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Stop N, E Stop N, E Stop N, E Stop N, E Stop 5

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(1)

概 要

富士山は,国内最大規模の活火山のひとつであり,噴火した場合に首都 圏のインフラ施設に深刻な影響を与える恐れがあるとして,防災の観点か らも注目されている(Yamamoto and Nakada, 2015).最新期の大規模噴火 として,青木ヶ原樹海を作った貞観噴火(西暦864年)の溶岩流と東京や千 葉まで火山灰を降り積もらせた宝永噴火(西暦1707年)の火砕物降下がと くに知られている.これらの噴火の噴出量や物理特性などを参考条件に, 防災のためのハザードマップが作られている(内閣府, 2004).富士山は, 溶岩流や火山灰降下以外にも,火砕流や山体崩壊,スラッシュ雪崩など, さまざまな現象をあらゆる方向へ発生させて現在の形へと成長してきた. 今回の巡検では,周辺山麓に約70万人が居住し,重要インフラ施設も各 種立地する富士山麓を一周する.再び火山活動が活発化したときに発生す る恐れのある地質災害について,過去に発生した溶岩流の作った地形や岩 相,火砕流堆積物や岩屑なだれ堆積物の露頭にみられる構造等を観察して 現象への理解を深め,富士山の火山防災を考える. Keywords 宝永火口,スラッシュ,溶岩洞窟,枕状溶岩,岩屑なだれ,玄武岩質火砕 流

The 1707 eruption crater(the Hoei craters), Slush flow, Lava tube, Pillow lava, Debris avalanche, Basaltic pyroclastic flow

地形図

1:25,000 「精進」,「鳴沢」,「富士吉田」,「人穴」,「富士山」,「須走」,「上 井出」,「天母山」,「印野」,「吉原」

山元孝広

1

 高田 亮

1

 吉本充宏

2

千葉達朗

3

 荒井健一

3

 細根清治

4

Takahiro Yamamoto

1

, Akira Takada

1

,

Mitsuhiro Yoshimoto

2

, Tatsuro Chiba

3

,

Kenichi Arai

3

and Seiji Hosone

4

2016年527日受付. 2016年720日受理. * 日本地質学会第123年学術大会(2016年・東 京桜上水)巡検(Hコース)案内書 1 産業技術総合研究所地質調査総合センター活断 層・火山研究部門

Geological Survey of Japan, AIST, Tsukuba 305-8567, Japan

2 山梨県富士山科学研究所

Mount Fuji Research Institute, Yamanashi Prefectural Government, Fujiyoshida, Ya-manashi, 403-0005, Japan

3 アジア航測株式会社

Asia Air Survey Co., Ltd., Manpukuji 1-2-2, Kawasaki, 135-0016, Japan

4 大和探査技術株式会社

Daiwa Exploration & Consulting Co., Ltd., Toyo 5-10-4, Koto, 135-0016, Japan

Corresponding author: K. Arai, ken.arai@ajiko.co.jp

(注)本原稿のPDF版がJ-STAGEでご覧いただけ ます.

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/geosoc/-char/ja

(2)

434 山元 孝広ほか 2016―8 は じ め に 富士山は,宝永

4

年(西暦

1707

年)以降約

300

年間噴火 していないが,

10

万年前の誕生以来数百回に及ぶ噴火と数 回の大規模な山体崩壊を繰り返して成長してきた.過去には 噴出量で

1 km

3を超える大噴火をたびたび起こしていた(宮 地

, 2007

).貞観(西暦

864

年)噴火では青木ヶ原溶岩が約

1.3 km

3流出した(千葉ほか

, 2007

).宝永噴火では火砕物が

0.7 km

3噴出して,噴煙柱が高く上がり,火山灰が東京や横 浜,千葉などの遠方にまで降下した(

Miyaji et al., 2011

). 噴火場所は,山頂だけでなく山腹で多くの割れ目噴火を起こ している(高田ほか

, 2007, 2016

).噴火のタイプは,数キロ メートルに及ぶ割れ目火口から大量の溶岩流を流し出すも の,爆発的な噴火に伴って噴煙を高く上げるもの,山頂近く の急斜面に降り積もった火砕丘が崩れて火砕流となって流れ 下るものなど,さまざまある.割れ目噴火の分布を見ると, 山頂から

