掛川市南西郷に見られる曽我層について
著者 白井 久雄
雑誌名 静岡地学
巻 94
ページ 13‑18
発行年 2006‑11‑22
出版者 静岡県地学会
URL http://doi.org/10.14945/00024811
第
94
号 (2006 )
掛 郷に見られる 噛ついて
井 久 雄
1 .
はじめにの吋、学校第 6学年理科 C地球と宇宙
J
では,野外での地層の直接観察を重視してい る(白井,2 0 0 0 ) .
小笠・掛1 1 1
地域は,野外での地層観察には最も適した地域である.既が見学できる適切な露頭(白井,
1 9 9 7
,1 9 9 9 . 2 0 0 0
,2 0 0 1
,2 0 0 2
,2003b
,2004b
,2 0 0 5 b )
や,づいた授業実践(白井,
1 9 9 8 a
,1 9 9 8 b
,2003a
,2 0 0 4 a
,2005a
,2 0 0 6 )
を報告している.今回は掛1 1
郷,森林果樹公園北側の露頭で観察できる曽我層の特徴を記載し,その特徴から考えられることを述 べ,地層観察指導時のー資料を提供する.
図
1 .
露頭位置国(掛) 1 1
市役所発行1
万分の1
東遠広域都市計器密L
宵z
露頭位置.長トJI[市立第一小学校
‑13‑
図2
.
露頭金景.図中の① ⑥は本文参照網露頭の高さは約10 m .
図の手前l望志 県道磐田・掛川線とガードレー}[...図の手前中央は望小患の麗根.2 .
露頭の記載本論に記載する露頭は,掛川市南西郷,森林果樹公圏北側,県道磐田・掛川線沿いにある(図1), 東一四に伸びた南向きの崖で,高さ約
1 0m
,I
幅約1 2 0m
である(図2 )
.走向はN80
度W
,南に1 0
度 前後傾斜している.本露頭周辺の地質については,白井( 1 9 9 7 )
の図1
を参照していただきたい.本 露頭は,白井(19 9 7 )
の図l
の西端に位置し,曽我層分布域の中にある.本露頭へ行くには,]R
掛川 駅から掛川市街地循環パス南回り「掛川来高入口J
停留所で下車するとよい.次に,図2
に示した①⑥の}II真に地層の特徴を記載する.
①…本露頭東端で観察できる,層厚
4
m1、J2 青灰色を呈し,生物擾乱(図3),木片,細 磯サイズの軽石が観察できる砂質シルト層より なる.①は,下位より1.5
m2 5 cm
,I 揺 6 0 cm
,下位より2 m
に層厚3 0cm
,I 揺70cm
のレンズ状極細粒砂層を挟む.この極細粒砂層 には波状葉理にそって縮機サイズの軽石が並ん でいる.
②…層厚
6
m,碁質は黄褐色の細粒砂,機支 持細磯 大磯層である(図4 ) .
②の礁は角が取 れて丸味を帯びているものが多く,機種は大部 分が砂岩である.②は,次に述べるように,中 粒砂ブロック,砂泥互層ブ口ック,砂質シルトブロックを合む.すなわち,下位より
4 m
さ1m
,幅0 . 5m
の塊状の中粒砂ブロックを含 む.下位より0 . 5m
に厚さ1.5m
,I 福2 . 5m
,下 位より2 . 5m
に厚さ0 . 6m
,幅1 m
の平行葉理が 発達する極細粒砂層と塊状の砂質シルト層との 砂泥五層ブロックを含む(図5 ) .
厚さ1 ‑ ‑ ‑ 2 m
,i
幅0 . 5m
程度の生物擾乱,木片,細磯サイズの 軽石が観察できる砂質シルトブロックをア枚合図
3 .
①(砂質シルト層)優生物擾乱が観察できる.スケールは
20cm.
図
4 .
②(磯支持組磯 大磯麗).スケールは
20cm
鋪静 岡 地 学 第
9 4
号 (2 0 0 6 )
む.②は,①を削り込んで、いる.また,
端で観察できる②との境界は,②が①を取り込 んでいるように見える(図
6 ) .
③…層厚1.
