オリンピック・パラリンピック
学習読本 高等学校編
OLYMPIC
&
PARAL
YMPIC
世界が
一つになる
オリンピック
テムズ川にかかるオリンピック・シンボル サッカーの試合を 観戦するサポーター 2016年 リオ大会の閉会式 2004年アテネ大会開会式の オリンピック旗入場 2016年 リオ大会のボランティア 2016年 リオ大会の聖火リレーオリンピック夏季大会
新しい記録への挑戦、躍動感、チームワーク
2016年 リオ大会 陸上競技 男子 4×100mリレー(日本) 2016年 リオ大会 マイケル・フェルプス 男子競きょう泳えい(アメリカ) 2008年北京大会 ソフトボール(日本) 2008年北京大会 ウサイン・ボルト 陸上競技 男子 100m (ジャマイカ) 2016年 リオ大会 陸上競技 女子 4×400mリレー(日本) 2016年 リオ大会 内 うち 村 むら 航 こう 平 へい 男子体操(日本)オリンピック冬季大会
氷上、雪上で繰り広げられる熱い闘い
2014年ソチ大会 葛か西さい紀のり明あき スキー 男子ジャンプ(日本) 2014年ソチ大会 竹たけ内うち智とも香か スキー スノーボード 女子パラレル大回転(日本) 2014年ソチ大会 (左)船ふな山やま弓ゆみ枝え、(中)吉よし田だ知ち那な美み、 (右)苫とま米べ地ち美み智ち子こ 女子カーリング(日本)2004年アテネ大会 成なり田た真ま由ゆ美み 女子水泳(日本)
パラリンピック大会
技とスピードに感動
2014年ソチ大会 久く保ぼ恒こう造ぞう バイアスロン 男子ショート (日本) 2014年ソチ大会 森 もり 井い大たい輝き スキー アルペン男子スーパー G 座位(日本) 2016年 リオ大会 国くに枝えだ慎しん吾ご 車いすテニス 男子ダブルス(日本) 2012年ロンドン大会 (左)安あ達だち阿あ記き子こ、(中央)浦うら田た理り恵え、(右)小こ宮みや正まさ江え 女子ゴールボール(日本)1964 年の第 18 回東京大会から半世紀以上の時を経へて、2020(令和 2)年、第 32 回オリンピック競技大会・東京2020パラリンピック競技大会が、東京で開催されます。 各競技会場ではトップアスリートによる世界最高の競技がくり広げられ、オリンピア ンやパラリンピアンに対する歓声と拍手がわき起こります。また、世界中から多くの人々 が日本を訪れ、国籍、人種、肌の色、性別、宗教、言葉や文化のちがい、障害の有無 などを超えて、交流の輪が広がります。 東京2020大会は、日本の高校生の皆さんにとって貴重な機会となり、この経験は、 生涯にわたるかけがえのない財産となります。そのためには、皆さんひとりひとりが、 オリンピックやパラリンピックについての理解を深め、自分にできることは何かを考える ことが重要です。 さて、オリンピック・パラリンピック学習では、オリンピック・パラリンピックについ て基本的な内容を学ぶとともに、それらを題材として、スポーツの持つ価値や、大会に 参加する多くの国々の文化、障害をもった方々への理解などについて、調べ、考え、体 験するなど、様々な活動に取り組むことが期待されます。 本書では、オリンピック・パラリンピックについて基本的な内容を学び、皆さんが、 東京2020大会にどのように関わっていくか考えていくことを期待します。
はじめに
この本には、東京2020大会の概要はもとより、オリンピック・パラリンピックの意義や 歴史、開催に伴う社会の変化や人々の努力、スポーツのすばらしさ、我が国の伝統・文化 や技術、国際的なマナー、スポーツと人権、オリンピックと環境等、オリンピック・パラリ ンピックに関する基礎的な知識や情報を掲載しています。 この本で学んだことを踏まえ、更に、オリンピック・パラリンピックについて調べ、東京 2020大会にどのように関わっていくかを考え、多くの活動に取り組んでいきましょう。
オリンピック・パラリンピック学習読本の特徴
44 45 女性だけの古代オリンピック 古代オリンピックでは、女性が選手として出場する ことはもちろん、見ることさえできませんでした。し かし、同じ競技場を使い、女性だけのオリンピック「ヘ ラ祭」が開催されていました。ヘラとは、ギリシャ神 話に登場する最高位の女神の名前です。現在、聖火は ヘラ神殿前で採火されています。 トピックス 1964年東京オリンピック大会の 聖火リレーの様子 第 18 回東京大会は、アジアで初めてのオリ ンピックでした。アテネのオリンピアで採火さ れた聖火が、日本国内を運ばれていきました。 私が満 19 歳の時でした。私は、聖火ランナー の正走者としてトーチを持って走りました。中 学、高校、大学生の 20 名が選出され、隊列を 組んで走った覚えがあります。当日走った場 所は、千住(足立区)の柳原郵便局から旧区役 所までの 1.1㎞です。区役所前では、多くの皆 さんが小旗を持って出迎えてくださいました。 東京 2020 大会では、競技者のみならず、 生涯にわたりスポーツを愛好する人が数多く 出ることを期待したいです。 (東京都退職校長会からの寄稿) 1964(昭和39)年第18回東京大会のときの聖火リレー国内外ルート(国内ルートの詳細についてはP.73参照) 1964年第18回東京大会の聖火リレーでは、いくつの国や地域を結び、何人のランナーが聖火をつないだのか、 調べてみよう。