米粉 と 各種澱粉併用 によ る低 ア レ ルゲ ン性蒸 し パ ンへの応用
Application of rice flour with various starches to the low-allergenic steamed-bread
前 田 智 子*
安 藤 ひと み**
森 田 尚 文***
M AEDA Tomoko
ANDOU Hitomi
MORITA Naofumi
優れた加工特性 を示す小麦粉は多種多様の加工食品 を も た ら し , 日本の食生活 を支え る重要な食品素材のひと つであ る が, 一方で その タ ンパ ク質の性質 によ り 代表的 な ア レ ルギー反応 を示す こ と で も知 ら れてい る。 日本におけ る低い食料自 給率の向上 と 食物 ア レ ルギー反応の低減化 を目指 し , 近年, 小麦粉代替品 と し て, 国産米粉が注目 さ れてい る。 本研究で は, 小麦粉の代替品 と し て米粉 を取り 上げ, 小麦粉の 「焼 く 」 と いう 調理 ・ 加工方法に対 し, 米粉に適 し た 「蒸す」 と い う 手法に よ り 蒸 しパ ンを調製 し た。 米粉の品質改良剤 と し て各種澱粉 も併用 し , その美味 し さ と 低 ア レ ルゲ ン性 を示す米 粉加工食品の調製方法 を検討 し た。 ウルチ米粉の小麦粉 ア レ ルギー反応は陰性であ っ たが, 使用 し た澱粉には陽性 を示す も のも あ っ た。 さ ら に, 反応は弱 い も のの, 全 ての米粉蒸 し パ ンか ら 陽性反応が認め ら れた。 米粉単独によ る蒸 し パ ンは, 保形性 と 膨 ら みの悪い外観で あ っ た。 し か し , 米粉由来のリ ン酸架橋澱粉 と ヒ ドロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋澱粉の添加 に よ り , その保形性や膨 ら みと 明 る さ は向上 し , ウルチ米粉単独の蒸 し パ ンに見 ら れた崩 れやす さ も改善 さ れた。 一方, こ れら に タ ピ オ カ 澱粉 を併用す る と , 同様に良好 な結果が得 ら れたが, 極めて硬い蒸 し パ ンと な り , ソ フ ト 感保持 と 改善 には至 ら なか っ た。 従 っ て, ウルチ米粉べ一 スの製品には, 同様のウルチ米由来の加工澱粉 と の相性が良 く , 米粉加工食 品への品質 改善効果が期待 さ れた。 し か し , ア レ ルギ ー反応の視点か ら は, 米粉製品 で あ っ て も小麦 ア レ ルギー患者に対 す る詳細な検討が, 更に必要で あ る と 考え ら れた。 キ ーワ ー ド : 米粉, 低 ア レ ルギー, 加工澱粉, 小麦粉, 蒸 し パ ン
Key words : rice flour, low-allergy, modified-starch, wheat flour, steamed-bread
1 . 緒言
日本 に米 が伝 わっ たのは縄文時代 と い われてお り , 弥 生時代 に大 き く 広がっ た。 米粉の利用 については奈良時 代, 遺唐使によ り 唐の文化が伝え ら れ, 小麦粉や米粉を 用い, 油で揚げた煎餅のよ う な唐菓子が伝わっ たと さ れ てい る。 こ の唐菓子の移入以降, 穀物 を加工 し た日本の 菓子が始ま っ た。 伝統的な米粉の用途と し ては主に米菓, 和菓子 な どがあ る。 日本では米の消費が1963年度の年間1,341万 ト ンから 近年は900万 ト ン台ま で落ち込んでおり , 一人あたり の 消費量は1962年度の118.3kg から2011年度には57.8kg と 激減 し てい る。 こ のよ う な状況のも と , 行政や関係団体 は米の消費拡大 を目指 し た取 り 組みを行 っ てき た。 し か し , 従来から あ る, 煎餅, 団子, 落雁, 大福餅, さ く ら 餅 な どの和菓子製品 だけ では消費拡大 を期待す る こ と は 難 し か っ た。 