博 士 論 文
病院給食における地場産農産物導入の 今日的意義と展開方策に関する研究
平 成 2 6 年 3 月
大宮 めぐみ
岡 山 大 学 大 学 院
環 境 学 研 究 科
【 目 次 】
序 章 課 題 と 方 法 ... 1
第 一 節 本 研 究 の 課 題 と 背 景 ... 1
第 二 節 本 研 究 の 構 成 - 課 題 へ の 接 近 方 法 - ... 5
第 一 章
病院給食における食材調達の特徴と全国的な地場産農産物使用の実態... 9
第 一 節 病 院 に お け る 給 食 経 営 管 理 の 特 徴 ... 9
1 給 食 の 概 念 と 特 定 給 食 施 設 ... 9
2 栄 養 管 理 と 経 営 管 理 か ら 成 り 立 つ 給 食 管 理 ... 11
3 病 院 給 食 の 目 的 と 特 徴 ... 12
第 二 節 小 売 店 中 心 型 の 食 材 調 達 ... 13
1 病 院 給 食 の 食 材 購 入 先 ... 13
2 病 院 給 食 に お け る 納 品 者 と し て の 小 売 店 ... 13
3 病 院 給 食 の 納 品 者 と し て の 仲 卸 業 者 と 地 産 地 消 ... 16
第 三 節 学 校 給 食 に お け る 地 産 地 消 ... 18
1 学 校 給 食 の 歴 史 的 変 遷 ... 18
2 学 校 給 食 の 実 施 状 況... 20
3 学 校 給 食 に お け る 食 材 調 達 経 路 ... 21
4 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 の 使 用 状 況 ... 22
5 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 の 購 入 経 路 ... 22
6 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 課 題 ... 23
7 学 校 給 食 に お け る コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 必 要 性 ... 24
8 社 会 的 認 知 度 と 活 動 評 価 の 高 さ ... 24
第 四 節 病 院 給 食 に お け る 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 使 用 の 動 向 ... 26
1 病 院 給 食 に お け る 野 菜 の 購 入 実 態 ... 26
2 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 の 使 用 状 況 と そ の 購 入 先 ... 27
3 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 の 活 用 状 況 と 患 者 の 評 価 ... 28
4 地 場 産 農 産 物 活 用 に 向 け た 課 題 と そ の 解 決 方 法 ... 29
ⅰ
ii
第 二 章
農業協同組合の厚生事業を担う厚生連病院における給食のあり方... 35
第 一 節 は じ め に... 35
第 二 節 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス と 病 院 給 食 ... 36
1 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス の 理 論 的 枠 組 み ... 36
2 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス の 機 能 ... 37
3 病 院 給 食 に お け る ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス か ら の 示 唆... 38
第 三 節 厚 生 連 病 院 の 成 り 立 ち と 組 織 概 要 ... 39
1 厚 生 連 病 院 の 歴 史 的 変 遷 ... 39
2 厚 生 連 病 院 の 特 性 ... 41
3 厚 生 連 病 院 と 農 業 ・ 農 村 と の 関 係 性 ... 41
第 四 節 地域拠点病院としてのセントラルキッチン化とJAカット野菜導入 .... 42
1 JA 長 野 厚 生 連 の 概 要 ... 42
2 佐 久 総 合 病 院 の 概 要 と 食 材 調 達 ... 43
3 多 様 な 地 場 産 農 産 物 の 活 用 と 今 後 の 方 針 ... 44
4 JA 佐 久 浅 間 野 菜 加 工 開 発 セ ン タ ー の 概 要... 45
5 加 工 セ ン タ ー と 佐 久 病 院 と の 取 引 関 係... 46
6 JA と し て の 役 割 と 課 題... 48
7 地 域 拠 点 病 院 と し て の 合 理 性 と 厚 生 連 病 院 と し て の あ り 方 ... 49
第 五 節 厚 生 連 病 院 に お け る 系 統 利 用 と 購 入 動 機 ... 50
1 新 町 病 院 の 概 要 ... 50
2 新 町 病 院 栄 養 科 の 概 要 と 食 材 購 入 ... 50
3 地 場 産 農 産 物 の 積 極 的 購 入 と そ の 背 景... 51
4 食 材 納 品 者 と し て の A・ コ ー プ し ん ま ち 店 ... 52
5 厚 生 連 病 院 と A・ コ ー プ か ら 見 る 地 域 内 循 環 ... 53
第 六 節 厚 生 連 病 院 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 実 態 ... 54
1 厚 生 連 病 院 に お け る 給 食 運 営 の 特 徴 ... 54
2 厚 生 連 病 院 で の 地 場 産 農 産 物 の 使 用 状 況 と 購 入 先 ... 56
3 JA グ ル ー プ を 意 識 し た 地 場 産 農 産 物 使 用 と 活 動 展 開 ... 59
4 病 院 間 で 異 な る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 課 題 と 解 決 方 法 ... 61
5 厚 生 連 病 院 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 特 徴 ... 63
iii
6 先 進 事 例 と し て の 厚 生 連 病 院 と そ の 展 開 方 策 ... 65
第 七 節 む す び ... 67
第 三 章 農 業 協 同 組 合 に お け る 病 院 給 食 へ の 対 応 と 課 題 ... 70
第 一 節 は じ め に... 70
第 二 節 協 同 組 合 と し て の JAの 地 域 対 応 と 地 産 地 消 ... 71
第 三 節 農 業 協 同 組 合 の 地 域 内 流 通 へ の 対 応 と 地 産 地 消 の 方 針 ... 74
1 農 協 共 販 の 展 開 と 特 徴 ... 74
2 JA に お け る 地 産 地 消 の 方 針 と 病 院 給 食 ... 76
第 四 節 生 産 者 グ ル ー プ と 病 院 の 取 引 に お け る 農 業 協 同 組 合 の 役 割 ... 79
1 病 院 と JA お よ び 生 産 者 組 織 の 三 者 に よ る 地 産 地 消 の 概 要 ... 79
2 活 動 継 続 要 因 と JA の 役 割 ... 80
第 五 節 農 業 協 同 組 合 に よ る 病 院 給 食 へ の 納 品 の 意 義 ... 82
1 遠 州 病 院 と 県 内 JA に よ る 地 産 地 消 の 概 要 ... 82
2 JA と ぴ あ 浜 松 に お け る 病 院 へ の 食 材 納 品 と 地 産 地 消 の 意 義... 85
3 JA 遠 州 中 央 に お け る 病 院 へ の 食 材 納 品 と 地 産 地 消 の 意 義 ... 87
第 六 節 JAの 集 荷 ・ 分 荷 ・ 配 達 機 能 に お け る 課 題 と 対 応... 89
第 七 節 む す び ... 92
第 四 章 病 院 給 食 に お け る 業 務 委 託 化 と 地 場 産 農 産 物 導 入 方 策 ... 96
第 一 節 は じ め に... 96
第 二 節 病 院 給 食 に お け る 業 務 委 託 化 の 動 向 と 課 題 ... 97
1 業 務 委 託 の 歴 史 的 変 遷 ... 97
2 業 務 委 託 化 に お け る 目 的 と 課 題 ... 98
3 給 食 分 野 に お け る 市 場 規 模 と 今 後 の 動 向 ... 99
4 全 国 的 な 委 託 率 と そ の 傾 向 ... 101
第 三 節 アンケート調査からみる業務委託化の現状と地場産農産物活用への影響 ... 103
1 業 務 委 託 内 容 の 実 態 と 食 材 購 入 ... 103
2 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 農 産 物 の 活 用 状 況 ... 106
3 給 食 運 営 別 に 異 な る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 課 題 と 方 策 ... 109
iv
4 給 食 部 門 か ら み た 委 託 化 の 影 響 ... 113
第 四 節 全 面 委 託 給 食 に お け る 給 食 部 門 運 営 と 食 材 調 達 の 変 化 ... 115
1 尾 道 病 院 の 概 要 と 新 調 理 シ ス テ ム 導 入 に よ る 全 面 委 託 給 食 化 ... 115
2 全 面 委 託 化 に よ る 購 入 先 の 変 化 と 地 産 地 消 ... 115
3 給 食 運 営 に お け る 権 限 移 譲 の 利 点 と 地 場 産 農 産 物 導 入 へ の 課 題 ... 116
第 五 節 一部委託給食 における給食 部門経営 と活動方針明 確化の重 要性 ... 117
1 高 知 病 院 の 概 要 と 地 産 地 消 活 動 ... 117
2 JA 直 販 店 と の 取 引 と 業 務 委 託 化 の 影 響 ... 119
3 活 動 方 針 の 明 確 化 と 委 託 契 約 の 重 要 性... 121
第 六 節 給 食 委 託 会 社 に お け る 受 託 の 実 態 ... 121
1 給 食 委 託 会 社 に お け る 契 約 の 流 れ と 内 容 ... 121
2 給 食 委 託 会 社 の 食 材 購 入 の 実 態 ... 122
3 業 務 委 託 化 で の 地 場 産 農 産 物 に お け る 対 応 と 可 能 性 ... 123
