。

この世界戦略をアジアの新興国から見ると、エイサー創始者であるスタン・シー会長 がいうスマイルカーブであり、中国企業や中国政府が口にする「三流企業がものをつくり、

二流企業が技術を開発、一流企業がルールを決める」1である。

(15)

スマイルカーブとは

電子産業などの収益構造を表す言葉の1つで、製品の組み立て・製造工程の利益率が低い ことを表現しようとする場合に良く利用される。例えば、製品企画やその製品の構成要素で ある部品の開発・製造、あるいは製品を製造した後のサービスなどによる付加価値が大きく、

機器の組み立てなどの製造工程では大きな価値は加わらないと仮定する。この場合、横軸に 製品開発から販売/サービスに至る工程、縦軸に付加価値をとって図示すると、両側が持ち上 がった曲線を描く。人が笑ったときの口のような形なので、「スマイル・カーブ」と呼ばれる。

図表 1.2 スマイルカーブ

出典:日経エレクトロニクス 2000 年 11 月 6 日号

(16)

2.我が国政府の国際競争力強化施策

今や、護送船団方式の時代ではなくなった。下記の通り、国も色々な施策を講じている が、基本的には、企業が自力で世界市場を開拓していかなければならない。国やマスコミ 等は、今起きている現象を見て評価・検討する後追い型とならざるを得ない。世界のスケ ールで競争が展開され、経営のスピードが重要視され、現場での判断が求められる。ビジ ネスの現場で判断するには企業は自ら事業周辺の環境の観察と判断に基づき、時代の先を 読み、判断が要求される前にさまざまな角度から情報を収集・検討を行っておくような経 営が今、必要とされている。

2.1 『2008 年版通商白書』2008.8

-副題「新たな市場創造に向けた通商国家日本の挑戦」

米国経済が調整局面に入ったことから、我が国は、アジアとの雁行型の成長モデルの延 長線を越えて、アジアとともに世界経済の持続的発展を先導する、新たな「発展戦略」が 求められている。その中で、我が国産業の新たな事業展開の場と「機会」を提供する3つ の「市場創造」を主導する国家戦略が述べられている。

①世界経済の新たな好循環の原動力となる「50億人市場」(新しい商圏) ②世界の経済発展の基盤となる「アジア大市場」(新しい経済圏)

③地球的課題への対応を促進する「持続的発展のための市場」(新しい経済領域)

アジアの持続的発展のため、課題先進国として我が国の地域貢献の必要性を説いた「アジ ア経済・環境共同体構想」を発展戦略の基盤と位置づけている。

2.2 『2009 年版ものづくり白書 2009.6』

「厳しい時期にこそ、次の成長への布石としてやっておくべき課題」新興国市場では「富 裕層のみならず、「中間層・ボリュームゾーン」2を重視すべきであると提言した。その根 拠として、新興国の中間層の増加を挙げ、例えばBRICsの2007年の中間層は6.3億人で ある。新興国市場に対する取り組みでは「現地ニーズを的確に把握し、顧客満足度を下げ ることなく、余分な機能を削って低コストで生産するかが課題」と指摘している。

(1)重視される新興国市場

2002年から2007年の5年間に中間所得層は2.5億人から6.3億人に増加した。

これら新興国では耐久消費財の普及率が低く、電気、水道、鉄道などの社会基盤整備需 要もある。日本のものづくり企業が単なる部材の提供を超えて、事業運営などサービスと 一体化した形でこうした分野に進出し、ビジネスチャンスを広げていくことが期待される。

経済産業省が2009年1月に行った「国際機能分業にかかわるアンケート調査」では、

(17)

傾向が顕著になっている。

(2)新興国市場に対する戦略

日本の製造業は、新興国市場において従来の「富裕層」をターゲットとする「高付加価 値化・高品質な製品・技術・サービスの投入」を維持しつつも、「現地仕様の製品技術・サ ービスの投入」など現地ニーズに対応した事業戦略を構築しようとしている。

新興国現地対応は単に低価格化・コストダウンすればよいというものではなく、例えば、

韓国エレクトロニクスメーカーの様に、高級感を維持しながらも、中間層に手が届く値ご ろ感を両立させるような事業戦略が必要である。

2.3 政策の方向 「産業競争力向上へ指針-5 月メド経産相指示」

経済産業省は、日本企業の国際競争力を高めるため、官民が取り組むべき具体的な対策 をまとめる方針である。この指針には、成長が見込まれるアジアのインフラ需要の開拓や、

