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島田雅彦 ( しまだ まさひこ ) 飯田六本木も整備された東京ミッドタウンなどがある一方 ごちゃごちゃした場所も残っています しかし地方の場合 再開発で駅前にビルを集中させると 元あった商店街は死に絶えてしまうことが多い 輝く都市 とジェイコブス型の典型的な違いというと 浜松市と静岡市です 静岡には

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Academic year: 2021

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人が歩きたくなる再開発とは何か。真に豊

かな都市を作る方法

2018/6/8 ディスカッション参加者 飯田泰之(経済学者・エコノミスト) 波頭亮(評論家、日本構想フォーラム幹事) 團紀彦(建築家、青山学院大学教授) 島田雅彦(小説家) 西川伸一(AASJ 代表理事、JT 生命誌研究館顧問) 山崎元(経済評論家) 上杉隆(メディアアナリスト) 賑わうのはジェイコブスの街 島田 前回、飯田先生から説明のあった、ごちゃごちゃした街であるジェイコブス型タ ウンは、地方よりも、東京に多くありますね。 また、台湾にはモダンな「輝く都市(ル・コルビュジエ型)」もありますが、その間は屋台 が埋め尽くされています。韓国も同じですけど、輝く都市とごちゃごちゃした街が同時 に生成されています。

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2 島田雅彦(しまだ・まさひこ) 飯田 六本木も整備された東京ミッドタウンなどがある一方、ごちゃごちゃした場所も 残っています。しかし地方の場合、再開発で駅前にビルを集中させると、元あった商 店街は死に絶えてしまうことが多い。 「輝く都市」とジェイコブス型の典型的な違いというと、浜松市と静岡市です。静岡には ジェイコブス型の街が生き残っている一方、浜松は非常に厳しい状況です。すると、ホ ームズ総研などのアンケートからも静岡の街のほうが魅力的だと認識されます。 團 私は青山学院大学で都市学を教えていますが、前回、飯田先生が説明された ル・コルビュジエとジェイコブス、それから黒川紀章の「共生」という 3 つの考え方を学 べば良いと学生には言っています。 私が考えるに、「輝く都市」の問題点は、街路を味方につけなかったことです。新宿の 副都心は典型的な「輝く都市」ですが、ビル間の距離が長すぎて、あまり街路を歩き たいと思えませんから、商店も味方につけられません。

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3 團紀彦 (だん・のりひこ) 山崎 結局、再開発された駅前が日本をつまらなくしていると思います。 二子玉川駅の東口側には楽天の本社があります。この東口側には二子玉川ライズと いう大きな商業施設があるのですが、個人的には、入りたくなるような飲食店は少な いですね。 しかし、駅の反対側の高島屋の裏手には楽しめそうな飲食店が多くあります。やはり ツルツルとした大きな建物ができると、街はつまらなくなるのですね。

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4 上杉隆(正面左)、山崎元(正面中央)、西川伸一(正面右) 上杉 私が都知事選に出たとき、東京中を歩きましたが、東京にはため池、井戸、暗 渠(あんきょ=地下に設けた水路)など水が多いことに初めて気づきました。 暗渠によって、自然と土地に境界線が生まれており、東京はジェイコブス型開発のほ うが地形に合致していると感じました。 また、外国人が集まるのは築地、歌舞伎町、下町など、ごちゃごちゃしているところで すね。 最近、中央区が「築地魚河岸」という新しい施設を四角い形で造りました。しかし、そこ には外国人がほとんどいません。綺麗なので日本人はいるのですが。ここを見ている と、日本人と外国人では街の魅力に対する捉え方が違っていると感じます。

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團 私は週末によく築地に行きますが、街と市場が似ている点は、色とりどりのモノが 並んでいることです。

築地市場 Photo : iStock / liorpt

團 私は生産流通センターのような市場のイメージの街よりは、そんないろいろなモノ が並んでいる古き良き築地のイメージの街に住みたいと思います。

豊洲の市場は街にたとえればル・コルビュジエ型です。なのに、千客万来市場と称し てジェイコブス型のように宣伝されているのが不自然と感じます。

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6 豊洲市場 写真)アフロ 地方はハブになる「人」が必要 波頭 私は 90 年代に地方活性化のプロジェクトを手がけましたが、失敗に終わってし まったものも少なくありません。 東京の案件は、オンリークライアントだから経済合理性で話が進みます。しかし、地方 になると、個人の利害の対立が深刻で、地域全体にとっての最適化に収斂しないケ ースが多いためです。 その時代を経て、ジェイコブス型であってもプランニングで地方を変えるのは難しく、 店が生まれること以上に「人」が大事だと学習しました。 かつてある県で実際に提案したことがあるのですが、たとえば飯田さん、團さん、島 田さんのような高い知見とリーダーシップを兼ね備えた著名なプロフェッショナルが 30 万都市に 1 年でも 2 年でも定住してくれると、その人をハブにしていろいろなことが変 わります。あそこに行ったら、誰々と飲める、誰々と釣りができる、と。 まさに、出会う成長と、親しむ成長の間に、長期的にハブになる人が必要なのだと思 います。そうしたコミュニティーを形成するために、そうしたハブになれる人に行政が 資金を出すべきだと思います。

