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河川水質の自然要因と人為影響に関する考案 : 酒匂川水系について

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Academic year: 2021

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(1)横浜[ξζi大環境{ヲF糸己要  14:三5∼26 (1987). 報  文 則1111川lm醐II川闘1. 河川水質の自然要因と人為影響に関する考案 酒匂川水系について Experimental Consideration about  Natura豆and Human Factor to  Water Quality  ln case of    the River Sakawa 参丹*・加藤 龍夫**. Wu Ran San Dan*and Tatsuo KATOU**. Synops叢s   As an attempt to discri1ninate the o∫igin of the components in hydrosphere, an analytical experiment on the components cQntained in river watey was caエried out. Sa狙ples were conected 溢the River Sakawa, a middle classエiver in Japan, between 35 km hom the upper stream to the. mouth of the Iiver. The inorganic ions were measu∫ed by iQn chエoma勧graphy and haエoge盤ted organics were measured gas c益ro羅1atography. As aτesu三t of the study, it was explained that the. ・ea・alt w・・c紅・i・d by・・i・t・th・i・・eエla・d・・d£o「med th・i・n p・・p・fti…i・the・i弊w璽e1・ 王tseemed to be mainly due重。 the dぜfe∫ence of so玉ubihty to water that theエate of Na C王 tQ. Ca++SO4一一 奄氏@the riv鉱was lower than hl the sea salt. Concerning the harogenated organics, £hese components鍵e added亀。 t}1eτiver by such as ahl pollutants, industrial efflue償s and chlo−. rinated drinking water. And compaエed with the moleculaエτatio of CHC13, C2H3C13, C2HC13 Imd C2C14 in the Iiver watel亀。 that ln the a主mosphele, it makes possible to determine the degree of contrlbut圭on from these three orgins。. 1,調査の趣旨. して,ぞ流地域に著しい公審を1=i:けような違法行為は. 行政対応によって減少効果が認められたものの,びわ.  河川は地球」二生物系にとって.極めて重要な一要素で. 湖や霞ケ浦,あるいは瀬芦内海等に見られる[{:1然環境. あるため,漕っては物質循環に関して地球.化学的方法. 悪化に対する國家的,または地方行政的対応がなすす. で対象とされ,また近年はもっぱら公田対策の一環と. べもなく放棄されたままであるなどは,水質について. して汚染質成分の測定がなされてきた。海田は調奄の. の基本的知見が欠除していることにもその原悶の一つ. 目的も異なり,担当者も研究者と行政官と立場が隔絶. があると考えられる。すなわち、河川の保全,あるい. しており,そのため膨大な水質調査が行われながら自. は糊復を課題とするならば,鴛政官も地球化学的要素. 然と人為の作用を総合的に把握する作業が遅れている. を導入すべきだし,研究者もすでに人為汚染のない水. ように思える,例えば,河Iliへ直接大鑑:の排水を放流. 系は存在しないのだし,入間の作用もその法劉雛を研 究対象に組入れなければ,本来の自然を残すことさえ. * 中国 内蒙古自治区環境保護科学磯究所  The Scientlξic Research Instltute of Envlronmen亀al   Protection of t為e Inner Mongolia Autonomous Region **. @横浜國立大学環境科学研究センター環境基礎=:1二学研究室.  Departme日t of £nvironmental Engineering Science,  Institute of Environmental Science and Technology,.  Yokohama㌶ational University   (1987年6月30日受領). 不n∫能となって研究ll滋約を失うことになる。.  本邦の水系水質に関しては,小林純教授が昭和20 年∼30年代にかけて実施した調査結果がほとんど唯一 の総舎的データとして残されているL。つまり,その 後日本全土にわたる脚韻未聞の水系破壊が進行して自. 然河川は消滅してしまい,そのデータはもはや再現で.