製造業が基幹工場などを国内に維持できるようにするための環境整備などについて具体策 が盛り込まれる見通し。

図表1.3 2010年5月頃の産業ビジョンの骨格

課題 内容

グローバル企業のアジアでの収益向上 官民一体でインフラ需要の開拓 海外収益の還流と国内の競争力維持 研究開発拠点や基幹工場を国内に維持

(規制、税制の見直しによる空洞化回避) 内需拡大による雇用確保 介護・医療などの新市場創出

出典:2010 年 1 月 5 日 日本経済新聞「産業競争力向上へ指針-5 月メド経産相指示」

(18)

3.注目される「アジア市場」

3.1 消費市場としてのアジアの重要性増大

国や地域の一人当たりGDPが3,000ドルを超えると、都市化や工業化が一気に進み、

消費スタイルにも大きな変化が表れ、耐久消費財の消費が加速度的に活発化する可能性が 高いとされている。これまでのアジアは、労務費の安い生産拠点とみなされてきたが、一 人当たりGDPは欧米の8分の1程度と低いものの、約4,600ドルとなっている。

アジアの人口は2005年の30億人から2050年には38億人に増加すると予測されてお り、アジアの消費市場としての発展が期待される。

図表1.4 アジア、EU、NAFTAの経済規模と世界シェア(2008年)

アジア 欧州(EU) 北米(NAFTA)

国数 16カ国 27カ国 3カ国

人口 32.2億人(49%) 4.9億人(7%) 4.4億人(7%)

名目GDP 14.7兆ドル(24%) 17.9兆ドル(30%) 16.9兆ドル(28%) 一人当たり名目GDP 4,583ドル 37,196ドル 38,337ドル (注)カッコ内は世界シェア 出所:世界銀行、IMF

出典:2009 年 6 月 22 日「日経新聞「台頭するアジア消費」」

図表1.5 アジア圏の主要国・地域の概況比較 国 人口百万人 一人当たり

GDP:US$

国 人口百万人 一人当たり GDP:US$

中国 1,339 2,440 マレーシア 26 7,027 インド 1,140 975 シンガポール 5 36,373 インドネシア 256 1,869 フィリピン 94 1,638

タイ 68 3,841 ベトナム 87 813 出典:2009 年 6 月 23 日「日経新聞「台頭するアジア消費」」

国連、世界銀行、国際通貨基金。人口は 2009 年予測値

我が国を始め欧米先進国から数多くの製造業が、賃金が安くて質の良い労働力を求めア ジアに進出し、国境をこえた生産の分業ネットワークを構築してきた。アジア域内の分業 で消費財を完成させ、先進国の市場に供給するシステムが次第に拡大し、結果として、ア ジア諸国のGDPが拡大し、都市労働者を中心に一人当たりGDPも増加した。

(19)

図表1.6 世帯可処分所得5,001ドル以上35,000ドル以下の家計人口推移

出典:経済産業省『通商白書 2009』

図表 1.6 は日本を除くアジア地域の人々の可処分所得の推移を示したグラフである。

5,001~35,000ドルの所得を得ている人口は1990年にアジア全体で約1.4億人にすぎなか ったが2008年には6倍強の約8.8億人に一気に増加している。

現在の不況下、先進諸国の消費の伸びは期待が持てないのに対し、アジア等の新興国で は自国の消費拡大を背景に2桁近い伸びも期待することが可能であり、我が国企業は消費 地としてのアジアを再認識し、アジアでのプレゼンスの確立が重要な課題となっている。

しかし、アジア諸国の消費者側にある生産拠点発想が問題である。すなわち、「日本製品 は一部の富裕層や輸出向けに生産するもので大衆が購買するものではない」という思い込 みで、日本製品は購買の対象から外れてしまっている可能性がある。

急速に拡大しつつあるアジアの中間層の支持を獲得するためには、企業側の生産拠点発 想からの脱却とともに、多くの消費者が購買可能な、より身近な製品を開発する努力が必 要であろう。

3.2 生産財の市場としてのアジア

アジアは消費財の市場として重要であるが、生産財の市場としても重要性を増大させて いる。図表1.7に見るように、アジア域内の部品の貿易額、アジアから欧州への部品輸出 額はこの10 年の間に約3倍に増加している。さらに図表1.8を見ると我が国の輸出先は アメリカが減少し、工業化が進展中の中国、韓国等のアジアが増大している。アジアの工 業化の中心は消費財であり、域内生産・消費が可能なことからも、我が国からは生産財の 輸出が増加していることが読み取れる。

(20)

さらにアジアの工業化が進展すると、生産財についてもアジア仕様、個別企業仕様の増 大が増加してくることが予想される。

図表1.7 域内と域外の間の貿易額の動き(単位:億ドル)

