愛知工業大学研究報告
第38号B平成15年 83
ミニパン車の空力抵抗に関する実験的研究
An Experimental Study on Aerodynamic Drag ofMinI-van Automobiles 酒 井 春 雄
t
,
渡 辺 珠 喜t
,
吉 野 智 和T
Haruo SAKAIラ TamakiWATANABE , Tomokazu YOSHINO
Abstract 恥也羽田V阻 typeautomobiles are recently prevailing inJ apan. However the configur剖Ionof 出iskind of car seems to have unfavorable aerodynamic characteristics from the viewpoint of energy r邸ources
∞
nsumption.In出ispaper, wind tunnel model t巴:stresdts of 6 mini-v釦 阻da sedan type cars are presented. Results c姐 besummarized as 1) body configurations of mini-van c訂shave 23~45% larger aerodynamic drag白 血 血atof sedan car組 d2)也ereis 18%命agdi宜erencebetween the largest出agm出 -van阻d也es.mallest one. 1 はじめに 現在我が国の高速道路では、乗用車に限っても、一日 に 300万台もの交通量があるといわれ、排出ガスによる 地球温暖化の問題はもとより、単にそのエネルギー消費 量という観点からだけでも、高速時における自動車の性 能向上は大切な課題であるといえる。例えば自動車の高 速走行時の燃料消費の 80%以上は空力抵抗に打ち勝つ ために使われており、車体の形状を抵抗の小さい、空力 的に洗練されたものにすることは常に追求されるべき技 術課題である。 一方一時期いわゆるC
D値として、メーカが競ってカ タログに記載していた抵抗係数は、最近では殆ど見かけ なくなっており、代わって消費者の好みに合わせるとい う名分のもと、明らかに空力抵抗の大きい形をした車が 増えている。 このような状況にあって、現在市販されている各種自 動車の空力抵抗をはじめとする空力性能を定量的に実測 し、客観的に比較することは重要であろう。 一般に、航空機や自動車に働く空気力の定量的な計測 は技術的に極めて難しく、情報量に限界がある第三者が 縮尺模型の風洞試験の計測から、正確な空力特性を算出 することは殆ど不可能である。しかじその相対的比較に 限れば、同じ対象について、同じ設備、装置、計測方法 で試験することによって、十分その目的は達成されると 考えられる。 ここでは手始めに、最近流行しているミニパン車につ いて、圏内各社から各 1車種を任意に選び、対象を車体 形状に限定して、その空力抵抗を縮尺模型の風洞試験に よって調べた結果を報告する。T
愛 知 工 業 大 学 工 学 部 機 械 工 学 科 ( 豊 田 市 )2
.
~式験豊舗と風;胃試験2
.
1
i
基調 計測部の寸法が O.6m(W) X O. 6m(H)X 1.5m(L)、最大 風速が 50m!
s
の愛知工業大学竪型回流風洞を使用した (図 1)。この風桐は、縮流比が 4と小さいため、気流 の乱れ度が若干大きいものの、計測部の動圧分布の一様 性は比較的よい。 今回の試験は設定動圧 980(Pa) (風速にして約 40m!
