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確認の訴えの補充性――最高裁平成23年6月3日判決を素材として

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(1)

確認の訴えの補充性――最高裁平成23年6月3日判決

を素材として

著者

今津 綾子

雑誌名

東北ローレビュー

1

ページ

131-142

発行年

2014-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10097/00127032

(2)

割 削E

U

需圏

確認の訴えの補充性

一一最高裁平成2

3

6

3

日判決を素材として

東北大 学 法 学 部 准 教 授 今 津

綾子

I

はじめに

I はじめに

E

松高裁平成2

3

6

)

1

3

日判決 l 事 案 2 半JI 旨 皿 検 討 l 石石硲1在(,~認の;訴訴えの利4裕在 (汀r~碓{可佐f在Lはi認Eの利主祈益存在:J 2 "2本ド判決にみる4雌

1

官I{i(仁:認の利益の判断 3 確認の訴えの「補充性

J

W む す び 本稿では、最ll.5抗手成2

3

6

3

I

J

!

I

・lJ

i

犬1)の事案とそこで示されたM:高裁 判所の判断を手がかりとして、講学上いわゆる確認の訴えの補充性という概 念の立義を考えてみたい。

I

1) iu判干成23・6-3下1]1時21238"41頁, 131

(3)

E

最高裁平成

2

3

6

3

日判決

1

事 案

最高裁平成23年 6月 3日判決(以下「本判決」という)の事案は、 土地を 時効取得したと主張する宗教法人

X

が、国

Yに対し、

X

が本件土地の所有権 を有することの確認を求めるものである。 原容の適法に Tí{l~ 定した事実関係の概要は、次のとおりである。 (1 ) 本件土地は、明治

4

年に官有地に区分され、次いで明治

7

年に官有地 第三種に区分された墳墓地であるが、その後明治8年に民有地に編入さ れた。 (2) 本件土地については、登記記録は作成されているが、表題部所有者の 登記も所有権の登記もない。 (3) Xは、法人格を取得した昭和30年5月26日から20年間本件土地を占有 したことによりこれを時効取得したと主張して、

Y

に対し、平成1

9

年1

2

月14

:

1

1送達の本件訴状により、取待時効を援用する旨の意思表示をし た。 第一審は Xの詰求を認容したが、原審は訴えを去11下した。Xは、舵認の利 益を認めなかった原審の判断に法令解釈の誤りがあると主張して上告受理申 立てをした。

2

判 旨

本判決は、次のように述べて

X

の上告を棄却した。

iY

は、本件土地がYの 所有に属していないことを自認している上、前記事実関係によれば、 Yは、 本件土地が明治8年7月8日地租改正事務局議定「地所処分仮規則」に従い 民有地に編入されたことにより、 X が主張する取得 l時効の起t~:点よりも前に その所有権を失っていて、登記記録上も本件土地の表題古¥1所有者で‘も所有権 の登記名義人でもないというのであるから、本件土地の従前の所有者が不明 132

(4)

であるとしても、民有地であることは変わらないのであって、

X

Y

に対し てXが本件土地の所有権を有することの確認を求める利益があるとは認めら れなし、。 所論は、本件訴えの確認の利益が認められなければ、

X

がその所有名義を 取得する手段がないという。しかし、表題部所有者の登記も所有権の登記も なく、所有者が不明な土地を時効取得した者は、自己が当該土地を l時効取得 したことを証する情報等を登記所に提供して自己を表題部所有者とする登記 の申請をし (不動産登記法18条、 27条3号、不動産登記令3条13号、日J表I 4項)、 その表示に閲する登記を得た上で、当該土地につき保存登記の巾訪をするこ とができるのである(不動産登記法74条1項 1号、不動産登記令7条 3項 1号)。 本件においては、 Xにおいて上記の手続を尽くしたにもかかわらず本件土地 の所有名義を取得することができなかったなどの事情もうかがわれず、所論 はその前提を欠くものというべきである。 そうすると、本件訴えは雌認の利読を欠き不適法であるといわざるを得ない。」

国 検 討

1

確認の訴えの利益(,確認の利益

J

)

