((((2016201620162016年年年年3333月月月月29292929日 第日 第日 第日 第1111版公開)版公開)版公開)版公開) 「やさしい解説」では、病気について、一般の方向けにやさしく解説しています。 どんな病気なのか、どんな人がかかりやすいのか、病気に関係する臓器のしく みやはたらき、症状や検査の方法、治療の種類、日常生活上の留意点などを わかりやすい言葉と図を用いて解説しています。 この「やさしい解説」は、Mindsが作成しており、専門医による監修を受けてい ます。 実際の診療にあたっては、主治医をはじめとする医療者に相談される ことをお勧めします。
監修監修監修監修・・・・作成作成作成作成ごごごご協力者協力者協力者協力者
氏名 所属
篠原 幸人 東海大学名誉教授
国家公務員共済組合連合会 及び同 立川病院 顧問(神経内科)
脳血管の構造
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中とは
とは
とは
とは?
?
?
?
「脳卒中」は一般的ないい方で、正式な医学用語では脳血管障害と呼ばれます。 思考や感情を含め、私たちが生きていくためのからだのすべての活動をつかさどる脳には、 下の図のようにすみずみまで血管〔動脈〕が行き渡っています。これらの血管を流れる血液に よって、脳に必要な栄養や酸素が届けられています。 脳血管障害は、これらの脳の動脈が詰まったり破れたりして、脳の組織に栄養や酸素が十分 に行き届かずに障害を起こし、その結果、手手手手やややや足足の足足ののの運動麻痺運動麻痺運動麻痺運動麻痺やや感やや感感感覚覚覚覚鈍麻、鈍麻、ろれつが鈍麻、鈍麻、ろれつがろれつがろれつが回回回回らならならならな くなる くなる くなる くなる、頭痛、意識、頭痛、意識、頭痛、意識、頭痛、意識のののの低下低下低下低下などの症状が出てくる病気です。その症状の程度、残される障害 は、詰まったり破れたりした脳の場所や程度によりさまざまです。脳卒中は、何かにあたったように突然に倒れるといった症状が見られることから、日本の一部 の地域では昔から「あたる」と呼ばれて恐れられてきました。 しかし、脳血管障害はそのように突然の発作として現れることばかりでなく、後に述べるよう に、はじめはそれと分からないようなゆっくりした症状で始まることもあり注意が必要です。ま た、中には脳のMRIなどの検査で、脳の血管が詰まったり、少し切れたりしていたことが偶然に 見つかることもあり、これは無症候性無症候性無症候性無症候性脳脳脳脳血管障害〔無症候性血管障害〔無症候性血管障害〔無症候性血管障害〔無症候性脳脳脳脳梗塞梗塞・・・・無症候性梗塞梗塞 無症候性無症候性無症候性脳脳脳脳出血出血出血出血・・・・未未未未 破裂 破裂 破裂 破裂脳脳脳脳動脈瘤動脈瘤動脈瘤動脈瘤((((みはれつのうどうみゃくりゅうみはれつのうどうみゃくりゅうみはれつのうどうみゃくりゅうみはれつのうどうみゃくりゅう))))などなどなどなど〕〕〕〕とされ、その場合、必ずしも治療が必要 でない場合もあります。 ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳卒中〔卒中〔卒中〔卒中〔脳脳脳脳血管障害〕血管障害〕の血管障害〕血管障害〕ののの患者患者患者患者数数数数 かつて国民病といわれた脳卒中〔脳血管障害〕は、昭和26年から55年まで、日本人の死亡原 因の第1位でした。しかし、現在は、がんや心臓の病気、肺炎に次ぐ第4位となっています 。 しかし発症する患者さんの数は必ずしも減っておらず、平成23年の調査では、 123万5,000人ほどとされています* これは、主として、脳卒中の治療が格段に進歩し、脳卒中発作直後には亡くなる患者さんが減 ったため、あるいは比較的軽症の患者さんが増えたためと考えられますが、一方、高い要介 護度の患者さんの原因となった病気の第1位となっており 、現在も日本人にとって重要な病 気の1つであることに変わりありません。 出典 : 厚生労働省 平成25年国民生活基礎調査 「要介護度別にみた介護が必要になった主な原因の構成割合」より 作成 *1 厚生労働省:平成24年(2012)人口動態統計(確定数)の概況「死因簡単分 類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」 *2 厚生労働省:平成23年(2011)患者調査 総患者数(調査日現在において、 継続的に医療を受けている人の数) *3 厚生労働省:平成25年(2013)国民生活基礎調査 *1 2。 *3
出典 : 厚生労働省 平成23年患者調査「脳血管障害の分類患者数」より作成 それぞれのタイプについては、あとで詳しく述べていきます。 大きく分けると、脳の血管が詰まったり血流が悪くなるタイプの脳脳脳脳梗塞(梗塞(梗塞(梗塞(のうこうそくのうこうそくのうこうそくのうこうそく))))と、破れ るタイプの脳脳脳脳出血出血出血出血〔脳の内部で出血〕、脳の表面でくも膜と軟膜の間に出血するくもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血 の3つに分類されます。 脳梗塞はさらに、心臓の中にできた血栓(けっせん)〔血のかたまり〕がはがれ、脳まで流れて きて動脈を詰まらせる心原性心原性心原性心原性脳脳脳脳塞栓症(塞栓症(塞栓症(塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょうしんげんせいのうそくせんしょうしんげんせいのうそくせんしょうしんげんせいのうそくせんしょう))))、脳内や頸の太 い動脈が詰まるアテロームアテロームアテロームアテローム血栓性梗塞(血栓性梗塞(血栓性梗塞(血栓性梗塞(けっせんせいこうそくけっせんせいこうそくけっせんせいこうそくけっせんせいこうそく))))、細い動脈が詰まるラクナラクナラクナラクナ 梗塞( 梗塞( 梗塞( 梗塞(こうそくこうそくこうそくこうそく))))、に分けられます。 以下のグラフのように、脳卒中のうち、現在の日本で最も患者さんが多いのは脳梗塞です。 ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳卒中〔卒中〔卒中〔卒中〔脳脳血管障害〕脳脳血管障害〕血管障害〕血管障害〕のののの分類分類分類分類 脳卒中にはいくつかのタイプがあります。