(2) 16. きない記録として重要性を持っている訳である。従っ て,現今濤本の河用は破壊がひどく,どこ迄が自然で. 2.測定項目と方法. どこから人為作朋かゴ分らなくなって来ている。本研.  実験河川として神奈川県の酒匂川を選んだ。酒匂川. 究者らは,昭和60年代現在の時点で水系物質循環を把. は神奈川県と静岡県の県境丹沢山地に発し,山北晦. 握する作業の一環として,まず一河謂の代表性がある. (人1遍.4万),松田町(人口1.2万)を経て足柄平野を. か否か,自然と入為の俘用機序が把握可能か,あるい. 貫流し,小田原市(人叫7.4万)の東部で相模湾に注. は新式の測定手段が水系調査でどこ迄有効か等につい. ぐ,幹川流路延長46Km,流域面積582Km2の日本で. てフィールド実験を計画した。本報告はその最初の一. は中規模の河川である。太平洋岸河州としては比較的. 部である。. 急流で,古来洪水に見まわれることが多く,上流に上.  また,一河損について地点別に試料を分析する研究. 水確保,洪水調節,発電用の多霞的ダム丹沢湖が1978. 手法は単純な考えであるが,意外に研究例が少ない。. 年に造られた。また小田原市飯泉に取水堰が設けら. 例えば,神通川,梯州,吉野川や多摩川で実施されて. れ,河川水の多くは横浜,川崎,横須賀各市に供給さ. いるが2㌃,これらはCδ汚染に注難した重金属あるい. れている。従って,首都圏では比較的清流が保たれて. は都響下水の有機汚染に限るもので,一般の塩類は対. おり,この時期上,中流では鮎釣りが盛んに見られた。. 象とされていない。これも本研究の理由の一つである。. 水質は良好な部類に属すると考えてよいが,この年拡.  なお,本研究分担者の一人は中国内蒙古自治区の政. 降爾量が少なくて丹沢湖も満水時の6割程度の水:量で. 府研究員であり,今後当地域の水系調査は生産と環境. あり,全体としてやや渇水状態であった。調査時の河. 保全を1購旨す国家事業として重要かつ緊急な課題と. 川の状態を図1に示した。. なってくる。その腸合に日本と気候風土条件の異なる.  調査は6月12日に実施し,上流支流の一つ大呂用か. 水系との比較研究が大切なことは改めて説明するまで. ら河口まで17地点,および河口付近の海水1回目18試. もないであろう。その際の新しい機器の導入の可能性. 料を採水した。採水地点を図1に示す。. も合わせてテストした。.  また,3地点では同時に大気試料を12つつ採取し た。試料採取状況は表1に簡単に示す通りである。.  本調査では測定鰐象は無機成分と有機成分に大別. ’藝鑛. 1中流工地点. 上流E地点 Flg至酒匂川の水最の状態.

(3) 17. 。∼。ノ N. 卑 A. ズ▲        製.        翁      B 亭. 丹沢湖  D.     ∼’亡伽々。.   ニニ保ダム.       ムノ 《.   翁. 璽. Eぜ. ‡. 綴’. F. 小rr1ぬ鞍. G. 田北. 震. H 姫勾ノη. 謹〉∼. ノ松と1.    1. 、添. 辱. 」. 需㌦ン. 蟻.   ノ.  重》砿. K. &L. 境. /.  ;γ’. 国府津. ム.   M. \. ξ. ノ偶N。 東劇道騨. 請  季1ま ほ1. P. ▲. R. Q. ▲ ▲. i1」 漢  湾 ▲. 〇           5K露. Fig 2 試料採取地点. し,それぞれ無機成分としてNar, K』,Mg一,Caり,. いように留意した。. Cr, SOi.…, HCO3…, NO3一の各イオン,有機成分とし.  無機イオンの測定方法は以..ドに示す通りである。. てクロロホルム,1,1,1一トリクロロエタン,トリ.   1陰イオン(C罫,SOゴ.,  NO3つ. クロロエチレン,パークロロエチレンを選んだ。無機.    装羅:イオンクロマトグラフHIC−6A・. イオンは水系に最も多い普遍的要素であり,有機塩素.        CDD−6A. 化合物は現在環境中に最も広範に拡散し,化学的に安.    カラム:Shi恥一Pack  IC−Al. 定なため汚染質の気液分布等について典型的な状態を.    ガートカラム:IC−GA1. 作りつつある成分とみなされる。.    移動相二2.5mMフタル酸,2.4磁Mトリス(ヒ.  試料水は褐色ガラスびんに500mゼつつ採取した。.        ドロキメチル)アミノメタン,L5. この際採取容器は試料水で5回洗瀞してブランクがな.        m4/min.