5
m,黄褐色の中粒砂層(図ア) で,③の砂泥立層へ督、1方に漸移する(図2 ) .
③では,組諜サイズのシルト擦が平行葉理にそっ て並んでいる.また@の基底部の,浮き
3 0 cm
の部分では,中諜や中諜サイズのシルト擦が平 行葉理にそって並んでいる.③は,②の上なる.
④…層厚
3 . 2
m,砂層と砂質シルト層との砂 (図8) で , ③ と ⑤ へ 側 方 に 漸 移 す る (図2 ) .
砂層の大部分は極細粒砂層で,層}早1
‑ ‑ ‑2 cm
,平行葉理が発達し,葉理にそって木 片が並び,T
底面は浸食を示す.平行葉理が発 し,粗粒砂サイズの軽石が並ぶ極細粒砂層を1 1
文,斜交葉理が観察できる極細粒砂層を2
枚 挟 む . ま た , 層 厚6 cm
,塊1 ;
犬の細粒砂層を1
枚,中j擦や中擦サイズのシルト擦を含む層埠1 0 cm
と2 0 cm
の細粒砂層を各々1
枚ずつ挟む.砂シルト層は,大部分が層厚
1 ‑ ‑ ‑2 cm
,塊状 で,下位の砂層との境界は明瞭である.層摩6
‑ ‑ ‑2 0 cm
,生物擾乱が観察できる砂質シルト を6
枚挟む.④の最上位の砂質シルト1.
2
m,生物擾乱が観察できる.④は,③の上 に重なる.⑤…層!享
4 . 5 m, 黄 褐 色 の 粗 粒 砂 層 ( 国 9 )
で,④と⑥へ側方に漸移する(国2 ) .
細探 大 磯や縮機 大磯サイズのシルト擦が散在してい るが,層摩2 m
,幅1 5 m
のレンズ状密集部も 観察できる.また,層厚1 m
前後,幅1 ‑ ‑ ‑2 . 5 m
程度の砂質シルトブロックを3
枚含む.⑤は,④の最上位の砂質シルト層(層厚1.
2m) を浸
食している.⑥…本露頭西端で観察でき,下部と上部に
2
分できる.下部は層厚2 . 5m
の砂泥互麿,上部国
5 .
②(磯支持組磯 大磯層)中の砂泥五層ブ口ッ ク.スケールは2m.
図
6 .
①(砂質シルト麗)と②(磯支持翻磯 大磯層)の 境界"①西端で観察できる②との境界は,②が①を 取り込んでいるように見える.スケーんは50cm.
図
7 .
③(中粒砂層).平行葉理が観察できるaスケールは
20cm.
図
8 .
④(砂層と砂質シルト麗との互層)院 スケールは20cm
園‑15‑
m
の砂質シルト層で,レンズ状の磯 を2
枚挟む(図1 0 ) .
⑥は,⑤ へ側方にi
斬移するが,⑥の西端は表土に覆われ きない@下部の砂泥互層は,極細粒砂 シルト層との砂泥互層で,図1 0 ・ A 1
m) では,乱堆積構造が観察できる.2 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 4 cm
,厚いも のでは1 0cm
前後,平行葉理が発達し,葉理にっし木片が並び¥下底面は浸食を示す.砂質 シルト層はラ大部分が層厚
2 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 4 cm
,厚いもの図9箇⑤(粗粒砂層)臨機が散寂している臨
20~30 cm
,塊状で,下位の極細粒砂層と スケーんは20 c r
しすは明瞭である.これらの砂泥互層が図
1 0
・A
に示す乱堆積構造を示す@図1 0
・A
で測定した1 0
度前後傾斜している.また,図1 0. B
では,層厚約1m
,r
幅約2 m
の範囲で 層理面が縦方向を示す乱堆積構造が観察できる.この乱堆積構造の上位には,層厚1.5m
の砂泥互層なる@上部はラ層厚1.