s) で実施した。 2.2 計測装竃 風洞気流の動圧設定には、市販の電子マノメーターを 校正して使用した。計器の指示値に、1.7%
程度の指示 誤差が認められたので、これを補正した。 風洞試験における空気力の計測は、天秤と呼ばれる多 分力ロードセルを用いて行われる。天秤の各分力の計測 最大量を天秤容量といい、これと実際の計測量の最大値 が近いほど計測精度は向上する。 天秤は極めて精巧な構造になっており高価であるが、 高い計測精度が必要な風洞試験では、予め試験時の計測 最大量を推測し、最適な天秤容量をもつものを設計製作 して使用することが一般的である。 愛知工業大学の回流風洞では、平成 10年度から卒業 研究の一環として、天秤の設計製作を開始し、精度と線 形性に優れた天秤を既に数個完成し、所有している。 今回はこのうち、予測される空気力の大きさに最も適 した天秤容量を持つものを使用したので、空気力の計測 精度は高く、誤差は0.3%程度である。天秤出力の計測は、市販のデータロガーを使用して行 ったが、事前の計測精度の確認、試験で、 0.4%程度の出 力低下が認められた。これは多分に系統的であり、天秤 の入力端子(計器側では出力端子)での印加電圧の低下 が主な原因と考えられる。計器の印加電圧を低下させる 要因は、計器内での配線抵抗である可能性が高いが、こ の計器の場合、出力端子での正確な電圧計測が難しく、 今回は補正を諦めた。 2.3 供試体 供試体の縮尺は全ての車種について 1/11とした。 模型断面積が風洞計測部に占める閉塞比は、 4.5% か ら5.7% で、自動車の風綱試験で常用される範囲内にあ る。 試験レイノルズ数は、実車が 100km/hで走行する場 合のレイノルズ、数に比べー桁ノトさく、少なくとも空力抵 抗にはレイノルズ数補正を施す必要がある。 また模型表面上の境界層が層流から乱流に遷移する位 置を実車に合わせるため、実車の遷移点、に相当する位置 に、強制遷移のためのラフネス処理を施した(図2)。 2固3.1 ミニパン車 現在国内で市販されているエスティマ(トヨタ自動車)、 セレナ(日産自動車)、ステップワゴン(本田技研工業)、 MPV (マツダ)、デイオン(三菱自動車)の 5台を選定 し、カタログの三面図を基本とし、細部は実車を直接計 測して線図化した。(この報告では、具体的な車種の優劣 比 較 を 行 う 意 図 は な い の で 、 模 型 の 名 称 を 、 1)領にグ minivan a", "minivan b"等としてある。)従ってメー カの線図通りの縮尺模型とはいえないが、空力的に重要 な特徴はほぼ正確に捉えた形状になっている。 ただしミラー、 ドア部他の表面の凹凸等は考慮されて おらず、また抵抗への寄与が大きいといわれる床下面の 凹凸も省略されて平面になっている。さらにエンジン冷 却や空調のために車体内に導かれる内部流は模擬されて いない。 2.3.2 セダン車 ミニパン車の空力特性を比較するための基準として、 代表的なセダン車の供試体を製作した。即ち現在国内メ ーカから市販されている 56車種のセダン車について、 ホイールベースを基準長として、全ての寸法諸元を無次 元化し、 O.01刻みの台数分布表を作り、最多台数刻みに 該当する諸元が最も多い車種を選んだ。 その結果はクラワンロイヤル(トヨタ自動車)となり 送風機 図1愛知工業大学竪型回流風洞 風洞壁面 図2供試体支持法 気流 モミ一一一 (模型名称は単に "sedan")、縮尺はもとより、線図化 の手法等もミニパン車と全く同様にした。 2.4 供試体支持法 縮尺模型による風洞試験においては、供試体の支持法 は、計測データの信頼性に直接影響する最重要項目の一 つで、ある。しかし実用性と実車との空力的相似性を両立 させた、汎用的で最善な手法はまだないといえる。 ここでは空気力計測用天秤を模型内に内装し、風洞壁 に固定する方法を採用した(図2)。この支持法は、支持 部の一部が模型の下面で気流に晒され、空力的干渉を生 じさせる欠点はあるものの、簡易でかつ天秤計測出力の 信頼性を高める長所を持っている。 ところで実車は静止した大気中を走行するが、風洞試 験では静止した模型に気流を当てることになり、風洞床 面に発達する境界層が空力的相似性を損なう。この欠点 を取り除く対策として、気流と同じ速度で風洞壁面を動 かすムーピングベノレト法が考えられているものの、技術 的な困難さと装置の大規模化のため、実用されている例 は多くない。 ここでは風洞壁面に発達する境界層の運動量厚さ分 (1.6mm)だけ模型を浮かせ(図2)、力学的な相似性を 確保することとしたが、車輪の下部に気流が存在すると いう感覚的な非相似性は残っている。
