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私の進路を決めた一冊 私の進路を決めた一冊

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No. 79

http://www.agulin.aoyama.ac.jp/

私の進路を決めた一冊 私の進路を決めた一冊

Nov. 1, 2007

The Far East

巻頭エッセイ

 人生と読書 … 深町 正信 2

特 集 「私の進路を決めた一冊」

Jirai à Nagasaki

フランス・ドルヌ……4 折口信夫『古代研究』

相田  洋……5 哲学・思想と経済学の接点を 求めて 石井 信之……6 隣の芝 佐々木髙雄……7 調べることで知的好奇心が 生まれる 高松 朋史……8 思い出の本

瀬尾 佳美……9 存在と時間から学んだ これからの私のスタンス

浅見 清夏 10 土屋守章著『ハーバード・

ビジネス・スクールにて』

三井 敏之 11 私の進路を決めた本

北野 晴久 12 進路を決めた読書

中川  淳 13

本学図書館案内(2

 本館図書館 ……… 14 展示資料紹介

 THE FAR EAST ……… 15 図書館広報板 ……… 16

(2)

院 長 

深 町 正 信

FUKAMACHI Masanobu 1.生い立ち

私は1936年に静岡市で生まれましたが、父 が教会の牧師でしたので、幼少期には長野や 東京のあちらこちらに転居する中で育ちました。

時代は2・26事件から軍国主義に突き進み、第 二次世界大戦の最中となりました。父は静岡市 に赴任すると間もなく大きな空襲に二度遭遇し、

立派な教会堂も住居も丸焼けとなり、命からが ら逃げ出さなければなりませんでした。

B29爆撃機による大空襲により、静岡の町 の中心とその周辺全体が激しい炎に包まれま した。防空壕から出ると、町全体が激しい炎 に包まれ、熱風が激しく吹き荒れており、隣 接する駿府城跡の見事な松の生木が燃え上 がっていました。多くの人たちがこの空襲で 焼け死に、私の家の隣でも読売新聞社支局長 の一家が、防空壕に直撃弾が落ちたので全員 焼死しました。

私は、長野の上田に始まり、東京の蒲田か ら静岡に移り、その間六度も国民学校と小学 校を転校しました。やがて第二次世界大戦が 終わり、敗戦前後の食糧難とひもじさを経験 しながら、国内は徐々に落ち着き、焼け跡に 家が建ち、生活も安定していきました。

戦後の日本社会は、明治以来の教育勅語の 教育と忠君愛国の臣民教育、滅私奉公、家長 制度の服従と孝行の倫理から民主主義教育の 推進に様変わりしました。新憲法が発布され、

主権在民、男女平等、人権、平和等の理念が 教えられ流布されました。

私の中学・高校時代は、物不足であっても、

手作りの遊びと新しい教科等とスポーツ、生 徒会の自治活動も盛んとなり、先生方は試行 錯誤で苦労された反面、ともかく明るく、楽 しい毎日でした。しかし、内面的には多くの 問題を抱え、悩みの時代でもありました。そ れでも私は、神を信じること、教会へ行くこ と、同信の友との交わりをなすことで慰めと 心の支えを与えられ、何にも代えがたい大事 な経験をしました。そして、やがて自分の将 来について考える時がきました。

2.人生の目標

自分は将来何になろうか、何をしようか。

それは自分の進学進路にも関わることだっ たので、一生懸命に考えました。しかし結論 が出ないまま、幾つかの大学の入学願書を取 り寄せました。すると、父がこれを咎め、あ れこれでなく、自分の歩もうとする道をしっ かりと見定め、それに全精力を傾けるように と忠告してくれました。私は、しばらく独り でよく考えてみました。そのとき、初めて自 分のいいかげんな行為の誤りに気づきました。

勉強の合間に聖書を紐とき、友人と真剣に語 り合い、議論を交わし、神のみこころを示し てくださいと真剣に祈りました。

■ 巻頭エッセイ

人 生 と 読 書

人 生 と 読 書

(3)

私は中学時代から教師になりたいともひそ かに考えていました。しかしそれも尊い仕事 だが、段々に自分の歩むべき道は、日本で人 に本当の神とキリストの福音を伝えることで はないか、そして、みんなに本当に「信仰に よって自由な人生」を歩んでもらいたい、そ うだ、私は父のように教会の牧師になろう、

とついに決心しました。そこで私は6年間に わたり東京神学大学・同大学院で神学の勉強 に励むことになりました。そして、人に説き つつ学び、これからも生涯、キリストの真理 を聖書に学びつつ生きていくことになろうと 思います。

3.より豊かな学生時代を過すため

私は自分の学生時代を回顧し、反省しなが ら、学生の皆様が若くて貴重な学生時代をよ り豊かに過すために三つのことを述べたいと 思います。第一に、青山学院の教育の目標を 心に留めることです。常に自分の勉学が、自 ら目指す人間形成、正しい人格の形成に向け られているかを考えることです。そのために こそ青春のエネルギーを用い、出来るだけ掘 り下げて事柄を深く学ぶことを経験すること です。第二に、豊かな教養と健全な常識とを 求める、いわゆる、リベラル・アーツを身に つけることです。将来、皆さんが偏屈で、視 野の狭い、独善的な人間にならないために、

学びの中では相手を尊重し、自分を絶対視せ ず、他人への尊敬の心、謙虚さを学び、度量 を養うことです。第三に、そのために、青山 学院大学で在学中に学び、考え、見つけた疑 問、興味、関心や様々なテーマのために、大

いに書物を用いることです。そして、生涯か けて真摯に学び、考え続けることです。

4.書物との出会い

私の敬愛する内村鑑三先生の著書の中に

『後世への最大遺物』という講演録があります が、その中で次のように語っています。「私に 五十年の命をくれたこの美しい地球、この美 しい国、この楽しい社会、このわれわれを育 ててくれた山、河、これらに私が何も残さず には死んでしまいたくない」。そして、「ただ 私がどれほどこの地球を愛し、どれだけこの 世界を愛し、どれだけ私の同胞を思ったかと いう記念物をこの世に置いて往きたいのであ る」とあり、私たちが後世に遺すことの出来 る大事なものは何かと考えています。第一に、

