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陶 琳 1 . は じ め に

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Academic year: 2021

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(1)

「丁寧さ」の程度について

陶 琳

1 . は じ め に

本研究は、日本での「丁寧さ」の特色として井出(1986)が指摘した「わ き ま え に よ る 敬 語 行 動 」 と 、 欧 米 で の 「 丁 寧 さ 」 の 特 色 と し て 指 摘 し た 「 働 き か け る 敬 語 行 動 」 と が 一 回 の 敬 語 行 動 の 中 で ど の よ う な 割 合 で 、 ま た ど の よ う な ス ト ラ テ ジ ー と し て と も に 含 ま れ て い る か を 考 察 す る 。 更 に 、 そ の ス ト ラ テ ジ ー の 中 に 、 言 語 に よ る 丁 寧 表 現 が ど の よ う に 組 み 込 ま れ る か を 検 討 し 、 敬 語 行 動 と 丁 寧 表 現 の 相 互 関 係 を 明 ら か に す る 。

そ こ で 、 基 本 的 な 調 査 資 料 と し て 丁 寧 表 現 の 中 で の ス ト ラ テ ジ ー と し て の

「 丁 寧 さ 、 わ き ま え 、 働 き か け に つ い て の 使 用 の 度 合 」 を 測 る た め に 、 本 研 究では井出(1986)の研究を参照し、「ペンを借りる場面」を設定し、中国語 の デ ー タ を 収 集 し 、 中 国 語 の 用 法 を 考 察 す る 。 本 研 究 が 比 較 の ポ イ ン ト と し て 最 も 注 目 し た の は 「 丁 寧 さ 」 の 度 合 と 文 の 長 さ の 相 関 関 係 で あ る 。 日 中 言 語 は 「 文 が な が く な れ ば な る ほ ど 、 「 丁 寧 さ 」 の 度 合 が 高 く な る 」 と い う 共 通 点 を 持 つ 。 し か し 、 そ の 内 部 の 構 成 要 素 、 ( 文 を 長 く す る 機 能 を 持 つ ) に は 各 々 、 異 な っ た 特 徴 が あ る こ と が 判 明 し た 。

2 . 調 査 方 法

「丁寧さ」の程度を決定する要素に関する先行研究として、上記『日本人と アメリカ人の敬語行動』井出他(1986)がある。この研究は「ペンを借りる」

場 面 を 設 定 し 、 敬 語 行 動 を さ ま ざ ま な 角 度 か ら 分 析 す る こ と に よ り 、 き わ め て多面的に解明しており、優れた研究と思われる。そこで、本研究でも「ペン を 借 り る 」 場 面 を 設 定 し 、 井 出 ら の 日 米 の ア ン ケ ー ト を 中 国 語 に 翻 訳 し て ア ン ケ ー ト 調 査 表 を 作 り 、 中 国 人 の イ ン フ オ ー マ ン ト に ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 い 、 分 析 し た 。 そ し て さ ら に 、 男 女 の 性 別 に よ る 比 較 を 加 え て あ る 。

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2.1調査の手順

基 本 的 な 調 査 資 料 と し て 収 集 し た ア ン ケ ー ト は コ ン ピ ュ タ ー を 利 用 し 、 複 雑 で 大 量 の デ ー タ の 結 果 を 計 算 し た 。

分 析 す る 手 順 は 次 の よ う に 行 な う 。

(1)Partl丁寧表現(井出論文では敬語表現)の丁寧度に関する質問に

つ い て

( 2 ) P a r t 2 行 動 の 丁 寧 度 に 関 す る 質 問 に つ い て

(3)Part3どの丁寧表現をどの相手・場面に使うか(わきまえか、働き か け か ) に 関 す る 質 問 に つ い て

( 4 ) 表 現 の 長 さ と 丁 寧 度 の 関 係 分 析

(5)「丁寧表現」の構成要素(文を長くしていく言語形式)について

( 6 ) ま と め

本論のPart3は、自由な回答方式とPart2で提示したリストの相手・場 面に対してそれぞれのどの表現を使うかをPartlで与えられたリストの中 か ら 選 ん で 貰 っ た 。

2.2調査時期と場所

1998年12月から1999年6月までアンケート調査を行った。調査実施場 所 は 日 本 国 内 の 金 沢 大 学 、 富 山 大 学 、 東 京 電 気 通 信 大 学 、 静 岡 大 学 、 名 古 屋 大学、北陸大学、富山医科薬科大学、富山県立大学であり、中国国内は張家

口 市 、 鄭 州 市 、 昆 明 市 の 大 学 と 会 社 等 で あ る 。

2.3調査対象

今 回 の 調 査 は 中 国 人 の 留 学 生 、 中 国 国 内 の 大 連 市 、 張 家 口 市 、 鄭 州 市 の 大 学生、大学院生、大学を卒業した会社員、公務員を調査対象とした。丁寧表 現 を 詳 し く 調 べ 比 較 す る 為 に は 、 大 学 生 の よ う な あ る 程 度 知 的 ・ 教 育 的 レ ベ ル が 揃 っ て い る 人 間 を 対 象 と す る こ と が 望 ま し い と 思 わ れ る 。 年 齢 は 2 0 代 (男22、女性20)、30代(男22、女性18)、40代(男10、女性10)であ る。中国国内46名、日本で留学生56名である。男性54人(53%)、女性48 人(47%)である。その,中、学部生58(57%)、大学院44(43%)である。

