3次元計測による足の断面形状と接触圧に及ぼす
自助具「布製靴下すべり」の影響
吉
よし野
の鈴
すず子
こ *・岡
おか本
もと幾
いく子
こ ** * 大阪教育大学非常勤講師・** 健康生活科学講座 (平成22年7月29日 受付) この論文では,身体障害のある高齢者のために試作した自助具「布製靴下すべり」が接触圧および足 の断面形状にどのように影響を及ぼすか検討した。3つのタイプの靴下エイドを用いて,高齢者のモデ ルが靴下を履く着用実験を行った。モデルの足の測定点における接触圧を計測し,とくに楔状骨点の接 触圧と圧迫感の関係を検討した。さらに非接触3次元計測による足の断面形状を測定し,断面形状と接 触圧の関係を検討した。結論として,(1) 高齢者のために試作した靴下すべりは,低い接触圧を示した。 (2) 高齢者のために試作した靴下すべりは,足の形に沿って変形された。(3)靴下エイドの 変形しにく さが,接触圧の値に影響する。したがって,試作した靴下すべりは足を締める接触圧を下げることがで きる。 キーワード:ソックスエイド,接触圧,断面形状,3 次元計測 Ⅰ 緒言 介護老人福祉施設や居宅などの介護現場で,高齢者や身障者が抱えている生活用品の 不便さをくみ上げ,自立を助ける製品開発に参画してきた[1]。その一環として,高齢者 が自立するための更衣用具である自助具「布製靴下すべり」を考案し,試作開発した[2]。 それは関節疾患などで股関節や膝関節の屈曲が困難になり,足のつま先まで手が届きにく くなる時,また手先の力が弱まる時に,靴下を履きやすくするための自助具である。 膝の関節疾患,とくに変形膝関節症が,年をとれば誰でもある程度はおこるといわれて いる [3]。高齢者で,変形膝関節症になった方すべてが,靴下を履くのに困難をともなう わけではない。しかし年齢とともに膝関節や股関節の可動域[4][5]が狭くなるといわれて おり,靴下を履きやすくするための自助具を必要とする潜在需要層が存在すると考えられ る。 現在市販されている自助具は「ストッキングエイド」[6]や「はくのらーく」[7]などがあり, また考案された自助具はさまざまなものがある[8][9][10]。市販品の自助具で比較的に入手 しやすく,普及している靴下エイドは本体がプラスチック製で,高齢者にとって足を締め 付ける感じや,足になじみにくさがある。それらを解消する目的で開発した自助具「布製 靴下すべり」は,人の肌にやさしい繊維素材のみで構成した。先行研究[11]で,布製靴下 すべりは,靴下を履く際に足を滑らかにすべらせ,靴下を小さな力で引き上げることができ,靴下を履きやすくするため自助具として,とくに高齢者用として有効であることを検 証した。本研究では,布製靴下すべりは所期の目的である足を締め付ける感じがなく,足 になじみやすいという点を検討し,結果として高齢者の足肌に対するやさしさを布製靴下 すべりに求めたいと考える。 Ⅱ 足肌に対するやさしさ 試作した布製靴下すべりは人の肌にやさしい繊維素材のみで構成し,Fig.1のような形 状をもつ。 布製靴下すべりを用いて,靴下を履くという動きは,日常生活動作である「靴下を履く」 のハビトゥス(社会的に伝承されてきた習慣的な動き方)と異なる。まず布製靴下すべり と靴下を一体化させ,靴下の履き口を開け,つぎに布製靴下すべりの布紐を持ち,靴下の 履き口を足先へ寄せ,足先を入れる,さらに一方で足を滑らせ,一方で靴下を持ち上げる こととなる(Fig.2)。これらの動きに対応した足肌に対するやさしさとは,足が挿入しや すく,足を滑らかにすべらせることである。つまり布製靴下すべりに求められている足肌 に対するやさしさは,布製靴下すべりと肌(足表面)が接触したときに感じる肌触りで, 肌になじむ感じであり,また布製靴下すべりを用いて靴下を履くときに感じる接触圧で, 足にかかる締め付けがないことである。ここでの接触圧とは靴下と足との間で靴下すべり を引き上げるとき,足表面にかかる圧力と定義する。前者である肌触りは,布つまり繊維 素材の性質に深い関わりがある。布製靴下すべりの内側,足表面に接触する素材は裏地用 キュプラとした。その特徴はしなやかで絹に似ており,肌触りが良く,耐摩耗性が優れて
