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情報報告 ウィーン 欧州再生可能エネルギー ( その 1) 8 月 27~29 日にドイツ ベルリン市で Erneuerbare Energien2012( 再生可能エネルギー 2012) に関する会議が開催され 欧州再生可能エネルギーの日というテーマにより 政策 投資 最新プロジェクトの状況などが

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情報報告

欧州再生可能エネルギー(その1)

8 月 27~29 日にドイツ・ベルリン市で、Erneuerbare Energien2012(再生可能エネルギ ー2012)に関する会議が開催され、欧州再生可能エネルギーの日というテーマにより、政 策、投資、最新プロジェクトの状況などが紹介された。主催はEUROFORUM 社(ドイツ) である。 欧州の再生可能エネルギーの中心技術としては、洋上風力と太陽光であり、特に洋上風 力に関しての話題が多かった。以下に、欧州委員会 エネルギー担当の Gunther H.

Oettinger 委員、欧州投資銀行の Dr.Werner Hoyer 代表および Enel Green Power 社の講 演を紹介する。 1.1 循環経済法にみる欧州の戦略;強調された自由化とリサイクル 欧州委員会 エネルギー担当 Gunther H. Oettinge 委員 (1)はじめに 10 年前、エネルギー管理とエネルギー政策を考えることは、科学、経済、法律の有識者 による小さな集まりに限定されていたが、今日では、製造業者から環境および気候保護者 の間にまで拡大している。今後はEU 諸国と共にドイツは、エネルギー(政策の)転換と気候 戦略の相互関連性と互換性およびグローバルな面にもっと焦点を合わせることが重要にな ってくる。なぜなら、ドイツのエネルギー転換、つまり電力政策の転換は、もはやドイツ だけで達成できるものではないからだ。 写真1-1 欧州委員会 エネルギー担当 Gunther H. Oettinge 委員 例えば、これからの10 年におけるドイツの電力戦略では、電力貯留の唯一可能性を残し ているのは揚水式発電としているが、揚水式発電は山谷の高低差を必要とするため平坦な ドイツ北部地域には適さず、オーストリア、スイス、ノルウェーの協力が不可欠となる。 1990 年代 EU の立法者たちは、電力とガスが欧州の単一市場(ここでの“単一市場”とは製

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品と労働力が政府の介入なしに競争、選択が自由な市場)の商品/サービスとなるよう定めて いたが、現状では程遠い状況にある。 (2)エネルギー政策 エネルギー転換は、欧州の現実問題である。2007 年から欧州内には、3 つの強制的な目 標がある。それは、2020 年までに 20%の CO2 削減、20%のエネルギー効率の向上、20% の再生可能エネルギー資源の導入である。これらは、欧州全体の義務である。これらの目 標のなかで運輸部門に対し、10%の再生可能エネルギーの導入を要求しており、ドイツで は、1%の電気自動車と 9%のバイオ燃料またはバイオガスによって、この目標を達成でき る見込みである。 アメリカでは、大豆、とうもろこし、小麦が、燃料の分野で極めて大きな役割を持って いるが、欧州では違う。現在、アメリカの干ばつやブラジルとロシアでの大雤により大豆 等の収穫量が減尐しており、食糧価格が上昇している。故に、再びバイオ燃料についての 議論が欧州で活発化している。 エネルギー政策の転換は、電力の生産、貯蔵、供給、消費、回避と低減といった全ての 電力管理の問題の垣根を越えるものである。ドイツでは、連邦州ごとの16 の異なる計画と 地方には1000 の計画があり、中央計画経済(社会主義国家で行われる経済政策)は民主的に 洗練された形として見ることもできるが、実際は市場も競争も殆ど存在していない。 停電は、アメリカの中西部やアジアの国々とは異なり、現在のドイツでは殆どない。こ の程度の電力供給保障は、最適な事業場所であることと人々の安全および生活水準のため に維持されなければならない。たとえ一瞬の停電であっても、工業生産に対して重大な影 響(数週間の復旧作業、生産量の減尐)を及ぼすことになる。故に、EU は電力供給の安全性 に焦点を当てている。 (3)温室効果ガス 第二目標は、持続可能性である。EU 諸国の規制は、CO2 および他の気候変動へ影響を 与えるガスの抑制に関して非常に厳しい。故に、欧州では20%削減の目標は達成される見 込みである。EU 全体でも世界中の CO2 排出量のたった 12%(ドイツは約 3%)しかないが、 アメリカと中国の排出量を足し合わせると全体の46%にもなる。EU 諸国の努力が無駄とな らないように、アメリカと中国はこの問題にもっと関心を持つべきである。 (4)再生可能エネルギー 第三の目標は、再生可能エネルギーである。以前から EU の法律は再生可能エネルギー の拡大を後押し進めてきた。電力分野では、2020 年までに EU の目標値(EU 加盟国平均) である約35%(実際は 34%)を達成すると見込まれている。しかしながら、単一市場におけ る供給の保証と価格形成の問題は、過小に評価されるべきではない。 EU には、負荷変動への対応が可能な“古い”再生可能エネルギーである水力発電所、揚水 式水力発電所、バイオマス発電所(人間によって安定して制御できるもの)と、近年増加して いる”新しい”再生可能エネルギーである風力と太陽光(人間によって制御できないので、基 準負荷のためには適していない)がある。これらの“新しい”再生可能エネルギーは、電力貯