確認の訴えにおいてなにを旅認の対象に据えるかは、さしあたり訴えを提 起する原告の判断にかかっており、理論的には対象とすることのできる事柄 に制約はない。しかし、原告の提示する確認対象についてそのすべてを取り 上げることは実際上不可能であり、またその必要もないから、受訴裁判所は 判決による解決を与えるために取り上げるべきものとそうでないものとをJ辰 り分けなければならない。この振分けに│捺して用いられる基準が、 Ti(fi認の訴 えの利説 (以下「線認の利益」という)である。 確認の訴えは、

r

f!1l時確定の利益がある場合、換言すれば、現に、原告の有 する権利または法律的地位に危険または不安が存在し、これを除去するため 被告に対し雌認判決を得ることが必要かっ適切な場合に限り、許されるもの TIli芯の訴えのfili光性 (今ilt綾子) 133

(5)

である

J

2)から、上記の振分けの基準としての確認の利推は 「即時確定の利 益」といいかえることができる。 もっとも、このままでは基準としての明確性に乏しいため、具体的な場面 で「叩H判i(li定の利論

J

の有無を考えるに際しては、一般に、以下の3つの観 点からの検討が施される 3)。 ① 対象選択の適否 現在の純利または法律関係の積極的確認を求めるのでなければならな

② 方法選択の迎有 他の法的手段ではなく確認の訴えを選択するのが適切であることを要 する。 ③

H

I

Ji時磁定の現実的必要の有無 原作の法的地位に不安が現存し、これを解消するために雌認判決を得 ることが有効かつ適切であることを要する。 これらの観点は、一応それぞれが別例のものとして、いずれか

1

つでも欠 けば確認の利俗は再定されるという形で機能する4)。もっとも、これらはあ くまで

H

体的'ji.

n

.

において「即時確定の利益」のイ

J

似を判断するのを容易に するための辺共立てであるから、それ自体絶対のものではない5)。 2) 批判1I(l利30・12・2唱民集 9 巻 14 号2082μ。 なお、上~)Jr ,~~1訟法にf,(I\il!i.のflH~ に ~J'lえする条文 l立礼あたらないが、 l止法ドイツ i去には「怖平IJ 関係又は ;~IE~l:のJ'!iE.l',:しくはイ'r'i正を裁判iYの l北判によってl!J)1I与に確定することにつきIJ;(告が法律上の利鈴をイiするとき」に隊2.の訴えを !ll起できる行の脱;じがある(ドイツ民事訴訟法256~1刻)。 3) 小野山一日11=松IIIi事者=鈴木正裕編 『新民事必訟法点義〔第2)仮llfiJf21仮JJ1刊訂[(福永イi 利

J

(イi 受|刷、 2∞8~1二)。 4) 三本i~iーほか 『民事~;泳法j お8貞〔垣内秀介J イ(i斐IMI、2013年)。 5) 山くはil(t訟の対象が単なる'Jr突ではないことや現伝のものであることなど小の制収が決定 的なUiiylとして機能していたようであるが、現。:の判例.';:;.,混においては本文のような理解 がー般的である(そもそもある、J~t.'lを①とφのいずれの制点培、ら)5'泌すべきか判然としない 助合もある。例として、迂id'無効確認の訴えにおいて、 jit,j !i'がJ2知椛による心神史失の常 況にあること。 Jl~判平成 11 ・6・11 判l時I侃5 号'36nについての作汗釈参11(0。 これは、町f 認の ヰJI滋に係る判断の紬14がpll・認対象それ肉体の耳l{:11'tからli(Ii;!2.の訴えを通じて解決すべき紛争 の.fJl.イ1.01'1へと移ってきたものとも司令されており、そこでは,iNボの外形にとらわれないより実 質的な)5.t~が変~;R される。 134

(6)

2

本判決にみる確認の利益の判断

最 高

1

裁久は石 点である。 第1に、 Yは本件土地が自己の所有に属していないことを自認しているう え、事実関係によれば取得時効の起算点における所有者、登記簿上の表題部 所有者、所有権登記名義人のいずれにもあたらないという点610 これは、訴えの利益を否定する方向に働く事情であって、 1にみた3つの 観点のうち③に関連するものである。一般論として、自己のi権利を否認する 者に対して権利の確認を求める訴えにおいて③にいう現実的必要が認められ るのは、「被告が当該権利が自己に帰属する旨主張することによるとこれを 第三者の権利である旨主張することによるとを問わず、被告において原告の 権利を否認する結果、原告の椛利者としての地位に危険、不安定等なんらか の不利識を及ぼす成が現に存在する場合」であるが71、上記第

