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ポペット弁型圧力制御弁の内部流れ解析とヒステリシスの再現

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Academic year: 2021

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ポペット弁型圧力制御弁の内部流れ解析とヒステリシスの再現

増 田 精 鋭

**,****

,清 水 文 雄

***

,渕 脇 正 樹

***

,田 中 和 博

***

Internal Flow and Hysteresis Characteristic of the Poppet Type Pressure Control Valve

Seiei MASUDA, Fumio SHIMIZU, Masaki FUCHIWAKI, Kazuhiro TANAKA

 Poppet valves are often used as a pressure / flow rate control valve for a hydraulic system. Much research has been conducted on the characteristics of poppet valves. Hysteresis characteristics have emerged in pressure-flow characteristic experiments of poppet valves designed and prototyped by the author. In order to clarify the mechanism of this hysteresis characteristic, we firconfirmed the reproduction of hysteresis and confirmed the validity of the research policy. Specifically, we investigated the internal flow by CFD analysis and examined the reproduction of hysteresis characteristics by CFD. The CFD software used is Simerics MP +, which allows CFD analysis to be combined with the valve’s equation of motion. First, the precision of CFD analysis was verified by confirming that the experimental values of in the reference and calculated values were in good agreement. Furthermore, CFD steady flow analysis of the internal flow was performed, and the validity of the calculation results such as the flow patterns, flow coefficient, and flow force was examined. As a result, it was clarified that there is a flow pattern that can be roughly divided into two types of internal flow with different flow rates. Then, by changing the flow rate in a time-dependent manner using CFD, we were able to reproduce the hysteresis characteristics that are in good agreement with the experimental results.

Key words:Hydraulic system, Poppet valve, Flow force, Hysteresis characteristics, Pressure control valve, CFD

1.緒   言  ポペット弁は,油圧装置の圧力制御弁または流量制御弁 としてスプール弁に次いでよく使用され,以前より広く研 究が行われている.大島1)らは,ポペット弁の特性に対す る弁形状の影響について実験結果を報告した.その中で弁 形状と弁下流のえり巻き形状(以下,カラーと呼ぶ.)を 変更することでポペット弁の流体力を低減する方法につい て実験結果を報告している.Ito2)らは,ポペット弁周囲の 弁体表面の圧力分布と流体動力を測定して解析結果との比 較を行った.Johnston3)らは,カラー無し,および,カラー 有りのポペット弁内のフローパターンと流体力に関する実 験結果を報告した.カラー無しポペット弁を使用した可視 化実験では,3種類のフローパターンが存在し,それらが 流体力に影響を与えることが示されている.Vaugan4)らは, 市販ソフトウェアを使用して有限体積法によるポペット弁 周りの数値流体解析(CFD)を実施し,流れ場を解析した. Rundo5)-6)らは制御圧力を設定できるリリーフ弁に使用され るポペット弁のCFDを実施し,流体力を発生させるフロー パターンを予測し,カラーによって流体力を低減する方法 について報告した.  また,ポペット型圧力制御弁の安定性についても多くの 研究が行われてきた.Hayashi7)らは,ポペットが弁座に接 触しているかどうかに応じて,2種類の振動モードがある ことを報告した.しかし,ポペット型圧力制御弁の明確な 安定基準は得られていない.  本研究の動機は,著者が設計試作したポペット弁8)の圧 力―流量特性実験で,非常に長い周期を持ち流量変化に対 する圧力勾配の極性が変化するヒステリシス特性が発現し たことである.このヒステリシス特性については研究がな されておらず,その発生メカニズムを解明するために, CFD解析で内部流れを解明するとともに,その特性をCFD で再現することを研究した.ヒステリシス現象は典型的な 非線形現象の一つであり,ポペット弁およびポペット型油 圧制御弁の安定性に大きな影響を与えている可能性は否定 できない.  Fig.1に試作検討された圧力制御弁の形状を,Table1に その主要寸法を示す.定格条件は圧力4.0MPa,流量180ℓ/ minで弁変位1mmである.Fig.2に実験で取得した圧力流 量特性のヒステリシス特性を示す.またその実験装置を 研究論文      *令和2年10月9日 原稿受付     **九州工業大学大学院 情報工学府 博士後期課程 (所在地:福岡県飯塚市川津680-4) (E-mail:masuda.seiei624@mail.kyutech.jp)    ***九州工業大学大学院 情報工学研究院   ****株式会社 IHI 航空・宇宙・防衛領域 制御技術部 (所在地:東京都昭島市拝島町3975-18)