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蔵が未だに不可能なので、供給の安全性に向けた取組みが課題である。 EU 内での石油の備蓄は、需要に対して 90 日間分が必要とされており、ガスについては 30 日間である。しかしながら、ドイツでは現在貯蔵されている電力は 24 分間しか持たない のが現状である。 (5)調査プログラム EUの調査プログラムにおいて、再生可能エネルギーの拡大のために次の2点が重要である。 ①貯蔵技術 ②最新の電力供給網と社会基盤の整備 ドイツ北部の風力発電では南部で必要とされる電力も発電しているが、ドイツの北部か ら南部への送電線は存在しない。そのため、北部からの余剰電力は、ポーランドやチェコ を通ってドイツ南部へ送られる。しかしながら、ポーランドの電力の 90%は、安定し負荷 対応が可能な原子力発電所から供給されているので、このドイツからのピーク電力の発生 は全く不要なものである。そのため、彼らも“保護システム”を開発したいと思っている。 ドイツ連邦州の16 の戦略は、一貫性が無くそして未完成である。いくつかの連邦州が実 施を望む電力を介した政治は、北部から南部への送電線に対しての障害になるだろう。 ドイツの電力消費量において、鉄道の電力量はその 5%に相当し、工業用は 46%、一般 家庭用は 26%である。分散型ソリューションに加えて、ドイツのような工業国もまた大規 模で大容量の社会基盤の整備を必要としている。例えば、BASF 社(世界最大のドイツの総 合化学メーカ)の電力消費量は、デンマーク全体よりも多い。 ドイツの電力の関税は世界でも最も高い部類の一つであるので、注目に値する金額にす でになっている。(例:2011 年の一般家庭向けの電力単価が、約 25 ユーロセント/kWh で、 そのうちの25%が税金である) “欧州 2020 戦略”では、エネルギーコストはドイツと欧州産業の空洞化の原因となるこ とを防止するために必要であるとしている。アメリカは石油に低い税率を課し、そして自 ら海洋で石油の採掘を行っている。安い重油価格は、産業と運輸部門にとって利点となる。 石油、ガスおよび電力の関してはいえば、産業の条件をアメリカと比較した場合、ドイ ツは全ての面で不利である。人件費ではなく電力コストがドイツの産業界にとって大きな 問題となりつつある。したがって、ドイツの電力料金と欧州全体の電力網に関する討論が 必要とされている。 必要な電力を必要な場所に直ぐに供給できるような社会基盤が必要である。 太陽光発電の導入はさらに加速させるべきであるが、それは“太陽の国”といえるモロッコ、 スペイン中央部であり、ドイツではない。年間の太陽光発電に最適な日照時間を比較した 場合、ドイツは58 時間でスペイン中央部は 2000 時間という報告がある。ここで、政策が 非難されるべきであり、ドイツのエネルギー転換および戦略と欧州の相互間接続は絶対に 必要なものである。中東の化石燃料による発電は停止すべきであり、欧州の技術を利用し ながら、太陽光(太陽光発電と太陽熱集熱器)の規模を拡大すべきである。その目的のために は、自由で単一のエネルギー市場である必要がある。最後に、ドイツは、欧州への影響に ついて真剣に考えなければならない。なぜなら、エネルギー政策の転換は、ドイツだけで

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蔵が未だに不可能なので、供給の安全性に向けた取組みが課題である。 EU 内での石油の備蓄は、需要に対して 90 日間分が必要とされており、ガスについては 30 日間である。しかしながら、ドイツでは現在貯蔵されている電力は 24 分間しか持たない のが現状である。 (5)調査プログラム EUの調査プログラムにおいて、再生可能エネルギーの拡大のために次の2点が重要である。 ①貯蔵技術 ②最新の電力供給網と社会基盤の整備 ドイツ北部の風力発電では南部で必要とされる電力も発電しているが、ドイツの北部か ら南部への送電線は存在しない。そのため、北部からの余剰電力は、ポーランドやチェコ を通ってドイツ南部へ送られる。しかしながら、ポーランドの電力の 90%は、安定し負荷 対応が可能な原子力発電所から供給されているので、このドイツからのピーク電力の発生 は全く不要なものである。そのため、彼らも“保護システム”を開発したいと思っている。 ドイツ連邦州の16 の戦略は、一貫性が無くそして未完成である。いくつかの連邦州が実 施を望む電力を介した政治は、北部から南部への送電線に対しての障害になるだろう。 ドイツの電力消費量において、鉄道の電力量はその 5%に相当し、工業用は 46%、一般 家庭用は 26%である。分散型ソリューションに加えて、ドイツのような工業国もまた大規 模で大容量の社会基盤の整備を必要としている。例えば、BASF 社(世界最大のドイツの総 合化学メーカ)の電力消費量は、デンマーク全体よりも多い。 ドイツの電力の関税は世界でも最も高い部類の一つであるので、注目に値する金額にす でになっている。(例:2011 年の一般家庭向けの電力単価が、約 25 ユーロセント/kWh で、 そのうちの25%が税金である) “欧州 2020 戦略”では、エネルギーコストはドイツと欧州産業の空洞化の原因となるこ とを防止するために必要であるとしている。アメリカは石油に低い税率を課し、そして自 ら海洋で石油の採掘を行っている。安い重油価格は、産業と運輸部門にとって利点となる。 石油、ガスおよび電力の関してはいえば、産業の条件をアメリカと比較した場合、ドイ ツは全ての面で不利である。人件費ではなく電力コストがドイツの産業界にとって大きな 問題となりつつある。したがって、ドイツの電力料金と欧州全体の電力網に関する討論が 必要とされている。 必要な電力を必要な場所に直ぐに供給できるような社会基盤が必要である。 太陽光発電の導入はさらに加速させるべきであるが、それは“太陽の国”といえるモロッコ、 スペイン中央部であり、ドイツではない。年間の太陽光発電に最適な日照時間を比較した 場合、ドイツは58 時間でスペイン中央部は 2000 時間という報告がある。ここで、政策が 非難されるべきであり、ドイツのエネルギー転換および戦略と欧州の相互間接続は絶対に 必要なものである。中東の化石燃料による発電は停止すべきであり、欧州の技術を利用し ながら、太陽光(太陽光発電と太陽熱集熱器)の規模を拡大すべきである。その目的のために は、自由で単一のエネルギー市場である必要がある。最後に、ドイツは、欧州への影響に ついて真剣に考えなければならない。なぜなら、エネルギー政策の転換は、ドイツだけで は絶対に成功しないからである。 1.2 成長する再生可能エネルギーの世界的傾向と戦略 欧州投資銀行注1)Adnan Z. Amin 代表 (1)はじめに