ミニパン車の空力抵抗に関する実験的研究
8
5
3. ~標系と空気力の定義 軸系には、機体前方にx
軸、下方にz
軸を採った右手 系のいわゆる機体軸系を採用する(図3)。このときy軸 は右舷方向になる。 原点。は、車体の運動に関する代表点として重心に採 るのが普通であるが、今回は各車種の重心が特定できな かったことおよび試験の目的上全供試体に共通な定義を 行うことが妥当と判断し、側面図における[前後方向: 車体全長の 1/2,高さ方向:車輪を除く車体高さの 1/2] 点に採ることとした。 車体の 3次元運動の解析には、抵抗、横力、揚力とロ ーリングモーメント、ヒ。ッチングモーメントおよびヨー イングモーメントが必要であり、これらは総称して空力 6分力と呼ばれる(図3)。また運動をx-z面内に限定す れば、関係する空気力は、抵抗、揚力およびピッチング モーメントの 3つになり、これらは縦3分力と呼ばれる。 今回は抵抗特性を主眼とした研究であるので、縦3分 力を扱えば十分である。縦3分力の符号は、慣例に従っ て抵抗Dは気流方向に正、揚力Lは上方に正、ヒ。ッチン グモーメントMは頭上げ方向に正とする。 4. 空気力の算出 4.1 空気力の無次元化 風綱試験の天秤出力から算出された空気力は、以下の ように無次元化され、無次元相似パラメータとして扱わ れる。無次元相似パラメータは現象の相似性を保証する ので、縮尺模型による風洞試験から実車走行時の現象を 知ることができる。 (1) 抵抗係数(命agcoe由cient); CD CD = D /(qcsF) ここに D (N)は抵抗、 SF(m2)は車体の正面投影 面積、q
∞(Pa) は一様流動圧を表わす。また一様流の 動圧は空気密度を仏 (kgim3)、流速を V∞(mls) と して q∞=jM
である。 (2)揚力係数(出coe閏cient); CL CL =L/(qcsp) ここにL (N) は揚力、 Sp(m2)は車体の平面投影 面積を表わす。 (3) ピッチングモーメント係数 (pitchingmoment coe盟cient); CM 横力 ;Y、
X Y 揚力 ;L ピッチング合
モーメント ;M 図3座標系と空力6分力 CM =M/(q∞Spl)c
三〉 ここにM (N'm)はピッチング、モーメント、 1(m) は車体の全長を表わす。 (4)圧力係数 (pressurecoe田cient);c
p
cp = (p-Pco)/q∞ ここに p (Pa) および P∞ (Pa) は各々物体上の圧 力および一様流の静圧である。 通常これらの無次元空力係数は、空気の粘性による摩 擦力と運動による慣性力の比として定義されるレイノル ズ数 (Reynoldsnumber) Re、物体の速度と空中の音速 の比として定義されるマッハ数 (Machnumber) M 等気 流の状態を表わす無次元パラメータの関数である。これ ら2つの無次元パラメータの定義式を以下に示す。 Re = Vl/v M=V/a ここに V(m!s)は物体または気流の速度、 1(m)は 代表的長さ、 v(m2/s)は空気の動粘性係数、 a(m!s)は 音速である。 自動車の場合は高速走行といえども、音速にくらべれ ば、小さい速度なので、マッハ数は考えなくてよいが、レイ ノルズ数の効きは無視できない。4
.
2
空気力の補正 実車が空間を走行する場合と、縮尺模型を用いて風洞 試験を行う場合とでは、主として以下の 5点が異なる。 (1) 模型の車輪が回転していない。 (2) 風洞の壁面(特に下面壁)に沿って発達する境界 層がある。 (3) 模型の周囲に風洞壁面がある。 (4) 車体表面上の境界層が層流から乱流に遷移する位 置が異なる。 (5) レイノルズ、数がほぼ縮尺分だけ小さい。 従って風洞試験結果から実車の空力特性を推算するには、これらの効果を評価する必要がある。 (1)に関しては、今回の試験目的を車体形状の空力特 性の検討に絞っているので、省略した。 (2)に関しては、既に 2.4項で述べたとおり、模型 の支持法で対処した(図2)。 (3)に関しては、計測値に以下のような補正を行った。 今回の試験の閉塞比は 4.5%から 5.7%であるが、 この効果は気流動圧の増加として、縦3分力の全ての空 力係数の算出時に補正した 1)。即ち風洞の気流設定部で 動圧を一定に設定した場合、計測部での気流速度は、模 型がある場合とない場合で異なる。模型がない状態での 速度をV (rn!s)、閉塞比B(%)の模型がある状態での 速度をVB (rn!s) とすれば、連続の方程式から
ρVA=pVBA(l-B) :
.
