平成24年度屋久島世界遺産地域科学委員会 議事録 日時:平成24年7月21日(土) 13:00~15:30 場所:屋久島環境文化村センター レクチャー室 1.開会 九州局(福嶋) ただいまから平成24年度屋久島世界遺産地域科学委員会を開催させていただきたいと思い ます。 委員の皆様、また関係機関の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、 大変ありがとうございました。また、早朝から現地調査に御参加いただきまして、どうもあ りがとうございました。 議事に入るまでの進行を務めさせていただきます、本年度事務局代表機関の九州森林管理 局の福嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の科学委員会は、日程調整の関係で松田委員が御出席できなくて、松田先生に対しま しては後日、結果を御報告させていただきたいと考えています。 それでは、皆様のお手元の配付資料を確認させていただきたいと思います。 まず1枚目が議事次第、2枚目に名簿、資料1、資料2と資料-2の参考、それと屋久島 山岳部の概要関係で、資料3-1-1、資料3-1-2、資料3-1-3、資料3-1-4、 それと、山岳部の利用に関する検討経緯と取組状況ということで、資料3-2、資料3-2 (付属1)、資料3-2(付属2)、資料3-2(付属3)、資料3-2(付属4)となって おります。そして、参考資料1として前回の議事要旨、参考資料2として科学委員会の設置 要綱、参考資料3「屋久島世界遺産地域科学委員会の役割と検討経過について」でございま す。そして、最後にお配りしました「屋久島における観光利用とオーバーユース問題」とい うことで、資料は以上でございます。 不足、欠けているものはありませんでしょうか。 それでは、開会に当たりまして、九州森林管理局計画部長の矢野よりごあいさつを申し上 げます。 九州局(矢野) 皆さん、どうもお疲れさまでございます。 私は九州森林管理局の矢野と申します。この4月に異動になりましてこちらに参りました ので、科学委員会には初めてということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げ ます。 また、委員の皆様におかれましては、屋久島世界自然遺産の管理に当たりましてさまざま な面から御助言を賜っておりますことを、この場をおかりしてお礼申し上げる次第でござい ます。また、本日は大変お忙しい中お集まりいただきました。屋久島の縄文杉ルートの現状 も見ていただきたいということで御案内しましたところ、早朝から多数の委員の御参加をい ただきまして、大変ありがとうございました。 皆さん、御承知のとおり、屋久島につきましては、平成5年に世界遺産に登録されまして、 来年で20周年ということでございます。この間、関係行政機関と連携を図りまして、さまざ まな対策をし、その価値を将来に向かって維持していくということで頑張ってきております
けれども、登山者数の増加等に伴いまして、縄文杉登山ルートなどにおけますいわゆるオー バーユースの問題、またはヤクシカによる生態系への影響の問題といったことが顕在化して いることは、御承知のとおりでございます。 昨年度までこの委員会でもさまざま御意見をいただきまして取りまとめました世界遺産地 域管理計画ができるところでございまして、これらの課題についてはこの中にきちんと書き 込まれているというところでございます。したがいまして、今後におきましては、この管理 計画を実施していくという段階に至っていると考えておりまして、きょう議題にも上らせて いただいております山岳部の適正な利用について、またヤクシカ問題についてのワーキング グループの検討状況、またモニタリング調査等についてということで、きょうは大変限られ た時間でございますけれども、これらにつきまして関係行政機関が地域の合意形成を図りな がら対策を進めていく上でのさまざまな御助言をいただければと考えてございますので、よ ろしくお願いいたします。 九州局(福嶋) それでは、議事に入りたいと思います。 議事の進行は、科学委員会設置要綱第4条に基づきまして、矢原委員長にお願いしたいと 思います。 2.議事 (1)ヤクシカ・ワーキンググループの検討状況について 矢原委員長 九州大学の矢原です。どうぞよろしくお願いいたします。 早速議事に入りたいと思います。まずヤクシカ・ワーキンググループの検討状況について 事務局から説明をしていただいた後、私のほうからも補足させていただければと思っており ます。 九州局(濱田) 九州森林管理局指導普及課の濱田でございます。 それでは、議事次第の(1)「ヤクシカ・ワーキンググループの検討状況について」とい たしまして、お手元資料1のとおり、先月6月21日に第5回のヤクシカ・ワーキンググルー プが開催されましたので、その概要をもって説明させていただきます。 資料1の裏面、2ページ目に概要がございますが、時間の制約もございますので、3点目 の「地域別の保護管理対策について」、ここから御説明いたします。 課題といたしましては、ヤクシカの個体数管理と生態系管理。 南部と北東部を重点地域といたしまして調査、捕獲を実施しながら、それを検証してほか の地域で個体数管理する場合の目安とする。特に南部につきましては、保護柵等の対策もあ わせて実施していく必要があるということが、話の内容として整理されております。また、 西部につきましては、捕獲対象地として一部を試験的に捕獲することを検討すること、また、 捕獲の目的は、生態系や農林業被害を軽減させるということであり、特に生態系の維持・回 復が重要なテーマだということが確認されております。
屋久島全島における工程を打ち出す時期に既に来ているのではないかということで、シミ ュレーションしつつ、どういう形で順応的管理を進めていくのかという青写真を提示してい く必要がある。 また、利用や捕獲したシカの処分の問題等もありますので、そういった点についての有効 利用の検討もあわせて進めていくべきだろうということでございます。 2点目といたしまして、植生・絶滅危惧植物の保護方策。こちらにつきましては、希少種 を守るために、保護柵の設置とシカの捕獲とをバランスよく組み合わせて実施していくこと が重要。また、現在設置しております区域以外にも保護柵の設置が必要と思われるところが あるので、その点について検討していくということ。 3点目のモニタリングにつきましては、各機関と手法を統一して、評価を一体化させてい く。特に密度調査につきましては、推定するに当たって糞粒法が主に用いられているわけで すけれども、屋久島に適した糞の分解プログラムの検討が望まれる点でございます。 そのほかといたしましては、シャープシューティングの議論もございまして、屋久島の中 央部では流し猟は困難な課題はあるけれども、屋久島独特の環境とシカの特性があるので、 ほかの事例にとらわれずに屋久島方式を考えていくべきではないかといった点でございます。 最後に、普及啓発用のためのパンフレットを作成して、シカ対策の必要性を広く島内外に 広めて啓発していくべきでは、これは整備を進めていく予定としております。 ここには記載してはございませんが、これまでワーキンググループを5回開催しておりま す。こういった議論の状況といたしまして、議論の内容、今後の課題等を次回のワーキング グループに向けて整理していくこととしてございます。 