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観光振興 と地域経済 に関す る一考 察

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観光振興 と地域経済 に関す る一考 察

山 本 充

は じ め に

北 海 道 が 観 光 立 国 を宣 言 して か ら10年 以 上 を経 過 した 。 この 間,バ ブ ル 経 済 の崩 壊 や 北 海 道 拓 殖 銀 行 の 破 綻 な ど北 海 道 経 済 は 現 在 非 常 に厳 し い 状 況 に あ る。 リ ゾー ト開発 に期 待 をか け た過 疎 地 域 で は,リ ゾ ー ト施 設 の 閉鎖 に よ る影 響 もあ り,地 域 経 済 の再 生 が 深 刻 な 課 題 とな っ て い る。

しか し なが ら,自 治体 な どの行 政 組 織 に お け る観 光 に対 す る 意 識 や 考 え 方 が, 10余 年 前 と大 き く変 革 して い る とは 感 じ られ な い 。 広 大 な 土 地 に散 在 す る観 光 資 源 を 渡 り歩 くバ ス や 自家 用 車 を停 め る た め の 施 設 や利 用 者 不 在 の観 光 施 設 の 建 設 な ど,地 域 の 雇 用 創 出 や 経 済 の 拡 大 再 生 産 に資 す る こ とが で きて い な い事 業 が今 なお 多 く見 受 け られ る。

観 光 振 興 は,地 域 経 済 活 性 化 の た め の1つ の 方 策 で あ り,そ の 目的 は地 域 住 民 の 生 活 質 の 向 上 で あ る に も関 わ らず,観 光 客 の 増 加 が 目的 化 さ れ,地 元 で消 費 さ れ た お 金 は 地 域 外 企 業 に よ り地 域 外 へ 流 出 し,富 の 蓄積 が ま ま な らず,生 活 質 の 向 上 が 図 られ な い で い る。 本 稿 は,こ の よ う な 問 題 意 識 を観 光 振 興 政 策 に反 映 させ る た め 内発 的 発 展 論 に基 づ い た観 光 振 興 の考 え 方 につ い て 考 察 を行 う。

〔213〕

(2)

ls過 疎 と地 域 開発

北 海 道 の 過 疎 地 域 市 町村 数 は,平 成11年4月1日 現 在155市 町 村 で あ り,道 内 全 市 町村 の73.1%を 占め,大 分 県 の77.6%に 次 い で 全 国 第2位 と な っ て い る。

平 成7年 国勢 調 査 人 口 に よ る道 内 過 疎 地 域 の 人 口 は1,024,892人 で あ り,そ の 数 は 全 国 第1位 で あ る が,各 都 道 府 県 の総 人 口 に対 す る比 率 で は18%で 第9位

とな っ て い る 。昭和35年 国調 人 口 に よる 同 比 率 は42.4%(総 人 口5,039,206人, 過 疎 地 域 人 口2,136,306人)で あ った が,そ の 後 も減 少 しつ づ け て い る。一 方, 総 人 口 は 増 加 し平 成7年 に は5,692,321人 とな っ て お り,北 海 道 全 体 で は 人 口 増 加 で あ っ た が,過 疎 地 域 で は 人 口 流 出が 進 ん で い た の で あ る。

図1に は,北 海 道 の 人 口 分 布 の ロー レ ンツ 曲 線 を示 した 。 こ の 図 か ら も明 ら か な よ う に,道 内 の 人 口 分 布 は不 均 等 度 を増 して お り,札 幌 市 を 中心 市 とす る 札 幌 大 都 市 圏へ の 人 口集 中 が 窺 わ れ る。 大 都 市 へ の 人 口 集 中 は,経 済 ・文 化 ・ 政 治 な どの 機 能 の 集 中 と地 方(特 に郡 部)に お け る過 疎 化 を反 映 して お り,労 働 力 の 流 出 と高 齢 化 が 地 方 の 産 業 基 盤 を動 揺 し,地 域 経 済 全 体 を衰 退 させ る こ

loose 人 口90%

80%

70%

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一 昭和35年 一 ・平成2年 一 平成7年

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地 積

図1北 海道 の 人 ロ分 布 の ロー レン ツ曲線

(3)

観 光振 興 と地域 経済 に関す る一考 察 215 と とな っ て い る。 この た め,地 方 に お い て は地 域 経 済 の再 生 と人 口流 出 を抑 制 す る た め に新 た な 産 業 基 盤 を構 築 す る こ とが 緊要 か つ 急 務 とな って い る 。

この よ う な状 況 下 で,1980年 代 中 ご ろ か ら リゾ ー ト開 発 が 注 目 され,1987年 の リ ゾ ー ト法(総 合 保 養 地 域 整 備 法)の 成 立 に よ り全 国 的 に リ ゾー ト開発 計 画 が 林 立 した 。 この 地 方 の リ ゾ ー ト開発 へ の期 待 に つ い て 東 徹1)は,「 リ ゾ ー ト 産 業 は,経 済 の ソ フ ト化 ・サ ー ビス 化 の 潮 流 に合 致 し,有 望 な余 暇 市 場 の見 通

