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Academic year: 2021

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北海道の雪氷 No.30(2011)

Copyright c 2011 (社) 日本雪氷学会北海道支部

巻 頭 言

裾野が広い雪氷学

副支部長 金田 安弘(社団法人北海道開発技術センター)

浅学菲才を顧みずに言うと,雪氷学の特徴の1つは多種多様なところにあると思っています.雪の科学 と言っても,雪結晶,積雪,吹雪,雪崩,融雪と様々なアプローチがあります.氷の科学も然り.分子レ ベルの氷結晶から凍土,凍上,グローバルな氷河,氷床,さらには宇宙の氷まで,その対象にはきわめて 幅広いものがあります.

人間との関わりが深いのも雪氷学の特筆事項かもしれません.スケート,スノーボード,スキー,カー リングなど,ウインタースポーツのほとんど全てが雪氷に関係します.競技で勝つためにも,またゲレン デやスケートリンク作りにも雪氷の専門知識が欠かせません.生活との関わりが大きいことから,災害科 学としての位置づけにも大きなものがあります.豪雪災害や過疎地域での除排雪,冬期道路でのスリップ 事故や視程障害による衝突事故,歩行者転倒事故,雪崩災害など,雪害は雪国に住む者の宿命でしょう.

一方で,貯蔵した雪の冷熱による野菜貯蔵や冷房利用,水資源や冬の観光資源としての利用など,利雪 面からの調査研究も古くから行われています.最近は,雪氷楽会など,雪氷を教育素材として扱った活動 も非常に活発です.昔から,美しい雪や氷の造形などは芸術素材としても一級品で,雪氷を随筆や俳句,

造形写真の対象としている雪氷研究者が多くいます.こうやって書き連ねてみると,雪氷学は裾野が広い と言うか,対象が幅広いとあらためて思います.

さて,2011年度の雪氷学会北海道支部の活動では,2つの新しい試みを行いました.1つは北海道雪氷 賞,愛称北の風花(かざはな)賞の新設です.この賞は昨年度の支部研究発表会の論文に対して表彰する ものですが,金村直俊氏とヌアスムグリ・アリマス氏が栄えある第1回目の受賞者となりました.もう1 つが休日を含む 2 日間にわたる支部研究発表会の開催です.屋根雪,冬の運動,雪氷教育,着雪,吹雪,

吹きだまり,防雪林,路面センサー,除雪,雪害,氷河,南極氷床,雪崩,人工雪,流氷,永久凍土など など,多彩なテーマの発表がありました.理学,工学分野だけではなく,これまでなかった文系の方から の発表があったのはうれしい出来事でした.テーマは除雪の人類学的研究や積雪期の人力搬送による救助 など,理系にはない視点です.ぜひ,これからも多くの文系の方に雪氷学に関わっていただければと思い ます.

従来の1日開催を拡大して2日間にするのはもちろん期待がありましたが,果たして想定どおり発表申 し込みも増えるのか,運営がうまくいくのか不安があったのも事実です.終わってみると,これまでを大 きく超える 39 件の発表がありましたが,これはもちろん過去最高です.裾野が広い雪氷学を十分に味わ える研究発表会になったと思っていますが,いかがでしたでしょうか.

自分の専門分野の発表を聞くのはもちろん興味深いものがありますが,ふだん聞くことのできない異な る分野の研究発表を聞けるのも,研究発表会の醍醐味だと思います.オーソドックスな雪氷研究のほか,

冬の生活,教育,雪害など,人間臭さとオムニバス的な幅広さが雪氷学にはあります.言い方を変えると,

街角の科学から純サイエンスまで,懐の深さが雪氷学にはあるように思います.支部活動の最大イベント としての支部研究発表会はもちろんのこと,雪氷学会道支部の活動,そして雪氷学がこれからもますます 裾野を広げて,盛んになることを期待したいと思います.

参照

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