商品売買取引処理法の再検討
原
俊雄
Review
on the
Recording
for. the
Purchase
and
Sale
of Inventory
Toshio
Hara
This paper is to review the method of recording the purchase and sale of inventory, and their adjusting and closing procedures. Nowadays, there are various methods for doing this explained in Japanese textbooks.
The method of a merchandise account debited with inventory at the commencement of the fiscal period,debited with purchases and credited with sales is no longer found in America, England and France. In Japan and Germany, however, it remains today. The method of a merchandise account not only debited but also credited at cost price is another method found only in Japan.
In this paper, referring to the history of the methods of recording the purchase and sale of inventory, and foreign textbooks of today, I will consider the logic of the various methods used both in and outside Japan.
1は じ め に 商 業 簿 記 教 育 に お け る重 要 な課 題 の 一 つ は 、 営 業 活 動 の 中心 と な る商 品 売 買 取 引 の 処 理 で あ ろ う。 簿 記 史 の研 究 に お い て も商 品 売 買 取 引 の 処 理 法 の 歴 史 的 発 展 プ ロ セ ス に関 す る研 究 が す で に 多 くの 先 達 に よ っ て 行 わ れ て い る 。 わが 国 の 簿 記 テ キ ス トで は 、 商 品売 買 の 処 理 法 と して 様 々 な 方 法 が 説 明 され て い るが 、 大 別 す る と① 単 一 商 品 勘 定 を 使 用 す る方 法 と、② 分 割 商 品 勘 定 を使 用 す る方 法 に分 類 さ れ る。 ① につ い て は貸 借 と もに 原 価 で 記 帳 す る分 記 法 、 原 価 で借 記 、 売 価 で貸 記 す る 総 記 法 、 貸 借 と も に売 価 で 記 帳 す る小 売 棚 卸 法 が 、 ② に つ い て は 三 分 法 、 売 上 原 価 対 立 法 な どが 挙 げ られ るU)。 そ こ で 本 稿 で は 、 商 品 売 買 取 引 の 処 理 法 の 歴 史 的 発 展 プ ロ セ ス 、 諸 外 国 の テ キ ス トを 参 考 に し て 、 今 日の 簿 記 テ キ ス トで 行 わ れ て い る処 理 法 を再 検 討 して み た い 。 な お 、 商 品 の 特 殊 売 買 取 引 は考 察 の対 象 か ら除 い て い る。 2単 一 商 品 勘 定 によ る処 理 歴 史 的 に み る と単 一 商 品 勘 定 の 前 身 は 、 商 品 の 種 類 ・数 量 を伴 う購 入都 度 別 、 あ る い は 種 類 別
の 口別 商 品 勘 定 で あ る と考 え られ る 。 中 世 イ タ リ ア商 人 の 帳 簿 を 分 析 され た 泉 谷 教 授 に よ れ ば 、 この 各 種 口 別 商 品 勘 定 の処 理 法 に は 、 勘 定 残 高 処 理 法 、 分 記 法 、 総 記 法 の3つ の手 法 が 存 在 した よ うで あ る(2)。 現 存 す る最 古 の 簿 記 書 『ス ンマ 』 で も口 別 商 品 勘 定 が 使 用 さ れ て い る が 、 決 算 時 の 在 庫 の処 理 法 に つ い て 説 明 され て い な い 点 か ら判 断 す る と、 『ス ン マ 』 で 採 用 さ れ て い る方 法 は 、 勘 定 残 高 処 理 法 で あ っ た と考 え られ る(3)。 こ の 口 別 商 品勘 定 に よる 処 理 法 は 、 渡 邉 教 授 の16世 紀 か ら19世 紀 前 半 に わ た る英 米 の 簿 記 書 の 研 究 に よ る と、 まず 副 次 的 な 商 品 を ま とめ て 記 帳 す る雑 商 品 勘 定 に よ る処 理 法 、 次 い で 主 要 商 品 を概 括 す る種 類 別 商 品 勘 定 に よ る処 理 法 、 そ して 単 一 商 品 勘 定(一 般 商 品 勘 定)に よ る 処 理 法 へ と展 開 して い っ た(4)。 た だ し、 口別 商 品 勘 定 が 使 用 さ れ て い た時 代 に、 す で にYmpynの 簿 記 書 で は 売 残 商 品(remainyngparcells)勘 定 が 決 算 整 理 勘 定 と して使 用 さ れ て い る。 この 勘 定 は 、 決 算 時 に期 末 棚 卸 高 が 振 り替 え られ る とい う点 で現 代 の繰 越 商 品 勘 定 と同 じ役 割 を担 っ て お り、 注 目す べ き処 理 法 で あ ろ う。(5) 口別 商 品 勘 定 か ら単 一 商 品 勘 定 へ の 展 開 は 、 商 品 勘 定 の 統 合 とい う展 開 で あ る。 こ れ は 口 別 商 品 勘 定 が 担 っ て い た と考 え られ る 金 額 記 録 に よ る 計 算 及 び 物 量 記 録 に よる 財 産 管 理 とい う機 能 の う ち 、 前 者 が 主 要 簿 の 単 一 商 品 勘 定 に引 き継 が れ 、 後 者 が 補 助 簿 の 口 別 商 品勘 定 あ る い は商 品 有 高 帳 に 引 き継 が れ た とい う点 か ら説 明 で き る で あ ろ う し、 す で に多 くの 先 達 に よ る 詳 細 な研 究 が 行 わ れ て い る(6)。 