脳
脳
脳
脳のつくりとはたらき
のつくりとはたらき
のつくりとはたらき
のつくりとはたらき
脳は運動や言語、感覚、意識など、あらゆる活動をつかさどっている器官です。 他の臓器と違い、脳は部位によって、それぞれはたらきが違っています。 ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳をををを包包包包むむむむ膜膜膜膜 脳の全体は頭蓋骨(頭蓋骨(頭蓋骨(頭蓋骨(とうがいこつとうがいこつとうがいこつとうがいこつ))))で守られ、頭蓋骨のすぐ内側には硬膜(硬膜(硬膜(硬膜(こうまくこうまくこうまくこうまく)、)、)、)、くもくもくもくも 膜、軟膜(膜、軟膜(膜、軟膜(膜、軟膜(なんまくなんまくなんまくなんまく))))という3層の膜があります。 くも膜と軟膜との間にはくもくもくもくも膜下腔膜下腔膜下腔膜下腔という隙間があり、そこは脳脳脳脊脳脊脊脊髄髄髄髄液(液(液(液(のうせきずいえのうせきずいえのうせきずいえのうせきずいえ きききき))))という無色透明の液体で満たされています。この髄液がクッションとなり脳を保護してい ます。この部分に出血するのが、前項で述べたくも膜下出血です。脳のつくり(内側から) ◆◆◆◆脳脳脳脳のののの部分部分部分部分とおもなはたらきとおもなはたらきとおもなはたらきとおもなはたらき 脳は、図のように、大脳、小脳、間脳(かんのう)〔視床、視床下部〕、脳幹(のうかん)といっ た部分からできており、それぞれの部位は、表のようなおもなはたらきをしています。下図の ように、脳幹(のうかん)や間脳は大脳に囲まれて脳の表面からは見えません。 このように脳は部位ごとにはたらきが分かれているため、脳卒中で脳のどこかの血管が詰 まったり破れたりすると、影響を受ける脳の部位の違いにより、さまざまな症状が起こるので す。
脳の冠状断面図
◆◆◆◆大大大大脳脳脳脳のののの部位部位と部位部位ととと機能機能機能機能のののの分布分布分布分布 大脳は、おもな溝〔中心溝(中心溝(中心溝(中心溝(ちゅうしんこうちゅうしんこうちゅうしんこうちゅうしんこう)、外側溝()、外側溝(がいそくこう)、外側溝()、外側溝(がいそくこうがいそくこうがいそくこう)、頭頂後頭溝()、頭頂後頭溝()、頭頂後頭溝()、頭頂後頭溝(とうちとうちとうちとうち ょうこうとうこうょうこうとうこうょうこうとうこう))))ょうこうとうこう 〕などにより、下図のように、前頭葉(前頭葉(前頭葉(前頭葉(ぜんとうようぜんとうよう)、頭頂葉(ぜんとうようぜんとうよう)、頭頂葉()、頭頂葉()、頭頂葉(とうちょうよとうちょうよとうちょうよとうちょうよ うううう)、側頭葉()、側頭葉()、側頭葉()、側頭葉(そくとうようそくとうようそくとうようそくとうよう)、後頭葉()、後頭葉()、後頭葉()、後頭葉(こうとうようこうとうようこうとうようこうとうよう))))に分かれています。 大脳の外側を覆っている大大大大脳脳脳脳皮質(皮質(皮質(皮質(だいのうひしつだいのうひしつだいのうひしつだいのうひしつ))))には、次のように、視視視視覚覚覚覚野(野(野(野(しかくしかくしかくしかく やややや)、)、)、)、聴覚聴覚聴覚聴覚野(野(ちょうかくや野(野(ちょうかくやちょうかくやちょうかくや)、運動野()、運動野()、運動野()、運動野(うんどうやうんどうやうんどうやうんどうや)、嗅)、嗅)、嗅)、嗅覚覚覚覚野(野(野(野(きゅうかくやきゅうかくやきゅうかくやきゅうかくや)、味)、味覚)、味)、味覚覚覚野(野(野(野(みみみみ かくやかくやかくやかくや)、体性感)、体性感)、体性感)、体性感覚覚野(覚覚野(野(野(たいせいかんかくやたいせいかんかくやたいせいかんかくやたいせいかんかくや))))といった機能がそれぞれ特定の場所に集中 して分布しています。 言語野は、運動性言語中運動性言語中運動性言語中運動性言語中枢枢枢枢〔ブローカ中ブローカブローカブローカ中中中枢枢枢枢;おもに話すことを担う〕が前頭葉に、聴覚性言 語中枢もしくは感感感感覚覚覚覚性言語中性言語中性言語中性言語中枢枢枢枢〔ウェルニッケウェルニッケウェルニッケウェルニッケ中中中中枢枢枢枢;おもに言葉を理解することを担う〕が 側頭葉にあります。また、字や絵を見て口に出して喋るための視視視視覚覚覚覚性言語中性言語中性言語中性言語中枢枢枢枢が後頭葉 にあります。
大脳は左半球、右半球の2つに分かれています。
視覚、手や足の運動・感覚については、反対側の脳がおもにはたらいています。
たとえば、右手足の運動や感覚には左脳がはたらき、左手足は右脳がはたらいています。
どんな
どんな
どんな
どんな症
症
症
症状
状
状
状が
が
が
が出
出
出
出るの
るの
るの
るの?
?
?
?
