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偏心梁付き外ダイアフラム形式柱梁接合部の耐力評価 [ PDF

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Academic year: 2021

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偏心梁付き外ダイアフラム形式柱梁接合部の耐力評価

石渡 光 1. 研究の背景と目的 兵庫県南部地震(1995 年)で多く見られた柱梁接合 部の溶接部近傍の被害軽減の一つの方法として,完全 溶込み溶接が不要で梁端溶接部が柱から遠い外ダイア フラムが挙げられる. 実設計では,外壁の取り付けの簡易化や内部空間の 効率化等の理由から,梁芯を柱芯からずらして取り付 ける偏心梁の採用が多い.外ダイアフラムの偏心に関 して,上場らは出寸法の大きな外ダイアフラムの局部 耐力は偏心率の増大に伴い低減することを報告してい る 1).また,伊藤らは出寸法の小さい外リングダイア フラムの局部耐力は偏心率の増大に伴い増大すること を報告しており2),これらは逆の傾向を示している. そこで,本研究では既往の研究の中間的な出寸法で 直交梁の取り付けも想定した任意形状の偏心梁付き外 ダイアフラム形式柱梁接合部の力学性状を明らかにし, 耐力評価法を構築することを目的とする. 2. 耐力評価式 2.1 塑性解析モデル 外柱タイプの柱梁接合部に地震時応力が作用する想 定で,図1 に示す鋼管柱に外ダイアフラムに相当する 鋼板と梁フランジが取り付いたモデルを考える.既往 の研究 3)で仮定している無偏心のモデルを基に,図 2 のように偏心を考慮したモデルを考える.図3 の節点 ②③④⑤から成る四角形領域は剛体とする.なお,鋼 管フランジには図 3 右のような崩壊機構を仮定する. ダイアフラムの領域ⅠⅡⅢⅣに一様歪,平面応力状態 を仮定し,von Mises の降伏条件と塑性流れの法線則 を用いて応力仕事iWinを求め,鋼管フランジの応力仕 事cfWinと合計し,外力仕事Wexと仮想仕事の原理で等 値して崩壊荷重Ppを得る. dV W mVm X m X m Y m Y m XY m XY in m

(            ) (1.1)  / ) ( in in in in cf in p W W W W W P  Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ  (1.2) ただし,mX:X 方向の応力,mY:Y 方向の応力,mXY: 面内せん断応力,mX:X 方向の歪,mY:Y 方向の歪, mXY:面内せん断歪,mV:領域の体積である. また,降伏時に図4 の応力伝達を仮定し,伝達される 応力の総和を降伏耐力Pyと考える.なお,各領域の応 力には塑性解析により得られた応力を用いる. d do X o d c X d di X i d c X y t l t t x t l t t x P           ) 2 / ( ) 2 / ( 2 1 Ⅲ Ⅰ (1.3) i XY i X X i Ⅱ cos Ⅱ sin (1.4) o XY o X X o Ⅳ cos Ⅳ sin (1.5)

ただし,ldi (1tan)/(cositansini)hdio do do h l  /tan である. なお,既往の降伏耐力評価式は無偏心の結果に対し て,反偏心側に偏心率に応じた低減係数 re(=1-2e/D) (偏心率 0 で 1,偏心率 0.5 で偏心の影響が最大とな り0)を乗ずることで偏心の影響を表現している3).ま た,PyPpの降伏点を引張強さに置き換えて最大耐力 Pm,設計用最大耐力Puを得る. yi e yo y P r P P    (1.6) d di X i d c X yi x t t l t P ( 1  /2)   (1.7) (1.8) a hdo D hdi Bf P tc td 無応力 状態を仮定 図 1 接合部のモデル化 外ダイアフラム 梁フランジ 角形鋼管柱 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ hdi hdo hdo a e e e D x1+t/2 x2+t/2  i o ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ② ⑤ ③ ④ 図 2 外ダイアフラムの崩壊機構 Ⅱ Y X Bf ⅣⅢ Ⅰ 図 4 降伏時の応力伝達 応力伝達を 無視 iX ⅠX ⅢX oX   x1 x2 x1 x1 D-t-x1-x2 td+2s x1 x1 D/2  td+2s   図 3 鋼管の崩壊機構   x1 x2 x1 x1 D-t-x1-x2 td+2s x1 x1 D/2  td+2s   d do X o d c X yo x t t l t P ( 2 /2)  

