資 料
商用電源の汚染状況
橋口住久
吉井創一郎
(昭和57年8月31日受理)Noise on the Commercial Power Lines
SumihisaHASHIGUCHI SoichiroYOSHII Abstract Noise on the 100 V ac lines in the laboratory is observed for a year. It is found that the differential mcde noise varies according with the human activities from time to time, while the common mcde noise is almost constant around a year and its level in the labora・ tory is about 40 db higher than those observed outside the university.はじめに
100V商用交流電源に接続される機器が多様化する にしたがって,各機器が発生するノイズによって,電 源ライソが汚染されるようになってきている。 最近では,特に,SCR応用機器やデジタル機器の パルス性ノイズによる汚染が著しい。 本報では,1981年度における本学工学部A−1号館の 電源ラインの汚染状況の調査結果を述べる。 Power 測 定 Line路灘㌘灘㌶㌶塁コ!巨一
動として現れる差動モード電圧ノイズと, T 対地電圧の変動として現れる同相モード電圧ノイズと がある。これらを分離して測定するために,図一2の 測定系を用いる。 図一2において,差動モードは,トラソスを用いて取 り出し,同相モードは,受電トランス2次側で接地さ れている側の線の対地電圧を取り出す。このようにし て取り出した電圧には,高レベルの50Hz成分が含ま れているので,図3の特性の高域フィルタを挿入して isolation transformer 一 一HPF
HPF
Spectrum `nalyzer 一 TapeRecorderVd∼霊entia’
v・∼
commonmode 図一1電源ラインの等 価雑音源表示 Fig. 1 Equivalent Representation of Power Line Noise Fig.2 図一2測 定 系 Measuring Setup for Power Line Noise 葦 .§ 菖一20 』 司 10 100 1k 10k Frequency(Hz) 図一3 測定系ハイパスフィルタの周波数特性 Fig.3 Transmission Characteristics of the High・pass Filter for the Measurement of Power Line Noise一109一
昭和57年12月 山梨大学工学部研究報告 第33号 表一1測定時期と場所 Table l Time and Place of Measurement
測定時期
測定点
第1期 2 3 4 5 1981.5.24∼30 7.1∼7 8.8∼11, 8.14∼20 12.31∼1982.1, 6 1982.1.14∼20A
A,C
A,B,C,D,EA
A
s
豊 《2
20 測定点 A B 同 C D 下部町内民家 E 高根町清里寮 測定時刻 工学部A−1号館3F壁コンセント 甲府市内学生下宿 配電盤 0:00,5:00,7:00,9:30,11:00, 12:30, 14:00, 17:00, 19:00, 21 :00 これを減衰させ,測定のダイナミックレンジを拡大す る。 測定時期,時刻,測定場所は表一1のとおりである。 結 果 図一4は,ノイズスペクトルの一例である。高域フィ ルタの特性を補正していないので,真のスペクトルは 図一4の値に図一3の減衰量を加えたものになる。 縦軸は,時刻0:00に対応するもので,他の時刻の スペクトルは,順次10dbずつ平行移動して表示して ある。 隣接する時刻のスペクトルが平行であれぽノイズレ ベルに変化がなく,間隔が10dbより広けれぽノイズ 増加,10dbより狭けれぽノイズ減少を表す。 バンド幅は,25−250Hzで1.5Hz,250−2500 Hz で15 Hz,2.5−25 kHzで150 Hzであるので,250Hz, 2.5kHzにおいて,スペクトルに10 dbのくいちがい を生じる。 250Hz以上では,スペクトルのピーク連結した形 で表示し,微細構造は省略した。 図一4において,同相ノイズは日変化が少ないこと, 中高域での傾斜が一・50db/decadeと急傾斜であるこ とがわかる。一方,差動ノイズは,高域のレベルが午 後から夕方にかけて高いこと,中高域が緩傾斜である こと,低域で偶数次調波が小さいことがわかる。 図一5は,測定点Aにおける2kHzのノィズレベル の1週間にわたる変化の様子である。これから,同相 ノイズは,ほとんど変化しないこと,差動ノイズは 20db程度の変化があることがわかる。 図一6は,5箇所の測定点のノイズレベルを比較した 雲一20 9−40 一60 10 20 ( 0 孟 豆_20 ぎ 一一S0 s 芝_60 一80 100 1k Frequency (Hz) (a) 10k 1 Differential Mod 1 ∀ = /ノF \i>芯