残 され た 問題 は、 口 別 、 種 類 別 、 あ る い は単 一 商 品 勘 定 が 計 算 す べ き金 額 の 問 題 で あ ろ う。 す な わ ち、 商 品 売 却 時 に そ の 都 度 損 益 を計 算 す る分 記 法 と決 算 時 に一 括 して損 益 を 計 算 す る総 記 法 に 関 す る問 題 で あ る 。(7) 前 述 した よ う に 口 別 商 品 勘 定 時 代 の 商 人 の 帳 簿 に分 記 法 が 存 在 して い る よ うで あ る し、 単 一 商 品 勘 定 が 登 場 した 当 初 も分 記 法 を使 用 して い る 文 献 が 若 干 存 在 す るが(8)、 総 記 法 が 主 流 で あ り、 私 の調 べ た 限 りに お い て19世 紀 末 以 降 の英 米 、 現 代 の 独 仏 の 簿 記 あ る い は 初 級 会 計 学 の テ キ ス ト に分 記 法 の 説 明 は 見 られ な い 。 これ に対 して 、 わ が 国 の ほ とん ど の テ キ ス トで は 、 まず 最 初 に 分 記 法 が 説 明 さ れ 、 そ の 実 践 が 困 難 で あ る と い う点 か ら総 記 法 、 あ る い は そ れ を 省 略 し三 分 法 な ど の説 明 が 行 わ れ て い る 。 諸 外 国 で はす で に存 在 しな い 分 記 法 が わ が 国 に残 っ て い るの は 、 明 治 時 代 に多 数 の 抄 訳 本 あ る い は 祖 述 本 が 出 版 さ れ たFolsomの 簿 記 書 の 影 響 に よ る もの と考 え られ る 。 Folsomは 分 記 法 に よ る単 純 勘 定 と して の 商 品 勘 定 を説 い た 後 、 実 務 で 採 用 さ れ て い る とい う総 記 法 に よ る混 合 勘 定 と して の 商 品 勘 定 とそ の 決 算 整 理 の 意 味(混 合 勘 定 の単 純 勘 定 化)を 説 明 して お り(9)、わ が 国 の 簿 記 書 と同 じ説 明 手 法 を と っ て い る 。 周 知 の 通 り、 分 記 法 の 長 所 は 商 品 勘 定 の借 方 残 高(当 在 高)に よ る 管 理 が 可 能 に な る こ と と、 販 売 時 に 売 買 損 益 が 判 明 す る とい う点 で あ る 。 しか し、 原 価 に よ る管 理 は単 一 商 品勘 定 で 行 う よ りも管 理 を必 要 とす る 商 品 の種 類 別 に行 うべ き で あ ろ う し、 販 売 時 の 売 買 損 益 計 算 は 実 施 可 能 性 の 見 地 か ら問題 が あ る 。㈹) そ れ に も か か わ らず 分 記 法 を採 用 す る理 由 は何 か 。 確 か に現 代 の よ う な情 報 処 理 能 力 を前 提 と す れ ば 、 分 記 法 は一 部 の 例 外 を 除 き実 施 可 能 で あ る。 この 場 合 、 分 記 法 の 欠 点 は収 益(売 上)の 発 生 と費 用(売 上 原 価)の 発 生 とい う二 つ の 取 引 を相 殺 す る純 額 法 の 処 理 法 とい う点 で あ る 。 資 本 等 式 あ る い は 貸 借 対 照 表(等 式)に 基 づ き 、取 引 を これ ら に与 え る 影 響 を示 す と い う導 入 法 を と る場 合 、 収 益 と費 用 が 相 殺 さ れ る の は 避 け られ な い こ とで は あ る が 、 問 題 は そ れ を 「商 品販 売 益 」 とい う収 益 と して 説 明 す る の か 、 売 上 高 と売 上 原 価 を背 後 に想 定 して 「純 利 益 」 と して 説 明 す る の か で あ る。 例 を挙 げ る と 、原 価¥100の 商 品 を¥150で 掛 売 り した 時 に 、 前 者 に よ れ ば 、 資
産 の 増 加 が¥150、 資 産 の減 少 が¥100、 した が っ て 資 本 の 増 加¥50、 こ れ を収 益 と して 説 明 す る 。 これ に対 して 、後 者 に よれ ば 、¥50の 資 本増 加 を収 益 と して説 明 す る の で は な く、売 上 高¥150一 売 上 原 価¥100と い う計 算 に も触 れ 、純 利 益 と して 説 明 す る の で あ る(11)。わ が 国 の よ う に導 入 時 に収 益 と して 説 明 す る と、 商 品 売 買 取 引 の処 理 に お い て も分 記 法 に触 れ ざ る を え な い で あ ろ う。 ま た 、 こ れ と は 異 な る 見 地 か ら分 記 法 を解 釈 す る こ と もで きる 。 そ れ は 分 記 法 の 商 品 勘 定 を、 通 常 の 商 品 売 買 業 の 勘 定 で は な くサ ー ビ ス業 の 勘 定 と考 え る こ とで あ る 。 例 え ば 、 受 託 買 付 業 を考 え て み よ う 。 現 代 の テ キ ス トで は 、 買 付 時 、 費用 立 替 時 及 び 買 付 計 算 書 送 付 時 に 受 託 買 付 勘 定 に 借 記 す る方 法 の み が 説 明 され 、 オ フ ・バ ラ ン ス と な る受 託 品 の 処 理 に は 触 れ て い な い 。 貸 借 対 照 表 が 確 立 して い な か っ た 時 代 に お い て 、 簿 記 の財 産 管 理 と い う 目 的 を 考 え れ ば、 他 人 の 財 産 で は あ る が 買 付 か ら引 渡 しま で の 記 録 は 不 可 欠 で あ ろ う。 そ こで 、 買 付 代 金 の み を商 品 勘 定 で 処 理 し、 引 渡 し時 に 受 取 手 数 料 を分 割 して 計 上 す れ ば 、 外 見 上 は分 記 法 に よ る 処 理 とな る(12)。 別 の例 と して 、 金 融 業 を 考 え て み よ う 。 金 融 業 は資 金 提 供 とい うサ ー ビ ス の 対 価 と して利 息 を 受 取 り、 資 金 調 達 の コス トと して利 息 を支 払 うわ け で あ る が 、 金 銭 債 権 ・債 務(元 本)と 金 融 収 益 ・費 用(利 息)は 別 勘 定 で 処 理 され て い る。 