(2)

Fig.3に示す.Fig.2の矢印①から⑤は,制御圧力の軌跡の 時間的な順序を示す.流量増加に対する制御圧力が往路で は定格条件の流量の20%程度までわずかに増加した後, 徐々に開口圧力まで低下していくが,質量流量が定格条件 の80%程度に達すると,経路③は流量一定で急激に圧力が 増加しているように見受けられる.最大流量に到達した後 に復路で流量を減少させていっても圧力は高い値を維持し たまま徐々に減少し,定格条件の20%程度の流量で圧力値 が往路と一致して,結果としてヒステリシス現象が発生し ている.  そこで本研究の目的を,CFDにより供試ポペット弁の内 部流動を解析して,圧力―流量特性のヒステリシス現象を 再現することにした. 2.主 な 記 号 Ao : ダンピングオリフィスの開口面積 Ap : ポペットピストンの断面積 C : オリフィス流量係数 C0 : 臨界減衰係数 Cd : オリフィスのダンピング係数 Cf : 粘性減衰係数 D : 弁の運動方程式における減衰係数 DB : シート部孔径(13.5mm) DL : 弁ピストン直径 DS : ポペット弁スプール直径 d : ばね変位 Ff : 流体力 Flow rate : 流量の無次元量(定格条件基準) Fpreload : ばねの予荷重 Fpressure : 圧力により弁が受ける力 Fs : ばね力 Fshear : 弁が受けるせん断力 g : xの無次元量(入口径基準) k : ばね定数 m : 弁の質量 Pressure : ポペット弁表面静圧の無次元量 (定格条件の圧力基準) ΔP : オリフィスでの差圧 Q : 流量 Qo : オリフィスの通過流量 Radius : rの無次元量(入口半径基準) Table1 Specifications of pressure control valve

Constants, Dimensions and Rated performance Value Poppet apex angle (α) [degree] 90 Large spool diameter ratio(DL/DB) 2.1 Small spool diameter ratio (DS/DB) 1.07 Valve seat diameter (DB/DB) 1 Resonant frequency [rad/s] 880 Flow velocity at the rated point [m/sec] 119 Re at the rated point 58,720 Fig.1 Structure of Pressure Control Valve

Fig.2  Control pressure flow rate hysteresis characteristics of the pressure control valve(Experimental results)

