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乳児院におけるレジオネラ症の集団発生例 1)

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(1)

レジオネラ症は,細胞内寄生性グラム陰性桿菌 であるレジオネラ属菌による感染症であり,集団 発生や院内感染の原因として重要な新興感染症の 一つである.本症に関する報告のほとんどは,高 齢者におけるものであり

1)〜3)

,小児科領域, 特に乳 幼児に関する報告はほとんどない.今回我々は,

福島県若松乳児院でレジオネラ症の集団発生例を 経験したが,これは本邦で初めての乳幼児におけ る集団発生例であると思われたので,その概要に ついて報告する.

材料と方法

1.対象

福島県若松乳児院に入所中で,2002 年 6 月から 7 月までに当院小児科へ入院した患児 10 名(男児 6 名,女児 4 名) に,咽頭培養検査,ウイルス抗原 検出およびクラミジアニューモニエ,マイコプラ ズマニューモニエ抗体価測定を施行した.また,

乳児院におけるレジオネラ症の集団発生例

1)福島県立会津総合病院小児科,2)同 内科,3)福島県立医科大学医学部小児科

酒井 英明

1)

赤井畑美津子

1)

新妻 一直

2)

細矢 光亮

3)

(平成 15 年 10 月 10 日受付)

(平成 16 年 2 月 13 日受理)

本邦で初めての,乳幼児におけるレジオネラ症の集団発生例を経験した.

2002 年 6 月中旬より福島県若松乳児院において,咳嗽,喘鳴などの呼吸器症状と発熱を呈する患児が 続出した.レジオネラ症の集団発生を疑い,レジオネラ尿中抗原検査を施行したところ 8 名が陽性であっ た.

性別は男児 5 名,女児 3 名で,年齢は 11 カ月から 1 歳 10 カ月であった.基礎疾患がある患児は 1 名で あり,入院加療を要した患児は 6 名であった.

鼻汁,咳嗽,発熱は全例に認められ,喘鳴は 8 名中 7 名にみられた.咳嗽期間は平均 9.9 日,発熱期間 は平均 4.5 日であった.

入院患児 6 名における検査成績では,白血球数 7,500〜15,300

! µ

l,CRP 0.2〜2.5mg

!

dl であった.胸部 エックス線写真所見では浸潤陰影(右下肺野,左下肺野)を 2 名に認めた.

治療に関しては,マクロライドまたはテトラサイクリン系抗菌薬を 4 名に,他の 4 名には

β

―ラクタム 系抗菌薬を使用した.

感染源の検査として,浴室のシャワーヘッド,浴槽,給水末端,洗濯場などの 12 カ所から検体採取を 行ったが,レジオネラ菌は検出されなかった.推測の域ではあるが,感染源としては加湿器,もしくは 院内消毒で使用した噴霧器が強く疑われた.

自験例を通して,レジオネラ症には軽症例が存在することが明らかとなり,また,軽症例では,マク ロライドやテトラサイクリン系抗菌薬を使用しなくとも,治癒する可能性が示唆された.

〔感染症誌 78:404〜410,2004〕

別刷請求先:(〒965―8555)福 島 県 会 津 若 松 市 城 前 10―75

福島県立会津総合病院小児科

酒井 英明

legionellosis, outbreak, nursery, infant, urinary antigen Key words:

(2)

閉鎖的施設である乳児院における集団感染という ことで,レジオネラ症を疑い,入所中の児 23 名

(男児 12 名,女児 11 名) 全例にレジオネラ尿中抗 原検出を施行した.

2.咽頭培養検査

検体は,入院患児の咽頭部を滅菌綿棒で数回 拭って採取した.検体をバイタルメディアチョコ レート寒天培地 (極東製薬) ,ニッスイプレート羊 血液寒天培地(日水製薬) ,BTB 乳糖加寒天培地

(BBL)の 3 種類の培地に塗抹し,バイタルメディ アチョコレート寒天培地とニッスイプレート羊血 液寒天培地は,5%CO

2

のもと 37℃ で 2 日間培養 し,BTB 乳糖加寒天培地は,好気条件のもと 37℃

で 2 日間培養を行った.