(4) 圭8. Tab玉e l 試料採取斗犬∼兄. 採取地点. 河口より距離  時刻. 水温. 気温.    Km.  ℃.  ℃. pH. A 千鳥橋(大四川上流). 33.5. 10:10. 16.5. 22.5. 8.0. B 大日川・丁目用合流点上 C 浅 瀬 地 区. 30.0. 10:48. 18.3. 24.8. 8.1. 28.7. 11:00. 19.1. 25.0. 8.1. D 世柄大橋(丹沢湖). 2ア.1. 11:15. 21.5. 22,8. 8.2. E用 沢(河内川). 22.9. 12:40. 20,3. 24.0. 8.15. F谷峨(鮎沢川合流点上) G 瀬戸・平山中間点 H 小 市 地 区. 20.3. 13:GO. 20.4. 23;5. 8.15. 圭7.0. 13:36. 21.0. 24.8. 82. 13.3. 13:55. 22.4. 25.0. 8.15. 1 松田(小田急橋梁). 10,3. 王4:15. 21.0. 26.0. 8.1. J 松団・柏山中間点 K 報  徳  橋. 8.4. !4:45. 20.6. 24.8. 8.1. 6.7. 圭5:28. 20.4. 24.5. 8.1. L 冨 士 道 ・橋. 4.9. 圭5:55. 22.5. 22.0. 8.15. 3.4. 16:30. 22.0. 24.0. 8.1. N 飯泉橋JR橋中間点. 2.O. 16:42. 24.5. 21.9. 7.9. O JR橋梁下流. l,4. 16:56. 23.5. 21.0. 8.1. P 酒  匂  橋 Q 西 湘 大 橋. G.4. 17:15. 23.0. 21.8. 8.15. 0.1. 17:40. 22.6. 22.O. 7.4. 17:58. 2L3. 19.0. 8.5. N工  217  号   線  . 橋. R 海(河口東0.3Km).    カラム温度:4G℃(セル43℃).  分析条件は以下とした。.    試料注入:吊::2Gμρ.    装置:ECD付GC,GC−HP−5840A.   三価陽イオン (Na「,Kヤ,Nl−iギ).    カラム:キャビラリー内径0.31mm,長さ25.    ガードカラム:Shirn−Pack IC−GC1.        m, Cross賎n裟ed 5%Phenylmethy[.    プレカラム:Sblm−Pack IC−PCl.        S11iicone.    カラム灘度:40℃ (セル43℃).      フィルム厚1.0μm.    移動相:5mM 硝酸,1,5mぜ/min.    キャリヤーガズ:純窒素.    試料注入量:20μぜ.    カラム温度:80℃.   2傭i陽イオン (Ca , 三>lg’‘).  過マンガン酸カリ消費量(COD)とアルカリ度は鴬.    装置:..L記同.様. 法に従い滴定により測定した。なお,アルカリ度は試.    カラム:Shim−Pac裟 IC−Cl. 水のpHが8前後であるためHCO3一量に相当すると見.    ガートカラムニShim−Pack 亙C−GC1. なして使用した。.    移動相:2.4mM瀬石酸 /2mMエチレンジア        ミン1.5mゼ/min.  3. 無機イオン結果.    カラム温度:40℃ (セル43℃).  無機イオンの測定値を表2に示す。なお,濃度の単.    試料注入童:2Gμ〃. 位はm mo}/ゼ,つまり10{3mol/4(水)として表.  有機塩素化台物の測定方法は以下に示す通りである。. 示してある。. 60m4の円筒型ガラスびんを真空にし,この中ヘシリ.  まず,/l二流からド流へかけての濃度変1ヒを見るため. コンゴム栓を介して30m’試料水を注射筒で注入後,. に,陰イオンと陽イオンそれぞれ河欝からの距離別に. 純窒素ガスを加えて,よく振り混ぜて試料水中と窒素. プロットした結果を図3および麟4に承す。. ガス中に揮発性有機化合物が平衡になるようにする。.  陰イオンと陽イオン共通の傾向として各成分あまり. これを10分間放趾後,気相部分0.5m4をGC分析す. 大きな変動はなく,水系のかなりの範翻にわたって水. る。なお,60mゼガラスびんはすべてあらかじめ加温. 質は一定していると考えてよい。唯一の変化としては. 真空にした後,純窒素を加えて常圧にし,その0.5. 大部分の成分が用沢地区と谷峨の1嘉ilで濃度の増加が認. 磁4をGC分析してブランクがないことを確認して粥. められるが,この闘は御殿場南(人1:報.3万)から流出. いた。. する鮎沢川が合流点となっていて,そのために丹沢山.