脳卒中の症状はさまざまです。 脳卒中一般のはじめの症状として、おもに以下のようなことが現れます。 ○意識障害意識障害意識障害意識障害 : 脳幹部や大脳が広汎に障害を受け、意識に関するはたらきが損なわれる ・意識が薄れる ・意識がなくなる、など ○運動障害運動障害運動障害運動障害 : 前頭葉からの運動線維が障害を受け、反 対側手足の動きに関するはたらきが損なわれる ・半身の麻痺 ・手足に力が入らない ・足がもつれる ○感感感感覚覚覚覚障害障害障害障害 : 手足から大脳頭頂葉に至る感覚に関係す る神経路が障害を受け、反対側の顔・手足などの感覚が 損なわれる ・痛みを感じにくくなる ・触っても分からない ・手足のしびれ〔異常感覚〕 ○言語障害言語障害言語障害言語障害――――構音障害(構音障害(構音障害(構音障害(こうおんしょうがいこうおんしょうがいこうおんしょうがいこうおんしょうがい)))) : 口をう まく動かす神経線維の障害や小脳により障害で起こる ・ろれつが回らない ○言語障害言語障害言語障害言語障害――――失語症(失語症(失語症(失語症(しつごしょうしつごしょうしつごしょうしつごしょう)))) : 前頭葉ブローカ 中枢や側頭葉ウェルニッケ中枢が障害を受け、うまく話 せなくなったり、聞いて理解するはたらきが損なわれる ・自分の言いたいことを話すことができない ・人の言うことが理解できない ○視視視視覚覚覚覚障害障害障害障害 : 後頭葉後頭葉後頭葉後頭葉ないしないしないし視ないし視視視覚覚覚覚のののの経経経経路路路路、あるいは眼そ のものが障害を受け、視覚に関するはたらきが損なわれ る ・同名性半盲(同名性半盲(同名性半盲(同名性半盲(どうめいせいはんもうどうめいせいはんもうどうめいせいはんもうどうめいせいはんもう))))〔両目の視野の 左右どちらかの半分が見えない〕 ・黒内障〔突然、一方の目が見えなくなる。一過性のこと が多い〕一般的な脳卒中以外に、くも膜下出血では特徴的な症状が見られます。 ○くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のののの典型的典型的な典型的典型的ななな症症症症状状状状 ・バットでバットでバットで殴バットで殴殴殴られたようなられたようなられたようなられたような突然突然突然突然のの今のの今今今までまでまでまで経験経験経験経験したことがなしたことがなしたことがなしたことがな いほど いほどいほどいほど激激激激しいしいしいしい頭痛頭痛頭痛頭痛で始まる。手足の麻痺はないことも多 い。意識がなくなることもある。 ○くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のののの警告症警告症警告症警告症状状状状 ・軽い頭痛、複視〔ものが二重に見える〕、吐き気がする、吐 く、めまい、など ◆ ◆ ◆ ◆症症症症状状状状にににに気気気気づいたらづいたらづいたらづいたら 脳卒中の診断・治療の進歩は目覚ましく、発症後の早い対応により、命が助かる可能性、ある いは、自立した生活を送る機能を残す可能性も高くなっています。 症状に気づいたら、すばや く対応することがとにかく大切です。 脳卒中と思われる症状が出た場合、本人ないし周囲の方が必必必必ずずずず救急車救急車を救急車救急車ををを呼呼呼呼びびびび、救急車を待 っている間に、以下のような対応を行いましょう。 ・ 本人がうろたえている時でも落ち着かせ、からだを横にし、安全な場所、救急車が来てすぐ に処置ができる場所、またはすぐに運び出せる場所に移動する。 ・ 移動の際は、患者さんをふとんやシーツ、マットなどに乗せて静かに引っ張って行う。 ・ 枕をせず、頭を動かさないようにする。 ・ からだが冷えないようにする。 ・ 吐いたものがのどに詰まらないよう、吐きそうだったら麻痺がある側を上にしてからだを横 向きにする。 ・ いびきや呼吸が苦しそうな場合は、仰向けにして首を反らせぎみにし、丸めたタオルや折っ た座布団などを肩の下に置く。 ・ ベルトやボタン、めがねや入れ歯などは外し、からだを締め付けるようなものは緩める。 また、救急車到着までに、手伝ってくれる人手を確保し、 到着後、家族はかかりつけの病院や今までにかかった病気、 服用している薬の名前、希望の病院などを救急隊員に伝えるよう にしましょう。
病院
病院
病院ではどんな
病院
ではどんな
ではどんな
ではどんな検
検
検
検査
査をするの
査
査
をするの
をするの
をするの?
?
?
?