13.5 km

の距離までの範囲内で噴火が発生してい るように見える(

Fig. 2

).この範囲は,山麓の人家の多い場 所まで迫る位置である. 富士山の地質は,津屋(

1968

)により溶岩層序を中心とし た形成史や噴出物分布,町田(

1964

)や上杉(

2003

),宮地 (

1988

)などによりテフラ層序に基づく発達史がまとめられ てきた.富士山ハザードマップ(内閣府

, 2004

)は,これらの 先行研究を基礎として補足調査を行い作成された.近年,こ のマップに示された宝永噴火をモデルとした噴火影響を例に して,首都圏への火山灰被害や噴火後の降雨による土石流影 響への対策が一部で始まりつつある.しかし,山頂から

13.5 km

離れた都市近傍での割れ目噴火実績や山麓市街地 を一瞬でのみこむ恐れのある山体崩壊,毎年のように発生す る積雪期のスラッシュ雪崩など,富士山で発生実績のある現 象でも,住民や登山者にその実態を知られていないものが多 い. ハザードマップが作成された頃は,コンピュータ性能が著 しく進展し始めるときであり,航空レーザ計測等による詳細 地形情報の活用がこれから始まろうとする時でもあった.ま た,同時期に開始された科学技術振興調整費による「富士火 山の総合的な研究(代表:藤井敏嗣)」(

2001

年∼

2003

年) や産総研地質調査総合センターによる富士火山地質図(第

2

版)作成(高田ほか

, 2016

)のための調査研究によっても,富 士山の噴火に関する多くの基礎情報が積み上げられていった (例えば

,

山元ほか

, 2005;

高田ほか

, 2007

).しかし,これ らの成果は現状ではハザードマップや防災対応には反映され ていない.今回見学地とした場所の多くは,これらハザード マップ作成以降に明らかになった研究成果の中から設定し た. 富士火山の活動史

1

.成長と崩壊を繰り返した時期(

10

万年前

–2

万年前) 富士山の活動は約

10

万年前に始まった.現在の富士山の 中には古い小御岳火山が隠れている.現在でも小御岳の一部 が北側斜面の富士吉田口五合目にある小御嶽神社付近に露出 している.近年,小御岳の下にさらに古い先小御岳火山があ ることがボーリングにより明らかになった(中田ほか

, 2007;

Yoshimoto et al., 2010

). 富士山の活動期区分は,長年,溶岩流の層序を基に層序を 組み立てた津屋(

1940, 1968, 1971

など)による古富士火山 /新富士火山の区分がその後の研究者に受け継がれてきた が,研究者ごとに区分の基準が異なることに注意しなければ ならない(山元ほか

, 2007

).町田(

1964

)は山麓の降下火砕 物の編年から古期富士テフラ群/新期富士テフラ群を分けて 見学コース 1日目:新富士駅→宝永火口→御殿場口新5合目→山中湖宿舎(泊) 2日目:山中湖宿舎→(雁ノ穴※→)御庭・奥庭→ジラゴンノ→西湖蝙蝠穴→精進湖→上井出宿舎(泊) 3日目:上井出宿舎→田貫湖→(風祭川※)→富士川河口→新富士駅雁ノ穴は自衛隊演習場内のため,演習を実施していない立入可能日以外は,許可を得た者でも立ち入りできないことに注意が 必要. ※ 風祭川の見学地点は私有地のため,立入に際して事前に許可を得る必要がある. 上記2箇所のほかも,見学地点の多くが国立公園や国有林などであることから,予め届や許可が必要であることに注意が必要. 見学地点 Stop 1 (35°20′30″N, 138°44′47″E) 宝永第一火口 Stop 2 (35°20′06″N, 138°47′39″E) 御殿場口新5合目(太郎坊):テフラ Stop 3 (35°26′47″N, 138°47′31″E) 雁ノ穴:山頂から10 km離れた場所の火口 Stop 4 (35°2307N, 138°4236E) 御庭・奥庭:割れ目火口,スラッシュ Stop 5 (35°2833N, 138°4127E) ジラゴンノ:溶岩樹形 Stop 6 (35°29′35″N, 138°40′22″E) 西湖蝙蝠穴:溶岩洞窟 Stop 7 (35°29′08″N, 138°36′28″E) 精進湖:枕状溶岩等 Stop 8 (35°20′04″N, 138°33′57″E) 田貫湖(天子の森):田貫湖岩屑なだれ Stop 9 (35°18′08″N, 138°39′44″E) 風祭川:玄武岩質火砕流 Stop10 (35°0908N, 138°3734E) 富士川河口:遠方まで達した溶岩