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Re : レイノルズ数 (=スロート部の開口度×スロート部での平均 速度/作動油の動粘度) r : 半径方向位置 t : 時間 x : 弁変位(定格条件の弁変位基準) x0 : ばね初期たわみ α : ポペット円錐角 ρ : 流体密度 ND : 無次元単位 3.解析手法の検証  はじめに,CFDによるポペット弁周りの流れ場の解析に より実現象を再現できるか検証を行った.検証に使用した 試験データはItoらの文献2)のデータである.  使用する商用ソフトウェアSimerics-MP+は,有限体積法 による非圧縮性流体の流れ場の解析に使用されている.そ の計算精度の検証をItoらのデータと比較することで行った. Simerics-MP+ではCFD解析と同時に弁体の運動方程式を連 成解析することができる.有限体積法にスライディング メッシュを適用することにより9),弁体の変位とともに過 渡的に変化する弁開度および流路形状を反映したCFD解析 が可能である.  Fig.4に,CFD解析に利用したItohら2)のポペット弁の形 状を示す.Fig.5に解析格子を示す.なお,メッシュタイ プは直交格子,スロート部には8~ 10個の格子配置,最小 メッシュサイズは10μmである.また,境界層メッシュと 壁面粗さについては特段の考慮を行っていない.計算格子 数の検討においては,100,140,200,300,500,1000万の 格子数の計算を行い,200万以上では良好であることを確 認した.Fig.6にItohら2)の試験装置を示す.  Table2に,検証に使用した3種類の条件を示す.なお, CFD計算ではキャビテーションモデルを組込んで計算を 行っているが,計算されたボイド率の最大値は5×10-6 度であるため,キャビテーションの影響は大きくはないと 考えてよい.また,出口境界の位置や条件の違いによって 計算結果が異なることが無いことを確認している.  ポペット弁表面の静圧分布の試験結果とCFD解析結果を 比較した結果をFig.7に示す.なお,この図では圧力は弁 先端圧力で無次元化され,半径方向は入口ポート半径で無 次元化されている.  計算結果は3種類の解析条件下でItohら2)の実験結果と良 く一致しており,両者の差異は数%以下であり小さい.そ こで,次項でSimerics-MP+による解析をFig.1のポペット 弁の流れ場の解明に適用することを試みた. 4.ポペット弁周り流れ場の定常解析結果と考察  まずは内部流れのフローパターンを調べるために,入口

Fig.4  A poppet valve used for verification of analysis method

Measurement point Inlet

Outlet Poppet surface pressure

measurement point

Poppet valve shape

Fig.5 Analysis grid for Simerics-MP+ Whole grid Cross-sectional shape

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には流量を与え出口には圧力(背圧)を与えて定常流解析 を行なった.定常流解析の結果の一例として,Table3に 示した4つの点での計算結果を例示する.解析格子をFig. 8に示す.Table3の条件⑴から条件⑷のCFD解析結果(ポ ペット弁断面の速度ベクトル)をFig.9に示す.なお,速 度ベクトルは定格条件でのスロート部平均速度で無次元化 されている.  Table3の入口境界の条件の流量が小さい(Condition⑴) 場合には,速度ベクトル図から,ポペット弁周りの噴流の 状態はポペット軸に沿って流れ,スプールに噴流が付着し ている状態(以下,付着流れ)となっていることがわかる. その後,噴流は減速してスプールカラーと衝突し直角に転 向する.  Condition⑵,⑶,⑷では,流量が増加すると噴流が弁の 最小絞り(スロート)部下流の近傍で剥離し,スリーブの Table2 Analysis conditions for a Simerics-MP+model

Software used Simerics-MP+ Analysis type Steady state Turbulence model standard k-ε Fluid density [kg/m3 863

Fluid viscosity [Pa・s] 0.0267 Entrance boundary condition

[l/min]

(a)Q=42 (Re=200) (b)Q=60 (Re=300) (c)Q=42 (Re=200) Exit boundary condition [Pa] 0(Static Pressure)

Valve displacement [mm]

(a)6, (g=1/6) (b)6, (g=1/6) (c)4, (g=1/9) Grid type Orthogonal grid Grid number 2,000,000 [-]

Fig.7 Analysis grids for Simerics-MP+

(a)Q=42[l/min], g=1/6

(b)Q=60[l/min], g=1/6

Fig.8 Verification result (c)Q=42[l/min], g=1/9

(5)

