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南硫黄島の昆虫相 とその特殊 性 森 英 章1、 苅 部 治 紀2、 岸 本 年 郎3

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南硫黄島の昆虫相 とその特殊 性

英 章1、 苅 部 治 紀2、 岸 本 年 郎3

lnsectfaunaonMinami‑lwo一TbIsland

HideakiMORI'*,HarukiKARUBE2&ToshioKIS田MOTO3

1.一 般 財 団 法 人 自 然 環 境 研 究 セ ン タ ー(〒130‑8606東 京 都 墨 田 区 江 東 橋3‑3‑7) JapanWildlifeResearchCenter,3‑3‑7Kotobashi,Sumi(h,Tokyo130‑8606Japan

2.神 奈 川 県 立 生 命 の 星 ・地 球 博 物 館(〒250‑0031神 奈 川 県 小 田 原 市 入 生 田499) KanagawaPrefecturalMuseumofNaturalHistory,4991tyu(b,0(lawara,Kanagawa250‑0031Japan

3.ふ じ の く に 地 球 環 境 史 ミ ュ ー ジ ア ム(〒422‑8017静 岡 県 静 岡 市 駿 河 区 大 谷5762) MuseumofNatUralandEnvironmentalHistory,Shizuoka,57620ya,Suruga,ShiZuoka,ShiZuoka

422‑8017Japan

*hmori@jwrc .or.jp(authorforcorrespondence)

要 旨

筆 者 らは2017年6.月14日 一26日 の期 間 に南 硫 黄 島 の学 術 調 査 隊 に参 加 す る機i会を得 て 、 昆 虫類 の調 査 を行 な った 。得 られ た試 料 は現 在 も各 専 門家 に よ る解 析 中で あ るが 、 これ ま で

に10目68科ll6種 を確 認 して お り、 うち36種(カ ジ リム シ 目1、 カ メ ム シ 目7、 コ ウチ ュ ウ 目9、 ハ チ 目4、 ハ エ 目9、 チ ョ ウ 目6)は 南 硫 黄 島初 記 録 、 うち8種 は 小 笠 原 諸 島 初 記録 で あ っ た。 ミナ ミイ オ ウス ジ ヒ メカ タ ゾ ウム シ は1981年 以 来36年 ぶ りに2例 目の確 認 とな っ た ほ か、 コ ケ ム シ亜 科 の1種 な ど未 記 載 種 の発 見 もあ り、今 後 の解 析 結 果 が期 待 され る。

3回 の総 合 学 術 調 査 で識 別 され た 計184種 を整 理 す る と、 南 硫 黄 島 の 昆 虫 相 の 偏 りが 明確 と な っ た。若 く険 し く厳 しい 島 の環 境 へ の 定着 の 困難 さか らか 、多 くの 分 類 群 が 欠 落 す る。捕 食 者 、花 粉 媒 介者 、分 解 者 、寄 生 者 等 、様 々 な 生 態 的 地位 にお い て 特 殊 な 状 況 が 見 られ 、 一 部 は ニ ッチ の置 き換 わ りが 起 きて い る こ と も示 唆 され た。 ま た、 南硫 黄 島 固 有 の 昆 虫類 に 注 目す る と、 ミナ ミイ オ ウ ヒ メカ タ ゾ ウム シ で は標 高 に応 じて 生 息密 度 が急 激 に 変化 して い た り、 ミナ ミイ オ ウムネ ボ ソア リで は翅 を持 た な い オ ス が発 見 され た りす る な ど、他 の 地 域 で は見 られ ない 変 化 を生 じて い る こ と も明 らか とな って きた。

アカ カ ミア リ等 、隣接 す る硫 黄 島 か らの侵 略 的 外 来 昆 虫 の侵 入 は今 回 も確 認 され ず 、、南硫 黄 島 の昆 虫相 は健 全 な状 態 で あ る こ と を確 認 した 。一 方 で 、複 数 の 目立 ち や す い 広域 分布 種 につ い て、新 た に確 認 され た り、再 び 確 認 され な くな った りす る こ とか ら、 この 島 で は数 十 年 間 の うち に も昆 虫類 の侵 入 と絶 滅 が 繰 り返 され て い る こ とが 示 唆 され た。10年 ぶ りに 同様 のル ー ト、 同一 調 査 者 が調 査 を行 っ た こ とは 、小 面積 の海 洋 島 に お け る昆 虫群 集 の遷 移 の検 討 に もつ なが って い る。

上 記 の よ うな視 点 か ら、 「本 来 」の 自然 が保 存 され た 南硫 黄 島 に お け る 昆 虫類 は 、海 洋 島 に

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お け る生 態 系 、 進 化 の 形 成 過 程 を考 察 す るた めの 良好 な モ デル とな るで あ ろ う。

キー ワー ド 海 洋 島、 生 態 的 地位 、 垂 直 分布 、飛 翔 力 喪 失 、移 入 と絶滅

1.は じめ に

南 硫 黄 島 を含 む 火 山列 島 は3.0±1.1万 年 ほ ど前 ま で の火 山 活 動 に よっ て 現 れ た 比較 的新 し い 海 洋 島で あ るが 、 ミナ ミイ オ ウ ヒメ カ タ ゾ ウム シ の よ うに 固 有 属 と位 置付 け られ る ほ ど特 異 な分 化 を遂 げた 種 も発 見 され て お り(MorhnotoandK句ima,2003)、 小 面積 の 島 嘆 に お け る 昆 虫 の進 化 の 実 例 と して 注 目され る。

ま た 、 南 硫 黄 島 に は漂 流 者 の一 時 的 な滞 在 以 外 に は人 間が 居 住 した 記 録 が な く、1975年 に原 生 自然 環 境 保 全 地 域 に指 定 され た 後 は 、上 陸 は厳 しく制 限 され て い る。近 隣 の 島 々 とは 、 硫 黄 島か ら約60㎞ 、 北 硫 黄 島か ら約130㎞ と距 離 が あ る こ と、海 岸 は崖 地 で覆 われ て い る

こ とも あ り、外 来 生物 も到 達 、定 着 しに くい と考 え られ る。過 去 の調 査 で は ネ ズ ミ類 の侵 入 も確 認 され て い ない こ とか ら σll上・堀越 、2008)、 外 来 生 物 の 影 響 が 極 めて 少 な い 、純 粋 な 島嘆 生 態 系 の成 り立 ち を観 察 で き る稀 有 な 島 で あ る。

南 硫 黄 島 の 昆 虫 類 につ い て は 、1982年 の第1回 総 合 学 術 調 査 に お い て佐 藤(1983)に って 、2007年 の 第2回 総 合 学 術 調 査 にお い て苅 部 ・松 本(2008)に よ っ て報 告 が な され た 。 第1回 調 査 は南 硫 黄 島で 初 めて 実 施 され た 昆 虫調 査 で あ り、約8日 間 の 滞 在 で記 録 され た種

は識 別 され た もの で152種(種 ま で 同定 され た種 、お よび未 記載 種 と して 特 定 され た もの は 計99種)を 数 え た。 この 調 査 時 に発 見 され た ミナ ミイ オ ウ ヒメ カ タ ゾ ウム シ 、ミナ ミイ オ ウ トラカ ミキ リは 島 固有 の 新 種 と して 記 載 され た(Sato,1982;Mo血10toandKqima,2003)。 第2 回 調 査 時 は、約5日 間 の滞 在 で71種 が識 別 され(た だ し、 ガ類 、ハ エ 類 は ほ ぼ未 同定)、 う

ち22種 が 南 硫 黄 島 初 記 録 で あ っ た が 、 大型 台 風 直 撃 の 直 後 に 実施 され た こ とか ら、 昆 虫類 も影 響 を受 けて い た と考 え られ る。 この 時 の サ ン プル か ら、 ミナ ミイ オ ウム ネ ボ ソア リ、 イ オ ウ ヨツボ シオ オ ア リが 新 種 と して 記 載 され て い る(Terayamaetal.,2011)。

今 回 の 調 査 で は 過 去 の 調 査 記 録 を も とに 、昆 虫類 が 豊 富 と考 え られ た 中標 高域 以 上 を 中 心 に調 査 を実 施 した 。2007年 調 査 で集 中 的 に 実施 した樹 上 性 の昆 虫類 に加 え 、今 回 の調 査 で は 林 床 に生 息 す る昆 虫類 に も注 目す る こ と に よ り、島 内 に お け る昆 虫群 集 の全 貌 を 明 らか にす