1

の点にいう Yが自己の所有でないと自認している等の事情にかんがみれば、本件ではX の法的地位に不利益を及ぼすおそれが現に存在するとはいえないというのが 自然な考え方であると思われる81。 第2に、Xには本件訴え以外にも登記名義を取得し得る手段があるという 6) 後二者については登記簿の記載をみればこれらにあたらないことは容劫に石ー取し作るが、 iiif者の所イ[者ーであるかどうかという点についてはいかなる恨拠でこのような判断に至ってい るものかが必ずしもはっきりしない。原判決は、 'ff有地区分の!疋史的経過と本f'l土地に│刻す る111土地台阪の記載から 「過去において所作者が存{tしていたことが推認、される民有地で あ」って民法239条2 mにいう 「所有者のない不動産」にあたらず、同JI[の効果を導くことは できない、したがってY は本科土地の所有名でない、と結晶するようであるが、このような 判断には疑問lの余地もある (所有者側に$日械がない以上fE記簿の花械は手がかりとならない にもかかわらず所有者が「推認」されるのであろうか。従前の例によれば、民法のよJ己規定 の適JI1を否定する場合にはiI江主の存在や所有怖の移転経過等を似極的に認、定する扱いである という。上日!竹志「判批Jリマークス45号104頁 (2012年))。 7) 紋判11日利35・3.11民MH4巻3号41SJr。 8) 判l時2123J'NHi

.

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'

J

135494なお、控訴脊判決は「俊訴人は木f!1土地の所有者では なく、控訴人自らも本件土地が同布地であることを否定しているから、控訴人と被然;訴人と のIHJに本f'l:ti也の所有織をめぐる紛争は{+犯せず、これをl!IJ時路定する必要は認められないj としており、観点③を否定する魁旨であることがより明確になっている。 確認の,訴えの補充↑t(今s位 綾子) 135

(7)

占。 これも同じく確認の利益を否定する方向に働く事情であるが、今度は②の 観点に関連する。すなわち、 ②は他にとりうる手段がある│浪り確認の利益を 認めないことをいうものであるところ、反対に「手続を尽くしたにもかかわ らず本件土地の所有名義を取得することができなかったなどの事情」があれ ば訴えの適法性を肯定することも考えられないではないへもっとも、本件 Xについてその種の事情はうかがえず、やはり確認の利話は認められない、 というのである。 この2点の関係であるが、第1の点に閲する iXがYに対してXが本件土 地の所有権を有することの確認を求める利益があるとは認められない」との 表現をみる限り、この理由をもってすでに本件訴えが確認の利益を欠くこと は基礎づけられるのであって第2の迎l主lはXの上告受:盟申立理由に応えるた めの傍論的判示にすぎないものとも解し得る。 しかし、確認の訴えにおいて被告とされた者が原告の法的地位を争わず、 その意味で原告の法的地位に危険や不安が現存するとは必ずしもいえない場 合であってもなお確認の訴えが認められる余地はあるというのが判例の立場 であることを考えれば101、この第lの理由だけをもってただちに確認の利誰 9) 判 11寺2123号"4rn ・干IJ タ 1354~;"94頁。 10) 本文の場合の代表例として、 戸1tí簿上の記載の抹ìl'í" 訂正を )Jとめるために縦定判決を~す る場合が挙げられる (最判lI(jfn31・6・26民集10'06J,j-748貝、 Jä 大干IJIII:1和32・7・20L~jjm巻 7号1314!'l:。) 後者のいわゆる問符訴訟に│則する大法廷判決は、先に阿利"('jq柱において「被上 告人~.~:が本件訴訟でよMんするような過去の事尖について確認の訴を従起しうることを,認めた 趣旨の規定はない」ことをJljlrJlにIIII[,訟の訴えの提起を討さないものとした判決が存在してい たにもかかわらず (最判昭和24" 12 " 20民 集3巻12サ507頁参!!日)、これを断捜せず、かえっ て「戸籍の訂正をするには戸総ii、116条によって、保定判決を必't!:とすることはあきらかであ るから、被上作人は、少くともこの点において、本市FJìllii~lの'I'IJiJとを求める法律上の利益をの するものというべきであるJ と述べており、もっぱら原告の仰lに合ーする必要のみに ~YiIiする 点で、被告の態度を重視する旧来の判断と J~1jLった追いをみせる。 学E況にはこれを汗して法 的地位の危険・不安定がなくとも 「特別な事情」があれば雌認の利援は内定されるとするも のがあり (rl'野ほか・前拘注3)144頁 〔編永イi手1]))、あるいはまた

r

;