(3)

いるがその境界は降下火砕物が少ない富士黒土層においてお り,津屋の区分とは基準が異なる(山元ほか

, 2007

).本論で は,これまでの津屋や町田の新旧二分法による層序ではな く,山元ほか(

2005

)による系統的な放射性炭素年代測定を もとにした区分にそって記す.すなわち,下位から星山期/ 富士宮期/須走期の

3

つの大区分である.星山期は津屋の 古富士火山のうち約

10

万年前∼約

2

万年前の時期を指し, 富士宮期は津屋の新富士旧期(町田の古期富士火山第Ⅱ期)の 約

2

万年前∼約

8

千年前を指す(山元ほか

, 2007

).須走期 は町田(

1964

)の新期富士火山で約

8

千年前以降とするもの である(山元ほか

, 2007

). 富士山は,約

10

万年間,単調に成長を続けてきたわけで はない.山中湖から富士山の左稜線を見ると,宝永山と呼ば れる約

2

万年前より古い山体(星山期火山体

;

高田ほか

,

2016

)の一部が飛び出して見えている.すなわち,富士山の 山体内には活動時期の異なる山体間の不整合が存在すること は明確で,富士山は成長と崩壊を繰り返してきた.約

2

万 年前には,南西向きに山体が大きく崩壊し,田貫湖岩屑なだ れを発生させている(山元ほか

, 2005, 2007

). この時期の富士山は玄武岩質マグマの爆発的噴火を繰り返 し,おもに東山麓から関東地方に降下火砕物を厚く堆積させ ていた(町田

, 1977;

上杉

, 1990, 1993, 1998, 2003

).関東 ローム層と呼ばれる地層の一部である.また,このころ地球 は間氷期から氷河期に入り,噴火で氷雪が溶けてできた火山 性の泥流堆積物が広がり,富士山の裾野を形成した(高田

,

2015

).

2

多量の溶岩流を流出したのち静穏になった時期(

2

万年 前

–5600

年前) 約

2

万年前の田貫湖岩屑なだれの後,崩壊壁の内側から 富士山は再び成長を始めている.爆発的噴火を伴いながら, 裾野を広く覆う大規模な玄武岩質溶岩流の噴出が卓越した (高田ほか

, 2016

).その噴出体積は

1 km

3を超えるものも あった.南東山麓では,三島市まで到達した三島溶岩流,南 山麓では駿河湾まで流れ込んだ大淵溶岩流などである.約

1

万年前以降は,爆発的噴火は少なくなり,山腹から時おり遠 方まで到達する溶岩流を流した.西山麓の犬涼溶岩流,北山 麓の桂川沿いの猿橋溶岩流などがある.猿橋溶岩流は,現在 の山梨県大月市猿橋まで

30 km

以上流れた.この後,火山 活動は徐々に静穏になり,地表から深さ数

m

の層位に,明 瞭な降下スコリア層をほとんど挟まず,火山灰の再堆積や風

Fig. 1. Topographic map of Fuji Volcano and surrounding area. (source: Chiba, 2011)

(4)

436 山元 孝広ほか 2016―8 塵・腐植などからなる黒∼暗褐色の特徴的な厚さ

1 m

内外 の富士黒土層と呼ばれる土壌層が形成された(町田

, 2007

な ど).

3

.山頂からも山腹からも爆発的に噴火した時期(

5600

年 前

–2300

年前) 約

5600

3500

年前:約

5600

年前以後,火山活動は 再び活発になった.遠方まで火山灰を飛ばす爆発的噴火も あったが,むしろ山頂付近から繰り返し玄武岩質溶岩流を発 生させる噴火が繰り返され,ほぼ現在の山頂部まで円錐形の 山体が成長した(山元ほか