る こ とを試 み た 。

3.5㎞2と 小 面積 の 孤 島 で あ る南 硫 黄 島 に 到 達 、 定 着 す る 昆 虫類 は 限 られ て い る と考 え ら れ 、これ まで の調 査 結 果 か らも種 構 成 が 偏 る傾 向が 見 られ て い る。一 方 、平 均 斜 度40度 以 上 の急 勾 配 で916mの 標 高 を持 つ こ とか ら、 低 標 高 地 域 で は 高 温 で 乾燥 した崩 壊 地 が 多 い の に 対 し、 高標 高域 で は雲 霧 帯 を形 成 す るな ど、標 高 の 変 化 に伴 う環 境 の 変 化 が 著 しい 。 そ の環 境 の変 化 に応 じて 島 内 に 生 息 す る昆 虫 の ニ ッチ へ の適 応 に変 化 が生 じて い る可 能性 が あ る。

過 去 の調 査 に お い て ミナ ミイ オ ウ ヒメ カ タ ゾ ウム シ 、 ミナ ミイ オ ウス ジ ヒメ カ タ ゾ ウム シ、

ミナ ミイ オ ウ トラカ ミキ リ、 ミナ ミイ オ ウムネ ボ ソア リ、 イ オ ウ ヨツ ボ シ オ オ ア リな ど南硫 黄 島 固有 の種 が 記 載 され た が そ の 生 態 は 明 らか とな っ て い な い もの が 多 い。今 回 の調 査 に お い て は各 種 の詳 細 な観 察 に よ りそ の 生 態 も解 明 す る こ と を試 み 、南硫 黄 島 に お け る 昆 虫 の進

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化 につ い て 考 察 す る こ と も 目指 した 。

一 方、隣 接 す る硫 黄 島 には 、ナ ン ヨ ウチ ビア シ ナ ガ バ チ 、ア カ カ ミア リ、ア シ ナ ガ キ ア リ な ど侵 略 的 外 来 昆 虫が 多 く定 着 して い る(寺 山 ・森 、2014)。 小 笠原 群 島 に お い て も物 資 の 輸 送 等 に伴 って 様 々 な外 来 昆 虫が侵 入 して お り、 ツヤ オ オ ズ ア リ等 、 一 部 の侵 略 的 な 昆 虫 で は 島 内 の生 態 系 へ の 悪影 響 を及 ぼ して い る こ と も明 らか とな っ て い る(UchidaetaL,2015)。 た 、南 硫 黄 島 一硫 黄 島 問 と同様 に硫 黄 島 と隣接 す る北 硫 黄 島で は、 戦後 は 無 人 島 で あ る もの の 、 硫 黄 島 に 生 息 す る外 来 狩 りバ チ で あ る ヒ トザ ト ヒゲ ブ ト ドロ バ チSubancistrocerus domestiαsの 生 息 が確 認 され て い る(苅 部 ほか 、2004)。 これ らの背 景 か ら、南硫 黄 島 へ の侵 略 的 外 来 昆 虫の 侵 入 の 有 無 を確 認 し、定 着 して い た 場 合に は 固 有 の 生 態 系 を失 わ な い た め 早 急 な対 応 を検 討 す る必 要 が あ るた め、 外 来 昆 虫 につ い て も留意 して調 査 を 実施 した。

以 上 の よ うな 目的 か ら、2017年6.月 に 南 硫 黄 島 学 術 調 査 隊 に 参加 し、 昆 虫群 集 の構 成 や 分 布 、 生 態 に 関 す る調 査 を行 っ た の で 、そ の結 果 につ い て報 告 す る。 た だ し、 現 時 点 で は全 て の試 料 の 同定 、 解 析 は終 了 して い な い た め、 本 報 告 は 予報 と位 置付 け る。

2.方

昆 虫類 の 調 査 は2017年6月14日 一26日 の 間で 実 施 した 。6月14日 一17日 お よび6月20 日一22日 は森 が 、6月23日 一25日 の 期 間 は 苅 部 が 島 内 を踏 査 して調 査 を行 っ た。 ま た 、 ト ラ ップ を用 い た 調 査 は6.月14日 一26日 に か けて 、 お よそ標 高250mお き に 地 点 を設 け 、 地 域 に よ って 設 置 可 能 な 限 りの1日 一9日 の 期 間 で 設 置 して 調 査 を行 っ た。 な お 、今 回 の調 査 は、 当初 苅部 ・森 の2名 の昆 虫班 と して 後 半 の 日程 で 参 加 す る予 定 で あ った が 、 天候 等 に よ る 隊 の変 更 が 必 要 とな り、急 遽 前 半 と後 半 に 調 査員 を 分 散 して調 査 を 実施 す る こ と とな っ た。

そ のた め、 荷 揚 げの 軽 量 化 が 必 要 とな り、 マ レー ズ トラ ップ 、FITト ラ ップ の 実施 は 見 送 る こ と とな った 。

詳 細 な行 程 と トラ ップ 設 置 の 記 録 は 以 下 の とお りで あ る。 また 、 図1に は トラ ップ の設 置 地 点 、 お よび 踏 査 ル ー トを示 した 。 各 踏 査 中は お よそ標 高100mご とを1区 画 と して 、 ス イ ー ピ ン グ、 ビー テ ィ ン グ、 シ フテ ィ ン グ に よ る一般 採 集 を行 っ た。

6月14日(森)船 一 海 岸 ベ ー ス キ ャ ン プ(BC)一 海 岸 林(ア カ パ ラ)‑BC一 宿 泊 〉 ア カ パ ラ:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 設 置 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 設 置

6.月15日(森)船 一BC一 標 高500mコ ブ ガ シ 林 ・崩 壊 地(コ ル)〈 宿 泊 〉 コ ル:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 設 置

6.月16日(森)コ ル ーBC一 宿 泊 〉

コ ル:ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 設 置 、 ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 試 料 回 収 350m:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 設 置

6.月17日(森)船 一BC一 ア カ パ ラ ーBC一 宿 泊 〉

ア カ パ ラ:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 試 料 回 収 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 回 収 6.月18‑19日(森)海 況 不 良 に よ り船 内 待 機i

6.月20日(森)船 一BC一 コル 宿 泊 〉

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350m:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 試 料 回 収 コ ル:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン試 料 回 収

6月21日(森)コ ル ー 山 頂 宿 泊>

750m:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ フ。設 置 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ フ。設 置 山 頂:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ フ設 置 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 設 置 6.月22日(森)山 頂 一 海 岸BC一 船 一 父 島(苅 部)船 一 海 岸BC〈 宿 泊 〉

山 頂:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 試 料 回 収 750m:ラ イ ト ・カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 試 料 回 収 コ ル:ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 回 収

350m:ヒ 。ッ トフ ォ ー ル トラ ッ フ。回 収 BC:調 査 情 報 引 継 ぎ

6月23日(苅 部)海 岸BC一 コ ル 宿 泊>

350m:カ イ ロ モ ン トラ ッ プ(サ ン ケ イ 型)設

コ ル:カ イ ロ モ ン トラ ッ プ(サ ン ケ イ 型)設 置 、 ラ イ ト トラ ッ プ 設 置 回 収 6月24日(苅 部)コ ル ー 山 頂 一 コ ル 宿 泊 〉

山 頂:カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 回 収 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ プ 回 収 750m:カ イ ロ モ ン トラ ッ フ。回 収 、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ッ フ。回 収 コ ル:ラ イ ト トラ ッ プ 設 置 回 収

6月25日(苅 部)コ ル ー 海 岸BC一 宿 泊 〉

コ ル:カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 回 収 、 カ イ ロモ ン トラ ップ(サ ン ケ イ 型)回 350m:カ イ ロ モ ン トラ ッ プ 回 収 、 カ イ ロ モ ン トラ ッ プ(サ ン ケ イ 型)回 6.月26日(苅 部)海 況 不 良 に よ り船 内 待 機

BC班 に よ りア カ パ ラ:カ イ ロモ ン トラ ッ プ 回 収

2‑1.ラ イ ト トラ ップ 法 、 カ イ ロモ ン トラ ッフ.法(図2a,b,c,f)

南 硫 黄 島 は 非 常 に 急 峻 で あ り、登 墓 ル ー ト、調 査 時 間 も限 定 され る こ とか ら、前 回調 査 で も実 施 した 各 種 誘 引 トラ ップ を 用 い て 踏 査 可 能 範 囲 の周 辺 の 昆 虫相 を効 率 的 に 把 握 す る こ とが 重 要 で あ る。 そ こで 、森(6.月14日 一22日)は 紫外 線LED灯 、 フ.ラスチ ック シー ト、