誤った戸籍の干f犯といっ た形で原告の地位に対する不安が存在している」との"見Iy]も可能であるが (三木ほか・前掲 注 4)364頁 〔垣内秀介))、いずれにせよこの判決は、半IJ 例・~(':l況が jよ 5) にいう里II解へと舵を 切る契機となったものと受け止められている (77村徳重「判批」新:ii:"fnJ= i"J札l普充=日係 宏志編 『民事訴訟法判例百選1(新法対応補正l仮)Ji)リ附ジュリ145J 'J"123頁 (1998i

n

m

o

。 136

(8)

を否定し去ることは適当でない。確認の利益を欠くという結論にとってはこ れに続く第

2

の理由もまた、というよりもむしろ第

2

の理由こそが、意味の ある判示とみるべきであろう 111。 以下ではこの第

2

の点に焦点を絞って、本判決・の示す「訴えは確認の利説 を欠き不適法である」との結論の是非を問うこととする 1210

3

確認の訴えの「補充性

(1) 本判決の掲げる理由の第

2

、すなわち登記名義を取得し得る手段とし て本件訴え以外にも表示に関する登記を経て保存登記を申請する方法がある という点については、「一見、表示登記介在型の手続を経ないことが確認訴訟 の補充性に抵触し、方法選択が不適切で、あるかのような判示J131であると読 める。ここでいう 「確認訴訟の補充性」とは他にとり得る手段がないときに はじめて硲認の訴えを用いるべきことの謂いであり、 1でみた

3

つの観点の うち②方法選択の適否を指してこのように表現される 141。 (2) しかし、本判決のこの理由づけを方法選択の適否ないし「補充性」の 問題として説明することには、疑問がある。 一般に方法選択の適否という観点から訴えの利益が否定されるのは

2

つの 11) 川的凶郎「判批」法セ699号144頁 (2013年)も、本文第2の,山に│則する判示に先例性がiE. められることを前提とする。 なお、野村秀敏「宇l)jjtJ民繭145Y~6 号 34頁 (ギJ~笠間、 2012年) は iYの態度によって、 Xの所布般に磁認の利益を認めるに足るほどの危険 不安がもたら されているとは3えない」から「隊認の利必に閲する従来の通況的見解を前提とする限り、本 判決のが1諭はその当然の帰結であるようにも思われる」とするが、ii10)でみたように本判決 以前の通説的見解も 「特別の事情Jを加味する程度の柔軟性は持ちあわせていたのであり、本 判決の結論すなわち訴えの利益なしとの判断に至るにはやはり本文第2の理由が決定的で あったように思われる。 12) X は民法239~拒 211iの適用に間執していたようであるが、同項の適用がなくとも確,誌の手1)必 を基礎づけることはなお可能である。i1:6)で触れたように民法239条2項の適JfIのために当 事者がなにを主政立証すべきかというのは一例の問題であるが、本杭では確認の平IJJ,主をテー マに揃えることとの関係上この│問題には立ち入らず、Jii]JJiの)igfflがなくYは本件上地の所有 権をJIう立場にないことを前提に諭ずる。 13) 上出・前掲i主6)104氏。 14) 'W品川=松本博之=力11藤新太郎編 『基本法コンメンタール民事訴訟法2(第3版追補l仮JJ 17J'.:f(松本│専之J(円本評論材、 2012年)、向僑宏志 『重点誠義民事~;)Jf訟法凶〔第 21仮補訂版)J 365頁 (-i.f斐I刻、 20日年)。 碓Ji辺、の訴えの補充性 (今i:1t紋子) 137

(9)