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3 . 本 研 究 の 分 析 方 法

3.1井出祥子他(1986)の「日米の敬語行動」

井出他(1986)によると、「敬語行動」を構成する要素は二つある。第一の 要 素 は 言 語 表 現 で あ る 。 た と え ば 「 ペ ン を 借 り た い 」 と い う 一 つ の 情 報 を 伝 え る 時 、 「 ペ ン を 借 り る よ 。 」 「 ペ ン を お 借 り し て も よ ろ し い で し ょ う か 。 」 な ど の 丁 寧 度 の 異 な る 言 い 方 が あ る が 、 こ の よ う な 言 語 表 現 を 「 敬 語 表 現 」 と よ ぶ 。 こ の 概 念 は 本 論 で の 「 丁 寧 表 現 」 に 相 当 す る 。 第 二 の 要 素 は 人 間 の 丁 寧 な 行 動 に 関 す る ル ー ル で あ る 。 例 え ば 、 誰 に 対 し て 、 ど う い う 場 面 で 、 ど う い う 意 図 の 発 話 の と き に 、 ど の 程 度 の 丁 寧 度 の 行 動 を と る べ き か に 関 す る社会のルールのことである。これは人間の行動をコントロールするさまざ まなルールの一つであると考えられる。井出他(1986)は「丁寧さ」について次 の よ う に 述 べ て い る 。

「一般的に、「丁寧さ」というとき、我々は各社会・文化に特有な丁寧さの概 念 を 思 い う か べ る 。 例 え ば 、 日 本 人 に と っ て の 「 丁 寧 さ 」 と い う の は 、 目 上 の 人に対して配慮することを重視するが、アメリカ人にとっての"politenessフフ

は 、 相 手 に 押 し つ け な い よ う 配 慮 す る こ と を 重 視 す る と い う よ う に 。 実 際 、 社 会・ 文 化ごと に「丁 寧 さ 」 の特 徴 は異な る ように み えるが 、 実は、 そ れは社 会 ・ 文 化 の あ り 方 に 応 じ た さ ま ざ ま な 要 素 か ら 成 る 丁 寧 さ の 程 度 の 差 で あ る も の が 、 質 の 差 の よ う に 受 け 取 ら れ る の で は な い か と 考 え ら れ る 。 例 え ば 、 上 記 の 日 本 人 に 特 有 と 思 わ れ る 「 丁 寧 さ 」 は 、 ア メ リ カ 人 に も み ら れ 、 ア メ リ カ 人 に 特 有 と 思 わ れ る も の は 日 本 人 に も 見 ら れ る 。 つ ま り 、 あ る 文 化 に 特 有 と 思 わ れ る も の で も 、 少 な く と も 潜 在 的 に は 普 遍 的 に 存 在 す る と 考 え ら れ る

も の が あ る 。 」

実 際 、 既 に 述 べ た よ う に 、 中 国 社 会 で は 対 人 関 係 に お い て 、 日 本 人 の 目 上 の 人 に 対 す る 配 慮 を 重 視 す る 「 丁 寧 さ 」 と ア メ リ カ 人 の 相 手 に 押 し 付 け な い配慮を重視する"politeness''の両方が見られる。だから、本研究で使う

「 丁 寧 さ 」 と い う 言 葉 で 表 す 概 念 は 、 中 国 人 、 日 本 人 、 ア メ リ カ 人 の そ れ ぞ れ 異 な る 「 丁 寧 さ 」 を 全 て 含 ん だ 普 遍 的 な も の と し て 考 え る こ と に す る 。

井出ら(1986)は「ストラテジーによる敬語行動」は、「わきまえ」と「働きか け 」 の 方 式 に よ る 「 敬 語 行 動 」 を 含 む 枠 組 で あ る こ と を 提 案 し た 。 こ れ は 日 米 に 共 通 の 枠 組 と し て 設 定 さ れ て い る 。 こ の 研 究 に よ れ ば 、 「 敬 語 行 動 」 を

6/

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人 間 行 動 の オ リ エ ン テ ー シ ョ ン の 問 題 と し て と ら え る 「 ス ト ラ テ ジ ー に よ る 敬 語 行 動 」 は 、 日 本 で 「 敬 語 行 動 」 と し て 常 識 的 に 理 解 さ れ て い る よ う な 「 わ き ま え に よ る 敬 語 行 動 」 も そ の 一 部 と し て 含 ま れ て い る 。 例 え ば 、 日 本 語 の 尊 敬 語 が 目 上 の 人 に 対 し て 使 わ れ た 場 合 の 例 を 挙 げ る :

学長は昨日会場へいらっしやって、展示作品を丁寧にご覧になりました。

(1986:p51)

日 本 人 の 敬 語 行 動 ア メ リ カ 人 の 敬 語 行 動

図 1 日 米 の 敬 語 行 動 の 枠 組

(井出他『日本人とアメリカ人の敬語行動』1986:27)

そ れ は 「 わ き ま え を 示 す 敬 語 行 動 」 で あ る が 、 ス ト ラ テ ジ ー の 枠 組 の 中 で は、Brown&Levinsonによるnegativepolitenessの一部を成す"give deference''(相手と距離を置く)のために使われたストラテジーであるし、

Layoffによる"formality(keepaloof)''(公的、形式的表現)のために使われ たストラテジーとも考えられる。このように尊敬語の使用は、目上の人に使 わ な け れ ば な ら な い と い う 社 会 的 に 規 定 さ れ た ル ー ル に し た が う 「 わ き ま え を 示 す 敬 語 行 動 」 で あ る と 同 時 に 、 話 し 手 が 積 極 的 に 相 手 に 敬 意 を 示 し っ た り、相手との距離を保つために「働きかける敬語行動」でもある。「わきまえ 方式」と「働きかけ方式」は、実際の「敬語行動」では同一の表現で示される こ と が 多 く 、 両 者 は 深 く か か わ り 合 っ て い る の で あ る 。

