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Academic year: 2021

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(1)

二〇二〇年度  西大和学園中学校入学試験(東京・東海・岡山会場)

(六〇分)  答えはすべて解答用紙に書き入れること。 枚目

   次の文章を読んで以下の問いに答えなさい。

 

   ら、 り、 ほどこ しゅう ぼくく、今でも手芸の一つとして親しまれている。だが、元はといえば、古くなった布を何枚も重ね合わせ、 じょう にするための ふうだった。

  かつて、布は貴重品。 しょみんたちは、着物がすり切れて着られなくなっても、 わせて別のものに生まれ変わらせ、ボロボロになるまで使い続けていた (注 せい しゃの側が、農民に貴重な 綿 めんの使用を禁じ、 あさしか身につけることができなかったため、 せん あら 麻を一針ひとはり めることで、なんとか温かさを確保していた、という事情もあるようだ。

  ものが豊富ではなかった時代は、そんな風に、服も、食べ物も、自分たちの手で作り、消費されていた。 にする ゆうはなく、ものの寿 じゅみょう まっとうするまで ていねいに使われた。

A   それは美化するにはあまりにも厳しい暮らしでもあった。天候不順による きょうさくや災害などの事態がひとたび起きれば、暮らしはたちまち立ちゆかなくなり、命を落とす人も少なくなかった。

  産業化が進むと、自給自足の生活は少しずつ形を変え、服や食べ物の製造の過程は大規模になり、分業化されていった。その おんけいは非常に大きい、と私は思う。先進国では、文字どおり有り余るほどの食べ物が流通している。万が一、天候不順などの問題が起きても、グローバルな わく組みの中で補うことが可能になった。高価だった衣料品の価格もどんどん下がり、その安くて丈夫でおしゃれ

な商品が当たり前のように手に入るようになった。

B   で、は、 の「が、で、 だれで、どのように作られているのかがわからなくなってきた。さらに発展が進むと、製造の場は外国にも広がり、世界規模の分業体制

が作り上げられた。作り手の姿はますます見えなくなっていった。消費しきれないほどの商品が作られ、捨てられていくが、私たち

  は、 せん たく ら「 こう て「と、るために賃金しか はらわれず、それでもその労働をすることでしか生活が成り立たないという、「選ぶことができない側」が、 ついる。が「で、は、

労働力を提供する必要があるからだ。

  2012年末、取材でバングラデシュの農村を おとずれたことがある。日本 ぎょうが手がけるソーシャルビジネス(社会的事業)を取材

するためだった。

  村では、日本から新聞記者が来たということで おおさわぎになり、村中といっても  ゴンではないほどの人たちが むかえてくれた。やぎや にわとり ものがおで村を歩き、子どもたちが だしでかけ回る。私の頭に かんだのは、先進国ではなかなか目にすることのできな くなった素朴さに対する、 そっ ちょくな賛辞だった。

  「すごくのどかで、いいところですね」

  そんな感想を口にした私に、事業を手がけてきた日本人の男性はこう返した。

  「本当にその通りです。でも、災害だったり、病気だったり、ちょっとしたことが起きただけで、 かれらの暮らしはたちまち、立ちゆかなくなる。この素朴な暮らしは、とても あやういものなんです」

  私は、新しい出会いの こうよう感だけにとらわれ、 易な言葉を口にしてしまったことを じた   その時はそこまで頭が回らなかったが、当時の写真を改めて見返してみると、集まっていたのは男性ばかりだ。今回、バングラデシュの事情について改めて調べなおしてみて、これは女性が1人で買い物にすら出られないというバングラデシュならではの事情も

からんでいたのだろうと思う。

  とうかいした (注ナプラザで せいになった人たちは、こうした農村から都市部の工場に働きに出ていた人たちだ。農村では、現金収入を得る  カイはとても少ない。「次の世代の教育のために」。そんな思いが、 かのじょたちの支えになっている。

  (注    」。を、た。て、し、う。

(2)

二〇二〇年度  西大和学園中学校入学試験(東京・東海・岡山会場)