清きことのために用いる金、第二に、公共の ための事業、第三に、思想や学問、信仰と文 学を考えた上で、結局は、何がなくとも、誰 でもが遺せる最大の遺物は「勇ましく高尚な 生涯」を挙げるに至ります。それは、神の恵 みを受けて、己が不足や世の中の不都合に打 ち勝つという大事業を喜び、「実行する生涯」

であるということを説いていることに、私は 教えられたのであります。学問の意義は自分 の目的を果たすだけでなく、他者の幸せのた めにあります。自分の与えられている能力、

寿命と才能、力を他者の幸せのために用いら れることを願い、真理と愛の生き方を学び、

神の祝福を信じる生涯を送ることを心から願 うものです。

(国際政治経済学部教授 歴史神学)

(4)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 特 集 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

J’irai à Nagasaki

フランス・ドルヌ

France DHORNE

若い時読んだ本は何よりも自分の人生にも アイデンティティにも影響を及ぼす力がある ものです。大人になってから読んでいたとし たら、ただ単に知識を得るか、楽しい時間を 過ごすことになっていただけかもしれません。

この本のおかげで自分がこう変わったとはっ きりとは言えなくても、その本を読むときに、

これは自分に大事な本だとなんとなく感じと れたはずです。

確実に私の人生に影響があった本は9歳の 頃に読んだ『僕は長崎に行くよ』という小学生 向けの小説です。主人公はPhilという13歳の少 年で、この本の著者P. -J. Bonzonと同じように フランスのノルマンディ地方のシェルブール 生まれです。ある日、錆び付いた船の中に隠 れていた孤児の日本人の女の子と出会い、お 友達になってしまいましたが、彼女(Youri)は 生まれた国に戻りたくて、突然いなくなりま した。1年後Philの元に見知らぬ人から日本 語で書かれた手紙が届きました。その手紙の 意味が分かる日本人をやっと見付けて、読ん でもらったら、Youriは長崎の近くの村にいる が、元気ではないことが分かりました。Phil はYouriを助けに行くと決め、見習水夫になり、

船で長崎まで行きました。そして死にそうな Youriに元気を取り戻させて、一緒にフランス へ帰りました。いわゆる友情についての本です。

この本を読んで、文明とはどういうものかは じめて分かりました。一番驚いたのは家の造り で し た。 昔 の 人 が 私 達 と 違 う 生 活 を し て い た こ と は 理 解 し て い ま し た が、 同 時 代 の 国 が 私 の 国 の 文 化

と違う文化を持っていること、要するに、違う 文明として発展してきたことに驚いて、その時 から日本に関心を持つようになりました。そし て日本は私のもう一つの祖国になりました。

Le désir d’éternité

もう一つ紹介したいのは高校生の時に読 んだ本です。フランスの高校の最後の年には 哲学の授業が週に8時間ありましたから、参 照文献に指定されている本と自発的に読んだ 本など、哲学に関連する本を相当読みました。

その中で一番感心したのはFerdinand Alquié の『永遠への欲望』という、人間と時間との関 係についての本です。Alquiéは日本ではあま り知られていませんが、17世紀のフランスの 有名な哲学者Descartesを研究した哲学者です。

この本には、およそ人は未来に向けて計 画を立て、能動的に行為すべく定められてい る、と述べられています。行為するとはそれ で何かを変え、何かが変わるということだか ら、時間の経過を前提としている。それなの に人は過去や現在がそのままにとどまってく れたらと切に願うことがあります。それは変 化と時間を拒んで、一挙に時間を超えた非時 間性としての永遠を欲することであり、その ままでは時間のなかでの行為 action を否定す る情念・受動 passion であるほかはありません。

この本が私の進路を決めたかどうかはっき り言えません。その後、私は言語学をはじめて、

20年間近く言語の時間、時制について研究し てきました。本当のことを言うと、この本の 内容は忘れていましたが、今回再読してみて、

自分の研究の方向性の原点はこの本にあった のではないかと思うようになりました。否定 の問題、可能性の問題を17歳の時もうすでに 考えていたことに自分でも驚きました。

(フランス文学科教授 日仏対照言語学)

(5)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

物心つき始めてから六十有余年、多くの本 に親しみ、様々な影響を受けてきた。それら の中から一冊だけを選ぶのは難しいが、敢え て挙げれば、標題の本となろう。

この本との出会いは、高校一年の夏であ る。当時、私は、県下有数の受験校に入学し たものの、受験勉強に興味が持てず、授業を サボっては、下宿で東西の文学書を乱読する 毎日を送っていた。学校の授業は、ドストエ フスキーやバルザックなどの世界と比べると 卑小で、教師は受験屋の俗物ばかりに見えた。

しかし、一人だけ気になる教師がいた。F先 生である。彼は、高等師範や文理大出身者が 多数を占める中、傍流の慶応大出身で、授業 中、執しつように受験勉強や学校当局の批判を繰り 返していた。

その狷けんかいな先生が、時々、懐かしそうに「お りくちさんに、三河の花祭りに連れて行って もらった」話など、慶応時代の「おりくちさん」

に関する思い出話をしていた。注意して聞い ていると、その「おりくちさん」は、折おりくちしの という著名な国文学者・民俗学者で、私が中 学時代から好もしく思っていた「葛の花 踏み しだかれて、色あたらし。この山道を行きし 人あり」という歌の作者釈しゃくちょうくうと同一人物らし かった。興味を感じて、折口さんの本を図書 館で探してみると、真っ黒で異様な装丁の分 厚い三冊本が見つかった。標題の本である。