4 給 食 委 託 会 社 に お け る 食 材 流 通 と 地 場 産 農 産 物 ... 124
第 七 節 む す び ... 125
第 五 章 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 意 義 と 展 開 方 策 .... 128
第 一 節 は じ め に... 128
第 二 節 病 院 に お け る 給 食 提 供 部 門 の 役 割 と 地 場 産 農 産 物 活 用 の 効 果 .... 129
1 石 川 病 院 の 概 要 と 地 場 産 農 産 物 使 用 の 経 緯 ... 129
2 購 入 業 者 選 定 に お け る 制 約 条 件 ... 129
3 地 場 産 農 産 物 活 用 を 通 じ た 給 食 提 供 部 門 に お け る 専 門 性 の 発 揮 ... 130
4 給 食 提 供 部 門 及 び 関 連 部 署 へ の 波 及 効 果 ... 130
5 病 院 内 に お け る 給 食 提 供 部 門 の 意 義 と コ ス ト 意 識 ... 131
6 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 効 果 と 課 題 ... 131
第 三 節 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 意 義 ... 133
1 地 域 社 会 に 支 え ら れ る 病 院 ... 133
2 地 域 社 会 を 支 え る 病 院 ... 133
3 地 域 社 会 へ 開 か れ た 病 院 給 食 ... 134
第 四 節 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 方 向 性 ... 134
v
1 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 全 体 像 と 展 開 方 向... 134
2 病 院 間 に お け る 活 動 の 展 開 方 向 ... 138
第 五 節 む す び ... 140
終 章 結 論 ... 145
第 一 節 各 章 の 要 約 ... 145
第 二 節 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 展 望 - 残 さ れ た 課 題 - .... 155
初 出 一 覧 ... 158
謝 辞 ... 159
vi
< 第 一 章 >
図 11 入 院 時 食 事 療 養 の 基 本 構 造 ... 12
図 12 地 場 産 農 産 物 を 活 用 す る た め の 課 題 ... 30
図 13 地 場 産 農 産 物 を 活 用 す る た め の 課 題 の 解 決 方 法 ... 31
< 第 二 章 > 表 21 JA 佐 久 浅 間 の 佐 久 病 院 向 け カ ッ ト 野 菜 規 格 表 ... 47
図 21 JA 佐 久 浅 間 の 佐 久 病 院 へ の 納 品 経 路 ... 48
表 22 JA 佐 久 浅 間 の 佐 久 病 院 へ の 納 品 時 間 ... 48
表 23 病 院 別 の 立 地 条 件 ... 55
表 24 病 院 別 の 業 務 委 託 率... 55
表 25 病 院 別 地 場 産 農 産 物 の 使 用 頻 度 ... 58
表 26 病 院 別 地 場 産 農 産 物 の 購 入 先 ... 58
表 27 病 院 別 地 場 産 農 産 物 使 用 の 経 緯 ... 59
表 28 病 院 別 地 場 産 農 産 物 使 用 の 目 的 ... 60
表 29 病 院 別 と く に 意 識 し て 取 り 組 ん で い る 活 動 ... 61
図 22 病 院 別 地 場 産 農 産 物 の 使 用 課 題 ... 62
図 23 病 院 別 地 場 産 農 産 物 の 使 用 課 題 の 解 決 方 法 ... 63
< 第 三 章 > 図 31 協 同 組 合 固 有 の 価 値... 73
図 32 JA い せ は ら の 事 務 局 と し て の 役 割 ... 82
図 33 卸 売 市 場 外 流 通 シ ス テ ム ... 91
< 第 四 章 > 図 41 給 食 市 場 の ポ ジ シ ョ ニ ン グ ... 100
図 42 給 食 の 総 市 場 規 模 推 移 ... 100
図 43 患 者 等 給 食 の 委 託 率 の 推 移 ... 102
【 図 表 目 次 】
vii
図 44 開 設 主 体 別 に み る 業 務 委 託 率 ... 102
図 45 病 床 数 別 に み る 業 務 委 託 率 ... 103
表 41 委 託 内 容 ... 104
図 46 給 食 運 営 別 に み る 業 務 委 託 の メ リ ッ ト ... 104
表 42 給 食 運 営 別 に み る 生 鮮 野 菜 の 最 購 入 先 ... 105
表 43 給 食 運 営 別 に み る 生 鮮 野 菜 の 購 入 先 軒 数 ... 105
表 44 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 野 菜 の 使 用 率 ... 106
図 47 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 野 菜 の 購 入 先 ... 107
図 48 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 農 産 物 使 用 経 緯 ... 108
表 45 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 農 産 物 使 用 目 的 ... 108
表 46 給 食 運 営 別 に み る と く に 意 識 し て 取 り 組 ん で い る 活 動 ... 109
図 49 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 農 産 物 使 用 課 題 ... 111
図 410 給 食 運 営 別 に み る 地 場 産 農 産 物 使 用 課 題 の 解 決 方 法 ... 112
表 47 業 務 委託化における地場産農産物使用に関する意見 ... 114
図 411 尾 道 病 院 の 食 材 購 入 ル ー ト ... 116
表 48 高 知 病 院 の 食 材 購 入 先 一 覧 ... 118
表 49 高 知 病 院 の 地 産 地 消 活 動 一 覧 ... 119
図 412 か ざ ぐ る ま 市 の 納 品 経 路 ... 120
図 413 A 社 の 食 材 購 入 経 路 ... 123
< 第 五 章 > 図 51 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 展 開 方 策 ... 137
図 52 病 院 間 で の 活 動 展 開 方 向 ... 138
序 章 課 題 と 方 法
第 一 節 本 研 究 の 課 題 と 背 景
本 研 究 の 課 題 は 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 今 日 的 意 義 を 明 ら か に す る と と も に 、 展 開 方 策 を 提 言 す る こ と に あ る 。
近 年 、 地 産 地 消 が 活 発 化 し て お り 、 そ の 代 表 的 な 活 動 と し て 、 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 の 使 用 が あ る 。 学 校 給 食 で は 、 食 育 推 進 基 本 計 画 の 中 に 、 地 場 産 農 産 物 の 使 用 割 合 の 増 加 に 関 し て 数 値 目 標 が 掲 げ ら れ 、 政 策 的 な 裏 付 け が な さ れ て い る 。ま た 、地 場 産 農 産 物 の 使 用 に 留 ま ら ず 、「 生 き る 教 材 」と し て 教 育 的 観 点 か ら の 有 用 性 が 示 さ れ て い る 1)。 し か し な が ら 、 活 動 の 促 進 条 件 を 多 く 持 つ 学 校 給 食 に お い て も 、 食 育 推 進 基 本 計 画 の 目 標 と し て い た 「 地 場 産 農 産 物 の 使 用 率 を 30% 以 上 ま で 引 き 上 げ る 」と い っ た 具 体 的 数 値 に は 達 し て お ら ず 、 第 二 次 計 画 ま で 持 ち 越 さ れ た の が 現 状 で あ る 。
ま た 、『 平 成 25 年 版 食 料 ・ 農 業 ・ 農 村 白 書 』 で は 、 地 産 地 消 の 取 り 組 み の 中 で 、 学 校 給 食 と と も に 老 人 ホ ー ム に お け る 地 場 産 物 の 利 用 が 取 り 上 げ ら れ 、 一 部 で 取 り 組 み が み ら れ る も の の 、 全 国 的 な 取 り 組 み と し て 発 展 す る ま で に は 至 っ て い な い 状 況 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る 2)。
こ の よ う に 、 給 食 分 野 で は 、 政 策 的 に 裏 付 け の あ る 学 校 給 食 に お い て も 、 そ の 推 進 は 容 易 で は な く 、 な お か つ 、 そ の 他 の 給 食 分 野 は 事 例 紹 介 や 検 討 の 範 囲 に 留 ま り 、 活 発 な 活 動 展 開 が な さ れ て い る と は 言 い 難 い 。 と く に 、 学 校 給 食 と 同 様 に 、 特 定 多 数 の 対 象 者 へ 栄 養 管 理 が な さ れ て い る 食 事 を 一 日 三 回 提 供 し て い る 病 院 給 食 に 関 す る 検 討 は 極 め て 少 な い 。 学 校 と 病 院 で は 、 そ の 対 象 や 、 給 食 の 目 的 は 異 な る も の の 、 食 事 を 提 供 す る 場 と さ れ る 点 で は 共 通 し て い る 。 そ れ 故 、 本 研 究 で は 、 こ れ ま で 活 発 に 議 論 さ れ て こ な か っ た 病 院 給 食 を 調 査 の 対 象 と す る 。
で は な ぜ 給 食 分 野 に お け る 地 産 地 消 の 導 入 が 困 難 で あ る の か 。 そ れ は 、 地 産 地 消 の 意 義 と 展 開 を 見 て い け ば 明 ら か で あ る 。