場合であって、 lつは確認対象が本案の判断の前提

I

lIJ題として判断されるべ き手続問題である場合、もう

1

つは確認対象について給付の訴えができる場 合である。後者の場合15)に確認の利益が否定される級拠としては、執行力を 伴う給付判決を特られる点で紛争解決手段としてよりl立械的である給付の訴 えが可能である以上保認の訴えの利用には謙抑的であるべきこと 16)、あるい は給付の訴えには給付請求権の旅認という要素が包合されていること 17)、が 挙げられる。 これらの似拠に!!自らすと、たとえば、 当事者川に給付

i

f

j

求織が存在するこ との雌認を求める訴えは、紛争解決の実効性という点で催れ、かつ、給付請 求権の存汗の'I'iJ断を内包するものとしての給付の訴えを提起する可能性があ る│以り、訴えの利益を再定されることになる 1へその反師、確認の訴えの劣 位を基礎づけることができるのはあくまで同ーの対象を訴求する給付の訴え との比l肢においてであり、縦認対象と閃辿を訂する (しかし別個の)訪求権 を訴求することができるというだけで確認の利読が何定されるものではな い19)。それゆえ、対象を異にする給付の訴えとの比較、さらにはそれを超え て雌認の訴え以外の手段一般との比較における

1

1

'(1[;1:'

2

.

の訴えの劣位すなわち碓 15) liif

.

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の場介については、当該手がけλjて'Ti{li;恕すればJiり、以!J,]Ifで俄t夜、する,fJ1九千がないことが 似拠とされる。'1'貯ほか・iiiH!,Jit3)143U (制水イI干IJ)。本判決との│則係では千統I/Ij姐である かどうかという,JR,沿はIJIてこないため、本文の叙述は後r,-の給付。の訴えが可能である場合を 念iiJiにおく。 16) -::.:本ほか・liifttli.主4)358以〔垣内秀介入ここでは隊認のみえにおける「紛争解決Jを、給付 ,i,'j;R仰のイF必を日正判))をもって確定することを超えて現実に給付を仰ることまでも合む_ö:l~çで 拠えている。 17) fli'.1-_必布If].¥,:'Jr,JF,iI:i1;(第2版)J87U (il;jlt文化社、ゆ98{1')

18) 給付。i,'!;JWIiに係る硫,IEを求めるi訴えが提起された場合、本文のように,[1:えの.fIJ{主が併定さ れ、イミ巡i.tとして!ll下 さ れ る の が 通 常 で あ る が (なお、 I,J;じことは、形成IhU苅の般i訟を求め る‘[1:えが従起された場合についてもいえる)、一定の場合にはそのやfiの6{(;認の訴えが適法なも のとして係泌することがあり得る。ただし、その場合であっても、 'JH去に被;守から当日主給付 を求める1民訴が提起されれば本.TFについてやはり確認の.fJI俗が併定され、不適法な.TFえとな る。 Iti判‘l'成 16・3 ・ 25民 ~58巻 3 号753どい 19) たとえば、以判lli.f刷ロ9・12-16民 ~8 巻 J2 Q-2158:í{は、所イil'lli確認の,[Fえについて被伶側か ら

r

m

心臓に必ずく物l-.,;Nボ 織 に よ り 給付の訴が,:1'される場合であるから不適法である」との 1:燥 が あったのに対し、裁判所は、「物上;fj求 の 給Hの,Ji:をなすことを仰る場合においても、そ の),~,-þ:たる IHJ 関係につき即時揃定の利益があると認められる似り、これがイf. 1H{I;,認の訴を tl~起することはや'1 ら不適法ではないjとして、給付の訴えを催f,;:に扱うことをしなかった。

1

38

(10)

認の訴えの 「怖充性」 を導くには上記の根拠とは日IJ の~山づけを新たに持ち / 1¥す必要があるが、そのような理由づけを想定することははたして可能であ ろうか20)。強制)Jを伴わない点で紛争解決にとって1111接的であるからその利 川は謙抑的であるべきというのは給付や形成の訴えとの対比において意味を 持つ理山づけであって、同じく強制力を持つことのない訴訟以外の手段との │刻係で利川を控えるべき理由にはならない。むしろ、有'fli認判決に紛争解決の みならずその1[11避・予防という役割を見出すには万策尽きて争いのid終局面 に至る前にこそ利川できなければならず、 他にとり

W

,る手段がないという立 味での!院長お十な布

l

i

充性嬰件を課すのでは隊認判決の有する役l'iJ1が寸分に果たさ れないおそれがある。 すでにlでみたように、確認の訴えを適法ならしめる保認の利益とは具体 的事案に応じて判断されるものとしての 「即H守硲定の利益」であって、それ を支える