事務局からの報告は以上でございます。 矢原委員長 どうもありがとうございました。 私のほうからも補足させていただきたいと思うのですが、実は4月以降、かなり大きな動 きがございました。ただ、今回の科学委員会は、前回からの経緯で、適正な利用問題を重点 的な議題にするということになっておりますし、ヤクシカに関する御議論も今まさに動いて いるところなので、次回の科学委員会ではもう少し資料もつけて報告させていただきたいと 思っています。 動きといいますのは、1つは、この間、屋久島に来ると必ず会だけ出て帰るという状況だ ったのですが、4月に私が久々に調査に入ったところ、私は2003年か2004年に尾之間歩道で、 ツルランの屋久島で一番大きな群落を全個体マークして地図に落としたという調査をしてお ります。471株あったのですが、それがほとんどすべてシカの食害に遭って消失していると いう状況にありました。私は最初1株しか発見できなかったのですが、その後、手塚さんた ちにも手伝っていただいて徹底して調べて、37株確認できましたけれども、471株が37株に 減って、しかもその37株もほとんど食いがあったりして、マークしておいたので発見できた という状況にあります。屋久島最大のツルランの群落が消えた。 ツルランだけではなくて、その周囲のさまざまな、尾之間歩道は希少植物や林床植生の宝 庫だったのですが、それが消滅の危機にあるという状況になっております。すぐに森林管理 署の方に来ていただいて、手塚さんにも来ていただいて、緊急対策会議を持って、今動いて います。その後、私も毎月、屋久島に来ております。そういう状況にあります。 ですから、ヤクシカ個体数管理のところで、一番最初に南部を重点地域として、南部とい うのが挙がっているのは、これまでのヤクシカの議論で南部というのは、松田さんが調査さ
れて、私も自分で調査した10年間の間にほとんどふえていなかったので、様子を見るという 方針だったのですが、その南部でシカが急増して、捕獲数のほうも、今まで余りとれていな かったのですが、昨年は200頭ぐらいとれています。ですから、明らかにふえていて、そこ に緊急に対策をとらなければいけないという状況になっているという点で、南部というのを 重点地域の1つに挙げています。 もう1つは、北東部ですけれども、昨年度、林野の捕獲と猟友会の捕獲とを合わせて、た しか2,606頭捕獲していると思うのですが、そのうち林野のほうの捕獲で捕獲数が一番多か ったのが宮之浦川で、22年度、23年度、続いてよくとれています。22年度がたしか180頭ぐ らいとれていて、23年度が150頭弱ぐらいに減っています。だから、若干減っているかなと いう感じはするのですけれども、ただ、いろんな林道でのわなの設置日数が年度によっても 違いますので、横軸にわなの延べ設置日数をとって、縦軸に何頭とれたかというグラフをか いて、その傾きを22年と23年で比べると全く違わないのです。ですから、現時点では統計的 な誤差の範囲で、むしろ150頭、180頭とっても、宮之浦川では基本的には抑え込めていない という判断するほうがよいだろう。ただ、かなりよくとれるようになってきていますので、 宮之浦川を、できれば延べわな捕獲日数をことしは延ばして、もっととって、若干減ってい るように見える、確かに減っているということが言えれば、少なくともその流域では捕獲管 理、ヤクシカの管理を成功させられる見通しが出てくるということで、宮之浦川をもうちょ っと重点的にやってはどうかという議論はしました。 もう1つ、宮之浦川で朗報なのは、国有林外の上屋久猟友会のほうでのわな捕獲がかなり うまくいっていて、そちらもわな捕獲日数に対してどれだけとれたかというグラフをかいて みたのですけれども、こちらは22年度に比べて23年度の傾きがぐっと上がっています。これ はふえたせいというよりは、多分、猟友会の方がわな捕獲の技術にかなりなれられて技術が 向上して捕獲効率がぐっと上がっているのだと判断しています。そういう点で、猟友会の方 の協力も得て宮之浦川に集中すれば、宮之浦川の管理を成功させられる可能性がかなり出て きたのではないかという判断をしております。 そういう状況にありますので、南部、北東部を重点地域として実施、成功事例として投入 労力等を検証して、それがうまくいけば西部に関しても、このぐらいとれば確かに減らせて 効果も検証できるのではないかという見通しが立ってくるのではないかと思っています。 あとは、効果の検証に関しては、これはこれからの課題になるのですけれども、屋久島固 有種の更新が確保されるような状態を、ヤクシマオナガカエデを今考えておりまして、その モニタリングをことしの捕獲とあわせてやるようなことをして、単にシカだけ管理している のではなくて、生態系全体の管理がきちっとできているという状況にしていきたいなと思っ ているところです。 私のほうからはとりあえず以上にして、あとは委員の方から補足等を。 牧野委員 質問ですが、シャープシューティングのところで、ライフルの使用が課題ということが書 かれているのですが、課題というのはどういう意味でしょうか。シャープシューティングは 多分散弾はだめでライフルが前提ですが、使えないという意味でしょうか。 九州局(濱田) これは九州全県だと思いますが、ライフルの使用が許可にならない実態があるように聞い ております。免許を持っている者が九州外から来なければならないのではないかという課題 があると聞いておりますので、検討を進めるのであれば、各県ともにそこのところの課題の
整理等が必要になってくると考えております。 牧野委員 九州全県でライフルの免許を取ることはできないけれども、よそからライフルの免許を持 った人が来ることは構わないということですか。 九州局(濱田) よく調べてみますが、それは可能だろうと考えてございます。 牧野委員 わかりました。 立澤委員 このワーキングの議事概要ということで、かなりコンパクトに整理していただいているの で、報告内容とおよそ合意されたことがまざっているのではないかと思うんですが、シャー プシューティングに関しては、たしかこのワーキンググループでもしましたけれども、特に 合意ということではなくて、こういうことが県のほうで予算づけをされて検討していく必要 があるというところぐらいが合意事項で、それで具体的にいろいろ考えられることの1つと して、例えばライフに関しては検討しなくてはいけないというような内容だったのではない かと記憶します。 私個人としては、きょう猟友会のほうからもおいでになっているので、現場からの御意見 を伺ったほうがいいと思うのですが、シャープシューティングの定義の問題がありますけれ ども、必ずしもライフルでなくてもシャープシューティングはある意味でできるのではない かと私は認識しています。 あとは、この点は科学委員会で報告すべきこととして、特定計画がスタートしたというこ とも非常に重要な話ですので、県のほうの御尽力でこのようなものがスタートしたというこ とを、私がすることではありませんが、報告事項として入れていただければと思います。 矢原委員長 その他、質問、御意見等はございませんでしょうか。県のほうからはよろしいですか。 鹿児島県(則久) 鹿児島県自然保護課の則久と申します。 今、立澤先生から御紹介いただきましたが、鳥獣保護法に基づくヤクシカの特定鳥獣保護 管理計画というのが3月に策定されまして、この4月から5カ年計画で適用されております。 つくる過程ではいろいろ議論はあったのですが、最終的に現在の知見でつくるものというこ とで、屋久島を大きく6ブロックに分けまして、その各ブロックごとの捕獲の方針を決めて おります。生態系に影響が出るかどうか、20頭ないしは10頭未満で、ブロックごとに大体目 標の数字を決めまして、それと現在の推定頭数をまたブロック別に割り当てて、それぞれの ブロックごとに何頭ぐらいとっていく必要があるかといったシミュレーションなども行って おります。 昨年度は2,600頭余り捕獲されておりまして、全島でバランスよく同じ規模でとれていけ ば、恐らく県の特定計画としては目標は達成するということになるのですが、ただ、一方で、 とれている場所に非常に偏りがあるということが実際にわかってきておりまして、中央部の 山岳部と西部林道の周辺では一応捕獲実績がない。それ以外のふもとでたくさんとっている という状況になっております。そのワーキングでも御議論いただきましたけれども、西部地 域をどうするのか、あるいは中央部の山岳地域、具体的にいいますと世界遺産地域の中でど うしていくのかというのが今後の課題であるかなと思っております。