伊 東 [5] は 地 産 地 消 と い う 概 念 に つ い て 、 次 の よ う に 整 理 し て い る 3)。 ま ず 、農 林 水 産 省 で は 、『 食 料 ・ 農 業 ・ 農 村 基 本 計 画 』の 「 第 2 食 料 自 給 率 の 目 標 」の な か で 、地 産 地 消 に つ い て 、「 地 域 の 消 費 者 ニ ー ズ に 即 応 し た 農 業 生
1
2
産 と 、 生 産 さ れ た 農 産 物 を 地 域 で 消 費 し よ う と す る 活 動 を 通 じ て 、 生 産 者 と 消 費 者 を 結 び 付 け る 」取 り 組 み と し て 定 義 し て い る 。さ ら に 、蔦 谷 は 、同 じ く『 食 料 ・ 農 業 ・ 農 村 基 本 計 画 』 の 「 第 3 食 料 、 農 業 及 び 農 村 に 関 し 総 合 的 か つ 計 画 的 に 講 ず べ き 施 策 」 に お い て 、「『 生 産 者 と 消 費 者 と の 「 顔 が 見 え 、 話 が で き る 」 関 係 の 中 で 、 消 費 者 に 地 域 の 農 産 物 や 食 品 を 購 入 す る 機 会 を 提 供 す る こ と を つ う じ て 、 地 域 の 農 業 と 関 連 産 業 の 活 性 化 を 図 っ て い く こ と 』 が 地 産 地 消 の ね ら い と さ れ て お り 、 こ こ で は こ れ を 地 産 地 消 の 定 義 と し て お き た い と 語 っ て い る 。ま た 、二 木 は 、「 地 産 地 消 活 動 は 、一 般 的 に 表 現 す る と 、わ が 国 の あ る べ き 『 高 付 加 価 値 型 の 地 域 循 環 型 環 境 保 全 農 業 』 を ビ ジ ョ ン と し て 据 え て 、 そ こ へ 向 け た 農 業 者 と 消 費 者( 子 ど も を 含 む )、そ し て 地 域 内 の 諸 産 業 と の 確 か な 共 生 関 係 づ く り を 、 地 域 の 諸 条 件 の な か で 確 実 に 推 進 し 、 こ の ビ ジ ョ ン へ 向 け て 筋 道 を 拓 く と い う 理 念 を も っ た 活 動 で あ る 」と 述 べ て い る 。さ ら に 、下 平 尾 は 、
「 地 産 地 消 と い う の は 地 元 で 生 産 さ れ た 産 品 を 住 民 が 積 極 的 に 消 費 す る こ と に よ っ て 生 産 を 刺 激 し 、 関 連 産 業 を 発 展 さ せ 、 地 域 の 資 金 循 環 を 活 発 に し 、 地 域 を 活 性 化 す る 一 つ の 方 法 で あ る 。」と 定 義 し て い る 。こ の よ う な 、地 産 地 消 の 定 義 を 受 け 、 伊 東 は 、 農 林 水 産 省 と 蔦 谷 、 さ ら に 二 木 の 定 義 と 下 平 尾 の 定 義 の 根 本 的 な 違 い を 、 ① 地 産 地 消 の 対 象 範 囲 が 、 前 者 で は 農 業 ・ 農 産 物 に 限 定 し て い る の に 対 し 、 後 者 で は 、 農 業 ・ 農 産 物 の み な ら ず 、 地 場 産 業 を 含 む 製 造 業 、 商 業 な ど 対 象 範 囲 を 広 く 捉 え て い る 点 、 ② 下 平 尾 が 地 産 地 消 を 地 域 経 済 循 環 の 活 性 化 策 と し て 捉 え て い る 点 、 を あ げ な が ら 、 下 平 尾 の 定 義 に 賛 同 し て い る 。
以 上 の よ う に 、地 産 地 消 の 概 念 に お け る 統 一 は な さ れ て お ら ず 、対 象 範 囲 や 、 対 象 産 物 、 そ の 理 念 で さ え も 研 究 者 ご と に 統 一 を み な い 。 た だ し 、 生 産 者 と 消 費 者 の 交 流 や 、 地 域 内 で の 資 金 や 物 資 も し く は 人 の 交 流 と い う 循 環 を 通 じ て 、 地 域 の 活 性 化 を 図 る と い っ た 視 点 は 、 本 活 動 の 本 質 で あ る と 指 摘 し た い 。
さ ら に 、 こ れ ま で 地 産 地 消 の 中 心 的 役 割 を 果 た し て き た の は 、 直 売 所 で あ っ た 。 直 売 所 で は 、 生 産 者 と 消 費 者 の 交 流 ま た は 、 そ れ を 通 じ た 農 産 物 の 販 売 が 行 わ れ 、 消 費 者 と 生 産 者 の 乖 離 を 埋 め る と と も に 、 こ れ ま で 市 場 に は 出 荷 で き な か っ た 規 格 外 品 や 少 量 生 産 品 目 に 対 応 し 、 農 家 が 農 産 物 販 売 を 通 じ た 現 金 収 入 を 得 ら れ る 販 路 と も な っ た 。 こ の よ う な 直 売 所 は ま さ に 地 産 地 消 の 代 表 的 な 場 で あ る 。
3
次 に 、 そ の 活 動 の 展 開 理 由 4)を み て い こ う 。
橋 本 ら[8]に よ れ ば 、交 通 手 段 や 物 流 機 能 が 未 発 達 な 戦 前 あ る い は 戦 後 復 興 期 ま で の 農 産 物 の 需 給 構 造 は 、地 産 地 消 が 基 本 的 な 形 態 で あ っ た と さ れ て い る 。 し か し 高 度 経 済 成 長 と と も に 、 農 村 か ら 都 市 へ と 人 口 が 集 中 し 、 都 市 に お け る 農 産 物 の 需 要 の 高 ま り と 、「 農 業 基 本 法 」(1961 年 )、「 野 菜 生 産 出 荷 安 定 法 」
(1966年 )、「 卸 売 市 場 法 」(1971年 )な ど の 制 定 に よ り 単 一 品 目 型 遠 隔 大 産 地 の 形 成 と 広 域 大 量 流 通 が 進 展 し た 。 こ の こ と に 加 え 、 農 産 物 輸 入 の 自 由 化 に よ る 安 価 な 農 産 物 の 輸 入 が 拡 大 、 食 品 加 工 業 や 外 食 産 業 の 成 長 は 、 こ れ ら に 拍 車 を か け た 。 こ の よ う な 高 度 経 済 成 長 期 以 降 に お け る 社 会 環 境 の 変 化 は 、 都 市 住 民 の 生 活 環 境 悪 化 と 農 村 の 過 疎 化 を 進 展 さ せ て い く 。 さ ら に 、 単 一 品 目 遠 隔 大 産 地 の 形 成 は 、 地 域 の 食 文 化 と 密 接 に 結 び つ い た 在 来 品 種 や 都 市 近 郊 農 業 を は じ め と す る 多 品 目 型 の 小 規 模 産 地 の 衰 退 を 生 ん だ 。 一 方 で 、 大 消 費 地 へ の 輸 送 に は 、 エ ネ ル ギ ー 消 費 や 流 通 経 費 の 増 大 、 過 剰 包 装 な ど を 生 み 、 嗜 好 性 よ り も 輸 送 性 が 重 要 視 さ れ る よ う に な っ た 。 さ ら に 、 収 益 性 と 生 産 効 率 を 重 視 し た 農 薬 や 化 学 肥 料 の 大 量 使 用 は 農 業 者 の 農 薬 中 毒 、 環 境 汚 染 を 引 き 起 こ し 、 消 費 者 の 安 全 性 へ の 不 信 や 不 安 を 招 い た 。 ま た 、 輸 入 農 産 物 の 増 大 に よ る 自 給 率 低 下 の み な ら ず 、輸 入 農 産 物 に お け る 使 用 禁 止 農 薬 や 基 準 値 以 上 の 残 留 農 薬 の 検 出 、 遺 伝 子 組 み 換 え 食 品 、BSEな ど の 消 費 者 の 輸 入 農 産 物 に 対 す る 不 信 と 不 安 を 招 い た 。
以 上 の よ う に 、 消 費 者 の 新 鮮 ・ 安 全 ・ 安 心 ・ 本 物 志 向 の 高 ま り に よ り 、 地 元 の 農 業・農 産 物 や 食 文 化 を 見 直 す 動 き が 活 発 化 し て い る 。一 方 、産 地 で も 出 荷・
調 整 労 働 や 出 荷 経 費 を 削 減 で き る 地 元 の 消 費 者 や 実 需 者 へ の 直 接 販 売 を 重 視 す る 生 産 者 が 増 え て い る だ け で な く 、 新 鮮 で 安 全 な 農 産 物 を 地 元 の 消 費 者 へ 供 給 す る こ と に よ っ て 、 や り 甲 斐 や 生 き 甲 斐 を 感 じ 、 地 域 農 業 の 重 要 性 を 理 解 し て も ら い た い と 考 え る 生 産 者 も 増 え て い る 。
こ の よ う に 、地 産 地 消 は 本 来 、生 産 者 と 消 費 者 の 乖 離 を 背 景 に 、そ の 解 消 と 、 地 場 産 農 産 物 を 消 費 す る こ と で 、 地 域 農 業 も し く は 地 域 産 業 を 振 興 す る と い う 活 動 が 基 本 で あ ろ う 。と く に 、今 日 で は 、直 売 所 な ど が 各 地 に 設 置 さ れ る 中 で 、 一 面 的 に み れ ば 、 消 費 者 が 地 場 産 農 産 物 を 購 入 す る こ と は 、 容 易 に な っ た 。
し か し 、 本 研 究 が 対 象 と す る 給 食 分 野 に お い て は 、 病 院 が 食 材 選 択 と 調 理 を
4
行 い 、 患 者 に 提 供 す る た め 、 農 産 物 の 購 入 と 最 終 消 費 者 ( 喫 食 者 ) が 一 致 し な い 。 ま た 、 個 人 消 費 に 比 べ 、 地 場 産 農 産 物 を 意 識 的 に 購 入 す る に は 、 既 存 の 取 引 先 の 見 直 し な ど 、そ の 購 入 先 を 変 え る 、も し く は 増 や す こ と は 容 易 で は な い 。 す な わ ち 、 給 食 分 野 に お け る 地 産 地 消 に は 、 直 売 所 な ど か ら 個 人 が 地 場 産 農 産 物 を 購 入 す る よ う な 行 動 と は 、 そ の 活 動 の 本 質 が 異 な る の で あ る 。 さ ら に 、 病 院 給 食 の 目 的 に 鑑 み れ ば 、 そ れ は 治 療 の 一 環 で あ り 、 地 場 産 農 産 物 の 選 択 的 使 用 が 優 先 さ れ る こ と は 少 な い 。
で は 、 本 研 究 が 対 象 と す る 給 食 分 野 に お い て 、 地 産 地 消 を 行 う 意 義 は ど こ に あ る の か を 次 に 検 討 し て い く 。
