• 検索結果がありません。

DSpace at My University: 英語教育リレー随想 51号(2014.4) グローバル化時代のパラドックス

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "DSpace at My University: 英語教育リレー随想 51号(2014.4) グローバル化時代のパラドックス"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 51 号 1

 

 

 

 

 

  グローバル化の急速な進展は、広範な領域で大きな影響を与えつつある。英語教育においては、 文科省の計画によると、歌や遊びを通じて英語に親しむ「外国語活動」を現行の小学5、6年生か ら小学3、4年生に前倒し、小学5、6年生は英語を正式教科として週3コマ程度、今の中学校のよう に教科書や専科教員らによる指導をする。さらに中学校は、今の高校のように原則として英語で授 業を行い、高校は討論や発表などの実践力を重視する考えである。国際的に活躍する「グローバ ル人材」の育成をめざし、実践的な語学力の習得や、討論を重視した授業に力を入れたり、海外 の学生との交流に取り組んだりする高校も増えている。 さながら、欧米から知識・情報を仕入れ、欧米と同じようになろうした明治時代の初期にタイムスリ ップした感がある。インターネットの急激な発展で世界がフラットな状況になったようである。Line や Facebook などで繫がる生徒や学生の絆はフラットであるように思えるが、同時にオンラインという同 じフレームに中に閉じ込められているようにも思う。同じ制服や同じブランドの服を着て、そこ(だけ) に通用する言語やカルチャーに染まっていく。フラットな社会は反面、個性や個人の価値観を薄れ させる。価値観を share することがかえって個人の価値観の喪失につながるというパラドックスが存 在する。 グローバル化によって、自動車や家電メーカーなどの日本企業が利益を求め海外へと進出する。 するとその結果として、日本の社会の雇用の空洞化が促進される。国内経済の停滞、雇用不安を 招く結果が社会不安となる。フィリップ・コトラーは、「グローバル化は普遍的なグローバル文化を生 み出す一方、同時にそれに対抗する力である伝統的文化を強化する」と述べている。遅れをとって はなるまいと、世界経済へのグローバルな対応に必死になる日本が、逆にナショナリズムを強め東 アジアに緊張感をもたらしていると思われることも、グローバル化が生み出しているパラドックスかも しれない。 こうした中で、日本企業の中にはグローバル化という均質化に埋没するのでなく、ローカルなアナ ログを堅持している企業もある。朝日新聞(記者有論)に「ポッキーには、まねされないノウハウが詰 まっている。『アナログ』は強い」という記事があった。スティックを作るにしても、その日の気温や湿 度を確認する。まっすぐ、ムラなく焼き上げるために、生地を焼く温度を、気温や湿度に応じて人が 経験的に微調整する。そこにマネのできない味と食感が生まれるとのことである。 ワープロソフト、プレゼンソフトなどを活用するコンピュータ、電子黒板、iPad のような便利な電子 デジタル機器を活用できる今の教育環境においては、知識の共有を等質で瞬時に行える。たとえ 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉  

2014 年4月  

グ ロ ー バ ル 化 時 代 の パ ラ ド ッ ク ス  

 

中井  弘一  

  第 51 号  

(2)

大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 51 号 2 ば、全員が同じ教材や解答をいとも容易く得ることができる。デジタルの持つ均質性は誰が指導し ても一定の内容を保つことができる利点がある。 授業では、教員が便利な PC を使った見栄えのよい丁寧なプリントを配付する。配付されるプリン トは往々にしてデジタル的な穴埋めのワークシートが多い。生徒がその穴埋めを行うと、完成され た学習ノートができあがり、素晴らしい成果のように思える。できあがりの品質は策定された結果の 解答を求めるものなので、それなりのできあがりとなる。しかしながらそれは、生徒自身が考え・学習 したものでなく、教員が敷いたレールを指示どおりに進まされているだけで、本人が自分なりに考え 経験すべきプロセスをカットしており、過剰品質となっている。実際は、生徒の個々の学びのペース やステップに対応しきれていないのに、学びのプロセスがフラットに固定化されて、見かけ上均質 な成果物を産みだしているように思える。 今流行りの電子黒板も素晴らしい機能を持っている。教材を効率的に提示することには目を見張 る。だからと言って、昔ながらに黒板にカリカリ音をさせ生徒とのやりとりを板書して行う授業に効果 がないと言い切れるだろうか。板書に流れる時間、個性的な文字、行間。そこに生徒は自分で考え る時間という「間」を持ち、さらには先生の個性にも触れ心のつながりを形成していくのではないだ いだろうか。誰が教えても同じ提示となるデジタル教育に先生の顔は見えにくい。アナログとデジタ ル、教育にはその両方が本来必要である。 グローバル化という名の下に、英語教育においても急激な改革が進むが、個々に応じたローカル な考えを取り入れないと、肥大化し過ぎて爆発するのではないだろうか。ビットコインのような仮想通 貨が瞬時に消え去る現実がグローバル化を追い求めることへの社会不安を警鐘しているように思 える。 ■参考文献 フィリップ・コトラー(著)、 恩藏 直人・藤井清美(訳)(2010)『コトラーのマーケティング 3.0 ソーシャル・メディア時代 の新法則』朝日新聞出版 近藤郷平(記者有論)「ポッキー 「細い体」に込めたアナログ」 朝日新聞朝刊 平成 26 年 2 月 26 日(水) (なかい・ひろかず 教授/教員養成センター長)

参照

関連したドキュメント

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

理工学部・情報理工学部・生命科学部・薬学部 AO 英語基準入学試験【4 月入学】 国際関係学部・グローバル教養学部・情報理工学部 AO

1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4

訪日代表団 団長 団長 団長 団長 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 院長 院長 院長 院長 張 張 張 張

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

本稿筆頭著者の市川が前年度に引き続き JATIS2014-15の担当教員となったのは、前年度日本

Jumpei Tokito, Hiroyoshi Miwa, Kyoko Fujii, Syota Sakaguchi, Yumiko Nakano, Masahiro Ishibashi, Eiko Ota, Go Myoga, Chihiro Saeda The Research on the Collaborative Learning