Width of the sole
The position of a stitch Guideline
(The position to fold)
Foot length Foot
breadth
Slide part
Top part for wearing hole Main portion Handle portion ① Toe insert ② Pull handles ④ Finished ③ Remove the sock aid
Fig.1 Structure of the sock aid made of the fi ber material
Fig.2 The way to put on socks by the sock aid
いるといわれている[12]。つまり布製靴下すべりは肌になじむ感じを持つといえる。後者 の接触圧について,ソックスの圧迫力に関する研究[13 ∼ 15]やパンツの間隙量と衣服圧 の関係の研究[16]はあるが,靴下を履くときの接触圧の研究は見当たらない。 そこで試作した布製靴下すべりや市販品の靴下エイドを用いて,靴下を履く動作時の接 触圧(足にかかる圧力)を求め,足に及ぼす締め付けを比較検討する。また3次元計測に より足と布製靴下すべりおよび靴下エイドの断面形状を求め,布製靴下すべりおよび靴下 エイドと肌(足表面)の接触状態を検討し,足の締め付けに及ぼす影響を考察する。 Ⅲ 実験方法 モニターによる着用実験を行った。モニターは自助具を必要としない高齢者,女4名 (55 ∼ 69歳),男3名(58 ∼ 62歳)で,本体がプラスチック製の市販品の靴下エイドを用 い,足を締め付ける感じを調査した。6名は「硬いものがあたる」という違和感を生じた が,69歳の女性のみは痛みを伴った圧迫感,つまり足に及ぼす締め付けを生じた。そこで 市販品の靴下エイドによる足の締め付けの再現,試作した布製靴下すべりによる足の締め 付けの解消を確認するために,69歳の女性を高齢者モデルとした。 試作した布製靴下すべり(以下靴下すべりという)と市販品の靴下エイド(以下靴下エ イドという)を用いて,高齢者のモデルによる着用実験を行い,靴下を履く動作時の接触 圧を計測する。つぎに高齢者のモデルの足型を作成する。その足型に靴下と靴下すべりお よび靴下エイドを装着し,非接触3次元計測を行い,断面形状,断面積などを求める。 1 試料 試料は,靴下5種類,靴下すべり1種類,靴下エイド3種類とする。 靴下の詳細はTable 1に示し,靴下すべりおよび靴下エイドの詳細はTable 2に示す。
Socks No. Fiber
composition(%) Structure wearing note
Socks 1 Acrylic ・ Nylon ・
Wool plain stitch
Socks 2 Cotton(100) plain stitch(the sole part)
rib stitch(3 × 1)(the top) ○
Socks 3 Cotton(100) plain stitch(the sole part)
mesh fabric(the top part)
Socks 4 Wool ・ Nylon plain
Socks 5 Nylon ・ polyurethane garter stitch ○ high socks
Table 1 Detail of sample socks
2 接触圧計測 接触圧は接触圧測定器でエアパック法に より計測する。エアパック法は接触間に扁 平状に封じ込めたエアの圧を計る方法で, 受圧センサー(エアパック)を計測部位に 取り付けて計測する。計測部位は靴下を 履く動作時に通過する足の計測点[17]で, Fig.3に示す楔状骨点,踵点,脛側中足点, 腓側中足点の4カ所を選定した。 着用実験のためのモデルとして計測した高齢者の足寸法をTable 3に示す。なお参考の ために併せて「設計のための人体寸法データ集」[17]による高齢者の平均を示す。着用実 験はFig.2に示す靴下を履く一連の動作を行う。