VB
=V/(l-B)
の関係があり、模型に当る動圧はも
十
可
となっているはずである。 ここではこのqB(Pa)を一様流動圧品 (Pa)として、 模型毎の空力係数の算出に適用した。 なおこの他に、航空機のような大きな揚力を持つ試験 では、揚力を渦に置き換えて風洞壁の効果を補正するこ とも通常行われるが、自動車の場合は省略してよい。 (4)および (5)は、いずれも実車と模型の表面上の 流れのレイノルズ数効果の評価である。 今回の試験レイノルズ数は、車体の全長基準で1.1X 106程度であり、海面上の高度で実車が 100km/hで走 行する場合のレイノルズ数1.2 X 107に比べー桁以上小 さい。この差は特に抵抗係数にきちんと加味する必要が ある。 まず (4)に関しては、実車表面上の境界層が、レイノ ルズ、数 5X 105で層流から乱流に遷移するとして、これ に相当する模型表面上にラフネス処理を施した(図 2)。 (5)に関しては、抵抗係数のうち摩擦抵抗について、 平板の摩擦係数 Cfを用いて補正した。即ち層流部およ び乱流部の摩擦係数を 1.328 Cf.L-再
7
0.455 Cf,T=
(
l
o
g
R
e
Tf
.58 とし 2)、実車および模型に関しそれぞれの摩擦抵抗係数 を算出し、その差を模型の抵抗係数に加えた。ここに CJ;L は層流部の摩擦係数、 Cu は乱流部の摩擦係数、 R~ は層流部の遷移点までのレイノルズ数、R
e
T
は乱流部の 遷移点からのレイノルズ数である。 この補正法は遷移レイノルズ数を縮尺分だけ小さくし たことに相当し、経験的に、 3次元的な形状にも比較的 表 l試験結果一覧 車名宮宮カ係数 sedan mlnlvan a minivan b π11nlVan c minivan d 庁llnlVane
Co 0.212 0.304 0.307 0.277 0.292 0.261 Cし 0.023 -0.085 -0.087 -0.074 -0.075 -0.072 CM 0.002 -0.030 一0.038 -0.027 -0.023 -0.023 CLF 。岨029 -0.059 -0β68 -0.045 -0.047 -0.045 CLR -0.006 -0.026 -0.018 -0.029 -0.028 一也.027 雪璽欝
4
覇軍
噂襲撃
4
璽轟
唾謹富島 唾謹毒事
注)CD ;実 車lOO[k皿/hJ走行時へ補正済 但し、内部抵抗,干渉抵抗は含んでいない CLF ;前輪揚力成分, CLR ;後輪揚力成分 よい近似を与える手法とされている。 5. 嵐調講験結果5
.
1
結畢の額要的特徴について 試験結果を表 1の一覧表に示す。なおピッチングモー メントの基準点は、重心ではなく、図 3の座標原点であ ることに注意されたい。 上述の通り、ここに示した空力係数は、供試体の断面 積が風洞計測部に占める閉塞比を補正済みであり、また 抵 抗 係 数 に 関 し て 、 レ イ ノ ノ レ ズ 数 を 実 車 走 行 速 度 100km!hに補正しである。つまり実車が自由空間をこの 速度で走行した場合に持つであろう空力特性と解釈して よし、。 この結果から概要的に、以下のようなミニパン車車体 形状の空力的な特性が読み取れる。 (1) 抵 抗(
C
D)がセダン車のそれに比べて大きい。 (2) 揚力(
C
L) がセダン車では車体上方に働くのに対 して、ミニパン車では下方向に働きかっその絶対値が 大きい。 (3) ピッチングモーメント(
C
M)は号齢、頭下げに働く。 (4) 前輪に作用する揚力(
C
LF)は、セダン車では上方 に働くのに対して、ミニパン車では下方向に働きかっ その絶対値が大きい。反面後輪の揚力 (CLR) はセダ ン車、ミニパン車とも下方向に働く。 さらにミニパン車同志を比較すれば (5) 全ての空力特性(特に抵抗)において、相当に大 きな差があり、空力的洗練度にはっきりとした優劣が ある。 こと等が分かる。 5.2 鮪果の詳細について 5.2.1 走行鑑抗に占める空力抵抗の比率 自動車が水平面上を直線運動するときの運動方程式は、ミニパン車の空力抵抗に関する実験的研究 87 質量を m(kg)、走行速度を V (m1s)、推進力を T (N)、 空力抵抗を D (N)、駆動輪以外の転がり抵抗を Dr(N) と して mV=T-D-D, と表わされる。なお駆動輪の転がり抵抗は推進力に含めて 考えることとする。 従って定常走行時の必要推進力は T珂 =