出典:経済産業省『通商白書 2009』

図表1.8 ASEAN、日本、韓国、中国の主要輸出国の変遷

出典:経済産業省『通商白書 2009』

(21)

3.3 課題としての現地需要の把握と世界戦略

アジアという世界の生産拠点の消費市場としての重要性増大という絶好の機会を前に、

日本企業は戸惑いを感じているのではなかろうか。アジア市場は多様性が大きく、変化も 速いため、市場情報の体系的な収集と分析が重要になるが、国内での差別化競争に明け暮 れてきた企業の中には、アジアを含め、海外市場・現地の需要の本質を把握できていない ところが多いようである。

我が国製造業に要求されるのは、現地市場の需要の把握であり、マーケティングである。

さらに、海外展開をどのように進めるのかという世界戦略、グローバル戦略である。

(22)

第 2 章 海外機械工業企業の戦略

1.海外の主要機械工業企業の世界戦略

2008 年度の日機連の委託調査「海外企業の世界戦略に関する調査」の結果に、リーマン ショック後の変化を追加調査したものを要約、紹介する。

上記の調査結果を導き出す基になったのが海外の主要な機械工業企業 11 社の世界戦略 である。今回、我が国機械工業企業の世界戦略との対比を行うに当たり、それら 11 社の戦 略を、選択と集中、海外展開、ネットワーク(分業、連携等)を中心に、2008 年のサブプ ライム問題に端を発する世界不況が世界戦略にどのような影響を与えているかのチェック も兼ねて、再考察を行った。

また、ノキア、シスコシステムズ、サムスン電子、シーメンス、ボルボおよびキャタピ ラーの 6 社の現下の経済状況の対処は、2009 年 10~11 月に行ったヒアリングの結果であ る。その結果、これらヒアリングした各社は今般の不況に対して従来のビジョン、戦略を 変更することなく、むしろ戦略を先鋭化して取り組んでいるようであった。

調査対象企業 ※アンダーラインを施した企業はヒアリング実施 1.1 ノキア

1.2 ヒューレット・パッカード 1.3 デル

1.4 アップル

1.5 シスコシステムズ 1.6 サムスン電子 1.7 シーメンス 1.8 ボルボ 1.9 BMW

1.10 キャタピラー 1.11 ディーア

<参考文献>

2008 年度の日機連の委託調査「海外企業の世界戦略に関する調査」

各社のAnnual report、年次決算報告書

(23)

1.1 ノキア(Nokia Corporation):フィンランド

1.1.1.業績推移

1.1.1.1 売上、利益、設備投資費、研究開発費

図表 2.1 ノキアの業績推移 ノキアの業績、設備投資、研究開発費(百万ユーロ)

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

売上高 34,191 41,121 51,058 50,710

営業利益 4,639 5,488 7,985 4,966

設備投資 89 88 126 121

研究開発費 3825 3897 5636 5968

2005 2006 2007 2008

1.1.1.2 地域別売上高

図表 2.2 ノキアの地域別売上高 ノキアの地域別売上高(百万ユーロ)

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

ヨーロッパ 14,360 15,626 19,913 18,763

中東・アフリカ 4,445 5,346 7,148 7,099

中国 3,761 5,346 6,127 6,592

アジア太平洋 6,154 8,224 11,233 11,156

北米 2,735 2,878 2,553 2,028

ラテンアメリカ 2,735 3,701 4,085 5,071

2005 2006 2007 2008

(24)

1.1.2 戦略

1.1.2.1 選択と集中

(1)現在の業務範囲 「音楽、ナビゲーション、ビデオ、テレビ、イメージ画像、ビジネス情報 等の提供、モバイル機器、サービス、ソフトウェアの販売」とノキアは規定 (2)選択と集中 テレビ、合成ゴム、製紙等も手がけるコングロマリットであったが 1990

年代初めに、通信事業をコアにすることを決定している。

1.1.2.2 海外展開 (1)新興国市場重視

“Access for All”をスローガンに、2009 年には 40 億人が携帯電話でつながるだろう が、何百万人の人々が高すぎて未だに購入できないでいるとし、新興国市場を重視し、

経済成長と生活の質を向上させる機器を開発するとしている。

・2008 年には 30 億人市場となると予想し、低価格のモバイル機器やソリューションの 提供開発を進めている。

1.1.2.3 特記事項 (1)ノキアの市場認識

ノキアは「市場のグローバル化に伴い、ビジネスの中心は技術から市場に変わった。顧 客へのサービス、業務遂行のスピード、生産時間短縮がさらに重要性となった」と市場を 分析し、市場に対する社員の注意を促している。