恐る恐るその一冊を開いてみると、「とこ よ」「まれびと」「にらいかない」など、聞いた こともない単語が目の中に飛び込んできて、

まいがした。我慢してともかく読んでみたが、

まるで呪術師の呪文のようで、論理を辿るの が難しかった。それでも、学問の深淵の底を かいま0 0 0見たようなときめき0 0 0 0を覚え、次第に民 俗学にのめり込むようになる。そして、折口 さんの師でありライバルでもあった、柳田国 男さんの本にも手を伸ばすようになった。

柳田さんの文章は、癖はあるが慣れると 折口さんより分かりやすかった。柳田さんは 現代の民俗から遡上して帰納的に原初の日本 人に迫ろうとし、折口さんは理想とする古代 を幻視しその退化の過程として日本文化をと らえようとする。気質も方法も真反対の二人 の対決は、正に「神々の闘争」で、壮観である。

ただ高校生の目にも、両者ともに学問として はロマンチックすぎるように映った。

柳田さんの論は、結局、共同体に収斂す るが、折口さんの論は、共同体の外に関心が 向けられている。この「外部性」への強い関心 の根底には、彼の同一性障害(加藤守雄『わが 師 折口信夫』文藝春秋社 1967)があるよう だ。戦前において、性同一性障害の折口さん が、いかに疎外感を懐いていたかは、想像に 余りある。「水みなそこに、うつそみの面わ沈しづ透き見 ゆ。来む世も、我の寂しくあらむ」など、彼 の歌の持つ深い寂寥感はそれを証明していよ う。私は性同一性障害ではないが、大陸生ま れの引き揚げ者で、幼くして故郷を喪失した ため、つねに「よそ者」意識を感じ続けていた。

私が折口さんに惹かれるのは、その寂寥感に 共感するからのようである。

(文学部教授 東洋史)

折 口 信 夫 『 古 代 研 究 』

       (大岡山書店)

相 田 洋

SOHDA Hiroshi

(6)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 特 集 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

哲学・思想と経済学の接点を求めて

石 井 信 之

ISHII Nobuyuki

私が大学生と大学院生であった1960年代と いう時代(1961 ~ 1970年頃)は、日本が高度 成長から学生の反乱を経験した激動期であり、

哲学や思想の面でも活気があった。知識人の 間では、実存主義(サルトル等)、現象学(フッ サール、メルローポンティ等)、マルクス主義

(ルカーチ、ルフェーブル等)、構造主義(レ ヴィ−ストロース等)をめぐる文献が盛んに翻 訳され論じられていた。本学の経済学部ゼミ で、故久武雅夫先生と榎本弘先生(現在、名 誉教授)の指導の下で勉学に励んでいた私も これらの哲学・思想に興味を持ち、学部の卒業 論文では、サルトル、マルクス、M.ヴェーバー などを中心にとりあげ、今からみると拙い社 会科学方法論ともいうべきものを提出した。

学部4年次には大学に残り院生として研究 職を目指したいと考えるに至ったが、その時 に、哲学・思想と経済学の両方を併せ持つ専 門領域は何かと模索するうちに、経済学史・

経済思想史・経済哲学という3つの講座が存 在することに気付いた。経済学者の中で、18 世紀、19世紀、20世紀をそれぞれ代表して いるアダム・スミス(Adam Smith,1723 ~ 90)、

マルクス(Karl Marx,1818 ~ 83)、ケインズ

(John Maynard Keynes,1883 ~ 1946)という 三巨人は、いずれもその出発点は哲学であ り、最終的に経済学に辿り着き、それぞれ現 在まで全世界に計り知れない影響を及ぼして きた。ヘーゲルとマルクスの関係、G.E.ムー アとケインズの関係については少しでも社 会経済思想史を勉強したら判ることである が、私は、大学院での研究対象として、その

当時はあまり一般には知られていなかった アダム・スミスの遺稿『哲学論文集』(Essays on Philosophical Subjects,初版1795刊)をとりあげ て、スミス道徳哲学体系を思想的に基礎づけ ることを研究課題として設定した。

本書は、現在では日本語で読むことがで きる。(『アダム・スミス 哲学論文集』名古屋 大学出版会、1993刊)。スミスは、死の直前 に、16束に及ぶ大量の草稿類を遺言執行人の ブラックとハットンに依頼して焼却させたが、

その中から死後刊行しても良いとして許可し たのが、7つの論考から成る本論文集であ る。この中でも巻頭論文にあたる通称「天文 学史」は特に重要である。そのほとんどは20

~ 30歳代に執筆したとされているが、そこに 登場してくる「自然の結合原理」(connecting principles of nature)は、ニュートンの万有引 力の法則が天体運行の結合原理であることか ら導出されたスミス思想のキー・コンセプト である。スミスが生前刊行した『道徳感情論』

(初版1759)、『国富論』(初版1776)の二著作で は、市民社会の結合原理として、「公平な観察 者による同感」と「自己境遇改善本能」(競争的

「利己心」)の二つが指摘されている。このよ うにして、スミスは哲学・思想(倫理・法律)と 経済の世界を統一的に把握しているのである。

現在、経済思想史を担当している私の考え 方を背後から支えているのはこのようなスミ ス「天文学史」の持続的・永続的な結合原理で あるといっても過言ではない。

(経済学部教授 経済思想史)

(7)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

隣 の 芝

佐 々 木 髙 雄

SASAKI Takao

私は、本稿の執筆をAGULI 編集委員のI 氏から打診された折、「進路を決した本など、

すぐには思い浮かばない」と、辞退した。そ れは、私が20年以上も囚われている「憲法制 定史」との関わりで「問題の一冊」を探したか らに他ならない。「若気の至り」というのだろ う、傲慢な発想だったが、「頼るべき文献がな い以上、自分でやらねば」と、憲法制定史に のめり込んでいったからである。

