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幼児は感情経験をいかに語るか : 園での行事経験についての横断的インタビュー 利用統計を見る

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全文

(1)

についての横断的インタビュー

著者

久保 ゆかり

著者別名

Yukari KUBO

雑誌名

東洋大学社会学部紀要

51

2

ページ

23-38

発行年

2014-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00008361/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

幼児は感情経験をいかに語るか

一園で、の行事経験についての横断的インタビュー-Development o

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問題と目的

久保ゆかり

Yukari KUBO 近年、自他理解の発達については、「過去や未来の出来事に関する親子の会話のなかで、おとなの 足場のもとに、自他に関する知識の体制下と時間的拡張自己の形成が進み、時間的拡張自己の確立に よって自他の関係史に基づく自他理解が深まっていく

J

という道筋が想定される(木下、 2008;坂 上、 2012) ようになってきた。おとなとの聞で交わされる会話を通じて、自他理解の発達が進んでい くと考えられるようになってきたのである。 その議論は、自他の感情理解の発達についてもあてはまるものであると考えられる。自己の発達の 創生期を見てみると、そこでは自己は、感情経験の特定のパターンや感情経験とその調整 (emotion regulation) の歴史を中核として組織化されると考えられる。養育者をはじめとする周囲のおとなか らの働きかけは、子どもの感情と自己の発達を先導し、子どもが文化的実践に主体的に参与するメン ノfーとなっていく過程を支えるものである。それは、子どもの潜在的な感情状態の組織化から始ま り、子どもの感情をモニターし調整し、子どもが出会う事象や感情経験を解釈する枠組みを提供する ことを通して、子どもを社会的な存在へと押し上げていくものである(久保、 2007)。 そのように自己の中核として重要な、子どもの感情調整を養育者などのおとなはどのように支える のだろうか。乳児期においては親などの養育者が、その子どもを慰撫したり支援したりすることに よって、子どもの感情調整を直接的に担うことが多い (Kopp、1989)。しかし、幼児期にはいると、 養育者は直接担うというよりも、子どもが自ら感情調整ができるようになることを目指して支援する 方向へ徐々に変化していく。そのことを、 Appleman

&

Wolf (2003) は、養育者は「感情に関する徒 弟制 (emotionalapprenticeship)

J

を子どもに対して行っていると言い表している。あるいは、子ど もが経験した感情について養育者と子どもが語り合うことによって、感情経験を捉え直すことが行わ れる (Fivush& Kuebli、1997; Oppenheim、Nir、Warren、 &Emde、1997)。

(3)

以上のように、幼児期においては、子どもの感情調整は、養育者などのおとなと感情経験について 語り合うことを通して、支えられていることが示唆されている。そこで、本研究では、幼児期にある 子どもたちが、おとなとことばでやりとりする場面において、自身の感情経験をどのように語るのか について検討することにする。 より具体的には、本研究では、幼児期の子どもが幼稚園や保育園などの所属国で経験した感情につ いて、おとなのインタビューアーが尋ねることによって、子どもが自身の感情経験をどのように語る のかについて検討することにする。その際に、経験されるかもしれない感情としては、多重な感情 (multiple emotions)を含めて取り上げることにする。多重な感情の理解とは、いくつかの構成要素 から成り立っているひとまとまりの出来事において、構成要素それぞれに対して、肯定的な (positive) 感情も感じるし、否定的な (negative)感情も感じるということの理解である (Sarrni、1999; Saarni、 Campos、 Camras、 &Witherington、2006)。そのような多重な感情を含め、自身の感情経 験に気づくことは、適切な感情調整を行うことの前提として不可欠なことである。そのように感情調 整にとって必要不可欠な、自身の感情経験の理解の発達について、感情経験についての語りを通し て、検討することにする。 多重な感情の理解の発達については、その検討が始められた当初 (Harter

&

Buddin、1987)は、 10、11歳以降に可能となると言われていた。 Harter& Buddin (1987)は、インタビューにおいて、 ポジテイブな感情とネガティブな感情が同時に生じるような出来事を産出させるという課題を用い た。具体的には、まず、ポジテイブな感情を表す顔写真3枚とネガティブな感情を表す顔写真4枚と を子どもに提示した。そして、その7枚を、「よい感情 (goodfeeling)と悪い感情 (badfeeling)