, 2005

).また,北西側山腹の三合 目から四合目の間に見える火砕丘群も大部分がこの時期に形 成された(高田ほか

, 2007

). 約

3500

2300

年前:山頂では遠方に火山灰(

S-10

降 下スコリア

, S-11

降下スコリア

,

大沢スコリア)を飛ばす玄 武岩質マグマの爆発的噴火がたびたび起きて,火砕流も時お り発生した(

Yamamoto et al., 2005

).山頂の火口壁には, これらの噴火による火砕物が多数観察できる(山元ほか

,

2016

).その最上部の層は,山頂での最後の爆発的マグマ噴 火による火砕物で,剣ヶ峰噴出物(山麓では

S-22

降下スコ リア堆積物あるいは

Yu-2

:湯船第

2

降下スコリア堆積物) と呼ばれている(高田ほか

, 2016

).一方,山腹でも爆発的噴 火 が 起 き た. 約

3300

年 前(

3070

±

40 y BP

: 山 元 ほか

,

2005

)には現在の宝永火口付近から砂沢スコリアが噴出して 東麓に広く堆積した(宮地

, 2007

).約

3300

年前(

3010

±

40 y BP

:山元ほか

, 2005

)には北西山腹でも,大室山と片 蓋山で爆発的噴火が起きて大室スコリアが噴出し,周辺一帯 に厚く堆積した(鈴木ほか

, 2007

).約

2900

年前には,東斜 面に飛び出していた星山期火山体の残骸が崩壊し,御殿場岩 屑なだれを発生させている(宮地ほか

, 2004

)(

Fig. 3

).

4

.有史の富士火山(

2300

年前以降) 約

2300

年前以降:山頂での爆発的噴火は終了したが,噴 煙は上がり続けた.万葉集,竹取物語,伊勢物語,古今和歌 集などに山頂から噴煙が上がっているのが記述されている (つじ

, 1992;

小山

, 1998a, b

).一方,約

2000

年前に南∼ 南東斜面から噴出した小天狗溶岩流や二ツ塚(

S-23

)降下ス コリアなど,山腹では多くの割れ目噴火が起き,玄武岩質溶 岩流や火砕物が噴出している(山元ほか

, 2005

).

6

世紀には,南南西山腹の割れ目噴火により青沢溶岩流が 山麓まで流れ下った(山元ほか

, 2005

).溶岩流末端の山宮に は,浅間大社の起源である社のない神社が建立されている. 平安時代になり,現在の富士宮市宮町にある本宮へ浅間神社 本殿が移築された.

Fig. 2. Schematically image of stress direction (Right) and eruptive fissure pattern of Fuji volcano on the DEM image (Left). Circle showing the restriction of region for fissure eruptions within 13.5 km in radius. (source: Takada et al., 2007, 2016)

2 図.富士火山における応力のかかり方の模式図(右)と数値地形図上に示した噴火割れ目の特徴(左).円は噴火割れ目が半径

(5)

奈良時代から平安時代には富士山の活動が活発だった.特 に北西山腹,南東山腹,東山腹で多く割れ目噴火が起きた. 西暦

700–900

年頃は,北西

南東方向の割れ目噴火が頻繁 に発生した.北西山腹では,焼野噴出物,御庭奥庭第

1

噴 出物,同第

2

噴出物,白大竜王・氷池噴出物,天神山・伊 賀殿山噴出物の噴火,そして,古文書に記載されている貞観 噴火(青木ヶ原溶岩流)が次々と起きた.貞観噴火は,北西麓 で西暦

864

年に開始した.この噴火の特徴は,長尾山とい う小さい火砕丘を作ったものの,大部分が溶岩流であり,そ の噴出体積がおよそ

1.3 km

3と見積もられていることにあ る(千葉ほか

, 2007

).青木ヶ原溶岩流は,当時“せの海”と呼 ばれていた湖に流れ込み,現在の精進湖と西湖に分断し,本 栖湖の一部も埋めた(

Fig. 4

).貞観噴火は当時の朝廷が編纂 した『日本三代実録』に記述されており,噴火は少なくとも

3

年以上続いた.南東山腹では,鑵子山噴出物の噴火が起き た. 西暦

900–1000

年頃は,割れ目噴火の卓越方向が,東臼 塚南噴出物,大淵丸尾噴出物と,北西

南東から南北へシフ トしていった(山元ほか

, 2005,

高田ほか

, 2007

).そして,

2

回にわたり山頂を挟み南北に長さ

12 km

8 km

にわたる 割れ目噴火が起こった.北山腹では,それぞれ剣丸尾第

1

溶岩と剣丸尾第

2

溶岩,南山腹では不動沢溶岩と日沢溶岩 に対応している.山頂では溶岩湖ができて,噴煙が上がって いたと思われる.一方,東

北東山腹は,長期間にわたり, 割れ目噴火の活動は活発であった(山元ほか

, 2011

).例え ば,北東山腹では,

9

世紀頃,現在の忍野と山中湖へ流れ込 んだ鷹丸尾溶岩流と,檜丸尾第

2

溶岩流が流れ下った.現 在,炭素同位体年代測定で最も新しい年代を示す溶岩流は,

2002

年度のトレンチ調査(小林・高田

, 2003

)で記述された 須山胎内溶岩流で,溶岩の底より採取された炭化物より,

11

世紀後半∼

13

世紀(

2

σ で

Cal AD 1030–1230

年)の年 代が出ている(山元ほか

, 2005

). 鎌倉時代以後は,火山活動は静穏になったと考えられる.

