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小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析

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(1)Title. 小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析. Author(s). 三上, 勝夫; 矢部, 玲子 . Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 43(1): 1-16. Issue Date. 1992-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5229. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成4年7月. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第43巻 第1号 43 l ion( Sec i ty ofl説ucat t lofHokkaido Universi onIC) VOI iouma . . ,No. ly ju ,1992. 小学校社会科教科書の歴史的分 野における用語の分析. ニ. 上. 勝. 夫・矢. 部. 玲. 子. は じめ に. 前回の研究では, 小学校社会科教科書全体の語桑数並びに, その傾向の分析を行っ た. その結果, 量的な面では6年生で急増し, 質的な面では専門 (歴史, 国際など) 用語 (特に名詞) の多様が目 立つ. そしてそれらは, 資料文 (教科書本文以外の文章) に集中している, 等の事が判明した. 今回は, 歴史的分野に関して, 歴史を記述する用語とは何なのか, そしてそれらはどんな問題を 含んでいるのかを探っ てみたいと思う. 「歴史を記述する語桑」 の現状 小学校 叉社会科の主な分野は, 「地理」 「公民」 「歴史」の3分 野である. これらのうち, 前2分野に 関しては, 教材の内容が大幅に入れ替わることがしばしばあり, その結果, それを記述する語桑も 1. 大幅に変化する. ところが, 「歴史」の分野に関しては, いささか事情が異なっ て来る. この分野に関しては, 執筆 する側の主観や判断のみで教材を決定することは不可能であり, あくまでも 「歴史的事実」 が, 教 材内容の基本となる. これが基本的に変化しない以上, 用語にも大きな変化はない. この事実から, 次の2点が仮定できないだろうか. 第1には 「歴史的分野」 を記述するための用語が, 教材文中には大量にあるということである. そして第2には, それらの語奨は, いわゆる辞書的な意味とはかけ離れていたり, 無定義的に用い られたりしていないか, ということである. 以上の2点から, さらに次の仮定が導かれる. つまり, 前述のような語奨を多く含む文章で構成された教科書は, 読み手となる児童( 1 2歳)にとっ て, 1-1 本当に理解されうるのか, 理解を妨 げるという問題の源となっ てはいないか, ということである. 「わかったつもりで実はわかっ ていない」 という事態が 起こっ てはいないだろうか , . 2. 「歴史を記述する語鼻」 の分析 上述の仮定の検証のために, 以下の調査並びに分析を行う.. ( 1 ) その方法 ①. 小学校社会科教科書のうち, 歴史的分野 (6年上下)の総語数を計量する. (助詞, 助動詞は 除く.). ② 歴史的分野の記述に不可欠と 思われる語桑の項目を設定し, ①の語の中から, それぞれに該 当するものを抽出する. 項目は, 以下の8項目とする. 1土地, 地域名称関係の語桑 2支配, 被支配 (行為, 者, 階級) 関係の語桑 3文化関 係の語業 4権力, 繁栄, 衰亡関係の語藁 5政治関係の語奨 6外交関係の語桑 7産業 関係の語築. 8軍事関係の語桑 I.

(3) . 三上勝夫・矢部玲子 (なお, 6~8に関しては, 「4権力, 繁栄, 衰亡関係の語奨」 中で一括して述べる.) 1~8に当てはまる語業の使用頻度の 一覧表を作成し, 全体的な傾向や, 語藁の使用の特徴. ③. について考察する. ④ 全体的に使用頻度の高い語奨については, 読み手にその語梁が正確に伝わっ ているか, また, 辞書的な意味との間にどの程度の差異が認められるか, 等の点を確認するために, 小中高の 児童生徒, 並びに大学生を対象としたアンケート調査を行う. ( ) 使用する教科書, 単元 2 88(平成元年) 年) であっ た. この中か 使用した教科書は 『新訂新しい社会6上下』 (東京書籍19 ら, 「一日本の歴史」 の単元を取り上げた. H. この教科書の 歴史的分野は, 以下のような章だてになっている. 21ペー ジ) 2 5 ページ) □ 貴族の世の中:P 28- P 49( 日本の国の成り立ち:P 2 ー P 27( 纏り 武 士 の 世 の 中 : P 72一 P I 03( 31ペー ジ). 武士の世の中へ:P 50- P 71(21 ペ ー ジ). 日. 明治からの世の中:P 2 - P47(25ペ ー ジ) 閃. ◎. (三, 四 合 計 52 ペ ー ジ) 以 上 上 巻 戦 後 の 新 し い 日 本 : P48一 P59(11ペ ー ジ) (五, 六 合 計 36 ペ ー ジ) 以 上 下 巻. 「 (これらのうち, 日と側を 「中近世」 , ◎と因を 近現代」 とし, 同じ範噂の時代として一括して 取り扱うこととする.) これらの総語数は, 次の通りである. 動詞 形容詞 名詞 代名詞. その他. 計. H. I165. 94. 590. 93. 30. 84. 2056. 口. 442. 36. 419. 41. 32. 120. 1090 1817. 形容動詞. 日. 1012. 66. 601. 60. 7. 71. つ 四 (. 1397. 94. 740. 123. 28. 153. 2535. 回. 767. 51. 326. 43. 26. 116. 1329. 附. 631. 29. 257. 54. 5. 63. 1039. 計. 5414. 370. 2933. 414. 128. 607. 9866. (助 詞, 助 動 詞 は 除く.). 3 調査結果並びに考察 1 土地, 地域名 称関係の語集 土地, 地域名称関係の言葉, 分類の結果, 以下の数値を得た. (登場回数順) 言葉. H. 国. 10. Q (三,四つ(五,六). 合計. 9. 3. 23. 1. 言葉. ◎. 各地. 0. Q (三,四)(五,六) 0 3 1. 合計 4. 全国. 0. 0. 12. 7. 19. 県. 0. 0. 0. 4. 4. 藩. 0. 0. 1. 14. 15. 私有地. 0. 1. 2. 0. 3. 10. 0. 0. 0. 10. 城下町. 0. 0. 3. 0. 3. 地域. 0. 0. 0. 2. 2. むら 領地. 0. 0. 10. 0. 10. くに. 9. 0. 0. 0. 9. 地方. 0. 1. 0. 1. 2. 町. 0. 0. 3. 6. 9. 国土. 0. 1. 0. 0. 1. 日本. 0. 0. 3. 5. 8. 土地. 0. 1. 0. 0. 1. 都. 0. 6. 0. 0. 6. 諸国. 0. 0. 1. 0. 1. 都市. 0. 0. 0. 5. 5. 大都市. 0. 0. 1. 0. 1. 2.

