Reproductive Ecology of the Mayfly Epeorus ikanonis(Ephemeroptera:Heptageniidae)

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Reproductive Ecology of the Mayfly Epeorus ikanonis(Ephemeroptera:Heptageniidae)( Abstract_要旨 ). Takemon, Yasuhiro. 京都大学. 1990-05-23. https://doi.org/10.14989/doctor.k4597. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. author. Kyoto University.

(2) 【1 1】 たけ. もん. やす. ひろ. 名. 竹. 門. 康. 弘. 学 位 の 種 類. 理. 学. 博. 士. 学 位 記 番 号. 理. 学位授与 の 日付. 平 成 2 年 5 月 23 日. 学位授与の要件. 学 位 規 則 第 5条 第 1項 該 当. 研 究 科 ・専 攻. 理 学 研 究 科 動 物 学 専 攻. 学位 論文題 目. Repr oduc t i veEc ol ogy oft heMayf ly Epe or usi kanoni s ( Ephe me r opt e r a:Hept age ni i dae). 氏. 博. 第 1 2 7 8号. (ナ ミヒラタカゲロウの繁殖生態) ( 主 査). 論文調査委員. 教 授 川郡部浩哉. 論. 文. 教 授 日高 敏 隆. 内. 容. の. 要. 教 授 手 塚 泰 彦. 旨. 主論文 は,水生昆虫のナ ミヒラタカゲロウ Epe o r u si kanoni sを対象 に,その繁殖生態 を克明に把握 し, それ を繁殖成功性 と関連 させ なが ら考察 しようとした ものである。 第 1部で は, この種 の生殖器官の形態 と機能が明 らかにされている。 す なわち,雄 の陰茎の形態 は交尾. 中に変形 し,雌 の前庭部 にある受精嚢-向か って射精す ること, この変形 ない し射精 は交尾時間中の前期 に起 こるこ と,受精嚢 に入 りきらず に前庭部 に余 る精子 のあること, この前庭部 の精子 は産卵 中に消失す ることを見つ けた。 申請者 はこれに基づいて,雌が多回交尾 を した場合,後 に交尾 した雌 の精子 は,その 率 は高 くない ものの受精 に利用 される機会がある もの と推論 している。 第 2部 は, カゲロウ類の雄成虫が野外で水 を飲 むことを初 めて確認 し,その口器の形態 を調べ た もので,. あわせてナ ミヒラタカゲロウについて,吸水が雄の寿命 を延命 させ るのに役立 っていることを明示 してい る。. 第 3部 は, カゲロウ類 において初 めて見つか った地上待機方式 による繁殖行動 を,克明に記載 した もの. である。その結果,雌 の配偶か ら産卵 に至 る過程,な らびに雌が多回交尾 を行 うことを明 らかに し, また これ らの場所 の詳細 な解析 の結果,雄 は飛来雌 の多い産卵地点 を待機場所 に選ぶ ことを明示 した。いっほ う,雄 の交尾相手の認知方法 は体 の接触 のみによることを確認 し,雄 問の攻撃性 の欠如 ともあい まって, 配偶成功度 は-様 な理想分布 となることをも示 している。そ して,雄 におけるような待機集団の形成 され た背景 を推察 し,雌が受精嚢 を持つ多回交尾性であること,産卵場所が限 られた岸辺であることを,その 原因 と結論づ けている。 第 4部 は,ナ ミヒラタカゲロウの地上待機方式 と群飛方式 との 1つの配偶行動 について,それぞれの繁. 殖成功度 を比較 した ものである。 その結果,群飛雄の繁殖成功 は,地上待機雄が高頻度で雌 を見逃す こと によって成立 していること,雄の繁殖成功度 は,後 に交尾 した場合の精子の受精率が小 さい場合 には,両 方式 間で平衡 に達す ることな どを明 らかに した。 これ らの結果 をもとに申請者 は, この種 の雄性先熟型の - 33 -.

(3) 羽化様式 は,雌密度の高い 日に配偶行動 を行 って繁殖成功 を高めるための戦略であるとし, またそれは雄 成虫の長寿 と多回交尾が前提 となっていると考察 し, さらにカゲロウ類の系統関係 を基礎 として,地上待 機方式 は群飛方式か らの変化 として生 じた もの と論 じている。 参考論文 1・2は,モ ンカゲロウ属 の羽化 ・繁殖行動 に関する種間差異が,流程分布 と対応 しているこ とを論 じた ものである。 参考論文 3はカゲロウ類が羽化期 を斉-化 させ る温度生理的な機構 を論 じた もの である。 参考論文 は,カゲロウ類の分類上の問題点 を整理 し,種類相の地域性 を生 じる要因を考察 した も のである。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 カゲロウ類 は,昔か ら 「はかなさ」 の代名詞 として使われて来た ものであるが,生物学的知見 として も 従来 は,成虫の短命,群飛のみによる交尾,受精嚢の欠如 など,成虫の生活様式 は極めて単純 なものであ るとして理解 されて来た。 これに対 し申請者 はカゲロウのい くつかの種 について調査 を行い,主論文の研 究対象 となったナ ミヒラタカゲロウでは,地上集団待機型 と群飛型の両様式が併存 しているという新発見 に基づいて,次 々 と新発見 を展開 していった。 すなわち主論文第 1部 においては,生殖器の形態 と機能 とくに受精嚢の存在 を明 らかに し,交尾行動 ・ 精子 間競争 との関連 を論 じた。 また第 2部では,退化 した口器 を持つ にも拘 わ らず,瞬間的着水行動 にと もなって捕水吸水行動 を行 うことを初記載 し,吸水量の推定,吸水による生理的寿命の延長 をも実験的に 明 らかに している。 また第 3部では,初めて見つかった地上集団待機型の繁殖様式 を克明に記載 しただけ でな く,繁殖過程 について も,全体の平均的傾 向 としての取扱いのほかに,雌雄各々の個体の行動 をも追 跡 した結果 に基づ き,雌の多回交尾,雌雄 ともに同一個体が地上型 ・群飛型の両様式 をとることなどを詳 細 な観察 と記録資料 の分析か ら明 らかに した。 さらに第 4部では,気象条件 との関連のほか,地上型 ・群 飛型両様式の併存 に関する繁殖成功の期待値モデルを作成 して,その併存が可能である場合のことを示唆 す るなど,新事実の発見 とそれに関す る考察 を着実に展開 している。 難 をいえば,同様 の受精機構 ・産卵様式 を持つ他の種が存在することにも拘有 らず,なぜナ ミヒラタカ ゲロウでのみ地上型が見 られるのか といった点 について,他種の資料が不十分であるため もあって論議が 尽 くされていない感があること, また交尾成功率 などの実測値か らみると待機型が有利 と考 えて も不当で はない と考 えられるのに,なぜ群飛型が併存す るのか といった疑問 もないではない。 しか し,地上型 ・群飛型の両様式が,同一種 同一個でみ られることは,カゲロウ類のみならず,昆虫一 般の繁殖様式の進化 を考 える重要 な端緒 となるものである。 参考論文 4篇 もそれぞれ,申請者の着実な仕事 の しかた と広い見識 を示す ものである。 よって本論文 は理学博士の学位論文 として価値 あるもの と認める。 なお,主論文及 び参考論文 に報告 されている研究業績 を中心 とし, これに関連 した研究分野について試 問 した結果,合格 と認めた。. - 3 4-.

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