プ ラカ ップ を用 い た ライ ト トラ ップ(空 中設 置 式 ライ ト トラ ップ セ ッ ト 六本 脚)を 用 い て 、 苅 部(6月23日 一25日)は 、紫 外 線LED灯4‑5基 を ライ ト トラ ップ用 の簡 易 テ ン ト(携 帯 式 ライ ト トラ ップ セ ッ ト,BugDo㎜)に 吊 るす 形 で夜 行 性 昆 虫 を誘 引 した。

ま た 、市販 の カ イ ロモ ンで あ るア カ ネ コールBA、 コガ ネ コールC(サ ン ケイ 化 学)を 用 い て 、 そ れ ぞ れ 訪 花1生、材 食 性 昆 虫 を誘 引 した。

当初 の 予 定 で は 、カ イ ロモ ン トラ ップ 、ライ ト トラ ップ は各 々分 け て設 置 す る予 定 で あ っ た が 、調 査 計 画 の変 更 に よ り、急 遽 荷 揚 げ物 資 の 減 量 が 必 要 とな った た め、6.月14日 一23日

は ライ ト トラ ップ に カ イ ロモ ン を追 加 で取 り付 け る形 で 設 置 を した。LED灯 の点 灯 時 間 は 12時 間 以 内で あ るた め、1日 後 以 降 は カイ ロモ ン トラ ッフ.として のみ 機 能 した とみ な した 。 6H23日 一25日 に お い て は 専 用 の プ ラス チ ッ ク容 器 を 用 い た カ イ ロモ ン トラ ップ(サ ン ケ

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イ 化 学)を 用 い た採 取 も行 っ た。プ ラカ ップ に注 ぐ固定 液 に は通 常 、プ ロ ピ レン グ リ コール 、 酢 酸 水溶 液 な どが 用 い られ るが 、環 境 へ の影 響 を最 小 限 に抑 え るた め、 無水 エ タ ノール を水 で70%に 希 釈 して用 い た。

2‑2.ベ イ ト トラ ップ 法(ピ ッ トフォ ー ル トラ ップ 法)(図2d,e)

市 販 の プ ラカ ップ にペ ッ トボ トル キ ャ ップ を接 続 し、 ピ ッ トフ ォ ー ル トラ ップ を作 成 し た 。 市販 の ま ぐろ フ レー ク に蜂 蜜 を混 ぜ た も の をペ ッ トボ トル キ ャ ップ に入 れ て 誘 引 餌(ベ イ ト)と し、プ ラカ ップ に は エ タ ノー ル を 注 い で 固 定 液 と した。(以 後 、捕 獲 の性 質 上 、 ピ ッ

トフ ォー ル トラ ップ と呼 ぶ 。)

2‑3.ツ ル グ レン法(図2h,i)

各 標 高 にて リター を シ フ ター で ふ る った 土 壌 を土 嚢 袋1袋 分 持 ち 帰 り、 ツル グ レ ン装 置 を用 い て 土 壌 動 物 を抽 出 した 。ツ ル グ レ ン装 置 を使 用 す るに あ た っ て は 土壌 動 物 が飛 散 す る こ とを避 け るた め、父 島 で のサ ン プル 抽 出 で は昆 虫飼 育 用 網 室 を用 い た 。詳 細 な 手法 等 は岸 本 ほか(2018)に 記 載 され て い る。

2‑4.一 般 採集 法(図2g)

踏 査 中は 、 捕 虫 網(苅 部:5mカ ー ボ ン製 長 竿MasterHan(lle晴 空520六 本 脚 ×60cmメ ッ シ ュネ ッ ト む し社 ×ウル トラ フ レー ム 極 昌 栄 、 森:150cmア ル ミ製 く りだ し竿 志 賀 昆 虫

×50cmナ イ ロ ンネ ッ トBugDo㎜ ×ライ トフ レー ム む し社 、お よび ビーテ ィングネ ッ ト(苅 部:68cm×68cmビ ー テ ィ ン グネ ッ トN‑TYPEむ し社 、森:直 径90cmビ ー テ ィ ング ネ ッ ト円 型 タイ プBugDo㎜)を 用 い て 、ス イー ピ ン グ、 ビー テ ィ ン グ に よ る採 集 を行 っ た。異 な る調 査 道 具 を使 用 す る こ と に よ り、森 は低 所 、苅 部 は高 所 を 中心 に採 集 を分 担 し、様 々 な環 境 を 調 査 で き る よ うに した 。 ま た 、林 内 にお い てふ るい(直 径33cmグ リー ンパ ル)を 用 い た 落 葉 層 の シ フテ ィ ン グ を行 い 、落 葉 層 の昆 虫 も採 取 した 。 い ず れ の採 集 時 に お い て も斜 面 は非 常 に急 峻 で 登 墓 ル ー トの ロー プ か ら離 れ る こ とが で きな い た め 、ほ ぼ踏 査 ル ー ト上 の採 集 と

な った 。

2‑5.ラ イ ンセ ンサ ス 法

個 体 数 が 多 く、肉 眼 で 種 判 別 が 容 易 な ミナ ミイ オ ウ ヒメ カ タ ゾ ウム シ に つ い て は 、垂 直分 布 を調 査 す るた め、GPS機 器(Oregon600,GARMIN)を 用 い 、踏 査 中 に発 見 した個 体 の位 置 を記 録 した 。

2‑6.解

上 記 の 手 法 に よ って 採集 され た 昆 虫類 は 無 水 エ タ ノール に 浸 した液 浸標 本 、ま た は 乾燥 標 本 と して 整 理 し、各 分 類 群 の 専 門家 に よ り同定 を行 っ た。 た だ し、 同 定 に は 時 間 を要 す る た め、現 時点 で は結 果 が一 部 に と どま っ てお り、 更 に 同 定 が進 ん だ段 階 で再 度 取 りま とめ て報 告 す る。 これ らの試 料 は研 究 終 了 後 、 神 奈 川 県 立 生命 の 星 ・地 球 博 物 館 に収 蔵 予 定 で あ る。

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3.結

3‑1.昆 虫類 の 種 構 成

調 査 の 結 果 、 現 在 ま で の と こ ろ10目68科ll6種 の昆 虫 を確 認 して い る(表1)。 これ に は属 が 確 定 して い な い17種 も含 ん で お り、 現在 ま で に 同 定 され た種 、 ま た は 属 ま で確 定 し た 種 の合 計 は99種 で あ る。 過 去 の 調 査 に お い て 同様 に 属 、 ま た は種 ま で識 別 され て い た種

は1982年 の 調 査 で は96種(佐 藤 、1983)、2007年 の調 査 で は64種(苅 部 ・松 本 、2008;

Terayamaetal.,2011、 た だ し、 ハ エ類 、 ガ類 を 除 く)で あ り、3回 の調 査 で 最 も多 くの種 が記 録 され た こ と にな る。 そ の理 由 の一 つ と して は、 島 の核 心 部 と考 え られ る中腹 以 上 の雲 霧 帯 の調 査 に長 い 期 間 を割 く こ とが で きた こ とが 挙 げ られ る。 新 記 録 種 の 多 く も標 高500m以 で 確 認 され て い る。

現 在 も各 専 門 家 に よ る同 定 分 析 が継 続 され て お り、トビム シ類 な どま だ角斬 され て い な い 分 類 群 も あ る。 今 後 の研 究 に よ り、 さ ら に多 くの種 の 生 息 が 明 らか に な るで あ ろ う。 図3、

図4に は主 な昆 虫類 につ い て 示 した 。 な お 、表1で は前 回調 査 分 に苅 部 ・松 本(2008)以 に分 類 が 確 定 した もの も加 えて い る。ま た、1982年 調 査 時 の未 同 定種 と今 回 の未 同 定種 が合 致 す るか 不 明 な もの も あ るが 、 今 回 は 合 致 す る と仮 定 して記 録 を整 理 した。

3‑2.新 た に記 録 され た 昆 虫類

表1に 示 した 通 り、今 回 の調 査 に お い て南 硫 黄 島 で新 た に記 録 され た種 は現 時 点 で36種 とな り、うち8種 は小 笠 原諸 島初 記 録 で あ っ た。他 に も同 定 に詳 細 な検 討 を待 つ もの が あ り、