しか ら,多 くの 企 業 が 参 入 を狙 っ て お り,政 策 的 に も推 進 す る動 きが み られ た こ と に加 え,何 よ り も 自然 環 境 な ど地 域 の 優 位 性 が 発 揮 し得 る こ とか ら,企 業 誘 致 の 可 能性 が 大 きい と考 え られ た か らで あ る。」 と し,「 リゾ ー ト開発 は,楽 観 的 な見 方 をす れ ば,過 疎 を む し ろ逆 手 に と り,地 域 の 優 位 性 と し て こ れ を 生 か す こ とが で き る産 業 で あ り,し か も,雇 用 の み な らず,農 業,商 工 業 な ど地 域 産 業 へ の 波 及 も期 待 され る こ とか ら,新 た な地 域 の 産 業 基 盤 を 形 成 す る とい う意 味 で絶 好 の 機 会 と も い え る が,悲 観 的 にみ れ ば,過 疎 化 が進 む な か で,農 林 水 産 業 の不 振 と先 行 き不 安,重 厚 長 大 型 産 業 の構 造 不 況,人 口 減 少 に伴 う第 三 次 産 業 の不 振 な どに よ っ て地 域 の産 業 基 盤 が 衰 退 して ゆ くな か で,地 域 に 残 され た 数 少 な い 選 択 肢 で あ り,地 域 振 興 の た め の最 後 の 頼 み の綱 と し て リゾ ー ト開 発 に活 路 を求 め た。」 と して い る。 さ らに東 は,リ ゾー ト法 お よび 四全 総 の も と全 国 的 規 模 で リ ゾ ー ト開 発 が 顕 在 化 した背 景 に は,「多 くの 地 域 の 政 治, 行 政 の な か に,中 央 の 政 策 依 存,外 来 型 開 発 へ の依 存 体 質 と と も に,そ れ ら政 策 に乗 り遅 れ ま い とす る思 考 パ タ ー ンが 定 着 して い た こ と」2)が あ る と も指 摘 し,選 択 肢 が 少 な い 地 域 で は 当 然 の成 り行 き と して い る。 この よ う な 中央 の 政 策 依 存,外 来 型 開発 へ の 依 存 体 質 が,未 だ 地 方 に根 強 く残 っ て い る感 は否 め な い 。 諸 機 能 の 首 都 圏へ の 集 中 を緩 和 し,地 方 へ 権 限 を委 譲 す る動 き は見 られ る もの の,そ の 動 きは 緩 慢 で あ り,人 ロ流 出,産 業 基 盤 の 脆 弱 化,財 政 力 の低 下 が み られ る過 疎 地 域 で は地 域 経 済 の活 性 化 は最 重 要 課 題 で あ り,こ の よ うな 体

1)リ ゾ ー ト ・環 境 問 題 研 究 会 編 『 観 光 立 国 か らの 問 題 提 起 』 青 山 社,1993年,17頁 参 照 。

2)同 上 。

(4)

質 を改 善 す る こ とが 困 難 な状 況 に あ る。

山 崎 充3)は,地 域 産 業 政 策 の 定 石 と して 「まず 進 むべ き基 本 的 な方 向(目 標) を 設 定 し,こ れ を実 現 す べ き政 策 手段 の基 本 と して 産 業 の 面 で,① 進 出企 業 の 活 発 な生 産 活 動 の 促 進,② 地 場 産 業 の 活 性 化,③ 新 産 業 の 創 出 の 三 つ を考 え,

これ が ス ム ー ズ に進 展 す る よ うに 工 業 高 度 化 基 盤 の整 備 を行 っ て い く。」と し, 地 場 企 業 の活 性 化 や 新 産 業 の 創 出 に よ る地 域 経 済 の産 業構 造 の高 度 化 が 望 ま し い と しなが ら も,そ れ だ け で は力 不 足 と して 企 業 誘 致 も加 え る必 要 が あ る と し て い る。

一 方 ,企 業 誘 致 す な わ ち外 来 型 開 発(exogenousdevelopment)に よ る 地 域 開 発 に は次 の よ う な 欠 陥 が 指 摘 され て い る4)。

(i)誘 致 ・進 出 した企 業 の 経 営 方針 は,企 業 系 列 の利 益 を優 先 し,系 列 内取 引 と な り地 元 産 業 ・企 業 と の 産 業 連 関 を構 成 しに くい 。

(li)誘 致 ・進 出 した 企 業 の 利 益 は本 社 の あ る大 都 市 な ど当 該 地 域 外 に流 出 し,地 域 経 済 の 拡 大 再 生 産 に ま わ らな い 。

(tii)外 来 型 開 発 の 多 く は 環 境 破 壊 型 で あ り,地 元 企 業 で は な い た め 地 域 環 境 ・雇 用 等 にお い て社 会 的 責 任 を持 つ 度 合 い が 低 い た め,地 域 の 持 続 的 な 発 展 を 阻害 す る危 険性 が 大 きい 。

㈹ 地 方 自治体 は産 業 基 盤 を整 備 す る こ とは で きて も,進 出や 撤 退,操 業 等 の 意 思 決 定 は民 問企 業 で あ る た め,地 域 の 意 思 で計 画 的 な経 済振 興 を行 う

こ とが 困難 。

この よ う な 欠 陥 を克 服 す る 開発 論 と して,後 述 す る宮 本 憲 一5)や 鶴 見 和 子6) が 提 唱 す る 内 発 的 発 展 論7)が あ る。 内 発 的 発 展 は,上 述 した 山 崎 の 地 域 産 業 政 策 の 定 石 の② と③ を基 本 とす る もの で,既 存 の 地 場 産 業 ・企 業 を 時代 に合 わ

3)山 崎 充 『 地 域 経 済 活 性 化 の 道 』 有 斐 閣,1984年,198頁 参 照 。

4)宮 本 憲 一 ・横 田 茂 ・中 村 剛 治 郎 編 『地 域 経 済 学 』有 斐 閣,1990年,336‑337頁 参 照 。 5)宮 本 憲 一 『環 境 経 済 学 』 岩 波 書 店,1989年,273‑311頁 参 照 。

6)鶴 見 和 子 ・川 田侃 編 『内 発 的 発 展 論 』 東 京 大 学 出版 会,1989年 。

7)山 崎 充 は 「内 発 的 な 地 域 経 済 振 興 」 とい う表 現 を前 掲 書3で 使 用 し て い る 。

(5)

観 光振 興 と地域 経済 に関す る一考 察 217 せ て再 設 計 し,育 成 ・振 興 を 図 り,不 足 す る分 野 や 経 済 力 を補 うた め異 業 種 交 流 や 技 術 ・知 識 の 融 合 に よ り新 産 業 の創 出 ・育 成 を図 る もの で あ り,企 業 誘 致 は あ くま で 内発 的 発 展(endogenousdevelopment)を 補 完 す る も の と した 位 置 付 け の 考 え方 で あ る。 地 域 資 源 を活 用 し,地 域 の 主 体 性 と 自律 性 の も と共 同 性 を拡 大 す る もの で あ る8)。