しかし、わが編集委員は、「そうですか」

と、すぐには引き下がらない。しかも、気の 弱い男が、「“この道には進まない”と決心させ た本なら、有るのだが……」と、呟いたのを 聞き逃さず、「それで、いいんですよ」と、結 局、書くよう仕向けられた。そのため、ここ に記す「一冊」は、「負の選択」に関わるものだ と、予め御承知置きいただきたい。

ところで、その一冊とは、『關口存男』(三修 社、1959年)である。NHKのラジオ放送や雑 誌 Mein Deutsch で活躍したドイツ語の大家 の追悼文集だが、関口氏自身の文章も収めて いる。

私に影響を与えたのは、そうした文章の 一つ=「わたしはどういう風にして独逸語を やってきたか」という50ページ強の苦心談で あり、寝ころんでも読めるもの。「私の一冊」

として紹介するには軽く、「軽い人生」を露呈 させるかもしれないが、正直に振る舞おう。

関口氏は、同書において、いったん採用し た手法については、「色んなツマラナイ反省を 敢然と斥け……ること」(p.67)を薦める。研 究を深めるためには、間口を拡げることを求

め(p.85)、単語や受講生の名を例に、自分と 結びつく・何らかの関心がなければ、覚えら れるものではない(p.87)、と説く。いま振り 返ると、これらは、どれも皆、誰もが語り、

記すことばかりで、「これに感激したの?」と 揶揄されそうだが、私には、千鈞の重みをもち、

「この人を真似たい」と、転身すら検討させる ものであった。

多分、こうした反応は、「憲法学は、あまり に政治の世界に浸かっている」と、自ら選ん だ専門に嫌気がさし、怠けていた時期に読ん だからだろうと思う。外の動きに翻弄されず、

コツコツと巌を穿つ『恩讐の彼方に』(菊池寛)

の「了海」の直ひたきさに、関口氏の語学習得法 を重ねていた。そして、「ドイツ語学は、政治 と無関係」という思い込みのもと、しばらく の間、ソシュールとか、イェスペルセンとか、

憲法学とは別方向に読書範囲を拡げていた。

ところが、オランダ語を、かつては「ドイ ツ語の一方言」としていたが、民族意識の高 揚に押され、独立した言語として扱うように なった旨の記述を、乱読中の書に見出し、「ど の分野に進んでも、政治と無縁ではありえな い」と、悟りを得たのである。

かくて現在では、「もっとも政治的」と言え そうな「憲法九条の成立経緯の解明」すら、愉 しみながら扱っている。となると、これは『關 口存男』から学んだ「資料収集の徹底」に基づ く成果だから、途中を飛ばせば、「同書が進路 を決した」と言っていいようにも思えてくる。

そう捉えるべきか、迷いはじめた次第である。

(法学部教授 憲法)

(8)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 特 集 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

調べることで知的好奇心が生まれる

高 松 朋 史

TAKAMATSU Tomofumi

私は数学が好きだったこともあり、経済学 部に進学しました。大学3年生になるとミク ロ経済学系のゼミを選択し、ゼミ指定の英語 テキストに書かれた数式と格闘していました。

進路を考えたときに、勉強が楽しかったの で、研究者を目指すことにしました。そのた め周りが就職活動している3年終わりの時期 に、ミクロ経済学の英語の基本的教科書を自 習するとともに、卒業論文の執筆に取りかか りました。

普通、卒業論文は4年次の年末頃に仕上げ ます。しかし大学院を受験する場合、卒業論 文を早い時期に形にして、現在までにどのよ うな勉強をしてきたか、今後どのような研究 をしたいかということを、試験時に示す必要 があります。

特にこれをしたいというものは無かった ので、アイディアを得るために、図書館で 経済学系の英語ジャーナルの目次に目を通 していきました。気になる論文は中をのぞ く、という作業を行い、そして出会ったのが、

network externality(ネットワーク外部性)

という用語でした。

通常の製品は、消費者は製品だけを評価し ます。しかしゲーム機やビデオテープレコー ダーのように、所有する消費者が多いほど、

評価が高くなる製品が存在します。この評価 を高める効果をネットワーク外部性と呼びます。

例えば任天堂DSは、所有している人が多 いので、ソフトウェアを供給する会社が増え、

増えたソフトウェアが、DSの新たな購入を 喚起しています。

このネットワーク外部性が働く製品では、

どのような競争が生まれるか、ということが、

私の卒業論文のテーマになりました。

そして卒業論文を執筆する過程で、この ような業界での競争、企業の行動には、数 式では表すことのできない、企業で働く人々 の様々な努力、選択があるはずで、その部分 を研究したい、という欲求が生まれたのです。

その結果、私は経営学へ進むことにしました。

私が最初に見つけた、進路を決めた一冊は、

1985年 のThe American Economic Reviewの75 巻3号、その中のM.Katz&C.Shapiroの論文と いうことになりますが、本では無いので、そ のカール・シャピロがハル・バリアンと共著で 執筆した『ネットワーク経済の法則』(IDGコ ミュニケーションズ、1999年)から分かりや すい例を出します。

①既にある規格が普及しているときに新しい 規格を売ろうとするならば、既存の規格と の互換性を確保するか、非常に革新的な規 格でなければならない。

②市場を他企業に解放すると業界の付加価値 は大きくなるが、競争が激しくなりその価 値を支配しにくくなるので、バランスをと る必要がある。

私はこのようなことを面白いと思いました が、それぞれ面白いと思うことは異なります。

何がきっかけとなるか分かりませんので、情 報収集のアンテナを広げて欲しいと思います。

(経営学部准教授 経営学)

(9)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

思 い 出 の 本

瀬 尾 佳 美

SEO Kami

私には進路を変えた一冊というのは存在し ない。多くの人がそうであるように、私も自 分の進路は常に自分で変えてきた。一冊の本 が進路や人生を変えるというようなことは現 実にそうそう起こる種類のことではない。