3.ウイルス抗原検出

RS ウイルスとインフルエンザウイルスに関し ては,入院患児の外鼻孔から鼻腔内へ滅菌綿棒を 挿入後,鼻甲介を綿棒で数回擦過することにより 採取した検体を用い,各々 RSV テストパック (ダ イナボット) ,インフル A・B―クイック 「生研」 (デ ンカ生研)により検出を試みた.

アデノウイルスに関しては,入院患児の咽頭部 を滅菌綿棒で数回擦過して拭い液とし,チェック Ad(アズウェル)にて検出した.

4.クラミジアニューモニエ,マイコプラズマ ニューモニエ抗体価測定

入院患児から採血して分離した血清を用い,ク

ラミジアニューモニエ抗体価は,外注検査(エス アールエル)により ELISA 法で IgA と IgG を測 定した.また,マイコプラズマニューモニエ抗体 価は,セロディア―MYCOII(富士レビオ)を用い て添付文書に従って測定した.

5.レジオネラ尿中抗原検出

乳児院に入所中の児 23 名の尿を検体とした. レ ジオネラ尿中抗原の検出は,NOW Legionella Uri- nary Antigen Test(Binax)を用いて添付文書に 従って実施した.所要時間は 15 分であった.本 キットはイムノクロマトグラフィー法により尿中 Legionella pneumophila serogroup 1 抗 原 を 検 出 す るものであり,キットの窓に上下 2 本の桃色から 紫色の線を認めたものを陽性と判定した.

1.患児発生状況の概要(Fig. 1)

2002 年 6 月中旬より乳児院において,咳嗽,喘 鳴などの呼吸器症状と発熱を呈する患児が続出 し,入所中の児 23 名(男児 12 名,女児 11 名)中 21 名(男児 11 名,女児 10 名)が発症した.気管 支炎や肺炎の診断のもとに延べ 14 名(実人数 10 名)が当院小児科へ入院したが,重症例はみられ なかった.

2.咽頭培養検査

咽頭培養検査では,インフルエンザ菌と肺炎球 菌が各々 1 名から検出されたが,その他は陰性で あった.

Fig. 1 Onset and duration of symptom

(3)

Table 1 Profiles of 8 patients of Legionellosis

Date of  sampling Urinary 

antigen Outcome

Admission Underlying 

disease Age Sex

 (mo) Patient 

No

Jul 15

+ Alive

− F

11 1

Jul 11

+ Alive

− M

12 2

Jul 15

+ Alive

− F

13 3

Jul 15

+ Alive

− M

15 4

Jul 11

+ Alive

22q11.2deletion  + syndrome M

16 5

Jul 11

+ Alive

− M

17 6

Jul 15

+ Alive

− M

21 7

Jul 15

+ Alive

− F

22 8

Table  2 Clinical symptoms of 8 patients of  Legionellosis

8/8(  100%)

Cough

8/8(  100%)

Fever(> 38℃)

8/8(  100%)

Rhinorrhea

7/8(  87.5%)

Wheeze

9.9 ± 2.2 days Duration of cough

4.5 ± 1.8 days Duration of fever

3.ウイルス抗原検出

RS,インフルエンザ,アデノウイルスに関して 抗原検出を試みたが,入院患児で検出されたもの はいなかった.

4.クラミジアニューモニエ,マイコプラズマ ニューモニエ抗体価測定

ク ラ ミ ジ ア ニ ュ ー モ ニ エ,マ イ コ プ ラ ズ マ ニューモニエに関して抗体保有状況を検索した が,入院患児で有意の抗体価上昇を認めたものは いなかった.

5.レジオネラ尿中抗原検出

レジオネラ尿中抗原が陽性を呈した患児は 23 名中 8 名であった.

発生状況,臨床症状および尿中からの抗原検出 成績からレジオネラ症と診断し,4 類感染症発生 届を保健福祉事務所に提出した.同所による採水 調査として,浴室のシャワーヘッド,浴槽,給水 末端,洗濯場などの 12 カ所から検体採取を行い,

レジオネラ菌検出を試みたが陰性であった. なお,

感染経路としてよく疑われる冷却塔は,施設内に は存在しなかった.施設の清掃と消毒を行い経過 観察したところ,呼吸器症状や発熱を呈する患児 は同年 7 月下旬をもってみられなくなった.