小麦粉 グルテ ン を添加 し てパ ンや麺 な ど を 量産す る技術が確立 さ れたこ と によ り , 米の消費拡大へ の期待 が高ま っ てい たが, 10年以上普及 し なかっ た。 理 由は米 と 小麦の価格差 によ る も ので あ っ た。 ま た, 米粉 製品 を学校給食に取 り 入 れる自治体 も出てき たが, 技術 的問題によ り 品質 にば ら つき があ る な ど急激に普及す る ま で には至 っ てい なか っ た。 し か し近年 , 中国やイ ン ド等での食糧需要の増大や, 世界的 なバイ オ燃料の原料 と し ての穀物等の需要増大 と い っ た構造的 な要因 に加え, 輸出国におけ る輸出規制に 伴い, 麦の国際相場が大幅に上昇 し ており , 小麦粉代替 品 と し ての日本国産の米粉が脚光 を浴 びるこ と と な っ た。 小麦価格高騰 を受け, 農林水産省は代替原料 と し て米粉 の増産支援に乗り 出すこ と と なり , 2009年 4 月に米穀の 新用途への利用の促進に関す る法律 を成立 し た ' ) 2 )。 そ れに よ り , 特にパ ン用 ・ 麺用等につい て米粉の利用 促進 を図 っ てお り , こ れま での地域 ・ 中小企業の取組み に加え, 大手企業 も取り 組みは じめ, 米粉用米の生産量 は2012年度で約 2 万 8 千 ト ンに増加 し, 2020年度には50 万 ト ン を日指 し てい る。 こ れに伴い米粉パ ンの学校給食 導入状況は, 給食実施校数 (校) に対 し て2009年には39 % と な り 5 年 前の 3 倍 の値 と な っ て い る 3)。 一般 に, パ ンや麺は小麦粉で加工 さ れて き たが, 小麦 粉 には米 には な い タ ンパ ク 質 に よ る 食物 ア レ ル ギ ー を 生 じ る こ と があ る。 ア レ ルギー反応の治療の基本は, ア レ ルギーの原因 と な っ てい る食品 を 除去す る こ と で あ り , 小麦使用 におい て も ア レルギー問題は深刻 な課題で あ る。 以上の事情 を踏まえ て, 本研究では, 米粉の有効利用 を目的 と し , 米粉 を用い たパ ン を調製 し , その美味 し さ と ア レ ルゲ ン性につい て検討 し た。 特に, 本稿では焼成 パ ンのよ う な 「焼 く 」 と い う 手法 ではな く , 米粉に適切 * 兵庫教育大学大学院教育内容 ・ 方法開発専攻行動開発系教育 コ ース * * 京都文教短期大学 * * * (株) FUDAI, 東洋食品工業短期大学 平成25年11 月 1 日受理な加工 ・ 調理方法であ る 「蒸す」 と いう 手法 を使用 し, 蒸 しパ ンを調製 し た。 ま た米粉製品の品質改良剤 と し て 各種澱粉 を併用 し , 米粉の加工食品への最適な実際応用 に つい て検討 を行 っ た。 2 . 実験試料 ウ ルチ種 の米粉 , ウルチ米粉100% を コ ン ト ロ ール と し た。 市販 の天然 タ ピ オ カ 澱粉 の他 に, リ ン酸架橋 タ ピ オ カ 澱粉, リ ン酸架橋 ウルチ米澱粉, ヒ ド ロ キ シ プロ ピ ル化 リ ン酸架橋 ウルチ米澱粉の 3 種類 を併用 し た。 蒸 し パ ン調製用 の副材料 と し て, 市販の上白糖, 重曹, イ ー ス ト を使用 し た。
3 . 実験方法