これ を 商 品 売 買 業 に適 用 す る と、 元 本 に相 当 す る の が 商 品 で 、 利 息 に相 当 す るの が 販 売 益 及 び仕 入 諸 掛 とな る(】3)。前 出 のFolsomは 、 勘 定 を 財 貨 の 勘 定 と用 役 の勘 定 に分 類 し、 金 銭 債 権 債 務 及 び商 品 を前 者 に 、 金 融 収 益 ・費 用 及 び販 売 益 ・仕 入 諸 掛 を後 者 に 帰 属 させ て い る(14)。 この 勘 定 分 類 法 が 分 記 法(た だ し仕 入 諸 掛 の原 価 算 入 も行 わ な い)と 結 びつ くの は 当然 の帰 結 で あ ろ う。 で は 次 に 、 総 記 法 に つ い て考 え て み よ う。 総 記 法 の 欠 点 は商 品 勘 定 の 貸 借 差 額 が 当 在 高 等 の 意 味 の あ る 金 額 を 単 独 で示 さ な い た め に 、 会 計 期 間 中 に商 品 の 管 理 が で きな い と い う点 、 初 学 者 が 決 算 時 の 処 理 を理 解 しづ らい とい う点 が 挙 げ られ る。 まず 前 者 につ い て は 、 管 理 が 必 要 な 商 品 に つ い て は 商 品 有 高 帳 の 意 義 を強 調 す る こ とに よ っ て 対 処 で きる で あ ろ う。 既 述 の 通 り、 口別 商 品 勘 定 が 単 一 商 品 勘 定 へ 統 合 さ れ て も、 口 別 商 品 勘 定 の 機 能 は補 助 簿 に現 存 して い る の で あ る。 次 に 後 者 につ い て は、 現 行 の 決 算 手 続 を多 少 変 更 す る こ とが 必 要 で あ る。 総 記 法 に よ る 決 算 時 の 貸 借 差 額 は 、 期 末 棚 卸 高 と販 売 益 の 差 額 で あ る。 この 両 者 の 金 額 の う ち先 に把 握 で き る の は期 末 棚 卸 高 で あ り、 そ の 後 に販 売 益 が 判 明 す る 。 こ れ に 対 して 決 算 記 入 にお い て は、 販 売 益 の 損 益 勘 定 へ の 振 替 が 期 末 棚 卸 高 の 残 高 勘 定 へ の振 替 あ る い は 次 期 繰 越 記 入 に先 行 す る。 この 計 算 と記 帳 手 順 の 齟 齬 が 初 学 者 に 難 解 な 点 で あ ろ う。 ま た、 間 接 仕 訳 法 を採 る と、 粗 利 部 分 は 決 算 時 に商 品 販 売 益 とい う勘 定 を経 由 させ て 損 益 勘 定 へ 振 り替 え られ て い る 。 私 見 に よれ ば 、 これ は分 記 法 の 思 考 に 引 きず られ た処 理 法 で あ る。 で は 、 ど うす るか 。 別稿(IS)で も触 れ た が 、 そ れ は 商 品 勘 定 を資 産 の 勘 定 で は な く、 商 品 の仕 入 ・売 上 を 計 上 す る 勘 定 と考 え る こ とで あ る。 した が っ て 、 ま ず 決 算 整 理 と して 期 末 棚 卸 高 を 商 品 勘 定 か ら繰 越 商 品 勘 定 へ 振 り替 え た 後 、 通 常 の 決 算 手 続 と 同 様 に 、 商 品 勘 定 か ら損 益 勘 定 へ の 振 替 、繰 越 商 品 勘 定 か ら残 高 勘 定 へ の 振 替 を行 え ば よい 。 総 記 法 の 商 品勘 定 を前 提 に三 分 法 を説 明 す るの で あ れ ば 、 む しろ この 方 法 を採 用 す べ きで あ ろ う 。(16) 20世 紀 初 頭 の ア メ リカ の 経 営 会 計 学 百 科 事 典 で は 、 丶MerchandiseAccountノ に つ い て 総 記 法 の 処 理 の み が 解 説 さ れ て お り、 商 品 勘 定 を 売 買 取 引 と粗 利 を示 す 勘 定 で あ り不 完 全 な売 買 勘 定 (tradingaccount)で あ る と して い る!17)。売 買 勘 定 は粗 利 を計 算 す る勘 定 で あ る か ら、 こ こ で は商 品勘 定 の 目的 を損 益 計算 にあ る と考 え て い る こ と に な る。
総 記 法 の 商 品勘 定 の 目的 を分 記 法 の 延 長 線 上 で 考 え る の で は な く、 あ く まで も損 益 計 算 に 限定 す れ ば 、 問 題 は そ の損 益 が 帳 簿 上 、 決 算 時 に しか 判 明 しな い とい う点 で あ ろ う。 しか し これ は総 記 法 固 有 の 問 題 で は な く、 三 分 法 に も共 通 す る 問 題 で あ り、 そ もそ も両 者 は 外 部 取 引 の 記 録 と 、 決算 す な わ ち 人 為 的 な期 間 区 分 を まっ た く別 問題 と考 え て い る(18)。総 記 法 は 、 取 引 記 録 に お い て は 証 憑 の 金 額 に基 づ く事 実 通 りの 記 録 を行 い 、 完 売 す れ ば 貸 借 差 額 で 損 益 を計 算 で き る 方 法 で あ り、 現 代 に よ う に期 間 損 益 を 計 算 す る 必 要 が あ る場 合 に は 、 売 残 り部 分 を損 益 計 算 か ら除 外 す る 修 正 を加 え て 損 益 を計 算 す る 方 法 な の で あ る 。 した が っ て 、 取 引 記 録 の段 階 で 決 算 を考 慮 し反 映 させ る分 記 法 とは ま っ た く相 容 れ な い思 考 に 基 づ く処 理 法 な の で あ る 。 3商 品勘 定 の分 割 歴 史 的 に は 、 前 節 で 触 れ た よ う に 口 別 商 品 勘 定 が 統 合 され 単 一 商 品勘 定 と な り、 そ の 後 、 単 一 商 品 勘 定 が 再 分 割 され 、 現 代 の 処 理 法 とな っ た と考 え られ る 。 久 野 教 授 は ア メ リ カ に お け る 商 品 勘 定 再 分 割 を 考 察 し、1880年 代 初 頭 か ら商 品 勘 定 分 割 論 が 展 開 さ れ始 め て きた こ とを 明 らか に さ れ 、 こ れ に対 す る イ ギ リス の 影 響 を示 唆 され て い る(19)。 