矢原委員長 どうもありがとうございました。 ほかにございませんでしょうか。 大山委員 シカを現実に今とっているのは、ほとんど里だけの部分の話で、山の上のほうが随分広い 面積を持っているので、山頂も含め、奥深い森の中でどうやって捕獲を進めていくのか、本 当にそれが実際にできるのかどうか、予想どおり捕獲ができるかどうかというのは、かなり 疑問が残ると感じます。ふもとだと、まだ結構いろんな、犬を使って追い出してやりやすい というのもあるんでしょうが、上に行くとその辺あたりも考慮して対策を立てていらっしゃ るのかどうか、お伺いしたいのですが。 矢原委員長 今、則久さんからも説明いただきましたように、奥岳に関しては、例えば、安房林道の周 辺から宮之浦、永田のことについては、全く手つかずの状態ですが、幸いといいますか、い ろいろな植物の生育状況等についての最新の調査結果を見ても、まだシカの食害によって種 の消失が心配されるという状況にはなっていない。むしろこれから議論になる踏みつけの問 題のほうが奥岳では深刻かなと見ております。 奥岳以外の林道に関しては、例えば、先ほど申し上げた宮之浦林道では、わなを仕掛けて、 下のほうでは余りとれなくなって、上に、奥のほうに動かしてとっているという状況と伺っ ておりますので、かなり標高の高いところまで捕獲圧がかけられている状況になっています。 これまでの調査結果から見ても、林道沿いがやはり高密度化していて、そこから原生林の中 に入っていっている状況と思われますので、林道沿いの捕獲管理をまずきちんと成功させる ことが、屋久島全体での管理の第一歩かなと考えておるところです。 ほかにございませんでしょうか。 上屋久猟友会長 こちらからいいですか。 矢原委員長 どうぞ。 上屋久猟友会長 上屋久猟友会長をしております笠井と申します。 今シカの捕獲について、私達の猟友会員46名の会員ですが、そのうちでシカの捕獲、わな 免許を持ってする人が約40名います。 それで、先ほどおっしゃったシャープのほうですが、私は、山の中央部ですか、そういう ところでする作業については、余り期待は持てないと思います。というのは、そういうとこ ろでやっても、そんなに捕獲量が上がるものではないと思います。それよりもかえって、屋 久島の管理署あたりがつくっている林道が奥地まで各集落ごとに1本ずつ必ずあります。あ れを利用して車で奥地まで行ったら、相当なシカがとれます。散弾銃でですね。もちろん移 動する車の上から撃つのは違反ですから、その辺がどうなるかわかりませんが、それを許可 してもらえれば、それは管理署の林道から奥地のほうへ行けば、軽トラック1台ぐらいはと ってきます。それは私は自信を持っています。ただ、それは違法で許可がないとできないこ とですから。 餌付をして、ライフルで撃つということでしょうが、それでは余り成果が上がらない。か えって運搬や個体の後始末とか、そういうのを考えたら、相当な人手も要るし、また奥地で
ライフルを使うと、またいろいろな問題点が出てくるという気がするのです。 1つ、今、隣の会長さんにも聞いたのですが、屋久島にはライフルは許可にならないそう ですね。 以上です。 矢原委員長 どうもありがとうございました。 シャープシューティングの問題に関しては、何よりも猟友会の方とコンセンサスをしっか りつくっていただくというのが大事だと思いますので、関係機関の方はそういう御配慮をお 願いしたいと思います。 それから、国有林内でのシカの捕獲に関して、先ほど申し上げた22年度、23年度の林野で の捕獲の傾き、捕獲効率が全然変わっていないというか、現在の林野のスタッフで最大限と れるところの努力でとり続けている。それで抑え込めない状況だというのが、この間の数字 の上でもかなりはっきりしたと思っております。それで、国有林内で、前から課題になって おりますけれども、土日限定で、職員の安全確保にも十分配慮した上で、猟友会の方に御協 力いただくような方向性というのを今後調整する必要があるかなということを、屋久島に来 るたびに関係各方面にお願いしておるところであります。そういう方向で、猟友会の方とも 今後、私も毎月、今来ておりますので、いろいろ相談をさせていただければと思っておりま すので、どうぞよろしくお願いいたします。 九州局(米田) 屋久島森林管理署署長の米田です。 今、矢原委員長のほうから言われたように、国有林の捕獲については、特に猟友会のほう、 あるいは町のほうからも、せっかく民有地で有害鳥獣捕獲をしておって、国有林に逃げ込ん だ途端にそこでさようならということは非常に忍びないという話もあって、土日限定とか、 事業をやっていない、それから入林しての調査とか、写真撮影とか、入林の人がいない、そ ういった安全面をきちっと図った上で、ある程度民有地境の国有林に踏み込んだところの捕 獲をできないかということで、今そのあたりの検討、調整をやっておりますので、できれば 国有林でも有害鳥獣捕獲を民有地境を中心にできるようにということで、安全確保第一です けれども、そんなところも今検討しております。 矢原委員長 検討をよろしくお願いいたします。 大山委員 もう1つ、来年度あたりの年間の捕獲数はどのくらいを目標にしているのか。それと、シ カの捕獲に対する予算の関係との絡みも出てくると思うのですが、そういう形で大体何千頭 ぐらいを目標にしたらよいのか。全島の推定数からいって何頭ぐらいとったほうがいいと思 われますか。例えば、3,000頭ずつ何年か捕獲をしてみるとかという目標というのはあるの ですか。 矢原委員長 先ほど申し上げたように、宮之浦川でひょっとしたらちょっと減ってきたかなというとこ ろですが、ほかのところに関してはその兆候はないかなと思っています。ですから、全島で 何頭とるという数字では、例えば、ことしは***林道でいっぱいとったけれども、宮之浦 川の捕獲数は余りうまくなかったというのでは、結局、きちんとした管理に結びつかないと 思うのです。ですから、当面、宮之浦川で明らかに減ったというところまで持っていけるか