①顧客満足の極大化、顧客の信頼獲得によるブランドの強化、ブランド価値の向上 中身の濃いサービスの提供、他社にない強いソリューションの提供

②新興国市場からハイエンドまで市場全体を対象とする。市場を Entry Device(入門用)、

Connect Device(標準タイプ)、Live Device(上級タイプ)、Explore Device(コンピュ ータ、ナビゲーション等先端モデル)、Achieve Device(ビジネス用)に分類。

③「マーケティング」重視。「ノキア・フラッグ・シップストア」やキオスクをオープン するなど、顧客との双方向の情報交流を行っている。

④「デザイン」。ファッション性以外にも再利用、リサイクル、原材料・エネルギーの節 減も考慮したデザインを採用している。

(2) 研究開発の方向

①携帯電話とインターネット、コンピュータ等の一体化した市場の開発とオープン・スタ ンダードの開発を行う。モバイル機器市場でのデータ通信の多様化対応。

②コミュニケーションの質を高め、情報交換の方法を改善する。

(25)

1.1.3.訪問ヒアリング調査

200910.15 フィンランド・Espoo市、本社会議室

Mr.Vipul Mehrotra - Director、全社Business Development

Strategy & Business Development, Device Div.(携帯電話)

Mr.Mika Orpana - Director、Mechanics & Sourcing, Denice Div.(携帯電話)

1.1.3.1 現下の経済状況への対処

・ 2009年10月15日公表の2009年第3四半期業績は、世界的な景気回復遅れにより、

前年同期比で売上20%ダウン、営業利益58%ダウン。

・ 経営上の対応としては、一時的な操短を実施中。

・ 一方、経営組織面では、デバイス本部を主力のモバイルフォン部門とスマートフォン 部門に分離し、アップルの i-Phoneに遅れを取っているスマートフォン部門の集中的 改善を目指している。

1.1.3.2 世界戦略 (1) グローバル展開

・ グローバル展開の目的は、売上・量・利益・シェアのコンビネーション、即ち「適切な 利益の獲得と市場シェアアップ」の実現である。

・ 新市場開拓の優先順位として中国・インド等のアジアやアフリカ諸国等の発展途上国に 力点を置く。先進国でもリプレース需要は根強く、全世界を1つのグローバルマーケッ トとしてコンビネーションを熟慮したバランスよい販売を展開する。

(2) 製品戦略

・ 新市場でのニーズの把握方法は、(1)消費者の行動とニーズに関する莫大な規模の調 査を担当する。主に社外の現地調査チームと、(2)NOKIA 本体からのデザイン・マネ ージメントチームが NOKIA の市場調査一覧表の詳細な項目に沿って市場調査を実施 する。

・ 本年9月に発表したNOKIAのパソコン参入、第3世代携帯電話による通信機能が 付いた画面10インチ小型パソコン「NOKIA BOOK LET3G」は、市場精査結果から 米国と欧州に限定し上市する。

(26)

1.2 ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard Company):米国

1.2.1.業績推移

1.2.1.1 売上、利益、設備投資費、研究開発費

図表 2.3 HP の業績推移 HPの業績、設備投資、研究開発費(百万ユーロ)

0 50,000 100,000 150,000

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000

売上高 86,696 91,658 104,286 118,364 114,552

営業利益 3,473 6,560 8,719 10,473 10,136

設備投資 1,453 2,990 3,040 2,990

研究開発費 3,490 3,591 3,611 3,543 2,819

2005 2006 2007 2008 2009unaudited

1.2.1.2 地域別売上高

図表 2.4 HP の地域別売上高

Asia Pacific

15%

EMEA 42%

Americas 43%

2008.10 売上高 118,364百万ドル

(27)

1.2.2 戦略

1.2.2.1 選択と集中

プリンタ、パソコン、企業向けシステムを主力3事業とする。

①HP は計測機器メーカーとして出発したが、1999 年、成長を加速化するためにコンピュー タ分野を HP に残し、計測、ヘルスケア、半導体部品、科学分析といったビジネスモデルの 違う事業をアジレント・テクノロジーとして分割独立させた。

②2002 年にハイテク史上最大の合併といわれたコンパック・コンピュータとの合併を実現、

個人消費者から企業の双方にフルラインのサービスを提供するグローバル企業となった。

③2006 年の米ソフト管理大手マーキュリー・インタラクティブの買収、2007年には 139 億ドルを投じて IT サービス最大手EDSを買収、ソフトサービス事業では IBM を追撃して いる。