(5) 19. mmol/珍. Table 2 無機イオン測定結果. ClP. SOi−. A. O.042. 020. B. 0.054. C. D E. ECOヨ. NOヨ  Na中. K〒. Ca輯. Mg牌  NHぞ. 0.52. 0.018    0r17. G,〇三3. G.35. 0.093. 0.094. 0.78. 0.042    0.16. G.015. 0.36. G.099. 0.057. 0.18. 0.86. 0.039    0.17. 0,016. 0。5G. G.ユ2     0.006. 0.048. 0.12. 0,68. 0.022    0.17. G.016. G.34. G.095    0.002. 0.055. 0.13. 0.74. 0.031  0.18. G,OIg. 0.36. Gユ0. F. 0.16. 0.15. 1.23. 0.087     0.44. G.032. 0.47. 0.23. G. 0.13. 0.22. L30. 0.093    0.43. G.029. 0.59. 0.23. H. 0.13. 0.15. 1.G3. 0.066    0.36. 0,027. 0.45. 0ユ7. I. 0.12. 0.。15. ユ,0ユ. 0.063     0.34. 0.029. 0.43. 0.17. 0,00弓. J. 0.12. G.ユ4. 1.oo. 0.059    0.34. 0.030. 0.42. 0.エ7. 0.003. K. 0.13. G.15. 1.G4. 0.065  0.35. 0.030. 0.44. 0.18. 0,003. L. 0.ユ4. Ga5. LG2. 0.063    0.37. 0,034. 0,45. 0.18. M. }.G5. 0.066     0.39. 0.033. 0.44. 0,18. G,GO4. 0.071    0.53. 0.049. 0.56. 0.26. 0.0}8. 0.073    0.56. 0,048. 0.51. 0.23. G.G12. 0.16. 0.64. 0,30. 0.13. G.16. N. 0.24. G.20. O. 0.23. 0.22. L40 L28. P. 0.56. 0.15. 1.40. 0.52     3.57. Q R. 0.46. 0,24. L42. 0.71     0.79. 0.059. 0.59. 0.27. 507. 25.3. 2.30. 0    426. 8.05. 11,7. 47.5. 10.    1    … \ 葦. HCO3. 、l.  E. 7 淳. 州.   . SO4. 一』\/. ,「. ハ.  E. l一へ. NO3. [ レ/. α.1. ヒ      じ  ぎコ  ユ      ト  ミ. ヨ  ロ   に. 千 鳥 橋. 大浅口 又瀬附 川地大 垂区橋 附 川 合. 流 点. 上. 用. 谷. 沢 地. 峡. 区. 灘 珊. 平 門 中. 間 点. 小 市 地 区. 松 松 報 冨 2飯」酒海. 田田徳士7泉R匂. 1橋三塁.  点   1梁 橋.      中      縫      点 Fig 3 陰イオンの地点別濃度. 0,002. 0.003.

(6) 20. 10.  に  ト. 遷に \ ち 百. 1. α1.  十. K.  }. 0.01. 30. 20. 10. も            じ. コ   キ   し   う   ヨ  を し ち. 千  大浅雷 鳥  又瀬附 橋  川地大.   垂区橋   附   1[i   倉   1冗   点   上. K訟  0. 小. 地. 松松報富2飯」酒海. 瞬田建窯7泉R匂. 1橋騰. 区.      鑑.  点    梁 橋       中       間       点 Fig 4 陽イオンの地点別丁転. 地からの水質が影響を受けたものである。従って,調. Kmの間で水質が安定しているので,充分代表性があ. 査した水系について云えば上流と下流に分けることも. ると認めてよいように思える。すなわち,谷峨から271. できる。また,河口近く2,3Kmで濃度の乱れが見. 号線橋までの問では,上流からの自然起源と流域の人. られる。これは,都市下水の流入,および海水流入の. 為附加に一定性が認められる。なお,全流域にわたっ. 影響であるが,ただこの酒匂川は急流で河口汽水域が. て陰イオンと陽イオンの比率は0.90から1.29の間でバ. 非常に少なく,河口から1Km地点でなおかなりの速. ランスしており,この点でも酒匂川は人為附加による. 度の流れとなっている。このため,海水の混入によっ. 著しい乱れはないと考えてよい。. て塩類濃度が次第に増加する傾向がわずかな領域しか.  さらに各成分の起源を考察するために,昔の河水と. 認められない。河目近くに2つの橋,酒匂橋と西湘大. 現在の河水,それに海水と雨水について成分存在比を. 橋がかXっているが,両方共衰厨に流れはない。前老. 対比して麟5に示した。. が海水の影響があり,後者が海水より排水の影響があ.  ここで,昔河川と云うのは昭和28年5月から29年3. るように見えるのは,この附近の水路が複雑なためで. 月の間,酒匂川山北町において小林純教授らが採水分. ある。この点は同じ神奈川県の多摩川で海水影響が10. 析した値Dを使用した。従って,現河川は今回の調査. 数Km遡ヒして認められる場合と大きな違いとなって. 地点中山北町に最も隣接した小市地区の測定値を対比. いる。いずれにしても,灌匂川で云えば河口近くは河. した。両者の比較では各成分は大体同じ比率を示して. 川の代表焼は1ない。. おり,このことはこの30数年間に流域が甚大な自然改.  むしろ酒匂川の特徴をヒげるとしたら,中流域20. 変を受けたにも拘らず,河川流水系の成分構成への影.