どうかというのが、全島的にどのぐらい捕獲するのが適正かというのを判断する上でも必要 なことかなと思っております。今のところ2,606頭、去年捕っているのですけれども、それ で抑え込めていないのは確かですが、ではどのぐらいとればいいかというのは、どこかでこ のぐらいとったら確かにここまで減ったという数字がないと判断は非常に難しいんですね。 ですから、そういう点でも宮之浦川を1つ、突破口の成功例にできないかなと思っています。 大山委員 例えば、宮之浦のところで、1万頭いて何頭とってどのぐらい減ったとかというのは。 鹿児島県(則久) 県の特定事業の中で実は粗々のシミュレーションをしておりまして、大きく6ブロックに 分けてと申し上げましたが、昨年度が2,600頭余りなので、各ブロック別にその目標とする 数字に5年から15年後ぐらいの間に近づけていこうとすると──それでも平方キロ当たり10 頭、20頭という数字で高いとは思うのですが、大体2,600頭プラスアルファぐらいで、去年 よりもう少し、1割増しぐらいにとるといいような数字だったと思います。今手元にないの ではっきりしたことは申し上げられないのですが。 ただ、シミュレーションする過程の中で一番大きかったのが、今の推定では中央部に6,000 頭ぐらいいるのではないかということが言われておりまして、この中央部の6,000頭を減ら していくと仮に想定しますと、中央部の山岳地域で毎年1,200頭とっていかないと減ってい かないというシミュレーションになっています。今は中央部の中に入る、いわゆる国有林さ んのところでとられている部分がたしか200頭か300頭ぐらいの数字しかなかったと思うので、 これを実際にあの急峻な中でいかにそれだけとることが必要かというところが1つ課題かな と思います。 ただ、一方で、中央部につきましては、先ほど矢原先生がおっしゃったように、道路や林 道、歩道のバイアスがかかっていて、シカの通りやすいところの周辺にたくさんいて、人間 がそこで糞粒法によって仕掛けているので、高密度地帯のデータでもって全体の面積に掛け てしまっているので、数字が過大に出ているのではないかという可能性も捨て切れませんの で、そのあたりは環境省、林野庁でもいろいろな調査をされておられますので、より正確な 推定頭数を毎年検証していただきながら目標の数字も置いていけるのですが、ただ、最終的 にはその中でいかにしてとっていくかというのが、いずれかの段階では課題になってくるか なと思っています。 柴崎委員 いろいろお話を聞いて、きょうはなかなかおもしろいなと思っているのですけれども、1 つ、お伺いしたかったのが、先ほど猟友会の笠井さんから、林道で行ったらいいのではない かという案が出されたと思うんですけれども、これは、例えばワーキングの中でもそういう 意見が出てきているのか、この場で初めて出てきた話なのか、どちらなのかというのが気に なりました。要は、ある意味で地元の人の意見というのは、生活に根差しているので、非常 に的確な面というか、非常に有効な面というのはあると思うので、それこそワーキングの中 に、例えば地元の猟友会の方にも、オブザーバーでも何でもいいので、入っていただいてい るんだったらいいなと思ったのですが。そのあたりをお伺いしたいなと思いました。 矢原委員長 前回も猟友会の方に御参加いただいているのですが、今後、協力を深めていく上で、どう いう形かは今検討いただいているんですけれども、ワーキンググループの中に猟友会の方に も入っていただけるような方向性を事務局で考えていただく。
立澤委員 猟友会の方々にワーキングに入っていただくということは、非常に強く支持します。賛成 します。むしろワーキングに今まで入っておられなかったですけれども、毎回出席してくれ ていて、それでフロアから意見をいただいている中で、実はぽつぽつと地元としてやりやす い方向というのが、常に両会長さんからアイデアが出ているのですが、ワーキングではそれ をちゃんと吸い上げられていなかったという問題はあって。それから、シャープシューティ ングを含めてどういうとり方が屋久島で一番とりやすいのかということも、実はワーキング としてもきちんとまだ検討していないというのが実情だと思うのです。 ですから、シャープシューティングも含めて、これから実際に奥でどんなとり方をしてい くかというようなこと、上のほうと下のほうで全くとり方が異なってくる……。国有林か否 かということを別にしても、いろいろなとり方を植生との関係で検討しなければいけないと 思うので、ぜひワーキングに入っていただいて、ヤクシカ・ワーキンググループのメーリン グリスト書きましたが、捕獲ワーキングというのが別にあってもいいぐらいだと思いますけ れども、そういう具体的なとり方の検討を、多分、次は12月ではもう遅いと思いますので、 どこかで議論を進めていただけることを強く希望します。 加えて言うと、実際に今、猟友会さんのほうで鉄砲猟をされていた方々も、実際の計画的 な捕獲に協力するためにわな捕獲にかなり転換しているというか、時間を随分割いていただ いているという実態があります。基本的に個人の楽しみである狩猟に使う時間や、実質、お 金を、わな捕獲に随分差し向けてくださっているという実態は、かなり私たちはきちんと把 握しておかないと、あと10%増しで捕獲を頑張ってくださいという形の依頼だと、かなり厳 しいものが、労力的に猟友会の方の負担が随分これからもかかってくると思いますので、実 際にあとどれくらいならできるかということをきちんと実行当事者である猟友会の方々にも 検討していただいて、それをもとにこれからどうとっていくかということを議論しないとい けないと思います。 矢原委員長 この件に関してまだいろいろ御意見等もあろうかと思いますが、次回の科学委員会でこの 問題に時間を割ければと思っております。今回はヤクシカに関しては以上にさせていただい て、次の議題に移らせていただきます。 次に、議事(2)平成24年度モニタリング調査状況について、事務局から説明をお願いし ます。 (2)平成24年度モニタリング調査について 九州局(河野) 九州森林管理署計画課長の河野と申します。よろしくお願いいたします。 私から平成24年度モニタリング調査等について御説明させていただきます。 関連資料は資料2、並びに資料2-参考でございます。 モニタリング調査でございますが、関係機関が非常に多くの調査項目をやっているところ でございまして、これについてかいつまんで御説明させていただきたいと思います。 お手数ですが、最初に資料2-参考のほうをごらんになっていただけますでしょうか。 モニタリングにつきましては、科学委員会で御検討いただいた屋久島世界自然遺産地域モ