5

.宝永

1707

年噴火 西暦

1707

年(宝永

4

年)

12

16

日に南東山腹で開始し た宝永噴火は,富士山の噴火の中で唯一詳細な記録が残され ている噴火であり,江戸にも厚さ数

cm

の火山灰を堆積させ た爆発的噴火であった(小山

, 2007

など).宝永噴火の

49

日 前には,フィリピン海プレートの沈み込み境界で宝永東海地 震(

M

8.4

)が起きていることにも注目される.この地震後, 富士山周辺では地震が頻発して,

12

15

日には地震の増 加,

12

16

日には午前中に大地震が

1

回あって,同日昼 過ぎに噴火が始まった.噴火は最初の

3

日間は激しく,後 に小康状態となり,後半に再び爆発的な噴火をしていたこと が古記録から読み取られている(

Fig. 5

).噴火は約

2

週間続 いた.噴出物はデイサイト質の軽石から始まり,安山岩質か ら玄武岩質のスコリアへと変化している. 宝永噴火による主な災害は,富士山の裾野が広がる近傍で は大量の火山礫,火山灰の堆積による家屋の消失や倒壊,農 地の埋没であり,少し離れた丹沢山地に積もった火山礫と火 山灰は降雨のたびにラハールとなって酒匂川に流れ込み,河 床を上昇させて,約

100

年にわたり大雨ごとに洪水氾濫が 続いた(井上

, 2007

).さらに,遠方の横浜では

20 cm

,東 京で数

cm

の火山灰が積もり,排水路の閉塞がいたるところ で起きた.

Fig. 3. Distribution of Gotemba debris avalanche deposit (Goda) and Gotemba mud flow deposit (Gomf) at eastern foot of Fuji volcano, and isopachmap of these deposits. Unit in m. (source:Miyaji et al., 2004)

3 図.富士山東麓の御殿場岩屑なだれ堆積物(Goda)と御殿場泥流堆積物(Gomf)の分布図および等層厚線図.単位m.(宮地

(6)

438 山元 孝広ほか 2016―8

Fig. 4. Lake Seno-umi has been divided by the lava flow. As a result, the two lakes of Lake Motosuko and Lake Shojiko was born. You can read its history from the three-dimensional view and gray color conversion made from DEM (making LIDAR system by Fuji Sabo work office). Lava distribution range which the colored area has erupted in the Jogan eruption in AD864 to866. (source: Chiba et al., 2007)

4 図.せの海を現在の西湖と精進湖に分断した青木ヶ原溶岩流の分布(千葉ほか2007).基図は,国土交通省富士砂防事務所

が行った航空レーザ計測による詳細地形データから作成した赤色立体地図をグレー色調変換したもの.着色した範囲が貞観噴火 によって噴出した溶岩流の範囲.

Fig. 5. Change in column height through-out the Hoei eruption. The periods of ash fall in Edo and rainfall, deduced from document analysis, are also shown. (source: Miyaji et al., 2011)

5 図.宝永噴火の噴火経緯の復元(

(7)

[地形図]

1

25,000

「富士山」「須走」 [位 置]

35

°

20

30

N, 138

°

44

47

E

[解 説]宝永噴火の火口は下から第三火口,第二火口,第一 火口の順に開いた.宝永第一火口の底部には宝永噴火の最後 の噴出物からなる火砕丘がある(

Fig. 6

).宝永山は,約

2

万 年以前の星山期の山体であり,表面を宝永噴火の噴出物が 覆っている.宝永第一火口内では上から斜面に平行に,約

3500

年前から約

2300

年前の山頂噴火の火砕物が覆い,そ の下位にそれ以前の溶岩流や火砕物の層が宝永火口の大部分 の断面を構成している.これらの構造を切って垂直な岩脈が 多数観察できる(

Fig. 7

).宝永噴火の噴出物は,宝永火口周 辺に多く散在しており,初期の噴出物である白い軽石,次の ステージの軽石と黒いスコリアが混じった灰色の軽石,両者 が混じりつつ固まった白黒の縞状軽石を観察できる.