(7) 21. 宝.      押. 難.      ヨミ. 計 ∴1.      !言.     謳.    .      上. 唾.     評.   卜.      暑.    . (》GO1. 称㍉亀覧『黒1葦. 琶 ω.       Fig 5 無機成分の濃度比. 響は低い水準に保たれていることを推測させるもので. を見ても,三者共かなり異なっていることが分かる。. ある。ただ,CレやNO3 など2∼3倍の増加が記録さ. この一連の現象は以下のように説明できる。まず,海. れたが,この分は今回渇水状態で一過的現象である. 水が飛沫となって舞上り,これが大気中に浮遊し,つ. か,あるいは人為汚染による上昇分かは即断できない。. いて}1欝滴に含まれて雨として落下する。この時海塩の. また昔の数値は6回調査の平均であること,さらに谷. 液相から気楊への析出と,気楊から液堀への溶解は閲. 峨地点より上流では昔の濃度を下回っていること等,. 一機作の逆現象と考える。ここで進行する各成分間の. 考え合わせると長期間酒匂川の成分構成には変化があ. 分芳唾は,関与する塩類の水に対する溶解度に左右され. まりなかったとするのが妥当と考えられる。. ると仮定して,それを表示すると表3となる。.  さて,各イオン比率が一定なものとすれば,それぞ.  図5において海から講への最も異なる点は,Na’,. れの起源について考察ができる。従来,河川水質は統. Ci一,の減少とCa柄, SOrの相対的増加である.そし. 計的評価がされており3),それらを参考にすれば河川. て,この両塩類の溶解度は前者が35.9,後者が0.20で. 成分の起源は,1) 雨による海塩成分2) 岩石,土壌. 最も差がある。すなわち、溶解度が大きいNaClは海面. からの滲出成分,および3) 大気,水質汚染の人為附. から大気へ飛び出し難く,溶解度が小さいCaSO4の彩. 加成分の3つに類別されよう,この中でまず雨と岩石. 態としては海面から大気へ飛び出し易い。この相違. による寄与が一般河那水の基本溝成を作ると考える。. が,雨水中のNaCi/CaSO、が海水中のそれより小さい. 日本は鐙面海に囲まれていて,雨水成分はほとんど海. 値となった原因と考えられる。Mg触を晃ると,雨で. 塩に起因する。ここで,海水の成分比を重ねてプロッ. は海に比べてK窄,Ca より相対的に低くなってい. トして見る(海水は単位が1000倍とする)と,各成分. る。これも,Mg塩がK, Ca塩よりいずれも溶解度が. 比率は大変異なっている。また,同じく雨水の成分比. 大きく,上の関係が成立する。総じて,SO趨がCi塩よ.