だが、進路を決めるにあたって思い出に残 る一冊というのはある。私の場合『アインシュ タイン選集』(1~3、共立出版)がそれであ る。ずっしりと重い豪華な装丁のその本を手 に取ったのは、私が高校生の頃であった。私 が10代だった頃、若者たちの自然科学への関 心や憧れは、今の子供たちより強かったよう に思う。これはマスコミや娯楽映画などの影 響もあったろうが、高校生の私たちは、「ロー レンツ短縮」とか「ミンコフスキーの4次元空 間」などという言葉に、よく意味も知らずに 親しみ、自分を取り巻く宇宙の不思議に胸を ときめかせていた。

そういった、なんだかわからない暗号と不 思議に満ち満ちているのがこの本である。こ の本には、特殊相対論、量子論、ブラウン運

動、一般相対論、統一場理論などアインシュ タインの主だった論文が日本語に翻訳されて 収められている。監修は湯川博士、訳編は私 が大学時代所属することになる研究室の教授 だった内山龍雄先生である。

もちろん素人に簡単に読みこなせる本とい うわけではない。が、分かるところだけ分か ればそれなりに楽しめよう。それもひとつの 本の使い方というものだ。なかで特殊相対論 は比較的読みやすく、高校生の知的好奇心を 一定満足させてくれる。一般相対論は大学に 入ってからでさえ計算に大汗をかいた覚えが あるが、ほとんどアインシュタイン一人で作 り上げた理論なので、数学さえできればあま り多くのことを知らなくても、そこそこ楽し めるのがいいところであろう。

アインシュタインはよく思考実験をする のだが、それを追っていくと彼の思考の追体 験ができるようでドキドキする。一巻の扉に は相対性理論の講義をする26歳のアインシュ タインの写真がある。この本を読んでいると、

20世紀の科学に大革命をもたらした、この天 才科学者から直接語りかけられているような 気分に浸れるのである。

最終的に専門を変えてしまった今の私には、

もはやこの本を読みこなす能力はない(使わ ない脳はあっという間に死滅するようだ)。だ が、今もって捨てるに忍びなく本棚において ある。たまに手に取ると、17歳の頃の学問へ の情熱が蘇ってくるような気がするのである。

(国際政治経済学部准教授 環境経済学)

(10)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 特 集 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

存在と時間から学んだ これからの私のスタンス

浅 見 清 夏

ASAMI Sayaka

私の進路を決めた一 冊はハイデガーの『存在 と時間』である。

私は哲学を一年前か ら茂牧人教授の下で勉 強し始めた。当時自分 の中に存在する混沌・矛 盾などがエネルギーを 増し、自分の中でのや り場を失い、私自身そ れらを無関心に無配慮 に放置しておくことができずにいた。

そのような混沌・矛盾を綺麗に整理して仕 上げるということは私にとってはとても難解 でしかし重要な課題だった。そんな時、自分 にとってはそれらに耐えて前に進んで行くこ ととして位置づけられる、「philosophieren(哲 学すること)」と出会い、茂先生のゼミに入 れていただいた。

勉強を進めるにつれ、私が抱えていた課 題である二つの矛盾するものをどうやって仕 上げていくかという課題が、対象とする事物 は違え、かなり昔から哲学者の中では問題と なっていたことを知った。例えば紀元前6世 紀頃でいえば存在と生成、本質と現象、自己 同一と変化、などが対立した事象として議論 の対象となっている。

ゼミでハイデガーの『存在と時間』を読み 進めるにつれて、私自身の中に存在する矛 盾に対する見方が変化していった。スコッ ト・フィッツジェラルドは『崩壊』というエッ セーの中で「第一級の知性と言えるか否かは、

2つの相反する考えを同時に心に抱きなが ら、なおかつ思考を機能させる能力を持ち続 けることができるかどうかで決まる」と言っ ているが、私もそのような考え方に深く共鳴 する。以前の私は、矛盾する二つのものを前 にしてどちらかを選びどちらかを捨てる、も

しくはどちらかを重視しどちらかを軽視する、

“べき”だと思っていた。しかしどちらも大切 でどちらかを失うことはできなかった。本を 読み進めるにつれ、そのような態度、手段よ りそれらの矛盾を共存・融合させる態度、手 段が大切なのではないだろうか?と思うよう になった。このような見方・考え方は『存在と 時間』の中で見られるものである。存在と時 間の中に出てくるこのような視点はとても新 鮮で斬新なものに思え、私の考え方に大きな 影響を与えた。

日常生活を送る上でも矛盾を共存・融合さ せる生き方を選ぶには、強さや信念を持つと いうことが要求されるであろう。しかし矛盾 するものを両立させる生き方は、自分の人生 を生きる上でこれ以上にないほど挑戦するに 値するものだと思っているし、共存融合させ ることで相乗効果をうむ―つまり片方の限界 をもう片方により越える事ができる、またそ れが両方に当てはまる―のではないかという 期待をしている。

実際私は来年から民間企業で戦略コンサ ルタントとして働くこととなったが、哲学は 勉強し続けたいと思っている。民間企業で働 き実際に現場に創造・改革をもたらしていく ことと、現実とはかけ離れた思想を深めてい くことは存在と生成、本質と現象と似たよう な対立関係にあると感じるが、それらは自分 の中で共存させていくことによって、自身に とってより大きな力を生むものだと思ってい る。社会人となることを来年に控えそしてモ ラトリアムと呼べる大学生時代を終えるとい う時期的なタイミングにおいても、このよう な視点をハイデガー『存在と時間』から学べ たことは、自分の人生においてとても大きな ことだった。この一冊は私の進路を決めた一 冊といえるだろう。

(国際政治経済学部4年)

(11)

