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雑誌名 北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要

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江別市における児童の体力向上に関する研究(第16 報)A小学校における「朝の運動遊び」でのジュニ アリーダー育成の手順と課題?

著者 大宮 真一, 石井 由依, 竹田 唯史, 近藤 雄一郎,  増山 尚美, 晴山 紫恵子, 山本 公輔

雑誌名 北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要

巻 8

ページ 157‑165

発行年 2017

URL http://doi.org/10.24794/00002579

(2)

はじめに

 本研究は,平成21年度に開始された江別市 教育委員会と本学北方圏生涯スポーツ研究セ ンターとの連携による児童の体力向上を目的 に江別市立A小学校を対象として継続的に実 施しながらも平成25年度から低学年児童の運 動遊びをサポートする上級学年児童の社会性 を育むことや,低学年児童が上級学年児童に 対して期待したり憧れることで生まれる自己 効力感の高まりによる社会性の向上の目的を 付加して,小学校4年生から6年生で構成さ れるジュニアリーダー(以下,Jr.L)と1年 生との異学年交流での「朝の運動遊び」を実

施し,平成28年度も継続することとなった。

これまでの研究事業の内容については本学研

究紀要等1〜15)に報告し,年度ごとに次年度の

課題を設定している。平成27年度の実践13,14)

では,今後児童たちの集団の中で運動遊びが 伝承されていくことを期待し,教員や大学生 指導者の指示的指導体制を弱めながら,Jr.L が1年生に運動遊びの指導を行った。Jr.Lは 実践の回数が進むにつれて,全員が指導経験 をする中,複数回指導したいと申し出る積極 的な様子がみられ,リーダーとしての意識が 芽生えてきたことを報告した。このことは,

上級学年児童の運動遊びの指導によって低学 年児童へ運動遊びの楽しさが伝承され子ども

江別市における児童の体力向上に関する研究(第16報)

─A小学校における「朝の運動遊び」での ジュニアリーダー育成の手順と課題①─

Studies on Improvement of Physical Fitness at Elementary Students in Ebetsu City 16

─ Step and Challenge of Jr. Leader’s Rearing on Practice of Morning Exercise at A Elementary School 1 ─

大   宮   真   一1) 石   井   由   依2)

Shin-ichi OMIYA Yui ISHII

竹   田   唯   史1) 近   藤   雄 一 郎3) 増   山   尚   美1)

Tadashi TAKEDA Yuichiro KONDO Naomi MASHIYAMA 晴   山   紫 恵 子2) 山   本   公   輔4)

Shieko HAREYAMA Kosuke YAMAMOTO

1)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科 2)北方圏生涯スポーツ研究センター

3)北翔大学非常勤講師 4)札幌こども専門学校

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北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 第8号 158

集団内の活動によって体力や運動能力が高ま っていく環境となってきていることを意味す るものであると考えられる。その中で平成28 年度への課題について,1)Jr.Lを育てるた めのマニュアルの作成,2)いじめや怪我な どのリスクから子どもの集団を見守る人的サ ービスの提供の2つを挙げている。これらの ことから,今日の少子化やいじめ等の社会問 題を考える時,子ども主体に考える「異年齢 児童の集団で成立する運動遊びの環境づく り」は途上段階であると報告している。

 以上のことから,平成28年度はJr.Lが主体 となり子ども集団で運動遊び内容を決定して 実践するスタイルへと移行できるまでにし,

大学生指導者が補助的なサポートに留まるよ うに配慮することによって,Jr.Lが主体とな って展開する実践スタイルへと移行すること とした。本報では,引き続き児童たちの集団 中で運動遊びが伝承されたり,教員や大学生 指導者がいなくても児童主体で実践できる基 盤作りとなるように進めることとし,実践例 を取り上げながらJr.Lの育成における手順と その課題について報告することを目的とした。