(8) 22. Table 3 関係無機塩類の溶解度. N2からの発生も考えられ,人為起源としては火気汚 染と下水等都市排水「}・1汚染が考えられている。このよ. 比  壷.  溶 解 度 (in 10G  parts  /K). うに原因が重なっているので,雨水と河測水の濃度の 比較だけでは人為汚染の程度を決定できない。酒匂川. NaCl. 2.!64. 35.9. について見れば下流の10倍の増加は明らかに排水によ. KC主. 1.988. 34.2. る汚染質附加があり,また谷峨地区でCl一と平行して. 2.325. 54.6. 増加しているのは支流からの人為影響が推測される. 2.15. 42. Na2SO4. 2.664. 19.5. K2SO{. 2.662. 11. MgC12 CaC12 MgSO4 CaSO4. 2.66. 2.960. 26 0.20. が,決定はできない。これらの判断のためには,さら に人為影響が少い河川について,あるいは人為影響が 顕著な河川について試料を得て,それら多数検体によ る統計的解析を試みる外はない。.  都市や集落からの人為附加としてNaClが無視でき り溶解度が低く,これが全体の傾向を決定していると. ない。Naαは食塩として消費されるが,結局変化する. 解釈できる。. ことなく環境へ排出されるわけであるから,人間活動.  つぎに,雨水と河川水の比較では,火気から雨への. に必ず付随する汚染となっている。Cl『は雨水とん為. 移行と岩石,:.L壌からの溶解の2つの要素が関係する。. と要握が単純であるから,さらに調査を重ねればその. 大気中塩で云えば,海岸から内陸へ入るに従って,積. 水系における動態は比較的容易に解明できると予想さ. ’:τ1中のCl./SO、比が低下する事実が分っておゲし,. れる。. これは大気移送中に雨つまり液相へ戻る鋼合がNaC1.  今田の実験ではSO4…は全域で最も変動の少い成分. の方がCaSO.、より大きいことで説明される。すなわ. となっている。農地に附加されるSO4{一は水質に影響. ち、この場台は地域と気候条件が関係し,内陸に入る. する程大きくないと考えられる。Mど卑は人為には全. 程,また海提方向から風を受けない程,海水中燃類比. く関与しない成分である。これがNゴと平行して増加. 率.と異なった雨水となる。この点で酒匂川流域がどの. している理由は説明できないが,Mgか了とCaγ’は雨水. 程度の1立置に当るかは他の地域との比較がないと確か. と河川水で近い比率である故,基本的には雨水の姓質. なことは分らないが,α.が,若干SO・..よりは高い値. が保持されていると考えてよい。. になっており,神奈川県が火体中1差ll的旨旨にあると考.  なお,繭水であるが,それは採水条件によって塩類. えられる。岩石,二1二壌からの寄与では,全体として. 濃度水準に10倍返く差があるのが普逓である。この実. SO4.…とCa’rの附加が観察される。丹沢湖は近年に完. 験では統計的にデータを取る機会がなくて,当研究セ. 成した新しい湖であって,なお水質は平衡に達してい. ンター構内で採目した雨水の参考値として示したが,. ない。近くにある芦の湖や川口湖のような古い湖に比. 神奈川県各地で採取した資料を見ても成分比率には類. べてSO4…../Cド比が高いことは5},地下水等から. 似性が認められる。ただ,最返多くの自治体では酸三. Sα…が供給されることを示している。一般に古い湖. 四と称してpHを高く出す意図で採水する(降り始め. では雨水の環流が主要素となってCドの割合が高い性. lmmを分析する)ので,それらのデータでは塩類濃. 質を示すのが普通である。ただ,今網の測定の範囲で. 度も高く出る傾向がある,従って,環境要素の観測網. は湖の煎後において湖水質の影響は認められなかった。. が多くなっているにも拘わらず利用可能なデータが少.  結局,海→雨→河川の変化を総合すると,塩fヒ物比. いのは残念なことである。爾水中の塩類濃度水準と河. 率が減少し,硫酸塩比率が増茄する傾向があることが. 川水中のそれとの絶対量に関しては今はデータも少. 自然河川の無機塩類起源として認められた。 「rable 4.  以.ヒの各成分の存在比を乱す形で人為汚染を考えて. COD値. ppm. M. 見ると,海水中全く存在しないNO3..が,雨水中に出て. A. 2.0. G. 4.2. くるのは明らかに大気汚染質の溶解による。当然河川. B. 3.8. H. 4.8. N. 4.8. 水中にそのまま移行してくる。ただ,昔の河川水にも. C. 3.2. I. 4.8. O. 7.4. 3.4. J. 4.0. P. 4,9. K. 4.8. 6.4. L. 4。6. NOゴは常在成分として存在しているのでその寄与廓 を決定することは簡単ではない。NOゴは自然起源と して,生物質の分解,酸化があり,また雷放電等大気. D E F. Q R. 4.6. 4.0. 7.2 14.8.

(9) 23. く,また大した問題ではない。それは臼本の陸水の供   系の性質を決楚すると考えられるからである。こうし 給は台風や豪雪時に依存しており,いわば一時的に大   た現象については次の重要な課題としたい。 量に海塩が内陸に運ばれて,これが長期にわたって水    NHヂと化学的酸素要求ll}:は排水汚染を見るために.                Table 5 有機塩素化合物測定結果            n 醗d/ゼ. CBα3. CH2Ch. LI,1−. C2Ci4. CHα3. CH3Cα3. M. A. 0.75. 0.67. 0.46. 0.18. B. G.67. 0,90. 0.46. 0.24. C. 0.59. 0.82. 0.30. 0.18. 1.09. 0.45. 0。38. 0.18. 0,92. 0.75. 0.46. G.至8. O P Q. 1.00. 1.12. 3.19. 0,90. R. 1.09. 0.75. G.60. 0.18. D E F G. 1,Ll−. CH2Ch. C2C14. C}{3CCI3. 1.00. 0.90. 圭.90. 0.48. I. 0.92. 2.70. i.30. 030. N. 1,09. 1.80. 63.9. 0.48. 3,01. 2.02. 3.00. 0,66. 2.43. 4.90. 0,52. 0,47. 4.02. 8,99. 7.15. 1,51. 4.02. LO5. 0.84. 0.18. 1.00. 0.15. 0.30. 0.18. ppb. 大気中濃度. J. 1.麦7. 0.90. 0.46. 0.12. D. 0,2. 1.6. 1,2. 0.5. K. 1.G9. 1.65. 0.52. 0.24. H. 0.圭. 1.1. 0.6. 0.4. L. 1.42. 1.80. L20. 0.60. O. 0.1. 2.8. 0.7. 0.2. 10. 翼 \ 宅.                           ハ. r エ.      CH2CICHC12. CH3CC13    \. ノ. αユ. 「「,/7’ 「//\L_ゴ               1. α0ユ. 1G. K訟  0. ロ     ユ    ト    ぎ    ヨ     コ  し    . 千 鳥 橋. 大塚世 又瀬無 規地大 垂区切 附 川 食. 流 点. 上.    Fig 6. 用. 沢 地 岸. 谷 峡. 灌. 坐. 甲. 平 由 中. 地. 松 松 報 寓 2飯J口少. 田田徳士7泉R匂. 区. 間. 点.  点    梁 橋        中        躍.        ,嘗、. 有機塩素化合物の地点別濃度.