私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

土 屋 守 章 著

『ハーバード・ビジネス・スクールにて』

三 井 敏 之

MITSUI Toshiyuki

学部学生時代に読んだ本は数多くあるが、

進路を決めた一冊となれば、大学院留学をし た私にとって留学関係の本となるのが自然で あろう。留学関係の本は学部時代に何冊か読 んだ記憶はあるが、ネットで検索してもどの 本を読んだか思い出せない。そこで、留学中 に読んだ本書を紹介する。本書は1ドル360円 だった1970時代に書かれた。時代を感じさせ るところもあるが、留学に興味のある学生だ けでなく、学生の皆さんに是非読んでほしい 一冊である。

本書は、ビジネススクールの講義の特色 である。“ケースメソッド”について、ビジネ ススクールで学ぶ生徒について、留学すると 誰もが自覚する日本の文化について、そして、

大学院で教鞭をとる教員についてそれぞれ書 いてある。今回は、特に皆さんに知ってほし いケースメソッドとその効用について書くこ とにする。

ケースメソッドとは、実務的な問題を課題

(ケース)として与え、解決法を学生同士で議 論させたり学生自身で調べさせたりする方法

(メソッド)である。また、この解決法は一つ に限られるかどうかもわからない。このケー スメソッドは、本書にも書いてあるように知 識の伝授する効率は悪いが、ビジネススクー ルは意思決定を行う管理経営者を育成すると ころ、ということを考えれば学生にとっては 重要な訓練となる。教員は最新社会情勢に あった問題を課題として提示し、学生たちは それまでに学んだ知識や実務経験から、他の 学生や教員との議論からその課題の解決法を 導き出す。同時に、最良の解決法を導くため に自分にとって新たに必要な知識を悟り、そ

れについて勉強する。このような形で勉強し て得た知識は決して忘れない。そして、この ケースメソッドを繰り返し行うことにより、

実務に使える知識が増えていく。

このケースメソッドは、ビジネススクー ルにおける講義の特徴のようにこの本では 書かれているが、私が経験したアメリカの大 学院講義においてもよく用いられた方法だっ た。このようなケースメソッド的講義は、卒 業後の実務において非常に役に立った。それ までに自分が学んできた知識だけでは解決で きない課題が与えられたときでも、「わかりま せん。」で終わることがなく自分で何を新しく 学べばその課題が解決できるかがわかるよう になった。その結果として、自分で何か研究 課題などを選ぶとき、今まで得た自分の知識 の範囲内で解決できそうな研究課題を選ばず、

より自分にとって未知なる研究課題をより選 ぶようになった。

私自身の経験を書いたが、本書では具体的 にビジネススクールを卒業した学生が元々在 籍した会社から転職したり、小企業に望んで 就職したり、起業したりする傾向にあると指 摘している。この理由について、ケースメソッ ドにおいて培った未知なる課題の解決法導く 能力をより多くの機会で実践したいという意 欲と説明している。

最後に、本書では日本人留学生は“シャイ”

だと書いてある。ここでは“シャイ”という言 葉は、shyではなく空気をよむに近い意味が あるようだ。この点に関して現在アメリカの ビジネススクール等に留学している日本人た ちは決してシャイではない。

(理工学部准教授 物理数理学科)

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私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 特 集 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

私 の 進 路 を 決 め た 本

北 野 晴 久

KITANO Haruhisa

小学生の頃は、どんな動物とでも会話が できる「ドリトル先生」シリーズ(ヒュー・ロフ ティング作、井伏鱒二訳、全12巻、岩波書店)

に夢中になり、全巻読破もしました。犬や 猫のしぐさを真似すれば、そのうち会話もで きるはずだと固く信じていたものです。もし、

そのままチンパンジーとのコミュニケーショ ンを研究する道に進んでいたならば、間違い なく、私の進路を決めたのは12冊の「ドリト ル先生」シリーズだったに違いありません。

でも、実際には、物性物理と呼ばれる分野 に進んだわけです。果たして、そのきっかけ は何だったのか、あれこれ思い返してみまし た。「卒研の研究室はじゃんけんで決めたよう なものだし・・・。」「予備校時代に初めて超伝 導の磁気浮上を見て感動したなあ。」「確か高 校の頃は、物理より化学の方が得意だったは ず・・・」そこまで思い出して、ふと高校時代 に読んだ一冊の本 を思い出したのです。

高校卒業後、二十年以上が過ぎ、五回以 上引越ししてい たにも関わらず、

自分の部屋の本 棚から当時の本 が 出 て き ま し た。『量子力学の 世界』(片山泰久 著、ブルーバッ ク ス101、 講 談 社)。副題に「は じめて学ぶひと のために」とあ

るように、この本は数式を用いない量子力学 の解説書です。著者の片山泰久先生は、あの 湯川秀樹先生の愛弟子でした。

二十数年ぶりに中身をぱらぱらと見まし たが、数式は用いずとも内容は非常に高度で、

当時高校生だった私が内容を十分に理解でき たとは到底思えません。でも、「大学で量子 力学を学びたい」と強く思ったのはこの本が きっかけでした。あの頃、下宿先の先輩から もらった化学の参考書(駿台)に、s軌道やp 軌道、混成軌道といった量子化学で学ぶよう な内容の記述があり、「量子」という言葉に強 く惹かれたことを覚えています。

その後の人生では、超伝導など巨視的量子 現象に魅せられ、最近では量子コンピュータ といった分野にまで足を踏み入れてしまいま した。でも、高校時代とは違って、一冊の本 によって進路が左右されることはほとんどな くなりました。むしろ、自分の決めた進路(あ るいは研究の方向性)に沿って、複数の本を(例 えば、入門的書物や中程度の専門書、高度な 専門書や名著などといった具合に)購入して 読むようになりました。

一冊の本との出会いが、その後の人生に大 きく影響するのは、もしかすると多感な学生 時代だからこそかもしれません。強く惹かれ るものに出会ったならば、インターネットの 検索だけで満足せず、図書館や本屋さんに立 ち寄ってじっくり本を探して読んでみること をお薦めします。