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63-2 3. 接合部の要素引張実験 3.1 実験概要 図5 に試験体の一例,表 1 に試験体一覧を示す.実 験変数は偏心率e/D,鋼管幅厚比 D/tc,外壁側の外ダ イアフラムせいhdo,水平ハンチ角度(出寸法a)で ある(記号の定義は図1,2 を参照). 3.2 載荷方法および計測概要 2000kN 万能試験機を用いて試験体が最大耐力に達 するまで単調引張載荷を行った.図6 に示すように変 位計,計測治具を設置し,接合部の局部変形を測定す る.鋼管内部の変位計の値を鋼管局部変形uc,ダイア フラム上の変位計の値をudと定義する. 3.2 実験結果 3.2.1 荷重―変形関係 図7 にパラメータ別の荷重 P―局部変形 u 関係,表 2 にパラメータ別の降伏耐力を示す. 各記号の定義は, Py(1/3) :接線剛性が初期剛性の1/3 となるときの荷重, Py(0.15):梁せい/鋼管幅が 1.5 とした際,鋼管局部変形 による梁端の残留回転角が 1/500rad に留まる荷重,

Pp :General Yield Point 法により求める全塑性耐力,

Pu:試験時のピーク荷重である. 図7(a),(b)から,No.1AB,2,3 では降伏時,大変 形時ともに偏心による耐力低下が確認された.図7(c) から,No.4AB,5AB では降伏時に偏心による耐力低 下が見られるが,一部No.5A が No.4A を上回ってい る.これは鋼管ウェブの面外変形により側面ダイアフ ラムの回転が生じ,変位計の固定位置が移動したこと で変位udi が減少したことが原因と考えられる. 表2 から降伏耐力について,D/tc = 22, 33 で偏心 による低減率がほぼ等しいことが分かる.また, hdo = 40 よりも hdo = 25 の試験体の方が低減率が高く, hdoが小さいほど偏心の影響が大きいと考えられる. また,水平ハンチ角度,出寸法について, =45(a/D = 0.65), =31(a/D = 0.95)の試験体で偏心による 低減率はほぼ等しい. 3.2.2 歪性状 図8 に一軸歪ゲージ貼付位置と降伏耐力(Py(1/3) Py(0.15))時のダイアフラム前面の載荷方向の垂直歪分 布を示す.図8 中の横の点線は降伏歪を,網掛け部分 は計算上の降伏領域を表す.図8(a),(b)から,無偏心 の試験体では降伏領域は概ね一致しており,想定した 崩壊機構が形成されていることが確認された.図8(c), (d)から,偏心率 0.25 の試験体では,偏心側鋼管角部 付近で降伏歪に達しているが,反偏心側では全ての歪 反外壁 外壁 tc hdi hdo a e (D/tc) (hdi/D ) (hdo/D ) (a/D ) (e /D ) mm mm mm mm mm mm mm deg mm mm mm 1A 40(0.2) 190 1B 25(0.125) 175 40(0.2) 190 25(0.125) 175 4A 4B 190(0.95) 31 5A 130(0.65) 45 5B 190(0.95) 31 試験体名称 角形鋼管柱 (BCR295) 外ダイアフラム (SN400B) 梁フランジ*偏心量 幅 板厚 せい 板厚 出寸法 幅 水平ハンチ 角度 溶接 脚長 幅 Bf 1 dt22-h40-e0 200 9 (22) 40 (0.2) 12 130(0.65) 45 9 D td Bds No. 5 dt33-h40-e25-31dt33-h40-e0-31 (0.25)50 100 0 (0) dt22-h25-e0 2 dt22-h40-e25 50 (0.25) 3 dt22-h25-e25 4 dt33-h40-e0 6 (33) 40(0.2) 190 0 (0) dt33-h40-e25 表 1 試験体一覧 *梁フランジはダイアフラムと一体(SN400B),上下にカバープレート(SN490B)を溶接 図 6 変位計測 uc udi udo M6 M6 M10 M10 90 15 15 15 110 60 350 90 25 150 20 20 10 50 60 100 120 20 20 10 110 15 45‹ 25

No.2(FEM3)