レジオネラ症と診断された 8 名の患児背景(年 齢,性別,基礎疾患) ,入院加療の有無,転帰を Ta- ble 1 に示した.年齢は 11 カ月から 1 歳 10 カ月 で,平均年齢は 1 歳 4 カ月,性別は男児 5 名,女 児 3 名であった.基礎疾患を有した患児は 1 名の みであり, 入院加療を要した患児は 6 名であった.

転帰に関しては 8 名全例とも後遺症なく治癒し

た.

臨床症状(Table 2)に関しては,鼻汁,咳嗽,

発熱は全例に認められ,喘鳴が 8 名中 7 名にみら れた.消化器症状や神経症状を呈したものはな かった.咳嗽期間は 9.9±2.2(平均±標準偏差)日 で,発熱期間は 4.5±1.8 日であった.

血液検査成績を Table 3 に示した.入院患児 6 名の白血球数は 7,500〜15,300(10,633±2,721) ! µ l と増加していた.CRP は 0.2〜2.5 (0.85±0.85) mg ! dl と軽度の上昇であった.高度の肝機能異常や低 ナトリウム血症を来した症例はなかった.

胸部エックス線検査を施行した 7 名では,2 名 に右下肺野と左下肺野に浸潤陰影を認めたが,胸 水貯留を呈したものはなかった.

使用抗菌薬(Table 4)に関しては,マクロライ ドまたはテトラサイクリン系抗菌薬を使用した症 例は 8 名中 4 名であり,他の 4 名には β ―ラクタム 系抗菌薬を使用した.その結果,全例とも後遺症 なく治癒した.

1976 年 7 月,フィラデルフィアで全米在郷軍人

(4)

Table  3 Laboratory data of 6 patients of Legionellosis

Date of  sampling Cl

(mEq/l)

K

(mEq/l)

Na

(mEq/l)

LDH

(IU/l)

ALT

(IU/l)

AST

(IU/l)

ESR

(mm/1h)

CRP

(mg/dl)

WBC

(/µl)

Patient  No

Jul 1 104

4.1 136

331 39

72 27

0.6 8,700 1

Jul 9 106

4.4 139

547 25

41

― 0.2

11,800 2

Jun 28 106

4.1 140

316 19

41 40

0.7 7,500 3

Jun 21 102

4.0 137

349 18

52 29

2.5 10,400 4

Jun 17 102

3.8 137

254 14

33 25

0.9 10,100 5

Jun 24 104

3.9 136

291 17

43 15

0.2 15,300 6

Table  4  Antimicrobial agents administered before and after admission  Antimicrobial agents used

Patient No

After admission Before

Piperacillin Cefaclor

1

Piperacillin, Clarithromycin Cefaclor, Clarithromycin

2

Piperacillin Cefcapene pivoxil

3

Flomoxef Cefcapene pivoxil

4

Piperacillin, Minocycline Minocycline

5

Piperacillin

― 6

― Minocycline

7

― Minocycline

8

大会が開催され,この時に一致してホテルに宿泊 した軍人とその家族,および通行人の併せて 182 名が肺炎に罹患し,このうち 29 名が死亡した

4)

. 1977 年に病原体としてグラム陰性桿菌が特定さ れ

5)

,レジオネラ菌と称されるようになった.

レジオネラ菌は河川,土壌,温泉水などの自然 環境中に広く生息するが,冷却塔水,給湯給水タ ンク,噴水などの人工の水源環境にも生息してい る.現在までに 40 菌種以上,血清型を含めると 60 種以上が命名記載されており, そのうち 22 菌種が 人に病原性を有することが確認されている

6)

.Le- gionella pneumophila なかでも L. pneumophila sero- group 1 による感染例が最も多く,次に serogroup 6 が 続 き,L. bozemanii ,L. dumoffii,L. micdadei などによる感染例も報告されている

2)3)7)

本 邦 で は,1981 年 に 斉 藤 ら

1)

L. pneumophila 肺炎の第 1 例を報告して以来,高齢者における報 告はみられるが

2)3)

,小児科領域での報告は極めて 少なく,そのほとんどが新生児例である

8)〜12)

小児科領域での集団感染例としては,1996 年に

都内の大学病院新生児棟で発生した 4 例の新生児 レジオネラ症

9)

と, 広島県の病院で発生した 2 例の 新生児レジオネラ症

11)

の報告があるのみである.