まず靴下すべりおよび靴下エイドと靴下 を一体化させものに,足のつま先を入れる準備段階5秒間,その後,靴下すべりおよび靴 下エイドを抜き去るまでの動 作を15秒間で行い,1秒ごとの 接触圧を計測する。ただし靴下 の違い,靴下すべりおよび靴下 エイドの違いにより,引っ張る 力や速度は異なる。 3 非接触3次元形状計測 靴下を履かす動作の一場面(Fig.2,②),靴下すべりおよび靴下エイドと靴下を装着し た足を再現するために,高齢者のモデルの足型を石膏で作成し,この石膏の足型に靴下す べりおよび靴下エイドと靴下を装着させる。 非接触3次元デジタイザーを用いて,石膏の足型のみの場合,石膏の足型に靴下すべり
Sock aid No. Composition photograph
Main portion Handle portion
Sock aid B (made of the fi ber material)
Towel cloth
Cupra fabric Cotton
Sock aid X Polyethylene Cotton
Sock aid Y Towel cloth
Plastic Nylon Cotton
Sock aid Z Polypropylene
Acetate ethylene resin
Table 2 Detail of sample sock aids
pternion Cuneiform poin metatarsale tibiale
metatarsale fibulale Fig.3 Landmarks on the foot
Model 69-year-old Female Average dimensions in elderies7) Females Men Foot circumference 22.7 23.7 25.0 Foot length 9.0 9.2 10.0 Foot breadth 22.0 22.7 24.2
Table 3 Measurement of model ’s foot
および靴下エイドと靴下を装着する場合(以下装着した靴下という。)を3次元形状画像 入力し,3次元データを取得する。なお非接触3次元デジタイザーは,レーザービームに よる光切断法で,VIVID700(ミノルタ株式会社)を用いる。 Fig.4のような3次元データから断面計測し,断面形状,断面積を求める。なおデー タの解析はポリゴン編集ソフトの面間距離モジュール(計測)を用いる。断面計測は, Fig.5に示す4ヶ所とする。その4ヶ所の位置は,脛側中足点を通る線を基準線0㎝とし, それより水平に2㎝,4㎝,6㎝とする。 つぎに石膏の足型と,着装した靴下の水平方向の断面積の差から隙間面積を求める。な お解析ソフトはMedic3D-Rugle(株式会社メディック エンジニアリング)を用いる。 Ⅳ 結果および考察 1 接触圧 着用実験の結果得られた時間経過による接触圧を,靴下ごとに,靴下すべりおよび靴下 エイド別にまとめた。ここでは靴下すべりと靴下エイドY,Zを用いた靴下1の場合を, Fig.6示す。靴下エイドXは靴下を踵点以上に持ち上げられなかったので,実験対象から 除外した。靴下すべりの場合,足の各部位の接触圧が靴下1を履き始めると増加し,ある 地点で最大に達し,靴下1から靴下すべりを抜き去るにつれ減少した。また時間経過から みて,先に楔状骨点で最大接触圧を示し,後に踵点で最大接触圧を示した。これらの接触 圧の変動は靴下すべりおよび靴下エイドを用いて靴下を履く一連の動きに対応していると 考えられる。最大接触圧は靴下すべりBが131.1gf/cm2,靴下エイドYが168.6gf/cm2,靴 下エイドZが141.6gf/cm2を示した。足にかかる最大接触圧は靴下すべりB<靴下エイド Z<靴下エイドYとなり,靴下すべりBは靴下エイドより低いことが確認できた。 同様に時間経過による接触圧の変動は靴下2∼5の場合にもみられたが,足の各部位の 最大接触圧は靴下1より低く,靴下により異なった。靴下2の場合,最大接触圧96.4gf/ cm2を示したのは靴下エイドZの踵点であった。靴下3の場合,最大接触圧123.6gf/cm2を 示し,靴下4の場合,最大接触圧128.8gf/cm2を示したのは靴下エイドYの楔状骨点であっ