J

に分類させた。次に、「同時に (atthe same time)もちうると考えられる2つの感情」を選ばせた。 さらに、それらが同時に起きるような出来事を産出させた。その結果、うれしい気持ちと悲しい気持 ちといった多重な感情が生じる出来事(例えば、「クリスマスに自転車をもらってうれしかったけれ ど、欲しかったのは七速のものだったのに、もらったのは三速だ、ったから悲しかったJ) を産出でき たのは、 10、11歳の人達であった。そこでは多重な感情について、 10歳未満の子どもは理解していな いと結論づけられた。 しかしながらその後、多重な感情が生じる出来事を産出させるのではなく、物語を提示して登場人 物の感情について説明させるという方法を用いると、幼児であっても、理解している可能性が見出さ れてきている。すなわち、物語の登場人物が多重な感情(例えば、雨がふって動物園に行けなくなっ たことは悲しいけど、かわりに水族館に行けたのはうれしい)を経験していることについて、促し質 問などの手がかりを提供すれば、幼児期の終わりごろには理解し始めることが示唆されている(久 保、 2004)。ただし、それは架空の状況と人物についての理解であり、幼児自身の感情経験について 尋ねたものではない。はたして幼児は自分自身の多重な感情経験について語ることができるのであろ うか。幼児は実際の生活のなかで、多重な感情を経験し、それを語ることはあるのだろうか。 そのような問題意識をも携えて、園生活を参与観察していると、運動会、歌や劇などの発表会と

(4)

いった行事のあとに、それを思い出して描闘をしているときなどに、子どもが先生に「大変だ、ったけ ど、おもしろかった」とか「緊張したけど、楽しかった」とかと話している姿を見聞きすることが少 なからずあった。運動会、歌や劇などの発表会といった行事では、一定期間、練習に励み、当日は保 護者などの観客の前で発表することとなる。保育心理学(鯨岡・鯨岡;

2

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0

4

)

においては、発表会等 の行事は、「個と集団のせめぎあい」のある場であり、「ひとりひとりを大切に」ということと「みん な一緒に

J

ということとが、対立し葛藤を起こしうる場であると捉えられている。そのような園の行 事は、子どもが多重な感情を経験しやすい機会のひとつではなかろうか。本研究では、発表会行事の 経験について尋ねることによって、幼児が自分の感情経験をどのように語るのかについて検討するこ とにする。 研究

1

問題と目的 幼児の所属国における、発表会行事の経験について尋ねる。それによって、幼児が園生活における 自己の感情経験をどのように語るのかについて検討する材料を得ることとする。分析の観点は、次の 3点である。(1)幼児は、闘生活における自己の感情経験について語るかのどうか、(2 )幼児は、 多重な感情経験を語るのかどうか、 (3)年齢による違いはあるのか、あるとしたらどのような違い か。 方法 1 )協力者 首都閣にある幼稚園年少組児

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名(男児

1

0

名、女児

1

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名、平均年齢;

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カ月、範囲;

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1

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カ 月 ~4 歳 10 カ月)、年中組児20名(男児 10名、女児 10名、平均年齢;

5

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カ月、範囲;

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カ月 ~5 歳 10 カ月)、年長組児20名(男児 10名、女児 10名、平均年齢;

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カ 月

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カ月)、合計

6

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名。 2) 手続き 歌や劇などの発表行事の終了後、

3

週間以内に、園の一室で、筆者と

1

1

のインタビューを実施 した。それは、感情についての認識の発達を捉えるプロジェクトの一環としておこなったインタ ビューの一部を構成する質問である。予備的な調査によって、“発表会、どうだ、った?"と質問する と、「楽しかった」などと感情経験を答えることの多いことが見出されていた。そのことに基づき、 本調査では、次のような質問をした。 Q 1 :“発表会、どうだ、った?" Q2 :“どんなところが

00

だ、ったのγ' 25

(5)

(例:“どんなところが楽しかったの?"といったように、

Q1

の質問に対して子ど もが答えた感情表現を用いて、理由を尋ねる。)