3-1 . ア レルギ ー試験 4) 米粉, 各種澱粉試料な ら びに蒸 し パ ン製品につい て, 食品 ア レ ルゲ ン検出 キ ッ ト ( ナ ノ ト ラ ツ プ ー ア レ ルゲ ン 検出 シリ ーズ ・ 小麦, 生化学バイ オ ビジネ ス ( (株) ) を 用い て, ア レ ルゲ ン試験 を行 っ た。 3-2. 米粉によ る蒸 し パ ンの調製 4 ) 材料は, 各種粉の総量を50 g , 上白糖15 g , イ ース ト 0.75g, 重曹0.25 g , 蒸留水は各配合に対 し て最適量を予 備実験によ り 検討 し , 32-70 g と し た。 詳細な材料配合 3-3. 蒸 し パ ンの品質特性 (1 ) 外観 と 高 さ の測定 4) 蒸 しパ ン調製後, 室温 (25度) で30分間冷却 し, 外観 結果 を デジ タ ルカ メ ラ (LCS-L1, ソ ニ ー (株) ) で撮影 し た。 ま た, 室温 (25度) で24時間冷却 し た後, パ ンを 中央部か ら二つに切断 し , 最も 膨 ら んでい る箇所の高 さ を計測 し た。 (2) 物性試験 (破断 , テ ク スチ ヤ一試験)5 )''
) 各種蒸 しパ ンを調製後, 室温 (25度) で24時間冷却 し 物性 を測定 し た。 パ ンを口歯んだ時や, 手で押 さ え た時 を 想定 し た物性 を調べ る ために, ク リ ー プ メ ー タ ー ( (株) 山電 RE-3305S) を用い て破断及びテ ク スチ ヤ一試験 を 行 っ た。 破断試験は, 試料の大 き さ を 2 x 3 x 2 cm と し, プラ ンジャー No 49 ( く さ び型) , 歪み率50%で行っ た。 一方, テ ク ス チ ヤ一試験は, 試料の大 き さ を 2 X 3 X 4 cm と し , プ ラ ン ジ ャ ー No. 1 (円型) , 歪み率25% で行 っ た。 (3) 色彩測定 4) 各種蒸 しパ ンを調製後, 室温 (25度) で24時間冷却 し, 測色計 ( ミ ノ ルタ (株) CM -3500d) の彩チ ェ ッ ク を用 い て色彩 を測定 し た。 2 X 3 X 4 cm に切断 し た試料 を 2 個使用 し , 直径3.0cm シ ャ ー レ ガラ ス上 に置き , D65 光源, 視野10度で, 各々, 2 回ずつ測定 し た。 を表 1 に示す。 家庭用蒸 し器を使用 し, 下記の手順で, 4 . 実験結果 カ ッ プ型蒸 し パ ン 7 種 を調製 し た。 ま た各材料の重量 を 4-1 . ア レルギ ー試験結果 4 倍 と し , 直径18cm の円形型 で も発酵お よ び蒸 し 時間 米粉 と 各種澱粉のア レ ルギー試験 を行 っ た。 結果にお を各々, 40分, 20分 と し て同様に行 っ た。 い て, 以下の表記に統一 し た。 1 . 各種粉, 上白糖, 重曹, ド ラ イ イ ース ト を計量 し , 陽性 ( 十) : ア レ ルギー反応がみら れる。 ふるい にかけ る。 陰性 (-
) : ア レ ルギ ー反応 がみ ら れな い。 2 . ボウルに蒸留水 を入 れ, 1 を加え , 混ぜ合わせ る。 表 2 よ り , ウルチ米粉は陰性反応で あ っ たが, リ ン酸 3 . 型に流 し 込み, ラ ッ プ を し て, 室温 (25度) で30分 架橋 ウルチ米澱粉ではう っす ら と 陽性反応が出 た。 各種 間発酵 させる。 粉試料のキ ッ ト 写真 を写真 1 に示す。 4 . 蒸 し 器で, 強火で15分間蒸す。 一方, 蒸 しパ ンの結果を表 3 と 写真 2 に示す。 明 ら か なお, カ ッ プ型 と円形型で, 結果に同様の傾向が見 ら な ラ イ ン検出 (陽性反応) ではない も のの, 完全 な陰性 れたので , 本稿 では, 特 に カ ッ プ型蒸 し パ ンの結果 を取 反応 を示 し た も のはな か っ た。 強弱はあ る も のの全 ての り 扱 う こ と と す る。 蒸 し パ ン試料 で , う っ す ら と ピ ン ク の ラ イ ン を示 し た。 従 っ て, 本試料のよ う に小麦粉 を含ま ない食品で あ っ て 表 1 . 米粉蒸 しパ ンによ る材料配合 試料No 試料 ウルチ米粉 タピオカ澱粉 ヒドロキ推
1 ン酸架橋 ウ親