欧州投資銀行(The European Investment Bank、以下 EIB)として欧州におけるビジネス 開発銀行の視点から、再生可能エネルギーの問題について説明する。持続可能であり安全 かつ競争力のあるエネルギー源の開発と促進は、EU の優先事項である。もちろん、これは また、EU の長期的資金調達に向けた金融機関である EIB にも当てはまることである。 EU 委員会は、2020 年までにエネルギー総消費量の 20%を再生可能エネルギーから得る というEU の目標のためには、約 700 億ユーロの投資が毎年必要であると算出している。 さらに、不可欠なエネルギー供給設備の拡大には、1400 億ユーロの投資が必要であり、 この投資の700 億ユーロは陸上の送電線のため、そして 400 億ユーロはスマートグリッド やエネルギー貯蔵のため、残りの約 300 億ユーロは洋上風力発電による電力網の拡大のた めとしている。このような規模に対する民間と公共部門による資金の付随動員の投資は、 経済的そして政治的に安定した時代であっても、非常に大きな挑戦である。しかしながら、 この目標設定は予想外の可能性も持っている。特にソブリン債務危機において、ドイツで のエネルギー政策の転換は、重大な経済的動機付けを創出し、豊富な個人資産を経済分野 へと導いている。それにもかかわらず、多くの再生可能エネルギーに伴う資金の不足には、 基本的に3 つの要因がある。 ①他のエネルギー源と比較して、家庭でのコストデメリットが大きい。 ただし、うまくいけば、初期段階だけで収まる。 再生可能エネルギーの拡大は、資金構造の面から長期的な投資を特徴としている。(従 来のエネルギー源と比較して、高い初期投資とより低い運用コスト)したがって、初期 段階でのコストデメリットを低減させるための利用可能な公的金融商品(サービス)の 提供は重要である。 ②大きな投資プロジェクトの数が大幅に、増加しており、資金不足が激化している。電 力部門の10 億ユーロを超えるような洋上風力発電プロジェクトに多いケースである。 ③現在の金融サービス業界は、長期的プロジェクトの資金調達について非常に慎重であ る。資本市場と商業(市中)銀行は大きな金額を動かすことができるかも知れないが、商 業銀行は明らかにそれらへの関与を減らしてきている。 (2)EIB の役割 各分野での商業銀行の関与と競争することはEIB の使命ではなく、彼らと一緒に行う、 または彼らの支援をすることが使命である。これまでに、EIB は再生可能エネルギーの分 野への資金をかなり増加させてきており、昨年はエネルギー分野に尐なくとも 130 億ユー ロ以上の投資をした。再生可能エネルギーのサブセクターのプロジェクトは、2004 年には たった5 億ユーロであったが、2011 年には 55 億ユーロの融資を受けている。また、1 エネ ルギー効率化プロジェクトには12 億ユーロ投資されており、EIB はこのエネルギー分野へ

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の全投資の 50%以上を再生可能エネルギーに投資している。さらに、この再生可能エネル ギーへの資金(EIB の他の活動分野とは対照的に)のほとんどは、ドイツで行われている 事業に対するものである。これらの投融資の大半は、欧州連合(EU)加盟国間で使われて いる。しかしながら、EU 圏外の融資の約 60%についても、再生可能エネルギー拡大を目 的として使われている。これはEU のエネルギー政策の優先付けと EU の対外任務の効果 との交点を示しており、外交または開発と気候変動政策に関係していて、例えば、欧州開 発基金(EDF)の枠組みが該当する。欧州連合理事会による EIB の任務は、EU にとって戦略 的に重要な地域における銀行の存在を確実にすることである。 従って EIB は、プロジェクト計画とプロジェクト実施の両方で、EU 基準を促進してい る。マグレブ(北アフリカ)、地中海周辺諸国では、エネルギー分野において大多数のEIB の融資を受けている。そして、アジアと南アメリカのいくつかの国では、非常に多くの再 生可能エネルギーが、EIB によって支援されている。国連の発議である"すべての人に持続 可能なエネルギーを"の取り組みの中で、特にアフリカ大陸で再生可能エネルギーの拡大に 貢献するための EU 開発基金によって援助されている革新的資金メカニズムに取り組んで いる。だから我々は、世界的規模で持続可能な成功を達成するために再生可能エネルギー を支援している。 当然ながら、再生可能エネルギーは、適切な電力供給網が必要であり、その拡大には、 地域レベルでだけでなく、加盟国間にも優先順位をつける必要がある。電力網の拡大は高 い品質のものでなければならないので、重要なことは EU 加盟国がこの拡大を達成できる かどうかである。2020 年までの間には、さらに 50,000km 以上の新しい特別高圧送電線が 必要であるが、それらの 10,000km は洋上風力発電分野の拡大に対して導入される。これ らのプロジェクトは、再生可能エネルギーの統合に寄与しており、EU 内の電力供給の安全 性を向上するためのものである。EIB は銀行として、これらのプロジェクトが人々に受け 入れられ、効率的に許可申請を通過し、そしてプロジェクトへの投資が安全であるプロジ ェクトだけが、期限内に実現することができると理解している 2007 年から 2011 年の間、EIB は 163 億ユーロの融資が必要となる欧州の電力網の発展 と近代化への投資を支援してきた。その投資の 70%は特別高電圧送電網への問題に向けら れ、それらの大部分は、国境を越えた接続線に対するものである。 所有者である27 の加盟国の政治的目的は、例外なく、EU の機関である EIB の義務であ ることは言うまでもない。加盟国からの支払いと保証された基金によって、EIB は資本市 場で有利な条件で借り換えができ、そして顧客に対してこの利点を譲渡することも可能で ある。過去2 年間で、銀行内に総額 760 億ユーロがあったが、その約半分は欧州圏外の投 資家による支援であった。 エネルギー分野は、銀行の年間基本計画の重要な目標の一つである。さらに約 5 年前に は、銀行は EU の目標と連動した信用供与に対する資金調達政策の採用を行ってきた。言 い換えれば、EIB は、再生可能エネルギープロジェクトへの信用供与に優先順位を付けて おり、そして再生可能エネルギーの大規模な支援を可能としている。銀行の強さはエネル ギー部門へのサービスの提供力である。EIB の視点からの面白い投資商品は、ブレンドと 欧州委員会によるいかなる種類の支援の割当てに対する信用供与の組合せである。 EU 委員会と EIB との密接な関係は、その活動を非常に面白いものにしている。特に資