3

)回答の分類方法 子どもは多重な感情について語ったかどうかを以下のような手続きで分類した。 (1) Q 1とQ2に対する回答を対象として、そこで感情を答えたかどうかを見た。感情 を答えなかった場合には、[感情を答えない]というタイプに分類した。 ( 2 ) 感情を答えていた場合には、次に lつの感情のみを答えたのかどうかを見た。 lつ の感情のみを答えた場合には、[感情を 1つ答える]というタイプに分類した。 ( 3 ) 複数の感情を答えた場合には、その複数の感情が類似したものであったかどうかを 見た。たとえば、「うれしかった」、「楽しかった」という感情は、どちらも喜びの感 情であり、類似の感情であると判断した。そして、類似の感情を複数答えた場合に は、[類似した感情を答える]というタイプに分類した。 (4 ) 複数の感情を答えた場合で、異なる種類の 2つの感情を答えた場合には、[異なる 感情を答える]というタイプに分類した。ここで、感情にはどのような種類があるの かについては、 Malatesta& Wilson (1988)の感情分類を参考にした。 (5 ) 以上の分類は、筆者と、調査結果についての仮説や予想を知らない評定協力者と が、それぞれ独立に行った。分類評定の一致率は86.7%であった。不一致箇所は、討 議をすることにより、不一致を解消することが可能だった。以降の分析には、討議に より一致をみた分類結果を使用した。 なお、今回のインタビューデータにおいては、[類似した感情を答える]に該当した事例は見られ なかったので、以下の分析は、そのタイプを除いた3タイプについて、実施した。 結果 子どもが“発表会、どうだ、った?"と質問されて、どのように感情を答えたのかを、分類した結果 を、年齢組別に、表1に示した。年齢組 (3)x感情の語り方(3 )について、

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2検定をしたとこ ろ、有意な結果が得られた

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1)。年齢組と感情の語り方は、相互に独立で、 あるとは言えないことが見出された。それ 表1 感情の語り方の年齢別人数 [単位:人] 感情を 感情を1つ 異なる感情 計 答えない 答える を答える 年少組児 3 17

20 年中組児

20

20 年長組児

16 4 20 計 3 53 4 60 では、年齢組と感情の語り方の問には、ど のような関連が見られるのだろうか。次 に、年齢組ごとに、感情の語り方について 検討する。 1 )年少組児 年少組児では、“発表会、どうだ、った?" と質問されて、[感情を答えない]ことが

(6)

あった (20名中3名;15%)。ほかの年齢の子どもたちでは、[感情を答えない}ことは見られなかっ た。年少組児の[感情を答えない]子どもたちについて、調整された残差を求めたところ、 5 %水準 で、有意に多かった。年少組児の[感情を答えない]子どもの人数は、有意に多いと言えるO 年少組児の[感情を答えない]というタイプの回答のやりとりの例は以下のようであった。 インタビ‘ュ一事例1 年少組児のやりとり例 なお、括弧のなかは、インタビューア}の 質問内容を表している。 (発表会、どうだ、ったり ゃれた。 (発表会で、どんな気持ちがしたかなり ゃれた。 「ゃれた」という表現には、発表会についての達成感のようなものが暗示されるが、感情は直接に は明示されていないと考えられる。そこで、直接に「どんな気持ちがしたかな?

J

と感情について尋 ねたが、答えは変わらなかった。 一方、年少組児で最も多かった回答は、感情語を

1

つ答えること([感情を

I

つ答える])で、あった (20名中17名;85%)。答えられた感情の種類を見てみると、「楽しかった

JI

うれしかった

J

といった ように、すべて喜びの感情語であった。年少組児の回答は、[感情を答えない]というタイプあるい は【感情を1つ答える]というタイプであり、[異なる感情を答える]というタイフ。は皆無だ、った。 年少組児の[感情をIつ答える!というタイプの回答のやりとりの例は以下のようであった。 インタビュー事例2 年少組児のやりとり例 (発表会、どうだ、った?) うれしかった。 (どんなところカ,? ) わかんない。 事例2では、発表会について、「うれしかった」という喜びの感情語が語られたが、しかし、その 感情の理由については、説明することができなかった。年少組児では、このように感情語を答えたも のの、その感情の理由を説明できなかった事例が5名で見られた。一方、年中組児では、感情語を答 えて、その感情の理由を説明できなかった事例は I名のみであり、年長組児では皆無であった。そこ から、感情語を答えたものの、その感情の理由を説明できないというあり方が少なからず見られるこ とが、年少組児の特徴のひとつであると考えられる。 27