Stop 2

 御殿場口新

5

合目(太郎坊):スラッシュ雪崩,テ フラ [地形図]

1

25,000

「須走」「印野」 [位 置]

35

°

20

06

N, 138

°

47

39

E

[解 説]降下火砕物が数多く堆積している.最上部を宝永噴 火時の噴出物が覆い,その下位に二ッ塚(

S-23

)降下スコリ ア,

S-22

Yu-2

)降下スコリア等の複数のテフラ層を観察で きる.かつては,約

9

千年前に流出した富士宮期の溶岩流 まで露出していたが,毎年のように上流側で発生するスラッ シュ雪崩が流下・堆積したことで,

20

年前に観察できてい た半分以上の層が埋もれて見えなくなっている.埋没前の露 頭の層序は,山元(

2014a

)に記載されている.スラッシュ雪 崩は「大量の水を含んだ雪が流動する雪崩」として定義され, しばしば土石流・泥流状態となり人家・財産が集積する山麓 に到達したため,山麓ではこれを「雪ゆき代しろ」と呼び,「春一番が 吹くと,富士山に雪代が起こる」と古くから言い伝えられた (花岡ほか

, 2007

).

Stop 3

 雁ノ穴:山頂から

10 km

離れた低標高山麓火口 [地形図]

1

25,000

「富士吉田」 [位 置]

35

°

26

47

N, 138

°

47

31

E

[解 説]津屋(

1968

)は,雁穴溶岩流(約

2500–2000

年前: 宮地

, 1988, 2500

1350 y BP

:上杉

, 2004

)の火口を雁ノ 穴とした.内閣府(

2004

)は,雁ノ穴は溶岩トンネルの末端 に生じたホーニトであって火口ではなく,本来の火口はより 山頂に近い位置にあると考えて,

2,200

年以降に形成された 火口から雁ノ穴を除外した.しかし,

2009

年に山梨県が実 施した航空レーザ計測結果を活用した再調査の結果,雁ノ穴 の山頂側に直線状に連続する溝地形が確認された(

Fig. 8

). 詳細地形の判読から,溝状地形の一部から溶岩流が溢れ出て いることや周辺の赤色酸化したスパターや火山弾の分布状況 から,溝地形が割れ目火口である可能性が高まっている(土 屋ほか

, 2010

).

Stop 4

 御庭・奥庭:割れ目火口,スラッシュ雪崩 [地形図]

1

25,000

「富士山」 [位 置]

35

°

23

07

N, 138

°

42

36

E

[解 説]北側山腹の有料道路スバルラインの

4

合目から

5

合 目に向かう途中で,割れ目火口を横断する.北北西

南南東 方向に長さ数

km

に及ぶ

2

つの火口列が並行しており,西 側を御庭奥庭第

1

火口列,東側を御庭奥庭第

2

火口列と呼 んでいる.奈良時代(約

1,300

年前)の噴火による.火口列 の縁に沿って火砕物が厚く積もり,ところどころに火砕丘が できている.スバルラインから火口列に沿った遊歩道を登る と,火砕丘の大きさや割れ目の幅,スパター等を火口の中に 入って観察できる.遊歩道を東側へ移動していくと,斜面の 上から下まで植生が生えていない帯状の区域がある.スラッ シュ雪崩の通り道であり,そのまま下っていくと,スバルラ インを覆うスラッシュ雪崩対策の洞門や導流堤といった施設 がある.

Fig. 7. Stop 1: Dike on the wall in the Hoei-I crater (Photo by Takada)

7 図.宝永第一火口内壁に見られる岩脈(撮影:高田)

Fig. 6. Pyroclastic cone inside the Hoei-I crater (Photo by Takada)

(8)

440 山元 孝広ほか 2016―8

Stop 5

 ジラゴンノ:溶岩樹形 [地形図]

1

25,000

「鳴沢」 [位 置]

35

°

28

33

N, 138

°

41

27

E

[解 説]富士山緑の休暇村の裏手にあるグラウンドの周り一 体では,青木ヶ原溶岩流の断面と青木ヶ原溶岩流の底部に赤 色酸化した約

3300

年前の大室スコリアを観察できる.溶岩 断面露頭には複数の溶岩樹形が分布しており(

Fig. 9

),溶岩 中の気泡のサイズや形が縦方向に変化する様子を観察できる ほか,厚さ

5 m

程の溶岩には溶岩膨張の発生を示唆する構 造が見られる.