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7 たとえば、10 万人都市の場合、住民 1 人が 50 円ずつ出せば年間で 6000 万円を移 住する著名人に払えます。半分をその人へのフィーに、半分を活動経費に使えば、か なり色々なことを起こせるはずです。 住民 1 人月 100 円にすると、年間で 1 億 2000 万円になるから、東京で大活躍してい る人でも、第二の故郷と考えて移住する人が出てくるでしょう。 しかし、このような人に投資するタイプのプランは、土建屋さんに利権がないと、今も 議会で潰されてしまうのです。 波頭亮(はとう・りょう) 飯田 エンリコ・モレッティという都市経済学者がいまして、彼はスーパースター効果と 言っています。 例えば、ある大学にスーパースター教授が移籍すると、他の研究者、学生、お金もな んでも集まってしまうと。地方の場合は、そういうスターを意図的に招聘し、作っていく 必要があると思います。 ただ、最近少し状況が変わりつつあるというのが私の印象です。

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8 地域で仕事をしている主体が団塊ジュニア世代に移ってきています。すると、その地 域がだいぶ変わります。特に 3.11 の被災地では、ご年配の方が諦めて引退したケー スが多く、30 代の漁協長などが出ると、話が一気に進みます。 飯田泰之(いいだ・やすゆき) 都市は本来、有機体 團 今、世界の都市設計のテーマは、すべて作り変えるのではなく、いかにお金をか けないで「再生」するか。既存の建物をどう生かすかというのがテーマになっていま す。 都市は、有機体として見ることができます。いわばサンゴ礁のようなものだから、その 全部を消して再開発という発想はもう時代遅れです。 全体から考えるのではなく、境界線のあり方や共生のし方から都市をより豊かにする 方法をさぐるべきです。 ヨーロッパの都市を見ると、多くは周囲の自然と対立する要塞のようなイメージです。 しかし、東アジアの都市では 18 世紀の蘇州の絵のように、自然と都市が対立してお

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9 らず、人間が自然と出会う場所がたくさんあります。都市と自然の境界線もはっきりし ていません。このように、都市の定義は東アジアとヨーロッパで全く異なっています。 波頭 蘇州は中心を持たない素晴らしさを持つ都市ですね。都市全体が迷路のよう になっています。 古くからの住宅が残る蘇州の旧市街。蘇州は東洋のヴェネチアとも称される。写真 : アフロ 島田 人間は迷路や洞窟のようなところに隠れたがる習性がありますからね。 波頭 最も機能合理的であるコンピューターのシステムですら、セントラリゼーション (中央集権化)の時代はとっくに終わっています。 現在では、有機的な広がりとつながりを持つシステムが、機能的にも合理的であると 実証されています。 にもかかわらず、行政による街づくりはいまだに設計主義的なル・コルビュジエ型の 発想のままです。これでは人が住み、有機的に人がつながり、活動を広げていく街に はなりません。 團 最近では、様々な大学で「共生学」の学科ができています。それにもかかわらず、 それを言いだした黒川紀章や槇文彦や菊竹清訓ら日本人建築家のメタボリストの歴 史がぽっかりと抜け落ちています。

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10 黒川紀章さんらが提唱したメタボリズムとは、簡単にいうと、都市を工場や機械として 見るのではなく、生成変化する生命体、有機体としてみる物の見方です。 ですから、共生は周辺環境の文脈の中で意味をもつ考え方です。やはり共生という 概念をもう一度、リファインする必要があると思います。 島田 1964 年の東京オリンピック以前の東京は、まさにメタボリズムシティでした。火 事と地震のつど、根本的に景観が変わりました。当時は水路も見える形で残っていま した。 團 そもそも東京はメタボリズムの街なのです。メタボリストの日本人建築家達はそこ からエッセンスを得て世界にアピールしたのです。 團紀彦(だん・のりひこ) 東京は地方より高齢化する 西川 ところで、高齢化社会が進み、地方で高齢者人口が増えると、消費は増えて も、生産は減ってしまいます。その経済的インパクトはどうですか?

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11 飯田 現在、高齢化と言えば地方を想定してしまいますが、今後高齢化率が一番悪 化するのは東京です。 地方はクルマで少し走ると、県庁所在地やその周辺部に大病院がありますね。病床 数を増やす余地もあり、介護施設も建てやすい。しかし、東京はそうではありません。 もう一つ、東京には大きな問題があります。それは近郊のベッドタウン都市に住む人 が街にアイデンティティをあまり感じていないことです。しかも地方に足場(生まれ故 郷)を残していない高齢者が多い。すると、介護と医療需要はどこが支えるのかが問 題になります。 東京は団塊世代がまだ元気ですが、いよいよ動けなくなったら厳しいことになると予 想されます。 東京都市圏は、東京の中心に、いかに効率よく生産要素の労働力を運ぶかという街 の作り方になってしまっています。 今後は東京郊外にアイデンティティを持てる街と地場産業、そして医療拠点を作って いく必要があると思います。 *全 5 回、終了。 (構成:栗原昇、撮影:鈴木大喜、デザイン:今村徹)

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