(理工学部准教授 物理・数理学科)

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私 の 進 路 を 決 め た 一 冊 私 の 進 路 を 決 め た 一 冊

進 路 を 決 め た 読 書

中 川   淳

NAKAGAWA Jun

随分昔のことである。大学4年生のとき、

さて何となく大手銀行に就職を決めたものの、

「働くことって何だろう」という気持ちが湧い てきた。経済学を勉強していたので、「労働と いう商品を売ってお金を得、それを消費に 使うことによって自分の効用を最大化する」、

と考えようとしたが、どうもピンと来ないの だ。また、M.ウェーバーの『プロテスタンティ ズムの倫理と資本主義の精神』はキリスト教 社会の話であって、自分のこの問題には使え ない、と思っていた。社会人になるのは俗っ ぽい世界に染まることであり、ちょっといや だなあ、もしくは、もっとモラトリアムを楽 しみたいなあ、と思っていたのかもしれない。

そんな時、たまたま本屋で『日本資本主義 の精神 なぜ一生懸命働くのか』(山本七平)

を見つけた。表題がいいし、著者の他の本も 好きだったので購入し、すぐに読んだ。日本 の会社は企業集団でありかつ共同体であると いう指摘自体は特に新しさを感じなかったも のの、禅とエコノミックアニマルを結びつけ る発想には驚き、日本では働くことそのもの に広い意味の宗教性があるのではという考え に共感をおぼえた。武士が「一心不乱に剣術 を学ぶのは殺し屋になるためではなく禅の修 行と同じである」、「農民が一心不乱に耕すの もまた禅の修行であり、職人が一心不乱にノ ミを振るうのも修行であり、商人の巡礼もま た修行でありうる」というあたりでは、禅に ついて何も知らない自分にも、そういうこと ならよくわかるとともに、職業に貴賎はない というのはこういうことか、と感じ入った。

学 生 の 時 に は「 お 金 も う け」というもの に 対 し ど こ と な く 後 ろ め た い も の を 感 じ ていたと思う。

し か し、 一 生 懸 命 何 か を や る こ と そ れ 自 体 が い い こ と

であるということは理解でき、その結果とし て報酬をもらえるならばいいじゃないか、と ようやく納得できた。そもそも資本主義の強 みは参加者にかなりうまくモチベーションを 与えることができるその仕組みにある。学生 だった自分もようやく社会人になることに意 義を見出し、また経済・企業というものを直 接に学び、その参加者がどうして一生懸命働 いているのか自分の目でも見たいと思った瞬 間である。

そして現在、私は資産運用会社に勤務して いる。資本主義のど真ん中ともいえる株式・

債券・為替市場の動きおよび企業活動・マクロ 経済動向を日々見つつ、また一方、資産運用 ビジネスで働いているファンドマネジャーや アナリストのインセンティブ構造について研 究している。これがなかなかに興味深い世界 である。20年以上も前に読んだ本の影響がそ れとなく今の自分を導いている一面に人生の 面白さを思い知らされている。

(国際マネジメント研究科博士課程)

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本学図書館案内[2] 

本 館 図 書 館

本館は、今年30周年を迎えました。地上3階・

地下1階の建物には、約115万冊の蔵書があり、

年間約3万冊の資料を受け入れています。図書 館資料には、単行書、雑誌や新聞等の逐次刊 行物、マイクロフィルムやCD-ROMなどの非 図書資料等、様々な媒体があります。これら 全てが貸出できるわけではなく、館内利用の みのものもあります。これらをうまく活用して ください。

また館内には、約800席の閲覧席を設けてあ ります。特に定期試験期間などの混雑時には、

盗難が非常に発生しやすくなるので、貴重品 は常に身に付けておくように心掛けてください。

次に各階を簡単に説明していきます。

1階は、主に参考図書、新着図書・雑誌、指 定図書、新聞等を配架しています。出入口に 自動入館システムと、BD(Book detection)

システムを取り入れており、これにより利用 者制限と、本の無断持ち出しを防止していま す。情報検索コーナーでは、OPAC(本学図 書館オンライン目録)、CD-ROM(データベー ス)やインターネットが利用できます。マルチ メディア室ではノートパソコンを持参すれば、

ネット利用も可能です。またイヤホンを持参 すれば、CNN放送を視聴することができます。

貸出・返却カウンターでは、貸出・返却のほ か、本の予約・相模原からの取寄せもできます。

なお、延長、予約、取寄せはWeb上でもでき

るようになりました。詳しくはカウンターまで。

延滞をすると、その日数分だけ貸出ができな くなります。返却日は、厳守してください。

レファレンス・カウンターでは、文献・資料 探しの相談等を受け付けています。何かわか らないことがあったら、気軽に声を掛けてく ださい。お待ちしています。

2・3階には和書、地階には洋書、和洋雑誌 のバックナンバー、紀要、新聞縮刷版等が置 いてあります。特に地下は、集密書庫や電動 書庫が設置してありますので、取扱いには十 分注意してください。

3 人 以 上 の グ ループで共同利用 したい場合は、3 階にグループ閲覧 室を設けています。

1週間前から予約 が できますので、

ご利用ください。

次に、学部生では入館できないところを少 しだけご紹介します。貴重書庫は、主に1850

~ 60年代以前に印刷された資料を置いていま す。なおこの資料は、選りすぐりのものを1階 展示ケースで公開しています。3ヶ月ごとに 内容が更新されますので、お見逃しなく!他 に旧書庫や新書庫は、修士論文や1945年以前 の和洋書を配架しています。

本学以外に山手線沿線私立大学図書館コン ソーシアムに加盟している大学(学習院・國學 院・東洋・法政・明治・明治学院・立教)では、紹 介状なしで相互に利用できます。詳細は、大 学図書館ホームページをご覧ください。

以上簡単ではありますが、図書館の紹介を させていただきました。

(本館運用課閲覧係)

今回は図書館を知ってもらうために、

誌上オリエンテーションを開催します!