(4) . 小滞校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析 国内. 0. 0. 0. 5. 5. 農村. 0. 1. 3. 0. 4. 村. 0. 0. 4. 0. 4. 領土. 0. 0. 0. 1. 1. 1 ) 住 (. 「国 (くむ 「 「 り 5 ) こ)一 団, 「全国一 触 1 4 )が多出している. (カッ コ内登場数) , 藩」 Q , 村むら」( . Hの 2 { )これらがひらがな表記されているのは 大和朝廷が登 みに登場する語に「むら」 「くに」がある. 注 , 場する以前の集落や地方国家を特に指すためであると思われるが, それに関する説明は, 文章中に は一切ない. 突然漢字表記の 「国」 に変わるのは, 「豪族の治める (HのP20に登場)」 と言うただ し書きがつく記述である. 「むら」も, Hのみひらがな表記で登場したあと, しばらく途切れ, 突然 「各地の町や村 (日のP61に登場」 と 漢字表記に変わる , . 執筆者側には, ひらがな表記から漢字表記への転換点に, ある程度の基準は存在すると思わ れる が, 指導者ですら, 推測の域を出ない. まして学習者は, これらの表記の差に, 少々不審を感じる のが精一杯だろう. 逆に, 感覚の鋭い 児童は, 説明が不十分 な分だけ, 混乱する可能性もあるかも しれない. むらと村, くにと国, のように区別して表記したその根拠を, 児童にもわかりやすく説 明する記述を加えることで, より理解しやすくする ことができるのではないだろうか. 漢字表記の 「国」 には, どのような定義付けがなされているのだろうか. 漢字表記の 「国」 は, 単独の語では, この項目中最多数が登場する. しかも, 時代が下るに従い, 登場数が, 減少して来る. そして, 最も注目すべ きは, 江戸幕府成立以降の記述に, 「国」と言う語 { 3 )このことは 執筆者側の 「国」 に対するある観点を表し は使用されていないということである. 注 , てはいないだろうか. 個々の登場例を, 見てみよう. 漢字表記の 「国」 の初出例は, 「国を治めていた各地の豪族」 (HのP20 ) である. これは, 現在 の 「日本一 のことでも, もちろん, 統一, 単一の国家や行政の単位のことでもない. これは, 前述 した, 統一国家となる以前の集落や, 大和朝廷が係わるものも含む地方国家を, 特に指す表現 であ ろう. H中には, 計10か所, 「国」が登場するが, いずれも, この観点に基づいていると思われる. 口の時代になっ ても, この傾向は続く. 大和朝廷の影響が色濃くはなっ ているが, 相変わらず統 一, 単一の国家や行政の単位を指してはいない. この 時代, それに相当する語は 「朝廷」 である . 特に登場する 「国」 は, 守護大名 が統治する一地域 (領地) を指すようになる. 郷)そして, 「家康 は, 外様大名 を (略) 国の政治には参加させません でした.」 と言う唯一の例外的記述を最後に, 本 文中からは消える. 以上の記述に概ね共通しているのは,「国≠統一国家や行政の単位」と言う観点ではないだろうか. 前述の, ひらがな表記の 「く に」 と相通ずる観点が, ここにも感じられる. 換言すれば, 執筆者側 には, 「くに」 や 「国」 と言う語が使用され, 表現されている時代や範囲に関しては, 現在の常識で 言うところの 「統一国家や行政の単位」 が成立していないという認識があるではないだろうか. 最 も, この観点が確固たる物であるかどうかは, ◎の最後の登場例を考えると, 疑問に感じられなく もない. 執筆者側にも, 自らの観点と一般常識との間での葛藤があるのであろうか. 一般常識の側 から捉えた 「国」 への観点については, 後で詳しく述べよう‐ さて, 「国≠単一国家や行政の単位」 と言う観点の裏付けとも言うべき語が, 「国」 の退場と, ほ とんど相前後して初登場する. 「全国一 である. この語は, (一, 二) での登場はない. そして, 日の戦国時代を経て 「天下統一」 へと向かい, 江 戸幕府の成立に至る時期の記述に, 集中して1 2か所登場した後, 突然途切れ,四 )中には登場しない. そして◎で復活するものの, 閃での登場は, ない. この, 「全国一の各登場例を検証する ことで, よ り確かな執筆者側の 「意図」 が, 明らかにならないだろうか. 3.

(5) . 三上勝夫・矢部玲子 「全国一 の辞書上の意味は 「国 (内) 全体 (部) 国中」 となっている. この場合の 「国」 とは, , , 言うまでもなく 「統一国家や行政の単位」 のことである. さらに, 「全国」 の 「全」 は, 「まっ たく 「 (し) , すっ かり, そろっ ている」 等である. これらを念頭に置き, 全国」 の各例を見てみよう. 「応仁の舌Lの後 戦乱が全国に広がりました 」 「このような戦乱の世を治め, 全国統一への歩み . , ) を進めたのが, 織田信長, 豊臣秀吉, 徳川家康たちでした.」 (鱒のP63 「全国一 は このよう な文章中に初登場する 「国」 と言う個々の単位を, 「全」 で括ることによ . , けようとする姿勢がうかがえる. つまり, この時点 新たに 統一された一単位として位置付 て っ , , 「 (江戸幕府成立) を, 執筆者側では, 統一国家や行政の単位の初の成立時」 と認めたのではないだ ろうか. 下っ て, ◎の近現代においても, 登場例によると, 同じ観点で 「全国」 は用いられている )つまり 多少の誤差はあるものの 執筆者側では, 「国」「全国」の二語に, と見ることができる. 蟹5 , , 意味上の差異を認め, その認識に基いて, 記述を分けているということ が言えるのではないだろう か.. 「全国一 の次に多い 「藩」 は この 時期に印象が強くなるのも不思議であるが, 幕末の記述に多 , 出し, それ以 前に, わずか2個所しか登場しない. 日本の全体的な歴史という 体裁をとっ ている関 係上, 各藩の記述に紙面は割けないのであろう が, 当時の 「藩」 が持っていた 「国」 としての独立 した面を, 前出の (三, 四) のような記述の方法を以てして, 学習者に伝えようとしたのであろう 6 ( )執筆者側の このよう な意図の有無は別として, 当時の各藩が独立採算制で運営され, 文字 か. 注 , 通り 「国」 として機能していた実態は, このような記述法では, 結果として正しく伝わらなくなっ ている. 「国」 「藩」 と言う二語の境界線が, 暖昧なままに用いられている実態のみが, このことか ら印象づけられる結果となっ ているようである.. ではなぜ, このよう な印象へとつながるのであろうか. 「国, 藩」と言う言葉が, 現在, 一般に与 える印象がどのよう なものであるのか, 我々の日常会話の周辺を見てみよう. 「国」 の項でも述べたが 前述の (三 四) に現われた観点は, 「国=地方」 の色彩が強い. しか , , し, このような観点で, 「全国一 や 「国」 と言う言葉が捉えられている場面は, 現在の, 我々の回り にはさほど多くは見受けられないのではないだろうか. 辛う じて確認できるのは, 「国=故郷」と言 7 { )このような用 い方も 今ではいささか古めかしい言 う, 特殊な一地域を指すという観点である. 注 , い回しになり, 児童にとっ ては理解出来ないかもしれない. 日常の言語生活の範囲では,「国」も「全 国Jも, 「日本全体」 であり, 同語であるという観念が出来上がつ てしまっ ているのである. その点 で, 執筆者と読者の間の言語感覚に, 少なからず差異が認められるの である. )王. 性 { 1 ) 表に現れた数値は 前項の( 2 )の附で述べた時代区分によるものであり, 数量的には多少の偏向 , のあること, この数値がそのままの使用頻 度とはならないことを承知されたい. なお, これ以 降の語桑の 一覧表についても同様とする. 「 「 灘) 以下は 「くに」 の初出例である (カ ッコ内登場章) . むら」 と くに」 との関係を示す 一文で , あると判断できる. 「やがて 大きなむらが小さなむらを合わせて, くにが生まれるようになりました.i H , 注 { 3 ) 側 )以降に登場する 「国」 は次の2例のみでいずれも本文 中には初出しない (カッ コ内登場章) . 「国を閉 ざす一 個 )鎖国の比嚇表現として, タイ トル部分に初出. 「みんなが心を合わせ 国の政策を行おう 」 「新しい知識を世界に学び, 国を栄えさせよう.」 . , ◎ 「五箇条の御誓文」 の口語訳として, 資料文中に初出..