第 一 に 、 二 木 [9] は 、「 地 産 地 消 活 動 は 、 輸 入 農 産 物 に 対 す る 国 産 農 産 物 の 優 位 性 を 、消 費 者 の な か で 広 め 深 め る 活 動 と 帰 一 す る も の と い っ て よ い 。」と 述 べ た 上 で 、『「 食 育 」 等 の 国 民 運 動 は 、 い わ ば “ お 祭 り 騒 ぎ ” だ け で は 、 食 料 自 給 率 向 上 の 効 果 は 少 な い と い わ ざ る を 得 な い 。』 と し 、『 地 産 地 消 活 動 は ( 筆 者 加 筆 )、や は り 地 域 に 根 差 し た「 食 」と「 農 」と「 健 康 」と「 環 境 」に 関 す る 農 業 者 と 消 費 者 ( 子 ど も を 含 む ) の 啓 蒙 ・ 啓 発 ・ 学 習 ・ 体 験 等 諸 活 動 の 積 み 重 ね の な か か ら 培 わ れ て い く べ き も の で 、 新 し い 生 活 価 値 観 の 形 成 ・ 共 有 と い う こ と 』 と し て い る 。
こ の 中 で 注 目 す べ き は 、 地 産 地 消 が 国 産 農 産 物 に 対 す る 優 位 性 を 高 め る と い う 点 で あ る 。 集 団 給 食 に お い て は 、 喫 食 者 へ 原 材 料 の 表 示 義 務 は な く 、 と も す れ ば コ ス ト 面 か ら の 安 価 な 輸 入 農 産 物 や そ れ に 準 ず る 加 工 品 の 使 用 も 多 く な る 可 能 性 を 含 ん で い る 。 こ の よ う な 場 に お い て 、 地 場 産 農 産 物 ( も く し く は 、 国 産 農 産 物 ) を 優 位 に 選 択 さ れ る 環 境 を 整 備 す る た め に は 、 地 産 地 消 の 概 念 を 、 給 食 に 関 わ る ス テ イ ク ホ ル ダ ー 全 員 が 共 通 認 識 と し て 保 有 し な が ら 、 学 習 し 、 活 動 を 継 続 し つ づ け る こ と が 重 要 で あ る 。
第 二 に 、 こ の 地 産 地 消 の 概 念 を 病 院 給 食 に 適 応 す る 理 由 と し て 、 池 上[10]が 提 唱 す る 「 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス 」 が あ る 。 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス と は 、「 農 村 の 地 域 キ ャ ピ タ ル が 医 療・保 健・福 祉 と 緊 密 に 結 び つ き 、そ れ ぞ れ の 間 に 経 済 的 循 環 と 物 質 的 循 環 が 形 成 さ れ る 地 域 社 会 」 を 指 し て い る 。 こ の と き の 地 域 キ ャ ピ タ ル と は 、「 農 や 食 は も ち ろ ん そ の 対 象 で あ る が 、「 遊 び 」 や 「 ゆ と り 」と い っ た「 無 用 の も の 」も 含 ん で い る 」と し て い る 。さ ら に 、池 上 は「 ア
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グ ロ・メ デ ィ コ・ポ リ ス 」が 構 想 さ れ る べ き 理 由 と し て 、『 地 域 社 会 の み ん な が 、 属 性 や 立 場 を 超 え て 、 安 心 し て 生 き 生 き と 暮 ら す ( 良 く 生 き る ) た め に は 、 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 が 地 域 社 会 に 根 ざ し て い な け れ ば な ら な い 。 さ ら に 、 安 全 な 食 べ 物 と 健 全 な 環 境 と 生 命 あ ふ れ る 世 界 が そ の 基 盤 を な す は ず で あ る 。』 と 論 じ 、 こ こ に こ そ 、 農 業 ・ 農 村 と 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 が 有 機 的 ・ 複 合 的 に 結 び つ く ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス の 根 拠 が あ る 。 こ の 結 び つ き を 媒 介 す る の が 、 食 ( 食 文 化 ) で あ り 、 そ れ ぞ れ の 主 体 を 取 り 結 ぶ の が 地 域 文 化 で あ る 。 と し て い る 。 こ の よ う に 、 地 域 の 医 療 機 関 は 、 人 々 の 健 康 の 維 持 や 疾 病 の 回 復 に 寄 与 す る と い う 機 能 に 加 え て 、 そ こ に あ る こ と で 地 域 の 人 々 が 安 心 し て 暮 ら す こ と が で き る 社 会 資 本 と い え る 。 こ の よ う な 場 に お い て 、 地 域 の 農 業 と 病 院 の 農 産 物 を 通 じ た 循 環 は 一 定 の 意 義 が あ る と い え る 。
以 上 よ り 、 本 研 究 で は 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 を 目 指 し 、 今 日 的 意 義 を 明 ら か に し 、 そ の 展 開 方 策 を 提 言 す る 。 な お 、 こ の 課 題 へ の 接 近 方 法 と し て 、 事 例 分 析 お よ び 全 国 的 な 病 院 給 食 に 対 す る ア ン ケ ー ト 調 査 5)( 以 下 、 こ こ か ら 、 特 別 に 断 り の な い 限 り 、 ア ン ケ ー ト 調 査 と 略 す ) を 用 い た 。 ま た 、 本 研 究 で は 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 は 地 産 地 消 の 取 り 組 み の 一 部 で あ る と い う 視 点 に 立 脚 し な が ら 論 文 を 展 開 し て い く 。
第 二 節 本 研 究 の 構 成 - 課 題 へ の 接 近 方 法 -
以 上 の 課 題 に 対 し て 、 本 研 究 で は 五 つ の 章 に よ っ て ア プ ロ ー チ す る 。
第 一 章 で は 、 病 院 給 食 に お け る 一 般 的 特 徴 を 示 し 、 食 材 購 入 経 路 を 明 ら か に し た 上 で 、地 場 産 農 産 物 の 全 国 的 な 使 用 状 況 に つ い て 考 察 を 行 う 。そ の た め に 、 ま ず 、 給 食 に お け る 関 連 法 規 、 経 営 管 理 上 の 特 徴 を 、 既 存 の 資 料 、 文 献 よ り 整 理 し 、 そ の 特 徴 を 整 序 す る 。 次 に 、 病 院 給 食 の 一 般 的 特 徴 を 有 し て い る 事 例 分 析 を 行 い 、 病 院 給 食 の 運 営 方 法 の 特 徴 と 納 品 者 に 求 め ら れ る 要 件 を 示 す 。 さ ら に 、 既 存 の 流 通 経 路 を 活 用 し な が ら 地 場 産 農 産 物 を 使 用 す る 方 法 に つ い て 事 例 分 析 か ら 考 察 を 行 う 。 ま た 、 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 実 態 を 既 存 の 資 料 、 文 献 か ら 明 ら か に す る こ と で 、 学 校 給 食 と 病 院 給 食 に お け る 地 産 地 消 の 推 進 要 因 の 差 異 を 明 ら か に し 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 可 能 性 に つ い て 検 討 を 行 う 。 最 後 に 、 全 国 の 病 院 を 対 象 に 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結
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果 か ら 、 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 使 用 の 動 向 を 把 握 す る 。
第 二 章 で は 、 厚 生 連 病 院 の 地 場 産 農 産 物 使 用 状 況 を 明 確 化 し 、 農 業 協 同 組 合 の 一 員 と し て の 病 院 給 食 の あ り 方 を 示 す 。
ま ず 、 本 章 の 理 論 展 開 の 基 軸 と な る 池 上 の 提 唱 す る 「 ア グ ロ ・ メ デ ィ コ ・ ポ リ ス 」 に つ い て 、 理 論 的 枠 組 み を 示 し 、 病 院 給 食 と 地 域 農 業 の 循 環 に つ い て そ の 特 徴 を 示 す 。次 に 、厚 生 連 病 院 の 成 り 立 ち と 組 織 概 要 に つ い て 整 理 し な が ら 、 厚 生 連 病 院 に お け る 本 活 動 と の 関 係 性 を 明 ら か に す る 。 さ ら に 、 農 村 医 療 を 中 心 に 発 展 し て き た 大 規 模 厚 生 連 病 院 と 、 山 間 地 域 に て 地 域 の 医 療 を 支 え る 小 規 模 厚 生 連 病 院 の 二 事 例 を 取 り 上 げ 、 前 者 か ら は 地 域 農 業 へ の 貢 献 方 策 を 、 後 者 か ら は 地 場 産 農 産 物 使 用 に 対 す る 動 機 づ け を 醸 成 す る 環 境 に つ い て 明 ら か に す る 。 最 後 に 、 ア ン ケ ー ト 調 査 か ら 全 国 の 厚 生 連 病 院 に お け る 活 動 の 普 及 率 や 展 開 の 実 態 、JAグ ル ー プ と し て の 影 響 に つ い て 考 察 を 行 う 。以 上 の 検 討 を 通 じ て 病 院 給 食 の 地 場 産 農 産 物 導 入 に お け る 厚 生 連 病 院 の あ り 方 を 明 ら か に す る 。
第 三 章 で は 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 に JA が 果 た す 役 割 と 課 題 を 検 討 す る 。 は じ め に 、 協 同 組 合 と し て の あ り 方 と 地 域 対 応 に つ い て 確 認 を 行 う 。 次 に 、 農 産 物 流 通 に お け る 歴 史 と 役 割 を 概 観 し な が ら 、 地 場 流 通 へ の 対 応 と 地 産 地 消 の 方 針 を み て い く 。 さ ら に 、 生 産 者 組 織 と 病 院 間 に お け る 調 整 役 と し て の 役 割 に つ い て 事 例 分 析 を 行 う 。 さ ら に 、 直 接 病 院 給 食 に 納 品 を 行 う 事 例 か ら 、JA が 直 販 事 業 の な か で も 病 院 給 食 に 対 応 す る 意 義 を 明 ら か に す る 。