枚目

作った人が、どこで、どんな暮らしをしているのか。想像することが難しい世界に、私たちは生きている。

C   移り変わる流行に合わせて、服を簡単に取りかえられる生活は、私たちを豊かにしたのだろうか。

  近、 (注 へいた。は、 にしてくれる。「ほしいものが手に入った」だけではなく、「他より安く手に入った」「お得感がある」「他の人と差別化できる」ど、る。が、 と、 買ってしまったのだろう」と罪悪感が つのり、捨てきれずにあふれたものを前に、げんなりする。そんな経験を持つ人は少なくないだろう。

  いいものを、安く。それが、これまでの かしこい消費者だった。

  が、は、  だ。で、は、 けずい。ば、る。 れ、別の国では こくな労働 かん きょう えながら働き続ける人たちがいる。

D   地球環境への も大きい。資源には限りがあり、いつまでも じゅん たくに使えるわけではない。また、大量に捨てられるものをどうし、コストをどう負担するかも大きな問題だ。こうしたことから目を そむけていれば、そのまま、私たち自身の住環境や、健康問題 として かえってくる可能性がある。

  ま、О!」 は、し、は「 はだ

  中略    グローバル化が進んだ時代のメリットの一つは、情報も手に入れやすくなったことだ。インターネットに言葉を むだけで、

も、る。 ために、  と、NGOなどのサイトで、現地の人の暮らしのことや、労働環境について知ることができる。もう少し くわしく知りたいと思えば、う。に、も、 れ、る。の  か、は、使右される。一度に大量にものを作ることができる技術。作ったものを運ぶ輸送力。人やものをつなげるインターネットの力。人類の によって生み出された技術をどう生かすかも、人類の知恵 だいだ。

  そのための一歩が、知ることだ。目の前にある「安い服」は、どうやって生み出されているのか。買われることもなく捨てられてしまう服は、その後どうなるのか。自分が知った後は、誰かに伝えてみてもいい。そこから、 いっしょに何かできることはないかと考え

てみてもいい。

E   え、 す。ば、 る、ことは、あまりに  ッカン的すぎるだろうか。

  でも、そうすることでしか、変えることはできない。大量 はい 社会の現実を変えられるのは、私たち一人ひとりなのだ。

       【語注】

    (注1)為政者   政治を行っている人。

    (注2)ラナプラザ   バングラデシュにある衣服などを作る工場が入った商業ビル。

   とうかいし多くの せい しゃを出した。

    (注3)MadeinBangladesh  バングラデシュで作られたことを示す英語。

    (注4)疲弊   つかれ、よわること。

    (注5)ハイ   気分が こうようすること。

(3)

二〇二〇年度  西大和学園中学校入学試験(東京・東海・岡山会場)

枚目

  問一     のカタカナを、それぞれ漢字に直しなさい。 かい しょで、ていねいに書くこと)

  問二  ―――「『が、を、の中から一つ選び、記号で答えなさい。

      かざることで日々のつらさを忘れて、つらい生活の中に喜びを見いだそうとしていたから。

      東北の厳しい寒さの中で、貧しい人びとが暖かく過ごすためのただ一つの方法であったから。

      農村で ゆうをもった暮らしをするために、農業以外の収入となるものが必要であったから。

      農村に暮らす人びとは、身近なものを大切にしていこうという意識を強く持っていたから。

      農村の人びとの苦しい暮らしを改善するために、為政者が産業として守り続けてきたから。

  問三  次の段落が本文から ちています。この段落が入るのに最もふさわしい しょを、本文中の

A 号で答えなさい。 Eの中から一つ選び、記   は、ば、 あつかる。ら、 も、 にな うすい。たちも、消費する側も、「簡単に捨ててよい」という感覚になってしまう。