CDqSp +μr(mg-CLrqSp)
となる。ここに Treq(N) は必要推進力、lJ,rは転がり摩 擦係数、 g(m1s
2)は重力加速度、 CL
r
は駆動輪以外が分担 する揚力係数であり、また動圧 q(Pa)は空気密度を p (kglm3) としてq
=
j
p
v
z
である。 図 4は、今回の試験結果を用いて、IJ,r=O.Olとしたと きの速度に対する必要推進力(=走行抵抗)を示したもの である。 この図から、ミニパン車が一般高速道路を制限速度の 100kmlhで走行している場合、全必要推進力の 84% は 空力抵抗に打ち勝つために使われていることが分かる。推 進力は燃料消費に直結するから、言い換えれば、燃料消費 量の 80% 以上が空力抵抗のために使われていることを 意味する。 100kmJhは約30mlsであるから、自動車が台 風の瞬間最大風速相当の風を受け走行していることを想 えば、この結果は容易に理解できょう。 以上は車体の形状のみの抵抗についてであり、実車の空 力抵抗には、さらに車体表面や床下面の凹凸によるもの、 空調やエンジン冷却のための内部流によるもの、ミラー他 の付加物によるもの等が加わる。これらは、乗用車で全空 力抵抗の 20~25% 程度あるといわれている 3) から、ミニ パン車でも 20%程度を見込む必要があろう。 従って、高速走行時の燃費の向上には、以下に述べる車 体形状による抵抗を中心とした、全空力抵抗を最小化する 努力が必要で、ある。 5.2.2 ミニパン車の空力抵抗 図 5は、表 1の抵抗係数を車種別にグラフに表わした ものである。 ミニパン車は、セダン車に比べ 23%~45% も抵抗が大 きく、またミニパン車聞にも 18% もの抵抗差があること が分かる。 単位時間当たりの推進エネルギー(動力)は、走行速度 と必要推進力の積であるから、必要推進力を減らす空力抵 抗低減は、推進系全体の機械効率の向上と等価な意味を持 120 100トベ ロ転がり抵抗(sedan)μr=O.Olの場合 80 →←転がり抵抗(minivanb):μ戸0.01の場合 金 / j争 白 百 4 } E L ト 40 20 W W ~ ~ 100 1 W 1 W 1~ 1~ V[km/h] 図4空力抵抗の燃料消費への影響 035 45弘 18拡 o .3C 025c
5
四 日 議出品埠同串 0.10 0,05 000 sedan minivan a minivan b minivan c minivan d minivan e 車名 図5車種別の空力抵抗 抵抗係数 Co 021 0_22 0.23 0,24 0,25 0,26 0,27 0,28 0.29 0.3 031 0,32 。 。 。 ←0_05 a U-O_10 議 盟主 4ミ0,15 出 -0.20 0,25 図6空力抵抗と底面圧力の関係 つ。推進系の10%の効率向上は、技術革新の名に価する ことを考えれば、これだけの抵抗差を看過すべきではない。 従って、例えミニパン車とセダン車で使用目的に差があ るとしても、それがこれだけのエネルギー消費の差を正当 化できるか否かは一考に値しよう。 また、抵抗の大きいミニパン車のメーカは、空力的な検討の不十分さを重く受け止めて欲しいものである。今後メ ーカは高速走行時のエネルギー消費指標として 100km/h でのCD値をカタログに明記しでもよいのではなかろうか。 図 6は、空力抵抗と車体後端面の平均圧力(以降底面 圧力と呼ぶ。)の関係を示したものである。 セダン車に比べ、ミニパン車の底面圧力は低く、後端面 での負圧によって、車体は後方に強く引かれていることが よく分かる。 この物理的な解釈は以下のように考えられる。即ちセダ ン車では、車体上面の前半部で加速された気流が、後半部 で減速され、ある程度の圧力回復がなされてから後端面に 至るのに対し、ミニパン車では、気流の圧力が最も低下す る位置付近で、一気に後端面として切り落とされているこ とによる(図 7)。この形はまさにミニパン車の特徴その ものであるから、この種の形状を持つ自動車では、抵抗低 減にかなりの困難が伴うことが予想される。 図 8は、ミニパン車の揚力の絶対値が大きいことに着 目し、車体を翼と看倣した場合の誘導抵抗(揚力に伴う抵 抗)について検討した結果を示したものである。なお誘導 抵抗は、一つの空力形状につき揚力を変化させたときの指 標であるが、ここでは拡大解釈してグ自動車グとしづ形状 についての指標としている点を留意されたい。 一般に誘導抵抗 CDi(平面面積 Sp基準)は、揚力面の アスペクト比