粉 タ 上白精 イースト 重曹 蒸留水 (g)表 2 . 各種粉 試料 の キ ッ ト に よ る おけ る課題の大 き さ が推察 さ れた。 小麦 ア レルギ ー反応結果
リン酸架 喬ウルチ米澱粉
±
リン酸架 喬タピオカ澱粉
-
も完全 な陰性反応 を示す こ と はな く , その原因 と し ては, 加工 に伴 う 副材料や加工過程等 も 関与 し てい る と 思われ た。 以上の結果は米粉加工食品であ っ て も, 小麦アレルギー 反応患者に対 し て, 全 てが完全 な ノ ンア レ ルゲ ン食品 と し て対応 で き る も のばかり では な く , 食品 ア レ ルギーに 4-2. 米粉 によ る蒸 し パ ンについ て (1 ) 外観 と 色彩結果 写真 3 に示す よ う に, 米粉単独の No. 1 では, かな り 好 ま し く ない外観で あ り , 膨 ら みの悪い蒸 し パ ンと な っ た (No. 1 ) 。 し か し , そ れは同 じ ウルチ米由来のリ ン 酸架橋澱粉や ヒ ド ロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋澱粉添加 に よ り 改善 さ れ, 蒸 し パ ンの色の明 る さ や保形性 を向上 さ せた (No 2 , No 3 ) 。 特に, 色味の ト ー ンは, 米 粉と リ ン酸架橋ウルチ米澱粉の併用 (No 3 ) で, 赤味, 黄味 を抑制 し つつ最 も明 る く な っ た。 一方, No 7 に見 ら れる よ う に, リ ン酸架橋 タ ピ オ カ 澱粉の添加は, 他の 加工 澱粉試料 よ り も L* 値が低 く , 蒸 し パ ンの白度や明 表 3 . 蒸 し パ ン試料のキ ッ ト に よ る小麦 ア レルギ ー反応結果 No. 1 ウルチ米粉100% (コントロール)±
弱
No 5 タピオカ澱粉+ No 6 タピオカ澱粉+ No 7 タピオカ澱粉+±
±
±
±
±
±
弱
弱
中
中
中
強
ー
リン酸架橋タピオカ澱粉 ウルチ米粉 タピオカ澱粉 ヒドロキシプロピ リン酸架橋 リン酸架橋 ル化リン酸架橋 ウルチ米澱粉 タピオカ澱粉 ウルチ米澱粉 写真 1 . 各種粉試料のキ ッ ト によ る小麦 ア レルギ ー反応結果n
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.No. 1
No 2
No 3
No 4
No 5 No 6
No 7
写真 2 . 蒸 しパ ン試料のキ ッ ト に よ る小麦 ア レルギ ー反応結果 No. 1 , ウルチ米粉100% ( コ ン ト ロ ール) ; No 2 , ウルチ米粉十 ヒ ドロ キシ プロ ピル化 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; No 3 , ウルチ米粉十 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; No 4 , ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉 ; No 5 , ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉十 ヒ ドロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; No 6 , ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉十 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; No 7 , ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉十 リ ン酸架橋 タ ピオ カ澱粉 る さ を低下 さ せ る傾向 を示 し た (表 4 ) 。 