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の全投資の 50%以上を再生可能エネルギーに投資している。さらに、この再生可能エネル ギーへの資金(EIB の他の活動分野とは対照的に)のほとんどは、ドイツで行われている 事業に対するものである。これらの投融資の大半は、欧州連合(EU)加盟国間で使われて いる。しかしながら、EU 圏外の融資の約 60%についても、再生可能エネルギー拡大を目 的として使われている。これはEU のエネルギー政策の優先付けと EU の対外任務の効果 との交点を示しており、外交または開発と気候変動政策に関係していて、例えば、欧州開 発基金(EDF)の枠組みが該当する。欧州連合理事会による EIB の任務は、EU にとって戦略 的に重要な地域における銀行の存在を確実にすることである。 従って EIB は、プロジェクト計画とプロジェクト実施の両方で、EU 基準を促進してい る。マグレブ(北アフリカ)、地中海周辺諸国では、エネルギー分野において大多数のEIB の融資を受けている。そして、アジアと南アメリカのいくつかの国では、非常に多くの再 生可能エネルギーが、EIB によって支援されている。国連の発議である"すべての人に持続 可能なエネルギーを"の取り組みの中で、特にアフリカ大陸で再生可能エネルギーの拡大に 貢献するための EU 開発基金によって援助されている革新的資金メカニズムに取り組んで いる。だから我々は、世界的規模で持続可能な成功を達成するために再生可能エネルギー を支援している。 当然ながら、再生可能エネルギーは、適切な電力供給網が必要であり、その拡大には、 地域レベルでだけでなく、加盟国間にも優先順位をつける必要がある。電力網の拡大は高 い品質のものでなければならないので、重要なことは EU 加盟国がこの拡大を達成できる かどうかである。2020 年までの間には、さらに 50,000km 以上の新しい特別高圧送電線が 必要であるが、それらの 10,000km は洋上風力発電分野の拡大に対して導入される。これ らのプロジェクトは、再生可能エネルギーの統合に寄与しており、EU 内の電力供給の安全 性を向上するためのものである。EIB は銀行として、これらのプロジェクトが人々に受け 入れられ、効率的に許可申請を通過し、そしてプロジェクトへの投資が安全であるプロジ ェクトだけが、期限内に実現することができると理解している 2007 年から 2011 年の間、EIB は 163 億ユーロの融資が必要となる欧州の電力網の発展 と近代化への投資を支援してきた。その投資の 70%は特別高電圧送電網への問題に向けら れ、それらの大部分は、国境を越えた接続線に対するものである。 所有者である27 の加盟国の政治的目的は、例外なく、EU の機関である EIB の義務であ ることは言うまでもない。加盟国からの支払いと保証された基金によって、EIB は資本市 場で有利な条件で借り換えができ、そして顧客に対してこの利点を譲渡することも可能で ある。過去2 年間で、銀行内に総額 760 億ユーロがあったが、その約半分は欧州圏外の投 資家による支援であった。 エネルギー分野は、銀行の年間基本計画の重要な目標の一つである。さらに約 5 年前に は、銀行は EU の目標と連動した信用供与に対する資金調達政策の採用を行ってきた。言 い換えれば、EIB は、再生可能エネルギープロジェクトへの信用供与に優先順位を付けて おり、そして再生可能エネルギーの大規模な支援を可能としている。銀行の強さはエネル ギー部門へのサービスの提供力である。EIB の視点からの面白い投資商品は、ブレンドと 欧州委員会によるいかなる種類の支援の割当てに対する信用供与の組合せである。 EU 委員会と EIB との密接な関係は、その活動を非常に面白いものにしている。特に資

本リスクの分野において、リスク分担資金調達(The Risk-Sharing Finance Facility:RSFF)

2)のような特別な商品によって、貸付け、商品選択と助言に関する特定の組合せ提供して いる。他の欧州の機関と一緒になり、EIB は、例えば、欧州エネルギー効率基金またはエ ネルギー分野に関する国連イニシアティブの枠組みにおける世界エネルギー効率・再生可 能エネルギー基金(GEEREF)注3)などによって、エネルギー分野に対する資本を提供してい る。 技術的専門性において、EIB は各プロジェクトの技術面における実現可能性と経済面に おける持続可能性の検討を行えるだけではなく、プロジェクトの技術的計画性への支援も 提供している。 同時に、プロジェクトはその発展をさらに促進させるために欧州の資産か らの補助を受けることができる。例えば、EU の構造基金(Structural Funds:地域間格差 是正のための EU から加盟国への補助金)が利用できる商品である JASPERS 注4) (Joint