第 四 章 で は 、 年 々 増 加 す る 病 院 給 食 の 業 務 委 託 化 が 、 地 場 産 農 産 物 使 用 に 及 ぼ す 影 響 を 明 ら か に す る と と も に 、 業 務 委 託 さ れ た 中 で の 地 場 産 農 産 物 使 用 の 展 開 方 策 を 示 す 。
ま ず 、 病 院 給 食 に け る 業 務 委 託 化 の 歴 史 と 市 場 規 模 、 こ れ か ら の 市 場 動 向 に つ い て 、 文 献 を 中 心 に 整 理 す る 。 次 に 、 ア ン ケ ー ト 調 査 か ら 給 食 の 業 務 委 託 化 が 、 地 場 産 農 産 物 の 使 用 に 及 ぼ す 影 響 を 整 序 す る 。 次 に 、 全 面 委 託 給 食 を 実 施 し て い る 病 院 に お け る 事 例 分 析 を 行 う こ と で 、 全 面 委 託 給 食 の 導 入 動 機 、 運 営 方 法 、 委 託 化 の メ リ ッ ト に つ い て 検 討 す る 。 ま た 、 一 部 委 託 し な が ら 地 場 産 農 産 物 活 用 を 行 う 病 院 の 事 例 分 析 か ら 、 地 場 産 農 産 物 導 入 に お い て 重 要 な 要 素 を 明 ら か に す る 。 さ ら に 、 全 国 の 病 院 ・ 福 祉 施 設 を 中 心 に 給 食 業 務 の 委 託 を 行 う A 社 を 対 象 に 調 査 を 行 い 、 給 食 委 託 会 社 が 保 有 す る 食 材 購 入 ル ー ト を 明 ら か に
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す る と と も に 、 業 務 委 託 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 に 必 要 な 要 素 を 抽 出 す る 。 第 五 章 で は 、 こ こ ま で 蓄 積 し て き た 知 見 と 新 た な 事 例 分 析 か ら 、 病 院 給 食 全 般 に お け る 地 場 産 農 産 物 導 入 の 意 義 と 展 開 方 策 を 示 す 。
ま ず 、 一 般 病 院 の 事 例 を 取 り 上 げ 、 そ の 活 動 の 効 果 を 、 部 署 内 、 部 門 間 、 病 院 外 の 視 点 か ら 考 察 す る 。 さ ら に 、 本 事 例 で は 、 一 般 病 院 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 課 題 を 整 理 す る 。 次 に 、 こ れ ま で の 事 例 分 析 に さ ら に 検 討 を 加 え 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 の 具 体 的 な 意 義 と 効 果 に つ い て 明 ら か に す る 。 さ ら に 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 活 用 の 定 義 づ け を 行 い 、 本 活 動 の 展 開 方 向 を 明 ら か に す る 。 最 後 に 、 病 院 給 食 に お い て 地 場 産 農 産 物 導 入 が 活 発 化 す る た め の 普 及 方 向 に つ い て 明 ら か に す る 。
注 1) 大 江 [2]、pp.71~96 を 参 照 。
2) 農 林 水 産 省 [4]pp.246~248 を 参 照 。 3) 伊 東 [5]pp.7~10 を 参 照 。
4) 橋 本 ほ か [8]pp.49~51を 参 照 。
5)ア ン ケ ー ト 調 査 の 概 要 は 、対 象 を 、全 国 の 厚 生 連 病 院(112 病 院 )と 一 般 病 院 (316病 院 ) の 合 計 428病 院 と し た 。 な お 、 一 般 病 院 と は 、 全 国 的 に 農 村 医 療 を 中 心 と し て 展 開 す る 厚 生 連 病 院 と 比 較 す る た め 、 同 じ く 全 国 に 展 開 す る 複 数 の 病 院 グ ル ー プ で あ る 。調 査 期 間 は 、2013年 2 月 1 日 ~2013 年 2 月 28 日 。 結 果 、 回 収 数 259( 回 収 率 :60.5% )、 う ち 協 力 不 可 4、 無 効 回 答 3 の た め 、252 を 解 析 対 象 と し た 。 有 効 回 答 数 252( 有 効 回 答 率 : 58.9% )で あ っ た 。と く に 、厚 生 連 病 院 の 有 効 回 答 数 は 75( 回 収 率:67.0% )、
一 般 病 院 で は 有 効 回 答 数 は 177( 回 収 率 :56.0% ) と な っ た 。
参 考 文 献
[1] 内 閣 府 『 食 育 白 書 』 平 成 18 年 度 版
[2] 大 江 正 章 『 地 域 の 力-食 ・ 農 ・ ま ち づ く り 』 岩 波 新 書 、2011
[3] 内 閣 府 『 食 育 基 本 法 と 食 育 推 進 基 本 計 画 』
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http://www8.cao.go.jp/syokuiku/about/plan/index.html(2013 年 12 月 7 日 )
[4] 農 林 水 産 省 『 食 料 ・ 農 業 ・ 農 村 白 書 』 平 成 25年 版
[5] 伊 東 維 年 『 地 産 地 消 と 地 域 活 性 化 』 日 本 評 論 社 、2012
[6]小 池 恒 男 、新 山 陽 子 、秋 津 元 輝 編『 キ ー ワ ー ド で 読 み と く 現 代 農 業 と 食 料・
環 境 』 昭 和 堂 、2011
[7] 食 料 白 書 編 集 委 員 会 『2006( 平 成 18) 年 度 版 食 料 白 書 「 地 産 地 消 」 の 現 状 と 展 望-食 と 農 の 将 来 を 見 据 え て-』 農 山 漁 村 文 化 協 会 、2006
[8]橋 本 卓 爾 ・ 大 西 敏 夫 ・ 藤 田 武 弘 ・ 内 藤 重 之『 食 と 農 の 経 済 学〔 第 2版 〕-
現 代 の 食 料 ・ 農 業 ・ 農 村 を 考 え る - 』 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 、2006
[9] 二 木 季 男 『 地 産 地 消 と 地 域 再 生 』 家 の 光 協 会 、2010
[10]池 上 甲 一『 農 の 福 祉 力 ア グ ロ・メ デ ィ コ・ポ リ ス の 挑 戦 』農 文 協 、2013
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第 一 章 病院給食における食材調達の特徴と全国的な地場産農産物 使用の実態
本 章 で は 、 本 研 究 が 対 象 と す る 病 院 給 食 の 特 徴 を 示 し 、 地 場 産 農 産 物 使 用 の 全 国 的 動 向 を 明 ら か に す る 。 具 体 的 に は 、 以 下 の 四 点 を 検 討 す る 。
第 一 に 、 給 食 に お け る 関 連 法 規 、 経 営 管 理 上 の 特 徴 を 、 既 存 の 資 料 、 文 献 よ り 整 理 し 、 そ の 特 徴 を 明 示 す る 。 第 二 に 、 前 節 よ り 明 ら か と な っ た 病 院 給 食 の 一 般 的 特 徴 を 有 し て い る 二 事 例 を 取 り 上 げ る 。 ま ず 、 広 島 県 府 中 市 に あ る 府 中 市 病 院 機 構 府 中 市 民 病 院 ( 以 下 、 府 中 市 民 病 院 と 略 す ) と そ の 納 品 先 で あ る 河こ う 面も食 料 品 店 を 取 り 上 げ 、 病 院 給 食 の 運 営 方 法 の 特 徴 と 納 品 者 に 求 め ら れ る 要 件 を 示 す 。 次 に 、 香 川 県 厚 生 農 業 協 同 組 合 連 合 会 屋 島 総 合 病 院 ( 以 下 、 屋 島 総 合 病 院 と 略 す )と 有 限 会 社 丸 二 青 果( 以 下 、丸 二 青 果 と 略 す )の 事 例 を 取 り 上 げ 、 既 存 の 流 通 経 路 を 活 用 し な が ら 地 場 産 農 産 物 を 使 用 す る 方 策 を 明 ら か に す る 。 第 三 に 、 学 校 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 実 態 を 含 め た 地 産 地 消 に 関 す る 文 献 を 参 考 に 、 学 校 給 食 と 病 院 給 食 に お け る 成 り 立 ち 、 制 度 、 地 産 地 消 の 推 進 要 因 の 差 異 を 明 ら か に し 、 病 院 給 食 に お け る 地 場 産 農 産 物 使 用 の 可 能 性 に つ い て 検 討 を 行 う 。第 四 に 、全 国 の 病 院 を 対 象 に 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 か ら 、 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 使 用 の 全 体 像 を 把 握 す る 。
以 上 、 四 点 の 検 討 を 通 じ て 、 病 院 給 食 に お け る 給 食 経 営 管 理 の 特 徴 と そ の 食 品 流 通 シ ス テ ム を 示 し 、 全 国 的 な 地 場 産 農 産 物 の 使 用 状 況 を 明 ら か に す る 。
第 一 節 病 院 に お け る 給 食 経 営 管 理 の 特 徴
1 給 食 の 概 念 と 特 定 給 食 施 設
給 食 と は 、給 食 経 営 管 理 用 語 辞 典 に よ る と 、「 特 定 集 団 を 対 象 に し た 栄 養 管 理 の 実 施 プ ロ セ ス に お い て 食 事 を 提 供 す る こ と 、 お よ び 提 供 す る 食 事 」 さ れ る 。 そ の 特 定 集 団 に は 、 学 校 、 事 業 所 、 病 院 、 保 育 所 な ど が あ る 。 こ れ ら は 、 外 食 産 業 統 計 調 査 に お い て 、 給 食 主 体 部 門 の 集 団 給 食 に 分 類 さ れ て お り 、 飲 食 店 や 宿 泊 施 設 な ど と い っ た 営 業 給 食 と は 区 別 さ れ て い る 。 と く に 、 特 定 集 団 を 対 象 に 継 続 し た 食 事 を 提 供 す る 施 設 を 特 定 給 食 施 設 と し 、 そ の 法 的 根 拠 と し て 、 健