(6) . 小学校社会科数禾綿書の歴史的分野における用語の分析. 4 注 ( } 登場例のすべてを記す (カ ッコ内登場章) . 「守護は それぞれの国を自分の領地のようにして大名 になり…」 , 「応仁の乱の後 大名は国にもどっ て自分の領地を治めるようになりました 」 ◎ , . 注 ( 5 ) 近現代岡においては 「政府が全国を直接治める」「新しい教育は全国に広まり 一「国会開設を , , 求める考えは全国に広まり,一 「全国の1/3余りの銅一 等の様に, 「全国に広まる」 と言う用い ら れ 方 が 多 い.. 6 ( ) 「このころ (江戸幕府開始) 全国には 200余りの大名 が居て それぞれの領地 (藩) を治め 注 , , , ていました.一 同 「藩」 と言う語の初出例であるが, この記述に, 執筆者側のこの語の独立性を 認める姿勢がうかがえる. 注 ( 7 ) 「おくにはどちらですか?」 「札幌です 」の様な 主と して日常会話における場面に該当する , . . 2. 支配, 被支配 (行為, 者, 階級) 関係の語桑 これらのうち, 「支配」 関係の語藁からは次の通りの数値を得た.. 言葉. H. 15. 植民地. 0. □ (三,四)(五,六) 0 0 2. 3. 13. ひとりじめ. 1. 0. 2. 8. 10. }っける 役に {. 0. 0. 9. 9. 位. 0. 0. 5. 1. 8. 追放. 2. 3. 3. 8. ご恩. D (三,四)(五,六) 8 4 0. する 命令する { }. 3. き び しい. 0. 0. 10. 差別. 0. 0. けら い. 0. 0. 支配(する). 2. 鈴{任じる ). 0. 合計. 言葉. ←). 合計 2. 0. 0. 0. 1. 0. 1. 1. 0. 0. 1. 0. 1. 0. 0. 1. 0. 0. 1. 0. 1. 1. 大名. 0. 0. 0. 8. 8. 奉公. 0. 0. 1. 0. 1. したがえる. 0. 3. 0. 4. 7. 領主. 0. 0. 1. 0. 1. 取りしまる. 0. 0. 5. 2. 7. たおす. 0. 0. 1. 0. 1. おさ える. 0. 1. 1. 4. 6. 平定. 0. 0. 1. 0. 1. 統一. 0. 0. 0. 6. 6. 保護. 0. 0. 1. 0. 1. ばっ す る. 0. 0. 4. 2. 6. 天下. 0. 0. 1. 0. 1. 許す. 0. 0. 5. 1. 6. 主人. 0. 0. 1. 0. 1. 禁 じる. 0. 0. 4. 2. 6. 特権. 0. 0. 1. 0. 1. 打旨図. 3. 1. 0. 1. 5. 政治. 0. 0. 1. 0. 1. み とめる. 0. 1. 4. 0. 5. 上下. 0. 0. 1. 0. 1. 取り立てる. 0. 1. 3. 1. 5. 取りしきる. 0. 0. 1. 0. 1. さ ず ける. 1. 0. 2. 1. 4. し も じも. 0. 0. 1. 0. 1. 貴族. 0. 1. 2. 1. 4. しき た り. 0. 0. 1. 0. 1. 才受人. 0. 4. 0. 0. 4. とらえる. 0. 0. 0. 1. 1. う ばう. 0. 1. 2. 1. 4. 政権. 0. 0. 0. 1. 1. 強制 的. 0. 0. 0. 4. 4. 忠義. 0. 0. 0. 1. 1. お きて. 0. 0. 4. 0. 4. 義務づける. 0. 0. 0. 1. 1. きまり. 0. 0. 4. 0. 4. わがもの顔. 0. 0. 0. 1. 1. しず め る. 0. 0. 2. 2. 4. 指揮. 0. 0. 0. 1. 1. 占領. 0. 0. 0. 4. 4. 主権. 0. 0. 0. 1. 1. か しら. 2. 1. 0. 0. 3. せまる. 0. 0. 0. 1. 1 に J.

(7) . 三上勝夫・矢部玲子 みつぎもの. 0. 2. 0. 0. 2. おしつける. 0. 0. 0. 1. 1. 実権. 0. 1. 1. 0. 2. 併合. 0. 0. 0. 1. 1. 柾三服. 0. 0. 2. 0. 2. しん 略. 0. 0. 0. 1. 1. 0. 2. ふみにじる. 0. 0. 0. 1. 1. 1. 2. 強め る. 0. 0. 0. 1. 1. お し通 す. 0. 0. 0. 1. 1. 限る. 0. 0. 2. 指導者. 0. 0. 1. 率 いる. 0. 0. 1. 0. 2. 差 し出す. 0. 0. 1. 1. 2. o )「支配 (する)」 「任命 (任 3 )「差別」Q 1 )「きびしい」( 1 5 表中の語集の中で頻 出するのは, 「命令」( 8 )の5語である (カッ コ内登場数) じる)」( . これらは, 主に (三, 四) に集中して登場する. いわ 「 ゆる 武家社会」 の封建的な面を強調する, 一言 でいえば, 「きびしく命令し, 支配する」 社会構造 を, このよう な記述によって読み手に印象づけられる効 果を狙っ たものと思われる. 事実, 「差別」 以外の語桑は, (五, 六)以降では, その登場数が激減する. 近現代で, これらに替わるものとして 1 ) ( 登 場 す る の は, 「差別」 で あ る. 注. この語はすべて, 江戸時代の 「部落差別」 に関する記述に用いられいる. すなわち, 近現代にお ける 「支配」 の語梁として登場するのではなく, 前時代の支配の残津としての語桑 を与えられてい るのである. 言い替えれば, 近現代には克服すべき封建的な支配体制はない, 問題は各人の心の持 ちようだ, という言外の意味が感じられないだろうか. また, 次に多出するのは, 戦前の日本軍に 4 )である. これらは, 外国へ向けての行為として記述され, 当時の国内に 「支配」 が よる 「占領J( 存在したことを表すものでは ない. 上記の記述方法の是非はここでは述べないが, 人が人を 「支配」 し 「きびしく命令する」 構造は, 戦前の日本軍の侵略行為を除いて近現代には存在しない, とする記述姿勢は伝わっ て来る. これらの語業の他に注目すべきは, 「動詞」 プラス 「使役の助動詞」 の形をもっ て 「支配」 を表す 2 ( ) 言葉としているものである. 以下に, 時代 ごとの登場数を記す. 注 H:0. (三, 四):10. 0:4. (五, 六): 4 (五 の み に 登 場.). この形は, 上記の表中の24例に比べ れば少ないが, 「三, 四一 の 「武家社会」 の文章中に, 集中 して登場する点 では, 同傾向である. これらの記述法によって, 特に 「武家社会」 の支配構造と, そして間接的にではあるが, 近現代の民主的な面が浮かび上がっ て来ると読み取れはしない だろう か.. 「被支配」 を表す言葉からは 次の数値を得た , . 雪蔽. ◎. Q (三,四)(五,六) 6 2 1. 合計 9住◎. 負担. 0. わ り当て. 0. 2. 0. 0. 2. 土下座. 0. 0. 1. 0. 1. 義務. 0. 0. 0. 1. 1. 上記の表のように, 「被支配」 を表す語桑は, 「支配一 のそれに比べて格段に少ない. むしろ, 単 語そのものよりも, 動詞J プラス 「受け身の助動詞」 の形を以て, 「被支配」 の意とする方法が目立 つ.. これらの登場数は, 次の通りである. 6.