◆ ◆ ◆ ◆診察診察診察診察 救急車で病院に着いた後、血圧や脈拍、呼吸チェックをすばやく行い、異常があればその治 療が優先されます。 次に行う問診は、脳卒中の診断上重要です。 ・ 症状が出たときとその後の様子 ・ 生活習慣病〔高血圧、糖尿病、脂質異常症など〕や不整脈と診断されたことがないか、どの ような病気の薬を服用しているか ・ 喫煙、飲酒などの状況 といったことを聞き取ります。 すでに症状が出ていて、患者さん自身が話せないときは付き添いの人に話を聞きます。 この後、 ・ 一般的な診察〔外傷はないか・腹部や胸部の診察〕 ・ 神経学的な診察〔意識障害の程度、しびれや麻痺がないか、眼は動くか、視野はどうか、言 語障害はないか、など〕 を行っていきます。 ◆ ◆ ◆ ◆検検検検査査査査 診察で脳卒中の可能性が高いと判定したら、一般的な血液検査・胸部エックス線・心電図など のほかに、頭部の画像検査を行い、どのタイプの脳卒中か、脳のどこに異常があるかなどを 調べます。 ○ ○ ○ ○画画画画像像像像検検検検査査査査 CT CT CT CT検検検検査査査査〔〔〔〔コンピューターコンピューターコンピューターコンピューター断断層撮影断断層撮影層撮影層撮影検検検検査査査査〕〕〕〕 ・エックス線で撮影した映像をコンピューターが計算し、脳を輪切りにし た状態を画像化するもので、脳卒中の診断に欠かせない検査です。 ・とくに、脳出血、くも膜下出血の診断に役立ち、画像では出血した部 分が白く写り、すぐに診断がつきます。 ・脳梗塞を発症してすぐには通常CTで異常が見られませんが、時間が たち組織が死んでしまった部分やむくんでいる部分は黒く写るので、 状況に応じてCT検査は繰り返し行われます。MRI MRI MRI MRI検検検検査査査査〔磁〔磁〔磁〔磁気気共鳴気気共鳴共鳴共鳴検検検検査査査査〕〕〕〕 ・エックス線ではなく磁力と電波を用いて、体内の状態をさまざまな方 向から鮮明に画像化するものです。 ・とくに発症してすぐの脳梗塞の診断には大変役立ち、撮り方にもより ますが、通常、病巣は白く写ります。 ・この検査は大変強い磁力を用いるため、金属、特にペースメーカー が身体に入っている患者さんには検査はできません。 MRA MRA MRA MRA検検検検査査査査〔〔〔〔MRMRアンギオグラフィーMRMRアンギオグラフィーアンギオグラフィーアンギオグラフィー検検検検査査査査〕〕〕〕 ・MRIと同じ検査で、強い磁力を使い、脳の血管 だけを立体的に鮮明に写し出します。 ・太い血管の詰まりや細くなっている部分、動脈 の瘤(こぶ)などを見ることができます。 脳 脳 脳 脳血管造影血管造影血管造影血管造影検検検検査査査査 ・血管に造影剤を注入し、エックス線撮影をして 脳の細い血管の状態まで詳細に調べます。造 影剤を注入した後、CT検査で脳血管の状態を 見る方法もあります。 ○ ○ ○ ○そのそのそのその他他他他のののの検検検検査査査査 エコー エコー エコー エコー検検検検査査査査〔超音波〔超音波〔超音波〔超音波検検検検査査査査〕〕〕〕 ・人の耳では聞きとれない音波を当てて、血管の状態を調べます。 ・頸動脈〔首の動脈〕や心臓の検査に用いられます。 SPECT SPECT SPECT SPECT検検検検査査査査〔〔〔〔シングルフォトンエミッションシングルフォトンエミッションシングルフォトンエミッションシングルフォトンエミッションCTCTCTCT検検検検査査査査〕〕〕〕 PET PET PET PET検検検検査査査査〔〔〔〔ポジトロンエミッションポジトロンエミッションCTポジトロンエミッションポジトロンエミッションCTCTCT検検検検査査査査〕〕〕〕 ・放射性の薬を体内に入れて、脳のいろいろな部分について、血液の 流れや脳細胞のはたらきを調べます。 腰椎穿刺( 腰椎穿刺( 腰椎穿刺( 腰椎穿刺(ようついせんしようついせんしようついせんしようついせんし))))
腰椎穿刺検査 ・腰のあたりの脊髄腔という部分に針を刺し、脳脊髄液〔脳と脊髄を取り囲んで保護している〕 を採取するものです。 ・血液の混入や髄液の変色がないかを確認し、くも膜下出血の有無を調べます。 ・CTなどですでにくも膜下出血と診断がついていれば、この検査は不要です。
脳の深部の細い血管〔0.2~0.5ミリの細い血 管〕あるいはその根元の血管が詰まり、比較 的小さな脳梗塞が起こっている状態です。ラ クナとはラテン語で「小さな空洞」を意味しま す。加齢や高血圧がおもな原因で、症状は 比較的軽いことが多いタイプです。
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の各
各
各
各タイプについて
タイプについて
タイプについて
タイプについて
脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞とはとはとはとは???? 脳の血管が詰まる、あるいは細くなり、脳の血のめぐりが部分的に低下するタイプの脳卒中 〔脳血管障害〕です。 何らかの原因で脳の血管が詰まったり非常に細くなったりすると、部分的に血液が十分にめぐ らなくなり〔脳虚脳虚脳虚脳虚血(血(血(血(のうきょけつのうきょけつのうきょけつのうきょけつ))))〕、その先の脳の組織に酸素や栄養が行き届かなくなると 脳の神経細胞に障害が起こります。これが時間的に長引き、その部位の組織が死んでしまっ たものを脳梗塞といいます。 ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞のののの分類分類分類分類 脳梗塞は、脳の血管が詰まるメカニズムの違いにより、以下の3つの種類に分けられます。 それぞれ病態や治療法・再発予防が違ってきます。 ラクナ ラクナラクナラクナ梗塞梗塞梗塞梗塞心臓内にできた血液のかたまりが、 脳の血管に流れ着いて脳の血管をふ さぎ、血流が滞ってしまう状態です。 太い動脈を詰まらせることが多いた め、重篤な脳梗塞になりやすいのが 特徴です。 心原性 心原性心原性心原性脳脳脳脳塞栓症塞栓症塞栓症塞栓症 アテローム アテロームアテロームアテローム血栓性血栓性血栓性血栓性脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞 脳内や頸部〔首〕の比較的太い動脈に動脈 硬化が起こり、そのプラークが破裂したり、そ の周辺に血栓ができて血流が障害された状 態です〔アテローム硬化〕。アテロームとは脂 肪などのかたまりのことをいいます。また、こ の部分から血栓がとんでさらに末梢の部分 の血管が詰まることもあります。 ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞のののの症症症症状状状状 脳卒中一般の症状とほぼ同様ですが、典型的な症状として、 ・ 意識障害 ・ 顔面も含む片麻痺(かたまひ) ・ 片側の顔面・手足の感覚障害 ・ 言語障害〔構音障害、失語症〕など が見られます。