1.2.2.2 海外展開

①販売

2007 年に BRICs での売上は 33%伸び、HP の売上高に占めるシェアは 8%になったという。

・中国、インド市場 都市ごとに販売拠点を拡大した。

中国 2003 年 20 都市 → 2008 年 3,500 都市超 インド 2003 年 210 都市 → 2008 年 3 月 425 都市

②生産

HP は 90 年代半ば以降、殆どの自社製造工場とエンジニアリング詳細設計活動を切り捨 てて、工場を閉鎖売却、生産労働者を解雇している。主力のプリンタは、ハードの生産を 100%外注するが、インクジェット・カートリッジは 100%自社生産している。

ハード 4000 万台/年、カートリッジは 4 億個超/年の規模

③研究開発研究分野

環境技術、ネットサービス、情報管理、データのやり取り、情報インフラの 5 分野とす る。

④商品開発

2005 年にアジア市場向けの製品開発を手がけるデザインセンターを中国とアジアに設 置し、国毎の細かな好みの違いを製品に反映できるようにした。

1.2.2.3 特記事項

生産・研究の本部は、米国(本部:ヒューストン)、EMEA(スイス)、アジア(シンガポー ル)の 3 本部制を敷く。

(28)

1.3 デル(DELL Inc.):米国

1.3.1.業績推移

1.3.1.1 売上、利益、研究開発費

図表 2.5 デルの業績推移 デルの業績、研究開発費(百万ドル)

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

0 100 200 300 400 500 600 700 800

売上高 55,788 57,420 61,133 61,101

営業利益 4,382 3,070 3,440 3,190

研究開発費 458 498 693 665

2005 2006 2007 2008

1.3.1.2 地域別売上高

図表 2.6 デルの地域別売上高 デルの業績、設備投資、研究開発費(百万ドル)

0 10,000 20,000 30,000 40,000

アメリカ企業 27,489 28,290 29,981 28,614

EMEA企業 11,124 11,841 13,607 13,617

APJ企業 5,547 6,223 7,167 7,341

世界消費者 11,628 11,066 10,378 11,529

2005 2006 2007 2008

EMEA(Europe, Middle East and Africa)、APJ (Asia Pacific/Japan)

(29)

1.3.2 戦略

1.3.2.1 選択と集中

パーソナルコンピュータ及び周辺機器の開発、製造、販売とそれに付帯する一切の事業 を業務範囲とするが、個人向け販売展開で遅れを取り、巻き返しに注力中。

1.3.2.2 海外展開

①40 ヶ国・地域に現地法人を保有。販売活動は 170 ヶ国・地域以上で展開

②6 ヶ所(北米 2 ヶ所、南米、ヨーロッパ、マレーシア、中国)の生産拠点を所有

③新興国特に BRICs 市場を、機能限定の低価格パソコンなどにより、開拓を期す。

1.3.2.3 特記事項

①デル・オンラインストア

ネット、オンライン販売システムである。自動見積もり、カスタムオーダーが可能。

②カスタマーフォーカス(法人向け)

大・中規模の法人に対し、訪問して対面でのコンサルティング・セールスを行う。

・「プレミアページ(Premier Pages)」法人顧客ごとにホームページ「プレミアページ」

を開設している。見積り、発注、担当営業との連絡業務などがオンラインで行える。

・グローバル企業向けには、どの国でも均一な製品とサービスの提供体制を整備

③アフターサービスおよびサポートサービス(カスタマー・サポート)

「年中無休テクニカルサポート」や「翌営業日オンサイトサービス」などがある。

④デルの戦略転換

図表 2.7 デルの戦略の転換

~2006 2007~

先進国の大企業、ビジネス 向け

個人向けが増大、若者も対象 新興国、中小企業

製品の多様化

デスクトップ中心 ノート型の拡大

機能限定の低価格品など多様化(ノート、コ ンパクトデスクトップ、ゲーム用等)

販売チャネルの拡大 直販モデル 直販モデルの見直し、小売店、量販店経由を 取り入れ拡大中

製品開発手法の改善 外注活用、研究費用削減 デザインを含め、より顧客主義を強める。

⑤デザインの強化 6 年前にはデザイナーは 5 人であったが、2008 年には 120 人に増員

⑥研究開発/戦略的パートナーとの共同開発

デルの売上高研究開発費比率は1%前後と低い。デルは業界の各分野におけるリーダ ー企業のパートナーが開発した最新技術を製品に取り込んでいる。

(30)

1.4 アップル(Apple Inc.):米国

1.4.1 業績推移

1.4.1.1 売上、利益、設備投資費、研究開発費

図表 2.8 アップルの業績推移

1.4.1.2 事業別、地域別売上高

図表 2.9 アップルの事業別、地域別売上高

アップル社 事業別売上高(百万ドル)