ニタリング計画に準拠しながら進めているところでございます。現在のモニタリング計画に つきましては、2012年から2021年の今後10年程度において各行政機関が実施するモニタリン グ項目及びその内容を規定しているところでございます。 具体的にどのようなモニタリング調査を行っているかということでございますが、参考資 料の2枚目のほうをめくっていただくと、このようなマトリックス表が出てくると思います。 1番目から14番目の大きな項目に分かれて現在調査を進めているところでございます。例え ば、1番目、気象データの測定、2番目、大気組成、水質測定、こういう基礎的な調査を行 うとともに、先ほどヤクシカ・ワーキングのお話もございましたけれども、8番目について は、ヤクシカの動態把握及び被害状況把握ということで、個別に見てみますと、ヤクシカの 個体数、捕獲頭数、ヤクシカによる植生被害及び回復状況など、そこに書いてあるとおりで ございます。 そのほか、本日の議題の1つでございます山岳部の適切な利用に関しては、13番目、利用 状況の把握、14番目、利用による植生等への影響把握という大項目で各種調査が進められて いるところでございます。個別具体的に見てみますと、13番目の利用状況の把握につきまし ては、例えば、18番目の屋久島入島者数、山岳部における登山者数など、14番目につきまし ては、24番目の登山道周辺の荒廃状況、植生変化。この調査事例についても、後ほど少し詳 しく御説明させていただこうと思います。それから、25番目の避難小屋トイレ周辺の水質調 査等を進めているところでございます。 このような調査を進めておりまして、具体的に今年度行う調査につきましては、お手数で すが、資料2のほうに戻っていただきまして、3ページから8ページということで、各調査 機関が調査を進めているところでございまして、今年度、具体の調査を行う予定にしている ところでございます。 今回、時間が少のうございますので、個別の調査の内容や進め方については、説明は割愛 させていただきます。他方で、なるべくよりよい調査を進めていきたいと思っておりますの で、調査内容についての御質問、また、こういう調査をブラッシュアップすればいいという ようなコメントがございましたら、私ども事務局のほうまでコメントをいただければ、次回 委員会までに整理して御提示させていただきたいと考えております。 私のほうからは以上でございます。 矢原委員長 この件に関しては、今回は調査の内容についての議論は控えさせていただいて、先ほど説 明がありましたように、これをごらんいただいて、ここはもうちょっとこうしたほうがいい のではないかという御提案がありましたら、私か事務局のほうに御連絡いただくということ にさせてください。 今どうしても全般的なことに関してぜひ言っておきたいという御意見があれば承りたいと 思いますが。 下川委員 空中写真は定期的には撮影されているのですか。 九州局(河野) 定期的には撮影しております。 下川委員 どれぐらいの間隔で撮影されていますか。 九州局(河野)
基本的には5年に1回ですけれども、空中写真の場合、林野庁が撮影する区域と、国土地 理院が撮影する区域に分かれております。屋久島がどちらに該当するかは調べてみなければ わからないのですが、基本的に定期的に撮影するようにはしております。 下川委員 地形の、特に山の崩壊とか、土石流とか、そういったものが経年的にどういうふうに変化 しているのか、それは写真以外に方法はありませんので、それは定期的に撮影されていると いうのは非常に重要ではないかと思います。 九州局(河野) なおかつ、過去の写真についても、ある分については保管しておりますので。 下川委員 そうですか。結構です。 矢原委員長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。 では、今後このような調査から出てきた結果をレビューしていくというのが科学委員会の 重要な役割になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 では、議事(3)山岳部の適正な利用に移ります。 本件に関しては前回からの経緯がございますので、参考資料に前回の議事録がついており ますので、必要に応じてこれを参照して前回の議論を思い出していただきながら議論を進め ていただければと思います。 まず事務局のほうから説明をお願いいたします。 (3)屋久島山岳部の適正な利用について 九州局(河野) では、事務局から説明させていただきます。お手元の資料3-1-1をごらんください。 これは屋久島の山岳部の概念図でございます。各ビューポイント、トイレ等の施設、世界 遺産区域、国立公園区域、森林生態系保護地域の区域が一目でわかるような図面になってお ります。今回御議論いただくに当たって、この図面を参照しながら進めていただければと思 います。 2番目でございます。2枚目につきましては、きょう一部の委員の皆様方に調査に行って いただいた荒川登山道の区域の少し詳細な図面を添付させていただいております。 3枚目でございます。3枚目が、荒川登山道の概念図でございます。きょう委員の皆様方 に行っていただいたのが、荒川登山口から徒歩で移動していただきまして、小杉谷橋、それ から楠川歩道分岐の少し先に進んだところにトイレがございまして、そこでUターンして戻 ってきたということでございます。ちなみに、スタート時間が荒川登山口が5時50分出発、 小杉谷橋が6時50分到着、楠川歩道分岐周辺が7時20分ごろの到着で、最終的には8時50 分に荒川登山口に帰ってまいりました。 このような状況でございまして、次に資料3-1-2を開いていただけますでしょうか。 近年の登山者等の利用者数の推移について御説明させていただきたいと思います。 1枚めくっていただけますでしょうか。まず①年次別推移でございます。昭和60年から平 成22年までのほぼ20年間のタームで、屋久島の入島者数、それから各地域の入林者・入山者 数のトレンドを示したものでございます。
一番上の青い線でございますが、これは屋久島入島者数でございます。1985年、それから 世界遺産に登録された1993年以降、右肩上がりに入島者数がふえている。他方で、近年につ きましては30~40万人の程度の揺れ幅で推移しているというところでございます。一方で、 個別の箇所ごとについて見ますと、下のヤクスギランド、白谷雲水峡、縄文杉等の線がござ います。中でも着目すべきところは、縄文杉の入山者数でございますが、これはまさに右肩 上がりでございまして、入島者数が近年30~40万人の振れ幅で推移している一方で、縄文杉 については10万人にたどり着かんばかりの勢いで、比較的平行な形で推移しているという状 況でございます。 このグラフをもとに、2000年度を100%とした場合の各地域の入林者数、入山者数の比率 を示したものが、次の3ページの資料でございます。これをごらんになっていただくとわか るように、先ほど申し上げたとおり、赤い色の縄文杉については、比較的安定的、かつ高い 水準で入山者が推移しているという状況にございます。他方で、それ以外の地域、例えば、 島全体の入島者数、ヤクスギランド、白谷雲水峡等につきましては、ある程度の幅の中で上 下している。総体的に見ると、若干下がり幅にあるようにも思えます。このような状況にご ざいます。 以上、20年間の時間軸を通して屋久島の各地域における入林者・入山者数について見てみ ました。 この20年の時間幅を、少し焦点を絞りまして、月間の時間軸の幅の中で見てみたいと考え ております。その資料が4ページ目、5ページ目でございます。縄文杉、宮之浦岳、ヤクス ギランド、白谷雲水峡というふうに4つの地域がございます。 縄文杉につきましては、8月、9月時期がピークになっています。次のピークが5月。宮 之浦岳は5月のちょうどゴールデンウイーク時期がピークになっているというところでござ います。ただ、ここで注意していただきたいのは、縄文杉と宮之浦岳は、よくよく縦軸を見 ていただければわかるのですが、縦軸の入山者数のレンジが違うということに御注意くださ い。やはり絶対的な入山者数につきましては、縄文杉のほうが多いということでございます。 ヤクスギランドにつきましては4月にピークを迎えている。白谷雲水峡につきましては、4 月、5月、7月から9月までの3カ月間が比較的高い入山者数を示しているということでご ざいます。また、もう1つ特徴的なのが、すべての地域におきまして、6月がちょうど梅雨 時期ということもございまして、入山者数が非常に少ないという、いわゆる谷間のようなデ ータになっているところでございます。 このように月別に見たところでございますけれども、次のページを開いていただくと、1 日の中でどういうふうに入山者数が推移しているかというところをグラフにしたのが、③時 刻別推移でございます。 まず一番上の表が縄文杉への入山者数、下の表が宮之浦岳入山者数でございます。この入 山者数、特に縄文杉の入山者数につきましては、きょう皆さん方に歩いていただいた折り返 し地点、楠川歩道分岐あたりに入山者数のカウンターがございまして、そのカウンターを通 った者がこれにカウントされるということになっております。これを見てみますと、7時か ら8時あたりがピークになって、9時になると、既にそこから山に入る人はほとんどいない という、いわゆるだんご状になって縄文杉のほうに入山していくということが読み取れます。 ちなみに、本日我々がこのカウンターを通った時間というのが、大体7時20分ごろで、ピー クの1時間ほど前の時間帯でございました。 次に、登山道の荒廃に関する最近の調査結果について、資料3-1-3に基づいて説明さ