(7)

2 )年中組児 年中組児では、

2

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名中

2

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名全員が、“発表会、どうだった?"と質問されて、感情語を

1

つ答えた ([感情を

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つ答える])。年中組児の[感情を

1

つ答える]子どもたちについて、調整された残差を求 めたところ、有意に多かった。年中組児の[感情をlつ答える]子どもの人数は、有意に多いと言え る。 年中組児の[感情を lつ答える]というタイプの回答のやりとりの例は以下のようであった。 インタビュー事例3 年中組児のやりとり例 (発表会、どうだったり 楽しかった。 (どんなところが楽しかったの?) 全部。 発表会について、「楽しかった」という喜びの感情語が語られた。年中組児では、この事例に見ら れるように、「楽しかった」とか「うれしかった」という喜びに属する感情語が全員において、語ら れた

(

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名中

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名;

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)

。そこからは、“発表会、どうだ、った?"と尋ねられて、「楽しかった」と 答えるという形は、年少組においてもかなり作られているが、さらに年中組においてそれは完成する と考えられる。 また、上記の事例では、感情の理由としては、「全部」という答えが出された。年中組児では、 l 名を除き

1

9

名までが、感情の理由を答えることができていた。そこからは、“発表会、どうだ、った?" と尋ねられて、「楽しかった」と答え、“どんなところが楽しかったの?"と重ねて尋ねられて、何か を答えるという形は、年中組においでほぼ完成すると考えられる。 ただし、感情の理由の説明として、「全部」という答えは、感情の理由の説明としては大変おおま かであると考えられる。また、どのような感情経験状況に対しでも、使うことのできる大変に便利な 表現であるとも言える。このような「全部」といった、感情の理由の説明をした事例は、年中組児に おいて3名見られた。複数の子どもたちで見られたことからは、行事で経験される感情の理由の説明 として、「全部」とすることが、そのようなやりとりにおける一般的な形として、子どもたちに利用 されているのではないかと思われる。 別の年中組児の[感情をlつ答える]というタイプの回答のやりとり例は以下のようであった。 インタビュー事例

4

年中組児のやりとり例 (発表会、どうだ、った?) 楽しかった。 (どんなところが楽しかったの?)

(8)

おじいさん

f

支。 発表会について、「楽しかった」という喜びの感情語が語られ、その理由については、「おじいさん 役」という、発表会において子どもが演じた役のことが語られた事例である。このように喜びの感情 の理由としては、行事で子どもがした活動について語られることは、頻繁に見られた (20名中16名)。 このインタビュー事例4は、年中組児の典型例であると言える。 3)年長組児 年長組児では、“発表会、どうだ、った?"と質問されて、感情語を 1つ 答 え た ([感情を 1つ答え る])子どもは、 20名中16名 (80%)いた。さらに、年長組児では、“発表会、どうだ、った?"と質問 されて、複数の感情を答える([異なる感情を答える])子どもが見出された (20名中4名;20%)。 ほかの年齢の子どもたちでは、[異なる感情を答える]ことは見られなかった。年長組児の[異なる 感情を答える}子どもたちについて、調整された残差を求めたところ、有意に多かった。年長組児の [異なる感情を答える]子どもの人数は、有意に多いと言える。 年長組児の[異なる感情を答える]というタイプの回答のやりとりの例は以下のようであった。 インタビ、ュ一事例