さ らに増 え る見 込 み で あ る。 下 記 には新 記録 種 に つ い て解 説 す る。

・ウ ンカ 科 の 一 種UnkOnodes?sp .小 笠 原諸 島初 記 録

日本 本 土 に分布 す るサ ッポ ロ トビ ウ ンカ の 近 縁 で は あ る と推 測 され る もの の 、異 な る種 で あ り、分 布 緯 度 が低 す ぎ る こ とか ら未 記 載 種 の可 能 性 が あ る。 さ らに、本 属 に 近 い別 属 に所 属 す る可 能 性 も否 定 で きな い(林 、私 信)。 後 翅 が退 化 して痕 跡 的 とな って い るが 、 この特 徴 は ウ ンカ 科 に は時 折 見 られ る性 質 で あ る(図3d)。 標 本 の再 調 査 に よ り2007年 調 査 時 に も 標 高500m以 上 で確 認 され て い た こ とが 判 明 した 。

・ミ ドリヒ メ ヨ コバ イ 属 の1種Emρoascasp .南 硫 黄 島初 記 録 海 岸 付 近 の クサ トベ ラ群 落 の ス イ ー ピ ン グに よ り採 集 され た。

・ミ ドリヒ メ ヨ コバ イ 属 の1種Emρoasca?sp .南 硫 黄 島初 記 録

標 高200‑300mの スイ ー ピ ン グ に よ り採 集 され た 。上記 を含 め た2種 は 分類 学 的 な検 討 中 で あ る。

・コガ タ ウ ミア メ ンボHalobatessericeus南 硫 黄 島 初記 録

海 洋 性 の 種 で あ るが 、 山頂(標 高900m)の ライ ト トラ ップ の試 料 よ り発 見 され た(図3 a)。 無 翅 型 で あ る た め 、 自力 で の 飛 来 の 可 能 性 はな い 。 ライ ト トラ ップ に は 海 鳥 も飛 来 す る

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こ とか ら推 測 す る と、 山頂 部 の 営 巣 地 へ 夜 間 に 帰 巣 す るク ロ ウ ミツバ メ な どが表 層 の浮 遊 物 を捕 食 した 際 に混 食 され 、 それ が ライ ト トラ ップ に飛 来 し、 吐 き 戻 しを した もの が記 録 され た 可 能 性 が あ る(川 上 、私信)。 本 種 は太 平 洋 、大 西 洋 の熱 帯 、亜熱 帯 の海 域 に広 く分 布 し、

小 笠 原 群 島か らも台 風 通 過 後 の 父 島 で 砂 浜 に漂 着 した記 録 が あ る(友 国 ・佐藤 、1978)も の、今 回 の よ うに陸 上 の標 高900mか ら見 い だ され た の は 、ま っ た く予期 せ ぬ もの で あ っ た。

・ウ ミ ミズカ メ ム シ?Speoveliamaritime?小 笠 原 諸 島 初 記 録

海 岸 の 礫 下 よ り1個 体 の み採 集 され た(図3b)。 幼 虫 で あ るた め 形 態 的 な 比 較 は難 しい が 、他 地 域 の もの とは 差 異 が あ る可 能性 が あ る(林 、私 信)。 ウ ミ ミズ カ メム シ は 北海 道 、本 州 、 九 州 、 五 島列 島 、沖 縄 島、 八 丈 島 か ら記 録 が あ るが 、 小 笠 原群 島 か らは確 認 され て い な い 。 正 確 な種 同定 に は成 虫 を採 集 し、 比 較 検討 す る こ とが必 要 で あ る。

・カ モ ドキ サ シ ガ メ の1種 一Emρicoris?sp.南 硫 黄 島 初 記 録 海 岸 部 の ク サ トベ ラ 群 落 の ス イ ー ピ ン グ に よ り得 ら れ た 。

・コマ ダ ラナ ガ カ メ ム シSpilostethushospes小 笠 原 諸 島 初 記 録

標 高400m付 近 のナ ンカ イ ウスベ ニ ニ ガ ナ の 群 落 周 辺 よ り多 数 観 察 され た 。全 身 に赤 と黒 の まだ ら模 様 を持 ち、 よ く 目立 つ 色 彩 を呈 して い るが(図3c)、 過 去 の採 集 に お い て採 集 さ れ て お らず 、近年 南硫 黄 島 に移 入 した 可能 性 が あ る。た だ し、本 種 は こ の群 落 と他2か 所(標 高50m、500m)で のみ 採 取 され てお り、登 禁 ル ー ト上 で もパ ッチ は 限 られ て い た こ とか ら、

過 去 の調 査 で は食 草 の 分 布 と踏 査 ル ー トが 重 複 しな か っ た こ とに よ り発 見 され な か っ た 可 能 性 も あ る。 本 種 は 四国 、 九州 、南 西 諸 島 、台 湾 、 中国 、 朝 鮮 半 島 、 イ ラ ンか ら知 られ 、 ス ラ ウ ェ シ 島で は別 亜 種 と され る個 体 群 が 分布 して い るが(石 川 ほか 、2012)、 小 笠 原 群 島 か ら は確 認 され て い ない 。

・チ ョウカ クハ ジ ラ ミ科 の1種PhilopteridaeGenetsp .小 笠 原 諸 島初 記 録

山頂 部 で 回 収 され た オ ー ス トン ウ ミツ バ メ の 死 骸 の 羽 毛 よ り発 見 され た(図3e)。 これ ま で 小 笠 原 諸 島で 記 録 され た ハ ジ ラ ミ亜 目は ネ コハ ジ ラ ミの み で あ り(大 林 ほ か 、2004)、 野 生 動 物 か らの記 録 は初 めて で あ る。海 外 の ウ ミツ バ メ類 か らは ウ ミツバ メハ ジ ラ ミPhiloceanus annuliventrtsが知 られ て い るが(MarshallandNelson,1967)、 今 回 の 個 体 に つ い て は 現在 分析 中で あ る。4‑4で 述 べ るが 、海 鳥 類 と密 接 した 関係 を持 つ 昆 虫 で あ る こ とか ら、海 鳥 類 が 高 密 度 に生 息 す る南 硫 黄 島 の 特徴 的 な 昆 虫 と言 え るだ ろ う。

・ツブ エ ンマ ム シ属?の1種Bacaniws?sp .南 硫 黄 島初 記 録

体 長1㎜ 未 満 の微 小 甲虫。 標 高500mイ 寸近 の 土繍 料 か ら抽 出 され た。

・シマ ツチ ケ シハ ネ カ ク シ1]lyctioninsulicola南 硫 黄 島初 記 録

山頂 付 近 の ハ チ ジ ョウス ス キ 群 落 の 土 壌 をシ フテ ィ ン グ し、ツル グ レン装 置 で抽 出 した サ

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ンプ ル よ り発 見 され た 。 小 笠 原諸 島 の 固有 種 で 、 これ ま で小 笠 原 智 島、 弟 島 、 兄 島 、母 島 か ら知 られ て い た が(Kshimoto1999a,1999b)、 火 山列 島 か らの は じめ て の 生 息確 認 とな る。 本 種 は後 翅 が 退 化 して い る。

・コガ シ ラホ ソハ ネ カ ク シ属 の 一 種Diochwssp .南 硫 黄 島初 記 録

標 高500m付 近 の コブ ガ シ 林 の リター をシ フテ ィ ン グ し、 ツ ル グ レ ン装 置 で抽 出 した サ ン プ ル よ り2個 体 が 発 見 され た 。本 属 のハ ネ カ ク シ は小 笠 原 諸 島 で は父 島か ら得 られ て い るが 、 種 につ い て は未 検 討 で あ る(岸 本 、 未 発 表)。

・コ ケ ム シ亜 科 の1種Scydmae血aeGenetsp .小 笠 原 諸 島初 記 録

山頂 付 近 の コブ ガ シ林 の リター をシ フテ ィ ン グ し、ツル グ レ ン装 置 で抽 出 した サ ン プル よ り1個 体 のみ 発 見 され た 。体長1㎜ ほ どの微 小 種 で あ る。本 種 は 後翅 が 退化 して い る上 に 、 複 眼 が 欠 失 して お り、 土 中 の 間 隙等 の地 中生 活 に適 応 してい る も の と推 定 され る。 盲 目無 翅 の コ ケ ム シ と して は、 パ プ ア ニ ュー ギニ ア の ビス マ ル ク諸 島 か らLiliutella属 が1種 、 ヨー ロ ッパ か らEudests属 とPsαvdoevdesis属 が そ れ ぞ れ3種 ず つ 記 録 され て い るが 、東 ア ジ アや 近 隣 の太 平 洋 地 域 か らは知 られ て い な く、属 レベ ル で未 記 載 の可 能 性 が 高 い 。 南硫 黄 島 に お