3

つの観点はあくまでその判断を符易にするための道具立てでしか ない。そのうち}j法選択の適否という観点には、確認より給付を優先すると いう類型的判断により結論を得られるという立l床で例別共体的判断としての 「即時確定の利説

J

を正面から問題とするよりも符易に他認の利益を存定で きるという機能がある。しかし、給付か雌認かという判断を超えておよそ考 え科る他のあらゆる手段との問の比較ということになれば、

J

~.体的事案にお けるヲ

J

i

'

h

'

i

を肋を請することなしにはいずれの方法がより迎切かという判断はな しえず、「即時保定の利主主」 と別枠で方法選択の迎符という制点を持ち山す実 20) 給付の,~j:えとの比政、いいかえれば訴訟手続の枠内での判決形式相互の役制分~I!を|問題と する

m

!

りにおいでさえ、確認の訴えをつねに劣fii:に扱うことに俄疑的な見解もある (佐 上・ lií/#li I: 17)87目、 Tl~ほか Ili/拘注14)17頁 〔松本博之))。そうであれば、本判決の示峻する ように行政訴ぷ.さらには訴訟以 外の手続までをも比較の対象としたLで「補充性Jをおる ことには、なおさら疑問がある (上回・jji/413i主6)1似

a

も、行政手続を行わないことをもって l()J~訴ぷにおける主n先住が低定されるかは疑 111) であるとする) なお、1'J)例には「他により適 切な訴えによってその日(19を述成することができる均合には.。自:,ltの1'1)絡を欠き不通i-

t

今であ るJとわl示するものがあるが U!l判'[')&:17'9 . 14民!I!59.&7 ~;'208Un 、これは予備自~)un3R

としてのcj[;淀川'/;)<:の }jが fより適切」であるとして主{占的hfjボとしてのli(i.必請求を斥けたも

のであるという点、また主位(10,;,',';)<:が無名抗f'ti訴訟でeありそれとの|則係で補充性が~;Jとされ

ていたという点で、特殊な例である。

(11)

益はもはや失われる。そのような個別具体的判断をなすのであれば正而から 「即時椛定の利益

J

の問題として扱えば足り 21)、布Ii充性という観念に固執す る必要はない。 したがって、機認の利益の判断において字義どおりのな味での補充性を要 求することはできない。 (3) 以上を踏まえて本判決をみると、「本件訴えの雌認の利益が認められ なければ.上{11二人がその所有名義を取得する手段がない」という原告の主張 は、(i'(lI認の訴えの布iI光性という視点から捉えるべきものではない。すなわち、 本判決は不動隊な記法74条1項l号にもとづく保存在記の111~ìli 221に言及し て版告の主張を斥けるが、ここでは給付の訴えとの比紋ではないことだけで もう万法選択の適否を語る前提は失われているから、他の手段の存在がただ ちに旅認の利読を再定することにはならないからである。 本毛布の立場・を前提とすれば、原告による上記主張は単にノド1'

1

:

訴えによ り確 認判決を得ることの必要を述べたものとして、「被作に対し確認判決を得る ことが必要かつ適切な場合

J

であることを基礎づける一要素と位置づければ k!.りる。本1'1ニ原告にとって確認判決を得ることの意義は.<j>:f'I:七地に係る所有

:

r

l:iをを1!]ることにあるから、登記手続上それが可能であるなら、他の手段 が あると再とを問わず、原告にとって本件訴えにおいて判決を伴ることが必要 かっ迎切であるものとして 「即時機定の利雄」を

i

i

忠めることができる。 川題は、│五│を被街として所有権の存在を雌認する判決・をfljる こ と が 不 動 産 登記法74条l項2号にいう 「所有権を有することが硲