図1は、日本人とアメリカ人の「敬語行動」の全体量が同じと仮定し、そ の内容を、内省によるおよその比率で各々二分したものである。図1で示す よ う に 、 ど ち ら の 方 式 を ど ち ら の 人 々 が よ り 多 く 使 う か 、 と い う 各 要 素 の 相 対的な量の違いとしてとらえられる。アメリカ人にとっては、「わきまえ方 式」よりも「働きかけ方式」の比重が大きく、その反対に日本人が重視するの は、「働きかけ方式」より「わきまえ方式」である。日本人にとっては、「わき まえ方式」による「敬語行動」は、社会・文化の慣習にしたがっておこなわな け れ ば な ら な い 受 動 的 な 行 動 で あ る 。 そ の わ き ま え を 規 定 す る も の は 、 社 会 的距離(社会的地位、力関係、年齢などにより生じる距離)、人と人との親疎

r四銅

? ? 、 八 八 X域

EFE

相 手 ・ 場

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関係、場面や話題の改まりの度合、相手への負担度などである。これらは話 し手にとって、相手(や話題になっている人)との間に認識される一つの距離 として捉えられる。この距離は心的距離ともいうべきものだが、一般的に言 われる心的距離と区別するために、PD(PerceivedDistance)と呼ぶことにす る。井出がPDに応じてとる行動が「わきまえ方式」による「敬語行動」であ る。例えば、話し手より地位が高く、疎の関係の人に改まった場面で接する ときは、一番PDが大きく、地位が同じで親しい人にくだけた場面で接する 時にPDが小さくなる。PDの大きい人に対しては、尊敬語、丁寧語や鋺曲 的な表現などを使い、PDの小さい人に対しては、その反対にくだけた表現 などを使うのが一般的な「わきまえ方式」による「敬語行動」である。それを 重要なこととして表明する「わきまえ方式」の占める比重が大きい。それに反 しアメリカは、「わきまえ方式」に応じた敬語行動は比較的少なく、言葉を使 う時の神経は、主として相手にどう働きかけるかに向けられている。(井出 他(『日本人とアメリカ人の敬語行動』)1986:24‑27)

3.2本研究の仮説・作業仮説

本研究は、以上、紹介した井出他(1986:27−31)などの研究が見出した。

次の仮説をもとに調査資料を分析し、考察した。

仮説:中国人も日本人もともに、Iわきまえ」方式による敬語行動を敬語行 動の一部としておこなっている。「わきまえ方式」の丁寧度を測るものさしと し て P D が 存 在 し 、 そ の 値 の 主 な 決 定 要因 は 、 ( 1 ) 相 手 の 人 物 カ テ ゴ リ ー と ( 2 ) そ れ に 伴 う 人 物 と 接 触 す る 場 面 で あ る

前提として、調査方法が案出される基本概念は次の2作業仮説である。

作 業 仮 説 1 。D(Perceivedl̲〕 の ¥ 偵 醗 F C

など)から最小の位置(「ウチ」「目下」「家族」などを両極とする一本の線 で表わすことのできるものと仮定する。その線は中日共通に理解されるもの

で あ る 。

PDは、「最も改まった時」として認識される時を最大の丁寧度、「最も気楽 な時」として認識される時を最小の丁寧度とし、この両極とする丁寧さを測 定するものさしは中国人にも日本人にも共通のものであると仮定する。

最 も 気 楽 な 時 最 も 改 ま っ た 時 図 2 本 調 査 で 使 用 し た P D に よ る 丁 寧 度 の も の さ し

63

(6)

6

調査上の技術的制約のため、図2で示すように設定した丁寧度を表わす中 日共通のものさしには、井出(1986)が用いたものさしを使用する(図2)最 大・最小を両極とし、それを便宜上5段階に点数づけしたものである。最大 のPDを5,最小のPDを1とし、その間を4等分して、4,3,2の目盛をつ

ける。

作 業 仮 説 2 の つ ち 》 − 房 三 言 吾 弄 王 日 ̲ の | ー 「 笹 亜 式 l j F 函

論的にはこの二つのルールの適度なかみ合いとしてとらえることができる。

4.Partl丁寧表現の丁寧度に関する質問について

Partlの質問事項は以下のとおりである。

第一・部分(中国語)

l 假 没 体 在 与 休 想 借 宅 的 人 悦 活 。 下 面 是 在 迭 稗 情 景 下 , 悠 可 能 使 用 的 一 系列表現。如果迭一系列表現中有悠在普通情況下,不使用的表現.清用銭

戈リ棹。

例 如 : 一 阜 自 手 等 。

一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

爾abqd9LghL・jLlmnqp郎凪&Lu

舎11〃

不j以不可以 道可知道不知

の″︐①︽屯グ︐●??籍?︑箔?鼈?︒?︒老喝?枝肥鼈枝喝枝︒喝︒?咽不鼈枝鼈叫那宅枝那箔那・鼈以鼈喝毛好枝・那枝好下枝那下枝下肥枝・可枝行枝鼈那我下那鼈一那下一那一篭那筆鼈那鼈那枝下姶

一下枝借下一借下我枝下枝枝?下枝下那一箸 借一那悠一借悠一姶那一那那有一那一下我下? 能借下晴借悠清用借下我下下没借下我一蛤一喝 不以一想以清否?以否一借一一迄要一姶借借借有 能可借我可想可篭可能借溝借借有想用借滴滴清宅 q▼●●●■▽◆凸︒●巳■●■U●■bB9申

a口bC︲︒e金Ig︲ni・J0k1lmnOpqrStuV

Z.上面没有戈1棹的表現里,清逸一下悠最郊重其事使用的表現,写在括号 里 ( 函 十 以 上 也 不 要 紫 ) 。 ( )

3 下 面 清 逸 一 下 悠 最 随 便 使 用 的 表 現 、 写 在 括 号 里 ( 両 イ 、 以 上 也 不 要

紫 ) 。 ( )

4如果我佃有一イ、!到5的刻度。悠最郊重其事使用哩≦二必的 表 現 是 5 . 悠 最 随 便 使 用 的 表 現 是 l o Q − − − − − − − 何題l里悠没有戈リ棹的表現在l到5的刻度里,最造用的是什公?