ただし、4.5時間以内の治療開始であ っても、すでに脳の血管の組織の痛 みが進んでいる場合には、出血し状 態が悪化する危険があり、使用しな い方がよい場合もあります。医師の 判断に従ってください。 したがって、専門医から血栓溶解薬 を用いた治療の効果と危険性につい て、よく説明を聞いて治療の判断をす る必要があります。 脳梗塞は睡眠中に発症することがしばしばあり、夜中にトイレに起きたときや朝起きたと きに気づきます。 脳 脳 脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞のののの前前触前前触触触れれれれ ■ ■ ■
■ 一過性一過性一過性一過性脳虚脳虚脳虚脳虚血血血血発発発発作(作(いっかせいのうきょけつほっさ作(作(いっかせいのうきょけつほっさいっかせいのうきょけつほっさいっかせいのうきょけつほっさ)〔)〔)〔)〔TIATIA〕 TIATIA〕 〕 〕 ■■■■
脳梗塞のような症状が急に現れても数秒から数時間から24時間で消失してしまうことがありま す.これを一過性脳虚血発作といい,その後,高い確率で本格的な脳梗塞の発作が起こることが あります. ・ ろれつが回らない ・ 急にからだの片側が思うように動かない ・ 片側の手足のしびれ ・ 片方の目で一時的にものが見えなくなる 以上の症状が現れたら,緊急事態です.一時的に症状がなくなっても短時間のうちに再発する 可能性が高いので,すぐに専門医〔脳卒中専門医,神経内科医,脳神経外科医〕を受診しましょ う. ◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞のののの治療治療治療治療 とにかく とにかく とにかく とにかく早早早早いいいい治療治療治療治療がががが大切大切大切大切 脳梗塞の発作が起きてから治療開始までの時間は、症状や損なわれた機能の回復に大 きな影響を与えます。そのため、発症後できるだけ早く治療を開始します。 脳梗塞の症状が軽いものであっても、入院治療が必要です。それは、脳梗塞は急激に症 状が進行し、いったん重篤な脳卒中を起こすと、回復には限界があるためです。また、再 発が起こる危険があります。 脳 脳 脳 脳梗塞梗塞梗塞梗塞はははは3333つのどのタイプでもつのどのタイプでもつのどのタイプでもつのどのタイプでも、血管、血管、血管、血管のののの詰詰詰詰まりやまりやまりやまりや血栓血栓を血栓血栓ををを溶溶溶溶かすかすかすかす薬薬薬薬物治療物治療物治療物治療がががが基本基本基本基本 血管の詰まりや血栓を溶かす血栓溶解薬(けっせんようかいやく)〔t-PA(ティーピーエー) という薬がよく用いられます〕を静脈に入れる治療が必要なケースもあります。この治療は 現在発症後3時間以内、遅くても4.5時間以内の開始が必要とされています。
このほか、抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)〔アスピリン・クロピドグレル・シロスタゾー ルなど〕、抗血栓薬(こうけっせんやく)が、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞に、また 抗凝固薬〔ワルファリン・NOACなど〕が、心原性脳塞栓症に使われます。他に、生きてい る脳神経細胞を保護する脳保護薬、むくんだ脳を改善する抗脳浮腫薬(こうのうふしゅや く)などが使われます。 手術療法 手術療法 手術療法 手術療法 急性期では救命目的のため、手術が行われることがあります。脳がむくみ、脳以外も圧 迫されて機能が失われるのを防ぐため、一部分の頭蓋骨をはずして圧力を脳の外に逃 がす開頭外減圧手術が行われることがあります。また最近は、血管内にカテーテルを入 れて、詰まった血栓や塞栓を取り除く手技も病院によっては使えるようになりました。
脳出血は、脳の細い血管に、高血圧や加齢 により、たくさんの小さな瘤(こぶ)のような状 態ができ、血圧が急に上がったときなどにこ の小さな瘤が連鎖反応的に破裂して出血し、 脳の中に血腫(けっしゅ)〔出血でできた血液 のかたまり〕ができるものです。 若い人に起きる脳出血は、脳脳脳脳動動動動静静静静脈奇形脈奇形脈奇形脈奇形**** 4444 や全身の血液疾患などが原因となっているこ とが多くあります。 脳出血の発症のしくみ
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の各
各
各
各タイプについて
タイプについて
タイプについて
タイプについて
脳脳脳脳出血出血出血出血とはとはとはとは? ? ? ? ■ ■ ■ ■ * 4*4* 4*4脳脳脳脳動動動動静静脈奇形(静静脈奇形(脈奇形(脈奇形(のうどうじょうみゃくきけいのうどうじょうみゃくきけいのうどうじょうみゃくきけいのうどうじょうみゃくきけい))))とは とは とは とは ■■■■ 脳の動脈と静脈は,通常は毛細血管という細い血管を介してつながっています.しかし,生まれつき毛 細血管が作れずに,動脈と静脈が直接つながってしまったものを動静脈奇形といいます. 動脈と静脈が異常な形でつながっている部分の血管はもろく,破れて脳出血やくも膜下出血を起こ す危険性があります. また,本来の毛細血管を介していないので,細部まで酸素や栄養を含む血液が脳細胞へ送られず,脳 に酸素や栄養が不足している状態が起こります.◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳出血出血出血出血のののの症症症症状状状状 出血量が少ないときは、軽い頭痛や吐き気などの症状のみが現れますが、出血量や血腫 が増えると、脳を圧迫し、その部分のはたらきが障害されます。 脳出血が起きやすい場所は、大脳の被殻(ひかく)が最も多く、次に視床(ししょう)、小脳、 脳幹〔橋(きょう)〕、皮質下などです。 一般的に、脳梗塞よりも進行が早く、意識障害が起こることが多いです。時には昏睡(こん すい)に陥り、死に至ることもあるなど、症状の程度も脳梗塞より重くなる傾向があります。 ただし、最近は高血圧の管理により、軽症の脳出血も増えています。 脳出血は、安静にしているときよりも、日中の活動をしているときによく起こります。 意識障害と嘔吐が見られる場合、吐いたものによる窒息と、誤って飲み込むこと〔誤飲〕を 防ぐことが大切です。