前 者 で は 3 例 が L. pneumophila serogroup 6, 1 例 が serogroup 1 の感染であり,給水系,加湿器およ びミルク加温器から菌が分離されていた.後者で は 2 例とも serogroup 1 の感染であり,加湿器,ミ ルク加温器,給水・給湯系から菌が検出されてい る.

今回感染源の検査として,浴室のシャワーヘッ

ド,浴槽,給水末端,洗濯場などから検体採取を

行ったが,レジオネラ菌は検出されなかった.レ

ジオネラ症は,主としてレジオネラ属菌に汚染さ

れた水のエアロゾルによる経気道感染により発症

することと,潜伏期間が 2〜10 日であることを考

慮すると,自験例では,6 月中旬まで施設内で使用

されていた超音波式および気化式加湿器,もしく

は 6 月中旬に行われた院内消毒で使用された噴霧

器が感染源として強く疑われた.その後,施設内

の消毒と清掃を行い経過観察したが,同年 7 月下

(5)

旬をもって呼吸器症状や発熱を呈する患児はみら れなくなった.また,加湿器の使用を制限し,院 内消毒を中止した結果,その後 1 年間新たな集団 発生はみられていない.

患児に関しては,性別では男児が 5 名,女児が 3 名と男児に多かった.基礎疾患を有した患児は 22q11.2 欠失症候群の 1 名のみであり, その児にお いて免疫機能の低下はみられなかった.症状とし ては鼻汁と咳嗽,発熱が全例にみられ,また,乳 幼児であったためか喘鳴が 8 例中 7 例に認められ た.咳嗽および発熱期間に関して,基礎疾患を有 した児と他の児との間に差はなかった.レジオネ ラ症においては,下痢,嘔吐,腹痛などの消化器 症状や頭痛,傾眠,昏睡,脳炎症状などの精神神 経症状をみることがあるが

7)

,自験例でこれらの 症状はみられなかった.

血液検査成績では,白血球数の増加と赤沈値の 亢進はみられたが CRP の増加は軽度であり,高度 の肝機能異常や低ナトリウム血症

3)6)7)

を呈した患 児はいなかった.胸部エックス線写真では,2 名に 右下肺野と左下肺野に浸潤陰影を認めたが,多巣 性の小結節影

13)

や空洞形成

12)

,胸水貯留

3)6)

はみら れなかった.

Muldoon ら

14)

のレジオネラ菌に対する抗体保有 調査によると,9 歳までに多くの小児がレジオネ ラ菌に対する抗体を保有しているが,これらすべ ての児に肺炎の症状が認められたわけではないと いう.このことより,レジオネラ症には不顕性感 染やポンティアック熱,そして軽症の下気道感染 の症例が多いものと推定されていた.しかし,従 来の報告によるレジオネラ症の大部分が重症例で あるので,レジオネラ症は重篤な疾患という印象 があるが,自験例を通して,レジオネラ症には軽 症例も存在することが明らかとなった.

治療に関しては,レジオネラ属菌は細胞内寄生 菌であるため,細胞内に移行性の高いマクロライ ド,テトラサイクリン,ニューキノロン系,リファ ンピシンなどの抗菌薬が有効とされており

6)15)

, 投与期間に関しては,再燃を予防するために 2〜3 週間の投与が勧められている

6)13)

.今回,レジオネ ラ症と診断が確定するまでに時間を要し,当初,

インフルエンザ菌や肺炎球菌などによる細菌感染 症が考えられたために,4 名の患児に β ―ラクタム 系抗菌薬を使用し,また,クラミジア感染症やマ イコプラズマ感染症,急性 Q 熱などのリケッチア 感染症の可能性も考えられたために,3 名の患児 に短期間に限ってテトラサイクリン系抗菌薬を使 用した.その結果,全例とも後遺症なく治癒し,

このことより,自験例のような軽症例では,マク ロライドやテトラサイクリン系などの抗菌薬を使 用しなくとも,治癒する可能性が示唆された.

現在,レジオネラ症の診断法には染色法,培養 分離法,抗体検出法,遺伝子診断法,抗原検出法 があるが

16)

,抗原検出法の一つとして開発された 尿中抗原検出法は,CDC の診断基準にも採用され ており,感度・特異度ともに高く,迅速に診断が できる有用な検査法となっている

17)

.これには EIA 法やイムノクロマトグラフィー法があり,発 症数日後より陽性結果が得られ,数カ月にわたり 検出することができる. 更に検体が尿であるため,

患児に侵襲を与えずに検体が採取できるという長 所を持つ.