こ れ まで の 地 域 振 興 策 は,こ の よ うな 考 え方 とは 逆 ま た は外 来 型 開発 と内 発 的発 展 を 同 等 に進 め る も の で あ り,と りわ けバ ブ ル 期 に代 表 され る北 海 道 の 観 光 リ ゾ ー ト開 発 は,ゴ ル フ場 ・ス キ ー場 ・ホ テ ル の3点 セ ッ トに よ る外 来 型 開 発 の 典 型 で あ っ た。 また,観 光 計 画 策 定 も デベ ロ ッパ ー や シ ンク タ ンク に依 存 した 地 元 不 在 ・利 用 者 不 在 ・没 個 性 的 な もの とな っ て い た9)。 さ ら に,集 客 に つ い て も多 くが 旅 行 会社 のパ ッケ ー ジ ・ツ ア ー に依 存 した 団体 旅 行 誘 致 型 の 集 客 で あ っ た 。 こ の よ う な集 客 に 依 存 して い る と,旅 行 会 社 の 設 定 す る低 価 格 の 旅 行 費 用 の た め,地 域 で も低 料 金 の サ ー ビス 提 供 を 余 儀 な く され,よ り多 くの 観 光 客 を誘 致 せ ざ る を得 な くな って い る10)。

2、 内 発 的 発 展 論

地 域 経 済 の 振 興 は,富 の流 出 を抑 止 し,流 入 の増 大 を図 り,地 域 の 所 得 水 準 を 高 め る こ と,所 得 分 配 の公 平 性 の 保 持,雇 用 機 会 の 拡 大,お よび 環 境 と資 源 の保 全 を 図 る こ とが 重 要 な課 題 で あ る。 特 に,高 齢 化 した 過 疎 地 域 で は後 継 者 や 若 者 の地 域 内 で の 雇 用 ・就 業 方 策 が,地 域 社 会 の 存 続 の た め に 重 要 な経 済 政 策 課 題 とな っ て い る 。 こ こ で重 要 な こ とは,経 済 政 策 の 目標 は所 得 水 準 の 向 上

8)保 母 武 彦,前 掲 書4,338頁 参 照 。 9)吉 岡秀 輝,前 掲 書1,225‑226頁 参 照 。

10)北 海 道 経 済 部 『 平 成11年 度 観 光 客 動 態 調 査 報 告 書 』 に よ る と,一 人 あ た りの観 光

消 費 額 は 団 体 旅 行 客 が 最 も少 な くな っ て お り,金 額 も減 少 し て い る 。

(6)

だ け で は な く,総 合 的 な 地 域 住 民 の 「 生 活 の 質 」 の 向上 に あ る こ とで あ る11)。

こ の よ う な 目標 を 実 現 す る た め に は,外 来 型 開発 で は前 述 した よ うな 欠 陥 を 持 つ た め 非 常 に困 難 で あ り,そ の 代 替 的 な 方 法 と して 内 発 的発 展 論 が あ る 。 宮 本 憲 一 に よ れ ば 内発 的 発 展 論 とは,「 地 域 の 企 業 ・組 合 な ど の 団 体 や 個 人 が 自 発 的 な学 習 に よ り計 画 を た て,自 主 的 な技 術 開 発 を も と に して,地 域 の環 境 を 保 全 しつ つ 資 源 を合 理 的 に利 用 し,そ の 文 化 に根 ざ した 経 済 発 展 を しなが ら,

地 方 自治 体 の 手 で 住 民 福 祉 を 向上 させ て い くよ うな 地 域 開 発 」 と定 義 さ れ て い る 。 さ らに宮 本 は,内 発 的 発 展 は 「 外 来 の 資 本 や 技 術 を全 く拒 否 す る もの で は な い 。 地 域 の 企 業 ・労 組 ・協 同組 合 な どの組 織 ・個 人 ・自治 体 を 主 体 と し,そ の 自主 的 な決 定 と努 力 の 上 で あ れ ば,先 進 地 域 の 資 本 や技 術 を補 完 的 に導 入 す る こ と を拒 否 す る も の で は な い 。 」12)と し,以 下 の4つ の 内発 的発 展 の 原 則 を示 して い る。

① 地 域 開発 が 大 企 業 や 政 府 の事 業 と して で な く,地 元 の 技 術 ・産 業 ・文 化 を土 台 に して,地 域 内 の 市 場 を 主 な対 象 と して 地 域 の 住 民 が学 習 し計 画 し 経 営 す る もの で あ る こ と。

② 環 境 保 全 の 枠 の 中 で 開 発 を 考 え,自 然 の 保 全 や 美 しい 街 並 み をつ くる と い う ア メ ニ テ ィー を 中 心 の 目的 と し,福 祉 や 文 化 が 向 上 す る よ う に総 合 さ れ,な に よ りも地 元 住 民 の 人 権 の確 立 を 求 め る総 合 目的 を もつ こ と。

③ 産 業 開発 を 特 定 業 種 に限 定 せ ず 複 雑 な 産 業 部 門 に わ た る よ うに して,付 加 価 値 が あ らゆ る段 階 で 地 元 に 帰 属 す る よ う な地 域 産 業 連 関 を 図 る こ と。

④ 住 民 参 加 の 制 度 を つ く り,自 治 体 が 住 民 の 意 志 を体 して,そ の 計 画 に の る よ う に 資 本 や 土 地 利 用 を規 制 し う る 自 治 権 を もつ こ と。

こ の よ う な 内発 的 発 展 の 先 進 例 と して,宮 本 は 北 海 道 の 池 田 町,小 樽 市 の 小

11)宮 本 憲 一 は,「 生 活 の 質 」 は 少 な く と も(1)所得 水 準,(2)住 宅 や 生 活 環 境 施 設 な ど

社 会 資 本 の 一 人 当 た り の 利 用 可 能 性,(3)環 境 の 一 人 当 た りの 賦 存 度,(4)余 暇 時 間,

(5)年金 そ の他 医 療 ・介 護 の 給 付 の 可 能 性 で 表 さ れ る 老 後 の 安 全 性 の 相 乗 に よ っ て

表 現 さ れ る もの で な け れ ば な ら な い と し て い る 。 前 掲 書5,274‑275頁 参 照 。

12)前 掲 書5,294頁 参 照 。

(7)