研究方法 1.対象

 江別市内のA小学校を対象とし,4年生か ら6年生の21名がJr.Lを希望して参加した。

このJr.Lを平成26年度4年生の時から3年連 続Jr.Lを担当した今年度6年生が5名含まれ ている。

 今年度のJr.Lが指導する対象となった1年 生は27名であった。

2.Jr.L育成の実践形態

 対象の児童に対し,平成28年4月22日〜12 月2日までの期間の火曜日と金曜日において 計30回,午前8時00分〜20分までの20分間の 実践を行った。実践内容の詳細は,竹田ら15)

が報告している。

 平成28年度における30回の実践において,

3回を1クールとして,計10クールが展開さ れた。1クールのうち,1回目が大学指導者 の考案した運動遊びを紹介しJr.Lとともに実 践して全力で遊ぶ日,2回目が1年生へ指導 するための運動遊びの遊び方についてJr.Lが 意見を出し合って検討するJr.L会議の日,そ して3回目がJr.Lが1年生を指導する日とし た。第1・2クールは走の運動遊び,第3・

4クールは跳の運動遊び,第5・6クールは 投の運動遊びを行った。それぞれのクールで の1回目の遊び終了後にJr.Lに運動遊びの感 想や意見を発表してもらい,Jr.Lの興味関心 のある内容を取り入れたり1年生が楽しく実 践できるための意見を発表したり,場合よっ ては遊びの内容自体を変更しながら次の2回 目のJr.L会議の日に遊ぶ内容を決定した。

 なお,第7〜10クールからは1回目の運動 遊び内容をメイン指導にあたるJr.Lが決定す る形式とした。

3.Jr.Lにおける1年生への指導体制づくり  平成27年度は4・5年生と6年生がペアと なり1年生を指導する体制にし,順にメイン リーダー担当を交代していったが,今年度は 1年生のメイン指導を行いたいJr.Lが自主的 に担当してもらうようにし,その1回のメイ ンリーダー人数は制限しなかった。1回のメ イン指導の人数は結果的に2〜3名であっ

(4)

た。初回にJr.Lの任命証10)を授与する任命式 を実施し,今年度における実践のねらいを説 明した。

4.輝きカード

 Jr.L会議の日の最後および第6クール以後 は3回目の1年生への指導終了後に,次回に 1年生を指導するペアには輝きカード(後頁 に実践例を記載)と称す指導の要領やメモが 自由に書き込めるカードを配布した。指導日 には持参して,それをもとに1年生と他の Jr.Lとの運動遊びをリードする役割を果たし た。また,Jr.Lの主体的な運動遊びの展開や 説明の内容についての意見はできるだけ尊重 するよう心がけた。

結果および考察 1.平成28年度の実践例

 図1,2の輝きカードは同一のJr.L6年生ペ アが実践した例である。その内容に対応した 1クールの実践における写真を掲載した。図 1と写真1は第7クール,図2と写真2は第 10クールである。このJr.Lペアは4年生時か ら3年連続で行ってきた児童である。これら の2クールの実践は,特に本研究が意図とす る「運動遊び」が体力向上や運動能力の発達 のツールとしてだけではなく,子どもたちに 愛され繰り返し遊び,子どもたちの手によっ て変化させてきた遊びとなったと考えられ る。しかも,一昨年度(複合遊び)11)および 昨年度(クリスマスパーティー)14)に実施し た遊びの楽しさを思い出し,それをアレンジ して1年生に楽しんでもらいたいという思い があったことをJr.Lから伺っている。今年度

この様子を間近で見ていた4,5年生のJr.L がこのような取り組みをどのように受け止 め,Jr.Lとしての役割や自覚がどのように変 化していたのかは不明であるが,次年度も継 続してJr.Lを応募してくれることを期待し,

検証したいと考えている。

2.これまでの体力向上における運動遊びプ ログラム作成からJr.Lの育成の課題  江別市立A小学校では,平成22年度から24 年度までは運動遊びのプログラム開発を主 眼として,①遊びの要素が備わっているこ と,②成功体験が味わえること,③運動のモ デルがあること,④出来栄えや存在を認め られることを重視して大学生指導者がそれぞ れの年度の低学年児童と一緒になって実践し てきた。この3年間の取り組みで,走・跳・