ま た, タ ピ オ カ 澱粉 と ヒ ド ロ キ シ プロ ピ ル化 リ ン酸架 橋 ウルチ米 澱粉の併用 (No. 5 ) , あ るいは リ ン酸架橋 ウルチ米澱粉 と の併用 (No. 6 ) で も , 蒸 し パ ンの体積 と 膨 ら みは共に増加 し , 保形性の改善が見 ら れた。 こ れは、 タ ピ オ カ 澱粉単独 (No 4 ) , あ るい は リ ン 酸架橋 タ ピオカ 澱粉の添加 (No. 7 ) では見 ら れない結 果 で あ っ たので , No 2 と No 3 の結果 と 同様 に, ウ ルチ米粉べ一 スの製品 には, 同様のウルチ米由来の加工 澱粉で相性が良 く , 製品への品質改善効果がある と 思わ れた。 (2) 物性試験結果 1 ) 破断試験 表 5 に示すよ う に, 米粉単独の蒸 しパ ンはかな り 低い 最大荷重0.75を示 し , 軟 ら かい蒸 し パ ンと な っ た (No. 1 ) 。 いず れの澱粉添加で も , 値は高 く な り , 蒸 し パ ン は硬 く な っ た。 特 にその傾向は, タ ピ オ カ 澱粉添加で強 く 見 ら れた (No 4 ) 。 し か し , 外観, 色彩, 膨 ら みな どで良好な傾向 を示 し た No 2 , No 3 即ち, ヒ ドロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋お よ びリ ン酸架橋 ウルチ米 澱粉 の添加 ではそ れほ ど高 く は な ら ず, 比較的低い値 を示 し た。 こ れは写真 3 で示 し たよ う に, 同 じ く 外観等で良好 な結果 で あ っ た , タ ピ オ カ 澱粉 を併用 し て い る No. 5 と No. 6 と は極めて異な る物性結果で あ っ た。 2 ) テ ク スチ ヤ一試験 破断試験 と 同様に, 最大荷重は米粉単独でかなり 低い 値 を示 し , 澱粉 を添加 し た試料の中で は No 2 , No. 3 即 ち , ヒ ド ロ キ シ プロ ピ ル化 リ ン酸架橋お よ びリ ン酸 架橋 ウルチ米 澱粉の添加 で , も っ と も コ ン ト ロ ールに近 い値 を示 し た (表 5 ) 。 その他の試料では コ ン ト ロ ール の20倍以上高い値を示 し, 破断試験の結果より コ ント ロ ー ルと の間 で差が大 き く 認め ら れた。 こ れは, プ ラ ン ジ ャ ー の形態が破断試験の く さ び型か ら テ ク ス チ ヤー 試験 では 円型と なり , 前者は試料を切る方法で, 後者は押す方法 で抵抗値 を測定す る ため, よ り 試料間の硬 さ の違いが明 ら かに な っ た も の と 考え ら れる。 ま た, 凝集性に つい ては, コ ン ト ロ ールでは0.265 と かなり 小 さ く , 崩 れやすい蒸 し パ ンであ る こ と がわかる。 こ れに対 し , 澱粉添加 を し た試料では全 て値が増加 し て い る こ と から , こ れら が蒸 し パ ンの崩 れに く さ に関与 し てい る と 思 わ れた。 以上の物性試験の結果よ り , 軟 ら か く 崩 れに く さ を保 持 す る には, 米粉 に対 し て ヒ ド ロ キ シ プロ ピ ル化 リ ン酸 架橋 ウルチ米澱粉 を併用 し た も の (No. 2 ) で あ る こ と がわか っ た。 結論 優 れた加工特性 を示す小麦粉には ア レ ルギー反応 を も た ら す タ ンパ ク質 が含 ま れてい る ため, 近年, その代替 食品 と な る素材が検討 さ れつつあ る。 ま た同時に, 小麦 と 同様, 我々の食生活 を支え てい る米の消費量低下が問 題 と なり , 米粉の有効利用 も望ま れつつある。 本研究で は特に ア レ ルギーと い う 視点 だけ ではな く , 学校給食に も使用 さ れつつあ る米粉の実際応用 を日指 し , 米粉加工No 0 0 0 0 0 0 〇
N
N
N
N
N
N
N