観 光振 興 と地域 経 済 に関す る一 考察 2ヱ9 樽 運 河 保 存 運 動13),大 分 県 の 湯 布 院 町 な ど を挙 げ て い る。保 母 武 彦14)は,「 平 和 で あ る こ と,大 企 業 に対 す る規 制,分 権 と地 方 自治 の確 立 は,内 発 的 発 展 の た め の3つ の 条 件 で あ る。 」 と して 内 発 的 発 展 を め ぐ る外 的 な基 礎 条 件 を示 し て い る 。

上 記 の ① と③ に 関 係 す る動 きが,北 海 道 に お け る産 業 ク ラス タ ー の 考 え方 で あ ろ う。 北 海 道 に お け る産 業 ク ラ ス ター 構 想 は,北 海 道 電 力 な ど道 内大 企 業 か ら発 生 した もの で は あ る が,そ の考 え 方 の 基 本 的 姿 勢 は 内 発 的 発 展 の 考 え方 に 共 通 す る部 分 が あ る と考 え られ,大 企 業 の 力 を補 完 的 に利 用 す る 内発 的 発 展 論

に沿 っ た 産 業 ク ラス タ ー の形 成 が 望 まれ る。

こ こで 上 記 ④ の 住 民 参 加 につ い て は 注 意 が 必 要 で あ る 。 な ぜ な ら,現 状 に お い て も多 くの場 面 で 形 式 的 な 住 民 参 加 の 形 態 が と ら れ て い る か らで あ る。 そ れ は 町 内 会 の 役 員 に よ る住 民 参 加 の形 態 で あ る。 そ れ は,非 常 に狭 い地 区 の 地 権 者 や 自営 業 者 で あ っ た り,古 くか らそ の 土 地 に 住 ん で い る 者 で あ っ た りす る こ とが 非 常 に多 く,ま た高 齢 者 で あ る こ と も多 い 。 こ の よ うな 町 内会 役 員 を住 民 代 表 と見 なす こ とが 行 政 組 織 で は一 般 化 して い る。 ほ とん どの 場 合,町 内 会 の 会 長 を は じめ とす る役 員 は,選 挙 な どの 民 主 的 な方 法 で 選 ば れ た住 民 の 代 表 で は な い た め,町 内 会 が 地 域 住 民 の 意 見 を取 りま とめ る こ と は非 常 に 困 難 で あ り, 実 質 的 な住 民 参 加 と は な り得 ず,十 分 な住 民 との 合 意 形 成 が な さ れ な い ま ま公 共 事 業 が 行 わ れ る た め,多 くの 摩 擦 ・対 立 を生 ん で い る 。 しか し,町 内会 組 織 が 不 要 で あ る わ け で は な く,各 種 の行 政 情 報 を 個 々 の世 帯 に 伝 達 す る に は町 内 会 が 有 効 で あ る15)。 こ の 逆 を行 う た め 町 内 会 を利 用 す る 方 法 が 間違 っ て い る の で あ る。 現 状 の 町 内会 組 織 は,情 報 を個 々 の 世 帯 に伝 達 す るた め に 活 用 し,

13)宮 本 は,小 樽 運 河 保 存 運 動 は 親 水 権 に よ る 内 発 的 発 展 の 事 例 と し て お り,「 街 を つ く る の は 政 財 界 人 で は な く,市 民 で あ る と い う こ と を 一 般 に わ か らせ た とい う 点 で は,小 樽 運 河 保 存 運 動 は 歴 史 に残 る 」 と評 価 して い る。

14)保 母 武 彦,前 掲 書4,339‑340頁 参 照 。

15)筆 者 が 英 国 の グ ラ ン ドワ ー ク に 関 す る ヒ ア リ ン グ を バ ー ミ ンガ ム 大 学 の 方 に 行 っ た 際 に,日 本 の 町 内 会 に つ い て 尋 ね た と こ ろ,「行 政 の 末 端 組 織 と認 識 して い る。」

と の 答 えが 返 っ て きた の は,こ の こ と を認 識 さ れ て い た 。

(8)

住 民 参 加 の方 法 は別 の 形 態 を採 らな けれ ば な ら な い こ と を 自治 体 は 強 く認 識 す べ きで あ る。

3.地 域 の 産 業 立地 特 性 一 北 海道後志支庁 管内 を例 として 一

内 発 的 発 展 に よ る地 域 開 発 政 策 を展 開す る に は,地 域 の 産 業 特 性 を把 握 す る 必 要 が あ る。そ こで,地 域 の 経 済 活 動 を地 域 の 経 済 的基 盤 を支 え て い る活 動 と, そ の よ う な活 動 に奉 仕 す る活 動 とに 区 分 し,両 者 が どの よ う な産 業 部 門 で顕 著 で あ り,か つ そ の 活 動 量 は ど の程 度 で あ る か を計 測 す る こ と に よっ て,地 域 の 経 済 活 動 の 特 徴 を 把 握 す る 方 法 で あ る 地 域 経 済 基 盤 ・非 基 盤 分 析(BN分 析) を適 用 す る。

特 定 の 地 域 の 経 済 活 動 は,

① そ の 地 域 にお け る 自己 消 費 分 を除 い た余 剰 分 を そ の 地 域 外 に移 出 す る活 動

② そ の 地 域 に お け る 自己 消 費 分 と して そ の 地 域 の 内 部 需 要 の た め の 活 動

③ そ の 地 域 に お け る 自己 消 費 分 に 対 して対 応 で きず,地 域 外 か ら移 入 す る 活 動

に 区別 す る こ とが で き る 。 この う ち,① は地 域 外 か ら所 得 を も た らす こ と に よ り地 域 の 存 立,発 展 を支 え るが,② は 地 域 の 内 部 で 所 得 の 出 と入 を生 じ させ る だ け で あ り,ま た③ は① とは 逆 に地 域 外 に所 得 を流 出 させ る もの で,い ず れ も そ の地 域 の 存 立 ・発 展 を 直接 可 能 に す る わ け で は な い。 この 意 味 で,① は基 盤 活 動,② と③ とは 非 基 盤 活 動 と呼 ば れ る。

