発達障害児の早期発見と支援の体制整備に関する研究
一徳島県の保育所と幼稚園の実態調査一期 Ij支援教育専攻 富 永 由 美 子
1.問題の所在と目的
特別支援教育の現念の実現のためには早期か らの教育相談・支援、就学手旨導の充実を図るこ とが最も重要かっ優先的に取り組むべき課題で ある。しかし、小・中学校に比べて幼稚園や保 育所は体制劉首が遅れているという実態がある。
本研究では、徳島県内の全ての保育所と幼稚園 を対象に発達障害児についての体制の実態調査 を行い、徳島県の早期発見からの支援システム 構築のため検討を行う。
2.研究方法
「徳島県発達障害支援フ。ロジェクトチームJ により実騎周査を実施した。「プロジェクトチー ムJの参加魁識は任溜島県赤十字ひのみね総合 療育センター②鳴門教育大学@糖島県発達障害 者体制整備検討委員会④徳島県障害福祉課鋭意 島県教育委員会儲恵島県関係部局担当〈徳島県 健康増進課、徳島県こども未来課、発達障害者 支援センター等)である。
(1)調査対象:徳島県内の全保育所214か所、
全幼稚園165園。
( 2)実施期日:平成22年3月"'‑'4月末日。
(3)調査項目:
r
発道産害児の在籍について」「発達障害児の体制や対応J
r
外部機関への相 談・受診Jr
母子保健との連携Jr
就学物子期の 支援Jr
今後必要なこと Jについて調査する。3.結果と考察
(1)保育所の実態調査
指 導 教 員 津 田 芳 見
回収率は62.6%で、あった。
1)発達障害児の在籍率 :3歳児7.71弘、 4歳 児9.05%、5歳児8.02%で、あった。
2)体制と対応:
r
特別支援教育コーデ、イネータ ー(または、それにあたる担当者)がし、るJ25.4%、「発達障害についての研修(知識を学ぶ・情報 を得るなど)をしている J85.7%、「発達障害児 の指導(保育)方法や技術を学ぶ研修をしてい るJ62.7%、「関係する職員で会議を開き、支援 体制や支援の在り方に検討しているJ62.5%で あった。厚生労働省が所管する保育所では、文 部科学省と同様に体制整備が進められている訳 ではない。
3)相談・受診:利用した外部機関は「母子保 健J延べ288入、「巡回相談J227入、「専門家 チームJ105人であり、母子保健との関わりが 深かった。医療機関は、「大学病~JGJ 32入、「総 合療育センターJ53人と利用が多く、「その他 の医療機関jは 102人で、あった。
4)母子保健との連携:母子保健と連携してい るのは、 86.9%で、あった。連携の内容は、「定期 的に保健師が訪れ、育児相談を実施したjや「母 子保鰯一当が、乳幼児健診のフォローを行ったj
「保護者の了解のもと、手l幼児健診の情報交換 をしむなどが挙げられ、保育所と母子保健は 連携がとりやすし、ことが窺えた。
5)就学移行期の支援:平成22年4月に小学 校の通常の学級に入学予定の発達障害児 72人
‑187‑
中、就学支援シート等を使って引き継ぎ、をした 子は60人いた。「小学校への就学移行期の支援 として行ったこと」では、「口頭での引き継ぎJ が65.4%、「体験入学Jが62.8%であった。全 体的な小学校との連携は多くはないが、「就学支 援シート等Jの使用は多く、きめ細かく対応し ていると考えられる。
6)今後必要なこと:
. r
職員Jの項目では、「発 達障害児の指導(保育)方法や梯持をさらに得 るJ82.1%、「保護者への支援方法や技術をさら に習得するJ82.1%で、あった。「所内の体制そ喋 境等jの項目では、「関係する職員で会議を聞き、支援体制や支援の在り方について検討を行うJ が 85.3%と高かった。「連携や体制づくり」の 項目では、「定期的な巡回相談や育児相談の機会 を増やす」が 72.0%、「発達障害の早期発見の ため、手助児健診のスクリーニングを充実させ るJが67.2%で、あった。
(2)幼稚園の実態調査 回収率は83.0%で、あった。
1)発達障害児の在籍率:幼稚園で、は、 3歳児 1.67%、4歳児4.59%、5歳児4.38%であった。
2)体制と対応:
r
特別支援教育コーデ、ィネータ ーがし、るJ86.6%、「拐事章害についての研修伽 識を学ぶ・情報を得るなど)をしているJ87.3%、「発達障害児の指導(保育)方法や技術を学ぶ 研修をしているJ62.7%、「圏内委員会を設置し、
支援体制や支援の在り方に検討しているJ 63.4%であり、体制は樹首されつつあった。
3) 相談・受診:利用した外商1機関は「巡回相 談」延べ 144入、「母子保健J96人、「療育機 関J96人で、あった。医療機関は、「大学病院J 35入、「総合療育センターJ30人で、この2つ の機関で受診者の半樹呈度を占めた。
4)母子保健との連携:母子保健と連携してい
188
るのは、 48.2%で、あった。連携の内容は、「職員 研修の際に連携した」が多く、乳幼児健診の情 報交換など個々の事例は少なかった。
5)就学移行期の支援:平成22年 4月に小学 校の通常の学級に入学予定の発漕章害見129人 中、就学支援シート等を使って引き継ぎをした 子は 66人いた。「小学校への就学移行期の支援 として行ったことJでは、「口頭での引き継ぎ」
が99.0%、「体験入学jが91.8%であった。全 体的な連携はとれているが、個別の対応の充実
も必要であると考えられる。
6)今後必要なこと:
r
職員jの項目では、「発 達障害児の指導方法や技術をさらに得る」が 85.6%と高かった。「圏内の体制や環境等jの項 目では、「きめ細かな支援をするために、職員を 増やすjが 90.5%と高かった。「連携や体制づ くりjの項目では、「定期的な巡回相談や育児相 談の機会を増やすjが 69.8%、「発達障害の早 期発見のため、乳幼児健診のスクリーニングを 充実させる」が63.5%であった。4.総合考察
保育所では、発達障害児や保護者に対して個 別にきめ細かい対応がされているが、所内の計 画的・紘織的な支援を行う体制を今後整える必 要があると考えられる。幼稚園でいう「来拐IJ支 援教育コーディネーターJのような担当者の指 名や「圏内委員会jのような組織づくりが課題 であると考えられる。また、母子保健との連携 はとれているが、小学校との連携を含め教育機 関との連携を促進する必要がある。幼稚園は、
圏内の体制は整いつつあるが、個別の対応を充 実させる必要がある。また、「就学支援シート等J の使用を含めた小学校との連携の内容の充実や 乳幼児健診の情報交換など母子保健との連携の 促進を図る必要があると考えられる。