5

年長組児のやりとり例 (発表会、どうだったり 楽しかった。だけど、ちょっと緊張した。 (どうして、楽しかったけど、ちょっと緊張したの?) 歌ったり、とか。 事例

5

では、“発表会、どうだ、った?"と質問されて、「楽しかった。だけど、ちょっと緊張した

J

と答えた。 Malatesta& Wilson(1988)の感情分類によると、「楽しかった」は、 ijoyJ に該当すると 考えられる。一方、「ちょっと緊張した」は、 ijoyJ には該当せず、喚起水準の高まった心的状態に 該当する感情語であり、異なる種類の感情を答えたこととなった。そのような異なる種類の感情の理 由を尋ねたところ、「歌ったり、とか」と答えた。 「歌う」という活動中に、「楽しかった。だけど、ちょっと緊張した」といった、多重な感情を経験 したことが語られた。 また、別の年長組児の[異なる感情を答える]というタイプの回答のやりとりの例は以下のようで あった。 インタビ、ユ一事例6 年長組児のやりとり例 (発表会、どうだった?) 楽しかった。恥ずかしかった。 29

(9)

(楽しかったのはどんなところ?) 合奏。 (恥ずかしかったのは?) 間違えたから。 事例6では、“発表会、どうだ、った?"と質問されて、「楽しかった。恥ずかしかった

J

と答えた。 Malatesta & Wilson (1988)の感情分類によると、「楽しかった」は、 ijoyJに該当し、「恥ずかし かった」は、 ishame / shynessJに該当する感情語であり、異なる種類の感情を答えたこととなっ た。それぞれの感情の理由を尋ねたところ、楽しかったのは、「合奏」であり、恥ずかしかったの は、「間違えたから」であり、感情の理由としてもっともなことが語られていた。「合奏

J

というの は、感情の理由としてこれまで頻出してきた、行事で子どもがした活動の一例であると位置づけられ る。一方、「間違えたから」というのは、行事で子どもがした活動そのものではなく、自分の活動に 対して下した評価のことではないかと考えられる。ひとつの行事の経験に対して、異なる種類の感情 が語られることの背景には、行事という出来事を主た、ったlつの側面からのみ捉えるのではなく、ふ り返って評価するといった、別の視点から捉え直すということがあるのかもしれない。 考察 最年少の年少組児であってもほとんどの子ども (85%) が、“発表会、どうだ、った?"との質問に 「楽しかった」といった感情語を1つ答えることができた。園の行事で経験した感情については、単 一のものならば、年少組の終わりには語ることができることが窺える。そしてそれは、園の行事経験 について語る際に使用される、一種の〈語り方〉となっているのかもしれないと考えられる。そのよ うな一種の〈語り方〉は、年少組の終わりにはすでに使用されている可能性が窺える。 その可能性について検討する手がかりを得るために、試みに予備的なインタビューにおいて、別の 行事について同様の質問をしてみた。“運動会、どうだ、った?"と尋ねてみたのである。するとやは り「楽しかった」とか「うれしかった」とか、喜びの感情語を 1つ答えることが多く見られた。発表 会のみならず、運動会という園の別の行事について、“どうだ、った?"と尋ねられると、「楽しかっ た」と答えるということが多く見られた。そこからは、そのやりとりが、園の行事経験について語る 際によく使用される、一種の(語り方〉となっている可能性が推測される。 しかし“発表会、どうだ、った?"との質問に、「楽しかった。だけど、緊張した」といった異なる 感情を答えることは、年長組においてのみ見られ、しかも少数 (20%) にとどまった。闘の行事で経 験した感情について、異なる多重な感情が語られることは、年長組において少しずつ可能になってい くことなのかもしれない。多重な感情の発達を検討した研究 (Brown& Dunn、1996)においても、 多重な感情を自発的に語ることは幼児には容易ではないことが見出され、それは、本研究と軌をーに する結果である。

(10)

では、多重な感情を自発的に語ることはなぜ容易ではないのだろうか。 年少組児と年中組児の回答の分析からは、“発表会、どうだ、った?..との質問に「楽しかった」と 答えるというやりとりは、園の行事経験について語る際に使用される、一種の〈語り方〉となってい る可能性を考えた。もしもそうであるならば、“発表会、どうだ、った?..との質問に「楽しかった。 だけど、緊張した」と答えることは、その語り方を乱すものであるとも考えられる。幼児期において は、“発表会、どうだ、った?..との質問に「楽しかった」と答えるといった一種の〈語り方〉がよく 使用されているがためにかえって、その語り方を乱すものは抑制されるということがあるのかもしれ ない。 もしもそうであるならば、異なる多重な感情について語ることを支援するような、別の(語り方〉 を提供することが有効であるかもしれない。多重な感情の発達を検討した研究