Marston ら

18)

の 報 告 に よ る と,米 国 で は 年 間 17,000〜23,000 例のレジオネラ症が発生している と推測されているが,実際の報告数はその 5% に 過ぎない.この原因は,尿中抗原検出法などの検 査が普及していないために,確定診断に至る症例 が少ないためと考えられている.本邦では,1999 年 4 月より感染症法が改正され,レジオネラ症は 届け出義務のある 4 類感染症に分類された.それ 以後,レジオネラ症の報告は著しく増加してきて いるが

15)

,この一因には尿中抗原検出法などの診 断法の進歩が寄与しているものと思われる.

今回我々は,イムノクロマトグラフィー法であ る NOW Legionella Urinary Antigen Test(Binax)

を用いて抗原検索を行った.この尿中抗原検出法 は L. pneumophila serogroup 1 のみを 検 出 す る も のなので,症状が認められたにもかかわらず尿中 抗原が陰性を示した患児に関しては,仮にレジオ ネ ラ 症 に 罹 患 し て い た と す れ ば,病 原 菌 が L.

pneumophila の他の血清群,もしくは L. pneumo-

phila 以外の菌種であったために検出されなかっ

(6)

たのではないかと推測された.2003 年 4 月からは 尿中抗原検出法は外注検査が可能となり, L. pneu- mophila serogroup 1 以外の L. pneumophila および L. bozemanii,L. gormanii,L. micdadei などの菌種 も検出できるようになり,レジオネラ属菌を幅広 く検出することが可能となった.

自験例を通して,症状が軽症でも気管支炎や肺 炎などの呼吸器感染症が集団発生した際には,レ ジオネラ症も考慮する必要があることを痛感し た.また今後,尿中抗原検出法などの迅速診断検 査が医療機関に普及し,軽症例から重症例まで幅 広く症例が集積されることにより,本邦における レジオネラ症の実態が解明されることを切望す る.

本 論 文 の 要 旨 は 第 98 回 日 本 小 児 科 学 会 福 島 地 方 会

(2002 年 10 月,郡山市),第 77 回日本感染症学会総会(2003 年 4 月,福岡市)にて報告した.

謝辞:稿を終えるにあたり,ご校閲賜りました福島県立医 科大学医学部小児科学講座鈴木 仁教授に深謝致します.

1)斉藤 厚,下田照文,長沢正夫,田中 光,伊藤 直美,重野芳輝,他:本邦ではじめての Legion- naires disease(レジオネラ症)の症例と検出菌の 細菌学的性状.感染症誌 1981;55:124―8.

2)荒川迪生,稲松孝思,江崎孝行,大井田隆,斎藤 厚,副島林造,他:本邦レジオネラ肺炎患者につ い て―1979 年 か ら 1992 年 ま で―.日 環 感 1993;8:1―10.

3)山口惠三,舘田一博,石井良和,村上日奈子,松 本哲哉,古谷信彦,他:Legionella肺炎の診断法と 臨床的特徴に関する検討.感染症誌 1997;71:

634―43.

4)Fraser DW, Tsai TR, Orenstein W, Parkin WE, Beecham HJ, Sharrar RG,et al.:Legionnaires disease:Description of an epidemic of pneumo- nia. N Engl J Med 1977;297:1189―97.

5)McDade JE, Shepard CC, Fraser DW, Tsai TR, Redus MA , Dowdle WR : Legionnaires dise- ase:Isolation of a bacterium and demonstration of its role in other respiratory disease. N Engl J Med 1977;297:1197―203.

6)健山正男:レジオネラ感染症.治療 2000;82:

350―4.

7)舘田一博,山口惠三:レジオネラ.小児科臨床 1999;52:591―4.

8)中村恒穂,簑島 香,蒲原 孝,武田信裕,中村 明,堀江 弘:急激な致死的経過をとったレジオ ネ ラ 肺 炎 の 1 新 生 児 例.日 児 誌 1992;96:

1101―6.

9)山下直哉:レジオネラ症.日児誌 2000;104:

23―4.