また、聖火リレーのコースにはどのような意味が込められていたのか考えてみよう。 学習の扉 聖火とは、オリンピアで採火された火をいいます。採火された火は、多くの人々によってリ レーされ、オリンピックの開催地に運ばれます。聖火のもつ意味を考えてみましょう。 聖火と聖火リレー Ⅱ8 過去のオリンピック・パラリンピック競技大会夏季大会で使用されたトーチ ❖ 古代の精神を受け継ぐ聖火 古代ギリシャでは、聖なる火は国の繁栄と人々 の幸福に関わると考えられていたため、神殿や市 庁舎では必ず火を燃やし続けていました。 人々が国外に移住するときには、この聖なる火 もリレーしながら移動させ、移住した先の神殿に 灯しました。聖火は、人々と社会の繁栄と幸福の 象徴でした。 現在、オリンピックの聖火は、ギリシャのオリ ンピアで太陽光線を集めて採火しています。オリ ンピック大会で最初に聖火が点火されたのは、 1928(昭和 3)年の第9回アムステルダム大会で す。そのときには競技場外に灯されました。 聖火は、オリンピックの 開会式が行われる数か 月前に、古代オリンピッ クが行われていたギリ シャのオリンピアにある ヘラの神殿(P.35参照) 前で採火される。聖火 トーチへは、太陽光線を 一点に集中させる凹面 鏡に、炉の女神ヘスティ アーを祭る巫み女こがトーチ をかざして火をつける。 ● ニューデリー ニューデリー テヘラン テヘラン イスタンブール イスタンブール アテネ アテネ オリンピア オリンピア クアラルンプール クアラルンプール バンコク バンコク ホンコン ホンコン台北台北 マニラ マニラ ● ● 千歳 東京 ●宮崎 沖縄 沖縄 ● ● ● ● ラホール ラホール ● ● ラングーン ラングーン ● ● ● ● 鹿児島 鹿児島● ● ● ❖ 聖火リレーが始まったのは 1936(昭和11)年第11回ベルリン大会 聖火リレーには、聖火を通してオリンピックの 理念を広めたいという思いと、都市の繁栄と幸福 をもたらすようにという願いがこめられていま す。聖火リレーが始まったのは 1936(昭和 11)年 の第11回ベルリン大会です。ベルリン大会組織委 員会の事務総長を務めたカール・ディームが発案 しました。 ディームは、ドイツの体育・スポーツ史家であ り、古代と現代とをオリンピックの火で結び、そ のリレーを通じて国同士が協力することに意義 があると考えました。IOCもディームの創案によ る聖火リレーに賛同し、オリンピック初の聖火リ レーが実施されました。 聖火は、リレーによって、ギリシャ→ブルガリ ア→ユーゴスラビア(旧国名)→ハンガリー→オー ストリア→チェコスロバキア(旧国名)を経由し てドイツに入り、ベルリンの開会式場の聖火台 に点火されました。オリンピアの火は、7か国を 1936年 ベルリン大会 1948年 ロンドン大会メルボルン1956年 大会 1952年 ヘルシンキ 大会 ローマ大会 1964年1960年 東京大会 アトランタ1996年 大会 1968年 メキシコシティ 大会 1972年 ミュンヘン 大会 2004年 アテネ大会2008年北京大会 1992年 バルセロナ 大会 2000年 シドニー大会 2016年 リオ大会 2012年 ロンドン大会 1976年 モントリオール 大会 1980年 モスクワ大会 1984年 ロサンゼルス 大会 1988年 ソウル大会 通る総距離 3,075kmを 11 日 12 夜かけて、沿道各 国のオリンピック委員会が選んだ 3,075 人のラン ナーによってリレーされました。 このページの概要を 示しています。 おきたい基礎的な内学習内容…押さえて 学習内容に関連する写真を大きく掲載しています。 容を示しています。 トピックス 学習の扉 ● 各項目は、原則、見開き2ページで構成しています。目次
C O N T E N T S
はじめに……… 4 オリンピック・パラリンピック学習読本の特徴………… 5第Ⅰ章
第
32
回オリンピック競技大会・
東京
2020
パラリンピック競技大会が
東京へ
……… 9 1 リオから東京へ∼56年ぶりの東京大会∼……… 10 2 大会の基本コンセプト ……… 14 3 東京2020大会を目指して……… 16 4 熱戦が繰り広げられる競技会場 ……… 18 5 選手村 ……… 20 6 オリンピックの実施競技(夏季大会)……… 22 7 オリンピックの実施競技(冬季大会)……… 24 8 パラリンピックの実施競技(夏季大会)………… 26 9 パラリンピックの実施競技(冬季大会)………… 27第Ⅱ章
オリンピック・パラリンピックの精神
……… 29 1 オリンピック憲章 ……… 30 2 オリンピック・ムーブメント ……… 32 3 古代オリンピック ……… 34 4 近代オリンピック ……… 36 5 近代オリンピックの父 ……… 38 6 日本オリンピックの父 ……… 40 7 オリンピックと世界平和 ……… 42 8 聖火と聖火リレー ……… 44
第Ⅲ章
オリンピック・パラリンピックと日本