21:00 19:00 17:00 14:00 12:30 11:00 9:30 7:00 5:00 0:00 21:00 19:00 17:00 14:00 12:30 11:00 9:30 7:00 5:00 0:00 10 100 1k 10k Frequency (Hz) (b) 図一4 電源ラインノイズスペクトルの例 Fig.4 Spectra of Power Line Noise ものである。 同相ノイズは,学内の2点A,Bについては,−20 dbと高レベルで,ほとんど変化がみられないのに対 し,学外の3点では,5:00に一60db以下の最低値 に達し,日変化は10db程度みられる。 差動ノイズは,学内B点での日変化が6db以下と 小さいのに対し,他の4点では5:00に最小となり, 日変化は15db以上ある。 E点でのノイズレベルが大 きくなっているのは,測定期間中,マイクロコソピュ ータ3台が測定点に接続され,稼動していたためと思 われる。 図一7は,ノイズレベルの時期的な変化を示したもの である。測定点Aについては,同相ノイズと差動ノイ一110一
商用電源の汚染状況 Place:A −10 Term:Aug.16−20’81
s
歪. ・i−・・z
0 5 14 Time (o’clock) 一309
唱 ) −40iトィ
・ξ一50z
21 0 5 14 21 Time(o’clock) 図一5 ノイズレベルの日変化の例 Fig.5 Daily Variation of Power Line Noise 一20 _−≧ R0s
T−40 亘 .‖ 2−50 一60 (−≧ R03
9−402
8 ’6 Z−50 Common mode 2kHz 0 5一ぢわ・文テ裡
14
Time (o’clock) 21 ←㌔ 、へ 0 5 14 21 Time (o’clock) 図一6測定点によるノイズ日変化のちがい Fig.6 Daily Variation for Five Power Lines 一20 一309
唱 ) −40 言2
$−50 ’δz
一60 一70 一30s
唱 )−S0 言2
o m−50 ’5z
一60 A(12.31−1.6) ←一一一一一一■一一◆一一つ一一◆一◆一◆一一一一◆一_.__喝’ A(8.8−20) A(5.24−30,7.1−7) )e H−一 一一)←、、x−一・k一曳一”一 −x−一一一執一一若一一x ムe・一一一一一一△一一十一一w・・△一一占一一△一一一一△一一i−一△ A (1.14−20) Common mode 2kHz 0 、*噺 ’:t−一;t、一._ sポ/ C(7.1−7) 5 14 Time (o’clock) 21 x/斗一㎡ Differential mode 2kHz 0 5 14 21 Time(o’clock) 図一7時期によるノイズ日変化のちがい Fig.7 Daily Variations for the Time of the Year ズの大きさの順序は逆になっているが,測定点Cでは 同相ノイズが大きいときには差動ノイズも大きくなっ ている。 検 討 図一6において,学外の測定点のデータが午前5時に は最小になり,その値がほとんど一致していることか ら,このレベル(同相ノイズで一60db,差動ノイズ で一50 db)が,バックグラウソドレベルで,電力会 社の責任範囲から生じるものであると考えられる。こ のレベルを越える部分が,その点での人間活動を表し ていると思われ,変化のパターンは人間の活動時間と よく一致している。 ところが,学内については,特に,同相ノイズレベ ルは学外より30∼40dbも高く,ほとんど変化がみら れていないことから,学内のノズの大部分は,終夜運 転をしている機器から発生しているものと思われる。 本測定法における同相ノイズの検出法では,同相ノ イズのみでなく,差動ノイズをある程度含んでしまう ので,この点について,今後,改良が必要である。一111一
昭和57年12月 山梨大学工学部研究報告 第33号 む す び 学内のノイズレベルは,学外に比べるときわめて大 きいといえる。大学で使用される機器は,一般家庭で 使われるものより多様であるので,ある程度は,やむ を得ぬところであるが,汚染された電源は,高感度測 定器の電源として使用することができないなどの弊害 を生じるので,ノイズ発生源側で,十分な対策を施す ことが必要である。特に,デジタル機器,SCR応用 機器,パルス放電機器の使用者は,動作中の機器の近 くにトラソジスタラジオ等を置いて,ラジオでノイズ が検出できない程度のレベルにまで,ノイズ対策を施 す責任があると考える。 また,高感度測定器用の専用電源ラインを設置する とか,電源を各研究室ごとに受電トラソスの段階で独 立させるとかの対策が行えれぽ理想的である。