Assistance to Support Projects in European Regions)または、CO2証明書の販売による革

新的再生可能エネルギープロジェクトの補助制度であるELENA (European Local Energy Assistance)などがある。EIB は、プロジェクト実現に向けてスピードアップさせることに 貢献してきており、いくつかの事例ですでに効果が出てきている。 (3)EIB としての提案 EIB はルクセンブルクを拠点とし 50 年の間を経て、現在、世界銀行よりもはるかに大き な規模を持つ、最大の多国籍企業開発銀行へと進化してきた。公的融資はプロジェクトを 可能にし、それを加速させるとしても、もし我々が自分自身を欺くことなく、ここ欧州で 不変の再生可能エネルギーへと変えたければ、必要な投資の大部分は民間部門から行われ るべきである。規制の枠組みを設定することにより、その環境を築くことは可能である。 当然ながら、これらのインセンティブは期間が限定されており、そして国からの補助金が 無くても再生可能エネルギーの競争力が早く達成されるような方法でなければならない。 欧州は、いくつかの分野において数多くの課題に対する技術的リーダーシップを守りな がら、欧州の技術を拡大することに関心を持たなければならない。我々は、未だ達成でき ていないエネルギー部門の単一市場の完成を目指し続けるべきである。再生可能エネルギ ーの拡大は、欧州における現在の経済危機の克服と同時に、気候変動に対する政策の追求 にも貢献することで、EU に対するユニークな機会となる。技術革新と基礎的研究への投資 によって、欧州は世界的な競争の中での地位を保持するための礎を築いている。これは、 世界経済における欧州の役割についてだけではなく、我々欧州が世界規模で“安全性の問 題、文化の問題、電力の問題”について、どれだけの存在感と影響力を持つことができる かという問題である。 2009 年にコペンハーゲンで開催された気候変動サミットでは、欧州からは各国の環境大 臣がそれぞれ気候変動対策と環境政治学的な意思をもって出席した。しかし加盟国間で統 一された答え用意していなかったため、主導権を得られなかった。また、世界の気候変動 問題が長期にわたり政治的影響を受けて決定されてきたことを各国が認識していなかった ことも一因である。つまり、気候変動の保護は、今世紀の重要な地政学的課題の一つとし て、環境政治学的な解決方法の範囲にとどまらないのである。 そして、EIB を含めた機関と一緒に欧州連合は、それの一翼を担うべきである。

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注 1)欧州投資銀行(EIB)はEUの目的に沿った投資に資金を供与するために 1958 年のローマ条約によっ て設立。EIB は法人格をもち、財政的には独立している。EIB は EU 加盟国の共同出資によって成り 立っており、本部はルクセンブルグにある。EIB は資金の大半を資本市場において調達しており、非 営利貸付機関として金融市場で得ている利点をEU の政策推進に還元している。 EIB は、バランスのとれたEUの発展に寄与することを最優先の目標として掲げており、交通と電気 通信の欧州横断ネットワークの開発、環境保護、安定したエネルギー供給の確保、産業と中小企業の 国際競争力の向上に関するプロジェクトへの融資にも力を入れている。域外においては、非加盟国に 対する協力政策を側面からサポートを行っており、アフリカ、カリブ海地域、太平洋地域から、地中 海地域、中・東欧、中南米、アジアにまでEIB の活動は及んでいる。 (www.euinjapan.jp/union/institution/bank-01/) 注2) RSFF は、欧州の研究及びイノベーションを支援するため、今年 6 月に欧州委員会と EIB によって 設立された。この取り組みは、欧州委員会の第7 次研究フレームワーク・プログラム、及び EIB の「イ ノベーション2010 イニシアティブ」の一環である。RSFF は、EIB による事業推進者に対する直接 融資、または他の金融機関による融資の保証という形態によりリスクをカバーする。 RSFF には、EU の第 7 次フレームワーク・プログラム及び EIB よりそれぞれ 10 億ユーロが拠出さ れ、2007 年から 2013 年の資金として 20 億ユーロが予定されている。 (http://crds.jst.go.jp/daily/data/20071003-002.html) 注 3)GEEREF は、欧州委員会によって、エネルギーの効率化と再生可能エネルギーに関するプロジェクトへ の民間融資の手助けを目的に提案された。そのようなプロジェクトを加速させることは、持続可能な 発展に向けて十分な成果をもたらす。それは、環境、気候変動そして大気状態の面において好影響を もたらし、そして、労働者レベルにおいて、事業、そして収入増加の面で社会的かつ経済的にも好影 響をもたらす。それは、世界の貧困地域での安定したエネルギー供給また補助することにつながる。 ( http://europa.eu/legislation_summaries/development/sectoral_development_policies/l27063_en. htm) 注4)JASPERS は、欧州委員会、EIB、EBRD(欧州復興開発銀行)と KfW(ドイツ復興金融公庫)の間での パートナーシップである。それは、2004 年と 2007 年に加盟した 12 の欧州諸国に対する技術的支援施設 であり、EU 資金によって協調融資されるような高レベルの重要プロジェクトの準備が必要な加盟国に 提供される。 (http://ec.europa.eu/regional_policy/thefunds/instruments/jaspers_en.cfm#1) 注5)ELENA は、欧州委員会と EIB による新たに設立する助成スキームのことで、欧州委員会はこのスキ ームを通じ、総額1,500 万ユーロを拠出する。EU の省エネルギー目標達成への貢献が見込まれてい る。地方自治体の投資プロジェクトまたはプログラムの開発費用に充てる。運営はEIB が担当する。 (http://www.welcomeurope.com/european-funds/elena-european-local-energy-assistance-758+658. html) 2.再生可能エネルギーによる成長市場の開拓/焦点は地中海エリア