12.5 20 25 185 10 47.5 12.5 10 45 ‹ 15 50 205 315 50 20 100 10 40 12.5 12.5 90 • -200•~200•~9 BCR295 60 15 10 110 50 15 315 PL-12 SN490B 130 240 10 130 20 45‹ 36 10 PL-12 SN400B 200 10 PL-12 SN400B 110 315 50 PL-12 SN490B 40 40 15 9 40 9 40 40 12 30 120 150 60 5 500 図 5 試験体の一例(No.2) □-200×200×9 BCR295

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63-3 が弾性域であり,想定した崩壊機構が形成されていな い.したがって,偏心のある試験体の降伏挙動はほぼ 偏心側のみで決定したと推測されるため,評価モデル の改善が必要である. 3.2.3 実験値と計算値の比較 表3,4 に実験値と計算値の比較を示す.表 3 から, 既往の降伏耐力評価式は実験値の傾向を概ねとらえて いる.表4 から,本論文で提案する評価式は,降伏耐 力は実験値を過大評価するが,偏心による低減を示し た.崩壊荷重,最大耐力については偏心により増大し ており,実際の傾向を再現していない.前節の降伏領 域の差異の他,後述する鋼管角部の変位を考慮するこ とで精度を上げることができると考えられる. 4. 有限要素法解析 4.1 解析概要 図9 に解析モデルを示す.解析には汎用非線形解析 ソルバーMSC.Marc2017 を用いる.8 節点ソリッド要 素を用い,対称性を考慮して1/2 モデルとした.また, 材料特性は素材試験の結果を真応力―等価塑性歪関係 に換算して得る.ポアソン比は0.3 とし,塑性域にお ける構成則は,von Mises の降伏条件と等方硬化則に 基づいている.梁フランジ端のX,Y,Z 方向の変位, Z 軸回りの回転を拘束し,反対の梁フランジ端に強制 変位を与える単調載荷の解析を行う. また,局部変形の値は実験のuc,udiの変位計の固定 点と計測点に対応する節点間の相対変位とした. 無偏心 偏心 - mm deg - kN kN -dt22-h40 40 421 351 0.83 dt22-h25 25 417 316 0.76 dt33-h40 385 316 0.82 dt33-h40-31 31 0.95 417 353 0.85 パラメータ 偏心/無偏心 33 22 45 0.65 40 Py D/tc hdoa/D 表 2 パラメータ別の降伏耐力 x1 x2 図 8(a) 前面歪分布(No.1A)

図 7(b) P-ud関係(hdo,e/D)

図 7(a) P-uc関係(D/tc,e/D) 図 7(c) P-udi関係(,a/D,e/D)

表 3 既往の評価式と実験値の比較 実験値 計算値 計算値 /実験値 kN kN -No.1A 421 484 1.15 No.1B 417 436 1.05 No.2 351 363 1.03 No.3 316 315 1.00 No.4A 385 388 1.01 No.4B 417 430 1.03 No.5A 316 291 0.92 No.5Bdt33-h40-e25-31 353 323 0.92 calPy dt22-h40-e25 dt22-h25-e0 dt22-h25-e25 dt33-h40-e0 dt22-h40-e0 dt33-h40-e25 No. パラメータ Py dt33-h40-e0-31 calPy /Py 表 4 本研究で提案する評価式と実験値の比較 降伏 耐力 全塑性 耐力 最大 耐力 降伏 耐力 全塑性 耐力 最大 耐力 降伏 耐力 全塑性 耐力 最大 耐力 kN kN kN kN kN kN - - -No.1A 421 714 924 502 589 818 1.19 0.82 0.89 No.2 351 709 844 470 614 924 1.34 0.87 1.09 No.1B 417 683 924 438 557 771 1.05 0.82 0.83 No.3 316 642 769 406 582 898 1.28 0.91 1.17 No.4A 385 539 790 406 509 732 1.05 0.94 0.93 No.5A 316 483 630 394 529 832 1.25 1.10 1.32 No.4B 417 619 790 431 649 935 1.03 1.05 1.18 No.5Bdt33-h40-e25-31 353 523 630 418 665 982 1.18 1.27 1.56 dt22-h25-e0 dt22-h25-e25 dt22-h25-e25 dt33-h40-e0 dt33-h40-e25 dt33-h40-e0-31 dt22-h40-e0 No. パラメータ 実験値 計算値 計算値/実験値