残 念 な が ら、 筆 者 も ア メ リ カの 商 品 勘 定 分 割 論(1882年)に 先 行 す る イ ギ リ ス の 文 献 は発 見 で き な か っ た 。 た だ し、 イ ン グ ラ ン ド及 び ウ ェ ー ル ズ 勅 許 会 計 士 協 会 の1883年1月 の 最 終 試 験 の 第9 問 で 示 さ れ て い る残 高 試 算 表 で は 、仕 入(Purchases)、 商 品 及 び原 材 料(StockandMaterials)一 期 首 棚 卸 高 で 計 上 、 売 上(Sales)勘 定 が 使 用 され て い る(2°)。こ の 点 か ら、 イ ギ リ ス で は す で に 1880年 代 に商 品 勘 定 の分 割 が 定 着 して い た こ とが 推 測 され る。 商 品 勘 定 再 分 割 の 論 拠 と して は 、 単 一 商 品勘 定 処 理 で は 返 品 等 の 理 由 に よ り貸 借 に売 価 と原 価 が 混 在 し、 修 正 を施 さ な け れ ば 分 析 に利 用 で きな い とい う点 が 挙 げ られ る が(2D、 さ ら に、 職 能 別 組 織 の 採 用 に よる 業 務(仕 入 ・販 売)の 分 割 、 そ れ に伴 う帳 簿(仕 入 帳 ・売 上 帳)の 分 割 とい う 側 面 の 影 響 も考 え られ る(22)。 で は 、 商 品 勘 定 はい くつ に 分 割 す る の か(23)。わ が 国 で は 一 般 に三 分 法 が採 ら れ て い る。 以 下 で は 、 諸 外 国 の 処 理 法 を 設 例 を用 い て比 較 して み た い 。 [設 例] ① 期 首 商 品 棚 卸 高100円 ② 仕 入500円 ③ 売 上700円(売 上 原 価400円) ④ 決 算 日、 期 末 商 品 棚 卸 高200円 ア メ リ カ で は 一 般 的 に 売 上 原 価 対 立 法 が 採 用 さ れ て い る 。(24) InventoryCostofgoodssold
Oioo
Osoo
34° ° Salesrevenue 3400 ゜g° ° この 売 上 原 価 対 立 法 は継 続 記 録 法(perpetualinventorysystem)を 前 提 とす る 。 した が っ て 、 売 上 原 価 対 立 法 が 適 用 で き る の で あ れ ば 、 分 記 法 の 実 施 可 能 性 を 問 題 と して 総 記 法 、 三 分 法 を説 明 する 意 味 は な く 、 問 題 は 純 額 法(分 記 法)か 総 額 法(売 上 原 価 対 立 法)か と い う 点 と 、 外 部 取 引 と 内 部 取 引 を 混 同 し た 処 理 法(分 記 法)か 分 別 した 処 理 法(売 上 原 価 対 立 法)か と い う 点 で あ ろ う 。 こ れ に 対 し て 、 棚 卸 計 算 法(periodicinventorysystem)の 下 で は 次 の よ う な 処 理 に な る(25)。 InventoryPurchasesSales ①100●looOsoo●soo'④700●goo ●200 IncomeSummary④ 決 算 整 理 仕 訳 ●100●200.Dr.IncomeSummary100 〃500〃700Dr.Inventory200 ま た 、 あ る テ キ ス ト で は 次 の よ う な 処 理 も み ら れ る(26)。 InventoryPurchases ①100●looOsoo●soo ●200 Costofgoodssold④ 決 算 整 理 仕 訳 ●400Dr.Inventory200 Costofgoodssold400 Cr.lnventory 100 Cr.IncomeSummary200 Sales Cr.lnventory Purchases ●goo 100 500 まず 、 前 者 は 売 上 原 価 の 計 算 を仕 入 勘 定 で は な く損 益 勘 定 で 行 っ て い る 。 これ は損 益 計 算 書 の 様 式 に従 っ た もの で あ ろ う。 また 後 者 の 特 徴 は 、 決 算 整 理 の 結 果 と して売 上 原 価 が 間接 的 に把 握 さ れ る の で は な く、 売 上 原 価(400)が 直接 把 握 さ れ た 後 、 決 算 整 理 仕 訳 を行 っ て い る 点 に あ り、 売 上 原 価 対 立 法 の 後 に考 案 さ れ た 方 法 で あ る こ と は 明 白 で あ る。 い ず れ にせ よ、 両者 とも継続記 録 法 に基 づ く売 上 原 価 対 立 法 の 後 に 、棚 卸 計 算 法 に よ る処 理 法 を説 明 して い る。 わ が 国 の よ うに 、 継 続 記 録 法 を前 提 とす る純 額 法 の 分 記 法 か ら、 継 続 記 録 法 を前 提 と しな くて も採 用 で き る総 記 法 、 総 額 法 の 三 分 法 とい う展 開 で は な く、 総 額 法 処 理 が 前 提 な の で あ る。 しか しな が ら、 売 上 原 価 対 立 法 の説 明 との 一 貫 性 を考 え れ ば 、 上 記 の 処 理 法 の よ う に仕 入 勘 定 は使 用 せ ず 、購入 時 も商 品勘 定 で 処 理 し、決 算 時 に④(借)売 上 原価400(貸)商 品400と い う整 理 仕 訳 を した ほ うが 望 ま しい(27)。 イ ギ リス の あ る テ キ ス トで は次 の よ うに処 理 さ れ て い る。(28> Stocka/cPurchasesa/cSalesa/c Olooi●looOsoo●soo●goo●goo 1001100 ●200 Tradingandprofitandlossa/c ●OpeningStock 〃Purchases "lessClosingstock Grossprofitc/d 100 500 200 ×11 300 goo ●Sales goo Grossprofitb/f700 300