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

デスクトップ 3,319 4,020 5603 4,308

ポータブル 4,056 6,294 8673 9,472

I-Pod 7,676 8,305 9153 8,091

I-Phone関連 1,885 2,496 3340 4,036

その他音楽関連 123 1844 6,754

その他周辺機器 1,100 1,260 1659 1,470 ソフト、サービス 1,279 1,508 2207 2,406 2006 2,007 2,008 2009

アップル社 地域別売上高(百万ドル)

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000

米国 9,415 11,595 14573 16,142

欧州 4,096 5,460 7622 9,365

日本 1,211 1,082 1509 1,831

その他 4,593 5,868 8775 9,199

2006 2,007 2,008 2009

アップルの業績、設備投資、研究開発費(百万ドル)

-10,000 0 10,000 20,000 30,000 40,000

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400

売上高 7,983 5,363 5,742 6,207 8,279 13,931 19,315 24,006 32,479 36,537 営業利益 1,644 1,579 17 -1 326 1,643 2,453 4,409 6,275 7,658 設備投資費 142 232 174 164 174 250 657 735 1,091 1,144 研究開発費 380 314 446 471 489 535 712 782 1,109 1,333 2000 2001 2002 2,003 2,004 2,005 2,006 2,007 2,008 2,009

I-Phone Mac-OSX、I-Pod

I-Podシリーズ

(31)

1.4.2 戦略

1.4.2.1 選択と集中

マッキントッシュ、i-Pod、i-Phone、Mac OSなど

アップルは、元々コンピュータのハード、ソフトの企業であり、かなりの集中度はあ った。1997 年、ジョブズ氏復帰直後に、アップル社にとって利益の少ない互換機路線か らの撤退を決め、製品開発計画を大幅に見直し、パソコンの種類は 4 機種(一般用とプ ロ用それぞれデスクトップとノート型 1 機種1モデル)に絞り、高い完成度を目指すこ と、さらに開発計画の 70%を切り捨て、30%だけを残すなど研究開発面の集中度を高める ことなどを決定している。

1.4.2.2 海外展開

海外売上高比率:55.13%

SCM管理:アップルが差別化を図れるのは、ハードではなく、ソフトだと知っていた。

生産委託においては厳しくパートナーを選び、基本的には妥協せず、自らの要求を呑む会 社としか協業しない。

1.4.2.3 特記事項

(1)「マーケティング企業」

アップル社は現在、「マーケティング企業」といわれ、製造から流通・店頭に至るまで、

どうモノが動き、宣伝され、どう評価されているかまで考えているが、1997 年以降復帰し た「カリスマ性」を持ったスティーブ・ジョブズ氏に負うところが大である。

①価格:価格設定は最初から大量販売を前提に、他社の追随を許さない設定とする。商 品は最低限の機能に限定、無駄なく、シンプルにして、販売単価も安く設定する。

②ブランド:先進・革新性のブランドイメージを活用する。機種を整理して、極力モデ ルチェンジを少なくし、顧客への訴求ポイントを明確化させる。

③広報・話題性の提供:広報のタイミング、手法 (例:1997 年「Think different.」) 等世界で独特の評判を得る特徴的な広告キャンペーンを行う。

④販売:「妥協せず、いいものを作れば、コストも回収できる」世界的規模で大規模販売。

(2)商品開発

①製品開発の理念:顧客満足度の高い製品は、デザイン面では無駄がなく、シンプルか つ鮮明で、機能面で使いやすく、顧客が割安と感じる製品である。

②開発の姿勢:「自分たちが欲しいものをつくる」、「最新よりは、最高の製品をつくる」。

③最低限の機能:基本を目指すことで、その商品ジャンルの代表的製品の座を獲得しや すくすると同時に、製品の発展の方向性もあとから柔軟に対応できる。

④コンセプトとデザイン:「使いこなせない多機能よりも、使い倒せる厳選機能」

(32)

1.5 シスコシステムズ (Cisco Systems Inc.):米国

1.5.1.業績推移

1.5.1.1 売上、利益、設備投資費、研究開発費

図表 2.10 シスコの業績推移 シスコの業績、設備投資、研究開発費(百万ドル)

0 20,000 40,000 60,000

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

売上 24,801 28,484 34,922 39,540 36,117 営業利益 7,416 6,996 8,621 9,442 7,322

設備投資 692 772 1251 1268 1005

研究開発 3322 4067 4598 5325 5208

2005 2006 2007 2008 2009

1.5.1.2 地域別売上高

図表 2.11 シスコの地域別売上高

シスコ社 地域別売上高(百万ドル)

0 5000 10000 15000 20000 25000

北米 13298 15,623 19,315 21,242 19,345

欧州 5692 6,145 7,389 8,123 7,683

新興国 1805 2,460 3,239 4,530 3,999

アジア、太平洋地域 2486 2,935 3,652 4,276 3,718

日本 1520 1,321 1,327 1,369 1,372

2005 2006 2007 2008 2009

(33)