平 成7年 国勢 調 査 結 果 の 産 業 大 分 類 別 就 業 者 デ ー タ に基 づ き,北 海 道 を全 地 域 と して 設 定 し各 市 町 村 の 特 化 係 数 お よ び専 門化 係 数 を算 出 し,産 業 の 立 地 特 性 を検 出 す る。 就 業 者 デ ー タ を利 用 す る こ とは,人 的 資源 か ら見 た地 域 の 産 業 特 性 を 把 握 す る こ と に な る 。

特 化 係 数 か らは,後 志 管 内 の 各 市 町村 が 道 内全 体 か ら見 た 産 業 立 地 特 性 を概

(9)

観 光振興 と地域 経済 に 関す る一考 察 221 観 で きる 。 専 門化 係 数 の 値 は 大 き い ほ ど特 定 産 業 の偏 在 が 示 唆 され,特 化 係 数 は1よ り大 きい 場 合 にお い て特 定 産 業 の特 化 を観 察 で き る。

(1)専 門化 係 数

特 定 産 業 へ の偏 在 傾 向 が 強 い と こ ろ は,仁 木 町,真 狩 村,留 寿 都 村 で あ る。

逆 に専 門化 係 数 が 小 さい とこ ろ は小 樽 市,余 市 町,岩 内 町 で あ り都 市 的 特 徴 の 強 い と こ ろ で あ る。

専 門 化 係 数 口2未 満(3) 願2か ら4未 満(4) 躍

4か ら6未 満(10)

■6以 上(3)

図2専 門化係 数 (2)特 化 係 数

特 化 係 数 の 算 出結 果 よ り後 志 管 内 の各 市 町 村 別 の 産 業 立 地 特 性 を示 した の

が 表1で あ る。 こ れ ら は,各 産 業 別 に立 地 傾 向 を示 して い る た め,全 道 平 均

よ りも上 回 っ て い る か ら と い っ て 必 ず し も,地 域 の 主 要 産 業 で あ る と は 限 ら

ない 。 そ こで,BN分 析 を適 用 し地 域 基 盤 産 業 を検 出 す る。 各 市 町 村 に お い

て 外 部 か ら所 得 を もた らす と考 え られ る 基 盤 経 済 活 動 量 を推 定 し,主 要 産 業

の 組 み 合 わ せ を検 出 す る こ とで 後 志 管 内 各 市 町 村 の 経 済 基 盤 とな っ て い る 産

業 を検 出 す る。

(10)

表1特 化係 数 に よる各市 町村 の産 業立 地特性

市町村 特 化 し て い る 産 業

小 樽 市 製 造 業,運 輸 ・通 信 業,金 融 ・保 険 業,卸 売 ・小 売 業 ・飲 食 店,電 ガ 熱水,サ ー ビス 業 島 松 村 漁 業,林 業,鉱 業,公 務,建 設 業,農 業,製 造 業

寿 都 村 漁 業,鉱 業,製 造 業,公 務,建 設 業, 黒松 内町 林 業,農 業,建 設 業,サ ー ビ ス 業 蘭 越 町 農 業,林 業,鉱 業,建 設 業,サ ー ビス 業 ニ セ コ 町 農 業,サ ー ビス 業,林 業,鉱 業 真 狩 村 農 業,公 務

留寿都村 農 業,サ ー ビス 業

喜茂別 町 農 業,林 業,鉱 業,公 務,サ ー ビ ス 業 京 極 町

.

農 業,鉱 業,林 業,製 造 業,建 設 業 倶知安 町 公 務,農 業,電 ガ 熱 水,林 業,サ ー ビス 業 共 和 町 電 ガ熱水,農 業

岩 内 町 建 設 業,漁 業,製 造 業

泊 村 電 ガ 熱 水,漁 業,鉱 業,建 設 業,公 務,サ ー ビス 業 神恵 内村 漁 業,建 設 業,電 ガ 熱 水,公 務

積 丹 町 漁 業,公 務,建 設 業,農 業 古 平 町 漁 業,製 造 業,鉱 業,建 設 業 仁 木 町 農業

余 市 町 農 業,漁 業,製 造 業,電 ガ熱 水 赤井川村 農 業,林 業,サ ー ビス 業,公 務,建 設 業

ー ワ 臼 りδ 4 ※ ※ ※ ※

平 成7年 国 勢 調 査 結 果 よ り算 出

特 化 係 数 が5を 超 え た もの に つ い て は ゴ シ ック 太 字 で 記 載 。 電 ガ 熱 水 は電 気 ・ガ ス ・熱 供 給 ・水 道 業 の略 。

左 か ら特 化 係 数 が 大 きい 産 業 順 に記 載 。

(11)

観光 振興 と地 域経 済 に関す る一 考察

図3基 盤活 動就 業者 数

223

図4基 盤就 業率

(3)BN分 析 と主 要 産 業 の 検 出

図3は,特 化 係 数 法 に よ り算 出 した 各 市 町 村 の 基 盤 活 動 就 業 者 数 を示 す 。 基 盤 活 動 量 が 大 き い の は,小 樽 市,倶 知 安 町,共 和 町 で あ る 。 しか しな が ら, 各 市 町 村 の就 業 者 全 体 に 占 め る基 盤 活 動 の 割 合 を示 す 基 盤 活 動 就 業 率 は,図

4に 示 す よ う に仁 木 町,留 寿 都 村,真 狩 村 で 高 く,地 域 の 中 心 地 的 な 機 能 を 持 つ と思 わ れ る小 樽 市 や,倶 知 安 町,余 市 町,岩 内 町 で はい ず れ も基 盤 活 動 就 業 率 が 低 い 。 つ ま り,都 市 機 能 を持 つ 地 域 ほ ど就 業 者 全 体 に 占 め る基 盤 活 動 量 が 小 さ く な る傾 向 が 見 られ る 。