写真 3 . 蒸 しパ ンの外観観察結果
ウルチ米粉100% ( コ ン ト ロ ール) ; ウルチ米粉十 ヒ ドロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; ウルチ米粉十 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; ウ ルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉 ; ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉十 ヒ ドロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; ウルチ米粉十 タ ピオ カ澱粉十 リ ン酸架橋ウルチ米澱粉 ; ウルチ米粉十 タ ピオ カ 澱粉十 リ ン酸架橋 タ ピオ カ 澱粉 表 4 . 蒸 し パ ン試料の色彩結果L* a* b* XYZ- X XYZ- Y XYZ- Z
No ルチ 100% コントロール 66.53 - 1.09 22.06 33.84 36.02 23.32 No 5 タピオカ澱粉+ No 6 タピオカ澱粉+ No 7
タピオカ澱粉+
75.27
- 0.01
20.78
46.18
48.71
34.18
リン酸架橋タピオカ澱粉 食品 を調製 し , その品質 を調べた。 こ れま で米粉 を用い た加工実験 を行 っ て き たが, 製パ ンな ど小麦粉が得意 と す る 「焼 く 」 と いう 加工方法は, 米粉単独では, 安定 し た最終製品 を得 る こ と がで き なか っ た。 そ こ で, 本稿で は従来か ら米 に最適 に使用 さ れて き た 「蒸す」 と い う 加 工手法によ り 「蒸 しパ ン」 を調製 し た。 加工特性の低い 米粉の品質改良剤 と し て, 各種澱粉 を併用 し , その物性 や味 わいか ら , 良好 な低 ア レ ルゲ ン性蒸 し パ ンの実際応 用につい て検討 を行 っ た。 蒸 し パ ン調製前の米粉では, キ ッ ト によ る小麦粉 ア レ ルギー反応は陰性 で あ っ たが, 澱粉につい ては陽性 を示 す も の も あ り , さ ら にい ず れの蒸 し パ ンから も , その強 度は弱い も のの陽性反応が認めら れた。76.00
- 1.49
16.27
46.77
49.89
38.70
78.87
- 1.16
13.57
51.43
54.71
45.28
66.95 - 1.69 11.18 34.18 36.57 30.74 76.88 - 0.10 18.39 48.64 51.34 38.2176.51
0.54
19.25
48.29
50.73
37.02
米粉単独 によ る蒸 し パ ン, 即 ち コ ン ト ロ ールでは, パ ンの膨 ら みと 保形性が悪 く 釡落ち し た好 ま し く ない外観 と な っ た。 し か し , 米粉由来のリ ン酸架橋お よ び ヒ ド ロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋澱粉の添加は, 保形性や明 る さ を向 上 さ せ た。 こ れは, タ ピ オ カ 澱粉単独 , あ る いは リ ン酸架橋 タ ピオカ澱粉の添加では見 ら れない結果であ っ たが, リ ン酸架橋 あ る いは ヒ ド ロ キ シ プロ ピ ル化 リ ン酸 架橋 ウルチ米 澱粉は, タ ピ オ カ 澱粉 と 併用す る こ と で そ の膨 ら み と 保形性 を よ り 向上 さ せ てい る よ う で あ っ た。 物性試験 では, コ ン ト ロ ールではかな り 軟 ら かい蒸 し パ ン と な っ たが, いず れの澱粉添加で も , 蒸 し パ ンは硬 く な っ た。 特 に その傾向は, タ ピ オ カ 澱粉単独で強 く 見 ら れた。 し か し , 外観, 色彩 , 膨 ら みな どで良好 な傾向No 5 タピオカ澱粉+ No 6 タピオカ澱粉+ No 7 タピオカ澱粉+ 8.46 0.992 19.93 26.10