た。靴下5の場合,各接触圧が約80fg/cm2以下で,足の各部位の最大接触圧が靴下5種類 の中で最も低かった。靴下5種類の内,全般的に接触圧が低いのは靴下2,5であった。 それらはTable 1において履きやすい靴下であると判断されていた。靴下すべりおよび靴 下エイドは,靴下の種類によって接触圧が異なる,つまり足の締め付けに影響を及ぼす一 因に靴下の種類が関与しているといえる。 接触圧の着用実験において,足の甲でつっぱり感や痛みなど圧迫感を生じた。この圧迫 感と足の甲で計測した楔状骨点にかかる接触圧との関係を検討するために,楔状骨点の 最大接触圧を靴下別にまとめ,Table 4に示す。圧迫感が生じたものは靴下エイドYを用 いた靴下1,靴下3,靴下4および靴下エイドZを用いた靴下1である。市販品の靴下エ イドによる足の締め付けを確認 できた。同一靴下では,楔状骨 点の最大接触圧が靴下すべりB <靴下エイドZ<靴下エイドY となり,靴下すべりBの接触圧 は低い。圧迫感を生じた楔状骨 点の最大接触圧は,約98.2gf/cm2 以上の数値を示し,この条件に 合致する靴下すべりBを用いた靴 下1では圧迫感は生じなかった。 圧迫感が生じるかどうかは,足 の甲全体を楔状骨点の接触圧の みで推し計れないが,高齢者モ デルにおいて,試作した布製靴 下すべりBは,本体がプラスチッ ク 製 の 靴 下 エ イ ド Y, Zに 比 べ, 接触圧が低く,足に及ぼす締め 付けが小さく,軽減効果がみら れた。 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0:00:00 0:00:04 0:00:09 0:00:13 0:00:17 0:00:22
Cuneiform point pternion metatarsale tibiale metatarsale fibulale
Time(h : min : s) 0:00:00 0:00:04 0:00:09 0:00:13 0:00:17 0:00:22 Time(h : min : s) 0:00:00 0:00:04 0:00:09 0:00:13 0:00:17 0:00:22 Time(h : min : s) Contact pressure fg/㎝ 2 Sock aid B 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
Cuneiform point pternion metatarsale tibiale metatarsale fibulale
Contact pressure fg/㎝ 2 Contact pressure fg/㎝ 2 Sock aid Y 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
Cuneiform point pternion metatarsale tibiale metatarsale fibulale
Sock aid Z
Fig.6 Contact pressure over putting on socks by the sock aid (using socks 1 )
Socks No. Sock aid No.
Maximum contact pressure (gf/cm2 ) feeling of pressure**) Socks 1 Sock aid B 110.8 Sock aid Y 166.9 ○ Sock aid Z 141.6 ○ Socks 2 Sock aid B 70.9 Sock aid Y 66.5 Sock aid Z 58.3 Socks 3 Sock aid B 83.4 Sock aid Y 98.2 ○ Sock aid Z 95.7 Socks 4 Sock aid B 109.9 Sock aid Y 115.3 ○ Sock aid Z 90.9 Socks 5 Sock aid B 56.3 Sock aid Y 62.5 Sock aid Z 94.7