地 域 の 主 要 な基 盤 産 業 を,算 定 し た基 盤 活 動 就 業 者 数 に基 づ き修 正 ウ ィ ー バ ー 法 に よ り検 出 した 結 果 を表2(太 字)に 示 した 。

主 要 基 盤 産 業 が 農 業 で あ る地 域 は,蘭 越 町,真 狩 村,喜 茂 別 町,京 極 町, 共 和 町,仁 木 町,余 市 町,赤 井 川村 で あ る 。 ま た ニ セ コ町 と留 寿 都 村 で は農 業,サ ー ビス 業,倶 知 安 町 で は 農 業,公 務(支 庁 等 が 立 地 す る た め),黒 松 内村 で は農 業,建 設 業,サ ー ビス 業 が 主 要 基 盤 産 業 と して検 出 され た。一 方, 沿 岸 部 の 市 町村 で 漁 業 が 主 要 基 盤 産 業 とな っ て い る の は,島 牧 村,積 丹 町 で

あ り,神 恵 内村 で は漁 業,建 設 業,古 平 町 は 漁 業,製 造 業,寿 都 町 は 漁 業, 製 造 業,建 設 業 が 主 要 基 盤 産 業 と な っ て い る 。 ま た,泊 村 は原 子 力 発 電 所 の

立 地 に よ り建 設 業,電 気 ・ガ ス ・水 道 ・熱 供 給 業,漁 業 が 主 要 基 盤 産 業 とな

(12)

表2地 域 の 主要 な基 盤産 業

市町村 基 盤 産 業

小 樽 市 卸売 ・ 小売業 欲 食店 製造業 運 輸 ・ 通 信業 金融 ・ 保 険業 サ ー ビ ス 業 電 ガ熱水

島 松 村 漁業 建設業 公務 林業 農業 製造業 鉱業

寿 都 村 漁 業 製造業 建設業 公務 鉱業

黒松 内町 農業 建設業 サ ー ビ ス 業 林業

蘭 越 町 農業 建設業 林業 サ ー ビ ス業 鉱業

ニ セ コ 町 農業 サ ー ビ ス業 林業 鉱業

真 狩 村 農業 公務

留寿都村 農業 サ ー ビ ス 業

喜茂別町 農業 林業 公務 鉱業 サ ー ビ ス 業

京 極 町 農業 製造業 建設業 林業 鉱業

倶知安町 公務 農 業 サ ー ビ ス業 電ガ熱水 林業

共 和 町 農業 電ガ水熱

岩 内 町 建設業 製造 業 漁業

泊 村 建設業 電ガ水熱 漁業 鉱業

神恵内村 漁業 建設業 公務 電ガ熱水

積 丹 町 漁業 建 設業 公務 農業

古 平 町 製造業 漁 業 建設業 鉱業

仁 木 町 農業

余 市 町 農業 漁業 製造業 電ガ熱水

赤井川村 農業 サ ー ビス 業 林業 公務 建設業

注)1.基 盤i産業 は,従 業 地 に よる産 業 大 分類 別 就 業 者 数(1995年)に 基 づ き,特 化 係 数法 に よ り推計 。 2.基 盤 産 業 の 名 称 は,そ の就 業 者 数 の 大 きい ほ う か ら順 に 記 載 。

(電 ガ水 熱:電 気 ・ガ ス ・熱 供 給 ・水 道 業)

3.太 字 は,主 要 な 基 盤 産 業(修 正 ウ ィー バ ー 法 に よ り決 定)を あ らわ す 。

り,岩 内 町 は 建 設 業,製 造 業,小 樽 市 は卸 売 ・小 売 業 ・飲 食 店,製 造 業,運

輸 ・通 信 業 が 主 要 基 盤 産 業 で あ る。 以 上 の 後 志 管 内 の 市 町 村 を基 盤 産 業 が 農

(13)

観 光振 興 と地 域経 済 に関す る一 考察 225 業 と漁 業,及 び そ の他 の 産 業 を 主 体 とす る よ う に分 類 した の が 図5で あ る 。

主 要 基 盤 産 業

■その他の産業(2) 麗漁業と他の産業(4)

図5後 志管 内 の主 要基盤 産 業

以 上 の 分 析 よ り,小 樽 市 と岩 内 町 を除 い た 管 内 の 町村 は農 業 あ るい は漁 業 を基 盤 産 業 と して もつ こ とが 分 か り,内 発 的 発 展 に よる 地 域 振 興 を考 え る場 合 に,基 盤 産 業 で あ る 第 一 次 産 業 とそ の加 工 品 の 有 効 利 用 を図 る こ とが 地 域 の 経 済 基 盤 を充 実 す る上 で 一 つ の要 因 で あ る とい え る。

観 光 振 興 に よ る 地 域 経 済 の 活 性 化 を図 る場 合,観 光 消 費 はそ の と きの 気 候

や 景 気 等 に左 右 され や す い た め,基 盤 産 業 が観 光 消 費 に依 存 す る度 合 い を あ

ま り高 くす る こ とは 危 険 で あ る。 表3は 北 海 道 通 産 局 に よ る道 外 観 光 客 の 減

少 に よ る観 光 消 費 の 減 少 が 道 内 各 産 業 に及 ぼ す 影 響 を産 業 連 関 分 析 に よ り推

計 し た もの で あ る 。 これ か ら も明 らか な よ う に,観 光 産 業 は 産 業 ク ラス タ ー

的 な もの で あ り,各 産 業 間 が 連 携 す る こ と で 地域 に所 得 を発 生 させ る が,一

方 で は マ イ ナ ス の影 響 が 地 域 産 業 全 般 に及 ぶ とい う危 険 性 も同 時 に孕 ん で い

る の で あ る 。

(14)

表3道 外観 光客 の現 象 が道 内各産 業 に及 ぼ すマ イナ ス生産 波及効 果 (単位:億 円,%)