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からは、幼児期においては、語り方の手がかり を提供することが有効な場合もあることが示唆されている。 そこで、語り方の手がかりを提供して、発表会行事の経験について尋ねることにする。 研究

2

問題と目的 研究2では、所属国における発表会行事の経験について、語り方の手がかりを提供して、尋ねるこ とによって、幼児が自分の感情経験をどのように語るのかを検討することにする。分析の観点は、次 の3点である;①幼児は自分の多重な感情経験を語るか、②促し質問などの手がかりを提供すると語 るか、③年齢による違いはあるか、あるとしたらどのようなものか。 方法 1 )協力者;首都圏にある幼稚園年少組児

2

0

名(男児10名、女児10名、平均年齢;4歳 5カ月、範 囲;3 歳 11 カ月 ~4 歳 10 カ月)、年中組児21 名(男児 14名、女児 7 名、平均年齢; 5歳5カ月、範 囲;4 歳 11 カ月 ~5 歳 10 カ月)、年長組児 29名(男児 17名、女児 12名、平均年齢;

6

5

カ月、範 囲;5 歳 11 カ月 ~6 歳 10 カ月)、合計70名。

2

)手続き 歌や劇などの発表行事の終了後

2

週間以内に、筆者と

I

1

のインタビューを実施し、次のような 質問をした。 Q 1 :“発表会、どうだった?.. Q2 :“どんなところが

000

(子どもが答えた感情語)かったの?.、. Q3・“ほかには、どんな気持ちがしたかな?.. 31

(11)

3)回答の分類方法 研究lに準じた。 結果 ( 1) Q 1と Q2に対する回答を対象として、そこで感情を答えたかどうかを見た。感情 を答えなかった場合には、[感情を答えない]というタイプに分類した。 ( 2 ) 感情を答えていた場合には、次に1つの感情のみを答えたのかどうかを見た。 1つ の感情のみを答えた場合には、[感情を1つ答える]というタイプに分類した。 ( 3 ) 複数の感情を答えた場合には、その複数の感情が類似したものであったかどうかを 見た。たとえば、「うれしかった」、「楽しかった」という感情は、どちらも喜びの感 情であり、類似の感情であると判断した。そして、類似の感情を複数答えた場合に は、[類似した感情を答える]というタイプに分類した。 (4 ) 複数の感情を答えた場合で、異なる種類の 2つの感情を答えた場合には、[異なる 感情を答える]というタイプに分類した。ここで、感情にはどのような種類があるの かについては、 Malatesta& Wilson (1988)の感情分類を参考にした。 (5 ) 以上の分類は、筆者と、調査結果についての仮説や予想を知らない評定協力者と が、それぞれ独立に行った。分類評定の一致率は84.3%であった。不一致箇所は、討 議をすることにより、不一致を解消することが可能だ、った。以降の分析には、討議に より一致をみた分類結果を使用した。 子どもが“発表会、どうだ、った?"と質問されて、“ほかには、どんな気持ちがしたかなγ'とい う手がかり質問もされた場合に、どのように感情を答えたのかを、分類した結果を、年齢組別に、表 2に示した。年齢組 (3) x感情の語り方(4) について、 X2検定をしたところ、有意な結果が得 られた (x2 (6)

=

21.04、 ρ<.05)。年齢組と感情の語り方は、相互に独立であるとは言えないこ とが見出された。それでは、年齢組と感情の語り方の聞には、どのような関連が見られるのだろう か。次に、年齢組ごとに、感情の語り方について検討する。 表2 感情の語り方の年齢別人数 [単位;人] 年齢 感情を 感情を 類似した 異なる感情を 計 答えない 1つ答える 感情を答える 答える 年少組児 2 15 3

20 年中組児

10 7 4 21 年長組児

13 3 13 29 計 2 38 13 17 70

(12)