せていただきます。この資料につきましては、出典でございますが、平成22年度の九州地方 環境事務所の調査、並びに平成20年度の九州森林管理局の調査データをもとにしております。 1枚めくっていただけますでしょうか。主要登山道の事例ということでございます。 まず1つ目の事例として、3ページ目でございます。これが大株歩道の縄文杉周辺の歩道 の状況でございます。まさに縄文杉デッキ下付近でございますけれども、写真にございます とおり、場所がちょうど階段の切れ目でございまして、木の根と伐木の切り株によって歩行 幅が狭まっている。このため離合する際に、この赤枠で示した部分で待避するために踏み込 みが発生しているという状況が確認されております。 次のページをお開きください。次のページが縄文杉の200m ほど手前でございます。大株 歩道でございます。ここにつきましては、中継や離合が集中する箇所でございまして、なお かつ休憩デッキの前後が谷部で非常に見通しが悪いということもございまして、離合のため の踏み込みが、ここの赤枠のところでございますが、発生している状況にございます。 次の5ページでございます。これにつきましては、地形条件で荒廃した事例ということに 位置づけられると考えております。これにつきましては、水流による侵食で、木製土留の倒 壊が生じている。それから、歩道側からは凍結・融解によるものと思われる侵食が発生して いるということで、右側の写真のとおりでございます。 次のページもほぼ同じような状況でございまして、歩道について水の流れでえぐられてい る。また、凍結・融解によって侵食も生じているという状況でございます。 これが主要登山道の荒廃状況でございます。 次に、縄文杉周辺の登山道についてかいつまんで御説明させていただきたいと思います。 縄文杉周辺の登山道につきましては、24カ所、九州森林管理局の調査で障害が生じている ところが確認されているところでございます。 次のページをごらんになっていただけますでしょうか。8ページ目でございます。No.6 でございます。これにつきましては、大王杉周辺でございますけれども、登山道わきの林内 につきまして、写真にあるとおり昼食時に利用している。ブルーシートを敷きながら昼食時 に使用しておりまして、周辺樹木の根系が圧迫を受け、一部の箇所では根系が消失し、くぼ みができているという状況が確認されております。 次のページの13ページ目でございます。これにつきましては、大王杉と縄文杉の中間地点 の場所でございます。林内の歩道のわきでございますけれども、こちらにつきましても歩行 者の方が横にそれて、スギやサクラツツジの根系が圧迫を受けて、樹勢が衰退しているとい う状況が確認されております。このプロットは比較的、縄文杉に近いプロットでございます。 次のページをごらんになっていただけますでしょうか。No.20、No.22でございます。この 2つのプロットは縄文杉の奥に位置したプロットでございます。縄文杉の奥につきましても、 登山道の空き地について、リュックを置く資材置き場や昼食場所として使用していることも ございまして、この写真にあるように植生が消失している状況が確認されております。また、 No.22につきましては、根が浮き出た状況が確認されているところでございます。 このような状況が確認されているという報告をさせていただきました。 次に、資料3-1-4をごらんになっていただけますでしょうか。山岳部におけるし尿処 理の実態と対応状況ということで、し尿処理の状況についてかいつまんでお話しさせていた だきます。 本日、現地へ行かれた委員の皆様方も御確認されたとおり、し尿処理の問題が非常に課題 になっているということでございます。現在、屋久島山岳部保全募金によってし尿処理を行
っているところでございます。これにつきましては、また後ほど詳しく説明させていただく 場があると思います。 次のページ、2ページ目をごらんください。資金的な面でございますが、募金につきまし ては、平成20年度スタートで、当初が1000万円程度の規模でスタートしたところでございま すが、平成21年に募金をしてくださいという呼びかけ人を試験的に配置しました。平成22 年度に呼びかけ人を本格配置したところ、募金額が1700万円程度にふえたということでござ います。他方で、ここのオレンジ色のところでございますけれども、オレンジ色が企業等の 大規模募金者でございますが、その大規模募金者がかなりウエートが下がってきているとい う実態にございます。 次に資料の3ページでございます。し尿搬出量の推移でございます。募金を使ってし尿を 搬出しているわけでございますが、し尿搬出が本格的に動き出したのは平成22年度、23年度 でございます。それぞれ1万4000L 程度のし尿を処理、人力により搬出しているところでご ざいます。 次のページをよろしいでしょうか。4ページ目でございます。では、募金の金額とし尿処 理量の関係は一体どうなっているのかということを示したのが、次の③の収支の推移でござ います。一見すると、これは収支がうまくシンクロしているようには見えるのですが、実は 平成22年度のところをごらんになっていただくとわかるのですが、平成22年度は一部、大口 募金からの積み戻しを行っています。いわゆるバンキングしたものから積み戻しをしている。 平成23年度も同じような状況にございます。したがって、端的に言えば、し尿処理量に比べ てまだ募金額が少ないということを示しているデータでございます。 このような状況でございまして、5ページのところでございますが、現在、携帯トイレの 呼びかけも進めているところでございます。こういう携帯トイレを持っていくように働きか けを行っています。この携帯トイレにつきましては、きょう現地調査に行かれた方も確認さ れたと思うのですけれども、荒川登山口のところに、これを回収する、捨てるボックスが設 置されています。これは1つ、2回分で、500円で市販されているという状況でございます。 今から回しますので、ごらんください。 以上が、し尿処理に関するデータでございました。 次に、山岳部利用対策にかかる主な検討、取組の経緯についてレビューしていきたいと思 います。 平成22年度からの取り組み状況についてレビューをさせていただくわけですけれども、当 然のことながら、かなりの関係行政機関、関係者の皆さんの御努力が積み重ねられた結果で ございますので、エポックメーキングなところについてかいつまんで御説明させていただき たいと思います。 まず平成4年度でございますが、11月に屋久島環境文化村マスタープランが策定されまし た。これにつきましては、後ほど鹿児島県の則久課長から御説明がされると考えております。 それから、平成5年12月に屋久島が白神山地とともに世界自然遺産に登録されました。 平成6年度でございますが、植生復元措置を講じるために縄文杉周辺を立入禁止にしたと いう事実がございます。それから、屋久島文化村構想と関連してでございますが、5月には 入山者の増加に対して、環境キップ制度の検討が進められているということでございます。 これについても、また鹿児島県のほうから御説明があろうかと思います。それから、7月で ございますが、屋久島山岳部利用対策協議会が設立されたということでございます。 次のページをお開きください。平成7年度につきましては、屋久島世界遺産地域連絡会議