(10) 24 10. u. u 一一一一一一一一㎜一一一                  1.      ←. 。一1/1液1.       ハ. 嘘気1.       / \.     /\.     ・」.     /             、     「                                          L.     ρ    /.      E       .                  】                  ミ.      [  、・. ぞ、』    }.      1一」」14,・・. ≧・’・・ご・ 』i.             L  l.      F. 、、」           ∈ GH   8.   年.  ,:幽一・一・一、。.               A    E  ノ.      G  』・.   へ,    、・、. ’\.         ’、..  \,     、・\. 幽§ミー、一ぎ・.   ド.  黛      、,. 1壽.     Bλ.     ・   ミ.   し//レ.         \v.       J.     /.        \. α01L!   仁.   L. 9. 自. 9.   ヨ  ぐユ. 竃. 覧. ‘.   1   「. Ω. ε. ω.   L自   トポ. 9. s. ∬. Fig 7 有機塩素化合物の濃度比. 参考として求めた。COD値として表4に示す。. 4.有機塩素化合物の結果. 水のためと推定される。これら数点を除けば比較的一 定の濃度となっている。この中水道水に由来する成分 はクロロホルムであるが,地点鯛変化だけからはその.  河川水溶存有機成分としてクロロホルム,1,1,. 起源が水道水か大気かは明らかでない。この考察のた. 1一トリクロロエタン,トリクロロエチレン,テトラ. めにクロロホルム,1,1,1一トリクPロエタン,ト. クロPエチレンについて測定値を表5に示す。. リクPロエチレン,テトラクロロエチレンの各試料濃.  まず,無機イオンの場合と岡様に地点別に濃度をプ. 度比を図7に示した。. ロットして図6に示した。.  副詞実線は河川水で点線は溝時に採取した大気であ.  まず,全体の濃度は0.1n mol/4の水準にあって,. る。ここでM地点,あるいは○地点,P地点など下流. 有機塩素化台物の水系汚染を汚染度の高い場台,普通. の排水流入地域を除くと,0.1nmo[/4近くに集中し. の場合,清浄な場台と区分すると,酒匂川は普通の場. ていて,CHCI3物CH3CCI3>C}{2CICHC』>CCi2CCI2の濃. 合に絹当する。各成分上流から下流へかけてやや一ヒ昇. 度構成となっている。これが水系の平均の状態とすれ. 傾向にあるが,大した変化ではない。有機塩素化合物. ば火気中の濃度構成とよく一致していることが分かる。. の水系附加は黒場溶剤排液の流入,水道水の流入およ. これは,大気,河用の平衡が成立していることを示す. び大気汚染質の平衡が考えられる。トリクPロエチレ. ものである。さらに,水系達:流からこの関無が認めら. ンが271号線橋で急増加しているのは明らかに工場排. れるので,大気汚染質が水系に移行したと考えるのが. 水の流入によるものであり,酒匂橋,谷峨,松田など. 妥嘱と考えられる。ちなみに,C23成分の比率は本. にピークが記録されているのも中,小事業所からの排. 邦におけるfヒ学工業生産高の比率に一致している6}。.