投・支持運動および複合運動のプログラムを 作成してきた。これらの運動プログラムは本 研究プロジェクトが終了した後にも,子ども 集団だけでも継続可能なものとして行くため のシステムを作成する必要があると考え,平 成25年度から1年生を指導したい上級学年児 童を対象としてJr.Lの育成について実践を行 い,平成27年度までは大学生指導者が考案し た運動遊びをJr.Lとともに実践して,Jr.Lが その遊び方を理解しながら1年生の前で説明 して指導をする段階からスタートした。当初 のJr.L育成において,Jr.L自身が全力で遊ぶ ことで運動することに満足を感じ,そして同 時に1年生を指導することが楽しくなるとい った両要素を持ち合わせるために5つの課題

9)が挙げられた。その5つの課題は,①学校 内や地域に健全な縦の子ども集団が存在でき る条件を見付ける,②ジュニアリーダーを育

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北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 第8号 160

図1 Jr.Lが作成した輝きカード記入例①(第7クール)

M . S

T . Y

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写真1

9/16 上段  左 Jr.Lによる遊びの説明  右 遊び方についての課題発表

9/20 中段  左 Jr.L会議で課題確認   右 1年生が安全に行うためのポイントを確認 9/27 下段  左 Jr.Lと1年生との遊び  右 Jr.Lと1年生全員で片付け

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北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 第8号 162

図2 Jr.Lが作成した輝きカード記入例②(第10クール)

M . S

T . Y

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写真2

11/22 上段  左 Jr.Lによる遊びの説明    右 Jr.Lの遊び体験

11/29 中段  左 Jr.L会議での道具の確認   右 1年生と実施するための最終確認 12/ 2 下段  左 クリスマスツリー作成    右 クリスマスツリーの評価

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北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 第8号 164

てるためのマニュアルが必要性である,③子 どもが運動遊びに興じることができる空間と 時間を準備する,④いじめや怪我などのリス クから子どもの集団を見守る人的サービスを 提供する,⑤子どもの運動遊びに対する興味 関心が高まる安全で安価な用具の開発であっ た。年度ごと,課題をクリアしながら,特に

②の課題において,Jr.Lがどのように1年生 に指導したらよいかわからず,大学生指導者 が傍らでサポートしながらJr.Lがリーダーと しての自覚を引き出しながら,マニュアルと までは行かないがメイン指導をするJr.Lが説 明することを補助するように他のJr.Lが1年 生のそばでコミュニケーションをとりながら 遊び方の説明を補足している姿も多々見られ るようになった。したがって,大学生指導者 の主導で行ってきた段階から,子ども集団の みで実践できるシステムが発生し始めたこと は,Jr.Lがリーダーとしての役割が少しずつ 明確化され,子ども集団の中で感じ取ったり,

コミュニケーションをする中で発見した,リ ーダーの自覚とは何かを理解し始めてきてい ると考えられる。

 今年度は,Jr.Lが主体的となって運動遊び 内容を決定し,実践したのは4クールのみで あったことを踏まえ,次年度の課題はJr.Lに よる1年生への主体的な指導場面を増やし,

子ども集団のコミュニティーで遊びが展開さ れる段階へと移行し,大学生指導者はその様 子を見守りつつ一緒に運動遊びを実践しなが らサポートしていくことである。

文 献

1)大宮真一,竹田唯史,増山尚美,晴山紫恵

子,山本公輔:江別市における子どもの体 力向上に関する研究─A小学校の体力・運 動能力の現状と身体活動力の調査方法につ いて,北翔大学北方圏生涯スポーツ研究セン ター年報,創刊号,57-67,2010.

2)竹田唯史,大宮真一,増山尚美,晴山紫 恵子:江別市における児童の体力向上に関 する研究-東広島市内小学校における児童 の体力向上の取り組みの視察報告-,北翔大 学生涯スポーツ学部研究紀要:創刊号,107- 119,2010.

3)竹田唯史,大宮真一,山本公輔,増山尚美, 晴山紫恵子:江別市における児童の体力向 上に関する研究(第3報)-A小学校におけ る朝運動プログラムの実践-,北翔大学生涯 スポーツ学部研究紀要,第2号, 19-34, 2011.