  問四  ―――部「作り手の『顔』が失われていった」とは、どういうことですか。六十字以内で説明しなさい。

  問五  本文中のに共通して当てはまる最も適当な一語を、本文中から探し、抜き出しなさい。

  問六  ―――部「安易な言葉を口にしてしまったことを恥じた」とありますが、その理由の説明として最もふさわしいものを、

次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

      深く考えずに思い付いたことをすぐに口にしてしまい、現地の人を傷つけてしまったことに気がついたから。

      のどかな村の様子だけに目がいき、現地の厳しい じょうきょうをまったく想像できていなかったと気付かされたから。

      日本と同じような村の様子を見てうれしく思ったが、村には日本とは ちがう厳しい現実があると教えられたから。

      見知らぬ土地に来た楽しさから出てしまった けんとうちが当違いな発言を、担当の日本人男性に厳しく てきされたから。

      現地調査で気持ちが高まり、担当の日本人男性に馬鹿にされてしまうような よう な発言をしてしまったから。

  問七  ―――部「いまの方向性」とありますが、この風潮に流される人びとはどのような状態であるといえますか。本文全体を

ふまえて七十字以内で説明しなさい。

  問八  本文の内容を説明したものとして、最もふさわしいものを、次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

      日本では古くからものを大切にする精神が根付いており、現代の「もったいない」の精神にもつながっている。

      科学技術の発展によって産業の機械化が おおはばに進んだことで、より安価な製品を作ることが可能になっている。

      グローバル化の進んだ現代社会においては、生産した製品を国内だけで消費していくことは難しくなっている。

      一部の地域や国に こくな労働をさせることによって、われわれは心身共に豊かな生活を送ることができている。

      世界規模の問題であったとしても、一人一人が自らの問題として関心を持つことが解決への糸口となっている。

 

(4)

二〇二〇年度  西大和学園中学校入学試験(東京・東海・岡山会場)

枚目

   にい なん きち」(す。い。お、

て、一部表記を改めています。

  い。 

  か、は注意してみるがこれまで見たためしがない。あのころ、つまり私たちがその遊びをしていた当時でさえ、他の子どもたちはそうい う遊びを知っていたかどうかもあやしい。いちおう私と どうねんぱい年輩の人にたずねてみたいと思う。

  なんだか私たちのあいだにだけあり、後にも先にもないもののような気がする。そう思うことは楽しい。してみると私たちの仲間のだれかが  ウアンしたのだが、  ったいだれだろう、あんなあわれ深い ゆう をつくり出したのは   その遊びというのは、ふたりいればできる。ひとりがかくれんぼのおにのように眼をつむって待っている。そのあいだに他のひとりが道ばたや畑にさいているさまざまな花をむしってくる。そして地べたに茶飲 ちゃわんほどの   いやもっと小さい、さかずきほどの穴をほりその中にとってきた花をい (注 あん ぱいに入れる。それから穴に がら の破片でふたをし、上に砂をかむせ地面の他の部分とすこし

もかわらないようにみせかける。

  る、る。て、

まわり、ここぞと思うところを指先でなでて、花のかくされた穴を見つけるのである。それだけのことである。

  う。て、や、 は、た。 

  ひとにぎりの花の美しさにつながっていた。

  砂の上にそっとはわせてゆく指先にこつんと かたいものがあたるとそこに硝子がある。硝子の上の砂をのける。だがほんのすこし。

 

  け。く。の、くにの、おとぎばなしか  のような じょうしゅを持った小さな  ッテンチがあった。小さな小さなベッテンチ。ところがみているとただ小さいだけではなかった (注 へん さいに大きな世界がそこに ぎょうしゅくされている小ささであった。そのゆえにその指さきの世界は私たち

をひきつけてやまなかったのである。

  いつもその遊びをしたわけではない。それをするのは夕暮が多かった。木にのぼったり、草の上をとびまわったり、はげしい肉体的な遊戯につかれてきて、 (注まぐれの青やかな空気のなごやかさに私たちの心も何がなし けこんでゆくころにそれをした。それを

する相手も、だれであってもかまわぬというのではなかった。第一そんな遊びを頭からこのまない仲間もあった。女の子はたいていすきだった。

  が、た。た。 

  分がふたりになってするだけのことである。つまり花をとってかくしておき、そこからすこしはなれたところへ (注きうべくんば家の角を一つまわったところまで、行っておにになり、眼をとじて百か二百かぞえ、それからさがしに出かけるのである。