こ の 処 理 法 の 特 徴 は 、 期 末 棚 卸 高 の 次 期 繰 越 記 入 を省 略 し、 売 買 勘 定 へ の 振 替 と翌 期 首 の 日付 で 行 うべ き前 期 繰 越 記 入 が 複 式 記 入 さ れ て い る点 、 そ して 売 買 勘 定 が 使 用 さ れ て い る とい う点 に あ る 。 前 者 は 記 帳 の 簡 略 化 と い う理 由 に よ る もの で あ ろ う。 後 者 の 売 買 勘 定 は イ ギ リス 特 有 の 勘 定 で あ る 。 イ ギ リス 特 有 の もの と い え ば 、複 会 計 制 度 も挙 げ る こ とが で き る が 、 こ れ は1868年 の鉄 道 事 業 法 に よ っ て 制 度 化 さ れ た も の で あ る 。 こ の 中 で 作 成 が 義 務 づ け られ た9号 書 式 の 収 益 勘 定 (RevenueAccount)で は 、借 方 の 支 出欄 に 主 と して営 業 費 用 が 、 貸 方 の 収 入 欄 に主 と して 営 業 収 益 が 計 上 さ れ 、 差 額 め 営 業 利 益 が10号 書 式 の純 収 益 勘 定(NetRevenueAccount)に 振 り替 え られ る (29) 。 商 品 売 買 業 の場 合 、 こ の営 業 利 益 を計 算 す る収 益 勘 定 に 相 当 す るの は売 買 勘 定 で あ る。 ま た、 サ ー ビス 業 の 収 入 額 で 測 定 さ れ る 営 業 収 益 に対 応 す る の は 総 額 の 売 上 高 で あ っ て純 額 の 売 買 益 で は な い か ら、 売 買 勘 定 導 入 前 にそ の機 能 を担 っ て い た の は総 記 法 の 商 品勘 定 で あ る と考 え られ る。 イ ギ リス で は 特 殊 仕 訳 帳 制 が 前 提 で あ る の で 、 総 記 法 の 商 品 勘 定 に は仕 入 帳 、 売 上 帳 か ら合 計 転 記 さ れ る。 こ こ で 商 品 勘 定 の 売 買 勘 定 とい う決 算 勘 定 へ の 移 行 に伴 い 、 従 来 の 商 品勘 定 に代 わ る もの と して 期 中 の売 買 を処 理 す る仕 入 勘 定 及 び 売 上 勘 定 と 、 売 買 も意 味 す る`merchandise'勘 定 に代 わ る在 庫 の み を処 理 す る`stock'勘 定 が 必 要 とな って きた こ とが 推 測 され る 。 した が っ て 、 こ の 商 品 勘 定 が 売 買 勘 定 とい う 決 算 勘 定 へ 転 換 し た とい う外 部 的 な要 因 と、 採 用 され て い た 帳 簿 組 織 とい う内 部 的 な 要 因が イギ リス 流 の 商 品 勘 定 分 割 を 生 み 出 した と考 え る こ と が で きる。 そ して 、 これ が売 買勘 定 の な い ア メ リカ お よび 日本 で 三 分 法 とな っ たの で は な か ろ うか。 フ ラ ン ス の テ キ ス トで は 、 次 の よ うに 処 理 さ れ て い る(3°)。 StockinitialAchatsdemarchandisesVentes ①100●looOsoo●soo●goo●goo StockfinalVariationdesstocks ●200.●loo●Zoo Comptederesultat Achatdemarchandises Variationdesstocks 500 (-ioo> Ventes700 Bilan Stocks200 こ の 処 理 法 の特 徴 は 、 期 首 棚 卸 高 と期 末 棚 卸 高 が そ れ ぞ れ 別 勘 定 で 処 理 さ れ 、 在 庫 変 動 勘 定 で 相 殺 され た 後 、 損 益 勘 定 に振 り替 え られ て い る 点 で あ る。 これ は プ ラ ン ・コ ン タ ブ ル ・ジ ェ ネ ラ ル(PlanComptableGeneral)に 従 っ た 処 理 法 で あ る 。 そ れ に よれ ば原 材 料 及 び 商 品在 庫 変 動 勘 定 は 仕 入 勘 定 と と も に損 益 計 算 書 勘 定(Comptesdegestion)系 統 の ク ラ ス6の 費 用 の勘 定(Comptes decharges)に 帰 属 す るが 、仕 掛 品及 び 製 品 在 庫 変 動 勘 定 は 売 上 勘 定 と と も に損 益 計 算 書 勘 定 系 統 の ク ラ ス7の 収 益 勘 定(Comptesdeproduits)に 帰 属 して い る(3D。 在 庫 変 動 勘 定 は1982年 の 改 訂 で 新 設 され た勘 定 で あ るが 、 原 材 料 及 び 商 品 と仕 掛 品 及 び製 品 の 在 庫 変 動 勘 定 の 帰 属 の 相 違 は 、 付 加 価 値 計 算 上 、 仕 掛 品 ・製 品 が 総 生 産 高 の 計 算 要 素 で あ る の に対 して 、 原 材 料 及 び 商 品 が 前 給 付 費 用 で あ る こ と に起 因 す る と考 え ら れ る(32)。す な わ ち収 益 性 計 算 か ら生 産 性 計 算 へ の 分 析 目的 の 重 点 の 移 行 が こ の よ う な 処 理 法 を 導 い た の で あ る 。 フ ラ ン ス に お け る 商 品 勘 定 分 割 の 論 拠 は 、 1982年 以 前 の 文 献 の 検 討 が 不 可 欠 で あ ろ うが 、1982年 の 改 訂 だ け を考 え れ ば 、 生 産 性 と い う分 析