清在右面的刻度上戈1介圏。比如悠圦力梢微郊重其事的表L23①偏

現 吋 清 戈 I 在 4 的 刻 度 上 。

(7)

4 . 1 使 わ な い と し て 削 除 さ れ た 表 現

ア ン ケ ー ト で は 、 ま ず 井 出 ( 1 9 8 6 ) の 調 査 手 順 に 従 っ て 、 表 現 の リ ス ト の 中 か ら あ な た が 普 段 使 わ な い と 思 う 表 現 を 削 除 し て も ら っ た 。 削 除 数 は 任 意 で あ る 。 そ れ を 線 で 消 す 。

表 2 A B を 見 る と 、 ど の 表 現 が ど の く ら い 削 除 さ れ て い る か 、 ま た 中 国 側 は 年 齢 、 男 女 の 違 い な ど が 分 か る 。 削 除 の 数 が 多 い 順 に 並 べ る 。

ア ン ケ ー ト 原 文 に は 、 「 ペ ン 」 「 ペ ン あ る ? 」 以 外 に 、 す べ て 「 ち ょ っ と そ の ペ ン 」 が つ け て あ る 。 日 本 語 の ア ン ケ ー ト 用 例 表 2 A は 全 2 0 種 類 で あ り 、 中 国 語 で は 、 原 貝 l l と し て 、 日 本 語 の 用 例 ( a ‑ t ) に ほ ほ 相 等 す る 表 現 を と り あ げ た 。 し か し 、 「 ち ょ っ と そ の ペ ン い い 」 の 表 現 は 中 国 語 で 適 当 の 表 現 は な い の で 、 代 わ り に 「 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だきたいんです。)」の表現を使う。また、日本語用例二2種「v・毫有喝?(ペ ンある?)」「u、清借一下鼈姶我。(ちょっとペンを借りてください。)」を加 え た 。 ア ン ケ ー ト 用 例 全 2 2 種 。

表2A使わないとして消除された表現(日本)(1986:77)(回答者数525人)

削 除 さ れ た 表 現 削 除 し た イ ン フ ォ 一 マ ン ト の 人 数

全 回 答 者 に 対 す る比率(%)

グ<ン 302 57.5

お 借 り し て も よ ろ し い で し ょ う か 278 5 3 0

貸 し て い た だ き た い ん で す け れ ど 239 45.5

貸 し て よ 211 40.2

あ る 201 38.3

借 り る よ 185 35.2

お 借 り で き ま す か 177 33 7

使 っ て い い 150 28.6

貸 し て 下 さ い ま せ ん か 140 26.7

貸 し て ほ し い ん だ け ど 134 25.5

貸 し て い た だ け ま す か 119 22.7

い い で す か 118 22.5

貸 し て も ら え ま せ ん か 106 20.2

貸 し て く れ ま せ ん か 102 19.4

い い 92 17.5

貸 し て い た だ け ま せ ん か 89 17.0

貸 し て く だ さ い 82 15.6

借 り て い い 69 13.1

貸 し て 34 6.5

貸 し て く れ る 31 5.9

表 2 A ( 日 本 語 ) は 3 0 % 以 上 を 削 除 し た 表 現 は 合 計 7 種 で あ る 。 表 2 B ( 中 国 語)は30%以上を削除した表現は合計10種である。日米とも(1986.77−78)

65

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「ペン」、"Apen''というような、ペンその物をいうものがまず削除されて

いる。

表 2 B 使 わ な い と し て 削 除 さ れ た 表 現 ( 中 国 ) ( 回 答 者 数 1 0 2 人 )

中国では、一番多く削除されているのは「有毫喝?」、次に「宅!」である。

井出他(1986)の研究と同じく、借りるという行為に物の名前だけでは失礼な 言 い 方 で 、 不 適 当 と 考 え て 削 除 し た 者 が 多 か っ た の で は な い か と 推 測 さ れ る 。 そ し て 、 三 番 目 に 多 く 削 除 さ れ て い る の は 「 我 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 , 不 知 道 可 以 不 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て く だ さ る よ う に お 願 い し た い の で す が 、 い か が で し ょ う か 。 ) 」 と い う 中 国 で は 長 く て 非 常 に 丁 寧 な 言 い 方 で あ

削 除 さ れ た 表 現

削除したインフォーマントの数

20代 30代 40代 人 数

男浬 女加 女旧 10

女旧

合計

答 者 に

対 す る 比 率 o 、 有 箔 叫 ? ( ペ ン を も っ て い る ? )

h ・ 箔 ? ( ペ ン ? )