**)○ means that we felt pressure.
Table 4 Relationship between Maximum Contact pressure of Cuneiform point and feeling of pressure
今後,圧迫感と接触圧の関係について,被験者の特性や靴下エイドの形状変形の影響を 検討する必要がある。 2 非接触3次元形状 石膏の足型と装着した靴下との断面形状,断面積,隙間面積をTable 5にまとめた。こ こで装着した靴下に用いた自助具は靴下すべりB,靴下エイドY,靴下エイドZの3つで, 断面の計測位置は基準0㎝から6㎝までの4カ所である。 Baselines
for measuring Sock aid B Sock aid Y Sock aid Z
foot in plaster 0cm Shape of the cross-sectional Cross section 39.2 60.9 51.7 28.2 Gap area 11.0 32.6 23.5 2cm Shape of the cross-sectional Cross section 41.6 60.8 52.0 32.2 Gap area 9.4 28.6 19.8 4cm Shape of the cross-sectional Cross section 48.9 56.3 54.6 34.4 Gap area 14.5 21.9 20.2 6cm Shape of the cross-sectional Cross section 49.1 58.8 61.2 37.6 Gap area 11.5 21.2 23.6
Table 5 Shape of the cross-sectional, Cross section and Gap area by 3D measurement
装着した靴下の断面形状を0㎝の計測位置で比較すると,装着した靴下の断面形状は靴 下すべりB,靴下エイドYおよびZで異なった。装着した靴下の底側が石膏の足型と同じ く平らなのは靴下すべりBと靴下エイドZで,丸いのは靴下エイドYで,装着した靴下の 甲側が石膏の足型と大きく異なるのは靴下エイドYであった。 つぎに靴下すべりおよび靴下エイド別に,4 ヵ所の計測位置における断面形状の変化を みると,靴下すべりBは石膏の足型の断面形状に近似し,足の形に沿って変形している。 靴下エイドYは円筒の上部をカットしたような形を示し,足の形に沿って変形しない。靴 下エイドZは楕円を潰したような形を示し,足の形に沿って若干の変形がみられた。 さらに断面積と隙間面積を比較すると,石膏の足型の断面積が28.2から37.6cm2へ増加 するに伴い,着装した靴下の断面積は靴下すべりBが39.2から49.1cm2へ,靴下エイド Zが51.7から61.2cm2へ増加し,隙間面積も靴下すべりBが9.4から14.5cm2へ,靴下エイ ドZが19.8から23.6cm2へ増加していた。それに対し,靴下エイドYの断面積は60.9から 58.8cm2へとやや減少し,隙間面積も32.6から21.2cm2へと減少していた。靴下すべりBは
足との隙間が少なく,足を包むような空間を形成し,靴下エイドZは靴下すべりBより隙 間が多く,足の形に沿った空間を形成し,靴下エイドYは靴下とで作り出した空間に,足 が存在しているといえる。 これらから靴下を履く動作において,靴下すべりBは足の形に沿って変形し,足を包む ような形状をもち,靴下エイドYは足の形と異なる独自の空間を形成し,靴下エイドZは 足の形に沿ってやや変形し,楕円を潰したような形状をもつといえる。 3 接触圧と断面形状の関係 足の甲部分で生じた圧迫感について,接触圧および装着した靴下の断面形状との関係か ら考察する。靴下1の場合,足の甲部分で圧迫感を生じたのは靴下エイドY,Zで,圧迫 感を生じなかったのは靴下すべりBであり,楔状骨点の最大接触圧が靴下エイドY,靴下 エイドZ,靴下すべりBの順に低い値を示した(Table 4参照)。また装着した靴下の断面 形状が,足の形に沿って変形しやすいのは靴下すべりB,靴下エイドZ,靴下エイドYの 順であった。そこで断面形状の変形は接触圧に影響を及ぼし,圧迫感に関わると考え,楔 状骨点付近である計測位置4cmと6cmの断面形状を重ねて,断面形状の変形をFig.7にま とめた。 断面形状を比較すると,靴下すべりBは6cmの形状の方が4cmの形状より甲部で持ち 上がり,装着した靴下全体が変形している。靴下エイドYは隙間のある足底と違い,甲部 分で靴下のみが接触し,6cmの形状の方が4cmの形状より甲部で持ち上がっている。靴 下エイドZは足の形状より少し隙間があり,甲部分で靴下のみが接触し,6cmの形状の 方が4cmの形状より甲部分で持ち上がっている。しかし靴下エイドZは甲部分の変形だ けでなく,装着した靴下全体の変形もみられる。 足の甲部分の表面に,靴下から受ける接触圧が直接の影響を及ぼしているのは,靴下エ イドYと靴下エイドZを用いた場合であると推測できる。それに対し,靴下エイドBは足 の形状に沿うように変形し,靴下から受ける接触圧を繊維素材が緩和していると推測でき る。足の甲部分で圧迫感が生じた靴下は,楔状骨点の最大接触圧が高い値を示すことから も裏付けられる。つまり自助具の変形しにくさと靴下の種類が接触圧に影響を与え,足に 対する締め付けに影響を及ぼすと推測できる。 sock only left foot (6㎝)