1 )年少組児 年少組児は、“おさらい会、どうだ、った?"と質問されて、「楽しかったj といった喜びの感情を I つ答えることが多かった (20名中15名;75%)。“ほかには、どんな気持ちがしたかな?"と促し質問 をされても、「うれしかった」など類似した感情を答えた子どもが15% (20名中3名)いたのみで、 異なる感情を答えた子どもは皆無だ、った。 年少組児の[感情を1つ答える]というタイプの回答のやりとりの例は、以下のようであった。 インタビ‘ュ一事例7 年少組児のやりとり例(促し質問あり) (発表会、どうだ、った?) 楽しかった。 (楽しかったの。どんなところが楽しかったの?) 最後の歌のところ。 (楽しかった気持ちのほかには、どんな気持ちがしたかなり わかんない。 2)年中組児 年中組児では、 lつの感情しか答えられなかった子どもは約半数 (21名中10名)にとどまり、“ほ かには、どんな気持ちがしたかな?"と促し質問をされると、過半数は二つ目の感情を答えた。ただ しそれは類似した感情 (21名中7名;33%)であり、異なる感情を答えた子どもは19% (21名中4 名)のみであった(表3、表4を参照のこと)。 インタビュー事例8 年中組児のやりとり例(促し質問あり) (発表会、どうだ、った?) 楽しかった。劇ゃったところ。 (楽しかったの。楽しかった気持ちのほかには、どんな気持ちがしたかなり うれしい気持ち。 (どんなところが、うれしい気持ちがしたのかなり

00

をやっつけるところ。 3)年長組児 年長組児でも、 1つの感情しか答えられなかった子どもは依然として45% (29名中13名)いたが、 異なる感情を答えた子どもも45% (29名中13名)にのぼった。しかもそのうちの半数は、促し質問な しで自分から、「ちょっとドキドキしたけど、すっごくおもしろかった」といったように多重な感情 を語った(表 2~ 表 4 を参照のこと)。 33

(13)

表3 類似した感情を自発的に答えた子ども・ 促し質問によって答えた子どもの人数 [単位,人] 自発的 促し質問 計 による 年少組児

3 3 年中組児 1 6 7 年長紐児 l 2 3 言十 2 11 13 促 ] 人 4 U ・ ' ど 数 位 子 人 単 た の [ え も 答 ど に 子 的 た 発 え 自 答 を て 情 つ 感 よ る に な 問 異 質 lu 凋 斗 表 自発的 促し質問 計 による 年少組児

。 。 。

年中組児

4 4 年長組児 6 7 13 計 6 11 17 インタビ‘ュ一事例9 年長組児のやりとり例(促し質問あり) (発表会、どうだ、った?) おもしろかった。 (おもしろかったの。どんなところがおもしろかったの?) 全部。 (おもしろかった気持ちのほかには、どんな気持ちがしたかなり ちょっとどきどき。 (どんなところがどきどきしたの?)

0000

、踊るとき、緊張してた。熱が出たの。 考察 研究2においては、 Iつの感情のみを答えただけの子どもに、「ほかにはどんな気持ちがしたか な?

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という促し質問をした。すると、年少組児においては、類似した感情を答える子どもが15% (20名中 3名)見られた。それは、少ない人数・割合ではあるが、「ほかにはどんな気持ちがしたか な?

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という促し質問をしなかった場合(研究1)には、類似した感情を答えた子どもが皆無で、あっ たことを考えると、促し質問が年少児に対しである程度の効力をもった可能性が覗える。 年中組児においては、「ほかにはどんな気持ちがしたかな?

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という促し質問によって、類似した 感情を答えた子どもは、 29% (21名中 6名)にのぼった。促し質問なしで自発的に、類似した感情を 答えた年中組児は、 1名のみであったこと、ならびに、促し質問なしの研究lでは、類似した感情を 答えた年中組児は、皆無で、あったことを考え合わせると、年中組においては、類似した感情を語る上 で、促し質問が一定の効力をもったと考えられる。 また、年中組児においては、「ほかにはどんな気持ちがしたかな?

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という促し質問によって初め て、異なる感情を答えた子どもが19% (21名中 4名)であった。それは、少ない人数・割合ではある が、促し質問なしで自発的に、異なる感情を答えた年中組児は皆無であった(研究1においても皆無 であった)ことから、年中組においては、異なる感情を語る上で、促し質問がある程度の効力をもっ

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たと考えられる。 年長組児においては、促し質問なしで自発的に、異なる感情を答えた子どもが21% (29名中 6名) いた。これは、同じく促し質問なしであった研究Iの結果 (20%; 20名中4名)と一貫するものであ る。年長児においては、促し質問なしで自発的に、異なる感情を語ることのできる子ども達が一定程 度いることが覗える。 一方、年長組児においては、「ほかにはどんな気持ちがしたかな?