A
を用いて、次式で定義される。 C2 C~. =_L_ u' nAe ここにアスペクト比は、車体の全幅を b(m) として、A
=b
2/
S
pで定義され、またe
は機体効率で、一般にe
:
:
:
:
:
l
(楕円翼でe=
1.0
)である。 この図に示した実験点の近似直線は、ミニパン車のみの 場合およびセダン車を含めた場合ともほぼ一致し、自動車 の車体形状は e:::::0.13 程度の機体効率をもっ極めて空力効率の悪い翼といえ、揚 力は大きく拡大されて抵抗になることが推察される。逆に いえば、揚力の絶対値を可能な限り小さく抑えることが、 有力な抵抗低減策になる可能性がある。 なお同図の近似直線から、揚力を零としたときの抵抗、 即ち自動車の車体形状の零揚力抵抗係数 CDOは、基準面 積比を SF/Sp:::::0.25として、 0.2程度となる。これに表面 の凹凸等の増分 20% を見込んだC
D=O
.
24は、偶然にも、 過去の実用車の空力抵抗低減の歴史から見て4)、その達成 可能な目標値として、ほぽ妥当な値となっている。5
‘2_3 ミニパン寧の揚力 図 9は、表 lの揚力係数を車種別にグラフで表わした ミニパン車 図7セダン車とミニパン車の後端面 010 r一一一一一一一一一一一一 ←一一一ー一一一一 A ×/ j
f て3正¥-一ー ノベ一一 C~~=7.541 ♀~1 + 0,0477 .,..- '-'Spア
L叫 e:::: 0.133 008 & 。;
E
C恒 三 ,震
…
1草,cq 螺 語逗蚕夜夜薮 0.02 C~ =S::... “ πAe e 機体効率(楕円翼で e= 1.0) A:ア ス ペ ク ト 比 (= b';s,,) 0.003 0.004 c: 一"' -冗A 0005 0006 0.007 0001 0002 図8空力抵抗と誘導抵抗の関係 004 002 0.00 2 4 0 0 4 叩 J U 額 出 血 央 臨 -006 -008 一010 車名 図9車種別の揚力 minivan b / J s e d a n〆
_
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-
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¥ 一 一 川 ¥ _./". "-.、i ...~- 日 戸 . _ . . / ... 一一一一一一斗ι」 ' " -.---- ---咽 ---一一一 ~ 気流 一一一一一一一一ーミー 図 10-1車体形状の薄翼近似 (1) C, 一 。 、 一 ン 一 ヤ キ ↑ の し n u n H 一 笥 n u υ v 門 H ﹂ m 涜 一 ⋮﹂気一一 や h 斗 寸一
斗
ぷLldai
のキヤンJー
い
図 10-2車体形状の薄翼近似 (2)j " ' 司 曹 盲2・弓
一 一
minivand minivan e8
9
ミニパン車の空力抵抗に関する実験的研究 0.04 2 0 2 4 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 口語嵯宍郵簿溺‘出口額出岨門円強饗握 ものである。 セダン車に比べ、ミニパン車の揚力はその方向が逆で、 車体を地面に押し付ける側に働き、かっその絶対値が 3.1 ~3. 8倍も大きい。ミニパン車聞でも、最大の車種は最小 のものに比べ 21% も大きい。 この物理的解釈は一応以下のように考えられる。自動車 を翼と看倣し、車体の高さ方向の中点を結んだキャンパー を考える(図 10-1)。キャンパーの前縁,後縁および矢高 の最大点の 3点からなる薄翼の迎角はセダン車では 10 2.3倍 -0.08 L一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー一一 sede' minivan a minivan b minivanc 車名 図11前輪,後輪の揚力配分 車名 0.01 主 000 0 議 ~-001 」 ー 入、
t Ifl 者、 入 トー0田 r、