10 康 増 進 法 と 健 康 増 進 法 施 行 規 則 が あ る 。
ま ず は 、健 康 増 進 法 に 基 づ く 特 定 給 食 施 設 の 特 徴 を み て い く 。は じ め に 、「 特 定 給 食 施 設 は 、 特 定 か つ 多 数 の 者 に 対 し て 、 継 続 的 に 食 事 を 提 供 す る 施 設 の う ち 、 栄 養 管 理 が 必 要 な も の と し て 、 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る も の ( 第 20条 )」 と さ れ る 。次 に 、「 特 定 給 食 施 設 で あ っ て 特 別 の 栄 養 管 理 が 必 要 な も の と し て 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る と こ ろ に よ り 都 道 府 県 知 事 が 指 定 す る も の の 設 置 者 は 、 当 該 給 食 施 設 に 管 理 栄 養 士 を 置 か な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 適 切 な 栄 養 管 理 を 行 わ な け れ ば な ら な い( 第 21 条 )」、「 栄 養 管 理 実 施 の 強 化 ( 第 22 条 )」、「 そ れ ら が 行 わ れ て い な い 場 合 の 勧 告 、命 令 、立 ち 入 り 検 査 の 措 置( 第 23 条 、第 24 条 )」
と い っ た 内 容 が あ げ ら れ て お り 、栄 養 管 理 の 必 要 性 を 強 く 示 し て い る 。さ ら に 、 健 康 増 進 法 施 行 規 則 に よ る と 、 法 第 20 条 第 一 項 の 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る 施 設 は 、「 継 続 的 に 1 回 100 食 以 上 又 は 1 日 250 食 以 上 の 食 事 を 提 供 す る 施 設 と す る 」 と 定 義 づ け ら れ て い る 。
ま た 、特 定 給 食 の 目 的 は 、給 食 の 対 象 と な る 限 定 さ れ た 喫 食 者 別 に 設 定 さ れ 、 事 業 所 で は 労 働 者 の 健 康 維 持 ・ 増 進 や 労 働 生 産 性 の 向 上 、 学 校 給 食 で は 、 成 長 期 の 児 童 ・ 生 徒 に 対 す る 身 体 的 発 達 は も ち ろ ん 教 育 の 一 環 と さ れ る 。 病 院 給 食 に お い て は 、 後 に 詳 し く 述 べ る ( 本 節 3 項 参 照 ) が 、 各 対 象 に 合 わ せ た 目 的 に よ り 食 事 が 提 供 さ れ る 点 が 、 営 業 給 食 と は 大 き く 異 な る 。
富 岡 は 、 こ の よ う な 特 定 給 食 施 設 に お い て 、 対 象 が 限 定 さ れ る が ゆ え に 、 食 事 提 供 が 独 占 的 と な り 、 競 争 原 理 が 働 く 余 地 が な く 、 一 般 に 給 食 を 行 う 主 導 権 は 給 食 施 設 側 に あ る た め 、 給 食 を 受 け る 側 に た っ た 心 遣 い 、 す な わ ち 気 持 ち よ く 喜 ん で 食 べ て い た だ く と い う サ ー ビ ス の 心 構 え が 欠 落 し が ち で あ る 、 と 指 摘 し 、 現 在 で は 、 こ れ ら が 給 食 関 係 者 の 努 力 に よ っ て 改 善 さ れ つ つ あ る と も 述 べ て い る 1)。
以 上 か ら 、特 定 給 食 施 設 は 、健 康 増 進 法 の 下 で 、特 定 か つ 多 数 の 者 を 対 象 に 、 継 続 的 に 、 栄 養 管 理 さ れ た 食 事 を 提 供 す る も の と 定 め ら れ 、 飲 食 店 な ど と は そ の 性 格 が 異 な る と と も に 、 い わ ば 特 定 集 団 に 対 す る 独 占 的 な 食 事 提 供 で あ る こ と が そ の 特 徴 で あ る 。
次 項 で は 、 そ の 給 食 施 設 が 有 す る 運 営 上 の 特 徴 を 考 察 し て い く 。
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2 栄 養 管 理 と 経 営 管 理 か ら 成 り 立 つ 給 食 管 理
鈴 木 は 、給 食 経 営 と は 、「 栄 養 管 理 的 側 面 と 、経 営 管 理 学 の 理 論 と 手 法 を 適 用 し た 経 営 学 的 側 面 か ら 、 管 理 ・ 統 治 す る こ と 」 と し て い る 。
こ の 給 食 の 栄 養 管 理 と は 、 対 象 者 個 々 人 の 健 康 ・ 栄 養 状 態 の 維 持 ・ 増 進 、 あ る い は 疾 病 か ら の 回 復 と QOL の 向 上 を 目 標 に お い て 実 施 す る も の で あ る 。 こ の プ ロ セ ス と し て 、 ① 対 象 者 の 身 体 の 状 況 、 栄 養 状 態 の ア セ ス メ ン ト 、 ② 栄 養 ケ ア の 計 画 、 ③ 栄 養 ケ ア の 実 施 、 ④ モ ニ タ リ ン グ ・ チ ェ ッ ク 、 ⑤ 評 価 が あ り 、 こ れ ら の 活 動 が 給 食 施 設 に お い て 実 施 さ れ る よ う 、業 務 体 系 が 構 築 さ れ て い る 。 次 に 、 給 食 の 経 営 管 理 は 、 給 食 施 設 が 企 業 活 動 を 行 う 組 織 体 と し て 、 経 営 管 理 学 の マ ネ ジ メ ン ト 理 論 を 適 用 し て 、効 率 的 に 運 営 す る こ と で あ る 。そ の 中 に は 、
① 給 食 の 経 営 計 画 、 ② 給 食 シ ス テ ム 計 画 、 ③ 給 食 の 運 営 経 費 、 ④ 生 産 管 理 、 ⑤ 給 食 の 経 営 管 理 の 評 価 、 が あ げ ら れ る 。
給 食 経 営 は 、健 康 増 進 法 に 規 定 さ れ る よ う に 、栄 養 管 理 的 側 面 を 強 く 有 し な が ら 、な お か つ 経 営 管 理 を 行 う と い う 2つ の 視 点 か ら 運 営 さ れ て い る こ と が わ か る 。
こ の こ と に つ い て 、 富 岡 は 、 給 食 と 企 業 活 動 の 視 点 か ら 、 給 食 は サ ー ビ ス 業 務 で あ る か ら 、 特 別 な 営 業 活 動 は 行 わ な い が 、 食 材 料 を 使 用 し て 料 理 を 作 り 、 そ れ を 食 事 と し て 対 象 者 に 提 供 し て い る 。 こ の こ と は 、 生 産 と 販 売 を 行 っ て い る こ と に 当 た り 、 企 業 活 動 を 行 っ て い る こ と に な る 。 企 業 は 常 に 利 潤 を 追 求 し な け れ ば な ら な い が 、 企 業 内 の サ ー ビ ス 部 門 の 場 合 は 、 利 潤 は な く と も 、 最 低 限 赤 字 を 出 さ な い 努 力 は 必 要 で あ る 、 と 述 べ て い る 2)。
以 上 の よ う に 、 給 食 経 営 は 、 栄 養 管 理 と 経 営 管 理 と い う 二 つ の 視 点 を 有 し て い る 。 と く に 、 経 営 管 理 は 、 企 業 活 動 と 同 様 、 も し く は そ れ に 準 じ る 運 営 を 求 め ら れ て い る こ と が わ か る 。 よ っ て 、 給 食 施 設 の 運 営 は 、 企 業 活 動 に よ り 利 潤 を 追 求 す る 営 業 給 食 と は 異 な り 、 栄 養 管 理 、 経 営 管 理 の 両 者 と も 充 足 し た も の に し な け れ ば な ら な い と い う 特 徴 を 有 し て い る と い え る 。
こ れ ま で 、 給 食 施 設 に お け る 運 営 上 の 特 徴 を 示 し て き た が 、 以 下 で は 、 と く に 本 研 究 の 対 象 と な る 病 院 給 食 の 目 的 と 特 徴 に つ い て 考 察 し て い く 。
12 3 病 院 給 食 の 目 的 と 特 徴
清 水 は 、 病 院 給 食 の 目 的 を 、 入 院 し て い る 患 者 に 、 医 療 の 一 環 と し て 病 態 に 応 じ た 適 切 な 食 事 を 提 供 す る こ と に よ り 、 病 気 の 治 療 、 回 復 を は か る こ と で あ る 、 と し て い る 。 さ ら に 、 患 者 は 過 去 の 生 活 環 境 、 病 状 な ど が 異 な っ て お り 、 一 律 の 給 食 で は 治 療 目 的 を 果 た し に く く 、 ま た 、 病 院 生 活 で は 活 動 の 低 下 、 食 欲 が 減 退 す る 場 合 も 多 い た め 、 個 人 の 病 状 に 合 わ せ た 適 切 な 栄 養 量 を 給 与 す る と と も に 、 生 活 状 況 、 心 理 状 況 を も 考 慮 し て 、 患 者 の 嗜 好 を 尊 重 し た 食 事 を 供 給 す る こ と も 必 要 で あ る 、 と 述 べ て い る 3)。 こ の よ う に 、 病 院 給 食 に お け る 最 大 の 目 的 は 、 医 療 の 一 環 と し て 、 患 者 の 回 復 に 寄 与 す る も の で あ る 。 よ っ て 、 本 研 究 の 課 題 で あ る 地 場 産 農 産 物 導 入 が 、 こ の 目 的 達 成 の た め に 、 ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す の か 検 討 す る こ と は 重 要 な 視 点 で あ り 、 第 五 章 に て 後 述 す る 。
次 に 、 食 材 を 購 入 す る 際 に 重 要 と な る の は 、 そ の 費 用 で あ り 、 給 食 費 用 を 規 定 し て い る の は 入 院 時 食 事 療 養 費 で あ る 。 そ の 基 本 構 造 を 図 1-1 に 示 す 。
入院時食事療養(Ⅰ)
(1食につき)640円
特別食加算(1食につき)76円 食堂加算(1日につき)50円
入院時食事療養(Ⅱ)
(1食につき)506円 特 別 メ ニ
ュ ー の 食 事(1食当 た り 標 準 額17円)
患者自己負担額 (Ⅰ)の入院時食事療養費支給額