け る特 殊 な進 化 の 事 例 と考 え られ る未 記 載 種 で あ り、 分類 学 的 ・進 化 学 的 に 興 味深 い。

・ナ ン ヨ ウ ニ セ ツ ツ マ グ ソ コ ガ ネAtaeniuspaCiJt7CttS南 硫 黄 島 初 記 録

標 高500mの 土 壌 サ ン プ ル か ら抽 出 さ れ た 。 過 去 の 調 査 で は ヒ メ ケ シ マ グ ソ コ ガ ネ Neotrt'chiorhyssemwsesaldiが 記 録 さ れ て い る が 、少 な く と も2007年 調 査 の 標 本 は 、本 種 の 誤

同 定 で あ っ た の で 訂 正 す る 。

・ヤ コブ ソ ン ム シ科 の1種Derolathrusatomus?南 硫 黄 島初 記 録

標 高500m付 近 の草 地 の リター を シ フテ ィ ン グ し、ツ ル グ レ ン装 置 で抽 出 した サ ン プル よ り1個 体 が 発 見 され た 。本 種 の属 す るヤ コ ブ ソン ム シ科Jacobsoniidaeは 、 日本 か らは 文 献 上 の正 式 な記 録 は ない もの の 、小 笠 原 母 島 か ら採 集 され て い る(上 野 、1998;岸 本 、未 発 表)。

Derolathmsatomwsは ハ ワイ か ら記 載 され た種 で あ る が 、発 達 した後 翅 を持 ち 、空 中 プ ラ ン ク トンで あ る可 能 性 と、 分布 域 が 広 域 にわ た る可 能性 も指 摘 され て い る(上 野 、1998)。

・コバ ケ デ オ ネ ス イ 伍 〃2翻odε鋼 ρo鷹 南硫 黄 島初 記 録 標 高750m地 点 の カ イ ロモ ン トラ ップ に て確 認 され た。

・ヒ ラ タケ シ キス イ の1種Epuvaeasp .南 硫 黄 島 初 記 録

同属 種 の ク ロチ ビ ヒ ラ タケ シ キス イ は 、 島 内 に広 く分布 し、数 も多 い が 、本 種 は標 高350m地 点 のカ イ ロモ ン トラ ップ に よ り1頭 の み 得 られ た 。

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・ヒ メマ キ ム シ科 の 一 種Mumfordia?sp .南 硫 黄 島 初 記 録

標 高750m地 点 の コ ブガ シ を主 体 と した 森 林 の リター を シ フテ ィ ン グ し、ツル グ レン装 置 で 抽 出 した サ ンプ ル よ り1個 体 が 発 見 され た 。上 翅 肩 部 は丸 み を帯 び 、 後翅 が完 全 に退 化 し て い る。本 種 と近 縁 と考 え られ る種 は小 笠 原群 島兄 島 か ら、Mumfordiasp.ト ゲ ヒメ マ キ ム シ

と して 、 平 野(2011)が1個 体 の み で記 録 して い る。 今 回発 見 され た個 体 は 、平 野(2011) の 図示 した 個 体 に比 べ 、前 胸 前 部 の張 り出 しが弱 く、 上翅 の棘 の 突 出 も弱 い こ とか ら別 種 の 可 能 陸が 高 い が 、 どち ら も1個 体 ず つ で得 られ た個 体 が少 ない た め、種 の確 定 に つ い て は今 後 の検 討 を待 ちた い 。

・ヒ メ コ キ ノ コ ム シ の1種Litargussp .南 硫 黄 島 初 記 録 山 頂 部 の 土 壌 サ ン プ ル か ら 得 ら れ た 。

・アカ ア シブ トコバ チ 飾 αc伽ηε磁 ρα2bg沈α 南硫 黄 島初 記 録

日本 国 内 に広 く分 布 す る。ニ クバ エ 類 に 寄 生 す る こ とが 知 られ て い る。南硫 黄 島 はハ エ類 が 非 常 に高 密 度 で あ るた め、 ハ エ 類 の 寄 生者 は 定着 しや す い と考 え られ る。

・ヒ メハ ダカ ア リ(]ardiocondylaminutior南 硫 黄 島初 記 録

標 高300‑400m間 の岩 場 よ り採 集 され た。 小 笠原 群 島 で も裸 地や 荒 原植 生 で 見 られ る種 で あ り、 南 硫 黄 島で も崩 壊 地 を選 好 して 生 息 して い る と考 え られ る。 佐 藤(1983)に お い て(]ardioeondylαsp.とされ て い た種 に対 応 す る可 能 性 が あ る。

・ヒ メア リ属 の1種Monomoriumsp .南 硫 黄 島初 記 録

体 長1.5㎜ ほ どの 微 小 種 標 高500mの シ フテ ィ ン グ、 順 部 の ス ス キ舗 内 の ビー テ ィ ン グ に よ り得 られ た 。

・ウ ロ コア リ属 の1種Strumigenyssp .南 硫 黄 島初 記 録

体 長2㎜ ほ どの微 小 種 。 標 高600mの 湿 潤 な コブ ガ シ林 に て 苔 む した樹 皮 上 を歩 行 して い た 。 同地 域 の シ フテ ィ ン グ に よ って も得 られ て い る。

・ヒ メガ ガ ンボ の1種Limoniasp .南 硫 黄 島初 記 録 標 高500m以 上 の ライ ト トラ ップで 多 く確 認 され た 。

・ トゲ ヒ メ ヒ ラ タ ア ブIshinodonscutellarts南 硫 黄 島 初 記 録

海 岸 林 の ホ ソ バ ヤ ロ ー ドの 花 よ りス イ ー ピ ン グ に よ り採 集 され た 。

・キ イ ロ シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エDrosophilamelanogaster南 硫 黄 島 初 記 録

・フ サ ク シ シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エDrosoρhilαpectinOfera南 硫 黄 島 初 記 録

・オ ナ ガ シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エDrosophilasimulans小 笠 原 諸 島 初 記 録

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・オ ウ トウ シ ョウ ジ ョウバ エDrosophilasuzuldi南 硫 黄 島 初 記 録

シ ョウ ジ ョウバ エ 科 で は他 に未 同定 の1種 を含 め5種 を確 認 した。1982年 調 査 で は 、未 同 定 の1種 が 記 録 され て い るの み で あ り、種 が 同定 され た初 めて の記 録 とな った 。 比較 的近 年

に定 着 した 可 能 性 も あ り興 味 深 い 。 訪 花 す る個 体 も見 られ て お り、 生 息数 は少 な くな い。

・イ エ バ トシ ラ ミバ エ ーPseudolynchiacanan'erzgisノ笠 原 諸 島初 記 録

海 岸 部 にお い て ア カ オ ネ ッ タイ チ ョウの ひ な に 付 着 して い る もの を採 集 した(図3s、 4i)。1羽 の ひ な に5‑6頭 が付 着 して い る の が確 認 され てお り、複 数 の ひ な に付 着 して い た。

また 、 標 高350mの ス イ ー ピ ン グで も採 取 され て い る。 これ ま で 、 小 笠原 諸 島 に お い て は ミ ゾ ゴイ シ ラ ミバ エ(大 林 ほか 、2004)、 モ ミヤ マ シ ラ ミバ エ(佐 藤 ほ か 、2008)が 記 録 され て い るが 、本 種 の記 録 は初 め て で あ る。 海 鳥 が 非 常 に高 密 度 に生 息 す る南 硫 黄 島 は 、本 種 の よ

うな性 質 を持 つ ハ エ 類 に は恰 好 の 生 息 地 と言 え るだ ろ う。

・ ト リバ ガ 科 の 一 種PterophoridaeGenetsp .南 硫 黄 島 初 記 録 海 岸 部 の ク サ トベ ラ 群 落 の ス イ ー ピ ン グ に よ り得 ら れ た 。

・オ オ ホ シ ミ ミ ヨ トウCondicaillecta南 硫 黄 島 初 記 録 標 高500mの ラ イ ト トラ ッ プ で 採 集 され た 。

・ハ ス モ ン ヨ トウSpodoρteralitUra南 硫 黄 島 初 記録

海 岸 部 か ら山頂 部 まで の ライ ト トラ ップ で採 集 され た。 広 域 に分 布 す る種 で あ り、小 笠 原 群 島 に も多 い 。

・イ チ ジ ク キ ン ウ ワ バChiysodeiXtSeriosoma南 硫 黄 島 初 記 録 山 頂 部 の ラ イ ト トラ ッ プ で 採 集 さ れ た 。