ポートに向かって直線的に流れる(以下,剥離流れ)こと が分かる.これらの結果より,弁内には付着流れと剥離流 れの2種のフローパターンが存在することが分かる.  また,Fig. 10に,ポペット弁半径方向に対する任意の切 断面の弁表面静圧分布を示す.流量の増加に伴い,ポペッ ト弁頂点の圧力の増加から入口圧力が増加していることが わかる.半径方向圧力分布は,最小絞り部近傍で圧力勾配 が変化し,弁大径部分では各条件による大きな差異はない. 入口流量の増加により半径0.7 ~ 1.0のある点の圧力を流量 条件ごとに比較すると,入口流量が大きい条件ほど圧力が 低い傾向にあり,弁を開く方向の力が低下している.この 力の低下は弁を閉じる方向の力の増加に等しいと考えられ る.なお,この部分については更なる詳細化が必要である と考える.  Fig. 11には弁変位に対する流体力を示す.条件⑵から条 件⑷の状態では,流体力は弁変位に比例して発生している が,条件⑴では流体力が小さく算出されており,流体力と フローパターンに相関があることが示唆されている.  弁に流体力が作用すると,弁変位とばね力が変化するこ とで入口圧力も変化するため,弁に働く圧力による力も変 化する.そこでさらに流体力も変化する.すなわち,弁に 働く力の変動の影響はSimerics-MP+の連成解析機能により, 各時刻において最終的にバランスしたばね変位,入口圧力, 流体力が計算される.このように,弁に働く力には流体力 の変動がフィードバックされ弁変位や入口圧力が再帰的に Table3 Steady flow analysis conditions

Software used Simerics-MP+ Analysis type Steady Turbulence model standard k-ε Fluid density [kg/m] 770 Fluid viscosity [Pa・s] 0.00149 Entrance boundary condition

(Flow rate/Rated flow rate [ND])

⑴ 0.30 (g=0.024, Re=13000) ⑵ 0.49 (g=0.039, Re=22000) ⑶ 0.73 (g=0.058, Re=34000) ⑷ 1.00 (g=0.080, Re=49000) Exit B.C. [ND] 0.2 (Static Pressure)

Grid number 4,000,000 [-] Incremental time 0.000054 [s]

Fig.9 Flow patterns under the conditions shown in Table3

Condition⑴ Flow rate [ND]=0.30, (g=0.024, Re=13000) Condition⑵ Flow rate [ND]=0.49, (g=0.039, Re=22000) Condition⑶ Flow rate [ND]=0.73, (g=0.058, Re=34000) Condition⑷ Flow rate [ND]=1.00, (g=0.080, Re=49000)

Fig. 10 Distributions around poppet valve

(6)

定まる.ポペット弁の開口面積は下式8) α 2 Ap=π・DB・x・sin ⑴ に示すように弁変位に比例するため,流体力は条件⑴を除 いて弁変位にほぼ比例して作用している.極性は弁を閉じ る方向に作用する.また条件⑴は他の条件に比べ流体力が 非常に小さく,変位当たりの流体力が1/5以下となっている.  Fig. 12に弁変位に対する弁開口面積を示す.この結果より, 弁の開口面積と弁変位は比例しており,計算結果の妥当性 が伺える.  Fig. 13に各条件での計算された流量係数を示す.ここで, 開口面積は定格条件での開口面積で無次元化してある.こ の結果からわかるように,流量係数は流量の変化に依らず 一定で約0.75となるため,噴流の付着と剝離の状態は流量 係数には影響を与えないことが分かる.  次に,ヒステリシス特性を持つ弁に対してTable3で示さ れる境界条件⑴から⑷で定常流解析を行った制御圧力に対 する流量特性の解析結果を,試験結果と比較してFig. 14に示 す.この比較より,解析結果はヒステリシスのある制御圧力 に対する流量特性の戻り時の高圧側の特性と良く一致する. この点は興味深いが,その理由の詳細は現段階では未解明 であり,更なる研究が必要である. 5.弁運動方程式とCFDの連成解析の結果と考察  ポペット弁の制御圧力に対する流量特性のヒステリシス を再現するため,Simerics-MP+により圧力と流量の特性の 流れ場と弁の運動方程式との連成解析を実施した.ここで, 弁体の運動方程式は下記9)で表される. +D +kd d2x dt2 dxdt m