Stop 6

 精進湖:枕状溶岩等 [地形図]

1

25,000

「精進」 [位 置]

35

°

29

08

N, 138

°

36

28

E

[解 説]貞観六∼七年(西暦

864

年∼

866

年初頭)の貞観噴 火では,

2

列の割れ目火口から流出した大量の玄武岩質溶岩 流が本栖湖とせの湖うみに流れ込み,現在の本栖湖・精進湖・西 湖を形作ったとされる.精進湖に流れ込んだ青木ヶ原溶岩流 には,急冷・固化する過程で生じる進行方向と直交方向にで きる「しわ」や網目状の複雑な模様など,特徴的な表面構造を 観察できる(例えば

,

海野

, 2007

)(

Fig. 10

).

Fig. 8. Stop 3: Red Relief Imaging Map (with gray color conversion) of Gan-no-Ana was made using Lidar data.

8 図.雁ノ穴火口付近の航空レー

ザ計測データによる赤色立体地図 (グレー色調表示)

Fig. 9. Outcrop of tree molds formed by the Aokigahara lava flow at the Narusawa-Michinoeki. (Photo by Chiba)

9 図.鳴沢道の駅裏のジラゴンノの溶岩樹型露頭(撮影:

(9)

Stop 7

 西湖蝙蝠穴:溶岩洞窟 [地形図]

1

25,000

「鳴沢」 [位 置]

35

°

29

35

N, 138

°

40

22

E

[解 説]青木ヶ原溶岩流のうち西湖に流れ込んだ部分は,水 中では枕状溶岩や破砕片として堆積したと考えられる.一 方,湖に達する前の緩勾配の陸上部分だった範囲には,溶岩 トンネルが多く分布する.西湖蝙蝠穴は,総延長

350 m

に 及ぶ大きなもので,枝分かれが多数あり複雑な形状を成して いる.現在は一部を見学できるように整備されている.

Stop 8

 田貫湖(天子の森):田貫湖岩屑なだれ [地形図]

1

25,000

「人穴」「上井出」 [位 置]

35

°

20

04

N, 138

°

33

57

E

[解 説]約

2

万年前(

Cal BC 18,000

年)頃に発生した富士 火山の大規模な山体崩壊の堆積物が,南西山麓に点在する. これらは地下で連続することがボーリング調査で確認されて おり,田貫湖岩屑なだれ堆積物と呼ばれている(山元ほか

,

2007

).堆積物は,無層理・無淘汰の玄武岩角礫からなり, 構成する玄武岩岩片は,長径

1

2 mm

の斜長石斑晶に富む 新鮮なかんらん石玄武岩が比較的多いものの,場所によって は黄色や赤褐色の変質により粘土化した玄武岩が卓越する. 岩屑なだれ堆積物の岩塊相に相当する部分では,特定岩種の みからなる単源で岩片支持の角礫岩として現れることが多 い.異なる岩塊相の間には,多種の岩片が混在する淘汰の悪 い基質支持の角礫岩からなる基質相が現れる(

Fig. 11

).基 質相では種々の岩片が粉砕されてできた砂∼泥サイズの粒子 が卓越するが,堆積物の内部では混合作用は必ずしも完全で はなく,特定の岩種の局所的な濃集や,母材の異なる細粒物 が作る縞状構造の発達した不均質なマトリックス相もしばし ば認められる.これらの産状は岩屑なだれ流走中にその内部 で発生した強い剪断作用の反映で,大規模な斜面崩壊堆積物 に普通に認められるものである.

Fig. 10. Note the detail structures of Aokigahara Lava and the Syojiko Lake shown by Red Relief Image Map made on using LIDAR data.) A large axial crack on the subaqueous lava flow lobe in Syojiko Lake. (Photo by Chiba)

10 図.(上)精進湖に流入した青木ヶ原

溶岩の溶岩ローブと(下)膨張して開口した 溶岩ローブ(撮影:千葉)

(10)

442 山元 孝広ほか 2016―8

Stop 9

 風祭川:玄武岩質火砕流 [地形図]

1

25,000

「天母山」 [位 置]