◆◆◆◆脳脳脳脳出血出血出血出血のののの治療治療治療治療 脳出血が起こった場合、原因原因原因原因やややや出血部位出血部位出血部位出血部位とととと症症状症症状状状のののの重重重重ささささなどにより治療法が決まります。 高血圧が原因となった脳出血では、血腫やその周囲のむくみで頭蓋内の圧力が上がった り、血腫の周囲がそれ以上損傷を受けるのを防ぐ治療が行われます。 血圧を下げてコントロールする薬を用いたり、出血で脳がむくんだことにより脳内の圧が高く なっているため、むくみをとる抗浮腫薬(こうふしゅやく)として、グリセロール、場合によって はマンニトールという薬を用いることもあります。 血腫が大きく、かつ、手術できる部位に起こった場合には、血腫を取り除く手術を行うことも あります。 血腫が小さく意識もはっきりしている場合や、血腫の大きさ、部位によっては手術は行われ ず、内科的治療がおもになります。 また、血腫が大きすぎて深い昏睡(こんすい)状態のときも手術は行いません。 そのほか、けいれん発作、発熱、高血糖、消化管出血などが見られる場合、その治療が行 われます。
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の各
各
各
各タイプについて
タイプについて
タイプについて
タイプについて
くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血とはとはとはとは? ? ? ? 脳の軟膜の外側、くも膜の内側に脳脳脳脳脊脊脊脊髄髄髄髄液液液液という液体がある部分があります。そこに出血す るのがくも膜下出血です。 くも膜下出血のほとんどは、脳脳脳脳動脈瘤動脈瘤動脈瘤動脈瘤**** 5555((((のうどうみゃくりゅうのうどうみゃくりゅうのうどうみゃくりゅうのうどうみゃくりゅう))))の破裂によるものです。また 脳 脳 脳 脳動動動動静静静静脈奇形脈奇形脈奇形脈奇形**** 4444からの出血、また頭部の外傷でも起こります。 ■ ■ ■ ■ * 5* 5* 5*5脳脳脳脳動脈瘤(動脈瘤(のうどうみゃくりゅう動脈瘤(動脈瘤(のうどうみゃくりゅうのうどうみゃくりゅうのうどうみゃくりゅう))))とは とは とは とは ■■■■ 心臓から全身に向けて血液を運んでいる血管を動脈といい,脳動脈瘤は脳内にあるこの動脈の一 部分が瘤(こぶ)のように膨らんでいる状態を指します. 瘤のように膨らむ動脈の壁は弱く,この部分に血液による圧力が加わることで血管が破れると,くも膜 下出血が発症します. 手術により動脈瘤にクリップをかけること,また血管内からコイルを入れて瘤の内を詰めてしまうこと も可能ですが,生涯に破裂する確率とこれを取り除く手術によるリスクとをよく考えて決断することが 大切です. ◆ ◆ ◆ ◆くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のののの症症症症状状状状 突然に、バットで殴られたような激しい頭痛が、頭全体またはまたはまたは後頭部、前頭部または後頭部、前頭部後頭部、前頭部後頭部、前頭部などになどに起などになどに起起起ここここ るのがるのがるのがるのが、、、、くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のののの典型的典型的典型的典型的なななな症症症症状状状状ですですですです。。。。同時に、吐き気や嘔吐などの症状が起こり ます。出血量が多い場合には意識がなくなり、短時間で亡くなる人もいます。 破裂した脳動脈瘤の場所によっては、脳内に血腫ができて片麻痺が起こることがあります。 また、脳血管脳脳脳血管血管血管がががが一時的一時的一時的に一時的ににに異常異常異常異常にににに細細くなる細細くなるくなるくなる遅発遅発遅発遅発性性性性脳脳脳脳血管攣縮血管攣縮血管攣縮血管攣縮**** 6666((((ちはつせいのうけっかちはつせいのうけっかちはつせいのうけっかちはつせいのうけっか んれんしゅくんれんしゅくんれんしゅくんれんしゅく))))という病態が発症後に出ることもあるので注意が必要です。 ■ ■ ■ ■ * 6*6* 6*6遅発遅発遅発遅発性性性性脳脳血管攣縮(脳脳血管攣縮(血管攣縮(血管攣縮(ちはつせいのうけっかんれんしゅくちはつせいのうけっかんれんしゅくちはつせいのうけっかんれんしゅくちはつせいのうけっかんれんしゅく))))とは とは とは とは ■■■■ くも膜下出血から4~14日ごろに起こり,脳の血管が過度に緊張して細くなる状態です.この状態で は,血管内の血液の流れが滞り,血流不足でさらに脳梗塞を引き起こす危険性があります.◆◆◆◆くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のののの治療治療治療治療 くも膜下出血は生命の危険も高く、また再出血を防ぐためにも、すぐに専門機関で治療を 開始することが重要です。くも膜下出血と思われる症状がみられたら、ほかの脳卒中同 様、ただちに救急車を呼びましょう。 くも膜下出血の診断後は、まずは十分な安静と、痛みをとり血圧を下げる治療が行われ ます。 その後ただちに、再出血、再破裂の予防のため、以下のような治療がくも膜下出血の治 療の中心になります。 外科治療 外科治療 外科治療 外科治療としては、動脈瘤に対してクリップという器具で動脈瘤の根元をはさみ、動脈瘤 への血流を阻止するネッククリッピング術という方法があります。 血管 血管 血管 血管内内内内治療治療治療治療としては、カテーテルと呼ばれる細い管を太ももの付け根などの血管から挿 入して、その管を用いて動脈瘤まで柔らかいコイルを運び、動脈瘤内にコイルを詰め込ん で内部をふさいでしまうコイル塞栓術などが行われます。
脳
脳
脳卒中
脳
卒中
卒中
卒中の
の
の
の危
危
危
危険
険因子
険
険
因子
因子
因子は
は
は
は?
?
?
?