(8) . . 小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析 け :2. Q:2. (三, 四):10. (五, 六): 4. 4 ) 注 (. これでわかるように, 具体的な語句よりも, この記述方法で「被支配」 は説明されているのである.. 22. 6. 9. 43. 79. けらい. 0. 0. 2. 0. 0. 7. 43. 13. 63. 人民. O. 1. 0. 1. 町民. 0. 0. 16. 2. 18. 住民. O. o. l. l. 国民. 0. 0. 0. 15. 15. 老人. 1. 0. 0. 0. 人. 5. 1. 0. 5. 11. 人員. O. 1. 0. 0. 商人. 0. 0. 11 l. o. ll. 百姓. 0. 0. l. o. 職人. 0. 0. 5. 0. 5. しも じも. o. 0. 1. 0. 身分. 0. 0. 5. 0. 5. 民. o. o. l. o. 女工. 0. 0. 0. 5. 5. 平民. o. o. o. l. 民衆. 0. 0. 1‐. 2. 3. 住民. 0. 0. 0. 1. 日本 人. 0. 0. 1. 2. 3. 同志. 0. 0. 0. 1. 人物. 0. 0. 1. 2. 3. 者. o. o. o. l. 農家. 0. 0. 0. 3. 3. 小 作人. o. o. o. l. か しら. 2. 0. 0. 0. 2. 失 業者. o. o. o. l. 計 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1. 人々 農民. 合. この他にも, 「被支配者, 階層」 を表す語桑があり, 集計の結果, 次の数値を得た. Q )(五,六) 合計 言葉 H 言葉 ←) (コ (三,四)(五,六) (三 に コ( ) ,四. 5 ) 注(. 上記によると, 支配階級が 「天皇→貴族→武士→軍→国 (政府)」 と, 時代の経過と共に変化して 行く様子が分かる. 一方, それらに対応する「被支配層を表す語桑」は, 身分制度の確立する中~近 世 (三、 四) の封建時代にかけて急増する. さらに, (五, 六) に至ると, 一層細分化されて来る. 最も, (五, 六)中においては, これらの語築は, その半分が一回かぎりの登場であり, 身分制度の きびしさを記述するためではなく,産業や社会機構の細分化に従っ て,それぞれの分野に携わる人々 を的確に区別するために, 各々に与えられた呼び名と見る方が自然であろう. そして, これら以外 の 「被支配層を表す語集」 は, 殆ど 「人々」 と, 「農民」 に絞られる. まず, 「農民」 を見てみよう. 明確な職業を表す語桑としては, 「農民」 は, 登場6 3例と群を抜いている. しかもその登場個所 三 は, ( , 四, 五)に集中し, 閃では一例もない. この事実は, 読み手にある特定の史観を植え付け る原因となりはしないだろうか. 教科書中の 「農民」 と言う言葉は, 古来より, 支配され, 搾取され続けてきた立場 (身分) とし て登場し続けている. そして 時代が下り, 「終戦後」 になると突如登場しなくなる. つまり, (三, 四, 五) で 「被支配階層」 であるという印象が定着してしまっ たまま, 現代まで, 教科書中では, 6 ( } それを訂正する場が設定されていないのである. 注 我々は, 強力な固定観念として, 上記そのままの印象を, 現代の農業従事者, もしくは 「農業」 に対して, 持ち続けてはいないだろうか. そのことの是非は言うまでもないことである が, 上記し たような 「教科書の言葉による定義付け」 がその要因の一つとして挙げられる, とするのは, いさ さか極論であろうか. ところな, 附に於いて, なぜ 「農民」 が1例も登場しなくなるのだろうか. また, 替わっ て登場して来る語は, 何なのであろうか. (五, 六) で, 「人々」 が43例と急増する. この言葉は, 全編を通じ登場するが, (五, 六) で, 半分以上が登場する. これらの用例に共通しているのは, 「~の人々」「人々は~をする」「人々のく ワ 十.

(9) . 三上勝夫・矢部玲子. らし一 等の記述方法である. つまり, 「人々」 という語は, それぞれの場合に応じて, 異なっ た語意 を表すものとして用いられて いるのである. 言い替えれば, 「無定義の語」 なのである. 時代が下るに従い, いわゆる 「民草 (たみくさ)」 を表す言葉も増加して 来るが, 「人々」 の増加 率は, それをはるかに上回る. 的で 「農民」 が登場しなくなることも, これと大きく関係して いる と 思われる. 農民に限っ たことではないが, 近現代においては, 「民草 (たみくさ)」 を表す様々な 言葉 (職業, 身分, 年齢, 国籍など) が, ほとんど 「人々」 に一括されてしまっているのである. その結果, 当然 「無定義の語」 である 「人々」 が, 文章中にちりばめられることになる. この記述の意図するところがいわゆる平等の思想であるこ とは明白だが, これが副次的な弊害を 生んではいないだろうか. 本来は, それぞれが異なっ た意味を持つ言葉が, すべて 「人々」 と言う 単一の語に置き換えられてしまっ ている. 外見は同じだが, その中に込められている意味は違う. それらをすべて, 学習者が判別できるのであろうか。 却って, 理解の妨げとなってはいないだろう か.. このような状 況では, 安易に 「人々」 ばかりを当てはめずに, 「民草 (たみくさ)」 を表す様々な 他の語義を逐次当てはめ, より明確な定義を各語に与えることも必要ではないだろうか。 また, 日 常 「人々」 と混同されがちだが, より独自の意味を以て用いられるべき語も, あるのではないだろ うか・ ) この点に関連して留意された いのは, 「国民」 と言う語の用法である. 往” 「国民」 は (五 六) に集中して登場する 「近代国家の構成員」 と言う辞書上の意味からすれ , . , ば, 至極妥当な登場の仕方である. そして, 特に多出するのは, 大正末期~太平洋戦争中の部分 で ある. このような登場の仕方から, 「不況による生活苦に悩む人々」 や 「帝国主義や戦争の被害者」 としての側面, すなわち, 軍国主義と密接に結び付いた言葉, という側面 (のみ) が強調されてい る印象が大きい. このような記述の方法を選んだ執筆者の意図は不明だが, 結果的には, 「国民」が 本来持つ, 「近代国家の 主人公」 としての面ではなく, 言葉本来の持たない意味 (この場合は, 不明 瞭で暗い印象) が, 主な語意として, 児童側に浸透してしまうことが危倶されるのである. この言葉を, もう一度, 前述した辞書的な意味を忠実に当てはめ, 「人々」に代わるものとして使 用することは出来 ないだろうか. 「国民」 と言う言葉の印象も, 読者 (児童) にとっ て, 従来とは異 なっ た明るいもの力切口わることであろう. そして何よりも, 言葉そのものの本来持つ, 基本的な意 味の理解につながるのではないだろうか. 注◎. ( 1 ) 「差別」 の意味は 「区別」 あるものと他のものとの間に認める違い, また, それらを違うもの 注 . 「岩波国語辞典」 )等のこ として分けること. けじめ, 物とものとの違い. 区別して扱うこと. ( れらを見るかぎりでは, 「支配」 を表す語桑とはならない. 2 注 ( ) 具体的な文例を以下に記す (アンダーライン部分, カッコ内登場章) . 「聖武天皇は (略) 東大寺を建てさせることにしました 」 口 . , 「政府では 伊藤博文をヨーロッ パへ行かせ (略) 政治の仕組みを研究させました.」 ◎ , , 注 3 ) 「負担J に関しては 「義務」 が大部分だが, 「出費」 の語意も, 因の部分に一例認められる. { , 登場文を記す. 「子供を毎日学校に行かせることは (略) 大変な負担でした.」 ) 具体的な文例を以 下に記す (アンダーライン部分 カッ コ内登場章) 性 4 ( , . 「寺を建てるときの費用も 農民に割り当てられました 」 □ . , 「戦争に反対することは (略) 許されませんでした。」 ◎.