本会議の中で、再生可能エネルギー市場に関して、Enel Green Power 社の Ingmar Wilhelm 氏からプレゼンテーションが行われたので、それについて報告する。

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注 1)欧州投資銀行(EIB)はEUの目的に沿った投資に資金を供与するために 1958 年のローマ条約によっ て設立。EIB は法人格をもち、財政的には独立している。EIB は EU 加盟国の共同出資によって成り 立っており、本部はルクセンブルグにある。EIB は資金の大半を資本市場において調達しており、非 営利貸付機関として金融市場で得ている利点をEU の政策推進に還元している。 EIB は、バランスのとれたEUの発展に寄与することを最優先の目標として掲げており、交通と電気 通信の欧州横断ネットワークの開発、環境保護、安定したエネルギー供給の確保、産業と中小企業の 国際競争力の向上に関するプロジェクトへの融資にも力を入れている。域外においては、非加盟国に 対する協力政策を側面からサポートを行っており、アフリカ、カリブ海地域、太平洋地域から、地中 海地域、中・東欧、中南米、アジアにまでEIB の活動は及んでいる。 (www.euinjapan.jp/union/institution/bank-01/) 注2) RSFF は、欧州の研究及びイノベーションを支援するため、今年 6 月に欧州委員会と EIB によって 設立された。この取り組みは、欧州委員会の第7 次研究フレームワーク・プログラム、及び EIB の「イ ノベーション2010 イニシアティブ」の一環である。RSFF は、EIB による事業推進者に対する直接 融資、または他の金融機関による融資の保証という形態によりリスクをカバーする。 RSFF には、EU の第 7 次フレームワーク・プログラム及び EIB よりそれぞれ 10 億ユーロが拠出さ れ、2007 年から 2013 年の資金として 20 億ユーロが予定されている。 (http://crds.jst.go.jp/daily/data/20071003-002.html) 注 3)GEEREF は、欧州委員会によって、エネルギーの効率化と再生可能エネルギーに関するプロジェクトへ の民間融資の手助けを目的に提案された。そのようなプロジェクトを加速させることは、持続可能な 発展に向けて十分な成果をもたらす。それは、環境、気候変動そして大気状態の面において好影響を もたらし、そして、労働者レベルにおいて、事業、そして収入増加の面で社会的かつ経済的にも好影 響をもたらす。それは、世界の貧困地域での安定したエネルギー供給また補助することにつながる。 ( http://europa.eu/legislation_summaries/development/sectoral_development_policies/l27063_en. htm) 注4)JASPERS は、欧州委員会、EIB、EBRD(欧州復興開発銀行)と KfW(ドイツ復興金融公庫)の間での パートナーシップである。それは、2004 年と 2007 年に加盟した 12 の欧州諸国に対する技術的支援施設 であり、EU 資金によって協調融資されるような高レベルの重要プロジェクトの準備が必要な加盟国に 提供される。 (http://ec.europa.eu/regional_policy/thefunds/instruments/jaspers_en.cfm#1) 注5)ELENA は、欧州委員会と EIB による新たに設立する助成スキームのことで、欧州委員会はこのスキ ームを通じ、総額1,500 万ユーロを拠出する。EU の省エネルギー目標達成への貢献が見込まれてい る。地方自治体の投資プロジェクトまたはプログラムの開発費用に充てる。運営はEIB が担当する。 (http://www.welcomeurope.com/european-funds/elena-european-local-energy-assistance-758+658. html) 2.再生可能エネルギーによる成長市場の開拓/焦点は地中海エリア

本会議の中で、再生可能エネルギー市場に関して、Enel Green Power 社の Ingmar Wilhelm 氏からプレゼンテーションが行われたので、それについて報告する。

【Enel Green Power 社】Enel グループによって再生可能資源を利用した発電施設の開発および管理技 術について、国際的競争力を持つことを目的に2008 年 12 月に設立された会社で、イタリアに活動拠 点を置いている。 2.1 再生可能エネルギーの成長 (1)全体 再生可能エネルギー分野は、技術的または地域性の2 つの条件による評価の結果から、 図2-1 に示すように完全な成長産業といえる。

出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-1 再生可能エネルギーの技術および地形的要因からの評価 2000 年~2030 年の技術による再生可能エネルギー市場の変化を図 2-2 に示す。 その要点は以下の通りである。 ・2011 年に 110GW 以上の新しい再生可能エネルギーに対して 2,600 億ユーロの投資 が行われた。 ・これら投資の約40%が太陽光発電、約 25%が風力発電であった。 ・200 億ユーロの研究・開発への投資が行われ、出資の割合は企業と政府で 50:50 で あった。 2000 年~2030 年の地域別による再生可能エネルギー市場の変化を図 2-3 に示す。 その要点は以下の通りである。 ・エネルギー市場は、今後20 年間の再生可能エネルギーの成長を支えることになる。 ・投資範囲が広がり、より多くの国々がこの成長に関りを持つようになる。 ・アフリカは最も高いCAGR(年平均成長率)が予想されるが、実際はそれ以上となる可 能性が高い。 技術的 地域性 技 術 (2011~2020) CAGR 投資額 地 域 水 力 増加容量 導入量 導入量 風 力 バイオマス 太 陽 地 熱 導入量 導入量 2020 最小 2020 最大 CAGR (2011~2020) 北アメリカ 欧 州 南アメリカ アフリカ アジア (GW) (GW) (GW) (×10 億ユーロ) (GW) (GW) (GW) (GW)