入院時食事療養標準負担額
(1食につき)260円
基準額
(Ⅱ)の入院時食事療養費支給額
図 1-1 入 院 時 食 事 療 養 の 基 本 構 造 資 料 : 韓 順 子 、 大 中 佳 子[6]、p.16
注 )特 別 メ ニ ュ ー の 食 事 と は 、通 常 の 食 事 療 養 費 で は 提 供 が 困 難 な 高 価 な 食 材 や 異 な る 材 料 を 使 用 し て 調 理 す る 行 事 食 メ ニ ュ ー や 、標 準 で は な い 複 数 メ ニ ュ ー を 選 択 し た 場 合 の 選 択 メ ニ ュ ー な ど 、 特 別 の メ ニ ュ ー を 提 供 し た 場 合 の こ と 。
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こ の 入 院 時 食 事 療 養 に は 、 保 険 医 療 機 関 が 、 厚 生 労 働 大 臣 の 定 め る 基 準 に 基 づ き 食 事 療 養 を 行 う こ と を 、 地 方 社 会 保 険 事 務 局 長 に 届 け 出 て 受 理 さ れ た 場 合 を 入 院 時 食 事 療 養 ( Ⅰ ) と し て 、 そ れ に 当 て は ま ら な い も の を ( Ⅱ ) と し て い る 4)。 本 研 究 が 対 象 と し て い る 病 院 の 多 く が 入 院 時 食 事 療 養 ( Ⅰ ) を 算 定 し て い る 病 院 で あ り 5)、 こ の 時 、1 食 に つ き 640 円 が 算 定 で き る 6)。 さ ら に 、 厚 生 労 働 大 臣 が 定 め る 特 別 食 を 提 供 し た と き は 、1 食 に つ き 76 円 、食 堂 に お け る 食 事 療 養 の 場 合 は 1 日 に つ き 50 円 を 加 算 で き る 7)。 こ の 金 額 が そ れ ぞ れ 、 食 事 提 供 に お け る 対 価 と し て 、 病 院 の 収 入 と な る 。
尾 高[7]は 、こ の 給 食 に か か る 収 入 の 制 約 を 、食 材 料 予 算 や 調 理 要 員 節 約 的 な 仕 入 れ 形 態 な ど 、 食 材 選 択 に 影 響 を 及 ぼ し て い る と 指 摘 し 、 病 院 給 食 の 質 を 維 持 し 、 食 材 料 費 や 、 そ れ を 捻 出 す る た め の 入 院 時 食 事 療 養 の 費 用 の 水 準 は 再 評 価 さ れ て も よ い の で は な い か 、 と 述 べ て い る 8)。
第 二 節 小 売 店 中 心 型 の 食 材 調 達
1 病 院 給 食 の 食 材 購 入 先
農 林 水 産 省 が 1994年 に 行 っ た 外 食 産 業 原 材 料 需 要 構 造 調 査 に よ る と 、 病 院 給 食 に お け る 野 菜 の 仕 入 先 は 、「 ス ー パ ー ・ 小 売 店 」(63.1% ) が 最 も 多 く 、「 食 材 卸 問 屋 」(21.5% )、「 卸 売 市 場 ( 卸 売 会 社 、 仲 卸 を 含 む )」
(15.3% )、「 産 地 等 ( 生 産 者 、 農 ・ 漁 協 等 )」(0.0% ) と 続 い て い る 。 ま た 、 尾 高 も 、 病 院 給 食 に お け る 納 品 者 と し て 、 集 荷 ・ 配 荷 ・ 保 管 機 能 お よ び 物 流 機 能 か ら 小 売 業 者 が 一 般 的 で あ る こ と を 指 摘 し て い る 8)。
で は 、 次 項 で は 、 こ れ ま で み て き た 病 院 給 食 の 特 徴 を 確 認 し な が ら 、 小 売 店 、 お よ び そ れ と 類 似 し た 機 能 を 持 つ 仲 卸 業 者 か ら の 購 入 実 態 に つ い て 整 理 し て い く 。
2 病 院 給 食 に お け る 納 品 者 と し て の 小 売 店
( 1) 府 中 市 民 病 院 ( 旧 JA 府 中 総 合 病 院 ) の 概 要 と 食 材 購 入
広 島 県 府 中 市 に あ る 、府 中 病 院 は 、1936 年 に 府 中 町 立 病 院 と し て 開 設 、そ の 後 、JA 広 島 厚 生 連 府 中 総 合 病 院 と し て 、 地 域 の 医 療 に 貢 献 し て き た 。2012 年
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か ら 、 地 方 独 立 行 政 法 人 府 中 病 院 機 構 府 中 市 民 病 院 に 組 織 変 更 さ れ て い る 。 許 可 病 床 数 は 150 床 ( 一 般 100 床 ・ 療 養 50 床 ) で あ る 。
給 食 提 供 業 務 を 行 う 栄 養 科 9) は 、 調 理 業 務 の 一 部 委 託 を 実 施 し て い る が 、 献 立 な ど は 病 院 側 の 管 理 栄 養 士 が 作 成 し て い る 。 人 員 構 成 は 、 病 院 側 の 管 理 栄 養 士 3 名 、 栄 養 士 1 名 と 、 委 託 側 の 栄 養 士 2 名 、 調 理 師 2 名 、 調 理 員 13 名 か ら な る 。調 理 方 式 は 、 従 来 か ら の ク ッ ク サ ー ブ 方 式 1 0) で あ る 。平 均 食 数 は 約 345食/日( 一 回 約 115 食 )で あ り 、食 材 料 費 は 約 200円/食( 一 日 約 500~600 円 ) で あ っ た 。 ま た 、 調 理 か ら 提 供 ま で の 時 間 的 経 過 と し て は 、 朝 食 は 、 食 数 変 更 締 切 時 間 が 提 供 前 日 の 18時 、調 理 開 始 が 5時 30 分 、提 供 時 間 が 8 時 と な り 、昼 食 は 食 数 変 更 締 切 時 間 が 10時 30 分 、調 理 開 始 時 間 は 9時 、提 供 時 間 は 12 時 と な り 、 夕 食 は 食 数 変 更 締 切 時 間 が 16 時 30 分 、 調 理 開 始 時 間 が 15 時 、 提 供 時 間 が 18 時 と な っ て い る 。 さ ら に 、 患 者 の 病 状 に 合 わ せ た 食 事 提 供 を 行 う た め に 、食 種 は 77 種 類 に の ぼ り 、こ の 食 種 の な か で 、さ ら に 細 か い 分 類 が な さ れ て い る 。
こ の よ う に 、 病 院 給 食 は 、 入 院 患 者 に 合 わ せ た 個 別 対 応 に 加 え 、 絶 え ず 毎 食 の 食 数 の 管 理 と 変 更 へ の 対 応 を 迫 ら れ て い る 。 さ ら に 、 当 該 事 例 の 管 理 栄 養 士 か ら 聞 き 取 っ た 業 務 内 容 と し て 、献 立 作 成 に 加 え て 、栄 養 指 導 業 務 、NST11) を 含 め た 病 棟 業 務 を 行 っ て お り 、 そ の 活 動 範 囲 は 多 岐 に わ た っ て い る 。 病 院 給 食 に お い て は 、 前 述 し た と お り 、 栄 養 管 理 的 側 面 と 経 営 管 理 的 側 面 が あ る こ と が 特 徴 で あ っ た が 、両 者 を 現 実 に 管 理 運 営 し て い く こ と は か な り の 作 業 量 と な る 。 業 務 委 託 す る こ と を 除 け ば 、 一 般 的 に こ れ ら の 両 者 を 行 う こ と が 、 病 院 管 理 栄 養 士 の 業 務 で あ り 、 食 材 料 の 管 理 に か け る こ と が で き る 時 間 は 限 ら れ て い る 。 こ の こ と は 、 新 た な 購 入 経 路 の 検 討 な ど 地 場 産 農 産 物 活 用 の 際 の 課 題 と な る 可 能 性 も 含 ん で い る 。
次 に 、 食 材 の 購 入 先 を 見 て い く 。 府 中 市 民 病 院 は 、 野 菜 や 乾 物 、 小 麦 粉 な ど を 地 元 の 小 売 店 で あ る 河 面 食 料 品 店 か ら 購 入 し て お り 、 そ の 他 に 地 域 の ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 、 地 元 農 家 か ら 野 菜 を 購 入 し て い る 。
ま ず 、河 面 食 料 品 店 か ら 食 材 を 購 入 す る 理 由 と し て 、次 の 三 点 を 挙 げ て い る 。 第 一 に 、 急 な 注 文 に 対 し て 、 即 時 の 対 応 が 可 能 で あ る こ と 。 第 二 に 、 グ ラ ム 単 位 の 正 確 な 納 品 が 可 能 な こ と 。 第 三 に 、 価 格 が 安 い 、 鮮 度 が よ い 、 旬 の 食 材 が
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あ る と い っ た 情 報 を 提 供 し て く れ る こ と で あ る 。 河 面 食 料 品 店 は 、 日 曜 日 を 除 く 毎 日 、当 日 に 使 用 す る 食 材 を 病 院 に 納 品 し て い る こ と も 特 徴 的 で あ る 。次 に 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト か ら の 購 入 は 、 河 面 食 料 品 店 か ら の 購 入 と 並 行 し て 行 っ て い る 。 こ れ は 、 欠 品 リ ス ク の 分 散 を は か る た め で あ る 。 最 後 に 、 地 元 か ら の 農 産 物 購 入 と し て 、1999 年 か ら 専 業 の ネ ギ 農 家 1 軒 か ら 青 ネ ギ の 仕 入 れ を 行 っ て い る 。購 入 価 格 は 、約 500 円/kgの 契 約 で 、基 本 的 に は 価 格 の 変 化 は な く 、2
~3日 に 1 回 の 購 入 頻 度 で あ る 。
( 2) 河 面 食 料 品 店 の 概 要 と 食 材 納 品 の 特 徴
河 面 食 料 品 店 は 12)、広 島 県 府 中 市 の 商 店 街 に て 野 菜 、果 物 、加 工 食 品 な ど を 販 売 し て い る 。 構 成 員 は 社 長 、 店 長 を 務 め る 後 継 者 、 家 族 、 古 く か ら の 従 業 員 の 6 人 で あ る 。河 面 食 料 品 店 の 農 産 物 仕 入 先 は 、①JA 福 山 市 府 中 青 果 市 場 、② 地 方 卸 売 市 場 に あ る 仲 卸 業 者 、 お よ び ③ 農 家 で あ っ た 。