ー
リン酸架橋タピオカ澱粉 を示 し た リ ン酸架橋お よ び ヒ ド ロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸 架橋 ウルチ米 澱粉の添加では, 比較的軟ら かい蒸 し パ ン と な っ た。 同 じ 二種類の加工 澱粉 を含 み, かつ タ ピ オ カ 澱粉 を含む蒸 し パ ンでは, 外観等では良好 な結果 を示 し たが, かな り 硬い蒸 し パ ン と な り , タ ピ オ カ 澱粉の影響 が大 き い も の と 思われた。 テ ク ス チ ヤ一試験 で も , 同様の傾向 を示 し , さ ら に凝 集性につい ては, 崩 れやすい蒸 しパ ンであ っ た コ ン ト ロ ー ルに対 し て, 澱粉添加試料では全 て崩 れやす さ が改善 さ れ, 特 に タ ピ オ カ 澱粉 を含 む も ので , そ れは顕著 で あ っ た。 以上の結果よ り , リ ン酸架橋あ るいは ヒ ド ロ キ シ プロ ピル化 リ ン酸架橋 ウルチ米澱粉の添加によ り , 蒸 し パ ン の体積, 膨 ら みは共に増加 し , 保形性 と 色相, 外観の改 善 が見 ら れた。 こ れは, タ ピ オ カ 澱粉 を含 む も ので は見 ら れない結果で あ っ たので , ウルチ米粉べ一 スの製品に は, 同様のウルチ米由来の加工澱粉と の相性が良 く , 米 粉最終製品の改善効果が期待 で き る と 思われた。 一般に タ ピ オ カ 澱粉はその食感改善 な どの目的 で , 小 麦粉製品 に も 添加 さ れてい るが, 今回のよ う な米粉べ一 スの蒸 し パ ンには, 保形性改善 には良好 で あ っ たが, ソ フ ト 感改善 には強す ぎ る も ので あ っ た と 推察 さ れる。 米粉 を加工す る上で, 加工澱粉と の併用の仕方 (種類, 量) によ っ て, ま っ た く 異な る外観 と 物性の蒸 し パ ン と な るこ と がわかり , 安定 し た美味 しい品質の最終製品の 加工 には, 米粉に適 し たこ れら の素材の適切な配合割合 を調べ る必要があ る。 ま た, ア レ ルギ ー反応の視点 か ら は, 小麦粉に替わる食品素材と し て米粉 を取り 上げ るな ら ば, 米粉製品の小麦 ア レ ルギー患者に対す る詳細な検 討 が必要で あ る と 考え ら れた。引用文献
1 ) 米穀の新用途への利用の促進に関す る法律関連情報, 農 林 水 産 省 http://www.maff.go.jp/J/seisan/keikaku/ 12.12 0.897 8.09 7.25 8.75 0.998 19.79 29.29 komeko/k houritu/ 2 ) 「米粉の利用促進について」 農林水産省 (平成25年 4 月) http://www.maff.go jp/J/seisan/keikaku/komeko/pdf/20130403.pdf
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5 ) 前田智子, 溝内尚子, 森田尚文, 各種古代米の性質 と 製パンへの応用, 食品と科学, 51, 65-72 (2009) . 6 ) 前田智子, 森田尚文, 新 しい食品素材 分級小麦粉 の特性 と 製パ ンへの利用 ( その 1 ) , 食生活研究, 22,1-42 (2001).
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bread, J. App1. Glycosci., 48, 27-36 (2001) .
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