1.5.2 戦略

1.5.2.1 選択と集中

(1)コンピューターネットワーキングに集中

企業向けルーティング装置等を取り扱い、インターネット関連事業では最も成功している会 社。ルータ、スイッチ、ワイヤレス製品の世界トップブランドである。

「今後は、ネットを基盤に人や企業のコミュニケーションを助ける事業に力を入れる」

(2) 事業分野の拡大

「職場から家庭まであらゆる場所で、ネットでつながる時代において、全てのインフラと、

必要ならば端末も押さえていく」

1.5.2.2 海外展開

販売活動は 170 ヵ国・地域以上で展開

2006 年、インドに「第 2 本社=グローバリゼーション・センター・イースト」を開設し、

新興国攻略の拠点とした。新興国市場、特に医療と教育は最も注目している分野である。

*本社並の機能、「5 時間のフライトで、中東から中国まで、世界の人口の 70%をカバー」

1.5.2.3 特記事項

(1)「オペレーションの卓越(オペレーショナル・エクセレンス)」

「スピードと成長」を重視し、部門間の連携で絶えざる差別化を目指すとしている。

図表 2.12 オペレーションの卓越

①市場把握(LISTEN)・・顧客・市場の動向顧客との密接な関係の構築が最善

②A&D(Acquisition & Development の略)

シスコ社では M&A を「A&D」と呼んでおり、顧客ニーズに答える形で次々と固有技術を持 った企業を買収し、自社の事業に同化させていく。シスコが買収した企業の数は 130 社。

買収の特徴は a)「小規模の企業しか買収しない」、b)「技術の獲得」、c)「人材の確保」

③パートナーシップ(提携、生産委託等)・・シスコは生産の 95%を外部委託している。

運営のポイントは「核となる工程を管理できるか」と「データベースや、品質管理や、

生産管理については、たとえアウトソーシングしてもシスコの管理下におく」。

オペレーションの卓越 パートナーシップ

A&D

市場把握 LISTEN イノベーション

新製品・サービス

(34)

1.5.3 訪問ヒアリング調査

2009.10.21 米国カリフォルニア州サンノゼ市、本社会議室 Mr.Phil Wright - General Manager, Brand部門

Mr.Shelley Raina - Senior Manager, Brand部門

1.5.3.1 現下の経済状況への対処

今回の世界恐慌はシスコ社にとって“追い風”と受け止めている。シスコ社が提供する ソリューションビジネスは、不況脱出のため世界中の企業が試みている総コストダウンに 寄与できる。

例:ビデオコンファランス・システムをシスコ社は、毎日100回以上開催。

・この機会に「質の良いベンチャー企業を買い集め、新技術と優秀人材を確保し、内部で 統合して成長していく」という従来の事業戦略に益々ドライブをかける。

1.5.3.2 世界戦略 (1) グローバル展開

・事業のグローバル展開において、利益を無理にカットしてまで事業を展開するビジネス 哲学は持っていない。売上、利益、シェア等はバランスさせる方針である。

・需要が先進国で飽和しているという事実はなく、先進国も後進国も変わりなくビジネス チャンスは増加している。

(2) 製品戦略

・ある市場向けに開発した商品を、その他の地域向けにカスタマイズするという考え方で はなく、東西両大陸、大洋州、日本などグローバル市場すべてにおいてスペックもスタ ンダードも異なり、カスタマイズが必要としている。顧客本位・市場本位が最重要であ り、デザイン・安全性コンプライアンスなど各項目でスペックやスタンダードを変更し 対応する必要がある。これらの要求に精緻且つ着実・スピーディに対応していくことが 製品戦略上重要となっている。

・市場の変化がスピーディで激しいため、そのリサーチと把握は既存市場・新規市場に関 係なくビジネスの生命線である。R&D着手や販売開始の前のプロセスとして、50項目 ほどのチェックリストが入ったシスコ社独自の調査項目一覧によって、新旧の顧客や市 場が新規に要求するニーズ・要求特性・次世代機器などの評価、再評価を仔細に行う必 要がある。それらはシスコ社自身が実行するのが基本となっている。

(35)

1.6 サムスン電子 (Samsunng Electronics Co.):韓国

1.6.1 業績推移

1.6.1.1 売上、利益、設備投資費、研究開発費

図表 2.13 サムスン電子の業績推移 サムスンの業績、設備投資、研究開発費(10億ウォン)