主 な 販 売 先 は 、 店 頭 で の 消 費 者 へ の 販 売 、 病 院 、 老 人 福 祉 施 設 、 保 育 所 、 養 護 学 校 、 個 人 料 理 店 な ど で あ り 、 最 近 で は 、 学 校 給 食 セ ン タ ー へ の 納 品 も 開 始 し た 。
府 中 市 民 病 院 と の 取 引 関 係 は 、1936年 に 町 立 病 院 と し て 開 設 さ れ た 当 初 か ら 続 い て お り 、 長 い 期 間 を か け て 信 頼 関 係 を 構 築 し て い る 。 納 品 食 品 は 、 野 菜 、 果 物 、乾 物 な ど で あ り 、日 曜 日 以 外 は 毎 日 、店 長 か 従 業 員 が 納 品 を 行 っ て い る 。 ま た 、 納 品 の 数 量 に 関 し て は 、 グ ラ ム 単 位 の 調 整 が 必 要 な も の に は 、 可 能 な 限 り 調 整 す る と い う 対 応 を 行 っ て い る 。 ま た 、 受 注 商 品 の 欠 品 に つ い て は 、 数 日 前 に 注 文 を 受 け 取 る た め 、 欠 品 す る こ と は 少 な い が 、 も し 欠 品 が 発 生 し た 場 合 は 、 病 院 に 連 絡 し 、 代 わ り の 食 材 を 用 意 す る な ど の 対 応 を 行 っ て い た 。 病 院 の 管 理 栄 養 士 と の 関 わ り は 、 定 期 的 な 話 し 合 い な ど は 行 っ て い な い が 、 納 品 予 定 の 商 品 の 価 格 高 騰 や 、 旬 の 農 産 物 な ど の 情 報 が あ る 場 合 に は 、 そ の 情 報 を 納 品 時 に 伝 え る よ う に し て い る 。
( 3) 病 院 給 食 に お け る 食 材 料 購 入 の 特 徴 と 納 品 者 の 要 件
本 事 例 か ら 病 院 給 食 に お け る 食 材 料 購 入 の 特 徴 と 納 品 者 の 要 件 を み て い く 。 病 院 給 食 は 、 一 日 三 食 か つ 各 患 者 の 病 状 に あ っ た も の を 提 供 し な け れ ば な ら な
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い が 、 そ の 購 入 先 管 理 を 行 う 管 理 栄 養 士 は 給 食 管 理 と 栄 養 指 導 な ど の 多 様 な 業 務 を 担 っ て い る 。 こ の よ う な 中 で 、 小 売 店 か ら の 購 入 は 、 野 菜 や 果 物 は も ち ろ ん 、 小 麦 粉 、 片 栗 粉 、 缶 詰 、 調 味 料 な ど も 同 時 に 購 入 が 可 能 で あ り 、 取 引 先 を 絞 り 込 む こ と で 、 検 収 時 間 の 短 縮 、 発 注 の 煩 雑 さ の 減 少 な ど が 可 能 と な る 。 こ の こ と よ り 、 病 院 給 食 に お け る 食 材 の 調 達 先 と し て 、 集 荷 機 能 と 分 荷 機 能 に 加 え 、 臨 機 応 変 な 配 達 機 能 を 持 つ 地 域 の 小 売 店 が 選 択 さ れ て き た こ と が わ か る 。
3 病 院 給 食 の 納 品 者 と し て の 仲 卸 業 者 と 地 産 地 消
( 1) 屋 島 総 合 病 院 に お け る 地 産 地 消 の 概 要
前 項 で は 、 病 院 給 食 に お け る 納 品 者 と し て 、 小 売 店 が 選 択 さ れ て き た 理 由 を 、 事 例 検 討 を 通 じ て 明 ら か に し て き た が 、 本 項 で は 、 小 売 店 と 同 様 に 、 集 荷 ・ 分 荷 ・ 配 達 機 能 を 有 す る 市 場 内 の 仲 卸 業 者 を 取 り 上 げ 、 既 存 の 流 通 経 路 を 利 用 し た 地 場 産 農 産 物 活 用 に つ い て 検 討 す る 。
ま ず 、 地 産 地 消 を 行 う 屋 島 総 合 病 院 は 、1948 年 に 設 立 さ れ 、 高 松 市 東 部 地 区 の 医 療 を 担 う 病 院 と し て 発 展 し て き た 。 給 食 部 門 を 担 う 栄 養 科 の 概 要 13) は 、 人 員 構 成 が 管 理 栄 養 士 3名 、 常 勤 調 理 師 5 名 、 パ ー ト 調 理 師 5 名 に 、 調 理 員 パ ー ト 3 名 で あ る 。 給 食 運 営 方 法 は 直 営 で あ り 、 従 来 か ら の ク ッ ク サ ー ブ に よ る 食 事 提 供 を 行 っ て い る 。 平 均 食 数 は 約 567食/日 ( 一 回 約 189食 )、
食 材 料 費 は 約 252 円/食 ( 一 日 約 756円 ) で あ っ た 。
屋 島 総 合 病 院 で は 、2010 年 6 月 よ り 病 院 経 営 側 の 働 き か け を 契 機 に 、 香 川 県 産 農 産 物 の 優 先 的 な 購 入 が 開 始 さ れ た 。 購 入 先 は 、 本 取 り 組 み の た め に 新 た に JA 香 川 県 が 紹 介 し た 高 松 市 中 央 卸 売 市 場 内 の 仲 卸 業 者 で あ る 有 限 会 社 丸 二 青 果 で あ る 。 活 動 内 容 は 、 給 食 へ の 県 内 産 農 産 物 の 常 用 と 、 地 産 地 消 の 日 を 設 け 意 識 的 に 県 内 産 農 産 物 を 使 用 す る と と も に 、 病 棟 へ 掲 示 す る 献 立 表 に 活 動 を 載 せ 、 患 者 へ 周 知 す る こ と で あ る 。
こ こ で は 、 屋 島 総 合 病 院 の 具 体 的 な 県 内 産 農 産 物 の 選 択 的 購 入 の 実 態 を み て い く 。
ま ず 、 当 該 事 例 の 青 果 物 の 購 入 先 は 、 活 動 開 始 以 前 は 、 小 売 店 1軒 の み か ら の 単 価 契 約 に て 運 営 を 行 っ て き た が 、 現 在 は 丸 二 青 果 と 、 以 前 か ら 単 価 契 約 を 行 う 小 売 店 の 2 軒 で あ る 。 県 内 産 農 産 物 の 購 入 に つ い て は 、JA 香 川 県 の 生 産
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時 期 を 記 し た カ レ ン ダ ー を も と に 、 丸 二 青 果 に 発 注 し て い る 。 丸 二 青 果 は 、 病 院 の 活 動 を 理 解 し て い る た め 、 県 内 産 農 産 物 を 納 品 し て お り 、 欠 品 が あ る 場 合 に は 連 絡 が あ る 。 ま た 、 そ の 場 合 に も 、 市 場 か ら 他 県 産 を 調 達 し 、 納 品 し て い る 。 た だ し 、 こ の 時 に 課 題 と な る の は 価 格 で あ る 。 こ れ ま で 屋 島 総 合 病 院 は 、 単 価 契 約 に よ る 青 果 物 の 購 入 を 行 っ て お り 、 こ れ に よ っ て 価 格 変 動 に よ る 食 材 料 費 の 変 動 リ ス ク を 抑 制 し て き た 。 し か し な が ら 、 丸 二 青 果 か ら の 購 入 は 時 価 で の 納 品 で あ り 、 丸 二 青 果 か ら の 県 内 産 農 産 物 の 購 入 価 格 が 上 昇 し て き た 場 合 は 、 担 当 者 が 小 売 店 か ら の 購 入 へ と 変 更 し て い る 。
こ の よ う な 取 り 組 み に つ い て 、 当 該 病 院 の 担 当 者 は 、 以 下 の 点 を 指 摘 し て い る 。 ま ず 、 丸 二 青 果 か ら の 購 入 品 目 の 増 加 に つ い て は 、 県 内 産 の 農 産 物 に つ い て 、 さ ら に 使 用 数 量 や 品 目 の 増 加 を 検 討 す べ き だ と 感 じ る が 、 日 常 業 務 の 中 で 発 注 時 間 の み に 多 く の 時 間 を 割 く こ と は 困 難 で あ る こ と 。 次 に 、 地 元 の JA と の 具 体 的 な 連 携 は で き て お ら ず 、 旬 の 情 報 な ど を 通 じ た 連 携 が で き れ ば 理 想 的 だ が 、 お 互 い 日 常 業 務 を こ な す 中 で 、 そ の 実 現 に は 至 っ て い な い こ と を あ げ て い た 。 一 方 で 、 県 内 産 農 産 物 を 使 用 す る こ と で 、 患 者 か ら は 、 野 菜 が お い し い と い う 評 価 や 、 鮮 度 の 高 さ を 感 じ て い た 。
( 2) 地 場 産 農 産 物 納 品 者 と し て の 仲 卸 業 者
屋 島 総 合 病 院 へ 県 内 産 農 産 物 を 納 品 す る 丸 二 青 果 は 14)、1967 年 高 松 市 中 央 卸 売 市 場 が 設 立 さ れ た と 同 時 に 、青 果 物 販 売 を 目 的 と し て 創 業 し 、92 年 に 有 限 会 社 化 し た 。 そ の 主 な 販 売 先 は 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 、 小 売 店 、 病 院 給 食 、 老 人 ホ ー ム 、 ホ テ ル 、 飲 食 店 な ど で あ る 。 販 売 金 額 と し て は 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト が 多 く を 占 め る が 、 屋 島 総 合 病 院 を 含 め た 四 つ の 総 合 病 院 へ 納 品 を 行 っ て い る こ と に 特 徴 が あ る 。 そ の 構 成 員 は 、 創 業 者 で あ る 社 長 と 家 族 で あ る 取 締 役 3 名 に 、 従 業 員 を 3 名 雇 用 し て い る 。 主 な 仕 入 先 は 、 同 市 場 内 の 卸 売 業 者 で あ る 高 松 青 果 株 式 会 社 と 大 一 青 果 株 式 会 社 で あ り 、 一 部 促 成 野 菜 の み 大 阪 中 央 卸 売 市 場 に あ る 仲 卸 業 者 か ら 購 入 し て い る 。
屋 島 総 合 病 院 と の 取 引 に つ い て 、そ の 特 徴 は 開 始 の 経 緯 に あ る 。2010年 4月 頃 、 厚 生 連 病 院 で 地 産 地 消 を 実 施 し た い と の 要 望 か ら 、 香 川 県 青 果 連 か ら 卸 売 業 者 で あ る 高 松 青 果 へ 依 頼 が あ り 、 仲 卸 で あ る 丸 二 青 果 が こ の 納 品 を 引 き 受 け