 =ΣFpressure+ΣFshear-Fpreload ⑵  この時,弁に働く外力は,弁が受ける圧力による力,せ ん断力とばねの予荷重である.  CFD計算の各時間刻みの中で,流れ計算の収束判定が終 了すると,上記の弁体の運動方程式の計算モジュールが起 動され,弁体の並進運動が計算される.上記の運動方程式 における減衰係数Dは,流体の粘性による減衰係数Cfと弁 後方に配備されているダンピングオリフィスが関与する減 衰係数Cdの和として表されると考えることができ,D=Cf Cdと表すことができる. まず,ダンピングオリフィスの減衰力について検討する. 弁回路としてのオリフィスがもたらす減衰力は,オリフィ スでの圧力降下分ΔPに相当する力と等価であると考えるこ とができる.すなわち, Cd×(dx/dt=ΔP×Ap ⑶ これより,この減衰力は6.6×10-4ΔP Nとなる.実験におけ るΔPは過渡的に変化するので一通りに決めることは困難で あるが,実験中の値を参考にすれば,ΔP=3,000 ~ 15,000Pa 前後であった.この値を利用すれば,この減衰力は2~ 10N前後と計算される.さらに,ダンピングオリフィスの 減衰係数を求める.弁速度はオリフィスの通過流量をポ ペットピストン面積で除したものであるから,

Fig. 12 Valve displacement vs. Valve opening area

Fig. 13 Coefficient of the flow rate

Fig. 14 Control pressure vs. flow rate

(7)

dx/dt=Qo/Ap=AoC2ΔP/ρ1/2/Ap ⑷ の計算から,弁速度は3.6×10-6√ΔPm/sとなる.上記のΔP の値を参考にすれば,ピストン速度は0.2 ~ 0.5mm/s前後と なる.この結果より,概略的にCd=15,000 ~ 2,000N/(m/s) 程度になる.  次に,流体の粘性による減衰力について検討する.この うち最大のものは,弁の大径部であるピストン外周とス リーブ面に働く粘性摩擦力であり,これはニュートンの粘 性法則より導かれる.上記のごとくピストン速度は0.2 ~ 0.5mm/s前後であり,ピストン外周とスリーブ面とのすき 間は10μm程度であるため,粘性減衰力は0.1N程度と計算さ れる.  これらの結果より,粘性減衰力はダンピングオリフィス の減衰力に比して小さな値となり,このオリフィスが実際 のポペット弁の減衰に大きな影響を及ぼしていることがわ かる.  また臨界減衰係数は,C0=2√mk=108N/(m/s)であるた め,これ以上の大きな値であれば,計算上の設定値として は問題ないと考える.そこで,減衰力のもっとも小さな場 合である値を参考に,減衰係数を2,000N/(m/s)と設定した.  また,軸方向流体力の計算法をFig. 15に示す.  Fig. 16に供給流量の時間的変化(ランプ入力)を示す.実 験では定常状態と考えてもよい程度の時間でデータを採取 したが,CFD計算ではクーラン数の条件より,実験と同様 の実時間での計算は不可能である.そこで,実験より大き な入口流量変化を入力して計算したことになる.  圧力制御弁の制御圧力に対する流量のシミュレーション 結果と試験結果の比較をFig. 17に示す.この解析は計算負荷 が大きいため,往路終点(定格条件)の計算結果を初期値 として復路でのシミュレーションを行った.この図では,弁 の開口開始時に発生する過渡状態が整定した以降の計算結 果を示す.制御圧力-流量特性は,ヒステリシス現象も含め 良く一致する.  往路では実験で得られた同一流量に対し低圧側の特性曲 線と同様の解析結果が得られた.この時の速度ベクトルを Table3の条件⑴~⑷までの流れ条件で確認したところ, 条件⑵および⑶の場合でも条件⑴と同様に付着流れが発生 し,弁を開く方向に流体力が働いていることがわかった. 一方,同一流量に対し高圧側の復路では,先に計算した流 体力と同様の結果が得られた.ポペットの最小絞りを通過 した噴流が剥離流れとなっている.  連成解析結果より求めた往路6点での流体力,Table3 の条件⑴~⑷の場合で算出した4点の流体力,および,そ の時の運動量理論を基にした定常流体力の算出値4点の比 較をFig. 18に示す.定常流体力の推定値とCFDにより求め た流体力はオーダーとしては良く一致する.往路の流体力 はオーダーとして復路の流体力と一致するが極性が反転し ている.  また,実験と数値計算の間で流量入力条件dQ/dtに大きな 違いがあるにも関わらず,計算上でヒステリシス特性が再 Fig. 15 Calculation way of flow force Fig. 16 Input conditions for supply flow rate