。 、 我 想 淵 悠 借 一 一 下 那 枝 箔 ( 不 知 道 可 以 不 ) 。 ( ち よ っ と そ の ペ ン 貸 し て く だ さ る よ う に お 願 い し た い で す か 、 い か か で し ょ う か 。 )

f ・ 想 i W 悠 借 一 下 那 枝 箔 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だ き た い ん で す 。 )

g ・ 可 否 消 悠 借 一 下 那 枝 篭 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン お 借 り し て も よ ろ し い で し ょ う か 。 )

9 14 10 15

7 14

6 14

1 12 1711 14 9

12 8

13 6

13

■叶口■凸■q■毎■可■q●こら■凸と

7 6 7

6

5

4 7 7

2

4

3 32 31

25

24

18 32 31

24

24

22 64 62

49

48

40 63%

61%

48%

47%

39%

r 、 借 姶 我 一 下 那 枝 嬉 ロ 巴 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 私 に 借 り

る よ ・ ) 6 6 11 7 6 4 23 17 40 39%

k ・ 借 一 ・ 下 那 枝 篭 n E 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て よ 。 ) 6 11 5 8 4 4 15 23 38 37%

p ・ 想 要 借 一 下 那 枝 鼈 ( 不 知 道 可 以 不 ) 。 ( ち ょ っ と そ

の ペ ン 貸 し て ほ し い ん だ け ど 。 ) 7 11 8 4 6 2 21 17 38 37%

e ・ 可 以 借 一 下 那 枝 鼈 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 借 り て も い い で し ょ う ? )

m 、 借 一 下 那 枝 篭 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て 。 ) 5

3 8

9 7 4

9 5 5 5

5

3 17 17

17 17 34

34 33%

33%

u ・ 消 借 一 下 那 枝 鼈 姶 我 。 ( ち ょ っ と ペ ン を 貸 し て 、 私

に。) 3

!ー

9 5 3 4 15 14 29 28%

j ・ 能 否 借 姶 我 一 下 那 枝 鼈 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し

て も ら え ま せ ん か ? ) 4 6 10 2 4 2 18 10 28 27%

s 、 i 聞 借 一 一 下 那 枝 箸 好 不 好 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し

て 下 さ い ま せ ん か ? ) 5 8 6 4 4 1 15 13 28 27%

[ ・ 澗 借 姶 我 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 私 に 貸

し て く れ る 。 ) 2 6 9 4 4 2 15 12 27 26%

v ・ 鼈 有 叫 ? ( ペ ン あ る ? ) 3 6 7 5 2 3 12 14 26 25%

l ・ 靖 借 我 一 一 ド 那 枝 鼈 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 貸 し て く

だ さ い 。 ) 5 2 2 1 3 4 10 7 17 17%

a ・ 能 不 能 借 一 一 ド 那 枝 箔 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い

た だ け ま せ ん か ? ) 1 3 6 1 3 2 10 6 16 16%

c ・ 借 一 下 那 枝 鼈 好 叫 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 借 り て い

い で す か ? ) 2 6 6 1 1 9 7 16 16%

b ・ 可 以 借 一 下 那 枝 鼈 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン お 借 り で き ま す か 。 )

n . 借 一 下 那 枝 箱 可 以 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 借 り て よ る し い で す か 。 )

1 5

1 3 5

5 1

1 2

3 1 8

9

6︾5

14

14 14%

14%

q ・ 用 一 下 那 枝 箔 行 叫 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 使 っ て

い い ? ) 3 5 2 4 7 7 14 14%

1 . 可 以 用 一 下 那 枝 鼈 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 使 っ

て い た だ け ま す か ? ) 3 2 3 1 2 7 4 11 11%

谷口

901169

182 93 86 67

35813291687

(9)

る 。 又 、 日 本 の 場 合 は 二 番 目 に 挙 げ ら れ て い る 「 ち ょ っ と そ の ペ ン お 借 り し て も よ ろ し い で じ よ う か 」 と い う 長 く て 非 常 に 丁 寧 な 言 い 方 が 削 除 さ れ る 。 井 出 他 ( 1 9 8 6 ) の 指 摘 通 り 、 こ れ ら の 表 現 は イ ン フ オ ー マ ン ト の 学 生 の レ パ

ー ト リ ー に は あ ま り ふ く ま れ て い な い も の で あ る と 思 わ れ る 。

本 研 究 で 調 査 し た ( 表 2 B ) で は 中 国 の 削 除 さ れ た 表 現 が 、 日 本 と 似 て い る こ と が わ か る 。 丁 寧 度 の 高 い 方 も 低 い 方 も 削 除 さ れ て い る と い う こ と で あ る 。 更 に 詳 し く 分 析 し て い く と 以 下 の こ と が 説 明 で き る 。

( 1 ) 「 我 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 , 不 知 道 可 以 不 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て く だ さ る よ う に お 願 い し た い で す が 、 い か が で し ょ う か 。 ) 」 、 「 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だ き た い ん で す 。 ) 」 、 は と て も 丁 寧 な 言 い 方 で 、 4 割 以 上 の 人 が 削 除 し て い る 。

( 2 ) 文 尾 に 「 Ⅱ 巴 」 の 付 く 表 現 は 三 つ と も 3 割 以 上 の 人 が 削 除 し て い る 。

( 3 ) 男 女 、 年 齢 の 差 も 見 え る 。 丁 寧 度 の 低 い 方 も 削 除 さ れ て い る が 、 丁 寧 度 の 高 い 方 の 削 除 さ れ て い る 順 番 は 一 致 し な い と い う こ と で あ る 。