(10) . 小学校社会科教矛事書の歴史的分野における用語の分析. 「日本は (略) 連合国軍に占領され」 因 注 ( 5 } 「身分」 は 「身分が低い一 等 被支配階級を指す用例のみの登場のため このような分類とし , , , た.. 6 注 ( } 「農民」 の教科書中における登場例を記す (カ ッコ内は登場章) . 大名 が, 農民から, 重い年貢を取り立て, 回 小作料の引き下げを求める農民運動閏 5政治関係の語藁, 「社会」 の項のうち, 「国民生活」 に関する記述参照. 8 ) 原文の 「人々」 を 「国民」 に置き換えたもの (アン ダーライン部) 数例を記す (カッ コ内は登 注 ( 7 注 { ). 場章) . 「戦争のきずあとは 今も両国の多くの人々→国民の間に残されています 」 的 , . 「人々→国民の間に政治への関心が高まる 」 ◎ . 3. 文化関係の語桑. これらの言葉は, 「文明開化」 の中の 「文明」 と言う言葉数例を除いては, 「文化」 という語のみ の登場であっ た. 集計された数値を以下に記す. 言葉 文化. ←) 3. Q (三 ,四)(五,六) 1 7 2. 合計 13. ( 1 ) 注. 「文化」 とは本来 食事の回数や住み方やくらし方という身近な面も含めた人間の生活様式その , ものを指す言葉であるが, この教科書の用法に関して言えば, 生活全体よりもむしろ, その中の「芸 術, 宗教, 文学」 を指す分野に偏っ て用いられている傾向が強い. 「文化と人々のくらし」 これは, 第3章の小見出しのひ とつであるが, 「文化」 と 「くらし」 は, はっ きりと区別されてい る. 「くらし」に相当する部分 には, 農業の品種改良や, 生産力の向上に伴う商業の 発展の記述が見 られ, これらを読むことによっ て 「文化=芸術, 宗教, 文学」 のみであるという認識が出来上がる ( 2 ) こ と は, 想 像 に 難く な い. 注 )王. 1 注 { ) 「3 文化関係の語桑」 に関しては 周辺の記述をさらに検討すれば 「芸術 文学 宗教一 等 , , , , の語築 (主として作品名, 人名など) が当てはまることも考えられるが, 1~5の各項目と同 等レベ ルの検討を加えた範囲では, 一覧表の通りの結果となった. 2 注 ( ) 「文化」 が表す内容は次の通り (カ ッコ内登場章 ) . 仏像作成, 建築などの技術, 文学, 宗教. H 「貴族のくらし」 のなかの儀式, 建築, 芸術, か な文字. 0江戸時代の町人文化-歌舞伎, 浮世絵, 出版, 文学.( 四 つ 「人々の生活と文化」 の様に 生活様式は文化と区別される形 で記述される 岡 , . 4. 権力, 繁栄, 衰亡関係の語桑 これに該当すると思われる言葉は, 「勢い, (勢, 有, 武) 力, さかん, さかえ (る) , 滅びる Qま す) 絶える ( やす)」 に関係した語藁である. 集計された数値を以下に記す. ,. 言葉. H. 力. 2. Q (三,四つ(五,六つ 5 5 16. 合計 28. 言葉. H. Q (三 ,四)(五,六つ. に ぎわ う. 0. 0. 1. 0. 合計 1 9.

(11) . 三上勝夫・矢部玲子 勢い. 4. 5. 8. 1. 18. 名 高い. 0. 0. 1. 0. 1. 勢力. 0. 1. 4. 7. 12. 見ちがえる. 0. 0. 0. 1. 1. ほ ろ ぽす. 0. 2. 9. 1. 12. 強い. o. o. o. l. l. さ かん. 0. 0. 6. 2. 8. もてはやす. 0. 0. 0. 1. 1. た おす. 0. 1. 1. 5. 7. 成功. 0. 0. 0. 1. 1. めざましい. 0. 0. 0. 1. 1. 絶やす. 1. 0. 0. 0. 1. 0. 0. 1. 0. 0. 1. 発展. 0. 0. 1. 5. 6. 有力. 0. 2. 4. 0. 6. 武力. 0. 1. 2. 2. 5. 平 ら げる. 1. 0. 国力. 0. 0. 1. 4. 5. 殺す. 0. 1. さかえ(る). 1. 1. 2. 1. 5. めつ亡. 0. 1. 0. 0. 1. 豊か. 0. 0. 3. 1. 4. 退く. 0. 1. 0. 0. 1. しの ぐ. 0. 1. 2. 1. 4. 不安. 0. 1. 0. 0. 1. 没収. 0. 0. 1. 0. 1. と力ゞダ る. 0. 0. 1. 0. 1. 0. 1. 0. 1. 発達. 0. 0. 1. 1. 2. ) 変化( 変わる. 0. 0. 0. 2. 2. 征服. 1. 0. 1. 0. 2. おとろえる. 0. 追放. 0. 1. 1. 0. 2. く ず れる. 0. 0. 1. 0. 1. 活気. 0. 1. 1. 0. 2. 去る. 0. 0. 1. 0. 1. かたまる. 0. 0. 1. 0. 1. 荒れ果てる. 0. 0. 1. 0. 1. 最 盛期. 0. 0. 1. 0. 1. み な殺 し. 0. 0. 1. 0. 1. 1. う ち破る. 0. 0. 1. 0. 1. 1. 衆 ぶ》る. 0. 0. 1. 0. 1. 0. 0. 0. 1. 1. かつ さ い. 0. 0. 1. 0. 一手. 0. 0. 1. 0. 廃止. 0. 1. 1. 1 ‐ 0. 0. 1. 夫 やダ る. 0. 0. 0. 1. 1. 0. 1. 0. 0. 1. 終わる. 0. 0. 0. 1. 1. 0. 1. 0. 0. 1. こう ふく. 0. 0. 0. 1. 1. 0. 1. 0. 0. 1. 指 導力. 1. 0. 0. 0. 1. ふるう. 0. 0. 1. 0. 1. 実力. 0. 0. 0. 1. 1. も う ける oい た く ぜ. 0. 0. 1. 0. 1. 権力. 0. 0. 0. 1. 1. 0. 0. 1. 0. 1. 戦力. 0. 0. 0. 1. 1. 数 多い. 0. 0. 1. 0. 1. はかい. 0. 0. 0. 1. 1. はんじょう. 0. 0. 盛大. 0. 立ち直る おさ える ひとりじめ. 1 ) 注(. 「栄枯盛衰」 の全過程を表す言葉は 教科書中においてほぼ網羅されている. では, それらの語 , 桑は, 実際に教科書中ではどのように使用されているの だろうか. これらの語薬が頻出するのは, (三, 四, 五) においてである. 特に, 「力」 関係については, 時 代が下るに従って, その内容も, 「武力, 有力, 国力, 実力, 権力, 戦力」と言う多義的なものにな 「 っ て来る. しかし, それらにしても各々数例を数えるの みで, 相変わらず 力」 と一括された記述 6例を数えるこれらを見ていくと, 具体的に 「何の力」 なのか, は多く, (三, 四) では, 最高の1 という検証が, その都度必要になっ て来ることに気が付く. 以下に具体例と, 適当と考えられた語 意を記す (カッ コ内は登場章) . ① 「仏の力を借りて一 口→影響力 ② 「力の強い家来が自分の主人を滅ぼし,」 ◎→武力 ③ 「町 人の力」 ㈱→経済力 ④ 「軍人は, 軍人の力で政治を改めようと企てました.」 ◎→武力 (軍事力) 10.