35

°

18

08

N, 138

°

39

44

E

[解 説]南西山腹の風祭川沿いには約

5800

年前(

Cal BC

2,800

年)頃の玄武岩質火砕流堆積物が露出する(北垣ほか,

2007

).この時期の富士山は,約

5600

年前(

Cal BC 3,600

年)頃から始まった現火山錐の形成途上で,今の山頂部は存 在していない.山頂部の完成は約

3700

年前(

Cal BC 1,700

年)頃である.ほぼ同じ年代値を示す火砕流堆積物は,南山 腹の標高

1,700 m

付近にも分布するほか(山元ほか

, 2005

), 西山腹の大沢沿い標高

1,500 m

付近にも田島ほか(

2006

)が 岩樋火砕流と呼ぶ玄武岩質火砕流がある(

Fig. 12

).おそら く,大規模な火砕丘の形成・崩壊イベントが現火山錐の成長 過程あり,このような広範囲に分布する火砕流を生じたもの と見られる.また,南西山麓に広がる土石流・高密度洪水流

Fig. 11. Tanukiko Debris Ava-lanche Deposit. Shooting point southwest of the Tanukiko. (source:Takada, A., 2015)

11 図.田貫湖岩屑なだれ堆積物.

写真(下)は田貫湖の南西.(撮影: 高田)

Fig. 12. (source: Tajima et al., 2006

12 図.南西山麓に分布する火砕流堆積物の確認箇所(田島

ほか, 2006)

Fig. 13. Outcrop of Suijin Lava at Fujigawa river side. (Photo by Chiba)

13 図.富士川沿いで観察できる水神溶岩の露頭.溶岩断

(11)

Stop 10

 富士川河口:遠方まで達した水神溶岩流 [地形図]

1

25,000

「吉原」 [位 置]

35

°

09

08

N, 138

°

37

34

E

[解 説]富士火山では,約

1

7

千年前∼

8

千年前(

Cal BC

15,000

Cal BC 6,000

年)頃の富士宮期に山麓を広く覆う 玄武岩溶岩流の大量流出が起きている(高田ほか

, 2016

).富 士川の河口付近に露出するこの溶岩流はその中でも最も初期 に噴出したもので,南西山麓では最も遠方に到達したもので ある(山元ほか

, 2007

).本溶岩流の岩質は,大型の斜長石斑 晶に富む斜方輝石単斜輝石かんらん石玄武岩である.露頭で は,富士川の淘汰の良い砂からなる河川堆積物を覆って, シート状のパホイホイ溶岩が観察できる.溶岩流の直下には 炭化した木片が多く見られ,溶岩樹型も観察できる(

Fig.

13

). 謝 辞 本巡検案内書は,地質学会関東支部が

2013

年から

2015

年まで毎年秋に開催した

3

回の巡検で見学した地点の中か ら選りすぐった

10

箇所についてまとめたものである.見学 に際しては,地点ごとに河川事務所,恩賜林組合,関係自治 体ならびに入会地の管理組合の方々に見学の趣旨を伝えて許 可を頂いた上で行った. 査読にあたられた産業技術総合研究所の中野俊氏,石塚吉 浩氏には有益なコメントを頂いた.編集にあたられた亀尾浩 司氏,本田尚正氏をはじめとする各位には辛抱強くご助言頂 いた.記して,感謝いたします. 文 献 千葉達朗(Chiba, T., 2011, 最新版活火山活断層:赤色立体地図でみ る日本の凸凹(Latest Information of Japan's Active Volcanoes

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*English translation original written in Japanese

科学論文では,学説の検証可能性を保証することが重要です.そのため,地質学雑誌掲載論文には,重 要な証拠となった試料がどこで得られたかを示しているものがあります.言うまでもないことですが, 見学や採取を行う場合,各自の責任において地権者や関係官庁への連絡と許可の取得の必要があること にご注意下さい.詳しくは,以下のサイトをご覧ください.

http://www.geosociety.jp/publication/content0073.html

一般社団法人日本地質学会

Fig.  1 . Topographic map of Fuji Volcano and surrounding area. (source: Chiba, 2011)
Fig.  2 . Schematically image of stress direction (Right) and eruptive fissure pattern of Fuji volcano on the DEM image  (Left)
Fig.  3 . Distribution of Gotemba debris avalanche deposit (Goda) and Gotemba mud flow deposit (Gomf) at eastern foot of  Fuji volcano, and isopachmap of these deposits
Fig.  4 . Lake Seno-umi has been divided by the lava flow. As a result, the two lakes of Lake Motosuko and Lake Shojiko  was born
+5

参照

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