Py Pp Pu calPy calPp calPm Py Pp Pu

x1 x2 図 8(d) 前面歪分布(No.3B) 図 8(c) 前面歪分布(No.2B) x1 x2 x1 x2 図 8(b) 前面歪分布(No.1B)

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63-4 4.2 解析結果 図10 に荷重 P―局部変形 u 関係,図 11 に 1/3 接線 剛性耐力時の前面ダイアフラムのX 方向垂直歪分布を 示す.図 10(a)から,No.4A では実験値と解析値は概 ね一致した.No.5 では解析値が若干下回るが,No.5 の 実験変位は前述の計測の不具合により低減したため, 解析値の方が本来の値に近いと考えられる.図 11 か ら,偏心のある No.5 の偏心側の降伏領域は計算値と 概ね一致していることが確認された. また,鋼管角部の節点(図2 の①,⑥)の X 方向変 位を局部変形uc(=)で除した値を①:i, ⑥:iと 定義し,Py(1/3) 1.5Py(1/3)時のそれぞれの値を表5 に示 す.表5 から,無偏心の No.4AB では外壁側と反外壁 側の変位がほぼ等しいのに対し,偏心のある No.5AB では外壁側の変位が増大し,反外壁側の変位が減少し ている.したがって,節点⑥に偏心率の増加に伴って 増大するような変位を定義することで,より現実の挙 動に近いモデルを構築できると推測できる. 5. まとめ 本研究では偏心梁付き外ダイアフラム形式柱梁接 合部を対象として要素引張実験を実施し,耐力評価式 を提案した.以下に得られた知見を示す. 1) 外壁側の外ダイアフラムせい hdoが小さいほど偏心 の影響が大きく現れ,耐力が顕著に低下する. 2) 今回の検討範囲において(D/tc=22,33),幅厚比の 大小による偏心の影響の変化は小さかった. 3) 中間的な出寸法(a/D = 0.65,0.95)の範囲で,a/D の大小による偏心の影響の変化は小さかった. 4) 既往の評価式による降伏耐力計算値は実験値と精 度よく一致した. 5) 提案する降伏耐力評価式は実験値を 20%程度過大 評価するが,偏心による耐力低下を表現した. 6) 偏心率 0.25 の試験体の降伏時において,反偏心側 のダイアフラム前面はほぼ弾性域に留まる. 【参考文献】 1) 上場輝康他:はりが偏心して取付く鋼管柱・はり接合部に関 する研究-その 1.外ダイアフラム形式接合部の局部破壊-,日 本建築学会近畿支部研究報告集,第30 巻,p.197-200,1990.05 2) 伊藤綾那他:外リングダイアフラム形式角形鋼管柱梁接合部 の局部耐力評価,日本建築学会構造系論文集,第 76 巻,第 668 号,p.1855-1864,2011.10 3) 松尾真太朗:外ダイアフラムを用いた角形鋼管柱梁接合部の 耐力と設計法 京都大学大学院工学研究科学位論文,2009.03 図 9 解析モデル

図 10(a) P-u 関係(No.4)

図 10(b) P-u 関係(No.5) 図 11(a) 前面歪分布(No.5A) x1 x2 図 11(b) 前面歪分布(No.5B) x1 x2 Z 回転拘束 Py1.5PyPy1.5Py時 No.4A dt33-h40-e0 0.33 0.12 0.30 0.13 No.5A dt33-h40-e25 0.52 0.34 0.18 0.09 No.4B dt33-h40-e0-31 0.44 0.36 0.39 0.15 No.5B dt33-h40-e25-31 0.59 0.40 0.21 0.12 反外壁側i パラメータ No. 外壁側o 表 5 鋼管角部の節点変位 P

表 3  既往の評価式と実験値の比較  実験値 計算値 計算値 /実験値 kN kN  -No.1A 421 484 1.15 No.1B 417 436 1.05 No.2 351 363 1.03 No.3 316 315 1.00 No.4A 385 388 1.01 No.4B 417 430 1.03 No.5A 316 291 0.92 No.5B dt33-h40-e25-31 353 323 0.92calPydt22-h40-e25dt22-h25-e0dt22-h25-e25dt33-h

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