ないものと考察される。 13.結核性股関節炎及び結核性膝関節炎に対する 関節固定手術の成績 (整形外科) (演)栗原文子 飯 島 俊 夫 山 形 恵 子 ピ 当科に於て昭和31年末迄,過去6年聞に股関節及膝関 節結核患者に固定手術を行った成績にっき著しい差があ るので考察する。 膝関節結核に対しては,病巣廓清術,骨移植術,Hibbs の手術を主として行い,何れも比較的短期間に強直形成 をなし経過は非常に宜しいが,ある程度の骨変化を呈す るものに対しては関節の可動性を保持したまま治癒させ ることは困難であった。 股関節結核に対して,病巣廓清の他に,種々の方法に よる骨移植固定術を試みたが,膝関節結核患者に比し, 其の経過は永く,必ずしも宜しくない。最近外転位固定 術を試み,この方法に於ては現在の所よい成績である。 此の二つの関節は,其の運動範囲に大差あり,股関節は 膝関節に比し,屈伸の他,内外転,内外旋と多様の運動 があり,叉,骨破壊に伴い病的脱臼が必然的に起る等の 為,固定術を行うこともむつかしく,その成果を得るこ とも難しいことである。 14.1NH誘導体による鼠癩及び実験的結核の治 療実験 (細菌) (演)平 野 憲 正
須子田キヨ
Isonicotinoyl−3−methoxy−4−hydroxybenzal hydrazoRe (No.254)はIsonicotinoyl−4−hydroxybenzal! ydrazone (No.253>より鼠癩に対する発症阻止作用が強い。この差 異はmethoxy一基の有無に関係するだろうと考え,2つの methoxy」基を有するIsonicotinoyl−3,4−dimethoxybe11− zal hydrazoRe(No.282)について実験したところ,その 作用はNo.254より勝っていた。よってmethoxy一基が」鼠 癩に対する発症阻止作用を増強すると老えられる。もし この推定が正しいならば,methoxy一一基をethoxy一基で置 換すれば,その作用は一層増強するであろうと考え,わ れわれは更Wtlsonicotinoyl−3−methoxy−4−ethoxybenzal hydrazone(No.283)及びIsonicotinoyl−3,4−diethoxy− benzal hydrazone(No.284)について実験した。その結 果,2コのethoxy一一基を導入したNo.284は鼠癩に対し治 癒的に作用し,しかも毒性は非常に低く,4. 59/kg<マ ウス体重)の経口的投与にも耐えることを証明した。 鼠癩菌と結核菌とは抗原的にも非常に接近している。No.284は鼠癩に対し著効を奏し,かっINH誘導体で
あるから結核に対してもある程度の効果があるであろう と考え,本剤の実験的結核に対する治療実験を行った。 その結果No。284はINHよりも効力がすぐれている 3 ことを証明することができた。 15.胸結合及び頭胸結合重複奇形のレ線像について(解剖)弁上和子
胸結合重複奇形7例及び頭胸結合重複奇形3例の合計 10例に於けるレ線隊について観察した。 第一例は非対称性胸結合重複奇形で,一側児の頭蓋骨 は不正形で他側児より小さいが化骨の程度はほぼ似てい る。四肢及び躯幹の骨格は両児の聞に差は認められな い。化骨状態はほぼ四ヵ月に相当する。 第二例及び第三例は単対称性胸結合重複奇形で,第二 例は萎縮側の下肢が一箇となり,融合した大腿骨の上端 両側に腸骨化骨核を認める。第三列の一一一L側児は無脳児 で,脳頭蓋を欠くが頭蓋底の像はほぼ正常に認められ る。 第四例より第七例までの4例は複対称性胸結合重複奇 形で,胸骨下端に於て融合がある。 第八例及び第九例は単対称性頭胸結合重複奇形で第十 例は複対称性頭胸結合重複奇形でこれらの結合頭部に於 ては,上部に円形の前頭骨の像がみとめられ,頭蓋底は 両蓋の蝶形骨が融合し複雑な像を示す。第八及び第九例 に於て側頭骨錐体は萎縮側のものが中心に近づいてわ り,他側のものは外側に広がっていて萎縮側のものに比 し長い。 以上の第二例より第十例まで,すべて化骨状態は八カ 月以後の発育を承し,とくに第四乃至第七例では大腿骨 下端の骨端核をみとめ,即ち九ヵ月乃至十ヵ月の発育を 示している。 叉第一例及び第三例を除く他の例では両児間に相違は .認められない。 16.未熟児についての一考察 (衛生)水 谷 民 子 昭和26年から29年にわたる4年間に川崎市中央保健所 管内に出生したものの出生票18,717枚と,同出生児の1 年未満の死亡票471枚を用いて,未熟児の境界について 検討し,さちに出生時の社会生物学的環境が未熟児の出 生及び死亡に如何なる影響を及ぼすかを観察した。 1.未熟児の境界:未熟児の境界は我が国では2,5009 未満として2,500gを含めないが,2,400g代のものが切 り上げて2,5009として記載されたと思われる例が多く, 2,5009代の45%が2,5009丁度である。従って2,5009を 含めるか否かにより未熟児数は150/。もことなる。叉,男 女別に体:重別新生児死亡並びに乳児死亡を観察すると, 男児は常に女児より高率であり,明らかに男女聞に差が あることがわかる。なお,総出生性比及び早産性比が 100をこえるのに比して未熟児の性比は85である点,及 び女児の未熟児は満期産児が多いことを認めた。以上の 諸点から,未熟児の境界は2,500gを含めるか否かの点 及び男女別々に定めるべきである点等について,更に検:4 討の余地があろう。 2.未熟児と出生時の社会生物学的因子:未熟児の出 生は,第1子が第2子以上より,非嫡出子が嫡出子より, 死産のあるものがないものより,施設内分娩が施設外分 娩より,医締立会が助産婦の立会より,多胎が単胎より それぞれ高率であった。新生児死亡並びに乳児死亡は, 第2子以上,非嫡出子,死産のあるもの,施設外分娩, 医師立会,多胎にそれぞれ高い傾向を認めた。 17,前歯部のPlastic Surgery及び補綴について (口腔外科)河 西 一 秀 前回は,前歯部Plastic Surgeryの基本的事項につい て述べたが,今回は症例につき映画で報告する。 18.手術的小肯腔補填に関する研究