4 . 2 最 も 改 ま っ た 表 現 / 最 も 気 楽 な 表 現

質 問 2 と 質 問 3 で は 、 イ ン フ オ ー マ ン ト 各 自 が 質 問 1 で 削 除 し な か っ た 表 現 の う ち 、 「 最 も 改 ま っ た 態 度 で い る 時 に 使 う 表 現 」 と 「 最 も 気 楽 な 態 度 で い る 時 に 使 う 表 現 」 を 答 え て も ら っ た 。 集 計 し て み る と 、 ペ ン を 借 り る 時 に 使 う 丁 寧 度 の 両 極 P D ( 1 と 5 ) に 位 置 す る 表 現 が ど の よ う な も の で あ る か が 分 か る 。 頻 度 順 に 比 率 を 表 に す る と 、 表 3 , 表 4 の 場 合 、 表 2 と は 異 な り 、 回 答 頻 度 の 総 計 ( 中 国 語 1 7 4 ) を 母 数 と し て 計 算 し て あ る 。

A)最も改まった態度でいる時に使う表現(中国)

日 本 で は 、 敬 語 表 現 で 長 い も の ( 形 態 素 の 数 が 多 い も の ) 「 ち ょ っ と そ の ペンお借りしてもよろしいでしょうか」(29.4%)「ちょっとそのペン貸して い た だ け ま せ ん か 」 ( 2 5 . 5 ) が 、 「 最 も 改 ま っ た 」 と 考 え ら れ て い る 。 と こ ろ が 「 ち ょ っ と そ の ペ ン お 借 り し て も よ ろ し い で し ょ う か 」 は 普 段 使 わ な い 表 現 と し て 2 番 目 に 多 く 削 除 さ れ て い る 。 こ の こ と は イ ン フ ォ ー マ ン ト が 学 生 で あ る た め に 、 普 段 の 使 用 頻 度 が 低 い 、 と 考 え て い る こ と を 反 映 し て い る 。

67

(10)

68

こ の こ と は す な わ ち 、 丁 寧 表 現 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 で 表 れ る 数 値 が 常 に 被験者の「その人物と接触する場面」とによって大きく左右されるというこ と の 実 例 で あ る 。

表 3 最 も 改 ま っ た 態 度 で い る 時 に 使 う 表 現 ( 中 国 ) ( 回 答 者 数 1 0 2 人 )

中 国 の 調 査 で は 、 イ ン フ ォ ー マ ン ト に 学 生 以 外 に 社 会 人 、 年 配 者 が ふ ま れ て い る 。 中 国 で も 、 敬 語 表 現 で 長 い も の ( 「 可 否 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 ? ( ち ょ っとそのペンお借りしてもよろしいでしょうか。)」、「我想清悠借一下那枝 毫,(不知道可以不)?(ちょっとそのペン貸してくださるようにお願いした い で す が 、 い か が で し ょ う か 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だ き た い ん で すけれど。))」などが、最も改まった」と考えられている。しかし、表3を 示 す よ う に 、 男 女 、 年 齢 の 差 が あ る 。 例 え ば 男 性 は 「 能 不 能 借 一 下 那 枝 鼈 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だ け ま せ ん か ? ) 」 を 女 性 よ り 多 く 選 ら ん て

選 ば れ た 表 現 ( 頻 度 順 )

20代42 30代40男浬 女加 男塑

女田

答 頻 度 40代20男︑ 女︑ 人 数

合計

比率

累計比率

g 、 可 否 清 悠 借 一 下 那 枝 鼈 ? ( ち ょ っ と そ の ぺ

ン お 借 り し て も よ ろ し い で し ょ う か 。 ) 9 8 6 7 3 2 18 17 35 20% 20%

。 、 我 想 清 悠 借 一 下 那 枝 鼈 。 ( 不 知 道 可 以 不 ) 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て く だ さ る よ う に お 願 い し た い で す か 、 い か か で し ょ う か 。 )

4 9 7 5 2 3 13 17 30 17% 37%

j ・ 能 否 借 姶 我 一 下 那 枝 篭 ? ( ち ょ っ と そ の

ペ ン 貸 し て も ら え ま せ ん か ? ) 4 6 2 2 2 1 9

●●●●毎beや■毎巳■■毎be︒ザら

8 17 10% 47%

a ・ 能 不 能 借 一 下 那 枝 宅 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸

し て い た だ け ま せ ん か ? ) 4 1

『ー

2 1 1 10 4 14 8%55%

n . 借 一 下 那 枝 毫 可 以 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン

を 借 り て よ ろ し い で す か 。 ) 4 2 4 1 2 8 5 13 7% 63%

b ・ 可 以 借 一 下 那 枝 篭 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン

お 借 り て で き ま す か 。 ) 1 2 3 1 2 3 6 6 12 7% 70%

s ・ 清 借 一 下 那 枝 宅 好 不 好 ? ( ち ょ っ と そ の

ペ ン 貸 し て 下 さ い ま せ ん か ? ) 1 4 2 1

1 1

1 : 2

8

4 7 11 6% 76%

f ・ 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン

貸 し て い た だ き た い ん で す 。 ) 4 2 2 1 7

3■●qe44●︒■凸凸●早口勺66句

2 9 5%81%

1 . 可 以 用 一 下 那 枝 箔 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン

を 使 っ て い た だ け ま す か ? ) 1 5 2 1 3

函●や守旬︒●?早■■●●q44Q寺守

6 9 5%86%

c ・ 借 一 下 那 枝 宅 好 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン 借

り て い い で す か ? ) 2 1 1 2 1 4

4や■●︒q●Gp4ヰ旬守②︒■●守旬

3 7 4% 90%

t ・ 清 借 姶 我 一 下 那 枝 篭 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を

私 に 貸 し て く れ る 。 ) I

pp6aQや毎毎●叶凸毎●︒■寺毎毎巳︒

1 2 1 1 4 2 6 3% 94%

e 、 可 以 借 一 下 那 枝 宅 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ペ ン

借 り て も い い で し ょ う ? ) 1 1 2 3 1 4 2% 96%

u 、 清 借 一 下 毛 姶 我 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 貸 し

て 、 私 に 。 ) 3 0

gbf■ら●0?■凸0■9■■$6F■

3 3 2% 98%

1 . 清 借 我 一 下 那 枝 毫 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を 貸

し て く だ さ い 。 ) 1 1 1 2

●・凸■■巳g■LLbp甲■やゆPP●

1 1% 99%

p ・ 想 要 借 一 下 那 枝 篭 。 ( 不 知 道 可 以 不 ) 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て ほ し い ん だ け ど 。 )