(11) 25. CHC』であるが,この比率は河川と大気では明らかに. は,自然水系の試料に対する充分な精度,妨害の程度. 異なっている。理由は2つ考えられ,1つはCHCI3が. など,検討を要する問題が残されていて,まずその解. 水道水起源であって,水から大気へと拡散するために. 決が待たれるところである。しかし,今面の実験で. 水中の方が濃度が高いこと,1つはCHC』の水に対す. は,その多数点処理,自動化の可能性などすぐれた性. る溶解度がC23成分より高く,従って気液平衡にお. 能を利用すべきであると判断された。とくにフィール. いて液相への移行が大きいことによる。水100に対する. ド試料の測定値の欠落が環境研究の障害になっている. 溶解度は,CHC』0.82, CH3CC』0.13, C}{2CICHCi2. 現状を見ると,新しい機器による手法を積極的に推進. 0.10,CCI2CCI20.04となっている。この爾者のいずれ. する必要があると思われる。COD値に関する近代的手. が主な原因であるかはこの結梨だけでは分らない。恐. 法の改善,導入等については今回は未完となった。. らく爾者それぞれ寄与していると推定される。この関 文  献. 係は前に多摩川,栢模川,荒川で数点調べた結果と腿 じであるので,今度多数点で再確認したことになった。. 1)小林純:水の健康診断,岩波書店,!971. 本邦環境で広範囲で成立している傾向と考えて差し付. 2) 日本地球1ヒ学会編:水汚染の機構と解析,産業図. えないであろう。.  書,. 3) 菅原健・半谷高久共編:地球化学入門,p157,. 5.結  語.  丸善,昭和50年.  神奈倒県下で比較的自然が保たれている酒匂川水系. 4) 加藤龍夫・花井義道:イオンクロトグラフ法によ. を対象として,地点別に水質調査を試みた結果,無機.  る積雪含有成分の調査研究,横浜国大環境研紀要,. 塩類の海塩起源の機序,有機塩素化合物の火気平衡現.  10,3(1983). 象について知見を加えることができた。河川の水質評. 5) 加藤i・花井・i薬,槌田:本邦湖沼中のハ零丁ーボ. 価では,流域の破壊,都市fヒにも拘わらず,なお水質.  ン類の動態に関する調査研究,横国大環境研紀要,. の面で自然状態が銀持されていることが分かった。.  12 , 65 (1985). 従って今時点で本邦水系の地球化学的水質の再調査を. 6) 加藤・花井・槌細:旧都圏と周辺の水道水中ハロ. 計画することは充分化学的根拠があり,また水系環境.  カーボン類の地域分布,横浜国大環境研紀要,11,. の圓復を計るために不可欠な課題と考えられる。イオ.  37 (1984). ンクロマトグラフィーを環境研究に活用する揚合に.

(12) 26. 署1. 4 吻    ラ.   渥. イ. 衡. 多. 乏.   1塗. 愛. の. そ. ≠. 亀. 業. ノ. 撃.   ヨ 義 碁,. ・1. 芸. Ω. 8. ・{. i},. 浅. ’. ま. 」.  {. 多. 塁. 参. {. 蒼.  こ』 タ. ユ. 手. ξ. /. 拳. 霧. :」ン. 藤. 島. ℃ ’1. 滋  . 忌. 『. 盗. ξ ξ. え. 里. β. ξ. 蚕. 弔 ,. 窪. 劇. 是. 率. め. {. 之. 丈. 1.l. 羨. 逸 え.  F 4. 葵. 電. ./ }ヒ. 変.え. 茎. 至. ・寄. .言. 亀.    も 、.十    GC. 重.  、  閑. 峯:汁:ξ Ω. 事. 淀 の. 身. 多. しt.       摘要.  本文爲了確定河流水質維成起源,選澤了日本中等規模約海流一漕匂川河爲タ形象進行実 験調査。.  用離子色譜法分析了無機離子,糊気相色譜法分析了有機気化物。水様是從河流的上酒開 始到河口距離35Km内採取的。  実験結果説明,河流水中塩類的組成比是由予海水中,塩類溶干雨水中,被輸送到内陸所 形成的事実。河水中NaCi対CaSO、的比例與海水中的比例不同是由子爾者的溶解度目差異。 有機気化物楚由予大気汚染,工業排水以及C』漉毒自来水所塵生的。 比較河水中CHCI3, C2H3C】3, C2HC}3以及C2C14的比例與大気中的比例的方法能決定上述三種 起源。.

(13)

Table 2 無機イオン測定結果 mmol/珍 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R ClPO.0420.0540.0570.0480.0550.160.130.130.120.120.130.ユ40.130.240.230.560.46507 SOi−0200.0940.180.120.130.150.220.150.。15G.ユ4G.15Ga5G.16G.200.220.150,2425.3 ECOヨ0.520.780.860,680.741.23L301.G3ユ,0
Table 3 関係無機塩類の溶解度 比  壷  溶 解 度 (in 10G  parts  /K) NaCl MgC12KC主 CaC12 Na2SO4 K2SO{ MgSO4 CaSO4 2.!641.9882.3252.152.6642.6622.662.960 35.934.254.64219.51126 0.20 り溶解度が低く,これが全体の傾向を決定していると 解釈できる。  つぎに,雨水と河川水の比較では,火気から雨への 移行と岩石,:.L壌からの溶解の2つの要素が関係する。 大気中塩で云えば

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