産 業

マ イ ナ ス 生 産 波 及 効 果

産業全 体へ の 影響 構 成比 道 内総 生産 へ の影響 構成比

農 林 水 産 業 ▲3ユ.5 5 ▲17.6 4.8

鉱 業 ▲2.5 0.4 ▲1.2 0.3

製 造 業 ▲132.4 21.1 ▲46.0 12.9

建 設 業 ▲4.4 0.7 ▲2.ユ 0.6

電 力 ・ガ ス ・水 道 業 ▲16.5 2.6 ▲9.7 2.7

商 業 ▲63.0 10 ▲45.4 12.8

金 融 ・不 動 産 業 ▲49.1 7.8 ▲38.8 10.9

運 輸 ・ 通 信 業 ▲84.8 13.5 ▲54.3 15.3

公 務 ▲0.6 0.1 ▲0.5 0.1

サ ー ビ ス 業 ▲238.9 38 ▲138.5 38.9

そ の 他 ▲4.8 0.8 ▲1.9 0.5

合 計 ▲628.5 100 ▲356.0 100

(注)四 捨五 入 のた め内訳 の合 計 は必 ず しも一 致 しな い。

出典:北 海 道通 産局 統計 解析 課

広 域 的 な 観 光 ネ ッ トワ ー クで は,一 般 に観 光 客 に対 す る 情 報 提 供 に偏 りが ち で あ る が,観 光 消 費 変 動 に 対 す る 地 域 産 業 へ の 情 報 提 供 とい う側 面 も危 機 管 理 を含 め た 意 味 で 重 要 と考 え られ る 。

図6は,地 域 に お け る 産 業 と地 域 内 消 費,地 域 外 消 費 お よび 観 光 消 費 と の

間 の財 貨 ・サ ー ビス の 流 れ を模 式 的 に 示 した もの で あ る 。 地 域 内 とは,単 一

の 自治 体 も し くは周 辺 の 自治 体 と一 体 化 した もの と捉 え て も よい 。 い ず れ に

して も,地 域 に と って 重 要 で あ る の は,地 域 外 か らの 貨 幣 の 流 れ で あ り,地

域 に所 得 を発 生 させ る経 済 取 引 で あ る 。 地 域 内 の 取 引 は,地 域 内 部 に お け る

所 得 分 配 機 能 を担 うの で地 域 内 の 産 業 連 関 が これ を規 定 す る 。 この 機 能 は重

要 で あ る 。 基 盤 経 済 活 動 を 支 え る の が 非 基 盤 経 済 活 動 で あ る が,本 来,地 元

(15)

観 光振 興 と地域 経 済 に関す る一 考察 227 企 業 に よ り担 う こ とが 可 能 な 活 動 が 地 域 外 企 業 に よ り行 わ れ て い る面 も 多 い 。 た と え ば,事 業 所 に お け る コ ン ピ ュ ー タやOA機 器 の メ ン テ ナ ンス や 広 報 活 動 を 地 域 外 企 業 に依 存 して い る地 域 外 へ の ア ウ トソ ー シ ン グ が あ る が,こ う した 非 基 盤 活 動 は 小 企 業 で も十 分 可 能 で あ り,そ の 起 業 を 支 援す る こ と は若 者 の 雇 用 創 出 の 機 会 と も な り得 る 。

また,観 光 も含 め た 地 域 外 との取 引 は地 域 にお け る所 得 創 出機 能 を担 う。

こ の 地 域 内外 の 産 業 連 関 が 機 能 しな い と,過 疎 地 域 等 で は富 の流 出 が 大 き く な り地 域 の経 済 バ ラ ンス が 不 安 定 と な る 。

前 述 した よ う に地 域 内 と は,単 一 の 自 治体 も し くは 周 辺 の 自治 体 と一 体 化 した もの と捉 えて もよ い 。 そ れ は,図6の よ う な シ ス テ ムが 単 一 の 自治 体 だ

地域 内

地 域 内消 費 (自 家消 費)

∠ 」L 一

\ノ

'地 域 外消 費 一

∠L

\ノ 7

のへ'2虐 一 一 弊 一 譲 蘇 顯一 … 門 一一 ・ 継 業'

ぞ'恒 蚤 ㌶ 寺'

第1次 産 業 (農 業,漁 業)

'ギ

「 「 原材料→

く剛 』 鰐 響 二 囲 警

∵覇

第2次 産 業

(食品加 工 業など) 一 製品Lレ

"鯛 胴}

第3次 産 業 (商業,サ ー ビス業)

愈 \1.、 濾 全・/幸;1

1 。" ノ¢'

紳1

∠=

̲̲̲」

I

l 一 口 騨 鵜 輸 口 宿 泊 ・ 飲 食 ・ 物 販

介1.̲

(観 光 客)皇 具  

ぐ 貨 幣

図6地 域 の基 盤産 業 と財 貨 ・サ ー ビス の流 れ

(16)

け で完 結 す る よ り も行 政 境 界 を越 え た 連 携 に よ り地 域 の経 済 基 盤 を確 固 た る も の とで き る な らば,相 互 に補 完 しあ う体 制 を構 築 す べ きで,そ の た め の 組 織 的 な体 制 や 情 報 シ ス テ ム の 内 容 を,対 観 光 客 ・対 消 費 者 ・対 生 産 者 の視 点 か ら考 え る こ とが 重 要 と な る 。 こ の際,情 報 シ ス テ ム が 担 う機 能 は情 報 の 受 発 信 の み な らず,情 報 操 作 に よ る便 益 の 誘 導 を意 図 的 に行 え る よ う にす る こ

とが 必 要 で あ る。

お わ り に

21世 紀 に入 り,わ が 国 は さ らな る 高 齢 化 時代 を向 か え るが,余 暇 形 態 は どの よ うに 変 化 す る で あ ろ うか 。欧 米 型 の長 期 滞 在 型 旅 行 が 主 流 とな るで あ ろ うか 。 わが 国 の 気 候 風 土 や 国 民 気 質 か ら長 期 滞 在 型 旅 行 に移 行 す る こ とは な い とす る 意 見 も あ るが16),主 流 とは な り得 な い か も しれ な い が,増 加 す る で あ ろ う。

