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実験の目標 最終的な目標として水槽の水の浄化を行いたいので 水槽内のものに焼き付けても見栄えに影響しな いような透明なコーティング液を作るとともに その効果を見た目と数値の両面から調べたいと 考えました 実験の仮説 粒径が 50nm 以下になれば透明な溶液を作ることができます ( 参考文献より )

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Academic year: 2021

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1-1

光触媒による水の浄化

研究者 鈴村彩美 池井陽子 中村凌也 山口雄樹 指導教諭 安達隆太先生 光触媒とは 光触媒とは、光のエネルギーによって働く触媒のことで、酸化チタンコーティングした部分に紫外線 を当てると活性酸素ができ、汚れを分解することができます。 活性酸素は消毒や殺菌に広く使われている塩素や過酸化水素などよりはるかに強い酸化力を持ち、 その酸化力によって消毒や殺菌などを行うことができます。 実験の動機 光触媒の使用例としては、光触媒コーティングが施されたエアフィルターがあります。光を当てるこ とにより自動的にフィルターに付着したほこりなどの汚れを落とすことができます。また、光触媒ガラ スというものもあり、汚れを落としたり汚れがつきにくくなるなどの効果があるので、建物の窓に使わ れています。カレンダーや観葉植物に光触媒コーティングが施されたものもあり、光触媒は身の回りに 広く普及しています 光の効果を利用しているので環境に影響を与えず、触媒自身は変化しないので半永久的に使用できる 光触媒。その機能性に着目した私たちは、光触媒を利用して浄水を行いたいと考えました。 太陽

二酸化炭素

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1-2 実験の目標 最終的な目標として水槽の水の浄化を行いたいので、水槽内のものに焼き付けても見栄えに影響しな いような透明なコーティング液を作るとともに、その効果を見た目と数値の両面から調べたいと 考えました。 実験の仮説 粒径が50nm 以下になれば透明な溶液を作ることができます(参考文献より)。 まず初めに、単純に 酸化チタン粉末と水を混ぜ合わせることによって、酸化チタンは水に溶けると考えました。 実験1 試料の作成 蒸留水100ml をビーカーに入れ、バーナーで加熱します。チタンテトライソプロポキシドの上澄み液 0.01mol を加えてよく混ぜます。 この実験では、 Ti(C₃H₇O)₄+4H₂O→Ti(OH)₄+4C₃H₇OH (沸点 82.5℃) の反応を期待します。副産物のイソプロパノールの沸点が82.5℃なので、水が蒸発しないよう 85℃程 度を保ち加熱しました。十分加熱したら火を止めて液を冷やします。冷えた液をピペットで採取しスラ イドガラスに塗りました。そのスライドガラスを、電気炉を用いて400℃で 10 分焼きました。 結果 蒸留水にチタンテトライソプロポキシドの上澄み液を加えたところ、白い沈殿物(酸化チタン)が発生 してしまいました。かき混ぜ続けても沈澱物が細かくなるばかりで溶けませんでした。 [新たな仮説] 酸を加えたら、酸化チタンの粒径が小さくなり 透明なコーティング液ができるのではないか? 白色の沈殿が溶けずに残った

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1-3 実験2 試料の作成 ① 硝酸を加える チタンテトライソプロポキシド60ml をイソプロピルアルコール 30ml に溶解させます。 これに純水を加えて様子を見ます。(予想:沈澱物が発生する) 溶液に変化がなくなったら滴下をやめます。 これに硝酸を1 滴ずつ加えて様子を見ます。 溶液に変化がなくなったら滴下をやめます。 ② 塩酸を加える チタンテトライソプロポキシド60ml をイソプロピルアルコール 30ml に溶解させます。 これに純水を加えて様子を見ます。(予想:沈澱物が発生する) 溶液に変化がなくなったら滴下をやめます。 これに塩酸を1 滴ずつ加えて様子を見ます。 溶液に変化がなくなったら滴下をやめます。 結果 ① 硝酸を加える チタンテトライソプロポキシド60ml をイソプロピルアルコール 30ml に溶解させたものに純水を滴 下すると、予想とは違い白濁の溶液となりました。 その後硝酸を加えましたが、50 滴を超えても溶液に変化は起こりませんでした。 ② 塩酸を加える 硝酸と同様に、チタンテトライソプロポキシド60ml をイソプロピルアルコール 30ml に溶解させた ものに純水を滴下すると、予想とは違い白濁の溶液となりました。 塩酸を加えましたが、これも溶液に変化は起こりませんでした。 純水滴下 チタンテトライソプロポキシド + イソプロピルアルコール(透明) (白色沈殿)

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1-4 上記の結果から溶液には変化が見られなかったため、さらに過酸化水素水を加えてみました。 結果、硝酸は黄色く濁り熱を帯び、塩酸は硝酸よりうすい黄色になりました。 純水滴下後(白色沈殿) 硝酸+過酸化水素水(赤黄色) 純水滴下後(白色沈殿) 塩酸+過酸化水素水(淡い黄色) [新たな仮説] 純水ではなく過酸化水素水を溶媒として使用すれば 溶質に何かしらの変化が起こるのではないか? 実験3 酸化チタンコーティング液の作成 市販の酸化チタン粉末1gと過酸化水素水 10ml を混ぜ合わせたものをスライドガラス 4 枚に薄く 塗り、400℃で 10 分間電気炉を用いて焼いて試料を作成しました。