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という促し質問によって初め て、異なる感情を答えた子どもが24% (29名中7名)にのぼった。年長児においては、異なる感情を 語る上で、促し質問が一定の効力をもったと考えられる。 総合的考察 年少組児においてもほとんどの子どもが、“発表会、どうだ、った?"との質問に「楽しかったj と いったように答えた。そこから、園の行事における感情経験について語ることには、一種の〈語り 方〉があり、単一の感情を語る(語り方〉については、年少組児ですでに使用されているのではなか ろうか。 一方、“発表会、どうだ、った?"との質問のみに対して「楽しかった」のみではなく、「緊張した」 とか「どきどきした」といった、異なる感情を答えるということは、少数の年長組児のみが可能だ、っ た。“発表会、どうだ、った?"との質問に対して、異なる感情を答えるという〈語り方〉は、就学前 期には、まだ一般的には使用されていない可能性が覗える。 そこで、研究2において、「ほかにはどんな気持ちがしたかな?

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という促し質問を加えて尋ねて みた。その結果、年少組児においては、促し質問が提供されても異なる感情を答えることは見られな かった一方で、年中組児においては、促し質問が提供されたことによって初めて、異なる感情を答え た子どもが見られた。年長組児においては、促し質問が提供されたことによって、異なる感情を答え る子どもの人数が増えた。 そこからは、年中・年長組児においては、〈語り方〉の手がかりが提供されることによって、園の 行事における感情経験について、異なる感情を語るということがしやすくなる可能性のあることが示 唆される。 適切な〈語り方〉の手がかりが提供されることによって、子どもが感情経験について、より複雑か っ高度に語れるようになるということは、子どもがおとなと語りを共同構成すること (Bruner、 1990 ; Fivush & Kuebli、1997市1iller、1994; Fivush、Habermas、Waters、&Zam油、 2011) の 1例 と位置付けることができるかもしれない。そこでは、子どもが自身の過去の感情経験を養育者などの おとなと語ることを通して、子どもの感情が社会化されていくと考えられる。そして同時に、過去の 自身の経験についておとなと語ることを通して、子どもの歴史的自己 (Neisser、1994;1997) が構築

(15)

されていくと考えられる。 本研究では、園のひとつの行事における感情経験を語ることの発達を検討してきたが、それは、語 ることを通して感情が社会化され自己が構築されていく発達の基礎にあるプロセスを素描する試みで あると位置づけることができる。発達のプロセスをより詳細に捉えるためには、本研究のような横断 研究のみならず、縦断的な研究をすることが必要であろう。それによって、発達の経路の多様性につ いても検討するための手がかりを得ることができるであろう。また、語ることを通して感情が社会化 され自己が構築されていくことは、おとなになってからも生涯かけて続くプロセスであると思われ る。他者と語ることを通しての自己の発達を、おとなの発達という視点から捉え直すこと (Fivushet a,.l2011) も今後の課題である。 付記 本研究の一部は、日本発達心理学会第四回大会 (2008年3月19日)ならびに東洋大学21世紀ヒュー マン・インタラクション・リサーチ・センター研究年報 (2008:vol.5 )において、発表された。本研 究の分析の一部に、平成25年度日本学術振興会科学研究費補助金(研究代表者:久保ゆかり、基盤C 課題番号23530868)の助成を受けた。 引用文献

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表 3 類似した感情を自発的に答えた子ども・ 促し質問によって答えた子どもの人数 [単位,人] 自発的 促し質問 による 計 年少組児 。 3  3  年中組児 1  6  7  年長紐児 l  2  3  言 十 2  1 1  1 3  促]人4U・ 'ど数位子人単たの[えも答どに子的た発え自答をて情つ感よるにな問異lu 質凋斗表自発的促し質問による計年少組児。 。 。年中組児。4 4 年長組児6 7 13 計6 11 17  インタビ ュ一事例 9 年長組児のやりとり例(促し質問あり) (発表会、どう

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