目 的 に基 づ く も の で あ る と い え よ う 。 ド イ ツ で は 、 ま ず 総 記 法 の 処 理 が 説 明 さ れ 、 そ れ を 前 提 と し て 商 品 勘 定 が 次 の よ う に 分 割 さ れ て い る(33)。 GemischtesWarenkonto Warenbestand 1 jWarenverkauf(Warenerfolg) Gewinn-undVerlustkonto ●300 こ の 処 理 法 の 特 徴 は、 原 価 部 分 と売 価 部 分 へ の 二 分 割 法 で あ る とい う点 、 そ して損益 勘定 には 粗 利 を振 り替 え る純 額 法 で あ る と い う点 に あ る 。 ドイ ツ は 単 一 仕 訳 帳 制 を前 提 と して い る の で 、 商 品勘 定 分 割 の 論 拠 が 帳 簿 組 織 に 基 づ く もの で は な く、 も っ ぱ ら売 価 と原 価 の 貸 借 へ の 混 在 の 排 除 に基 づ くもの で あ る な ら ば、 こ の処 理 法 は ま さ にそ れ に 応 じた分 割 法 で あ る 。 ま た 、 純 額 法 採 用 の理 由 と して は 、 ま ず 第 一 に 、`Erfolg'と`Gewinn'を 厳 密 に総 額 と純 額 と い う意 味 で使 い 分 け れ ば 、 損 益 勘 定(Gewinn-undVerlustkonto)に は純 額 で振 り替 え られ る こ とに な る。 第 二 の 理 由 と して 、 総 記 法 の 商 品 勘 定 を イ ギ リス の よ う に売 買 勘 定 と考 え れ ば 、 そ こ か ら 損 益 勘 定 へ 振 り替 え られ る の は 粗 利 の み とい う こ と に な ろ う(34)。 4む すび 以 上 、 単 一 商 品 勘 定 の 処 理 法 と、 現 代 の 諸 外 国 に お け る分 割 商 品 勘 定 を一 瞥 し た。 こ こ で 明 ら か に な っ た こ とは 、 ま ず 第 一 に 、 分 記 法 は歴 史 的 に は 劣 勢 な処 理 法 で あ り、 現 代 で は わ が 国 の テ キ ス トで しか み られ な い とい う点 で あ る 。 わが 国 で は 、 分 記 法 の 実 施 可 能 性 を問 題 と して 総 記 法 、 三 分 法 とい う説 明 を行 うが 、 実 施 可 能 性 の 点 か らい え ば 売 上 原 価 対 立 法 も同 様 で あ っ て 、 も し、 初 学 者 に わ か りや す い とい う点 を強 調 す る な らば 、 わ が 国 と比 べ て よ り丁 寧 な 説 明 を行 っ て い る ア メ リ カ の テ キ ス トに も存 在 す る はず で あ る 。 した が っ て 分 記 法 の 存 在 意 義 は 、 導 入 の段 階 で 資 本 等 式 や 貸 借 対 照 表 等 式 導 入 法 を と り、 か つ 収 益 を純 財 産 変 動 額 す な わ ち 商 品 販 売 益 とす る説 明 手 法 を と る た め に 必 要 な もの で あ る とい う点 、 あ る い は サ ー ビス 業 的 な 見 地 か ら考 案 され た もの で は な い か と い う点 に 求 め られ る 。. 第 二 に 商 品 勘 定 分 割 に 関 して は、 わ が 国 の よ う に総 記 法 が 三 分 法 へ と展 開 さ れ る 必 然 性 は な く、 各 国 に お い て 様 々な 分 割 法 が 採 用 さ れ て い る こ とが 指 摘 され よ う。 た だ し、 各 国 共 通 の 部 分 と し て 、 原 価 と売 価 で構 成 さ れ て い る 総 記 法 の 商 品勘 定 を 分 割 す る際 、 売 価 を 記 入 す る売 上 勘 定 は独 立 して総 額 で 処 理 す る と い う点 が 挙 げ られ る。 各 国 で 異 な って い る の は 、 原 価 部 分 を どの よ う に 処 理 す る か で あ る。
こ れ を継 続 記 録 法 の 併 用 が 不 可 欠 か 否 か とい う点 か らみ れ ば 、 ア メ リ カの 売 上 原 価 対 立 法 の み が 継 続 記 録 法 が 不 可 欠 な 特 殊 ケ ー ス とな る。 歴 史 的 に見 れ ば、 商 品 払 出 単 価 の 決 定 方 法 も確 立 せ ず 、 あ る い は そ の必 要 性 を認 識 し て い な か っ た 、 す な わ ち 管 理 が 必 要 な 商 品 の み に補 助 簿 を設 け て い れ ば事 足 りて い た 時 代 に行 わ れ て い た の が 売 上 原 価 対 立 法 を除 く各種 の 分 割 商 品勘 定 の 処 理 法 で あ ろ う。 商 品 売 買 の 処 理 法 の発 展 プ ロセ ス は 、 第 一 段 階 と して 個 々 の 財 産 管 理 お よ び 口 別 損 益 計 算 を行 う 口 別 商 品勘 定 に よ る処 理 、 第 二 段 階 と して重 要 性 の 乏 しい 商 品 の 一 括 処 理 、 第 三段 階 と して 主 要 簿 で の 概 観 性 確 保 の た め の各 種 商 品 勘 定 の 漸 次 的 統 合 に よる 処 理 と財 産 管 理 機 能 の 補 助 簿 へ の 漸 次 的 移 行 と考 え られ る 。 そ して 第 四 段 階 と して 勘 定 あ る い は 財 務 諸 表 分 析 とい う 目的 と採 用 す る 帳 簿 組 織 に 応 じ た 商 品 勘 定 の 再 分 割 処 理 へ と進 展 し た 。 こ こ ま で は手 書 き帳 簿 組 織(Manual AccountingSystem)を 前 提 と した 発 展 プ ロセ ス で あ る と考 え られ る 。 現 代 の コ ン ピ ュ ー タ会 計 シ ス テ ム(ComputerizedAccountingSystem)を 前 提 に す れ ば 、 一 部 の 例 外 を 除 き、 瞬 時 に売 上 原 価 が 計 算 で き る の で あ る か ら、 ア メ リ カ の よ う に売 上 原 価 対 立 法 の 採 用 が 可 能 で あ る し、 む しろ そ の 後 の 会 計 学 の教 育 の 見 地 か らす れ ば 有 用 で あ ろ う。 か つ て の よ う に管 理 の 必 要 に 応 じて 帳 簿 を設 け る とい う発 想 で は な い の で あ る。 (1)泉 宏 之 著 『簿 記 論 の 要 点 整 理 』 中 央 経 済 社 、 平 成9年 、 第3章 参 照 。 な お 、 総 記 法 の 場 合 、 返 品 ・値 引 ・割 戻 し(り)が あ る と 原 価 と売 価 が 貸 借 に 混 在 す る こ と に な る (2)こ こ で 勘 定 残 高 処 理 法 と は 、 商 品 勘 定 を 完 売 さ れ る ま で 混 合 勘 定 の ま ま 新 帳 簿 に 繰 越 す 方 法 で あ る 。 泉 谷 勝 美 著 『ス ン マ へ の 径 』 森 山 書 店 、 平 成9年 、205∼213頁 参 照 。 (3)片 岡 義 雄 著 『増 訂 パ チ ョ ー リ 「簿 記 論 」 の 研 究 』 森 山 書 店 、 昭 和40年 、 第 二 部 、 及 び 泉 谷 、 前 掲 書 、209∼210頁 参 照 。 (4)渡 邉 泉 著 『損 益 計 算 史 論 』 森 山 書 店 、 昭 和58年 、 第4章 参 照 。 (5)Yamey,B.S.,小 島 男 佐 夫 編 著 『Ympyn,ANotableandveryExcellenteWoorkel547』 大 学 堂 書 店 、 昭 和50年 、 第24章 。 な お 、 仏 語 版 の 記 帳 例(現 存 す る 英 国 版 で は 欠 落 し て い る 部 分)に 関 す る Yamey教 授 の 注 釈 に よ れ ば 、 期 首 棚 卸 高 の 売 残 商 品 か ら 口 別 商 品 勘 定 へ の 振 替 が 期 首 に 行 わ れ て い る 。 こ の 点 が 一 般 的 な 三 分 法 の 処 理 と は 異 な っ て い る 。 同 書 、AppendixI,15頁 。 (6)高 寺 貞 男 著 『会 計 政 策 と簿 記 の 展 開 』 ミ ネ ル ヴ ァ書 房 、 昭 和46年 、297∼298頁 、 及 び 渡 邉 、 前 掲 書 、78頁 参 照 。 (7)な お 、 こ こ で は 貸 借 と も に 売 価 で 記 帳 す る 小 売 棚 卸 法 は 取 り あ げ な い 。 筆 者 の 調 べ た 限 り に お い て 、 英 米 の 簿 記 書 で 小 売 棚 卸 法 を 説 明 し て い る 文 献 は 発 見 で き な か っ た。 (8)例 え ば ・B・ ・th,B.,AC・mplet・System・fB・ ・k-k・eping(L・nd・n,1789),K・lly,P.,Th・EI。m。nts。f Book-keeping(London,1789)が 挙 げ ら れ る 。 た だ しBoothは 、 補 助 簿 で あ るAccountofSalesBook
(送 り状 別 に 仕 入 高 と 売 上 高 を 対 比 し た 帳 簿)に お い て 総 記 法 的 処 理 を 行 い 販 売 損 益 を 計 算 し て い る 。Booth,前 掲 書 、181頁 。 渡 邉 、 前 掲 書 、79∼83頁 参 照 。
(9)Folsomは 、 簿 記 実 践 の 場 で は 総 記 法 に よ っ て 記 帳 さ れ て い る が 、 分 記 法 は 総 記 法 の 十 分 な 理 解 の た め だ け で は な く、 簿 記 学 自 体 の 理 解 の た め に 不 可 欠 で あ る と して い る 。 た だ し分 記 法 ・総
記 法 と い う 呼 称 で は な く 、 単 純 価 値 に よ る 交 換 ・複 合 価 値 に よ る 交 換 と 呼 ん で い る 。 Folsom,EG.,TheLogicofAccounts(NewYork,1873),20∼21頁 。 拙 稿 厂勘 定 分 類 の 史 的 考 察 一 十 九 世 紀 の ア メ リ カ の 簿 記 書 を 中 心 と し て 一 」 『会 計 』 第151巻 第5号 参 照 。 (lo)商品 勘 定 を 商 品 有 高 帳 の 統 制 勘 定 と す る こ と が 原 価 に よ る 管 理 と 考 え る こ と も で き る が 、 そ の た め に 重 要 性 の 乏 し い 商 品 に つ い て も 金 額 併 記 の 商 品 有 高 帳(た だ し総 平 均 法 と 期 間 を 単 位 と す る 後 入 先 出 法 を 除 く)を 設 け な け れ ば な ら な い 点 が 問 題 で あ ろ う 。 一 般 の テ キ ス トで は こ れ が 実 施 困 難 で あ る と い う 理 由 で 、 総 記 法 あ る い は 三 分 法 を 説 明 し て い る は ず で あ る 。 (11)イギ リ ス の テ キ ス トで は こ の 方 法 が 採 用 さ れ て い る 。 こ れ は イ ギ リ ス で は 単 一 仕 訳 帳 制 で は な く特 殊 仕 訳 帳 制 が 前 提 で あ る た め 、 売 上 帳 か ら の 転 記 を 考 え て の こ と で あ ろ う 。 (12)通常 の 売 買 取 引 か 受 託 買 付 取 引 か を 判 断 す る た め に は 、 商 品 勘 定 の 記 入 の み で は な く 当 時 の 商 取 引 に つ い て も 調 査 す る 必 要 が あ ろ う 。 渡 邉 教 授 は 、 注(8)で 触 れ たBoothに つ い て は 受 託 売 買 、 Kellyに つ い て は 通 常 の 売 買 取 引 と考 え て お ら れ る 。 渡 邉 、 前 掲 書 、 第4章 第4節 参 照 。 (13)これ と は 逆 に 総 記 法 を 金 融 業 に 適 用 す る こ と も で き る 。 こ の 場 合 、 各 種 人 名 勘 定 の 最 終 的 な 貸 借 差 額 が 金 融 損 益 と な る 。 拙 稿 「簿 記 の 自 己 完 結 性 」 安 藤 英 義 ・新 田 忠 誓 編 著 『会 計 学 研 究 』 中 央 経 済 社 、 平 成5年 、236∼237頁 参 照 。
(14)Folsomは 商 業 価 値(commercialvalue)と 観 念 価 値(idealvalue)と 呼 ん で い る が 、 そ の 内 容 は 財 貨 と 用 役 で あ る 。Folsom,前 掲 書 、 第1章 、 第2章 、 及 び 第4章 。 拙 稿 「米 国 に お け る 近 代 的 勘 定 分 類 の 萌 芽 」 『産 業 経 理 』 第56巻 第2号 参 照 。 (15)前掲 拙 稿 「勘 定 分 類 の 史 的 考 察 」。 (16)ただ し 注(5)で も触 れ た よ う に 、 次 期 に お い て 期 首 棚 卸 高 の 処 理 の 問 題 が 残 る が 、 総 記 法 の 段 階 で は こ れ に 触 れ ず に 、 三 分 法 の 処 理 の 中 で 説 明 す る と い う 方 法 が 考 え ら れ る 。 (17)Beach,E.H.,andThorne,W.W.,eds.,TheAmericanBusinessandAccountingEncyclopaedia,3rded.