A

判決によって確認さ 211 批判11(1布1291j'.liir拘 伐191も、物上;fi求と所イ1権確認とのいずれの )i法が適切かという比較 を持ち出すことなく治的に

r

l!11I1寺確定の干IJ盆Jにより鉱i訟の,添えの述併をiたすべきとの理解 を示しており、ここでも)Ji;長選択の適否という制点はI,J;ーの繊.fIJl則係に対する給付の訴えと pí~ .æの訴えとの比較を超えては作用していない。 221 もっとも、 この Ji法により所-H名義を l~f ることが可能であるかは必ずしもIVJ らかでない (!ザ村 liri*lil:11159111は否定的であるい 本判決の宇IJ示が先例として機能することを~えれ ば (}II~(}・lìíflt)it11114Hu、現住では可能なのであろう。ただ、本判決以前には必ずしもそ うはいえなかったわけであり、補充性との│則係でそのような不服尖なT段を引き合いに111す ことは、、I14ぷ下段によってはIHりを述することができなかった場合、丙ひ'!i(1i認の",i:えを提起 せき'るを j{~なくなるという!J:I床で原作にとってリスクが大きい 140

(12)

れた」ことに該吋するのかどうかである。同号にいう所有権線認判決が誰を 被作とするものでなければならないかは不動産登記法上議論があるが、少な くとも本件訴えに附する限り、ここにいう機認判決にあたるとして登記申詰 を認めても不動産登記法の趣旨に反しないものと解される。すなわち、同号 が所有

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確認、:1'リ決を要求するのは申請者が真に所有権者であることを総保す る趣旨であり、その意味で本来ならば真実の前主と所有おとの IIljでなされた 雌認判決であることが必要である。しかし、本来被作となるべきその前主を 係長11することができない限り、J欠普・の策として国ないしその機│刻を相手方と してこれに代えることは不合理ではなく 23)、また被行に抑えられる国の側と しても、登記事務を専属的に取り扱うことに伴う負担としてこれを諜せられ でも附とまではいえないから24)、本件訴えのように

l

五│を被告とする所有権確 認の訴えにおいて勝訴すれば、原告はその確定をまって不動産登記法

7

4

1

2

サにもとづく申請をなし得るものと解する。 結論として、本f'I:訴えは、

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において

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の法的地位を争うものではないが、 登記名義を刊-るために

X

が確定判決を必要とするという特別の事情があるこ とから、訴えの利益を有する適法な訴えである。

町 む す び

雌認の利益は、共体的な事案に応じて個別1(りに判断されるべき概念であ 23) 判時2123ひ42以・干IJタ1354号94頁は、

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が本('1二上地を時効取得したとしても何らの織利を うたうことはないという本件の'Mi

'に!!自らすと、ド│の公的側 I(Uを.J5'!iRしたとしてもJ本件訴え によっては不動産公記法 74条 l 項 2 号の要求する判決を彼1!~ できないであろうとする。 確か に、 l吹,Jt:しでも尖:'f-がないという意味ではいい加減な訴ぷ追行に終始するのではないかとの 懸念はあるが、本米当事おとなすべきおに代えてドlの機関を彼作として訴えを提起する刀法 は入、J~JF,沿においても wm されており (人事訴訟ìl;12条 3J1i等)、そこでは実際上はともかく illlii(J二は公畿の代点者として公正な訴訟巡行をなすことが期待されている 24) 本f'I:のように、所イj.r,.が不明であり、かつ、 Ja!m,l~すら経ていない 1:)也について、時効 による所イf織I附与をニt1fiする者が闘を相1予取って所イH植縦認の,添えをflt起するという事態は きわめてまれであって、この }ïì去を;干したからといっていl が過度のs採よí': ~HI!を抱えることに はならない。 Vítil1~.の限えの~11ìプêt生 (今ill 絞チ) 141

(13)

る。それゆえ一義的に明確な判断基準を定立することは難しいけれども、判 断のばらつきを防ぐ意味で一定程度類型化された基準を設けることは有用で ある。確認の利識を判断するに際して対象選択の適否、方法選択の適否、即 時機定の現実的必要の有無という

3

つの観点からの検討が有用であるとされ るのも、その意味においてである。 もっとも、この基準にとらわれて本来の具体的事案に応じた判断を見失う ことがあっては本末転倒である。本判決は、方法選択の適否ないし確認の訴 えの補充性という観念にとらわれ過ぎた結果、伺1¥認判決を得ることへの原告 の必要を過小評価したものといわざるをえない。確認の利益を論ずる上で重 要なのは原告の求める確認対象について判決を得させることがそれ自体とし て必要かつ適切と認められるかどうかであるということを改めて指摘して、 筆をおく。 (い ま づ あ や こ) 142

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