'l.J -004 -005 ミニパン車で -60 となる(図 10-2左)。この結果は概念 的に図 10-2右のようになり、セダン車の揚力が正であり、 ミニパン車の揚力が負となることが理解できる。なお、負 の揚力を持つミニパン車の後流は、車体から受ける反カに より上向きの運動量が与えられているはずである。今後CFD (
C
o
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i
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F
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D
y
n
a
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c
s
)
,後流の可視化試 験等の手段でこれを確認してみたいと思っている。 また図 11 は、この揚力係数を、前輪と後輪に配分した ものである。 この図から分かるように、セダン車との顕著な違いは前 輪揚力にあり、セダン車では前輸が浮き上がる方向に作用 するのに対し、ミニパン車では前輪を地面に押し付ける側 に働いている。絶対値ではセダン車の1.6~2. 3倍程度で ある。 一方後輪ではセダン車、ミニパン車とも、空気力によっ て地面に押し付けられている。またその絶対値に 3.0~4. 8 倍程度の差が認められる。 なお以上の揚力特性は (1) 今回試験に用いた車種は、セダン車が後輪駆動、ミ 図 12車種別のピッチングモーメント 問題点がある。しかし同じ対象(今回はミニパン車の車体 形状による空力抵抗)を、同じ設備・装置、同じ模型支持 法および同じ計測法(含むデータ処理法)で試験を行えば、 その結果の相対的比較は、十分に意味を持つものになろう。 従って本報告に示した定量的結果は、恐らく実車において も同様なものになると考えられる。 現在かつてなかった程の多種多様な車体形状の自動車 が巷に溢れている。これは消費者側からは、選択の自由度 が多い点で、歓迎すべきことではある。 一方で、自動車の台数の多さを考えるとき、そのエネルギ ー消費量は莫大なものである。地球資源の消費を最小にす ることを至上命題に、現在各メーカがいろいろな面から取 り組んで、いることは事実である。しかし今回の検討結果は、 未だ未だ改善の余地のある分野が残されていることを示 している。機会があれば、今後他の車種について、同様の 検言サを行っていきたい。 またもう一つの重要課題に走行の安全性がある。差し当 り、自動車が横風を受けた時の空力特性の定量的評価が必 ニパン車は全て前輪駆動である。 (2) 一般にセダン車に比べ、ミニパン車は横風特性に劣 る。 ことに関連している可能性はなしとしないので、その良し 悪しについての検討は本報告で、は行わないこととする。 図 12は、表 lのピッチングモーメント係数を車種別 にグラフに表わしたものである。 ピッチングモーメントも、揚力で述べたのとほぼ同様な 傾向が認められる。即ちセダン車に比べミニパン車では、 その作用方向が逆方向(頭下げ)であり、かつ絶対値が非 常に大きい。ミニパン車問でも、最大の車種は最小のもの に比べ 65% も大きいことが分かる。 ミニパン車のピッチングモーメント むすび 本文で述べたように、実車が空間を走行する状態を、縮 尺模型の風洞試験で、正確に再現するには、技術的に多くの5
.
2
.
4
6.要と思われる。 言語辞 今回の試験は、風洞における空気力計測に必須な高精度 天秤の設計製作によって、可能となった。これは、平成 10 年度以降の学生の卒業研究における、三菱重工業(株)、 中菱エンジニアリング(株)および明豊精機(株)のご指 導とご協力によるところ大である。ここに深甚な謝意を表 します。 参考文融 1) Jewel B.Barlo玖 WilliamH.Rae, jr 四d Al阻 Pope :Low同Speed
在
^
'
ndTunnel Tes出19(3rd Edition),John Wiley & Sons, Inc., New Yorkラ1999
2) He四laffilSchlichting : Boundmy Layer百leory (7th Edition)
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