が設置されました。科学委員会の母体である連絡会議が設置されました。これに伴いまして、 2カ月後の11月には、屋久島世界遺産地域管理計画が策定されました。また、年が明けまし て2月には、縄文杉周辺に木製展望デッキが設置されました。 翌平成8年度でございますが、屋久島世界遺産センターが設立され。それから、今回のこ の場でございます屋久島環境文化村センターが開設されました。 続きまして、平成9年度でございます。屋久島オープン・フィールド環境構想の策定につ いて検討がなされ、スタートしたということでございます。これにつきましては、屋久島の 自然、文化等を博物館に見立てて、保存、展示等を行い、地域振興を図ろうとする構想でご ざいます。それから、屋久島観光連絡協議会において、ガイド公認制の導入の検討がスター トしました。 次に平成12年度でございますが、町道荒川線、今日行った荒川登山口までございますが、 その乗り入れ規制が開始されました。 平成16年度でございます。平成16年度につきましては、現在の屋久島エコツーリズム推進 協議会の前身でございます屋久島地区エコツーリズム推進協議会が設立されました。 平成17年度には、し尿の試験搬出が開始されました。 平成19年度には、小杉谷にバイオトイレが設置されたということでございます。 平成21年度4月、6月、8月でございますが、順次、携帯トイレの導入を開始しました。 それから、6月でございますけれども、本委員会、屋久島世界遺産地域科学委員会が設置さ れました。また、8月には屋久島町エコツーリズム推進協議会が設立されております。 翌平成22年度、記憶に新しいところでございますが、11月には「屋久島町エコツーリズム 全体構想(素案)」が作成されました。これにつきましては、縄文杉登山ルート、西部林道 の利用調整等が盛り込まれた内容でございました。 平成23年度6月につきましては、縄文杉に至る大株歩道・西部地域・永田浜のウミガメ上 陸地の利用調整を盛り込んだ「屋久島町自然観光資源の利用及び保全に関する条例案」が否 決されたという状況でございます。 説明が長くなってしまいましたが、事務局からの説明は以上でございます。 矢原委員長 どうもありがとうございました。 続いて、環境省、屋久島町、鹿児島県の順に補足説明をお願いいたします。 まず環境省から。 九州地方環境事務所(中島) 補足と言うほどのものでもないのですけれども、最近の新しい動きとして、1つだけ御紹 介させていただきたいのが、この中でもマイカー規制というところでしょうか、車を規制し てバスに乗りかえるというのを、今日もごらんになったかと思いますけれども、そのバスに ついて山岳部車両対策協議会というのがあるのですが、その中で来年度、バスの予約制とい うのを進められないかということで、今検討しているところです。それで、人数を調整する というものではないという形での議論をしていると聞いていますけれども、どの程度の混雑 をしているかというのは予約の際に利用者にわかるようなシステムになるのではないかとい う議論をしていると聞いているところです。 以上、補足になります。 矢原委員長 続いて、屋久島町から。
屋久島町(松田) 屋久島町ですけれども、この平成23年度の縄文杉に至る大株歩道・西部地域・永田浜のウ ミガメ上陸地の利用調整を盛り込んだ条例案が、昨年6月に議会で否決されております。そ の後の推進協議会での検討は今ストップした状況になっておりまして、今後24年度につきま しては、推進協議会を再立ち上げして、この利用調整の方法を少し視点を変えて、例えば、 認定ガイド制度の推進や、入島料の環境保全と観光振興に充てる新たな財源の確保の検討に ついても、現在、庁舎内での協議を進めておりますけれども、大体12月ごろにはその方針が 出れば、また新たな住民との協議、県、国との協議、議会等につきましても協議を進めてい くという方向性で、今のところそういう状況でいるところです。 矢原委員長 続いて、鹿児島県からお願いします。 鹿児島県(則久) 資料3-2(付属2)というところで、「屋久島環境文化村マスタープランの概要」とい う、これは県のほうで出しておりました冊子のコピーをつけていただいております。中身は、 長くなるので詳しい説明は省略いたしますが、これをつくるに至った経緯等について、こち らのパワーポイントをプリントアウトしたものがありますので、こちらでざっと御説明した いと思います。 これ自体は、実は、県立短大で学生さん向けに知床と屋久島のシカ問題と利用調整の問題 を講義したときに使ったもののうちの屋久島部分を切り出したのと、静岡県の知事さんが来 られたときに環境文化村構想を御説明したときのものをあわせてつくっています。言葉が乱 暴な部分もあるかと思いますが、御容赦いただいて、簡単に御説明いたします。 1枚目のほうは、御存じのように、適正な収容力といいましても、生態系的な部分から決 まってくる部分と、利用者の満足度といいますか、体験の部分から決まってくる部分があり ますということを御紹介しております。 時間がございませんので先に行きますけれども、めくっていただいて、次の4枚のところ に書いていますのは、科学的な適正収容力、生態系的なものも、あるいは利用体験的なもの も、なかなか簡単に導き出せないのではないか。だから、結果的に順応的管理でやるしかな いといった話にさせていただいております。 3枚目のほうですが、この辺は利用者の集中状況につきまして今御説明がありましたので、 3枚目の右下ですが、「縄文杉登山道を巡る取組の経緯」と書いておりますが、平成6年に 山岳部利用対策協議会が発足しております。その左側の下ですが、結局、登山道、トイレの 施設整備、マイカー規制の導入、トイレのし尿処理の域外搬出の処理の開始、山岳部環境保 全募金の徴収、携帯トイレ利用の普及、利用マナーの普及・啓発、混雑日予報の提供など、 いろいろな取り組みをしてまいりました。これにつきましては、不特定多数の利用を想定し た対策であったと言えます。 一方で、環境文化村構想策定当時からあった環境キップ構想というのが、これは比較的緩 やかな、規制ではない形での利用調整の仕組みですが、これについてはまだ実施できており ません。その結果として、利用者がふえ続けて、対策が限界に来ているのではないかという ことで、このエコツーリズム推進協議会が立ち上がりまして、条例制定などが議論されてき たものと理解しております。 めくっていただいて4つ目以降は、2つの協議会の設立、またいろいろな不特定多数の利 用を想定して取り組んできたもの。いろいろ施設整備を行ってきていおります。