  だがそれをひとりでするときは心に流れるうらわびしさが、硝子の指先にふれる冷たさや、土のしめっぽい かおりや、美しい花の色にまでしみて余計さびしくなるのだった。

  ふたりか三人でその遊びをしたあと、家へ帰る前に美しい作品を一つ土中にうめておきそのまま帰ることもあった。その夜はとき どきうめてきた花のことを思い出し、 とこの中でも思い出してねむるのである。

  て、い。 と、ず、え、 げんめつを覚えたのであった。また前の晩にうめておいた花のことをつぎの朝、子ども心の気まぐれにわすれてしまうこともあった。そういう花が私たちに (注すられたままたくさん土にくちてまじったことだろう。

  使、 

  た。    た。だった。秋葉さんの じょう とうの下でしていた。

(5)

二〇二〇年度  西大和学園中学校入学試験(東京・東海・岡山会場)

枚目

  ツルは女だからさすがに花をうまくあしらい美しいパノラマをつくる、また かのじょはそれをつくり私たちに見せるのがすきだった。ではじめのうち林太郎と私のふたりがおにでツルのかくした花をさがしてばかりいた。

  た。い、 た。ときには帯のあいだにはさんでいる小さい きんちゃくから、砂粒ほどの (注京玉を出し、それを花びらのあいだに配した。まるで花園に星のふったように。そしてまた私はツルがすきだった。

  は( 

  が、た。が、い。よ、い。  そう い。

X だ。ば、ろから花のありかを てきしてみせるのが当然なのだがツルはそうしなかった。「そいじゃ明日さがしな」といった。

  私は残念でたまらなかったのでまた地びたをはいまわったがついに見つからなかった。でその日は家に帰った。たびたび常夜燈の 下の広くもない地びたを眼にうかべた。そのどこかに、ツルがつくったところのこの世のものならぬ美しさをひめた花のパノラマがあることを思った。その花や南京玉の有様が  にとるように閉じた眼に見えた。

  朝起きるとすぐ私は常夜燈の下へいってみた。そしてひとりでツルのかくした花をさがした。息をはずませながら。まるで金でもさがすように。だがついにみつからなかった。

  た。

た。いつでも眼を閉じさえすれば、ツルのかくした花や南京玉が、水のしたたる美しさでうす明かりの中にうかぶのであった。だれか他の者にみつけ出されると困るので、私はひとりのときにかぎってそこへさがしにいった。

  遊び相手がなくてひとりさびしくいるとき、常夜燈の下にツルのかくしたその花があるという思いは私を元気づけた。そこへかけ つけ、さがしまわるあいだの希望は何にもかえがたかった。いくらさがしても見つからない しょうそうもさることながら。

  ところがある日、私は林太郎にみられてしまった。私が例のように常夜燈の下をすみからすみまでさがしまわっていると、いつの まにきたのか林太郎が常夜燈の石段にもたれてとうもろこしを食べていた。私は林太郎に見られたと気づいた しゅんかん、ぬすみの現行をおさえられたようにびくっとした。  はとっさのあいだにごまかそうとした

  だが、林太郎は私の心の底までつまり私がツルをすいているということまで見とおしたようににやにやと笑って「まださがいとる のけ、ばかだな」といった。「あれ うそだっただよ、ツルあ何も けやせんだっただ」

  私は、ああそうだったのかと思った。  についていたものがのぞかれたように感じて、ほっとした   それからのち、常夜燈の下は私にはなんの りょくもないものになってしまった。ときどきそこで遊んでいて、ここには何もかくされてはないのだと思うと  らじらしい気持ちになり、美しい花がかくされているのだと思いこんでいた以前のことをなつかしく思うのであった。

【語注】

    (注1)按配         具合。状態の良し し。

    (注2)無辺際        限りがなく、とても広いこと。

    (注3)夕まぐれ       夕暮れ。

    (注4)できうべくんば    できるかぎり。

    (注5)わすられたまま    わすれられたまま。

    (注6)南京玉        ガラスなどで作られた小さな穴のついた玉。ビーズともいう。

  問一     のカタカナを、それぞれ漢字に直しなさい。 かい しょで、ていねいに書くこと)

参照

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