・オ オ ウ ンモ ン クチ バMocisundata南 硫 黄 島初 記 録

標 高500mの ライ ト トラ ップ で 採集 され た 。 ガ類 は これ ま で調 査 が進 ん で い な い分 類 群 で あ った が 、島 内 の 生 息数 は 多 く、新 記 録 も多 い 。 これ ま で25種 が記 録 され て い るが 、今 回 の 調 査 で も本 種 の よ うな 大 型 種 を含 めて 新 た に5種 が 追加 され て お り、今 後 も新 知 見 が期 待 さ れ る。

・エ ビガ ラス ズ メ 取 廊 ωηγ0伽〃 南硫 黄 島 初記 録

開 張80‑100mmと な る大 型 の種 で あ る。 標 高500m‑900m(山 頂 部)で ライ ト トラ ップ に多 数 飛 来 した ほか 、 ノ アサ ガオ の葉 を摂 食 す る幼 虫 も確 認 され 、 世代 を繰 り返 して い る こ とが 確 認 され た 。過 去 の調 査 の ライ ト トラ ップ で は記 録 され て い なか った が 、今 回 は食 草 と して 知 られ て い る ヒル ガ オ 類 が 各 所 に繁 茂 して い た こ とか ら、近年 に な っ て飛 来 し定着 に成 功 した 可 能 性 が あ る。な お 本 種 は4‑6で 述 べ る とお り、広 域 に 分 散 す る こ とが 知 られ て お り、

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小 笠 原 群 島 を含 めた 日本 全 国 、 ま た 旧北 区、 東 洋 区、 エ チ オ ピア 区 で記 録 され て い る。

3‑3.特 筆 す べ き昆 虫類

この 調 査 にお い て は イ ンベ ン トリー と して の 調 査 の み で は な く、各 種 の 生態 、標 高 に よる 変 異 等 の知 見 を収集 す る こ と に も努 めた 。下 記 に は 特筆 す べ き種 に つ い て 取 り上 げ て記 載 し た 。

・カ ネ タ タ キ属 の1種Omebiussp .

オ ガ サ ワ ラカ ネ タ タキOmebiuslongepesに 近似 す るが 、交 尾 器 に相 違 が 見 い だ され 、未 記 載 種 と考 え られ る(石 川 、私 信)。 他 地 域 のオ ガ サ ワ ラカ ネ タ タ キ と同様 の褐 色 型 の ほか 、全 身 が 赤 色 とな る色 彩 型 が 確 認 され た(図4a,b)赤 色 型 は 複 数 の 地 点 で 褐 色型 同 程 度 に 多 く観 察 され て い る。 山崎(1983)で は こ の属 の種 と して2種 を記 録 して お り、低 標 高 か ら得 られ た も の と高 標 高 か ら得 られ た もの を別 種 と して い るが 、今 回 と同様 の色 彩 型 に よる もの で あ るか は不 明で あ る。今 回確 認 で きた 個 体 数 は 多 くは な か っ た た め2つ の 色 彩 型 の標 高 に よ る 分 布 の違 い な ど は見 出す こ とが で きな か った が 、今 後 、分 類 学 的 な 検 討 と、 生態 的 な相 違 に つ い て の調 査 が 必 要 で あ る。

・キ ジ ラ ミ属 の 一 種 一Psyllasp.

1982年 の調 査 で初 め て確 認 され た種 で、南 硫 黄 島 固有 種 と考 え られ て い るが(宮 武 、1983)、

現 在 まで 未 記 載 で あ る。1982年 は海 岸 部 か ら山頂 まで 、2007年 は標 高700mか ら山 頂 部 、 今 回 は 山頂 部 で 多 数確 認 され た 。

・ トガ リキ ジ ラ ミ科 の 一 種TriozidaeGen .etsp.

上 記 と同様 に1982年 調 査 で得 られ て お り、南硫 黄 島 固有 属 種 と考 え られ て い る が(宮 武 、 1983)、 現 在 ま で未 記 載 で あ る。生 息 範 囲 は1982年 に は海 岸 部 か ら山頂 ま で 、2007年 は標 高 700mか ら山頂 、今 回 は 山頂 部 で 確 認 され た 。

・ヒ メ カ ゲ ロ ウ の1種Hermerobii(iaeGenetsp .

標 高200‑300mの ス イ ー ピ ン グ で 得 られ た 。佐 藤(1983)の 種 と 同 一 か 検 討 が 必 要 で あ る。

・ク サ カ ゲ ロ ウ の1種C腕8qρ αsp .

山 頂 部 の ス イ ー ピ ン グ で 得 ら れ た 。 佐 藤(1983)の 種 と 同 一 か 検 討 が 必 要 で あ る。

・コル リエ ンマ ム シSaprinus(yaneusaun'collts

山頂 部 の ライ ト ・カイ ロモ ン トラ ップ に多 数 飛 来 した ほか 、 同 地域 の樹 上 ス イ ー ピン グ で も得 られ た 。 繁 殖 に重 要 な 資源 と考 え られ る鳥類 の 死骸 は2007年 調 査 時 の ほ うが 豊 富 だ っ た もの の 、 当時 は確 認 され な か った。

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・オ ガ サ ワ ラ ツ ヤ ケ シ コ メ ツ キMegaρenthesmala'harai

海 岸 部 か ら 山 頂 部 ま で 広 く 生 息 が 確 認 さ れ た 。2007年 調 査 時 は 標 高500m以 上 か ら の み で あ っ た 。

・ツ ツ キ ノ コ ム シ科 の1種CiidaeGenetsp .

サ ル ノ コ シカ ケ 類 の 同一 の キ ノ コか ら異 な る3種 が 得 られ て い る。1982年 調 査 時 の未 同 定 種 と合 致 す るか 比 較 検 討 が 必 要 で あ る。

・ミナ ミイ オ ウ トラカ ミキ リChloroρhorusminamiiwominamiiwo

本 種 は過 去2回 の調 査 に お い て 、 山頂 付 近 の ガ ク ア ジ サ イ に飛 来す る こ とが確 認 され て お り、山頂 部 に 限 定 的 に 生 恩す る 可能 性 が指 摘 され て い た(佐 藤 、1983;苅 部 ・松 本 、2008)。

今 回 の調 査 中 もガ クア ジサ イ の 開 花 期 とな り、 山頂 部 で は多 数 の個 体 が 確 認 され た ほか(図 4d)、 周 囲 の コブ ガ シ の葉 な どの ビー テ ィ ング 等 で も得 られ た。 一 方 、海 岸 に 近 い 森 林(標 高40m)の カ イ ロモ ン トラ ップ で も確 認 され た。 海 岸 林 で は ホ ソバ ヤ ロー ドが 開 花 して い た た め、 これ に誘 引 され て い た 可 能性 が あ る。 ま た 、中腹(370m)の コブ ガ シ の倒 木 へ飛 来 し た 個 体 で は産 卵 を確 認 した 。本 種 の食 樹 の確 認 は初 め て とな る。 カ ミキ リム シ は 一般 的 に産 卵 木 や 樹 木 の 開 花 の 有 無 に依 存 して確 認 され る頻 度 が 変化 す る こ と、飛 翔性 昆 虫 は 上昇 気 流 に よ って 山頂 へ 吹 き上 げ られ や す い こ とか ら、生 息適 地 と採 集 場 所 は必 ず し も一 致す る もの で は ない が 、本 種 は雲 霧 林 に 限 らず 、幅 広 い 標 高 域 に飛 来 す る可 能 性 は 示 され た 。 島 内 に は チ ギ、 セ ンダ ン、オ オ バ シマ ム ラサ キ な ども分 布 して い るた め、 これ らの 開花 期 に は 島 内全 域 に分 散 して 花 粉 媒 介 者 と して の役 割 を担 っ て い る可 能性 が あ る。

・ル リナ ガ スネ トビハ ム シPsylliodesbreM'nghami

外 来植 物 のイ ヌ ホ オ ズ キ を食 草 とす る外 来 昆 虫 で あ る。2007年 調 査 時 と同様 に、 山頂 部 のイ ヌ ホ オ ズ キ葉 上 に静 止 す る個 体 を確 認 した。

・ア リモ ドキ ゾ ウ ム シ(」

,yl(xs.fi)mzicarius

低 地 か ら山頂 部 ま で 広 く確 認 され た 。 本 種 は 生 息 して い れ ば採 集 や 識 別 は容 易 で あ るが 、 過 去 の記 録 は1982年 の調 査 で1頭 の み で 、2007年 に は確 認 され て い ない 。2007年 調 査 時 に