現 在 の観 光 計 画,と りわ け 過 疎 地 域 に お い て 決 定 的 に欠 如 して い る の が,観 光 ニ ー ズ に対 す る リサ ー チ,つ ま り観 光 需 要 調 査 で あ る。 明 らか に,観 光 旅 行 は 団 体 旅 行 か ら個 人旅 行 へ と移 行 しつ つ あ る。 こ れ は,個 人 の 好 み に合 っ た 多 様 な 余 暇 ス タ イ ル を 実 現 しよ う とす る姿 勢 の 現 れ で あ り,個 人 の 嗜 好 に 適 合 す る 観 光 地 を 選 択 す る行 動 形 態 で あ る。 観 光 客 の受 け 入 れ 側 に と っ て は,特 定 の嗜 好 を持 つ 人 々 に 的 を 絞 っ た観 光 事 業 の戦 略 を とる こ とが 顧 客 確 保 に繋 が るで あ ろ う。 そ の た め に は,地 域 の 産 業 基 盤 と地 域 資源 を資 本 と して ど の よ う な特 性 を もつ 観 光 事 業 が 展 開 可 能 で あ るか を 吟 味 す る と と も に,観 光 事 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ ・リサ ー チ が 必 要 不 可 欠 で あ る。 そ の 情 報 は,現 状 の 来 訪 者 も持 って い る た め,地 域 で 来 訪 者 に接 す る 機 会 を持 つ 人 々 か ら情 報 収 集 す る こ と も可 能 で あ り,こ れ も観 光 情 報 シス テ ム の 要 素 と して 考 慮 す る こ と も必 要 で あ る 。

観 光 振 興 は 産 業 振 興 で あ り,そ の 究 極 的 な 目的 は 地 域 住 民 の福 祉 の 向 上,生 活 質 の 向上 で あ る。 本 稿 で は,小 樽 ・ニ セ コ ・積 丹 とい う言 葉 に代 表 され る北

16)前 田 豪 『 観 光 ・リ ゾ ー ト計 画 論 』 綜 合 ユ ニ コ ム,1992年,117‑125頁 参 照

(17)

観 光振 興 と地域 経 済 に関す る一考 察 229 海 道 後 志 地 域 の 産 業 立 地 特 性 を例 に した が,こ こで 見 られ た 地域 の 主 要 な 産 業 基 盤 が 第 一 次 産 業 で あ る こ とは,北 海 道 全 体 や 道 内 の 他 地 域 に も 当 て は ま る こ とで あ る 。 産 業 連 関 表 の 部 門 別 生 産 額 か ら算 出 した 特 化 係 数 で も,北 海 道 にお い て特 化 し て い る 産 業 は第 一 次 産 業 と第 三 次 産 業 で 多 く見 られ,第 二 次 産 業 で は ほ と ん ど見 られ な い17)。 第 一 次 産 業 の 生 産 物 や 産 業 自体 が 持 つ 公 益 的 機 能 を活 か した 観 光 振 興 が 産 業 振 興 に もな る 。 エ コ ツ ー リズ ム や グ リ ー ンツ ー リズ ム と い う考 え方 も現 れ て お り,地 域 の環 境 資 源 や 第 一 次 産 業 の 有 効 利 用 が 観 光

に活 か せ る機 会 が 増 えて い る 。

【 謝 辞 】

本 稿 の特 化 係 数 に よ る後 志 地域 の 分 析 にお い て,ゼ ミ生 の石 橋 美 奈 子 君,大 城 祐 司 君,尾 上 裕 子 君,北 田 剛 士 君,後 藤 智 恵 君,福 原 美 穂 君,松 山 さや か 君 が デ ー タ入 力 お よ び 計 算 作 業 等 を手 伝 っ て くれ た 。 こ こ に記 して 感 謝 の 意 を表 す る。

17)北 海 道通 商産 業 局統計 解析 課 『 平 成7年 北 海道 地域 産業 連 関表の概 要』 参 照。

(18)

【 参 考文 献 】

1.リ ゾ ー ト ・環 境 問 題 研 究 会 編 『 観 光 立 国 か らの 問 題 提 起 』 青 山 社,1993年 2.山 崎 充 『 地 域 経 済 活 性 化 の 道 』 有 斐 閣,1984年

3.宮 本 憲 一 ・横 田 茂 ・中 村 剛 治 郎 編 『 地 域 経 済 学 』 有 斐 閣,1990年 4.宮 本 憲 一 『 環 境 経 済 学 』 岩 波 書 店,1989年

5.鶴 見 和 子 ・川 田 侃 編 『内 発 的 発 展 論 』 東 京 大 学 出 版 会,1989年 6.前 田 豪 『観 光 ・リ ゾ ー ト計 画 論 』 綜 合 ユ ニ コ ム,1992年 7.HarveyArmstrongandJimTaylor,"RegionalEconomicsandPolicy",Harves‑

terWheatsheaf,1993(坂 下 昇 監 訳,財 団 法 人 計 量 計 画 研 究 所 地 域 経 済 学 研 究 会 訳 『地 域 経 済 学 と地 域 政 策』 流 通 経 済 大 学 出 版 会,1998年)

8.大 野 和 雄 『 現 代 観 光 マ ー ケ テ ィ ン グ 論 』 函 館 大 学 ・北 海 道 産 開 発 研 究 所 研 究 叢 書 第4巻,1986年

9.BrianGoodallandGregoryAshworth,"MarketingintheTourismIndustry:

ThePromotionofDestinationRegions"1988(山 上 徹 監 訳 『観 光 ・リ ゾ ー トの マ ー ケ テ ィ ン グ 』 白 桃 書 房,1989年)

10.田 中 茂 和 『 観 光 ・リ ゾ ー トの 経 済 分 析 』 関 西 大 学 経 済 ・政 治 研 究 所,研 究 双 書 第 82冊,1993年

11.北 海 道 後 志 支 庁 『 後 志 の 統 計1999』2000年

12.北 海 道 通 商 産 業 局 統 計 解 析 課 『平 成7年 北 海 道 地 域 産 業 連 関 表 の概 要 』2000年

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