(12) . 小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析. これらのように, 検証を加えてみて初めて, 同じ 「力」 でも, 例えば, ①③と②④の 「破壊」 と 「構築」 のように それぞれが全く異なっ た意味に用いられているのが分かる このことは 「力」 , , . と言う言葉が, 無定義に使用されていることの証明にならないであろうか. 結局何を意味している のか, という最終的な定義がなされないままに, 様々な語意が, 単 一の語に包括されたまま, 文中 に現われているのである. このような状況下で, 日常の学習指導で, しかも, 28例と多出している この語意の違いを, どこまで理解させ得るか, これは大いに困難と言わ ざるを得ないだろう. 同じことが 「勢い, 勢力」 についてもいえる. 教科書の登場例を読んだ限りでは, この2語の意 味の違いを説明することは, 大変困難と言う印象を受ける. もっ と端的に言えば, 「勢い」も「勢力」 も, 各例 ごとに様々な意味を含んでおり, 「力」と同じく, 理解のためには, 各例毎の検証が必要に なっ て来るのである. さらに, その結果考えられる語意が, 必ずしも辞書的な意味に沿っ たもので あるか, また, 確定できる語意が各例に存在するのかと言う点に疑問も残る. 以下にまず 「勢い」 の具体例と, 検証の結果, 適当と考えられた辞書的な語意を記す (カ ッコ内の数字は登場章) . ① 「朝廷の勢い」 H→他を押さえ, 自分が自由に行動出来る力, 転じてあることをするときの, そのために使える人員, 機材. (この場合は, 主として国家の統一に向けて蓄えられ, 使われた武 力, 財力か?) 「どんな大名 が勢いを振るっ ていた一同→活動力 躍進する力の様子 他を圧する力 (他の対 , , . 抗勢力に勝る 「勢力」 か?) ③ 「自由民権運動の勢い」◎→物事の動きが強まるに従って出て来る力. (運動参加者, 意欲か?) これらのうち, ①の辞書的な意味は 「勢力」 のものである. 「勢い」 の中に, 上の語意までも盛 ②. り 込 む の は, 使 用 方 法 と し て は. い さ さ か 飛 躍 の 観 が あ る. こ れ ら の こ と か ら, 「勢 い」と「勢 力」. の2語は, その意味が未分化のまま記述され, 混乱を招いていると言えないだろうか. 続いて 「勢力」の具体例と, 検証の結果, 適当と考えられた辞書的な語意を記す. (カ ッ コ内の 数字は登場章.) ④ 「道長は (略) 強い勢力を持つように・・」 □→他を服従させる勢いと力. ⑤ 「信長は, (略) 近畿地方の勢力と戦いました.」 ◎→他を服従させる勢いと力. (しかしこの場 ’「個人」 または 「団体」 を指す. こ 合は, このような, 今後拡大するであろう勢力を持っ ている れは, 辞書には登場しない語意である.) ⑥ 「日本は (略) 朝鮮に勢力を伸 ばそうとしました.」 ◎→他を服従させる勢いと力. (他国を侵 略する軍事力の意として用いられる. ◎中にこれと同様の用例が他に5例ある.) ①~③と④~⑥, また, 教科書中の 「勢い」 と 「勢力」 の2語を比較して見ると, それぞれに微 妙な差異が認められる. これらが, 意味の上で未分化のまま無定義に用いられているのは, 前に指 摘したが, 時代が下り, 岡に至ると, 「勢力」の方には, ある方向付けが出て来る. 他国を侵略する 軍事力の意味が, 出て来るのである. (⑥参照)どのよう根拠を以て, このような意味付けを行っ た のか, もう一度, ①~③と④~⑥の, 「勢い」 「力」 双方の関係の語葉を見てみよう. 併記した辞書上の意味によると,「勢い」とは, 伸ばし, 他を打ち破っ て拡大するもの, 一方,「力」 とは, 持っ ている (備わっ ている) もの, 維持するもの, 他に働きかけ動かそうとする作用, と位 置付けられる. この両者を以て為されるものを 「他国への侵略」 と意味付け, 「勢力」 という, 字画 の面からも相当する語を当てはめたということが考えられる‐ このように, 様々な語意が, 「力, 勢い, 勢力」の3語に集約されている. 具体的に言うと, 上記 の例文に代表される様に, 「産業, 経済, 外交, 軍事」に関する文脈の中で用いられており, 本来な らば, そうした文脈との関連で, 別の語で記述されるべきものが, この3語に集約されているので 11.

(13) . . 三上勝夫・矢部玲子. ある. 今回の調査の結果, 6産業関係の語桑, 7外交関係の語桑, 8軍事関係の語薬の3項に直接 関係する語集のうち, 集約された語に替わるべき言葉は登場しなかっ た. 教科書で扱われている「歴 史」 の内容が, 主に 「政治史」 であることと関係 していると思われるが, このような体裁を取って いる立場上, 6~8の項に関しては十分な紙面 が割けず, 割愛せ ざるを得ない状況になっ たのでは ないだろうか。 その結果, この3項に関する用語の記述が必要なときには, 既に登場した, 読み手 にもお馴染 (?) の 「力, 勢い, 勢力」 の3語に転用, 集約されることにつ ながっ たことが考えら れ る.. これらのことは, もちろん, 読み手の理解に執筆者が配慮したものと思われるが, その結果が, 他に様々な意味を持つ語への再集約につながっ ているとしたら, どう であろうか. 却っ て, 各語の 意味は, 暖昧模糊としたものに なってしまうのではないだろうか. さしあたって, 「力, 勢い, 勢力」の3語に関しては, 非常に広範な(場合によっ ては, 同一の語 で正反対の) の意味を含みつつ文章中に登場し, そのことが, 児童の理解を妨げる原因につながっ ているという認識を,新たにすべきであろう.この是正の 一助とするための方法については,「4 ま とめ」 に後述する. 5. 政治関係の語藁. 社会. 12. 16. 33. 65. 改め る. 0. 0. 14. 14. 改革. 3. 5. 5. 13. 改新. 0. 1. 10 l o. ll. 改修. 改定. 1 2 1 1 0. 治める. け. 政治 改正. け 4 0 0 0. これに該当すると思われる言葉は, 「政治, 社会, 治める, 改 (正, める)」 に関係した語集であ る. 集計された数値を以下に記す. ) 合計 言葉 □ (三 )(五 0 (三 )(五 ) 合計 言葉 、 ,四 ,六 ,六 ,四 o. 0. 6. 7. o. 0. 4. 6. o. o. o. I. 0. 0. 0. I. 0. 0. 1. 1. いわゆる 「偽政行為」 を表すものとしては, 表中からは 「治める」 「政治」 の2語が, また, 「2 支配, 被支配関係の語藁J から 「支配するJ が挙げられる. 教科書の記述によると, これらの3語 には, 支配臭の強い順に 「支配する→治める→政治を行う」 という, 使い分けの基準があるようで ある. また, 国政に関係が深い順では, これと逆になっ ている. これらは, 執筆者の語感によって 設けられた基準であろう が, 辞書的な意味や, 日常の言葉との関係は, 妥当であろうか. 以下に, 「治める」 「政治 (を行う)」 についての考察を記す . 地方政治や民衆の自治などの, いわゆる統一国家体制の国政以外のものの行使については, 主と して 「治める」 が用いられる. 注のこれらは, 辞書上の語意によると, 対抗の勢力を抑えて平定した り, 支配者が上に立っ て, 管理, 統治する意味合いが強い. その点では, 今日の 「行政」 の内容と は, かなり差異が認められる. むしろ, 「2支配, 被支配関係の語梁」に近いといえるだろう. 換言 すれば, 近現代以前は, 「治める」の使用を通して, 国政成立以前であることを訴えていること, そ して, 「政治キ支配」 の構図で言葉が使用されていると見ることが出来るのではないだろうか. 「治める」 に関しては 前述の 「政治キ支配」 の構図を裏付ける例が数例, 特に岡中に多く認め , られる. 以下に, 登場例を記す (カッ コ内登場章) . ① 「源頼朝が, 鎌倉を根拠地として全国を治めようとした.」 日 ② 「武力で天下を治めるという信長の意気込み」 ㈱ ③ 「政府は, また, 人々を士農工商の 身分ごとに治めるのをやめ」 ◎ 12.