左下ですが、「屋久島山岳部での施設整備実績」と書いておりますけれども、鹿児島県の 方で、観光課ですが、平成5年から23年で、大体これぐらいの整備を行ってきている。ちな みに、平成5年から16年までは環境省の補助金もこの中に入っております。17年以降は環境 省のほうでの直轄整備が始まっています。時間がなくて確認できませんでしたので、林野庁 さんのは書いておりませんが、恐らく現在もいろいろな整備をされておりますし、何よりも 基盤となるトロッコ道をずっと維持されてきたというところで、かなりいろいろな御負担を いただいていると思います。 それから、マイカー規制の導入。これも本格的に始まりましたのは平成22年からとなって おります。 あるいは、し尿の搬出など、いろいろな取り組みをしております。 もう1枚めくっていただきまして、「縄文杉の現状を収容力の視点から考える」と書いて おりますが、多分いろいろ御議論していて、いろいろな考え方があるということを、ここで 御紹介しております。 1つは、生態学的な収容力の観点からいきますと、登山道でのすれ違い発生時の待避のた め、登山道沿線の植生が踏まれて衰退しているのではないか。これに対する考え方としては、 待避のための植生破壊が生じない程度に登山者数を制限する必要があるのではないか。新た な施設整備はそれ自体が環境負荷になるという考え方もあるが、既にその土地は裸地化して いるのだから、木道等を複線化すればいいではないか、あるいは迂回コースを設けて一方通 行にすればいいではないかという考え方もあろうかと思います。また、トイレのし尿処理の 問題についても、トイレの処理能力に合わせて人数を制限すべきであるという考え方に対し て、登山者数に合わせて新しいトイレを整備すればいい、あるいは携帯トイレで持ち帰りに すればいいという考え方もあるのではないかと思います。 一方、利用体験的な部分でいきますと、非常に集中が激しくなってきている中で、はるば る屋久島まで訪れてもらって、片道4時間も歩かせて、たかだか15分間、しかも大変な混雑 の中でそれを見なければいけない。これは屋久島のもてなしのあり方としてどうだろうか。 静寂な縄文杉を見てもらいたいという考え方もあれば、縄文杉を見る方はそのために来てい るので、多少混雑があっても縄文杉を見れば十分満足をする。だから、混雑はそんなに問題 にならない。いろいろな考え方があろうかと思います。 それを左下のほうでマトリックスにしておりますが、自然体験優先と利用確保優先という のが一番対極にある考え方だと思いますけれども、実際にこの両端の方はそんなにいらっし ゃらなくて、多分実際はこの中庸に、皆さん、いろいろな立場でいらっしゃると思います。 余り極端な御意見はないのかなと思います。 これは私のほうで勝手に整理したものですが、それに対して町のほうで条例が提出されま して否決されました。その中で一応聞き及んでいる理由として「主な理由」と書いておりま すけれども、島の観光や経済に大きな影響を与えるおそれがある。あるいは、観光協会との 合意形成が不十分ではないか。あるいは、周回路等も含めて他の対策、もっと整備で対策で きるだろう。また、その監視体制などが十分ではない。そういった理由があったのかなと思 います。 その隣が、県で出してみた数字ですが、入島者に占める縄文杉登山者の割合を、平成 12 年から23年で出しております。黄色の柱の部分が入込者に占める縄文杉に行かれる方の割合 ですが、昔は15%弱のものが、今は25%を超えるまでになってきている。これはもちろん分 母が入島者、入込者ですので、住民やビジネスの方の入り込みも分母に入っておりますので、
純粋に観光客の方だけを考えれば、恐らく観光客に占める縄文杉登山者の割合はさらに大き いということが言えるかと思います。 一方で、経済的な影響を考えますと、左下になりますが、全国の離島は大体平均13%ぐら い人口が減っている。例えば平成2年と22年で見ていただきますと、この下の赤い線が屋久 島ですが、人口がほぼ横ばいとなっております。一方、上の線が種子島ですが、こちらは人 口がその間、2割減ってきている。そういった部分でいうと、経済的にどうなのかというの を見るところが、次の②、右下のほうでございますけれども、やはりそれを支えているのが 第3次産業の部分の比率が年々、島の経済の中で大きくなってきている。それは観光客の増 加が島の経済を支えるようになってきているのではないかと思います。 そういう点を踏まえていきますと、今、観光が町にとってもかなり大きなものかなと思う のですが、めくっていただきますと、環境キップ制度について少し御紹介しております。こ れは事前に手続を経たり、負担を行った者のみに立ち入りを認める仕組みです。イメージと して、はがきで応募していただいて、許容量を見きわめながら一定の枠内の希望者に対して 環境キップを発行して、利用者数のコントロールと、利用時期の平準化を図る。強制的な立 ち入り制限を伴うものではなくて、利用者自身の自己規制にゆだねる。自然地の利用に対し て心理的な障壁を設けさせることによって、地域の価値や保全の必要性を改めて認識させて、 環境キップを入手した人の環境保全への参加意識を高める効果を期待しようということでし た。 平成5年の環境文化村構想に書かれて、6年には知事も表明したのですが、地元の観光関 係者の方からは反対がございました。下に入山制限は時期尚早と書いておりますが、当時、 観光協会のほうから反対の意見書をいただいておりまして、それを拝見しますと、登山道の 荒廃と言うけれども、それは十分な施設整備をしてきていなかった環境省が悪いのであって、 まずはしっかりした施設整備が優先である。それをやった上で、必要であればこの制限を考 えるべきだということで、そういった意味合いでの時期尚早という表現になってあろうかと 思います。 この環境キップ制度を議論した環境文化村構想の経緯というところですが、もともとは平 成2年6月、鹿児島県の総合基本計画の戦略プロジェクトの1つとして位置づけられました。 こちらのほうでは、環境文化懇談会と住民の方で組織した研究会の2つが動いてくるんです が、今日お越しの大山先生はこちらの懇談会に御参加いただいて、日下田先生のほうは文化 研究会で、事務局は小野寺委員がされていたかと思います。 この文化村構想の理念につきましては、このあたりをよく読んでいただければと思います けれども、基本的には自然環境の保護と地域振興の同時解決を目指そうということと、その 根拠を屋久島の自然の傑出性と歴史性に形成されてきた自然と人のかかわりに求めようとい うことで、屋久島の方々の自然と人とのかかわりを環境文化と呼んで、屋久島にしかない個 性的な地域づくりを目指していくのだということがうたわれております。 その戦略の中で地域形成の戦略と枠組みというのがありますけれども、大きくはゾーニン グをしましょうということと、観光に関する方針というのが決められています。めくってゾ ーニングのほうの絵をごらんください。大きく3つのゾーニングに分けています。保護ゾー ン、ふれあいゾーン、生活文化ゾーンとなっております。 このうち保護ゾーンというところに縄文杉も含まれるかと思いますが、こちらについては 屋久島の原生地域の核心的な、世界的な財産である。人々の信仰や畏敬の対象でもあるので、 基本的に人手を加えず、かつ人の入り込みに対しての調整を行っていく。信仰や畏敬の念を