10)倉 文明,渡辺治雄:家庭用 24 時間風呂が感染 源と考えられたレジオネラ肺炎の 1 例.感染症誌 2000;74:161

11)佐々木伸孝,大野令央義,佐々木隆司,大黒一成,

堀野信子:新生児レジオネラ感染症.小児科診療 2002;3:483―9.

12)松本歩美,細矢光亮,佐久間弘子,隅越 誠,大 西周子,鈴木 仁:新生児重症レジオネラ肺炎の 1 例.小児感染免疫 2003;15:8―11.

13)宮 入 烈:レ ジ オ ネ ラ 感 染 症.小 児 科 臨 床 2002;55:651―4.

14) Muldoon RL , Jaecker DL , Kiefer HK : Legion- naires disease in children. Pediatrics 1981;67:

329―32.

15)比嘉 太:レジオネラ肺炎の特徴と治療.日医雑 誌 2002;128:MP19―21.

16)斎藤 厚:レジオネラ症.感染症の診断・治療ガ イドライン.日医雑誌 1999;122:178―81.

17)新垣紀子,比嘉 太,小出道夫,新里 敬,健山 正男,草野展周,他:レジオネラ肺炎に対する早 期診断法としての尿中抗原検出法の意義.感染症 誌 1999;73:421―8.

18)Marston BJ, Lipman HB, Breiman RF:Surveil- lance for legionnaires disease: Risk factors for morbidity and mortality. Arch Intern Med 1994;

154:2417―22.

(7)

An Outbreak of Legionellosis in a Nursery

Hideaki SAKAI

1)

, Mitsuko AKAIHATA

1)

, Katsunao NIITSUMA

2)

& Mitsuaki HOSOYA

3)

1)Department of Pediatrics, Fukushima Prefectural Aizu General Hospital

2)Department of Internal Medicine, Fukushima Prefectural Aizu General Hospital

3)Department of Pediatrics, Fukushima Medical University School of Medicine

We experienced an outbreak of legionellosis in infants for the first time in Japan. In Fukushima

Prefecture Wakamatsu Nursery, the patients who had respiratory symptoms of cough, wheeze and

fever appeared one after another from the middle of June, 2002. We suspected that an outbreak of le-

gionellosis had occurred and then carried out urinary antigen detection of Legionella pneumophila. As

a result, 8 patients were positive. They consisted of 5 boys and 3 girls, and ranged in age from 11

months to 1 year 10 months. Underlying disease was observed in one patient, and 6 patients were

hospitalized. All 8 patients had rhinorrhea, cough, fever and 7 patients had wheeze. The average du-

ration of cough was 9.9 days and that of fever was 4.5 days. In the admitted 6 patients, WBC ranged

in count from 7,500 ! µ l to 15,300 ! µ l and CRP ranged from 0.2mg ! dl to 2.5mg ! dl. Chest X-rays showed

infiltrative shadows(right lower lobe, left lower lobe)in 2 patients. With regard to the treatment,

macrolide or tetracycline antibiotics were administered in 4 of 8 patients, and β -lactams were admin-

istered in others. Water samples were obtained from 12 locations at the nursery , including the

shower head of the bathroom, the bathtub, the taps, the laundry and so on. But cultures of water

samples failed to grow legionella. We suspected that the source of infection was the humidifiers or

the nebulizer used for disinfection. Through this outbreak, it became obvious that the mild case of le-

gionellosis really existed. Furthermore, we suggested that it was possible for the patient with mild le-

gionellosis to cure without administration of macrolide or tetracycline antibiotics.

Fig. 1 Onset and duration of symptom
Table 1 Profiles of 8 patients of Legionellosis Date of  samplingUrinary antigenOutcomeAdmissionUnderlying diseaseAgeSex (mo)Patient No Jul 15+Alive+−F111 Jul 11+Alive+−M122 Jul 15+Alive+−F133 Jul 15+Alive+−M154 Jul 11+Alive22q11.2deletion + syndromeM165 J
Table  3 Laboratory data of 6 patients of Legionellosis Date of  samplingCl (mEq/l)K(mEq/l)Na(mEq/l)LDH(IU/l)ALT(IU/l)AST(IU/l)ESR(mm/1h)CRP(mg/dl)WBC(/ µ l)Patient No Jul 11044.11363313972270.68,7001 Jul 91064.41395472541―0.211,8002 Jun 281064.11403161941

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