(14) . 小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析. 「国内を強力に治めていくためには 強い軍隊を持つことが必要である と考えた 」 ◎ , , . これらは, 「国政」 に関する記述であるが, 前述の 「政治キ支配」 の構図を印象づけるために, あえ て使用された可能性が考えられる. また, 「治める」 は, (四, 六) 中には登場しない. この理由は,(回と閃では少々異なる. まず,( 回であるが, 再度「2支配関係の語梁」を参照されたい. (三, 四)でこの関係の語藁数は, 激増している. しかも, このうち2/3近く が, 凹 )で登場している. 「命令 (命 じる)」 「きびしい」 「支配する」 「取り締まる」 「罰する」 「禁じる一 等 「治める」 を持つまでもなく 「支配を表す言葉」 , そのものが大量に登場し, 「政治キ支配」 の構図を印象づけている. 最早 「治める」 は必要ないので ④. ある. 的に関して言えることは, 少々異なる. ここで 「治める」 が登場しないのは, 執筆者側が, 現在 の 「行政」 すなわち 「国政」 を, 支配, 被支配とは位置付けず, そこから遠 ざける意図があるから ではないだろうか. そうならば, その意図は一応は成功だと言えよう. このように, 根底にある執 筆者の意図は, 現在の国政を民主的であり, 支配的ではないと位置付け, 肯定することにある. そ して, それを基準として, 過去の政治を限り無く 「支配」 に近かったと設定し, その時期に関して は, 「政治キ支配」の構図を印象づける記述を取ることもあろうが, そうした言葉の使い方がもたら すものについて, 改めて考えて見る必要はないだろうか. 「2支配関係の語桑」 の 「被支配者, 階層 を表す言葉」 の 「農民」 の項でも述べたが, 今回の調査では, 現代を肯定するために, 他の (特に 直前の) 時代に関して否定的な語奨を多く用いて記述する傾向が, 多々見受けられた. こうした記 述が, ある時代, ある職業, ある体制に対する偏見につながる可能性は, ないとは言えないであろ う. 「支配し搾取される封建体制下の農民」を表す記述の近辺に, そのような印象をやわらげる記述 や資料が付されるなど, 一応の配慮は見られるが, 「政治キ支配」の構図を印象づける記述の印象が やや強烈に過 ぎて, 期待されたほ どの効果は上がっ ていないという印象を受ける. 国政に関した記述の部分では, この 「治める」 は用いられなくなっ てくる. 代わっ て登場するの ( 2 } が 「政治 (に) プラス行う, する等の動詞」 と言う記述である. 注 これらは, 辞書上の語意によると, 「国を治める活動」であるが, 国政以外のものへの適用も可能 である. しかし, 教科書中の記述をすべて抽出してわかっ たことだが, この教科書では, 「政治」が 用いられているのは, 「国政」のレベ ルに限られている. この理由として考えられることは, 以下の 二点である. .国家統一が進み, 単に 「治める」 のみではない偽政を表す具体的な記述が必要になっ た. ・特に近現代では, 国家機構が, 支配者による人々の管理, 統治という単純な構造に納まりきらな くなっ て来たため, 「治める」 よりも支配, 被支配的な意味合いが薄い語を用いる必要が出てきた. 「政治を (に) このため, 「偽政一 すべてを包括した表現として, 「治める」 に代わって, 「政治」 ( プラス行う, する等の動詞」 )ということばを使用するようになっ たのではないだろうか. 事実, 明 確に 「政治」 と言う言葉が使用されるようになるのは, 幕府, 朝廷, 政府の偽政行為に関する場合 からである. 特に, 明治以降の部分 に関しては, 語数が激増する. 「天下統一」に大きく係わる豊臣 秀吉や織田信長の偽政行為は単に 「治める」 と記述され, 「政治」 とはみなされない. このような使 い分けを通して, 「朝廷の政治→武士の政治→武士の政治への批判→新しい政治 (明治以降)」 と言 う構成をとり, それによって, 現在の 「行政」 へとつながる政治の系譜から, 支配, 被支配的な意 味合いを遠 ざける意図が, 執筆者側にないだろうか. そうならば, この教科書の執筆者は, 政治関 係の言葉に関しては, 非常に厳密な使い分けをしていると言える. このような意図の下に用いられたと推測できる 「政治」 ということばであるが, その意図や語意 13.

(15) . 三上勝夫・矢部玲子 そのものは, 指導者や学習者に十分伝わっ ているのだろうか. この点に着目し, 「政治」周辺の記述 をもう少々子細に見てゆこう. 明治時代以降の記述には, 「政府が~を行った (した)」 と言う具体的な記述も非常に多くなっ て いる. これらの記述は, 「政治」 と同義に用いられているが, しかし, それにもまして 「政治」 その ものの語数の増加傾向は注目に値する. いわゆる政治的な語梁の中で, 「政治」の登場数は65回と, 単一の語の登場数としては群を抜いている. そして, 前述の通り, 明治時代以降の記述で, その語 数が激増している. 特に, 近現代においては, 様々な語で行政の具体的な内容が表現されていると いう状況であるにもかかわらず, である. 思うに, 具体的な記述を以てしても, なお, 説明が困難な場合や, 具体的な記述では, はばから れる場合に関しては, 「政治」 と言う語を当てはめているのではないだろうか. 「文化」 の項でも述べたが 「政治」 もまた無定義なことばである 文章中に登場した場合 各々 , , . の語例 について正確に語意を説明することは, はなはだ困難であると思われる. まして,「政治や社 会のしくみ」 の様な連語になると, 日常あまりにも身近な言葉であるだけに, かえっ て説明不可能 であろう. むしろ, 執筆者にとっ ては説明の必要などないことばとして, 位置付けられていた可能 性が強い. しかし, 一般の指導者や学習者にとっ ては, 意味不明の無定義な語が多出することは, それだけで理解を妨 げる結果を導くのである. それどころか, 耳慣れている分, 自分では理解出来 たと思い込んでしまう危険性も大である. 「政治」と言う言葉の, 支配, 被支配臭を消すという意図 は果たせたものの, 無定義な言い替えの多用によっ て, 理解の妨げが起こっ ていはしないだろうか. 次に, 「社会」 という言葉である. 2個所の登場とあるが, 単独のものは, (三, 四) で1個所, (五, 六) で2個所の, 表中には, 1 計3個所のみである. それ以外は 「政治や社会のしくみ」 という連語の形で登場する. ナるが, 一つ異なる点は, 社会科の これだけでは 「政治」 と同様に, 無定義な語という印象をうこ 教科書であるにもかかわらず, この語の登場回数が非常に少 ないことである. 周辺には, 「社会」 に置き換えても理解できる言葉がいくつも見受けられた. これらを 「「社会」 に代わることば」 と名 付け, 以下に紹介する. (アン ダーライ ン部分) Hなし □平和で豊かな世界, この不安な世の中 (三, 四)・ 貴族の世の中, 武士の世の中, 新しい世の中 (五, 六) (江戸時代の) 村, 町, いっ ぱんの人々の間にも広まっていきました. 日本全体がひと つにまとまり, 工業の発達とくらしの変化, 世間を惑わず, 町, 農村, 国民の間に広 め ま し た. 国 民 生 活. 「 「 これらの中で, 特にH~㈱では 「世の中」 , 因では 国民生活」 の語桑が, , 因では 町, (農) 村」 「社会J に代わるものとして 位置付けられる 中でも 「国民生活」 は タイ トノ暗B分への登場が目 , . 3 ( } 立 つ. 注. 4 ( )なぜこの部分 これらとは別に, 「平和で豊かな世界□」 の 「世界一も, 注目すべき言葉である. 注 「 「 を, 社会」 とせずに, 特に 世界一 としたのだろうか. この場合は登場 する一文でも明らかなように宗教 (仏教) 関係の言葉として用いられている可能 5 ( }非常に細かな配慮を以て言い替えがなされている 性が強い. 注 . このような, 様々な言葉への言い替えが起こるのは, 「社会」と言う言葉に含まれる構成人員の内 容や環境を, それぞれの場合でより具体的にするための工夫であろうか. 読者にとっ ては, 何 でも 一括して「社会」と言う言葉で記述されてしまうよりは, はるかに理解しやすい. 前述した, 「政治」 の暖昧さと比較 して, 執筆者の配慮が感じられる. 14.