「 ・ 借 姶 我 一 下 那 枝 篭 咽 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 私 に 借 り る よ 。 )

■︒?●■■や凸■■■dも旬■●0口

1

1

‐ ‐ ひ 5 勺 や ● ら 5 つ ● ● B U ■ ● q■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

1

1 0

■ 色 紳 勺 勺 一 ■ 旬 ● ■ ひ ら り 伊 缶 p e C

0 1

1 1

1%

99%

100

32:40 47 26 12 17 91 83174

(11)

69

い る の に 対 し 、 女 性 は 「 想 清 悠 借 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て い た だ き た い ん で す 。 ) 」 を 男 性 よ り 多 く 選 ん て い る 。

B)最も気楽な態度でいる時に使う表現(中国)

日 本 語 の 「 最 も 気 楽 な 態 度 で い る 時 に 使 う 表 現 」 に 一 番 多 い の は 「 ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て 」 ( 2 9 . 2 % ) で あ る 。 次 は 「 ち ょ っ と そ の ペ ン い い 」 (23.5%)、「ペンある」(16.4%)、「ペン」(9.2%)である。敬語表現が含まれ て い な い 、 短 い も の が 選 ば れ た 。

表 4 最 も 気 楽 な 態 度 で い る 時 に 使 う 表 現 ( 中 国 )

中 国 語 の 結 果 は 日 本 語 と 同 じ 、 敬 語 表 現 が 含 ま れ て い な い 、 短 い も の が 選 ばれた。一番多いのは「宅有喝?(ペンある?)」(32%)である。次は「筆?

(ペン)」(19%)、「有毫喝?(ペンをもっている?)」(12%)、「借一下那枝毫。

(ちょっとそのペン貸して。)」(11%)である。また中国では、年齢、性別に よって、選ばれた表現が違うことがわかった。例えば、女性が選んた表現「可 以借一下那枝筆喝?」、「想要借一下那枝毫。(不知道可以不。」「借姶我一

選 ば れ た 表 現 ( 頻 度 順 )

回 答 頻 度

20代 30代 40代 人 数

合計

比 率 累計●

比 率

v、篭有喝?(ペンある。) 9 9 12 4 6 5 27 18 45 32% 32%

h ・ 毛 ? ( ペ ン ) 5 7 7 6 1 12 14 26 19% 51%

0 . 有 宅 喝 ? ( ペ ン を も っ て い る 。 ) 2 3 3 4 2 3 7 10 17 12% 63%

m ・ 借 一 下 那 枝 篭 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し

て。) 3 4 4 2 2 7 8 15 11% 74%

u ・ 清 借 一 下 鼈 姶 我 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン を

貸 し 手 、 私 に 。 ) 3 3 3 3 6 9 6% 80%

q 、 用 一 下 那 枝 嬉 行 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ぺ

ン を 使 っ て い い 。 ) 2 1 1 1 2 3 5 4% 84%

I ・ 可 以 用 一 下 那 枝 宅 喝 ? ( ち ょ っ と そ の

ペ ン を 使 っ て い た だ け ま す か 。 ) 1 1 2 1 3 4

3% 86%

T 清 借 姶 我 一 下 那 枝 宅 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン

を 私 に 貸 し て く れ る 。 ) 1 1 1 1 2 2 4 3% 89%

b , 可 以 借 一 下 那 枝 宅 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ぺ

ン を お 借 り で き ま す か 。 ) 1 1 1 0 3 3 2% 91%

n . 借 一 下 那 枝 箔 可 以 喝 ? ( ち ょ っ と そ の

ペ ン を 借 り て よ ろ し い で す か 。 ) 1 1 1 2 1 3 2% 94%

a 、 能 不 能 借 一 下 那 枝 鼈 ? ( ち ょ っ と そ の べ

ン 貸 し て い た だ け ま せ ん か 。 ) 1 1 1 1 2 1 95%

c ・ 借 一 下 那 枝 鼈 好 喝 ? ( ち ょ っ と そ の ぺ

ン 借 り て い い で す か 。 ) 1 1 2 0 2 1% 96%

k , 借 一 下 那 枝 鼈 肥 。 ( ち ょ っ と そ の ペ ン 借

り る よ ・ ) 2 2 0 2

1 98%

p、想要借一下那枝鼈。(不知道可以不)。

( ち ょ っ と そ の ペ ン 貸 し て ほ し い ん だ け ど。)

1 1 0 2 2 1 99%

r ・ 借 姶 我 一 下 那 枝 宅 ロ E ・ ( ち ょ っ と そ の ぺ

ン 私 に 貸 し て よ 。 ) 1 0 1 1 1% 100%

24 35 34 22 10 15 68 72 140

(12)