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出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-2 再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年 技術別)

出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-3 再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年 地域別) (2)地中海エリアの現状 図2-4 に示す地中海エリアにおいて、現在の状況は以下のとおりである。 ・世界の人口の約7%を占めている。 ・世界の一次エネルギー需要の約8%を占めている。 ・世界のGDP(国内総生産)の 10%を占めている。 ・世界のエネルギー市場に対して重要な輸送回廊地帯である。 CAGR:年平均成長率 アフリカ アジア 北アメリカ 南アメリカ 欧州 (GW) CAGR:年平均成長率 地熱 バイオマス 太陽熱 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力 (GW) 地熱 バイオマス 陸上風力 水力 地熱 バイオマス 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力 地熱 バイオマス 太陽熱 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力

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出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-2 再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年 技術別)

出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-3 再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年 地域別) (2)地中海エリアの現状 図2-4 に示す地中海エリアにおいて、現在の状況は以下のとおりである。 ・世界の人口の約7%を占めている。 ・世界の一次エネルギー需要の約8%を占めている。 ・世界のGDP(国内総生産)の 10%を占めている。 ・世界のエネルギー市場に対して重要な輸送回廊地帯である。 CAGR:年平均成長率 アフリカ アジア 北アメリカ 南アメリカ 欧州 (GW) CAGR:年平均成長率 地熱 バイオマス 太陽熱 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力 (GW) 地熱 バイオマス 陸上風力 水力 地熱 バイオマス 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力 地熱 バイオマス 太陽熱 太陽光 洋上風力 陸上風力 水力

出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-4 地中海エリアの状況 表2-1 現在の地中海エリアの人口、GDP、電力需要 項 目 地中海北部 地中海南部 全 体 人口 (億人) 約 2.8 約 2.0 約 4.8 GDP (×10 億ドル) 約 8,000 約 1,000 約 9,000 GDP/電力需要 (%) 1.4 4 1.6

出典:Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社

図2-5 欧州、アフリカ北部、中東のエネルギーの構成 地中海 南 部 北 部 ノルウェー ドイツ イギリス ・アイルランド ポーランド ・バルカン諸国 欧州中央諸国 イタリア リベリア半島 欧州南東諸国 北西アフリカ諸国 フランス ベルギー・オランダ・ルクセンブルク トルコ 中東 リビア・エジプト 太陽光・熱 風力 水力 他の再生可能資源 石炭 ガス 石油 原子力

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表2-2 欧州、アフリカ北部、中東のエネルギーの構成 地域・国 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 ノルウェー 水力 原子力 石炭 ガス R.E. イギリス・アイルランド ガス 石炭 原子力 風力 石油 ドイツ 石炭 風力 ガス 原子力 太陽光・熱 ポーランド・バルカン諸国 石炭 ガス 水力 風力 石油 ベルギー・オランダ ・ルクセンブルク ガス 原子力 石炭 風力 R.E. フランス 原子力 水力 石油 石炭 ガス 欧州中央諸国 水力 石炭 ガス 原子力 風力 リベリア半島 ガス 風力 水力 石炭 石油 イタリア ガス 水力 石油 石炭 風力 欧州南東諸国 石炭 水力 ガス 石油 太陽光・熱 北西アフリカ諸国 ガス 石油 風力 石炭 ― リビア・エジプト ガス 石油 水力 ― ― トルコ ガス 水力 石油 風力 ― 中東 ガス 石油 風力 ― ― 特記:図2-5 より作成、R.E.は他の再生可能資源を示す 図2-5 と表 2-2 に示すとおり、現在の地中海エリアにおける、エネルギー市場の特徴 は以下のとおりである。 ・リビア、アルジェリアおよびエジプトは当該エリアの化石燃料貯蔵量の90%以上を 持っている。 ・他の地中海諸国は、基本的にエネルギー輸入国である。 ・地中海北部は、石炭、ガス、原子力が、電力供給のシェアの大半を占めている。 ・再生可能エネルギーにおいては、特に水力、風力および太陽光発電がすでに大きく 寄与している。 ・地中海南部の多くは、急激な需要の増加と70%を超えるエネルギーを依存している という2 つの事態に直面している。 ・地中海南部では、ガスと石油による電力供給の殆どを占めている。 ・地中海北部の各国間の電力供給網は、電力供給の安全性を目的として相互間接続さ れており、国境を越えた商業的取引きが行われている。 そして、国内の電力供給網は非常に細かい。 ・地中海南部の電力供給網は、主要な負荷エリアを中心に接続されているが、国内供 給網のさらなる整備だけでなく、各国間の相互間接続が必要となる。 2.2 これからの地中海エリアの市場 (1)将来の予測 地中海エリアの今後の状況については、以下のように予測される。