(16) . 小学校社会科教科書の歴史的分野における用語の分析. 「改」 関係の語最も 相当数が登場した , . 「改」 の意は これまで続いてきた物事を より新しく 良くする であるが ここに登場する , , , , , 語桑は, すべてその意味に沿って用いられている. しかも, 登場が, 口と (五, 六) のみで, 特に (五, 六) の, 近代国家体制と, 戦後の民主主義体制の確立期に集中している. 他の部分に関して 6に の記述が 意図するものは何であ { は, 「変化」 「うつりかわり一 等の語が当てはめられている. 注 , ろうか. 封建体制に代わっ て, 今日まで続いている上記の二体制を肯定し, より推進する姿勢は, 少なくとも強く感じられるのである. だE. 注 ( 1 ) 以下に 登場文例をあげる (カ ッコ内は登場章) , . 地方の豪族たちは, それぞれの地方を自由に治め, 口 自分 たちの力で村を治めた. ◎ 2 注 ( ) 以下に 登場文例をあげる (カ ッコ内は登場章) , . 国の政治がどこで行われていたか. H 政治をする者の任務側 民主主義の政治的 3 注 ( ) 以下に 登場文例をあげる (カ ッコ内は登場章) , . 戦争と国民生活◎ 戦争中の国民生活◎ 産業の発展と国民生活◎ 4 ) 注 (. この語を含む一文をすべて抜き出すと, 次の通り. 「太子は 仏の力をかりて 平和で豊かな世界をこの世に実現したいと考えていたのでしょう 」 , , . ( 5 } 「世界一 は元来が仏教用語である 語意は次の通り 注 . . 宇宙. 「世」 は, 過去, 現在, 未来の三世, 「界J は, 東西南北, 上下を指す. 6 注 ( } 以下に 登場文例をあげる (カッ コ内は登場章) , . くらしや仕事の変化け 移り変わる社会( 四 ) なお, 6 外交関係の語桑, 7 産業関係の語集, 8 軍事関係の語築の項目については, 該当 の語梁を見せなかっ た. このことに関しては, 「4権力, 繁栄, 衰亡関係の語桑」 のうち, 「権力」 の項で述べたので, 参照されたい. 4. まとめ. 前項( )の考察を総合すると, 以下の通りである. 3 ・執筆者側では, 何らかの意図に基づき, 書き替えをしていると 思われる語が, 多数見られる. (例 村, むら, 国, くに, 勢い, 勢力, 社会など) ・この書き替えにある執筆者側の意図や基準は, 読者側での確定は出来ない. ・登場する語の中には, 同一の語ながら様々な意味を含む 「無定義語」 が多い. これらが学習者の 理解の妨 げになっ ているのではないかと懸念される. (例 政治, 文化, 人々, 力など) ・無定義語の中には, 辞書的な意味からかけ離れているものも多く, 理解のためにその都度検証を 要する. (例 政治, 文化, 人々, 力など) ・無定義語自体は基礎的な語桑であるが, 類義語が多く, 各々の判別が困難である. また, 各語の 意味についても特定が難しく, 学習者の理解の妨 げになっ ているのではないかと懸念される. (例. 村, むら, 国, くに, 勢い, 勢力, 力, 国民, 人々, 社会, 世の中, 治める, 政治など) 改めてまとめて見ると, 社会科の教科書の語桑と一般のそれとの間の隔たりが, 再認識される. もっ ともこの問題は, 社会科の教科書に限っ たことではないだろう. 様々な専門分 野の確立に伴い, それらに関する用語もまた, 「学術用語」として確立して行く. それらが, 他分野のそれや, 辞書上 に用いられる語桑の意味と異なることも, 現在では, もはや珍しいことではない. 15.

(17) . 三上勝夫・矢部玲子 確立した用語で歴史的事実を記述していれば, 大部分 の状況には対処できるが, まだ語暴力が未 発達な「児童」 が対象となる場合は, 執筆者側で次のような努力がなされるべき ではないだろうか. ① 「歴史を記述する用語」 として教科書中に登場する語の意味と, 辞書的な意味との間の関係の 見直し. 今日の学校の教科書の執筆は, いわゆる 「テクニカルターム」 を体得しているとされる 「専門家」 が, 関わっ ている. この場合に執筆者に要求されるのは, どの語凝が, 「テクニカルターム」に当た るのか, そして, それらと 「児童」 が理解し得る 「辞書的な意味」 との間に, どの程度の隔たりが あるのか, 正確に把握することであろう. 今回の調査, 分析を通してその隔たりの大きさがわかっ た. この隔たりの認識が, わかり易い教科書への第一歩ではないだろうか. ② 「歴史を記述する用語」 から, 「辞書的な意味の語」 への歩み寄り. 我々は, 日常の言語生活を, 基本的には, 辞書的な意味に基づいて送っ ている. 学問上では無定 義語であり, 解説の必要がないとされていても, 我々にとっ ては, 理解できない語である場合も, しばしばある. 無定義語を無意識に多用したり, 異なる意味の多数の語を, 少数の類義語に集約す ることで, 却っ て理解しにくく している場合もあるのである. 執筆に当たっ ては, 辞書的な意味を 重視して, 語集を選定されることを, 第一に考えられたい. その上で, 難解な語には, 解説欄を設 けたり, 「政治, 力, 人々」のように, あらかじめ多出が予想される語に関しては, 含まれる意味や 読み方など, 「テクニカルターム」 の初歩の指導も必要であろう. なお, 以上の考察に基づき, 教科書の 「歴史を記述する用語」 の内容や意味の読み手への伝わり 方に関する調査を行っ た. この結果と考察については, 稿を改めて報告したい. 以上. 参考文献 「広辞苑 ( 「新訂新しい社会6上下 ( 96 9(昭和4 ) 年 岩波書店)」 19 8 8(平成元) 年 東京書籍)」 1 4 「 「新明解国語辞典 ( 8 新国語辞典 ( 19 3(昭和5 8 ) 年 角川書店)」 1 9 81(昭和5 6 ) 年 三省堂)」 「学研国語辞典 ( 「国語辞典 ( 1 98 0(昭和5 5 ) 年 旺文社)」 1 9 79(昭和54 ) 年 学習研究社)」 「国語辞典 ( 1 9 7 3(昭和4 8 ) 年 岩波書店)」 なお, 教育方法学研究室3年生 虻川謙氏, 納谷治子氏, 福家弘子氏, 松本輝氏, 安田宣彦氏 以上の方々の御協 力に心より感謝申し上げます‐ 〔付記〕 小論は矢部が執筆し三上が帽 導助言を与えたものである.. (三上 勝夫:本学教授札幌分校 矢部 玲子:本学大学院生修士課程1年学校教育専修). 16.

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