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1-5 実験方法 メチレンブルー0.1ml を純粋で希釈し 100ml にします。シャーレに 50ml 取り分け、先ほど作成した 試料を2 枚ずつ入れ、一方にはアルミホイルで蓋をし、光を遮蔽しました。 光の照射にはブラックライトを使用しました。 結果 ブラックライトを1 時間照射したものと 14 時間照射したものを比べました。 光照射なし 光照射あり ブラックライト 板 シャーレ 酸化チタン粉末 過酸化水素水

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1-6 吸収率とは、光が試料に入射した時に、その試料がどれくらいの光を吸収するのかを示す割合のこと です。つまり吸収率が低いほど透明であるということになります。 グラフからわかるように、光を照射した方のメチレンブルーが浄化されているのが確認できます。 左が照射時間0 時間、右が照射時間 14 時間の写真です。光を当てたものの色が落ち、透明になって いることがわかります。この実験で光触媒には水を透明にする効果があることが確認できました。 実験4 酸化チタンコーティング液の作成 酸化チタンにはアナターゼ型結晶とルチル型結晶があります。アナターゼ型結晶は光触媒作用を持ち ますが、ルチル型結晶は光触媒作用を持ちません。市販の酸化チタンは、アナターゼ型結晶とルチル型 結晶が混在しています。このことが不透明な膜ができる原因だと考え、次の実験を考えました。 ① チタンテトライソプロポキシド 20ml、イソプロピルアルコール 80ml、純 水 20ml を混合し、水とアルコールを蒸発するまで常温で放置し、粉末に する。 ② ①で作成した酸化チタン粉末 1.0g に過酸化水素水 100ml を混合させる。 上記の方法で作成した溶液をコーティング液として使用する。 透明な橙色 光あり 光遮蔽 光あり 光遮蔽

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1-7 試料の作成 ① 作成したコーティング液にスライドガラスをひたし、ゆっくりと引き上げ、均一に塗る。 ② 500℃の電気炉で 30 分間加熱→常温で冷やす 光触媒の効果の数値化 ① 金魚のフンの入った水、100 倍に希釈したソースをそれぞれシャーレに取り分け、作成した試料を 1 枚ずつ入れる。 ② ブラックライトを 13 時間照射する。 ③ 1 時間後、13 時間後の光の吸収率と透過率を測定する。 結果 時間の経過による光の透過率

0 時間

13 時間

ソース

58%

80%

透過率は、650nm の波長の入射光が試料を通過する割合と定義します。 透過率が高いほど透明といえます。0 時間で 58%だった値が 13 時間後に 80%まで上昇したことから、 透明度は1.3 倍になりました。 ブラックライト 板 シャーレ ブラックライト 透明なコーティング液の 作成に成功!!!

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1-8 ソースに試料を入れ、13 時間光を当てた写真がこちらです。 原液(茶色) 13 時間後(薄い茶色) 吸収率は、400nm の波長の光が試料に吸収される割合と定義します。吸収率が低いほど透明といえ ます。0 時間で 0.20 だった値が 1 時間後に 0.16、13 時間後に 0.07 まで減尐したことから、透明度 は2.9 倍になりました。 時間の経過による光の吸収率

0 時間

1 時間

13 時間

金魚のフンの入った水

0.20

0.16

0.07

透過率のスペクトグラム 13 時間後 原液

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1-9 金魚のフンの入った水に試料を入れ、1時間と13 時間光を当てた写真がこちらです。 原液(黄色) 1 時間後(緑色) 13 時間後(透明に近い色) 吸収率のスペクトグラム 13 時間後 1 時間 原液 ・全体:吸収 減 ・600-700:吸収 増 ある有機物が優先的に分解された? 新たな有機物が作り出された? 吸収率のスペクトグラム

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1-10 考察 実験3 光照射をしたものの数値が大幅に下がりました。この実験で作成したコーティング液に光触媒効果が あるといえます。ですが光照射をしなかったものの数値も下がってしまいました。光を遮蔽したものの 吸収率が下がっている理由として、試料にメチレンブルーが付着したためだと考えられます。 実験4 スライドガラスに透明な膜ができたのは、酸化チタン粉末の粒径が50nm 以下であることが考えられ ます。グラフについては、全体としては数値が下がりましたが、1 時間後の 600~700nm の波長での数 値が光照射前より高くなってしまいました。また、時間の経過に伴い水の色が黄色から緑、透明に近い 色に変化しました。以上のことから、光触媒の効果によって新たな有機物が作り出された可能性が考え られます。 実験3 で作成したコーティング液と実験 4 で作成したコーティング液の効果の差は、スライドガラス に付着した酸化チタンの量に差が出てしまったので計ることができませんでした。 今後の課題 吸収率、透明率の実験以外にも、COD の測定を行いました。その結果、数値が上がってしまうのがあ りました。吸収率や透明率、見た目からの面では浄水ができたといえますが、含まれている有機物が完 全には浄化されていなかったため、これからの実験で調べていく必要があると感じました。 今回の実験ではスライドガラスコーティング液を塗り、試料としましたが、最終的な目標は、水槽の水 を浄化することです。500 度で焼いても壊れないものであれば、コーティング液を焼き付けることがで きると考えられるので、実際に水槽内にあるものに焼き付け、実験を行ってみたいと思います。 参考文献 1,トコトンやさしい光触媒の本 峠田博史 2,イラスト・図解 光触媒の仕組みがわかる本 大谷文章 3,酸化チタンコーティング溶液の作成とその評価 愛知県立岡崎工業高等学校 化学工学科 尾崎成実 4,ゾルゲル法による酸化チタン膜の生成 佐藤卓広 5,微粒子の創製と新機能開発 米田貴重 阿部啓

参照

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