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日本および東洋世界の政治、生活文化、歴 史、経済等に関する最新情報を海外メディア の視点から世界へ発信した英文総合週刊誌 The Far East。1912(明治45)年3月の創刊から、

関東大震災の直前である1923(大正12)年8月 25日までのおよそ12年間で1巻~ 31巻(1号~

588号)発行されました。

掲載記事は欧米と近代化する日本の様子、

アジア外交、庶民の娯楽まで幅広い分野に 亘っています。記事だけでなく、豊富に掲載 されている写真からは当時の古き良き日本の 風景を、また広告からも急成長する日本経済 を見て取ることができます。

本誌の編集兼発行人は、英国人ジョン・ペン リントン(John Newton Penlington 1877-1936)

氏。彼はアイルランド生まれの新聞経営者 で、The Daily Mail紙(1896年創刊)の創刊者 で あ るAlfred Charles William Harmsworth

(1865-1922、称号Lord Northchffe)の通信員 として東洋に派遣され、日本を中心に活躍し たジャーナリストです。本誌以外に The Kobe ChronicleThe Japan Advertiser などの編集 にも携わっていました。彼の最も大きな業 績は、このThe Far East の発行と満州をめぐ る日中間の軋轢を克明に描いた The Mukden Mandate: Acts and Aims in Manchuria (Tokyo:

Maruzen)の刊行とされています。刊行の翌年 初めて満州を訪れますが、そこで中国人武装 集団に急襲され、無念の死を遂げました。

完全ではないものの、国内でこれだけ揃 えて所蔵している機関はほとんどありません。

大正期の刻々と変化する日本をこの貴重な資 料で感じてみませんか。

(情報提供:高知大学 村端五郎先生)

THE FAR EAST

<所蔵内容>

巻次: 1(1)~2(52),4~12(313),

15(366)~20(455),22(469)~23(494), 25(508)~29(572)

年次: 1912~1923

展示:10月~ 12月 大学図書館本館

(本館運用課参考係)

1917(大正 6 年).4.14

(vol.16 no.262)表紙より 上野公園でのお花見の 様子

1922(大正11年).9.30(vol.27 no.542)

おもちゃを作る職人

左上:戦艦、中央:人形、右上:だるま 1920(大正 9 年)

10.30(vol.20 no.444)

歌舞伎の紹介

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万代記念図 書 館

 重いテーマの特集にもかかわらず玉稿をお寄せ戴いた深町院長はじめ執筆者の方々に御礼 申し上げます。何気なく手に取った本が人の一生を左右することがあるとすれば、選書の作 業にもついつい力が入ろうというものです。 (鳥居正文)

青山学院大学図書館報“AGULI”第79号 2007年11月1日発行

編 集 青山学院大学図書館報編集委員会・大学図書館広報担当 TEL. 03-3499-1402 FAX. 03-3407-4472 発 行 青山学院大学図書館 〒 150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 http://www. agulin. aoyama. ac. jp/

青山学院スクール・モットー 地の塩、世の光 The Salt of the Earth、 The Light of the World

本 館(青山キャンパス)

◆「Web of Scienceセミナー」のご案内◆ (12月1回実施予定)

Web of Scienceは、社会科学・自然科学・人文科学分野における、世界で最も影響力のある9,300タイト ルの雑誌に掲載されている学術論文・引用文献にアクセスできるデータベースです。トムソンサイエンティ フィック社の専門家がセミナー形式でデータベースの活用方法を伝授するという、今回が初の企画です。

是非ご参加ください!

  日時・場所等は決定次第、図書館ホームぺージに掲載いたしますので、ご覧ください。

万代記念図書館(相模原キャンパス)

“テーマ別レポート作成ナビ” [所要時間 60 分]

レポート・論文を書くために役立つ情報収集のツールや文献探索方法について、テーマごとに案内します。

テーマ 開 催 日 一回目 二回目 会場

基本的資料の探し方 12月3日(月) 11:00 ~ 15:00 ~

万代記念図書館 3 階 グループ学習室C 法律情報の探し方 12月4日(火) 11:00 ~ 15:00 ~

企業情報の探し方 12月6日(木) 11:00 ~ 15:00 ~ 英語文献の探し方 12月7日(金) 11:00 ~ 15:00 ~

*各回、定員10 名です。前日までに2 階レファレンスカウンターへお申し込みください。定員になり次第、締め切ります。

 

“データベース利用説明会” [所要時間 60 分]

提供元担当者による各種データベースのデモンストレーションを実施します。

データベース 開 催 日 一回目 二回目 会場

「JapanKnowledge」(ジャパンナレッジ) 12月10日(月) 13:00 ~ 15:00 ~

万代記念図書館3階 グループ学習室C

「D1-Law.com」(ディーワン−ロウ ドット コム) 12月11日(火) 13:00 ~ 15:00 ~

「eol ESPer」(イーオーエル エスパー) 12月13日(木) 13:00 ~ 15:00 ~

「ProQuest」(プロクエスト) 12月14日(金) 13:00 ~ 15:00 ~

*各回、定員10 名です。前日までに2 階レファレンスカウンターへお申し込みください。定員になり次第、締め切ります。

■ ガイダンスなどのお知らせ ■

■ リサイクル・ブック・フェア ■

図書館で不要になった本および雑誌を利用者に無料で提供します。

開催日時 12月13日(木)~ 19日(水)

平日:9:30 ~ 21:00  土:9:30 ~ 20:30  日:12:30 ~ 18:30 会  場 図書館3階グループ閲覧室 B

開催日時 12月18日(火)~ 20日(木)9:30 ~ 19:30 会  場 図書館1階点字用ブース

編 集 後 記

編 集 後 記

参照

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