0 50,000 100,000 150,000

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000

売上高 80,630 85,835 98,508 121,294

営業利益 7,575 9,005 8,973 6,032

設備投資 11540 11738 12252 14088

研究開発費 5410 5580 5940 6900

2005 2006 2007 2008

*acquisition of property, plant and equipment

1.6.1.2 地域別売上高

図表 2.14 サムスン電子の地域別売上高

サムスンの地域別売上(10億ウォン)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2006 2007 2008

中国 11,834 15,109 18,873

アジア 14,879 15,740 19,189

ヨーロッパ 22,113 26,951 34,230

アメリカ 18,071 19,568 25,442

輸出 6,285 6,965 8,098

韓国内 13,062 14,174 15,463

2006 2007 2008

(36)

1.6.2 戦略

1.6.2.1 選択と集中

業務内容:総合家電、通信、電子部品メーカー。2007 年携帯電話で NOKIA についで世界 2 位。2007 年に電気機器でシーメンス社、ヒューレットパッカード社とともに上 位 3 位に入る。

・デジタル・コンバージェンス時代にもっとも適合した事業構造と商品群を備え、半導 体、通信、家電、AV、コンピュータ、ディスプレイなど、多様な製品群を全て兼ね備 えていることが強み。

・携帯電話事業が短期間に成長できたのは、半導体技術の後押しがあったからである。

・家電でも、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、電子レンジなど競争力のある 4 品目に集中。

・残りの小規模品目は分社化を行うなど、構造調整を実施している。

「先見、先手、先制、先占」をデジタル戦略として信奉している。

1.6.2.2 海外展開

海外拠点:世界各地で 56 生産法人、130 販売法人

①地域専門家の育成

1990 年から「地域専門家制度」を採用している。入社 3 年目以上、課長代理クラス の社員から毎年 200~300 人の優秀な人材を選び、日本、米国、欧州、中近東、中国、

ロシア、ブラジルなど、さまざまな地域に 1 年間派遣し、言語、習慣、文化を学ぶ制 度であり、その目的はその土地の風土、習慣を学ぶことで現地社会に溶け込み共生す ることである。

②途上国戦略

地域専門家の派遣と、社会貢献活動を積極化し、地域社会に貢献することで現地主 義による「ブランドイメージ」を向上させることによって、途上国のシェア拡大を目 指す戦略をとっている。経済発展の著しい地域で安定的なシェアを確保することによ って、その国との共存を図る。

1.6.2.3 特記事項 (1)研究開発

①知的財産権を最高の企業資産とみなしている。R&D 部門全体の人員は 1 万 7,000 人、

全社員 4 万 8,000 人の 30%を超えている。うち博士号所有者は 1,500 人。

③売上げの 8%を R&D 分野に投資している。

図表 1.6  世帯可処分所得 5,001 ドル以上 35,000 ドル以下の家計人口推移  出典:経済産業省『通商白書 2009』  図表 1.6 は日本を除くアジア地域の人々の可処分所得の推移を示したグラフである。 5,001~35,000 ドルの所得を得ている人口は 1990 年にアジア全体で約 1.4 億人にすぎなか ったが 2008 年には 6 倍強の約 8.8 億人に一気に増加している。  現在の不況下、先進諸国の消費の伸びは期待が持てないのに対し、アジア等の新興国で は自国の消費拡大を背景に
図表 3.11  地域別売上高:億円  020,00040,00060,00080,000100,000 中国 6,698 6,754 8,245 9,417 8,553 アジア 10,578 11,065 10,681 11,188 8,683 欧州 11,225 11,136 12,180 12,129 9,630 米州 12,830 13,874 13,811 12,507 9,967 日本 45,805 46,114 46,165 45,448 40,82220052006200720082009
図表 3.18  地域別売上高  国内・海外売上高 国内 アジア北米その他の地域 欧州 02,000,0004,000,0006,000,0008,000,00010,000,00012,000,000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009百万円 1.5.3  戦略的取り組み  経営方針「協創と収益の経営」(2006.11 策定)    「マーケット・イン」を貫き、利益の創出に徹することを基本方針として、FIV(Future  Inspirati
図表 3.30 機械分野営業利益と研究費      図表 3.31  機械分野営業利益と設備投資  売上高 営業利益率 単位:% 研究費 営業利益率単位:倍 売上高 営業利益率単位:% 設備投資 営業利益比率単位:倍 日立製作所 2.2 0.5 日立製作所 2.2 0.3 東芝 0.6 0.3 東芝 0.6 0.2 三菱重工業 3.4 1.0 三菱重工業 3.4 0.6 小松製作所 11.5 4.5 小松製作所 11.5 1.6 クボタ 10.9 5.0 クボタ 10.9 3.3 シーメンス 5.7 1.2
+7

参照

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