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表2-2 欧州、アフリカ北部、中東のエネルギーの構成 地域・国 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 ノルウェー 水力 原子力 石炭 ガス R.E. イギリス・アイルランド ガス 石炭 原子力 風力 石油 ドイツ 石炭 風力 ガス 原子力 太陽光・熱 ポーランド・バルカン諸国 石炭 ガス 水力 風力 石油 ベルギー・オランダ ・ルクセンブルク ガス 原子力 石炭 風力 R.E. フランス 原子力 水力 石油 石炭 ガス 欧州中央諸国 水力 石炭 ガス 原子力 風力 リベリア半島 ガス 風力 水力 石炭 石油 イタリア ガス 水力 石油 石炭 風力 欧州南東諸国 石炭 水力 ガス 石油 太陽光・熱 北西アフリカ諸国 ガス 石油 風力 石炭 ― リビア・エジプト ガス 石油 水力 ― ― トルコ ガス 水力 石油 風力 ― 中東 ガス 石油 風力 ― ― 特記:図2-5 より作成、R.E.は他の再生可能資源を示す 図2-5 と表 2-2 に示すとおり、現在の地中海エリアにおける、エネルギー市場の特徴 は以下のとおりである。 ・リビア、アルジェリアおよびエジプトは当該エリアの化石燃料貯蔵量の90%以上を 持っている。 ・他の地中海諸国は、基本的にエネルギー輸入国である。 ・地中海北部は、石炭、ガス、原子力が、電力供給のシェアの大半を占めている。 ・再生可能エネルギーにおいては、特に水力、風力および太陽光発電がすでに大きく 寄与している。 ・地中海南部の多くは、急激な需要の増加と70%を超えるエネルギーを依存している という2 つの事態に直面している。 ・地中海南部では、ガスと石油による電力供給の殆どを占めている。 ・地中海北部の各国間の電力供給網は、電力供給の安全性を目的として相互間接続さ れており、国境を越えた商業的取引きが行われている。 そして、国内の電力供給網は非常に細かい。 ・地中海南部の電力供給網は、主要な負荷エリアを中心に接続されているが、国内供 給網のさらなる整備だけでなく、各国間の相互間接続が必要となる。 2.2 これからの地中海エリアの市場 (1)将来の予測 地中海エリアの今後の状況については、以下のように予測される。 ・2030 年までに 30%~40%のエネルギー需要の増加が見込まれ、この急激な増加の 75%が地中海南部で見込まれる。 ・この重要な変化は市場の形成に関するものだけでなく、政策と法律レベルにも影響 を及ぼす。 ・再生可能エネルギー分野におけるコスト競争力は、地中海エリアにおける量的な貢 献と普及スピードの両方に対して大きな原動力となる。 ・柔軟なガス火力発電所の運用は、太陽光および風力のように断続的な再生可能エネ ルギーの補助的役割を担う。 ・国内電力網の整備、地中海南部各国の相互間接続そして地中海北部との接続は、供 給の安全性向上と再生可能エネルギーをより大きなシェアとするための重要事項で ある。 (2)参入のためには 地中海エリアにおける市場の開拓のための市場の選択に対する必要なプロセスとして、 「トップダウンの戦略的分析および明確な選択条件」が最も重要である。 ①基本条件:市場規模、経済面での成長、法律および規制面での枠組み、 ビジネスへの倫理観と価値観 ②エネルギーに関する条件:再生可能資源の可能性、利点となる範囲、 エネルギーへの依存性、市場の制約 市場に参入するためには、市場および規制面における参入機会と企業の明確な実績 の関係がある。 ・M&A、政府による応募、環境分野での開発と協力 ・企業の強み:市場での順位、開発および技術面での競争力 ・短期では、成功と運用経験、長期では 有機的な事業活動(役割) 過去の教訓としては、明確な目標を持つ(但し、それを追求し続けるための柔軟性は 必要)ことである。そして、最初に明確な戦略的プロセスを実行(国、技術、市場の区 分の明確化)が必要となる。 ・競争力のある分野または技術に集中すべきである ・机上で見つけられることよりも、現地にはより多くの参入機会がある 2.3 地中海エリアへの投資および参入への提案 地中海エリアの再生可能エネルギー産業に対する投資および参入機会のために、下記事 項を提案する。 (1)参入機会 ①M&A、競売と環境分野全般への入札 ②リスク管理と情報入手のための現地パートナーの選択

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(2)技術面 ①将来の主要技術である風力、太陽光、太陽熱に対する技術力 ②天然資源の開発と供給網の拡張に対応できる技術力 (3)市場のセグメント(将来の変化を予測した市場の区分、細分化) ①利用者に適した存在とサービス(公益、大量消費、小売業) ②小規模施設の統合と適した技術の供給(太陽光発電など) (4)電力網の整備 ①現地/国内供給をカバーする商品が優先される ②発電と使用場所との距離と発電規模による供給網の接続リスクの低減 (5)全体解決策

①スーパーグリッド、スマートグリッド、Demand Side Management の実現に向 けてのロビー活動

②契約の第2 段階(小売り市場)への準備

demand side management 】電気事業者による電力需要管理システム。省エネルギーそして電 力消費の偏りを平準化するための施策を電力会社が行う。特に、アメリカでは積極的に行われて おり、工場が省エネ投資をする場合や、一般家庭が家電機器を高効率のものに買い替える際に、 その費用の一部、時には全額を電力会社が負担をしたり、エアコンのオン・オフを電力会社が直 接操作を行ったりしている。

(参考資料)

・Erneuerbare Energien2012 講演資料、Ingmar Wilhelm 氏、Enel Green Power 社 ・Enel Green Power 社 ホームページ( http://www.enelgreenpower.com/ )

図 2-1  再生可能エネルギーの技術および地形的要因からの評価    2000 年~2030 年の技術による再生可能エネルギー市場の変化を図 2-2 に示す。  その要点は以下の通りである。 ・ 2011 年に 110GW 以上の新しい再生可能エネルギーに対して 2,600 億ユーロの投資    が行われた。 ・これら投資の約 40%が太陽光発電、約 25%が風力発電であった。  ・ 200 億ユーロの研究・開発への投資が行われ、出資の割合は企業と政府で 50:50 で あった。 2000 年~2030
図 2-2  再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年  技術別)
図 2-2  再生可能エネルギー市場の変化(2000 年~2030 年  技術別)

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