70

下那枝毫ロ巴。」は、男性は選ばなかった。40代の男性は「宅?」、「清借一下 毫姶我。」が選ばなかった。

4.3各表現の丁寧度

質 問 4 で は 、 質 問 1 で 削 除 し な か っ た 各 表 現 に 対 し て 5 段 階 で 丁 寧 度 を 目 盛 上 の 位 置 を イ ン フ ォ ー マ ン ト に 答 え て も ら っ た 。

比 較 す る た め に 、 日 米 の 研 究 と 同 じ く 、 表 の 左 端 に は 、 イ ン フ ォ ー マ ン ト の 個 人 番 号 を 入 れ て い る 。 中 国 で は 、 2 2 個 の 数 字 が 横 に 並 ん で い る が 、 こ れ は イ ン フ ォ ー マ ン ト が ア ン ケ ー ト 記 号 A B C の 順 に そ っ て 各 表 現 に 付 け た 1 − 5 の 丁 寧 度 の 値 で あ る 。 数 字 が ぬ け て い る と こ ろ は 、 使 わ な い と し て 削 除 し た 者 で あ る 。 最 後 の 英 文 字 は 、 は じ め が 最 も 改 ま っ た 表 現 、 2 番 目 が 最 も 気 楽 な 表 現 と し て 選 ん だ 表 現 の 記 号 で あ る 。

グー︲←︲︲︲︲?︒︲L・︲・︲︲0601︐11←︒︒︒︲1︲714︒︲︲491;l︲︲︲も︑l4Pol︲︒J︲・4︲l︲︲︲︲︑︲も︑︲︲凸◆畑鋤鋤小鋤恥蛎鵡かいい

緯皇

一一一

︒︲︒︐!︲︲●︐l︲︲︲︲︲lひl︲︲︲⁝もil◇111←・→︲︒︑︒︲︲︲:︲︲l︲◇︲︲・1︲︲◇︲︲︲︲−.0.︑︒︲︲L邸蠅恥祁恥恥いふ狐いい

型◆圃勧5型5

画↓

瓜5椅

白︑L4

■▲尺3Cu

律4︲白︒一唖一マ勾一エ︒

︑tr■今一Iや︸・・・︸︑.︸・タ︸D︸︸︸二3舌︸ロ︒︒・︲︸ロロ︲96︸b6.4◆卜・︸今↑.︑・・L里.↑.︲・・・q﹃二︸︲こり.︸︸︲︑・も︸も恥鋤既獅砺珂心郊狐いい唖邸恥泌郎罪蛎弼小畑砿

恥一︽蛾

︲0︲︲︲︑剣︲◆︲︲︲︑︲︲も.︒︲︲γ■二・9﹃︲︒︲も.し︲︲Arll︲︲︲︲︲101︲︲︲︲時︲︐︐?︲︲︲︲・︲︑︲︲︲︲日︑・凸や皿鋤恥畑恥恥心孤細心いふ邸跡噸恥跡心恥狐いい

I型

J蕾

邸恥邸祇恥恥小畑か心倣

V型

123451

− . − ■ − 9

図 1 P a r t l の 回 答 分 布 ( 中 国 男 性 )

( 左 軸 は 表 現 記 号 、 横 軸 は 丁 寧 度 か ら 5 ま で )

本 研 究 の 各 表 現 に つ い て 、 丁 寧 度 か ら 5 ま で 、 そ れ ぞ れ 何 % あ っ た か と い う 回 答 の 配 分 を 表 5 に な る 。

(13)

葎一albcldeflghlIjlkllmnloqlruv

中 国 全 体 の 各 表 現 の 丁 寧 度

そ の ま ま グ ラ フ に す る と 、 図 1 ( 男 性 ) 、 図 2 ( 女 性 ) 、 図 3 ( 男 女 性 ) の よ う に な る 。 例 え ば I の 型 の h 「 筆 ? ( ペ ン ) 」 に つ い て 丁 寧 度 見 方 は 気 楽 表 現 ( 1 ) が一番多く、86%であり、(2)は14%、(3)(4)(5)がない。Ⅱ型はk表現につ い て 一 番 気 楽 な 表 現 を 思 っ た 人 が 1 0 % で あ る 。 丁 寧 度 2 を 選 ん だ 人 は 4 8 % 、 3 を 思 っ た 人 が 1 8 % 、 4 を 思 っ た 人 が 2 3 % で あ る 。 一 番 改 ま っ た 態 度 で い る 時 使 う 表 現 は 非 常 に 少 な く 3 % で あ る 。 こ の 表 現 は 均 一 的 な 意 見 を 持 っ て い る と 言 え な い 。 Ⅲ 型 の a 表 現 も バ ラ バ ラ で あ る こ と に 気 づ く 。 丁 寧 度 3

を 思 っ た 人 が 3 6 近 く に 対 し て 、 一 番 改 ま っ た 態 度 で い る 時 使 う 表 現 と 思 っ

た 人 は 2 7 % に 近 い 。 ま た 、 l 表 現 は 2 度 、 3 度 、 4 度 を 思 っ た 人 は 3 0 % 前 後 で あ り 、 p 表 現 で は 丁 寧 度 2 を 選 ん だ 人 は 3 3 % 程 度 で あ り 、 4 を 思 っ た 人 が

3 6 % 近 く バ ラ バ ラ で あ る こ と に 気 づ く 。

全 体 的 に 見 る と 、 中 国 で は 、 男 性 は 女 性 に 比 べ 、 表 現 に 対 す る 丁 寧 度 意 識 の 一 致 が 少 な い 。 表 現 の 丁 寧 度 の 評 価 に 個 人 差 が 大 き い と い う こ と に な る 。

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参照

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