5
mの砂質シルト層で,レンズ状の磯支持中磯 細磯層を2
枚挟む.は粗粒砂,最大層厚は各々
50cm
と70cm
である@時鍾⑧(下部は砂泥瓦農事上部は砂質シルト麗)飽下部の砂泥五麗に乱堆讃講造が、観察できる街 器拡本文参照 撃鎮の高さは約ヰ汎
より南には砂泥立層が分布しているが,
この地点から南へ諜層が連続して分布している.こ られる@また,横山@坂本(1
9 5 7 )
は,より南に約
300m
の地点には;深層が露出し,出ほか,
1 9 8 0 )
と は上@中@下部に3
分でき,上部層は中粒砂で縮 を混ぜ¥上部へ粗粒になりヲ最上部は時に細亜円擦になると述べている@さら竜門の特設えから,本露頭で観察できる地層は曽我層である.
前項で述べた②の諜支持細諜 大磯層中には,中粒砂ブロック,砂泥互層ブロック,砂質シルトブ ロックが含まれる@⑤の*Ji粒砂層中には9 砂質シルトブロックが
3
枚含まれる.④の砂泥互層は,側 と(5)中に消滅することからブロックの可能性が高い@⑥の砂泥互層の東端は⑤中に消滅していら, ック,
と
シルト層を削り込んでいる.
でいるように見える.これらのことか を主体とし,その中に砂泥立層ブロ と程粒 シルトブ口ックを取り込むような,品工 シ
) '
W
︺
吋ム
ω
宇 品
@
¥4 3
uv
き る と
ネル
ロックなら,要望支持組諜 大諜層と粗粒 がブロックでなければ,
ι
曽我層は海退期の堆讃物(模山・坂 本 , で あ 札 本 露 頭 で は ヲ 擦 支 持 組i
穣 大藤層や粗粒砂層が観察できることから,陸棚斜面の ような環境は考えにくいように思われるe いずれにせよラ本露頭での観察結果だけから推定するのはとする.
きることから,結模様が わかり
き
このようなことから,
r
水の働きででの る していると
う草は多少あるがヲ る. このよう奄り られる.
は十分に は「大地の うこと
っくりと
も ま と
(1)掛
) [ 1
きる や粗粒まれることで特徴付けられる.
(2)
(3) くりと
きる,
るの し ある.
ヨ
田志朗@
部吏新統@
撰山次郎@
白井久雄 白井久雄
を観察し 白井久雄(1998b) :
一掛
) [ 1
白井久雄
白井久雄 (2
∞
静問地学,
刀 口
HH HH
明(1980) :掛川地域の中
及び、問説明書 . 5 0 p .
,地質調査所.について.静岡地学,
7 6
,2 1 ‑ 3 4 .
のっくり
J
における地層観察の実際一五百済凝灰岩どのようにしてできたのか
J
(土地のっくり)のt 受
をつくろうの実践を通して静岡地学,78
,1 7 ‑ 2 8 .
iインターチェンジ周辺の地層について.静問地学,8 0
,1 1 ‑ 1 8 .
と掛川市西郷(大日層@宇刈層)に見られる地層について.
‑17
白井久雄
( 2 0 0 1 )
:掛川市千羽に見られる地層(満水層・堀之内層・白岩火山灰層)について静岡 地学,84
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白井久雄
( 2 0 0 2 )
:化石を取り出そうf 2 0 0 2
桔梗が丘・科学の祭典j
での取り組みへ静岡地学,86
,3 9 ‑ 4 4 .
白井久雄
( 2 0 0 3 a )
:小学校第6
学年理科「大地のっくりと変化」の授業一掛川層群大日層・宇刈層の 観 察 を 通 し て 静 岡 地 学 ,87
,6 3
輔7 0 .
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( 2 0 0 3 b )
:大東町大坂(小笠層群小笠山層)と菊川町堀之内(掛川層群堀之内層)に見ら れる地麗について.静岡地学,88
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白井久雄
( 2 0 0 4 a )
:小学校第6
学年理科「大地のっくりと変化J
の授業一子どもの授業後の感想、を中 心に一.静岡地学,89
,5 ‑ 1 1 .
白井久雄
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:掛川市橋田に見られる五百済火山灰層について.静岡地学,90
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の授業一地層観察,単元終了後に児 童が地面の下をどのように認識したか静岡地学,9 , 1 1 5 ‑ 2 2 .
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学年理科「大地のっくりと変化J
の授業一掛川市立第一小学校に露出した地麗と地層観察についてへ静岡地学,