0 1 0 0.02 0.04 0.06 Fl ow ra te [ND ] Time [s]

Forward path (CFD) Return path (CFD)

Fig. 17 Control pressure vs. flow rate

(8)

現できているということは,このヒステリシス特性は周期 の長短に関わらず必ず発生することを意味しているとも考 えられる.あるいは,この現象が準定常状態に達するまで に必要な時間が極めて短いことを意味しているのかもしれ ない.此処には減衰係数も関連してくるので,更なる研究 が必要である. 6.結   言  試作されたポペット弁の特性実験においてヒステリシス 特性が出現した.使用条件と弁形状によってはヒステリシ ス特性が出現することが分かった.  そこで,この特性のメカニズムを解明するためにCFD解 析を利用した.まず,ポペット弁周り流れ場のCFD解析を 商用ソフトウェアで行い,試験結果との比較により解析結 果の妥当性の確認を行った.  制御圧力に対する制御流量特性のヒステリシスを発生す るポペット弁型圧力制御弁の解析を行い,ポペット弁周り の流れ場には,付着流れと剥離流れの2種類に大別される ことが明らかになった.  また,ポペット型圧力制御弁の制御圧力に対する制御流 量特性で発生するヒステリシス現象を,ポペット弁周りの 全圧力のCFDによる算出と運動方程式を連成解析すること で再現可能であることが明らかになった. 謝     辞  九州工業大学修士課程の廣瀬直紀氏に,本研究の協力に 深く感謝します. 参 考 文 献

1)Oshima, S. et al.:AN EXPERIMENTAL STUDY ON THE SEVERAL POPPET VALVES WITH DIFFERENCE IN SHAPE, Proceedings of the JFPS International Symposium on Fluid Power Volume Issue 1, p. 361-368 (1989)

2)Ito, K., Takahashi, K., Inoue, K.:Flow in a Poppet Valve:Computation of Pressure Distribution using a Streamline Coordinate System, JSME International Journal Series B Fluids and Thermal Engineering Vol. 36, No. 1, p. 42-50 (1993)

3)Johnston, D. N., Edge, K. A.:Experimental Investigation of Flow and Force Characteristics of Hydraulic Poppet and Disc Valves, Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part A:Journal of Power and Energy, Vol.205, p. 161-171 (1991)

4)Vaughan, N. D., Johnston, D. N., Edge, K. A.:Numerical simulation of fluid flow in poppet valves, Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part A: Journal of Power and Energy, Vol. 206, p. 119-127 (1992) 5)Altare, G., Rundo, M., Olivetti, M.:3D DYNAMIC

SIMULATION OF A FLOW FORCE COMPENSATED PRESSURE RELIEF VALVE, Proceedings of the ASME 2016 International Mechanical Engineering Congress and Exposition IMECE2016 November 11-17, IMECE2016-65624 (2016)

6)Finesso, R., Rundo, M.:Numerical and experimental investigation on a conical poppet relief valve with flow force compensation, International Journal of Fluid Power, Volume 18, 2017 - Issue 2 (2017)

7)Hayashi, S.:Instability of Poppet Valve Circuit, JSME international journal. Ser. C, Dynamics, control, robotics, design and manufacturing, Vol.38, No. 3, p. 357-366 (1995). 8)㈳日本油空圧学会:新版油空圧便覧,オーム社,p.

289 (1989)

9)Simerics Inc.:Simerics Manual V5.0 (2019)

10)大島茂,市川常雄:ポペット弁に作用する非定常流体 力の測定,日本機械学会論文集(B編),Vol. 49,No. 447, p. 2473-2477(1978)

Fig. 10 Distributions around poppet valve
Fig. 12 Valve displacement vs. Valve opening area
Fig. 17 Control pressure vs. flow rate
Fig. 18 Comparison of flow force characteristics

参照

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