Sock aid B Sock aid Y Sock aid Z
Shape(4㎝) Shape(6㎝) Shape(4㎝) Shape(6㎝) Shape(4㎝) Shape(6㎝) sock only left foot (6㎝) left foot (6㎝)
Ⅴ 結言 「市販品の靴下エイドによる足の締め付けの解消」を目的に開発した布製靴下すべりが, 高齢者の足肌に対するやさしさを有するか検討した。そのために布製靴下すべりおよび市 販品の靴下エイド2種類を用いて,靴下を履く動作時の足表面にかかる接触圧を計測し, その接触圧から布製靴下すべりが足肌に対する締め付けを軽減する効果を検証した。また 自助具と靴下を装着した足を再現し,3次元計測を行い,断面形状,断面積,隙間面積な どを求め,足と布製靴下すべりおよび市販品の靴下エイドの位置関係を明らかにし,足の 締め付けに及ぼす影響を検討した。その結果,つぎのことが明らかになった。 ①試作した布製靴下すべりは,靴下の種類によって接触圧は左右されるが,市販品の靴下 エイドに比べ,接触圧は低く,足に及ぼす締め付けが弱い。 ②市販品の靴下エイドによる足の締め付けを確認できた。 ③3次元形状による足と靴下エイドの位置関係から,布製靴下すべりは変形しやすく,足 を包むように作用するのに対し,市販品の靴下エイドは靴下とで作り出した空間に足を 存在させる。 ④自助具の変形しにくさが接触圧に影響を与え,足に対する締め付けに影響を及ぼすと推 測できた。 試作した布製靴下すべりは市販品の靴下エイドに比べ,足に及ぼす締め付けの軽減効果 が認められ,市販品による足の締め付けを解消するという所期の目的を達成することがで きた。また足を包み,やさしく足に沿い,靴下を履かせる動きをする,つまり肌にやさし いといえる。 接触圧に影響を及ぼす形状の変形は,靴下すべりや靴下エイドの素材に起因しているの ではないかと考えられる。今後の課題として,素材と形状の変形および接触圧の関係,人 の違いを含めた接触圧と圧迫感の関係を検討する必要がある。 参考文献
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Influence of Sock Aid on Contact Pressure and
Foot Shape of Cross-section using 3D Measurement
YOSHINO Suzuko*, OKAMOTO Ikuko**
* A part-time Instructor of Osaka Kyoiku University, ** Department of Arts and Sciences, Osaka Kyoiku University,
Asahigaoka, Kashiwara, Osaka582-8582, Japan
In this paper we examine how the sock aid which we devised newly for the disabled people influences the contact pressure and the foot shape of the cross-section. We evaluated on elderly model the contact pressure on the measuring point of the foot during we put on socks with three types of the sock aids, examined the relationship with the contact pressure of cuneiform point and the feeling of pressure. Then we measured the foot shape of the cross-section using non-contact 3D digitizer, examined the relationship between these measured shapes and the contact pressures. In conclusion, (1) The sock aid devised for the elderly records low numbers of the contact pressure. (2) The sock aid devised for the elderly is transformed along the shape of the foot. (3) The difficult sock aid to be transformed affects the value of the contact pressure; therefore we can reduce contact pressure of the foot tightening.
Key Words: sock aid, contact pressure, cross-section, 3D measurement
“KUTUSHITAHAKE ∼ RU”
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