◆ ◆ ◆ ◆脳脳脳脳卒中卒中卒中卒中ののの危の危危危険険険険因子因子因子因子 脳卒中の危険因子の代表は加加加加齢齢齢齢とと高血とと高血高血高血圧圧圧圧です。 ○ ○ ○ ○高血高血高血高血圧圧圧圧 血管内の血液の圧力が高くなると血管の内壁に負荷がかかり、血管の内壁がもろくなってい きます。その結果、血管が破れて出血しやすくなったり、傷がつき詰まりやすくなったりします。 ほかに重要な危険因子として以下が挙げられます。 ○ ○ ○ ○糖尿病糖尿病糖尿病糖尿病 糖尿病は動脈の壁の弾力がなくなる動脈硬化動脈硬化動脈硬化動脈硬化を引き起こします。動脈硬化動脈硬化動脈硬化動脈硬化が起きると、血液 をうまく送ることができなくなって心臓に負担をかけたり、血流が悪くなります。 ○ ○ ○ ○脂質異常症脂質異常症脂質異常症脂質異常症 脂質異常、特に、LDL(悪玉)コレステロールが高い場合、HDL(善玉)コレステロールが低い場 合、高血圧や糖尿病で傷ついた血管に脂質などが溜まって、動脈硬化を導くと考えられていま す。 ○ ○ ○ ○心房細動心房細動心房細動心房細動・・・・心心心心臓臓臓臓弁膜症弁膜症弁膜症弁膜症 脳梗塞のうち、心原性脳塞栓症の重要な危険因子は心房細動(心房細動(心房細動(心房細動(しんぼうさいどうしんぼうさいどうしんぼうさいどうしんぼうさいどう))))ややや心や心心心臓臓臓臓弁弁弁弁 膜症 膜症 膜症 膜症という心臓病です。心臓にこうした疾患があると心臓の動きが鈍くなったり不規則に拍動 したりして、心臓内に血のかたまりができやすくなります。この血のかたまりが脳へ飛んで、血 管を詰まらせる〔塞栓(そくせん)〕が起こる可能性があるからです。 ○ ○ ○ ○そのそのそのその他他他他のののの生活習慣生活習慣生活習慣生活習慣 喫煙、多量飲酒、運動不足、過労・ストレスの蓄積といった生活習慣、また肥満は、脳卒中の 危険因子となります。 高血圧、脂質異常症、糖尿病などの病気を招きやすい体質には遺伝するものがあります。ま た、脳卒中になりやすい体質も遺伝が関係する可能性があります。多くの場合、遺伝的な素因 に悪い生活習慣が加わると、脳卒中が起こりやすくなります。 また、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤は、家族性に起こることもあります。脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の発
発
発
発症
症を
症
症
を
を
を予防
予防
予防
予防するには
するには
するには
するには?
?
?
?
脳 脳 脳 脳卒中卒中卒中卒中のののの危危危険危険険険因子因子因子因子のののの治療治療が治療治療ががが発発発発症予防症予防症予防症予防にに重要にに重要重要重要ですですですです。。。。 脳卒中の危険因子となる病気として、高血高血高血高血圧圧圧圧、、、、 糖尿病、脂質異常症、心房細動 糖尿病、脂質異常症、心房細動 糖尿病、脂質異常症、心房細動 糖尿病、脂質異常症、心房細動などが挙げ られます。 とくに高血高血高血高血圧圧圧圧は、脳梗塞、脳出血ともに一番の 危険因子です。 脳卒中の予防には、危険因子となるそれぞれ の疾患の治療とともに、多量飲酒、喫煙、運動 不足、肥満といった生活習慣を見直して、適度 な飲酒、禁煙、積極的に身体を動かす、野菜 〔とくに緑黄色野菜〕や果物を毎日適量摂取す る、ストレスを溜めない、といった健康的な生活 を送ることが大切になってきます。 家族に脳卒中になった人がいる場合はとくに注意が必要です。 ○ ○ ○ ○高血高血高血高血圧圧圧圧のののの管理管理管理管理 血圧は、140/90mmHg未満、糖尿病や腎臓病などがある人は130/80mmHg未満を目標としま す。75歳以上の後期高齢者は150/90mmHg以下ならよいと言われます。家庭用の血圧計が手 に入るようになっていますので、自宅で血圧を測り、管理することができます。高血圧と診断さ れている方は、朝と夜の1日2回〔朝1回でもよい〕の自宅での測定を心がけてはいかがでしょ う。 血圧の管理には、生活習慣の見直しが重要です。 血圧を下げるのにとくに有効な生活習慣は、 ・塩分を減らす ・適正な体重 ・適度な運動 です。○ ○ ○ ○糖尿病糖尿病糖尿病糖尿病のののの管理管理管理管理 高血圧と同様に、糖尿病の治療を受けている 人は治療を続けていくことが脳卒中の予防に もつながっていきます。 医師の指示の下、服薬、食事療法や運動療 法で血糖コントロールを心がけましょう。 ○ ○ ○ ○脂質異常症脂質異常症脂質異常症脂質異常症のののの管理管理管理管理 脂質異常症うち、血中のLDLコレステロール濃度が高い、また、HDLコレステロール濃度が低 いという状態が続くことは、 まだ議論はあるものの、脳卒中の発症と関連が深いとされていま す。 脂質異常症の管理のみで脳卒中を予防できるわ けではありませんが、野菜や果物、魚介類、豆類の積 極的な摂取、運動といった脂質異常症の予防となる生 活習慣を取り入れていくことは脳卒中の予防につなが ります。 ○ ○ ○ ○心房細動心房細動心房細動心房細動のののの管理管理管理管理 不整脈の治療に加え、高血圧や糖尿病など、心房細動を引き起こす原因となる病気を治療す ることが大切です。 また、心房細動がある人には、血栓を予防する薬〔ワルファリン、その他の新しい抗凝固薬な ど〕を定期的に飲むことが、脳梗塞の予防になります。
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の再
再
再
再発
発を
発
発
を
を
を予防
予防
予防
予防するには
するには
するには
するには?
?
?
?