は踏 査 ル ー ト沿 い に見 られ な か った ノア サ ガ オ 等 の食 草 が 各所 で繁 茂 して い た こ とが 、定着 に 関連 して い る可 能 性 が あ る。

・ミナ ミイ オ ウ ヒ メカ タ ゾ ウム シSatozominamiiwoensis

後 翅 が 退 化 し、分 散 は 歩行 の み に よ る(図3q)。 この 性質 を持 つ 近 縁 の オ ガ サ ワ ラ ヒメ カ タ ゾ ウ ム シ属 で は多 くの 種 に分 化 して お り(Mo血lotoetal,2015)、 適応 放 散 の 事 例 と推 測 さ れ て い る。1982年 の調 査 時 に は標 高150mか ら山頂 ま で多 数 確 認 され てい た が(佐 藤 、1983)、

2007年 の調 査 で は前 回 の調 査 で は標 高350m以 上 の地 域 に 限 られ 、個 体 数 も少 な か っ た(苅 部 ・松 本 、2008)。 今 回 の調 査 で は標 高200m以 上 の 地域 か ら発 見 され て お り、確 認 され た個

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体 数 も多 か った こ とか ら、35年 前 と ほぼ 同様 の 生 息 状 況 と考 え られ た。2007年 調 査 時 は 台 風 の影 響 を受 けて 生 息 数 が 一 時 的 に減 って い た もの と考 え られ る。 佐藤(1983)で は ナ ンバ ンカ ラ ム シ の葉 上 に見 られ た こ とが 記 録 され て お り、成 虫 は実 際 に こ の葉 を摂 食 す る。食 餌 植 物 は こ の ほか 、 フ ヨ ウ、 イ オ ウ トウキイ チ ゴ、 ノ アサ ガ オ 、 コブ ガ シ、 ガ クア ジ サ イ 、 ト

キ ワイ ヌ ビ ワで も多 種 に渡 る こ とが確 認 され た(図4e,f,g)。 特 に 山頂 部 北斜 面 の トキ ワイ ヌ ビ ワ の食 害 は激 しく、1枚 の葉 に20頭 以 上 が 群 が り、枝 部 ま で 謁 られ て い る こ と もあ っ た 。 また 、 本 種 の 垂 直 分布 に は顕 著 な 偏 りが 見 られ て お り興 味深 い。 詳 細 は4‑3で 述 べ る。

な お 、山頂 で 使 用 した テ ン トを海岸 で 梱 包 す る際 に 目視 確 認 した と ころ 、ミナ ミイ オ ウ ヒ メカ タ ゾ ウ ム シが5頭 発 見 され た 。上 記 の よ うな 低 い 分 散 力 か ら島 内 に お け る分化 が 見 られ る可 能 性 が あ る一 方 で 、付 着 能 力 の高 さか ら物 資 に混 入 す る可 能 性 が 高 い た め、今 後 の調 査 時 に も人 為 擁 乱 を起 こ さな い よ うな 注 意 が 必 要 で あ る。

・ミナ ミイ オ ウス ジ ヒ メカ タ ゾ ウム シTorishimazominamiiwoerzgis

l981年 に 日本 シ ダ の会 が実 施 した 調 査 で1頭 の み 採集 され て お り、森 本 ほ か(2015)に よ り新 種 と して 記 載 され た(図3p)。 標 本 には 採 集 日以 外 の 晴報 が な く、 過 去2回 の調 査 で も発 見 され なか った が 、 今 回標 高680m付 近 の コブ ガ シの 枯 れ 葉 の ビー テ ィ ン グ に よ り1頭 のみ 得 られ た 。近 縁 種 で あ り北 硫 黄 島 に生 息 す る キ タイ オ ウス ジ ヒメカ タ ゾ ウ ム シ は、 オ ガ サ ワ ラモ クマ オ か ら採集 され るが 、 この種 は南 硫 黄 島 に分 布 しない た め、 近縁 の ナ ンバ ン カ ラ ム シ に注 目 して 調 査 した が 、 前 回 、今 回 と も確 認 で き な か った 。 ま た 、 小 笠原 群 島 に 生 息 す る ス ジ ヒ メカ タ ゾ ウ ム シ は海岸 部 の クサ トベ ラ に生 息 す る こ とが 多 い た め 、 これ ら も調 査 した が 、発 見す る こ とは で き な か っ た。 ス ジ ヒメカ タ ゾ ウ ム シの 中で も、食 性 や 生態 が異 な る可 能 性 が あ る。

・ミナ ミイ オ ウ ムネ ボ ソア リTemnothorCtmela'ra

2007年 の調 査 にお い て初 めて 採 集 され 、南 硫 黄 島 の 固 有 種 と して 記 載 され た(Terayamaet al.,2011)。前 回 調 査 時 は 働 きア リの み の 確 認 で あ った が 、 今 回 の 調 査 で は 山頂 部 の ス ス キ 群 落 にお い て 、 コ ロニ ー を発 見 した。 ス ス キ の枯 死 した 茎 部 内部 に営 巣 して お り、 コ ロニ ー の 全 貌 で は なか った もの の働 きア リ、幼 虫 、繁 殖 虫 を計100頭 程 度 確 認 した 。母 島 に お い て は 近 縁 種 で 小 笠 原 群 島 固有 の オ ガ サ ワ ラム ネ ボ ソア リの 営 巣 を確 認 して い るが 、朽 木 の樹 皮 下 で あ り、 これ とは 異 な っ て い た(小 松 ほ か 、2012)。 ど ち らも1事 例 の み で あ るた め、今 後 の 追 加 調 査 が 望 まれ る。 巣 内か らは 女 王5頭 、 雄3頭 も発 見 され た(図6)ほ か 、標 高800‑

900mの ス ス キ上 か ら も雄 が採 集 され た 。 巣 外 で活 動 す る個 体 も記 録 され た こ とか らこ の 時 期 に結 婚 飛 行 が 行 わ れ る よ うで あ る。発 見 され た雄(n〒6)に は全 て翅 が な か っ た。ム ネ ボ ソ ア リ属Temnothorexで は 無 翅 の 雄 が 記 録 され た の は 世 界 で他 に1例 しか 知 られ て お らず (Espadaler,1997)、 非 常 に珍 しい 事 例 で あ る。 羽 化 後 に翅 を抜 く行 動 をす るア リも知 られ て い るた め精 査 が 必 要 で あ るが 、少 な く と も飛 翔 分 散 をせ ず 、 歩行 に よ る分散 に 特 化 した雄 が 生 息 して い る こ と は興 味 深 い 。

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・イ オ ウ ヨツボ シオ オ ア リCamρonotusiwoensis

2007年 の調 査 にお い て 初 めて 採 集 され 、南 硫 黄 島 の 固 有 種 と して 記 載 され た(Terayamaet al.,2011)。 前 回 調 査 時 は働 きア リの み の確 認 で あ った が 、 今 回 の 調 査 で は標 高Omの 海 岸 か

ら山頂900mま で の 広 い 範 囲 で 飛 翔 す る女 王 ア リ、 雄 ア リを確 認 して お り、 この 日寺期 に結 婚 飛 行 をす る こ と を確 認 した 。 ま た 、標 高500m付 近 で は コブ ガ シ の 立枯 れ枝 内 を掘 削 して 営 巣 して い た(図4c)。 結 婚 飛 行 の 時 期 、 営 巣 基 質 共 に、 小 笠 原 群 島 に 生 息 す る近 縁 種 の オ ガ サ ワ ラオ オ ア リの 性 質 に類 似 す る。

・アサ ヒナ ハ キ リバ チMegachileasahinai

山頂 近 くで 花 に飛 来 した 個 体 を 目撃 した 。2007年 調 査 で は海 岸 部 で多 く確 認 され た が 、今 回 は十 分 な調 査 を実 施 で きて い な い た め、 生 息 して い た か ど うか は 不 明 で あ る。

・オ ガ サ ワ ラ ツヤ ハ ナ バ チCeratinahoninensis

海 岸 部 か ら山頂 まで 広 く確 認 され た が 、個 体 数 は 少 な か っ た 。標 高300‑400mの ナ ンカ イ ウ スベ ニ ニ ガ ナ の 開 花株 に は比 較 的 高 い 頻 度 で飛 来 して い た。