4)大宮真一,竹田唯史,増山尚美,晴山紫恵子, 山本公輔:江別市における児童の体力向上 に関する研究(第4報)-千葉県八千代市内 小学校における児童の体育授業の取り組み の視察報告-北翔大学生涯スポーツ学部研 究紀要第2号, 101-108, 2011

5)大宮真一,晴山紫恵子,山本公輔,竹田唯史, 増山尚美:江別市における児童の体力向上 に関する研究(第5報)─A小学校における

「朝運動遊び」実践プログラムの紹介─.北 翔大学短期大学部研究紀要,第50号,pp.43- 58,2012.

6)竹田唯史,大宮真一,山本公輔,増山尚美, 晴山紫恵子:江別市における児童の体力向 上に関する研究(第6報)─A小学校におけ る朝運動プログラムの実践─.北翔大学生涯 スポーツ学部研究紀要,第3号, pp.13-26,2012.

7)大宮真一,晴山紫恵子,山本公輔,増山尚美, 竹田唯史:江別市における児童の体力向上

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に関する研究(第7報)-A小学校における「朝 の運動遊び」実践プログラムの紹介2.北 翔大学短期大学部研究紀要第51号, pp1-16, 2013

8)竹田唯史,大宮真一,山本公輔,増山尚美, 晴山紫恵子:江別市における児童の体力向 上に関する研究(第8報)-A小学校にお ける朝運動プログラムの実践-,北翔大学生 涯スポーツ学部研究紀,第4報,pp1-15, 2013.

9)大宮真一,晴山紫恵子,石井由依,増山尚美, 竹田唯史,山本公輔:江別市における児童の 体力向上に関する研究(第9報)-A小学 校における「朝の運動遊び」の新たな実践 プログラム─北翔大学短期大学部研究紀要 第52号,pp1-16, 2014.

10)竹田唯史,増山尚美,大宮真一,晴山紫恵子, 山本公輔,石井由依:江別市における児童の 体力向上に関する研究(第10報)-A小学 校における朝運動プログラムの実践-,北 翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,第5号,1- 14,2014.

11)大宮真一,晴山紫恵子,石井由依,増山尚美, 竹田唯史,山本公輔:江別市における児童の 体力向上に関する研究(第11報)─A小学 校における「朝の運動遊び」の異学年交流 実践プログラム─,北翔大学短期大学部研究 紀要第53号, pp21-36, 2015.

12)竹田唯史,石井由依,増山尚美,大宮真一, 晴山紫恵子,山本公輔:江別市における児 童の体力向上に関する研究(第12報)-A 小学校における朝運動プログラムの実践

-,北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,第6 号,pp13-27,2015.

13)大宮真一,晴山紫恵子,石井由依,増山尚美, 竹田唯史,山本公輔:江別市における児童の

体力向上に関する研究(第13報)─A小学 校における「朝の運動遊び」でのジュニア リーダー育成の試み─,北翔大学短期大学部 研究紀要, 第54号, pp13-27, 2016.

14)竹田唯史,石井由依,大宮真一,増山尚美, 晴山紫恵子,山本公輔:江別市における児童 の体力向上に関する研究(第14報)-A小 学校における朝運動プログラムの実践と効 果検証-,北翔大学生涯スポーツ学部研究紀 要, 第7号, 1-16, 2016.

15)竹田唯史,石井由依,大宮真一,近藤雄一郎, 増山尚美,晴山紫恵子,山本公輔:江別市に おける児童の体力向上に関する研究(第15 報)-A小学校における朝運動プログラム の実践と効果検証-,北翔大学生涯スポーツ 学部研究紀要, 第8号, (印刷中), 2017.

付 記

 本研究は,平成28年度江別市教育委員会委託 事業補助金の交付を受けて行ったものである。

謝 辞

 江別市立文京台小学校校長の三科圭介先生 をはじめ,関係各位と対象児童の保護者の皆 様のご理解に深謝申し上げます。

参照

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