……… 65 1 日本人選手の活躍 ……… 66 2 幻のオリンピック ……… 70 3 1964年東京オリンピック大会・ パラリンピック大会の開催 ……… 72 4 日本初の冬季オリンピック・札幌大会 ………… 80 5 2度目の冬季オリンピック・日本(アジア)初の 冬季パラリンピック 長野大会 ……… 82
第Ⅳ章
世界に発信する日本の良さ
………… 87 1 「世界一の都市・東京」へ ……… 88 2 和の心 ……… 90 3 世界に誇る日本の技術 ……… 94 4 世界に広がる日本の文化(クールジャパン)…… 96第Ⅴ章
東京オリンピック・パラリンピックが
目指すもの
……… 99 1 スポーツが果たす役割 ………100 2 スポーツの振興 ………102 3 スポーツ、人権と共生社会 ………104 4 共生社会と世界平和 ………106 5 国際儀礼(プロトコール)………108 6 ボランティアと社会貢献 ………110 7 震災復興と東京大会 ………112 8 未来へ ………114資料
オリンピック憲章(英語版)……… 8 オリンピック憲章(日本語版)………28 1964 64オリンピック憲章
オリンピック憲章は、国際オリンピック委員会(IOC)によって採択されたオリンピズムの根本 原則、規則、付属細則を成文化したものです。憲章はオリンピック・ムーブメントの組織、活動、 運用の基準であり、かつオリンピック競技大会の開催の条件を定めるものです。
Fundamental Principles of Olympism
1. Olympism is a philosophy of life, exalting and combining in a balanced whole the qualities of body, will and mind. Blending sport with culture and education, Olympism seeks to create a way of life based on the joy of effort, the educational value of good example, social responsibility and respect for universal fundamental ethical principles. 2. The goal of Olympism is to place sport at the service of the harmonious development of
humankind, with a view to promoting a peaceful society concerned with the preservation of human dignity.
3. The Olympic Movement is the concerted, organised, universal and permanent action, carried out under the supreme authority of the IOC, of all individuals and entities who are inspired by the values of Olympism. It covers the five continents. It reaches its peak with the bringing together of the world’s athletes at the great sports festival, the Olympic Games. Its symbol is five interlaced rings.
4. The practice of sport is a human right. Every individual must have the possibility of practising sport, without discrimination of any kind and in the Olympic spirit, which requires mutual understanding with a spirit of friendship, solidarity and fair play.
5. Recognising that sport occurs within the framework of society, sports organisations within the Olympic Movement shall have the rights and obligations of autonomy, which include freely establishing and controlling the rules of sport, determining the structure and governance of their organisations, enjoying the right of elections free from any outside influence and the responsibility for ensuring that principles of good governance be applied.