(Detroit,1901,rpt.,Yushodo,1982),806∼807頁 。 ま た 、Dickseeは 売 買 勘 定 を 商 品 勘 定(goodsor stockaccount)と 同 義 で 使 用 し、 物 量 を 併 記 す れ ば 物 量 ベ ー ス で は 当 在 高 を 示 す こ と を 指 摘 し て い る 。Dicksee,LR.,BookkeepingforAccountantStudents,4hted.(London,1903),ll3∼115頁 参 照 。 (IS)この 解 釈 は 局 部 的 な 議 論 で あ り、 勘 定 理 論 的 に は 問 題 が あ る か も し れ な い 。 た だ し 筆 者 は 、 取 引 を 事 実 通 り に 記 帳 す る 営 業 手 続 と 、 期 間 損 益 計 算 と い う 人 為 的 な 判 断 の 伴 う決 算 整 理 手 続 と は 分 け て 考 え る べ き だ とい う立 場 を と っ て い る 。 ㈲ 久 野 光 朗 稿 「ア メ リ カ に お け る 商 品 勘 定 分 割 の 歴 史 的 考 察 」 『企 業 会 計 』 第48巻 第11号 。 久 野 光 朗 稿 「ア メ リ カ に お け る 商 品 勘 定 の 歴 史 的 考 察 」 『会 計 史 学 会 年 報 』 第15号 。 (20)Cariss,A。,i11-KeepingbyDoubleEntry,2nded.(London,1884>,199∼200頁 に 収 録 。 そ の 後(1884年 12月 ∼1887年6月)の 二 次 試 験 及 び 最 終 試 験 問 題 の 残 高 試 算 表 で も 、Stock,AccountSales,Goods bought勘 定 やStock-in-trade,Purchases,Sales勘 定 が 使 用 さ れ て い る。TheAccountants'Manual. VolumeI.3rded.(London,1894)に 収 録 。AccountSalesは 厳 密 に は 受 託 販 売 の 勘 定 で あ る が 、 試 験 問 題 の 解 答 例 を 見 る と 、 通 常 の 商 品 売 買 の 三 分 法 と 同 じ 処 理 が 行 わ れ て い る 。 (21)Beach,etal.,前 掲 書 、807頁 、 及 び 久 野 、 前 掲 稿 参 照 。 吻Dawson,S.S.,TheAccountant's(ompendium(London,1898),137頁 参 照 。 仕 入 帳 と 仕 入 勘 定 の 金 額 的 対 応 に つ い て 、 売 買 外 流 出 の 取 扱 の 点 か ら 批 判 さ れ て い る 。 し か し な が ら 、 歴 史 的 に は 帳 簿 の 分 割 が 勘 定 分 割 に 先 行 し て い る と い う こ と は 、 勘 定 の 分 割 と い う 行 為 自 体 に は 影 響 が あ る と 考 え ら れ よ う 。
㈲ 本 稿 で は 「分 割 」 と い う用 語 を 厳 密 な 意 味 で は 使 用 し て い な い 。 「分 割 」 の 厳 密 な 意 味 に つ い て は 次 の 文 献 を 参 照 の こ と 。 秋 葉 国 利 稿 「商 品 勘 定 三 分 割 と い う 名 称 の 妥 当 性 に つ い て 」 『経 済 論 集(北 海 学 園 大 学)』 第24巻 第4号 。 ㈱Horngren,C.T.,etal.,Accounting,3rded.(NewJersey,1996),第5章 。 (25)同書 、 第5章 補 遺 。 (26)Johnson,G.L.&Gentry,J.A.,FinneyandMiller'sPrinciplesofAccounting-lntroductory,8thed.(New Jersey,1980),258頁 参 照 。 鋤 秋 葉 教 授 は い わ ゆ る 売 上 原 価 対 立 法 を 継 続 売 上 原 価 直 接 把 握 法 と 呼 び 、 こ こ で 説 明 し た 決 算 時 に 一 括 し て 商 品 勘 定 か ら 売 上 原 価 勘 定 へ 振 り替 え る 方 法 を 一 括 売 上 原 価 直 接 把 握 法 と 呼 ぶ 。 秋 葉 国 利 稿 「二 つ の 売 上 原 価 間 接 把 握 法 」 安 藤 、 新 田 、 前 掲 書 、35∼36頁 参 照 。 衂Nobes,C.,lntroductiontoFinancialAccounting,4thed.(London,1997),第7章 及 び8章 参 照 。 た だ し、 次 期 繰 越 手 続 の 省 略 が 一 般 的 で あ る か ど う か は わ か ら な い 。 ㈲ 山 浦 久 司 著 『英 国 株 式 会 社 会 計 制 度 論 』 白 桃 書 房 、1993年 、32∼38頁 参 照 。 (30)Mazars,R.,Comtabilite,8eed.(Paris,1994)93∼98頁 、 及 びDictionnairedelaComptabiliteSeed.,Les PublicationsFiduciaires(Paris,1995),24∼25,1213∼1214,1378頁 参 照 。 (31)DictionnairedelaComptabiliteSeed.,1388∼1400頁 参 照 。 (32)斉藤 昭 雄 著 『フ ラ ン ス 会 計 制 度 論 』 千 倉 書 房 、 昭 和63年 、136∼138頁 参 照 。 (33)Engelhardt,W.H.,Raffee,H.,Wischermann,B.,GrundzugederdoppltenBuchhaltung,3.Auflage(Wiesbaden, 1996).72∼80頁 。 ド イ ツ で は 二 分 法 が 一 般 的 な よ う で あ る 。 関 根 慎 吾 稿 「現 代 ド イ ツ 初 級 簿 記 書 に お け る 商 品 勘 定 」 『石 巻 専 修 大 学 経 営 学 研 究 』 第6巻 、 第2号 参 照 。 (34)勘定 と 外 部 報 告 用 の 財 務 諸 表 が 直 接 的 な 関 連 を 持 つ イ ギ リ ス で は 、 機 密 保 持 の 点 か ら 、 売 上 高 と 営 業 費 用 が 計 上 さ れ る 売 買 勘 定 を 開 示 す る こ と に 消 極 的 で あ っ た 。 こ れ を ド イ ツ に 当 て は め れ ば 純 額 法 に 結 び つ く と も 考 え ら れ る 。 山 浦 、 前 掲 書 、253∼255頁 参 照 。