・オ ガ サ ワ ラハ ラナ ガ ハ ナ ア ブXylotaboninenstS

父 島 ・母 島の1960年 代 の記 録 のみ で絶 滅 の心 配 も され て い た 種 で あ った が 、2007年 調 査 時 に 山頂 部 のカ イ ロモ ン トラ ップ で1頭 確 認 され て い た。 今 回 は 山 頂 部 の ガ ク ア ジ サ イ に飛 来 す る個 体 が複 数 確 認 され 、 唯 一 の現 存 産 地 と して維 持 され て い る こ とが 明 らか とな った 。 小 笠 原 群 島 の昆 虫類 が グ リー ンア ノー ル の影 響 で 姿 を消 す な か 、南硫 黄 島 が レフ ユ ー ジ ア と

して機 能 して い る顕 著 な 事 例 で あ る。

・ヒ ロ ズ キ ンバ エLuciliasen'cata

今 回 の調 査 で 得 られ た キ ンバ エ 類 の優 占種 は ヒ ロズ キ ンバ エ で あ っ た。1982年 調 査 で は腐 肉 トラ ップ で 得 られ た ほ とん どの ハ エ 類 が オ ガ サ ワ ラキ ンバ エ で あ っ た が(倉 橋 、1983)、今 回 は全 く確 認 され て い な い 。35年 間 に優 占種 の置 換 が生 じて い る可 能 性 が あ る。

4.考

4‑1.過 去 の 調 査 との 比 較

南 硫 黄 島 は 原 生 自然 環 境 保 全 地 域 に 指 定 され 、入 島 が厳 し く制 限 され て い るた め 、島 内 の 生 物 に 関す る情 報 が 乏 しい 。一 方 で 今 回 を含 め て3回 の 調 査 を 同様 のル ー トで 実施 した こ と に よ り、南 硫 黄 島 にお け る生 物 相 の時 間的 変 化 を考 察 す る に値 す る情 報 の 収 集 が で きた 。 昆 虫類 の調 査 報 告 で は 過 去2回 と もに 同 定 が 困難 で科 の記 述 ま で に と どま っ てい る こ と も多 く、今 回 の調 査 に お い て も、各 分 類 群 の専 門家 に よ る 同定 、 角斬 中の もの が 多 い 。現 時 点 で は正 確 な比 較 はで きな い もの の 、 同一 調 査 者 が2度 山頂 部 ま で踏 査 した こ とを踏 ま え、 下記 に傾 向 を述 べ る。

まず 、植 生 が 単 純 な 南 硫 黄 で は 、大 型 台 風 な ど天候 の撹 乱影 響 を 強 く受 け る こ とが挙 げ ら

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れ る。3回 の調 査 を比 較 す る と、2007年 調 査 は 直 前 の 台 風 の影 響 を 受 け て 多 くの植 物 が衰 弱 また は枯 死 して い た こ と に よ り、そ れ に 呼応 す る よ うに 昆 虫類 も一 時 的 に減 少 して い た と考 え られ る。例 えば ミナ ミイ オ ウ ヒメ カ タ ゾ ウム シ で は 、1982年 に は150m‑900mに 渡 り多 産 した とされ た が 、2007年 に は350m以 上 で しか 観 察 され ず 、山 頂 以外 で は少 数 の確 認 に と ど ま った 。 一 方 、 今 回 の 調 査 で は 再 び200m付 近 か ら上 方 で発 見 され 、 主 な食 餌 植 物 で あ るナ ンバ ンカ ラ ム シの 生 育 状 況 も よか った こ とが 関連 して か 、標 高500m以 上 で は パ ッチ 状 に 高 密 度 の生 息 地 が 見 られ た 。 山頂 部 の ガ クア ジ サ イ は2007年 調 査 時 に は わ ず か に 開花 す る程 度 で あ った が 、今 回 は多 くの株 で 開花 してお り、そ れ に合 わせ る よ うに 前 回 は ミナ ミイ オ ウ

トラカ ミキ リが10頭 未 満 の確 認 だ っ た もの の 、今 回 は1株 に5‑6頭 集 ま る こ と も珍 し くな く、40頭 以 上 を確 認 した 。 前 回1頭 の み の確 認 に と どま っ た オ ガ サ ワ ラハ ラナ ガ ハ ナ ア ブ も、 今 回 はガ クア ジサ イ に訪 花 す る個 体 が複 数 見 られ た。

ま た 、南 硫 黄 島 の 特 徴 の1つ で あ る急 斜 面 の 崩壊 が もた らす撹 乱 影響 に よ り、侵 入 と絶 滅 を繰 り返 して い る種 が 存 在 す る可 能 陸が 挙 げ られ る。1982年 調 査 で イ オ ウス ナ ゴ ミム シ ダ マ シや マ ツ ム ラカ ミキ リモ ドキが 発 見 され た と考 え られ る砂 礫 地(か つ て の海 岸 べ 一 ス キ ャ ン プ 地)は2007年 に は崩 壊 地 とな って い た ほか 、今 回 の調 査 で も コル(標 高500m)周 辺 の崩 壊 が 拡 大 した 。頻 繁 な崩 壊 に よ り、そ れ ま で に あ っ た 環境 に 定着 して い た 昆 虫類 が絶 滅 や 激 減 す る こ とが あ る一 方 で 、4‑6で 述 べ る通 り、植 生 の 変 化 に伴 い 、新 た な 昆 虫類 の 定着 も起 きて い る可 能 性 が あ る。崩壊 地 で 増加 した ナ ンカ イ ウスベ ニ ニ ガ ナ の群 落 に は オ ガ サ ワラ ツ ヤ ハ ナ バ チ も多 数 訪 花 して お り、 こ う した 一 時 的 な パ ッチ に よっ て も昆 虫類 が 育 まれ て い る。

上 記 の よ うな 変 化 か ら、南 硫 黄 島 の 昆 虫 類 は そ の 急峻 な 地形 的 特徴 や 単 純 な植 生 か ら、可 逆 的 な撹 乱 、 不 可 逆 的 な撹 乱 を頻 繁 に受 け 、生 息 密 度 、 分 布 域 が 変 遷 して お り、 一部 で は絶 滅 、 侵 入 も繰 り返 され て い る こ とが伺 え る。 この 変遷 に関 して は 、今 後 も同 定解 析 を進 め、

定 量 的 な評 価 を行 うこ と に よ り、 よ り詳 細 な 特 徴 を明 らか にす る予 定 で あ る。

4‑2.種 構 成 の 偏 り

3回 に 渡 り、で き る限 りの 採 集 手 法 を用 い た 調 査 を実施 した こ とに よ り、調 査 時 期 、調 査 日数 、調 査 ル ー ト、調 査 員 が 限 られ た こ とに よ る不 足 も あ るが 、 南硫 黄 島 に お け る 昆 虫相 の 概 要 を把 握 す る こ と はで きた と考 え られ る。 これ ま で に記 録 され た 昆 虫類 を整 理 す る と、南 硫 黄 島 にお け る昆 虫群 集 の 特 殊 な 種 構戒 が 見 られ る。

最 も顕 著 な の は 、環 境 の 多樹 生が 低 い こ とに よ る種 の偏 りで あ る。南硫 黄 島 に は安 定 した 淡 水 環 境 は皆 無 で あ る と考 え られ 、水 生 昆 虫 が分 布 しな い。 ア メ ンボ 科 、 ゲ ン ゴ ロ ウ科 、 力 亜 目等 、淡 水 に依 存 す る昆 虫 は見 られ な い ほ か、 トンボ 目 も過 去 に ウスバ キ トン ボ の飛 来 が 確 認 され た の み で あ る。淡 水 環 境 の よ うに欠 損 した生 息 環 境 と して は安 定 した 裸 地 、荒 原植 生 、砂 浜 が挙 げ られ る。 急 峻 な地 形 か ら頻 繁 に崩 壊 地 や 露 岩 地 は 形 成 され るが 、 土壌 は安 定 せ ず 、 兄 島や 智 島 に 見 られ る よ うな安 定 した裸 地 、荒 原 植 生 は ない 。 ま た 、海 岸 部 は礫 浜 が 主 体 で あ り、急 峻 な岸 壁 の ま ま海 に落 ち込 む とこ ろ も あ る。この こ とか ら、裸 地 、荒 原 植 生 、 砂 浜 に営 巣 す るオ ガ サ ワ ラス ナ ハ キバ チ 、オ ガ サ ワ ラハ ン ミ ョ ウも不 在 で あ る。バ ッタ 目の 昆 虫 は小 笠 原 群 島 か ら多 くの 種 が 記 録 され て い るが 、南硫 黄 島 に お い て は森 林 性 の カネ タ タ

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