脳卒中を再び起こさないようにするためには、脳卒中のタイプにかかわらず、危険因子、すな わち、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動といった病気をあらためてきちんと治療するこ とが重要と考えられています。 このうち、血圧の管理は、脳卒中の再発を予防する上でも有効です。 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のそれぞれの原因により再発の予防のポイントが異なってきま す。 ○ ○ ○ ○脳脳脳脳梗塞梗塞梗塞梗塞ののの再の再再再発発発発予防予防予防予防 上記に挙げた病気の治療に加え、ラクナ梗塞やアテローム血栓性梗塞には抗血小板薬(アス ピリン・クロピドグレル・シロスタゾールなど)、心房細動による脳梗塞の発症の再発を予防す るためには抗凝固薬による治療が有効とされています。 ○ ○ ○ ○くもくもくもくも膜下出血膜下出血膜下出血膜下出血のの再のの再再再発発発発予防予防予防予防 くも膜下出血では、とくに発症の早期、24時間以内に再び出血することがよくみられます。した がって、発症の直後には専門の医療機関にて安静にし、可能ならば早めに手術を考慮し、ま た、血圧が高ければ状態に応じてこれを下げる治療が再発の予防となります。 また、定期的な受診や検診を欠かさないことは重要です。リハビリテーションではどのようなことをするの
リハビリテーションではどのようなことをするの
リハビリテーションではどのようなことをするの
リハビリテーションではどのようなことをするの?
?
?
?
リハビリテーションは、残ってしまった障害や低下した機能を、少しずつ回復させるための訓練 です。 脳卒中のリハビリテーションは、一般に、急性期、回復期、維持期に分けられます。 ◆ ◆ ◆ ◆急性期急性期急性期急性期リハビリテーションリハビリテーションリハビリテーションリハビリテーション 患者さんの症状により訓練は異なりますが、廃廃廃廃用症候群(用症候群(用症候群(用症候群(はいようしょうこうぐんはいようしょうこうぐんはいようしょうこうぐんはいようしょうこうぐん))))**** 7777を予防 するために、原則、発症当日からリハビリテーションが行われます。 発症後数日で、からだを起こしたり、立ったり、ベッドから車椅子へ移動したりという訓練など が行われます。 からだを起こすことが困難な場合は、手足の位置を変えたり、体位を変えたり、また、関節を 少しずつ動かすなどの訓練を行います。 ■ ■ ■ ■ * 7*7* 7*7廃廃廃廃用症候群(用症候群(はいようしょうこうぐん用症候群(用症候群(はいようしょうこうぐんはいようしょうこうぐんはいようしょうこうぐん))))とは とは とは とは ■■■■ 長期間にわたって,横になった姿勢を続け手足を動かさないことにより,全身の機能が低下してしまう 状態をいいます. 体力の低下や筋肉の萎縮,関節が固くなる,心臓や肺の機能の低下などの症状が現れます.◆ ◆ ◆ ◆回復期回復期回復期回復期リハビリテーションリハビリテーションリハビリテーションリハビリテーション この時期の訓練は、機能の最大限の回復を目指して行われ、集中的 に行うことが、退院後の日常生活に必要な動作に大きく影響してきま す。 障害に合わせ、以下のような内容の訓練を理学療法士、作業療法士 などのサポートを受けながら行っていきます。 ・移動〔自立歩行の訓練〕 ・セルフケア〔日常生活を送る上で必要となる動作を自分で行う 訓練〕 ・嚥下訓練〔食べ物を飲み込む訓練〕 ・コミュニケーション訓練〔自分自身の思考や感情などをほかの人に伝達し合って、 理解を深める訓練〕 ・認知機能訓練〔思考や理解、判断、記憶、学習などの知的能力の訓練〕 ◆ ◆ ◆ ◆維持期維持期維持期維持期リハビリテーションリハビリテーションリハビリテーションリハビリテーション 回復期のリハビリテーションが終了した患者さんに対 して行われます。 筋力、体力、歩行能力の維持や、より良くすることを 目的として行われます。 この時期、患者さん個々の生活スタイルに合わせ、 いくつかのリハビリテーションがあります。 訪問リハビリテーション:医療施設のスタッフが患者さんの自宅を訪れて行われます 外来リハビリテーション:医療機関へ通院して行われます 地域リハビリテーション:医療機関を退院後、地域の医療施設に通って行われます
◆◆◆◆退院後退院後退院後退院後のリハビリテーションのリハビリテーションのリハビリテーションのリハビリテーション 自宅に戻って、体力を低下させないよう、無理のない簡単な訓練を行うよう心がけましょ う。 関節が硬くなると手足の動作が鈍くなってしまいます。 医師の指示の下ストレッチを行って、関節が硬くならないよう予防は可能です。 足の筋力が弱くなると、歩行に支障を来たします。 無理のないよう、いすから立ち上がるなどの簡単な動作も、筋力が弱まるのを少しでも予 防できます。 さらに、塩分と脂肪を控えめにしたバランスの良い食事と、禁煙、節酒を心がけた規則正 しい生活を送り、脳卒中の再発を予防しましょう。
脳
脳
脳
脳卒中
卒中
卒中
卒中の
の
の
の診
診
診
診断
断
断
断から
から
から
から治療
治療
治療
治療までの
までの
までの
までの流
流
流
流れ
れ
れ
れ
参考文献 1 脳卒中治療ガイドライン2009.東京:協和企画;2009 脳卒中治療ガイドライン2015 東京:協和企画;2015 2 厚生労働省 患者調査 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html (総患者数,性・年齢階級 × 傷病小分類別) 3 脳梗塞 正しい治療がわかる本.平成20年第1刷.法研.p.134 4 佐藤達夫 監修.新版 からだの地図帳.東京:講談社;2014 5 河田光博,稲瀬正彦 著.カラー図解 人体の正常構造と機能Ⅷ 神経系(1) 6 福井次矢,川島みどり,大熊由紀子 編集.あなたの家族が病気になったときに読む本 脳卒中.東京:講談社;2006